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質の高い大学教育推進プログラム

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組織的な大学院教育改革推進プログラム

「健康環境リスクマネージメント専門家育成」

平成22年度実績報告書

平成23年3月

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目 次 1. 事業の内容 1-1. 事業の概要 1 1-2. 事業に対する社会的ニーズ 2 1-3. 大阪大学の教育理念と事業の実施基盤 3 1-4. 事業の実施内容 4 1-5. 事業の目的達成に向けた実施体制 7 1-6. 事業の大学全体の中での位置づけと期待される成果 8 1-7. 事業の実施計画 9 1-8. 事業の支援期間終了後の展開 10 2. 事業の実施状況 2-1. 新規科目の開設 11 2-2. 海外交流プログラム 21 2-3. 学生提案型課題研究の支援プログラム 46 2-4. 国際シンポジウム及び学生フォーラムの開催 51 おわりに 70 資料 資料1:応用環境生物学特別講義 講義内容・アンケート 71 資料2:海外研修プログラム 安全管理マニュアル 103 資料3:海外研修プログラム 誓約書 121 資料4:海外研修プログラム 研修届 123 資料5:海外研修プログラム 海外研修報告書 125 資料6:平成22年度活動成果パンフレット 238

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1.事業の内容 1-1.事業の概要(申請時) 平成 21 年度文部科学省組織的大学院教育改革推進プログラム 機 関 名 大阪大学 申請分野(系) 医療系 教育プログラムの名称 健康環境リスクマネージメント専門家育成 主たる研究科・専攻名 薬学研究科・生命情報環境科学専攻 [博士前期課程][博士後期課程] 取 組 実 施 担 当 者 (代表者) 高木 達也 〔教育プログラムの概要〕 大学院教育の使命は、社会的なニーズに対して即戦力として応えることができる専門家の輩出に ある。薬学が養成を目指す人材は“人類の健康の維持・増進に貢献できる薬学研究者や薬剤師”で あり、最近、がんや生活習慣病による死亡率が高まる中、特に大学院教育では、これらの予防や治 療に有効な創薬を担う研究者育成に重点が置かれている。しかしここ数年、輸入食品の有害物質汚 染が大きな社会問題となり、さらに新型インフルエンザや肺結核、エイズなどの新興・再興感染症 の世界的な流行も懸念されるところである。今や、国民の健康への関心は、単にがんや生活習慣病 などの予防や治療にとどまらず、有害物質汚染による健康被害や感染症の脅威にまで広がり、健康 の維持・増進に向けた国家レベルでの対策が強く望まれるようになった。 健康を総合的に科学する薬学において、こういった“健康”に対する社会的ニーズの急速な多様 化に応えて、真に健康の維持・増進に貢献できる人材を輩出するためには、毒性学、予防薬学であ る衛生化学や公衆衛生学、さらには分析化学を基盤とする環境薬学教育の高度化・実質化と、国際 的、学際的なコミュニケーション力の養成を図ることにより、『食と環境の安全・安心の確保』及 び『感染症の的確な予防』を主導し、健康被害を未然に防ぐことができる人材、即ち“健康環境リ スクマネージメントの高度専門家”を育成する必要がある。 大阪大学では、環境薬学を重要な教育研究領域と位置付け、平成4年に大学院独立専攻として「 環境生物薬学専攻」を設置し、また大学院重点化の際にこれを「生命情報環境科学専攻」に改組・ 発展させることにより、他大学に先んじて環境薬学教育研究体制の整備を図ってきた。さらに平成 20 年度採択の質の高い大学教育推進プログラム「食と環境の安全安心を担う薬学人材養成教育」に より学部における環境薬学教育充実を図ってきた。一方グローバルコラボレーションセンター(G LOCOL)は、真の国際性を備えた人材養成を目的とした学内共同施設として平成 19 年に設立 され、人間の安全保障を主要テーマとして、国際協力と共生社会に関する様々な教育研究活動を積 積極的に推進し、多くの実績をあげている。そこで本申請では、平成 22 年度に今年度までの博士 前期課程3専攻が修士課程創成薬学専攻に改組となり、さらに平成 24 年度には博士後期課程3専 攻も創成薬学専攻に改組となる予定であることから、これを契機に大学院科目の再編成を行ない、 環境薬学教育の充実を図る。具体的には、薬学研究科及びGLOCOLにおける上記のような教育 研究実績を基盤として、大阪大学が海外に展開する教育研究拠点との密な連携により、下記のよう な環境薬学教育の高度化、実質化及び国際化を図るプログラムを実施し、“健康環境リスクマネー ジメントの高度専門家”の育成を達成する。 ・有害物質の高感度解析に関する専門的な知識・技能の修得を目的とする大学院教育科目の開講 ・病原微生物の高感度解析に関する専門的な知識・技能の修得を目的とする大学院教育科目の開講 ・国際的かつ学際的視点に立った課題探究能力及び問題解決能力の養成を目的とするグループ演習

