3月2日 奈良県吉野郡吉野町国栖 浄見原神社 国栖舞
浄見原神社は吉野川の岸壁中程の高さの所にある岩窟である。
国栖舞は南国栖の人々で舞う。まづ神前の石段下に案を置き、そこに特殊神饌を献ずる。
毛瀰(かへる)礼酒(1夜甘酒)腹赤魚(うぐい)山果(樫の実…現在は栗)土毛(ねぜり)
次いで、その下に別の案を置き楽器を飾る。
楽器。鈴2(麻緒、榊幣を副える)笛4、鼓1。
舞人は、歌4人、鼓1人、笛4人、鈴2人。鈴のものが舞う。
服装。何れも桐竹鳳凰の紋を青摺した布袴、烏帽子。
舞殿両脇と後方に図のように着座。神官の祝詞の後、着座のまゝ1歌及び2歌を歌う。歌人発声、全員唱和する よに出でば はらかのうをの かたわれも くずのおきなが ふちにすむつき
みよしのに くずのおきなが なかりせば はらかのみえにゑ たれかさゝげむ 神楽歌であって楽器は入らぬ
次に案上の楽器を撤して各人の前に置く。舞人進み出て正面の席に並べてつき鈴を採る(右に榊、左に鈴)
舞人立って舞う。このとき楽器と3歌が入る
すゞのねに しらきのふゑのおとするは くずのおきなの まねるものかは
歌終って十二月の月讃めとなる。「一月延栄」より「十二月延栄」までの唱えがある。舞人は立ったまゝ四方に鈴 を振る。鼓は打つが笛は入らぬ。
舞人座にかえって鈴を奏し、四歌となる。
かしのふに よくすをつくり よくすにかめる おほみきうまらに きこしもちをせ まろかち 最後の「まろかち」の所で歌人袖を額に覆うて、一同拝する
次に歌人の1人「御*楽」を読む。南国栖の住民の全員(男子のみ)の氏名を読みあげ、1人ごとに「延栄」と唱 え鼓を打つ。
撤饌。
浄見原神社はもとは龍神信仰ではないか。所謂案上の特殊神饌の他に洞窟内の神殿に近く別の御供がある。
深い木桶に杉葉を敷き、その上に小餅と長径 30cm位の小判形の平餅2 桶を供へ、他に樫の実(どんぐり)を 粉にひいたものをまぶした餅を供へる。これと最後に読みあげる村人の名帳これが古習を伝えるものでないか。
十二月延栄には或いは十二月往来の古猿楽の名残があるのかも知れない。
神楽風の奏楽は、恐らく明治帝明治10年に称念寺に行在のとき奏することになったのに始まるもののようである。