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研究などが急速に進むと考えられる.また,IAA生合 成の全容解明に向けて,IAMやIAAldを含む経路の詳 細な研究も展開されるであろう.
1) S. Sugawara : , 106, 5430
(2009).
2) K. A. Phillips : , 23, 550 (2011).
3) K. Mashiguchi : , 108,
18512 (2011).
4) C. Won : , 108, 18518
(2011).
5) A. N. Stepanova : , 23, 3961 (2011).
(笠原博幸,増口 潔,神谷勇治,理化学研究所植物 科学研究センター)
海産軟体動物から得られる多様なラミナリナーゼ
動物種の生活環境と関連した酵素特性の違い
ラミナリンは,コンブなどの褐藻の貯蔵多糖として知 られる
β
-1,3-グルカン(以下,β
-グルカン)の一種で,β
-1,3結合により重合したグルコースの主鎖のところど ころにβ
-1,6結合によりグルコース側鎖が結合した構造 をもつ.レンチナンなどの担子菌由来のβ
-グルカンに は,マクロファージの活性化作用やアレルギーの低減作 用,免疫賦活作用などの生理活性があることが知られて いるが(1),ラミナリンにも免疫賦活作用や糖尿病改善作 用がある(2).また,ラミナリンを酵素分解して得たラミ ナリオリゴ糖には,ヒト単球のTNF-α
分泌促進作用が あるとされる(3).このようなβ
-グルカンの生理作用が,どのような
β
-グルカンの糖鎖構造に基づくのかは未だよ くわかっていないが,これを明らかにするにはβ
-グルカ ンに特異的な分解酵素により各種断片を作製し,それら を用いて構造・機能連関を解析することが有効と思われ る.β
-グルカンを特異的に分解する酵素として,β
-グルカ ナーゼ(EC 3.2.1.6, EC 3.2.1.39, およびEC 3.2.1.73)が知 られている.この酵素はこれまでに細菌,真菌,酵母,植物,および無脊椎動物などに分布することが明らかに されているが,最近筆者らは,海産軟体動物のアワビ,
アメフラシおよびホタテガイから,
β
-グルカナーゼの一 つであるラミナリナーゼ (EC 3.2.1.6) を単離し,それら の基本性状を解析した(4〜6).これら軟体動物のラミナリ ナーゼの作用特性は多様で,様々なβ
-グルカン断片の作 製に有用と思われた.ここでは,これら海産軟体動物の ラミナリナーゼの基本性状について紹介したい.アワビ の消化液からは,分子
量33,000のラミナリナーゼHdLam33が得られた(4).本 酵素は,ラミナリンやラミナリオリゴ糖を分解して主に ラミナリビオースとグルコースを生じ,リケナンのよう
な
β
-1,3およびβ
-1,4結合により重合したグルカンを分解 して主に4- -グルコシルラミナリビオースを生じた.ま た,ラミナリンからはその分枝部分由来の四糖である 6- -グルコシルラミナリトリオースを生じた.これらの 結 果 は,HdLam33がβ
-1,3(4)-グ ル カ ン の 内 部 領 域 のβ
-1,3結合を切断する,エンド-1,3(4)-β
-グルカナーゼ(EC 3.2.1.6) であることを示している.一方,アメフラ シ からは分子量約36,000と約33,000の2 種類のラミナリナーゼ,AkLam36およびAkLam33が 得られた(5).AkLam36はアワビのHdLam33と類似の エンド型の酵素であったが,AkLam33はエキソ型の
β
- グルカナーゼであった.すなわち,本酵素はラミナリオ リゴ糖の還元末端からグルコースを1残基ずつ遊離し,同時にグルコース1残基分小さくなったラミナリオリゴ 糖を生じた(図1-A).また,ラミナリンに作用させる とオリゴ糖を生じずに直接グルコースを遊離した.一 方,本酵素はラミナリビオースを分解しなかったことか ら,
β
-グルコシダーゼではないことが確認された.これ らの特性に基づき,筆者らはAkLam33がβ
-グルコシ ダーゼではなくエキソ型のβ
-グルカナーゼであると結論 した.この酵素は,これまでに軟体動物で報告のない新 奇のエキソ型β
-グルカナーゼである.これらアワビやアメフラシのラミナリナーゼは,いず れも糖転移活性を示すリテイニング酵素であった.この 活性を利用すると,本来分解されなかったラミナリビ オースが,ラミナリトリオースとの糖転移反応を経て分 解されるという興味深い結果が得られた(図1-B).こ れは,軟体動物が摂餌した褐藻のラミナリンをより効率 的にグルコースに分解するのに都合が良い性質と思われ る.
一方,二枚貝のホタテガイ の
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消化液(中腸腺内腔液)からもラミナリナーゼが得られ た(6).ホタテガイは,北海道において年間数十万トン規 模で養殖されているが,生貝柱を生産する際に中腸腺が 大量に廃棄されている.ラミナリナーゼは,この廃棄物 を圧搾した際に生じるドリップから得ることができる.
ドリップ中のラミナリナーゼ含量は79 mg/1,000 mlと
かなり高く,ホタテガイ廃棄内臓を原料とした安価なラ ミナリナーゼの生産が可能と思われた.ドリップから精 製したホタテガイのラミナリナーゼは分子量が約38,000 であることから,PyLam38と名付けた.PyLam38は,
アワビやアメフラシのラミナリナーゼHdLam33および AkLam36と同様にラミナリンを分解してラミナリビ 図1■海産軟体動物由来ラミナリナーゼの酵素特性および分子系統樹
(A) AkLam36およびAkLam33によるラミナリオリゴ糖分解物のTLC.AkLam36はエンド型,AkLam33はエキソ型の分解様式を示した.
