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6.14 (長さを持つ曲線、長さ)

ドキュメント内 多変数の微分積分学1 講義ノート (ページ 37-43)

これは折れ線の長さが上に有界であることを示している。ゆえに φ は長さを持つ。

2. (分割の幅が十分小さければ、折れ線の長さとRiemann和の差はいくらでも小さい)さて、

[a, b]の任意の分割∆ ={tj}rj=0 に対して、折れ線の長さ (φ,∆) と、積分

b

a

∥φ(t)∥dt の Rieamann 和S(∥φ∥,, ξ}rj=01) (ただし ξ:={tj}rj=01)との差は

(φ,∆)−S(∥φ∥,, ξ) =

r j=1

∥φ(tj)−φ(tj1)∥ −

r j=1

∥φ(tj1)(tj −tj1)

=

r j=1

(∥φ(tj)−φ(tj1)∥ − ∥φ(tj1)(tj −tj1)) であるから、(∥a∥ − ∥b∥≤ ∥a−b∥ という不等式を用いて)

|ℓ(φ,∆)−S(∥φ∥,, ξ)|=

r j=1

(∥φ(tj)−φ(tj1)∥ − ∥φ(tj1)(tj −tj1))

r j=1

∥φ(tj)−φ(tj1)∥ − ∥φ(tj1)(tj−tj1)

r j=1

∥φ(tj)−φ(tj1)−φ(tj1)(tj−tj1)

=

r j=1

tj

tj−1

[φ(s)−φ(tj1)]ds

r j=1

tj

tj1

∥φ(s)−φ(tj1)∥ds.

φ はコンパクト集合 [a, b] 上の連続関数だから、一様連続である。ゆえに任意の ε > 0 に対して、

∃δ0 >0 s.t. ∀s1, s2 [a, b] |s1−s2|< δ0 =⇒ ∥φ(s1)−φ(s2)∥< ε b−a. 分割の幅 ||= max

1jr(tj −tj1) が δ0 より小さければ、

|ℓ(φ,∆)−S(∥φ∥,, ξ)|<

r j=1

tj

tj1

ε

b−a ds ε b−a

r j=1

(tj −tj1) =ε.

3. (長さ L(φ) が積分

b

a

∥φ(t)∥dt に一致すること) まず L(φ)は、定義によって、折れ線 の長さの上限であるから、

∆ =e {etj}erj=0 s.t. L(φ)−ε≤ℓ(φ,∆)e ≤L(φ).

次に積分の定義から、

bδ >0 s.t. ||<δb =b

a

∥φ(s)∥ds−S(∥φ∥,, ξ) < ε.

∆e の細分 ∆ =b {btj}brj=0 で、 b∆<min{δ, δb 0}を満たすものを取り、ξb={btj}brj=0 とおく。

細分であることから、(φ,∆)e ≤ℓ(φ,∆)b であるので、

L(φ)−ε ≤ℓ(φ,∆)b ≤L(φ).

b∆< δ0 であることから、

(

φ,∆b

)−S(∥φ∥,,b ξ)b≤ε (ただし ξb={btj}brj=0).

b∆bであることから、

b a

∥φ(s)∥ds−S(∥φ∥,,b ξ)b < ε.

ゆえに L(φ)

b a

∥φ(s)∥ds

≤L(φ)−ℓ(φ,∆)b +(φ,∆)b −S(∥φ∥,,b ξ)b+

S(∥φ∥,,b ξ)b

b a

∥φ(s)∥ds

≤ε+ε+ε= 3ε.

ε は任意であったから、

L(φ) =

b a

∥φ(s)∥ds.