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・国際的かつ学際的視点に立った情報収集・解析能力及びリスクコミュニケーション能力の養成を 目的とする海外調査研修及び海外招聘研究員との合同研修 ・自立的研究企画能力及び遂行能力の養成を目的とする学生提案型課題研究の支援 ・国際的競争力とコミュニケーション能力の養成を目的とする国際シンポジウム及び学生フォーラ ムの開催 本事業は、大学院高度副プログラムとして、薬学研究科の大学院生だけでなく、文系、理系の枠 を越えた履修を可能とし、さらに社会人や留学生、海外連携機関から招聘する研究者に対しても広 く提供する。また、薬学部6年制の高学年教育にも活用する。これらのプログラムには薬学研究科 生命情報環境科学専攻を中心に3専攻の教員が参画し、また海外交流プログラムについては、GL OCOLの担当教員が主導し、学外関連機関との積極的な連携により実施する。本事業では、新た に運営委員会を組織して企画・運営にあたり、また博士後期課程の学生については、グループ演習、 海外研修、学生提案型課題研究、学生フォーラム開催等において、企画・立案や運営へ積極的に参 加させ、また優秀な企画に対しての資金的援助や TA としての採用を行なう。本事業は、PDCA サイ クルに基づいた見直し・改善を行ない、特に学生による評価及び有識者による外部評価を重視する。 プログラムの内容や進捗状況、成果、評価結果等は専用ホームページで公開し、実践的大学院教 育モデルとしての普及・発展に努める。補助終了後は、関連機関・組織との連携の強化や 海外交流プログラムの拡大・充実等、さらなる高度化、実質化及び国際化を図り、学内で の発展的な定着を図る。 1-2.事業に対する社会的ニーズ 大学院教育の使命は、社会的なニーズに 対して即戦力として応えることができる専 門家の輩出にある。薬学 が養成を目指す人 材は“人類の健康の維持・増進に貢献でき る薬学研究者や薬剤師”であり、最近、が んや生活習慣病による死亡率が高まる中、 特に大学院教育では、これらの予防や治療 に有効な創薬を担う研究者育成 に重点が 置かれている。 しかしここ数年、輸入食品の無許可農薬 や有害重金属による汚染が大きな社会問題 となり、さらに新型インフルエンザや肺結 核、エイズなどの新興・再興感染症の世界的な流行も懸念されるところである。今や、国民の健康へ の関心は、単にがんや生活習慣病などの予防や治療にとどまらず、有害物質汚染による健康被害や感 染症の脅威にまで広がり、健康の維持・増進に向けた国家レベルでの対策が強く望まれるようになっ た。 健康を総合的に科学する薬学において、こういった“健康”に対する社会的ニーズの急速な多様化 に応えて、真に健康の維持・増進に貢献できる人材を輩出するためには、毒性学、予防薬学である衛 生化学や公衆衛生学、さらには分析化学を基盤とする環境薬学教育の高度化・実質化と、国際的、学

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際的なコミュニケーション力の養成を図ることにより、『食と環境の安全・安心の確保』及び『感染 症の的確な予防』を主導し、健康被害を未然に防ぐことができる人材、即ち“健康環境リスクマネー ジメントの高度専門家”を育成する必要がある(上図)。 1-3.大阪大学の教育理念と事業の実施基盤 大阪大学は、研究拠点大学として最高 の研究を推進し、その成果にもとづいて 最良の教育を提供している。これにより 社会が求め社会から信頼される人間を育 成することが、大阪大学としての最大の 社会的責任であり、この責任を果たすこ とにより、さらに優れた大学へと発展す る拡大再生産過程の実現を目指す。 大阪大学が掲げる三つの教育目標は、 「教養」、「デザイン力」及び「国際性」 であり、“市民の信頼を得られる社会的教 養・判断力の育成”、“自由なイマジネー ション、横断的な構想力の育成”、及び“異なる文化とのコミュニケーション能力の育成”を目指し ている。 大阪大学では、こうした三つの目標を達成するために様々な特色ある教育プログラムを実施してお り、その中のひとつに、大学院教育における「高度副プログラム」がある。本プログラムは、社会が 求める幅広い分野の知識と柔軟な思考力を持った人材を育成するために、社会的ニーズの大きい課題 に対応した新規科目を設定し、また実地におけるフィールドワークによる教育活動を積極的に取り入 れ、これを研究科・専門分野の枠を越えた大学院生に広く提供することにより、学問分野の学際化・ 融合化、さらには実践化を推進している (上図)。 大阪大学薬学研究科においては、環境 薬学を重要な教育研究領域と位置付け、 平成4年に大学院独立専攻として「環境 生物薬学専攻」を設置し、また大学院重 点化の際にこれを「生命情報環境科学専 攻」に改組・発展させることにより、他 大学に先んじて環境薬学教育研究体制の 整備を図ってきた。さらに平成 20 年度採 択の質の高い大学教育推進プログラム「 食と環境の安全安心を担う薬学人材養成 教育」により学部における環境薬学教育充実を図ってきた。一方グローバル・コラボレーションセン ター(GLOCOL)は、真の国際性を備えた人材養成を目的とした学内共同施設として平成 19 年 に設立され、人間の安全保障を主要テーマとして、国際協力と共生社会に関する様々な教育研究活動

