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6.6 (よくある勘違いについて) 連続的微分可能とは、連続かつ微分可能なことではな い ( 微分可能ならば連続なので、連続でかつ微分可能というような冗長なことは言うはずがな

ドキュメント内 多変数の微分積分学1 講義ノート (ページ 33-37)

い)。微分可能で、導関数が連続なことである。

注意 1.6.7 (1 変数ベクトル値関数は早い話が) 成分ごと毎に考えればよい。例えば、

φ(t) =

 φ1(t)

... φn(t)



とすると、

φt0 で連続i (1≤i≤n) に対してφit0 で連続。

φt0 で微分可能 i(1≤i≤n) に対して φit0 で微分可能。

1.6.8 (質点の運動) 質点が時間の経過とともにその位置を変えるとき、時刻 t I (IR の区間)における位置ベクトルをφ(t)で表すと,一つのベクトル値関数φ: I Rn が得ら れる。

ここでは独立変数をt, 従属変数をxと書くことにしよう: x=φ(t).

このとき

v(t) := dx

dt =φ(t)

を時刻tにおける質点の速度 (velocity) と呼ぶ。また速度のノルム(大きさ) ∥v(t) のことを 速さ (speed) と呼ぶ。

速度の導関数

α(t) := v(t) = d2x

dt2 =φ′′(t) は質点の加速度 (acceleration) と呼ばれる。

1.6.9 (等速円運動) n = 2, r は正定数、ω は実定数とするとき、φ(t) = (

rcosωt rsinωt

) と おくと、

φ(t) =

( −rωsinωt )

, φ′′(t) =

( −rω2cosωt

2

)

, ∥φ(t)=r|ω|.

t を時刻、φ(t) を時刻 tにおける質点の位置を表すものと解釈すると、これは原点を中心とす る半径 r の円周上を一定の角速度 ω で移動する運動と言える。

φ′′(t) = −ω2φ(t), φ(t)⊥φ′′(t)

に注意しよう (「加速度は中心を向く」、「速度と加速度は直交する」)。

上のように定義した連続曲線の中には、「曲線」らしくないものも含まれている。

1.6.10 (

ペ ア ノ

Peano 曲線 (Peano curve)) 連続曲線φ: I = [0,1]R2 で、像が正方形であ る、すなわち

φ(I) = [0,1]×[0,1]

が成り立つようなものが存在する (平面や空間を「充填する」曲線については、ザーガン [3]

を見よ)。

注意 1.6.11 (滑らかな曲線 正則曲線) 本によっては、C1級の関数のことを「滑らか」と 言うことがあるが、C1級の曲線の像 (図形としての集合、形)は滑らかであるとは限らず、6

かど

角を持つ (

とが

尖っている) こともありうる (例えば x=t3, y= t2, t [1,1])。こういう角は特 異点 (φ(t0) = 0となる点のこと) になっているので、特異点のないC1級曲線と言えば、ホン トに像も滑らかになる。特異点のない C1級曲線のことを、せいそくきょくせん正則 曲 線 (regular curve)とい うことがある。

-0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

-1 -0.5 0 0.5 1

t**3, t**2

図 1.1: C1級だが滑らかでない曲線 x=t3,y =t2

6ただし、C1 級関数のグラフの形は滑らかである。

命題 1.6.12 (曲線と微分の公式) I,JRの区間、φ:I Rn, ψ: I Rn を微分可能 な曲線、 f: I R, g: J I を微分可能な関数とするとき、以下の (1) 〜 (5) が成り 立つ。

(1) d

dt(φ(t)±ψ(t)) =

dt(t)±dψ

dt(t) (複号同順).

(2) d

dt(f(t)φ(t)) = df

dt(t)φ(t) +f(t) dt(t).

(3) d

dt(φ(t), ψ(t)) = (

dt(t), ψ(t) )

+ (

φ(t),dψ dt(t)

) . (4) d

dtφ(g(t)) = g(t)φ(g(t)).

例題 1.6.1 速さ一定の質点の運動では、速度と加速度は互いに直交することを示せ。

解答 質点の運動 φ: I Rn が速さ一定とする。すなわち

∥φ(t)∥ ≡C (C は定数).

これから

(φ(t), φ(t))≡C2. 両辺を t で微分すると、

(φ′′(t), φ(t)) + (φ(t), φ′′(t)) = 0 すなわち

(φ′′(t), φ(t)) = 0.

これは速度 φ(t) と加速度 φ′′(t) が直交することを示す。

C1級曲線の長さは、簡単に定義できる(C1級でない曲線の長さについては、1.6.1を見よ)。

定義 1.6.13 (C1級曲線の長さ) C1級曲線 φ: I := [a, b]Rn の長さを

b

a

∥φ(t)∥dt

であると定義する。φ(t) =

 φ1(t)

... φn(t)

とすれば、

b a

φ1(t)2+· · ·+φn(t)2dt.

曲線を質点の運動と解釈すれば、速さを時間で積分したものが、曲線の長さということに なる。

「曲線の長さはパラメーターの取り方によらない」 φ: I = [a, b] RnC1級の曲線、

f: [α, β][a, b]を C1級の関数で、f >0, f(a) =α, f(b) =β を満足するものとする。この とき、合成写像

Φ :=φ◦f: [α, β]∋s 7→φ(f(s)) RnC1級の曲線である。このとき、

Φ の長さ =

β

α

Φ(s)∥ds

=

β α

∥φ(f(s))f(s)∥ds =

β α

∥φ(f(s))∥f(s)ds

=

b a

∥φ(t)∥dt=φ の長さ.

φ の像と Φの像は、点集合(図形)としては等しいわけで、心情的には同じ曲線であるが、現 在の数学の流儀では、曲線とは写像のことで、そのセンで行くと、Φと φ は一応は別物であ る。でも、その長さはめでたく等しい、と言うわけである。この事実を

曲線の長さは、パラメーターの取り方によらない と言う。

さて、φ を正則曲線とするとき、

(t) :=

t

a

∥φ(η)∥dη (t∈[a, b]) とおくと、

: [a, b]−→[0, L] C1, (a) = 0, (b) =L, (t) = ∥φ(t)∥>0 (t∈[a, b]),

が成り立つ(ここで Lは曲線 φ の長さである)。この の逆関数を ψ としよう: ψ: [0, L]∋s7→ψ(s)[a, b]

こうして作った Φ :=φ◦ψ: [0, L]Rn は、Φ(s)∥ ≡ 1 という性質をもつ。Φ は弧長 s に よりパラメーターづけられた曲線であるという。

1.6.1 参考 : 曲線の長さの一般的な定義

曲線の長さを、曲線上に点を有限個取り、順に結んで作った折れ線の長さの上限として定義 する。正確には以下のように定義する (図を描くべきだな…)。

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