長さを持たない曲線 すべての曲線に対して、長さが定義できるとは限らない(折れ線の長さ の上限が存在しない、すなわちいくらでも長さの大きい折れ線が取れることがある)。長さを 持たない曲線の存在は早くから知られていたが、最近ではフラクタル(fractal) の典型例とし て現われるため、詳しく研究されている7。次に示すのは、フラクタルとして有名な Koch (Koch curve) である。この図形 Γは、

図 1.2: Koch 曲線

Γ = Γ1Γ2Γ3Γ4, Γ1 Γ2 Γ3 Γ4

と分解できるが、実は各小部分 Γi は、全体Γ と相似で、相似比は Γi : Γ = 1 : 3 (i= 1,2,3,4)

となっていることが図から読み取れる。これからもし Γ が長さを持てば、矛盾が導かれるこ とが分かる。

1.6.2 参考 : 平面曲線の曲率

ベクトル値関数の微積分の話題として、平面曲線の曲率を取り上げる(付録 H.1 では、空間 曲線の曲率・捩率を解説している)。

CR2 内の正則 C1 級曲線 x=φ(t) (t [α, β]) とする。

弧長によるパラメーターづけ [0, t] の範囲の弧長s=(t),C (全体) の長さL は、

(t) :=

t α

∥φ(u)∥du, L:=(β)

で定義される。: [α, β][0, L]は、C1級で、(t) = ∥φ(t)∥>0を満たすので8、狭義単調増加 で全単射であり、逆関数1: [0, L]∋s 7→t∈[α, β]もC1 級である。Φ :=φ◦ℓ1: [0, L]R2C1 級の曲線で、像は C と同じである。t=1(s) とするとき、

Φ(s) =φ(t)(1)(s) =φ(t)· 1 (t) であるから、

Φ(s)=∥φ(t)∥ · 1

|ℓ(t)| =∥φ(t)∥ · 1

∥φ(t) = 1.

φ(t), φ(t), φ′′(t) をx(t) = (

x(t) y(t)

)

, x(t) = (

˙ x(t)

˙ y(t)

)

, x′′(t) = (

¨ x(t)

¨ y(t)

)

と表し、Φ(s), Φ(s), Φ′′(s)をx(s) =

( x(s) y(s)

)

, x(s) = (

x(s) y(s)

)

,x′′(s) = (

x′′(s) y′′(s)

)

と表す9

曲線 Φ の曲率 e1(s), e2(s) を (1.20) e1(s) := dx

ds = (

x(s) y(s)

)

, e2(s) :=

( 0 1 1 0

)

e1(s) =

(−y(s) x(s)

)

で定める。e1(s)=e2(s)= 1,e1(s)·e2(s) = 0が成り立つ。幾何学的には、e2(s)は e1(s) を左に 90 回転したものである。

(e1(s),e1(s)) = 1 (s∈[0, L])を微分して、e1(s)·e1(s) = 0. ゆえにe1(s)e1(s) であるか ら、e1(s) は e2(s) に平行である。ゆえに∃κ(s)R s.t.

(1.21) e1(s) = κ(s)e2(s).

8正則性の仮定から、つねにφ(t)̸= 0であるから。

9t に関する導関数を˙,¨で表すのは、Newton力学に由来する(その場合、tは時刻である)。

この κ(s) を曲率と呼ぶ。同様にe2(s)= 1 から、e2(s)e2(s),そして

(1.22) e2(s) = ρ(s)e1(s)

を満たす ρ(s) の存在が導かれるが、実はρ(s) =−κ(s) である。実際、e1(s)·e2(s) = 0 を微 分して得られる

e1(s)·e2(s) +e1(s)·e2(s) = 0 に (1.21), (1.22) を代入して、

κ(s) +ρ(s) = 0 が得られる。まとめておくと、

(1.23)

{

e1(s) = κ(s)e2(s) e2(s) =−κ(s)e1(s).