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を積積極的に推進し、多くの実績をあげている(上図)。 大阪大学大学院薬学研究科は、平成22年度に今年度までの博士前期課程3専攻が修士課程創成薬学 専攻に改組となり、さらに平成24年度には博士後期課程3専攻も創成薬学専攻に改組となる予定であ る。そこで本事業では、こういった大学院教育改革を契機として、大学院科目の新設及び再編成を行 ない、環境薬学教育の充実を図ることにより、上記のような社会的ニーズに応えることができる大学 院教育を実現するために、食と環境の安全・安心の確保と感染症の的確な予防に貢献できる“健康環 境リスクマネージメントの専門家”の育成を 目指す。これは、本研究科の重要な教育目標 である「薬学の総合的な発展に向けて幅広い 知識と深い専門性を修得し、様々な分野で責 任ある指導的立場から国際的に活躍できる 人材の養成」に沿ったものであり、本研究科 が重点を置く環境薬学教育のマスタープラ ンとも言える。また、「地域に生き、世界に 伸びる」をモットーに「教養・デザイン力・ 国際性」を身に付け、市民社会においてリー ダーとなる「しなやかな専門家」を育成する という大阪大学の教育目標にも合致する(左 図)。 1-4.事業の実施内容 本事業で実施する教育プログラムの特 徴は、環境薬学領域の大学院教育の高度 化、実質化及び国際化を図ることにより、 薬学に対する社会の強いニーズに応える ことができる優れた人材の養成を目指す ところにある。具体的には、質の高い大 学教育推進プログラムによる学部におけ る充実した環境薬学基礎教育を基盤に、 有害物質や病原微生物の検出・解析に関 する最新の知識と技能の修得により専門 性を深めることで、教育の高度化を達成 する。また、食と環境の汚染や感染症の 脅威に関するリアルタイムの情報の収集と解析をもとに学習課題を設定し、学生の自立的な学習や研 究、さらには多様なグループ構成での討論や研修を促すことによって、高度な課題探求能力や問題解 決能力の養成を図り、教育の実質化を達成する。 さらにこれらの教育を基盤として、人間の安全保障をテーマに国際協力と共生社会に関する教育研 究活動において多くの実績があるGLOCOLの主導で、我が国の主な食品輸入先であり重篤な感染 症の発生地域でもある東南アジアとの情報交換や研修・交流プログラムを実施することにより、国際

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的に活躍するためのコミュニケーション能力の養成を図り、教育の国際化を推進する。これらの教育 プログラムにより、衛生試験所や検疫機関、医療機関、さらには行政機関や大学、関連企業などで即 戦力として“健康環境リスクマネージメント”に貢献できる専門家の育成が可能となる(上図)。 本事業における教育プログラムは、平成 18 年度から始まった薬学部2学科併置に対応して平成 22 年度から設置する修士課程創成薬学専攻における環境薬学コース(環境系コース)において主に実施 する(下図)。本コースでは、単位を設定する新規大学院科目として下記の5つの特別講義を開講し、 同時に学内共通の高度副プログラムとして、他研究科の学生や、社会人及び留学生に対して提供する。 また、これらは高度な薬剤師教育を目指す学部6年制学科の6年生に対するアドバンスト教育科目と しても活用する。後期課程学生については、TA として事業に参画し、特にグループ演習においては、 主導的な役割を担う。実施するプログラムは以下の通りである。 【新規科目の開設】(講義・演習・実習) 1) 毒性学特別講義:有害化学物質高感度解析の専門的な知識・技能の修得 2) 衛生・微生物学特別講義:病原微生物の高感度解析の専門的な知識・技能の修得 3) 応用環境生物学特別講義:国際的・学際的視点に立った課題探究能力・問題解決能力の修得 4) 情報・計量薬学特別講義:国際的・学際的視点に立った情報収集・解析能力の修得 5) 「発展途上国における感染症の現状と対策」:新興・再興感染症の現状と対策に関する情報収集・ 解析能力の修得 これらの科目については、専門性の 高い外部講師を積極的に任用する。ま た、高度副プログラムの特徴を生かし た分野横断型かつ社会人、留学生を交 えたグループ構成により実施し、課題 も学生の提案を反映して設定し、さら に海外での研修活動も促進する。関連 する技能の教育については、環境薬学 教育研究のために計画的に整備して来 た最新分析機器及びこれを補完するた めに本事業で購入する低分子有害物質解析装置及び病原微生物高感度解析装置を用いて実施する。ま たこれらとは別に下記のプログラムを実施し、同様に他の研究科学生や社会人、留学生に広く提供す る。 【海外交流プログラム】 ・国際性や使命感の涵養、高度コミュニケーション能力の養成を目的とした海外調査研修及び海外招 聘 研究員との合同研修 【学生提案型課題研究の支援】 ・自立的研究企画・遂行能力の養成を目的とする提案公募による大学院生を対象とした研究支援 【国際シンポジウム及び学生フォーラムの開催】