G1はグルコース,L2 〜 L7はそれぞれ2糖から7糖のラミナリオリゴ糖を示す.(B) HdLam33の糖転移活性を介したL2, L3, およびL2+ L3の分解.(a) グルコース生成量の経時的変化.□:L2, ○:L3, ●:L2+L3.(b) TLCによるL2+L3の分解の確認.(c) 糖転移活性を 介したL2分解の模式図.▲は切断部位(糖転移部位)を示し,点線は2糖と3糖が転移反応に再利用されることを示した.G:遊離したグ ルコース残基.(C) PyLam38による糖転移生成物のマス・スペクトル.第1基質 (donor) をL4とし,第2基質 (acceptor) にはスペクトル 上部に示したOH基をもつ化合物を使用した.糖転移により生じたヘテロオリゴ糖のピークは矢印で示した.(D) GHF16酵素のアミノ酸 配列に基づく分子系統樹.●は海産軟体動物のラミナリナーゼの位置を示す.
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オースとグルコースを生じるエンド型の酵素であった.
PyLam38の糖転移活性はかなり高く,様々な単糖やア ルコール,キシロオリゴ糖などを受容体として,様々な ヘテロオリゴ糖や配糖体を合成することができた(図 1-C).
これらラミナリナーゼの酵素特性には,海産軟体動物 の生活環境と関連した違いがみられた.たとえば,生息 温度が15℃程度のアワビやアメフラシの酵素の熱安定 性は,10℃以下のホタテガイのPyLam38のものよりも 高かった.また,珪藻などの微細藻類を摂餌しているホ タテガイのラミナリナーゼは,そこに含まれる直鎖状の
β
-グルカンを良く分解するが,アラメなどの褐藻に含ま れる側鎖の多いラミナリンは分解しにくい.一方,アラ メやコンブなどの褐藻を摂餌しているアワビやアメフラ シのラミナリナーゼは,直鎖状のラミナリンだけでなく 分枝の多いラミナリンも分解できた.これらの酵素特性 の違いを利用すれば,より多様な構造のβ
-グルカンの断 片化やオリゴ糖の作出が可能になると思われる.これまで紹介した軟体動物のラミナリナーゼ,Hd- Lam33, AkLam36, AkLam33, およびPyLam38の一次構 造をcDNAクローニングにより解析した結果,これら はいずれも糖質加水分解酵素ファミリー16 (GHF16) に
属することが明らかになった.これらの軟体動物のラミ ナリナーゼと他の
β
-1,3-グルカナーゼの一次構造情報に 基づき分子系統樹を作成した(図1-D).その結果,軟 体動物の酵素遺伝子は原核生物と真核生物の分岐後に真 核生物の祖先遺伝子から派生したと推定された.海産軟 体動物のラミナリナーゼは,生物進化の過程で珪藻や褐 藻を摂餌するようになったのに伴い,それらに含まれる ラミナリンの分解・糖化に適した特性に分子進化した可 能性が考えられる.1) O. Rop, J. Mlcek & T. Jurikova : , 67, 624
(2009).
2) Z. Pang, K. Otaka, T. Maoka, K. Hidaka, S. Ishijima, M.
Oda & M. Ohnishi : , 69, 553
(2005).
3) N. Miyanishi, Y. Iwamoto, E. Watanabe & T. Oda : , 95, 192 (2003).
4) Y. Kumagai & T. Ojima : ,
154, 113 (2009).
5) Y. Kumagai & T. Ojima : ,
155, 138 (2010).
6) Y. Kumagai, A. Inoue, H. Tanaka & T. Ojima : , 74, 1127 (2008).
(熊谷裕也,尾島孝男,北海道大学大学院水産科学研 究院)
酵母の浸透圧ストレス応答
アクア(グリセロ)ポリンの生理機能と制御機構
浸透圧ストレス応答は細胞が外界の環境変化に適応す るための必須な機構であり,出芽酵母
において最も研究が進んでいる(1).酵母は高 浸透圧ストレスに曝されると急激な脱水により一時的に 収縮し,適合溶質としてグリセロールを蓄積すると再び 水を吸収し元のサイズに戻る(図1).この過程で生じ る膨圧の変化を細胞膜上の浸透圧センサーが感知し,そ の下流にある Hog1 MAPK (mitogen-activated protein kinase) 経路がグリセロール合成遺伝子の誘導など様々 な応答を制御している.さらにHog1は,ここで取り上 げるアクアポリンとアクアグリセロポリンの制御を介し て細胞内の水とグリセロール量を調節していると考えら れている.アクアポリンとは生体膜を介して水の選択的 透過を担う水チャンネルであり,グリセロールなどの小 物質の輸送にはアクアグリセロポリンが関与してい
る(2).この2つは系統樹解析でも明確に区別され,酵母 ではアクアポリンが2つ (Aqy1, Aqy2) とアクアグリセ ロポリンが2つ (Fps1, Yfl054c),ヒトでは合計10種類 以上存在する(図2).ここでは,筆者が所属するス ウェーデン・ヨーテボリ大学のHohmannグループが進 めてきた酵母のアクア(グリセロ)ポリンの生理機能と制 御機構について紹介する.
Peter Agre(2003年ノーベル化学賞受賞)らによっ てヒトの赤血球からアクアポリンが発見されて以降,酵 母,大腸菌,植物などにおいてもアクアポリンの存在が 確認されるようになってきた.特に,移動することがで きない植物は土壌から水を効率よく吸収するために 30 以上の遺伝子を有することが報告されている.興味深い ことに,Laizéらは様々な酵母株のシークエンス解析に よって,S288C株やW303-1A株などの実験室酵母のア