曲線 C の曲率 まず e1(s) =

( x(s) y(s)

)

= dx ds = dx

dt dt

ds = 1

x˙2+ ˙y2 (

˙ x(t)

˙ y(t)

) .

e1(s) = (

x′′(s) y′′(s)

)

であるが、

x′′(s) = d ds

dx ds = d

dt (

˙

x

˙ x2+ ˙y2

)

· dt ds

=

x˙2+ ˙y2·x¨ 12( ˙x2+ ˙y2)1/2(2 ˙x¨x+ 2 ˙yy) ˙¨ x

˙

x2+ ˙y2 · 1

x˙2+ ˙y2 = ( ˙x2+ ˙y2x−( ˙x2x¨+ ˙yx¨˙y) ( ˙x2+ ˙y2)2

= y( ˙˙ yx¨−x¨˙y) ( ˙x2+ ˙y2)2 . 同様にして

y′′(s) = x( ˙˙ x¨y−y¨˙x) ( ˙x2+ ˙y2)2 . ゆえに

e1(s) = (

x′′(s) y′′(s)

)

= x¨˙y−y˙x¨ ( ˙x2+ ˙y2)2

(−y˙

˙ x

) . 一方、

e2(s) =

(−y(s) x(x)

)

= 1

x˙2+ ˙y2 (−y˙

˙ x

)

であるから、e1(s) =κ(s)e2(s)を満たす κ(s) は、

(1.24) κ(s) = x¨˙y−y¨˙x

( ˙x2 + ˙y2)3/2.

7 曲率が至るところ 0 ならば、曲線は直線 (の一部) であることを示せ。

8 r > 0, ω R\ {0} とするとき、曲線をx(t) = (rcosωt, rsinωt) (t∈ [0,2π/ω]) で定め る。曲率を求めよ。

9 極形式 r=f(θ) で与えられた曲線に対して、

κ=

r2+ 2(dr

)2

−rd2r 2 [

r2+(dr

)2]3/2

であることを示せ。

1.7 問の答&ヒント

問1 のヒント (1) (⃗x− w, ⃗⃗ y) = 0 に w⃗ = t⃗y を代入する。(2) ∥⃗x∥2 = ∥⃗x−w⃗ +w⃗∥2 = (⃗x−w⃗ +w, ⃗⃗ x−w⃗+w) を展開して、(⃗x−w, ⃗⃗ w) = 0 を使う。(3) (2)で示した式から ∥w⃗∥2

∥⃗x∥2. w⃗⃗x⃗y で書く。

問2 不等式の証明から、

どちらかの不等号が等号 ⃗x⃗y は1次従属。

x⃗y の少なくとも一方が0ならば、− ∥⃗x∥ ∥⃗y∥= (⃗x, ⃗y) = ∥⃗x∥ ∥y∥. 以下⃗x⃗y が共に0で なく、両者は1次従属とすると、∃t∈R\ {0} s.t. ⃗y=t⃗x. このとき、

∥⃗x∥ ∥⃗y∥=|t| ∥⃗x∥2, (⃗x, ⃗y) = t∥⃗x∥2

であるから、t >0 の場合は(⃗x, ⃗y) =∥⃗x∥ ∥⃗y∥, t <0の場合は (⃗x, ⃗y) =− ∥⃗x∥ ∥⃗y∥. 大ざっぱに まとめると、⃗x⃗y が同じ方向と向きを持てば右側の不等号が等号になり、⃗x⃗y が同じ方 向で逆向きであれば左側の不等号が等号になる。

問4 A = (1,2)×(3,4), Ab = {(1, y);y∈[3,4]} ∪ {(2, y);y∈[3,4]} ∪ {(x,3);x∈[1,2]} ∪ {(x,4);x∈[1,2]}, A= [1,2]×[3,4].

問5 極限がA に含まれること。(「閉集合である」という仮定が増えたから、結論も増えた わけである。)

問6 fC 級ならば、任意のk Nについて、fCk 級である。任意のk, ℓ∈N,k > ℓ について、fCk 級であれば、fC 級である。fC1 級ならばf は全微分可能である (逆は必ずしも成り立たない)。f が全微分可能であれば、f は連続かつ各変数について偏微分 可能である(逆は必ずしも成り立たない)。

問7 e1(s) = 0 より、a s.t. e1(s) = a. これから b s.t. x(s) = sa+b.

問8 κ(t) = 1

rsign ω. ただし sign は符号を表す(x > 0 ならば sign x = 1, x < 0 ならば sign x=1)。

ドキュメント内 多変数の微分積分学1 講義ノート (ページ 37-43)