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・国際動向に関する最新情報の収集を目的とする国際シンポジウムと、国際的競争力の及びコミュニ ケーション能力の養成を目的とする学生フォーラムの開催 海外交流プログラムは、高度副プログラムとして3)と組合せて実施する。学生提案型課題研究の支 援は、主に博士後期課程の学生を対象に年2回公募を行ない、優秀な企画を選抜して研究資金を支援 する。また国際シンポジウム及び学生フォーラムは、各年1回、学内外に公開して実施する。 本事業で開発・実施する特徴的なプロ グラムとしては、応用環境生物学特別講 義で実施する尐人数グループでの演習と、 海外交流プログラムがある。 まず演習では、高度副プログラムの特 徴を活かして、社会人や留学生を含め、 文系・理系の枠を越えた領域横断的チー ムでのPBLチュートリアル教育を行う。 具体的には、最近の健康環境リスク問題 から取組課題を選択し、情報の収集・解 析、討論により問題解決策の立案を自立 的な学習プログラムの設計により実施する。また、教員・社会人は、チューターやメンターとして参 画し、プログラムの円滑な実施を支援する。さらに、アドバンストPBLによる挑戦型教育として、 若手教員、社会人等の高い専門性を持つ構成員が加わり、複雑な背景を持つ国際的な問題を課題とし 、実地調査による情報収集やグローバルな視点からの討論を加え、より実践的な問題解決策の立案を 目指す。この演習については、海外調査研究や国内外の関連機関でのインターンシップの実施を必須 とし、学際的な課題探究能力の養成を図る(上図)。 海外交流プログラムについては、まず GLOCOLを中心として海外連携体制 を構築し、これらを拠点とする学生の積 極的な海外での活動を推進することによ り、国際性や使命感の涵養、高度コミュ ニケーション能力の養成を目指す。まず 大学院生や社会人を本学の海外拠点やG LOCOLの海外連携拠点へ派遣し、食 や環境の汚染、感染症の流行に関する現 地調査や、共同研究、現地での啓発活動 のためのワークショップの企画などを、 現地の大学院生や研究者と共同で実施す る。また、海外連携拠点から研究者や学生を招聘し、合同研修として学内や国内の連携機関における インターンシップや提案型共同研究などを共同で実施する。こういった活動は、先に示した演習科目 におけるグループを単位にして実施し、高度化、実質化及び国際化の統括的な実現を図る(上図)。

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1-5.事業の目的達成に向けた実施体制 薬学教育の大きな特徴の1つは、他の医療系教育では身に付けることができない、健康被害を未然 に防ぐための術、即ち健康被害を予見・予防する知識や技能を修得できる点にある。近年多様化、深 刻化かつ国際化する食や環境の汚染や感染症の脅威に対する最も効果的な対策は、環境薬学教育の高 度化、実質化及び国際化を図ることによる“健康環境リスクマネージメントの高度専門家”の育成で ある。本事業はこのような優れた人材育成を目標とするものであり、科学的根拠と確かな情報に立脚 した有害物質や感染症の解析ができ、迅速かつ的確な施策や情報発信ができる高度専門家の養成が期 待できる。この様な優れた人材を衛生試験所、検疫所、病院等の食や環境の安全・安心を守り、感染 症を防ぐ最前線の機関へ輩出し、また保健衛生行政を担う省庁や自治体、関連国際機関、教育研究を 担う大学、食品や化学物質の物流・製造を担う企業に配すれば、国民の食や環境の汚染や重篤な感染 症の流行に対する不安の払拭や汚染等の未然の防止が可能となり、大きな社会貢献が達成できる。 そこで本事業では、環境薬学大学院教育の高度化、実質化及び国際化を推進するために実施する教 育プログラムについて、1-4.に示したような教育プログラムを実施する。このうち高度化と実質化に ついては、学内の関連組織と密に連携すること、学生を企画・運営に積極的に参画させることによっ て達成を図る。さらに高年次生に多様かつ高度な教養教育を提供するために研究科・専門分野横断型 の科目を開設する本学独自の大学院教育プログラムである高度副プログラムの特徴を活かして教育 効果の高いプログラムの提供を可能にすることにより、達成を図る。 また国際化については、国内にとどまら ず、国際的に指導的立場で健康環境リスク マネージメントを主導できる人材、すなわ ち、国際的な研究協力関係の確立するため のコミュニケーション能力、グローバルな 視野から問題の把握・分析ができる解析能 力、さらには国家・地域間連携を踏まえた 実現性の高い対策立案能力を備えた人材 の育成が必要である。そこで、大阪大学の 学内外の教育研究拠点や連携拠点を活用 することにより、海外調査研修及び海外招 聘研究員との合同研修といった特徴的な 教育プログラムを提供する。これらのプログラムは、食と環境の安全・安心については、本学海外拠 点であるバンコク教育研究センター、薬学研究科と教育研究に関する交流協定を締結しているタイ・ マヒドン大学薬学部、GLOCOLの調査研究拠点である中国の山東省、ベトナムのタイビン省、ハ ノイ市等の大学や公的機関との連携、また感染症予防は、本学タイ感染症共同研究センターとの連携 を中心として実施する。さらに、これらの海外拠点から研究者や学生を招いて、国際シンポジウムや 学生が企画する尐人数討論中心の学生フォーラムを実施する(上図)。 1-6.事業の大学全体の中での位置づけと期待される成果 先に示したように、大阪大学における教育目標は、「教養」、「デザイン力」及び「国際性」を伸ば

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し、しなやかな専門家を養成することにある。この目標達成に向けて、高学年次における教養教育を 重視して、大学院における研究科や専門分野を横断する「高度副プログラム」を積極的に推進し、ま た実地におけるフィールドワークによる実践的な教育活動を推奨している。薬学研究科は、こういっ た大学の教育目標に沿って大学院教育の充実を図り、社会のニーズに対応した専門家の育成を目指し てきた。本事業もその一環として、教養・デザイン力・国際性を重視した実践的な教育プログラムを 企画し、実施することにより、“健康環境リスクマネージメントの高度専門家”育成を図る。 本事業は、これまでの他大学に先んじた本学大学院薬学研究科における環境薬学教育研究体制の整 備と、質の高い大学教育推進プログラム「食と環境の安全安心を担う薬学人材養成教育」による学部 における環境薬学教育の充実を基盤に、GLOCOLを始め、微生物病研究所や医学系研究科保健学 専攻、コミュニケーションデザイン・センター等の学内共同教育研究組織との連携、さらにはバンコ ク教育研究センターやタイ感染症共同研究センターなど、本学が海外に展開している教育研究拠点と の連携のもとに実施する。これらの本学の組織は他大学にはない特徴的な教育研究活動を実践するこ とにより、優れた業績をあげ、大きな社会貢献を果たしており、いずれも我が国を代表する国際的な 活動拠点となっている。したがって、これらの組織の連携を得て実施する本事業は、唯一、大阪大学 でのみ実施可能な企画と言える。また、本事業のプログラムを学内の全ての研究科学生が履修可能な 高度副プログラムとして提供することにより、大阪大学の学際的な大学院教育プログラムと位置付け ることができる。したがって、大学全体の支援により支援期間終了後も自主的・恒常的な継続が可能 であり、薬学研究科及び連携組織の教育研究の今後の発展を反映した改善・充実も可能である。 このような連携体制を効果的に活用した環境薬学大学院教育の高度化、実質化及び国際化を図るこ とにより、3年間の事業期間内に、目的とする“健康環境リスクマネージメントの高度専門家”の育 成に必要な教育体制を整備・充実させることは十分に可能であり、期待される優れた人材の輩出が達 成できる。このような薬学研究者や高度薬剤師は、食や環境の安全・安心を確保し、感染症を的確に 予防するための重要な機能を担う、衛生 試験所や検疫所、病院等の医療機関、保 健衛生行政を担う省庁や自治体、さらに 大学等の研究機関、関連企業において、 指導的な立場での活躍が期待できる。こ のような人材は、まさに、「教養」、「デザ イン力」及び「国際性」を身につけたし なやかな専門家と言え、本事業により、 大阪大学の人材教育目標を達成すること ができる。さらに、本事業は、食と環境 の安全・安心、感染症予防といった、我 が国の大学院教育が取り組まなければな らない緊急課題に対する有効な人材育成教育プログラムを提供するものであり、先駆的な教育実質化 モデルとして高い波及効果が期待できる(上図)。 それぞれの課程の学生において育成が期待される人材は下記の通りである。 1) 博士前期課程及び学部 6 年制学科 ・即戦力として活躍できる実践的な知識と技能を修得した研究者・技術者 2) 博士後期課程

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・優れた自立的問題解決能力と高い倫理観・使命感を備え、国際的に指導的な立場で活躍できる研究 者・行政官 3) 社会人コース ・現場業務の高度化・多様化対応できる実践的な知識・技術を修得した人材 4) 留学生・海外研修生 ・自国で指導的な立場で健康環境のリスク回避に貢献できる研究者・行政官 1-7.事業の実施計画 本事業は、環境薬学領域研究室の教員、GLOCOLの事業担当教員及び本事業で採用された特任教 員によって構成される「組織的大学院教育改革推進プログラム運営委員会」(以下、運営委員会)によ り企画・運営を行う。また学生ついては、グループ演習、海外研修、学生提案型課題研究、学生フォ ーラム開催等において、企画・立案や運営へ積極的に参加させる。 事業はPDCAサイクルに基づいた見 直し・改善を行ない、特に学生による評価 及び有識者による外部評価を重視する。外 部評価委員は、以下の3名の先生方にお願 いした。平成21年度と22年度は年度末に作 成する成果報告書に基づいた評価をお願 いし、最終年度である平成23年度には、成 果報告会に出席いただき、成果報告書及び 成果発表内容に基づいた書面審査及び面 談による評価をお願いする予定である(左 図)。 【外部評価委員】 ・西川 淳一 武庫川女子大学薬学部・教授(衛生化学研究室) ・渡辺 徹志 京都薬科大学薬学部・教授(公衆衛生学研究室) ・小澤 孝一郎 広島大学大学院医歯薬学総合研究科・教授(治療薬効学研究室) 1-8.事業の支援期間終了後の展開 支援期間終了後は、学内に教育研究助成プログラムの補助終了後の発展的継続を支援する目的で設 置された学際融合教育研究センターの協力を得て、3年間の事業の実績を基盤に、さらに学内の連携 の強化と海外を含めた連携の拡大により、大学院教育としてのさらなる高度化、実質化及び国際化を

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推進し、本学における主要な「高度副プロ グラム」としての定着化を達成する。これ により、海外でも広く指導的な立場で人 類の健康の維持・増進に貢献できる、さ らに優れた“健康環境リスクマネージメ ントの高度専門家”の輩出を図る。こう いった事業の継続的な発展により、将来 的には独自の国際的な教育研究拠点の形 成を目指したい(左図)。

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2.事業の実施状況 本事業の各教育プログラムの平成 22 年度の実施状況について、以下報告する。 2-1.新規科目の開設 平成18 年度から始まった薬学部2学科併置に対応して平成22 年度から修士課程創成薬学専攻にお ける環境薬学コース(環境系コース)が設置される。そこで本コースにおいて、健康環境リスクマネ ージメント専門家育成に向けて、新規大学院科目として下記の5つの特別講義を開講する。また、「応 用環境生物学特別講義」及び「発展途上国における感染症の現状と対策」については、GLOCOL が実施す る大学院高度副プログラム「人間の安全保障と開発」の中の科目として薬学研究科から、他研究科の学 生や、社会人及び留学生が履修できる科目として提供する。これらは高度な薬剤師教育を目指す学部 6年制学科の6年生に対するアドバンスト教育科目としても活用する。後期課程学生については、TA として事業に参画し、特にグループ演習においては、主導的な役割を担う。実施する科目については、 平成21 年度に下記のようにシラバスを作成した。平成22 年度は、このシラバスに従って授業を行う。 平成 23 年度は、これら全5科目を新規に GLOCOL が中心となって実施する大学院高度副プログラム 「グローバル健康環境」に提供し、健康環境リスクマネージメント専門家育成に向けた教育基盤の充実 を図る予定である。

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(1) 毒性学特別講義(Advanced Topics in Toxicology) ・担当教員:堤 康央、伊藤徳夫、吉川友章 ・単位:1 単位 ・開講時期:前期(後半)・水曜日・1 時限 ・授業の目的 薬学における毒性学は、医薬品・医薬部外品・化粧品・食品添加物・農薬などの化 学物質や微生物をも含めた生体異物の安全性を考究し、ヒト・環境の安全を確保する ことを目指した学問・研究領域であり、当該講義は安全で質の高い社会・健康環境の 確立に貢献できる薬学人の育成教育を目的としている。本観点から、化学物質等によ る種々有害事象やその対応策などを具体例として、薬学領域における毒性学研究の最 新の知見、将来展望について講義し、PBL によりその理解をさらに深める。なお講義 時点での最新かつホットな話題に随時更新し、当該講義目的を達成する。 ・講義の内容 医薬品・医薬部外品・化粧品・食品添加物・農薬・微生物といった生体異物を題材 に、ヒトの健康の確保や社会の健康環境の確保を考究しようとする、薬学における毒性 学研究の現状と今後について、最新の話題を講義し、PBL によりその理解をさらに深 める。なお適宜、外部の研究者を招き講義・討論を行うと共に、当該講義領域でホット な話題を随時、講義に組み込む。 ・授業計画 1)薬学における毒性学の新潮流 1:概論 医薬品・医薬部外品・化粧品・食品・食品添加物・農薬などの化学物質等や微生物 をも含めた生体異物の安全性確保に向けた最新の研究を概説すると共に、生体異物の リスクアセスメント、リスクマネージメント、リスクコミュニケーション、リスクリ テラシーの重要性などについて講義する。 2)薬学における毒性学の新潮流 2:医薬品・医薬部外品の安全性研究の現状と今後 医薬品・医薬部外品の安全性研究の現状と今後に関する最新の話題について講義し、 薬学的観点からのヒトの健康環境の確保に向けた取組について理解を深める。 3)薬学における毒性学の新潮流 3:食品・食品添加物の安全性研究の現状と今後 食品・食品添加物の安全性研究の現状と今後に関する最新の話題について講義し、 薬学的観点からのヒトの健康環境の確保に向けた取組について理解を深める。 4)薬学における毒性学の新潮流 4:化粧品の安全性研究の現状と今後 化粧品の安全性研究の現状と今後に関する最新の話題について講義し、薬学的観点 からのヒトの健康環境の確保に向けた取組について理解を深める。 5)薬学における毒性学の新潮流 5:環境毒性学研究の現状と今後 微生物・農薬・内分泌撹乱物質・放射線・紫外線・アスベストといった種々環境因 子の安全性研究の現状と今後に関する最新の話題について講義し、薬学的観点からの ヒトの健康環境の確保に向けた取組について理解を深める。

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6)薬学における毒性学の新潮流 6:PBL 医薬品・医薬部外品・化粧品・食品添加物・農薬などの化学物質や微生物をも含め た生体異物の安全性問題を事例に、PBL を行い、ハザードとリスク、リスクアセスメ ント、リスクマネージメント、リスクコミュニケーション、リスクリテラシーについ て考え、議論し、薬学における毒性学の役割や必要性について、PBL を通じて理解を 深める。

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(2)衛生・微生物学特別講義

(Advanced Topics in Environmental Science and Microbiology) ・担当教員:那須正夫、山口進康、馬場貴志、一條知昭、川井眞好 ・単位:1 単位 ・開講時期:前期(前半)・水曜日・2時限 ・授業の目的 地球環境の創生・変遷において微生物が果たしてきた役割、さらに今日の微生物を めぐる課題・現状を理解することで、環境や感染症に関する問題を解決するための基 礎知識を習得し、その具体的解決策を考える。 ・講義の内容 地球環境の恒常性は、生態系を構成する多種多様な要素間の巧みな相互作用によっ て維持されている。とくに微生物は生態系の根幹部を担い、生物圏における物質循環や 環境浄化に深く関与することで、上位の生物に大きな影響を与えている。また微生物の もつ多様な機能は、医薬、食品、環境保全等の幅広い分野で積極的に利用されている。そ の一方で、自然環境中には種々の病原微生物が潜み、人類への脅威となっている。本講 義では、人類と微生物の関係を考え、さらに我々が生存する地球環境の現状について具 体例をもとに紹介する。 ・授業計画 1) 地球環境問題とその対策 砂漠化の進行など、世界的に進行している環境問題とその対策について、現地の現 状をふまえて概説する。 2) 世界における感染症の現状 非結核性マイコバクテリウム感染症など、その拡大が懸念されている感染症につい て、疫学的な知見をふまえて概説する。 3) 微生物の機能の利用 極限環境等に生息する微生物の機能の有効利用例や、組換え体の野外利用にともな い発生する社会問題について、概説する。 4) 微生物学の新たな展開 環境微生物学・病原微生物学分野における新たな研究の方向性を概説する。 5) 微生物と環境 環境の改変と感染症の発生の因果関係について総括し、新たな環境疾患を防ぐため の方策を考える。 6) 微生物と社会 微生物学分野における研究の進展と、その成果の社会貢献について学ぶ。 7) 衛生薬学における最新の知見 社会の発展とともに発生している衛生薬学的問題の現状について、概説する。 8) PBL(1)

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講義内容をもとにテーマを決定し、情報を収集・整理する。 9) PBL(2)

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(3)応用環境生物学特別講義(Advanced Topics in Applied Environmental Biology) ・担当教員:平田收正、原田和生、鍋師裕美 ・単位:1 単位 ・開講時期:前期(前半)・水曜日・1時限 ・授業の目的 本科目は、薬学研究科とグローバルコラボレーションセンターが共同で実施する組 織的な大学院教育改革推進プログラム「健康環境リスクマネージメント専門家育成」の 一環として開講する。本科目では、まずヒトの健康に対して直接的、間接的に悪影響 を与える食や環境の汚染、感染症等について、その現状と対策に関する基礎知識、基 礎情報を習得する。さらに、これをもとに、研究科横断型大学院科目の利点を活かし た多様な領域における実践的な問題解決能力の養成や海外情勢の調査活動を通して、 国際的な視野で指導的な立場で『食と環境の安全・安心の確保』及び『感染症の的確 な予防』を主導し、健康被害を未然に防ぐことができる人材、即ち健康環境リスクマ ネージメントの高度専門家の育成を目指す。 ・講義の内容 健康環境リスクマネージメントの高度専門家の育成を目的として、大阪大学が海外 に展開する教育研究拠点や、薬学研究科とグローバルコラボレーションセンターの共 同研究機関との密な連携により、環境薬学教育の高度化、実質化及び国際化を図るプ ログラムを実施する。講義内容としては、課題探究能力及び問題解決能力の養成に有 効な小グループ単位での講義や自己学習、演習に加え、国際的かつ学際的視点に立っ た情報収集・解析能力及びリスクコミュニケーション能力の養成に向けた海外調査研 修及び海外招聘研究員との合同研修等を実施する。 ・授業計画 1) 食の汚染、環境の汚染、感染症の蔓延等の健康環境リスクに関する講義及び自己学習 による現状及びその対策に関する情報の収集及び解析 2) 最新機器及び最新技術を用いた実習による環境リスクの実践的解析手法の修得 3) 小グループ討論(PBL-チュートリアル教育)での健康環境リスクに対する適切な 対応策の立案等による問題解決能力の養成 4) 国内及び海外における調査研究、インターンシップによる実践的情報収集・解析能力 及びリスクコミュニケーション能力の養成 なお、本講義の講義風景・成果を資料1にまとめた。

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(4)情報・計量薬学特別講義

(Advanced Topics in Pharmainformatics and Pharmaceutical Metric Science) ・担当教員:高木達也 ・単位:1 単位 ・開講時期:前期(後半)・水曜日・2時限 ・授業の目的 人体に与える有害事象として、薬害を含めた医療事故と環境問題はその代表的なも のであろう。しかしながら、この両者が「情報」という見地から顧みられたことはそれ ほど多くはない。これらの問題に対して、どのような事項が、なぜ重要で、また、そうし た事項から何を学ぶことができるか。また、EBM、 EBE(Evidence Based

Environmentology) の実践に情報学はどのような役割を果たしうるか。「情報学」から 「薬学」へ、「環境科学」へ、どのようなアプローチが試みられるべきか、考察するため の基礎知識を学び、自ら考察する能力を養成する。 ・講義の内容 過去に国内で発生した薬害・環境問題について、歴史、問題点・反省事項に関し、特に 情報科学との関わりという観点から概説する.また、今後、このような有害事象を防ぐ ために必要な対策として、医薬品情報学、計量薬学からのアプローチについて、とりわ け薬剤疫学、計量科学における手法〜多変量解析、機械学習法、データマイニング法の 詳細について述べる.また、EBM、 EBP が叫ばれて久しいが、これらの実践には医薬 情報学からのアプローチが不可欠であることを強調し、コクラン共同計画や META の 果たす役割について、議論する。 ・授業計画 1) 国内における薬害・環境問題の歴史 過去、国内で発生した大規模な薬害事件について、どのような経緯で多くの被害者が 発生するに至ったか、どのようにして原因が究明されたか、それぞれの事件からどのよ うな教訓が読み取られるべきか、等について概説する。 ・ サリドマイド事件 ・ ボーヴァール事件 ・ イタイイタイ病事件 ・ カネミ油症事件 ・ アスベスト問題 ・ Global Warming 2) 薬害、環境問題の解決に情報学が果たした役割 薬害、環境問題の原因究明には、多くの場合、疫学が大きな役割を果たしてきている。 また、情報の共有が迅速、正確性において完全には到達されていなかったために被害が 拡大した例も尐なくない。ここでは、疫学の歴史と、疫学が果たしてきた歴史的経緯に ついて概説する。

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・ J. Snow とブロードストリート事件・疫学の始まり ・ スモン事件、イタイイタイ病の原因究明と疫学・薬剤疫学と環境疫学 ・ 情報の共有の必要性・筋短縮症事件の教訓 ・ サスカチュワンの保健データベース・大規模な医療情報データベースの必要性 3) 疫学などで用いられる Advance なデータマイニング手法 ・ 相関ルール、ロジスティック回帰 ・ データマイニング手法を用いた疫学研究例 ・ メタアナリシス

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(5)発展途上国における感染症の現状と対策 ・担当教員:平田收正(薬学研究科)、上田晶子(GLOCOL)、 ヴァージル・ホーキンス(GLOCOL)、堀井俊宏(微生物病研究所)、 山崎伸二(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科) ・単位:2単位 ・開講時期:前期・木曜日・2時限 ・授業の目的 発展途上国における感染症の広がりは、人間の安全を脅かす主要な問題として、国 際社会が協働して取り組むべき課題と認識されている。感染症への対策には、感染の メカニズムや治療方法などの医学の知識と同時に、現地の保健・医療サービスのシス テムの現状、公衆衛生の観点からみた現地の社会、国際支援の方針などの理解も必要 不可欠である。本科目は、『人間の安全保障と開発』の副プログラムの一部として、途 上国における感染症の問題について、医学・生物学的な理解と、現地の状況を考慮し た対策を考える上で役立つ視点を獲得することを目的とする。 本科目は、保健・医療分野での国際協力に関心を持つ学生(文系・理系を問わず) を主な対象として、途上国の主要な感染症(HIV/AIDS、マラリア、結核、消化器系感 染症など)の現状と対策についての基礎知識を習得する。 ・講義の内容 1) 総論 途上国と感染症問題 2) 現状 主な感染症(マラリア、デング熱、HIV/AIDS、結核、消化器系感染症)ごとに、下 記について実例をあげながら概説する。 3) 感染のメカニズム、病気の症状、予防法、治療法 感染と社会(感染ルート、感染による社会的影響)について、実例をあげながら概説 する。 4) 対策 ・マクロな対策:MDGs、国際援助の傾向(ワクチン、薬、プロジェクト) ・メゾな対策:国内の医療制度(施設、機材、薬、アクセス、人材、スキル、サービ ス提供)、 衛生環境 ・ミクロな対策:コミュニティ・文化、個人レベルの問題(感染症の予防や治療に関 する人々の意識)、草の根の事業(NGOs、住民組織)、保健教育(啓蒙活動) ・授業計画 1) 授業のオリエンテーション 2) 総論 ・途上国と感染症(そもそも医療とは? なんで感染症なのか?貧困―感染症、衛生環境

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―感染症、「人間の安全保障」関連など 3) 病原微生物の性状、感染と発症(感染症についての医学的説明・定義・類型) 4) 現状1:ベクター媒介性(マラリア・デング熱) ・医学的説明:感染のメカニズム、症状、予防法、治療法 ・感染と社会:感染ルート、感染による社会的影響 5) 特別講義1 ワクチンやくすりの援助、ワクチンの開発(特にマラリアワクチン) 6) 現状2:水系・食系(大腸菌、赤痢、サルモネラ、コレラ、ロタウイルス、肝炎ウイ ルスなど) ・医学的説明:感染のメカニズム、症状、予防法、治療法 ・感染と社会:感染ルート、感染による社会的影響 7) 特別講義2 ・発展途上国における新興・再興感染症の現状 8) 現状3:呼吸器系(結核など) ・医学的説明:感染のメカニズム、症状、予防法、治療法 ・感染と社会:感染ルート、感染による社会的影響 9) 現状4:皮膚、体液(HIV/AIDS など) ・医学的説明:感染のメカニズム、症状、予防法、治療法 ・感染と社会:感染ルート、感染による社会的影響 10) 対策1:マクロ(国際援助の理論編、国際援助の傾向:MDGs、実績) 11) 対策2:メゾ(国内の医療制度) 12) 対策3:メゾ(衛生環境:上下水道、ごみ処理、蚊対策) 13) 対策4:ミクロ(コミュニティレベルの問題、啓蒙活動、死生観) 14) 対策5:ミクロ(ミクロ(草の根の実践、NGO、住民組織) 15) まとめ

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2-2.海外交流プログラム 上記の科目を履修する大学院生及び薬学6年制学科高学年次生を対象とする海外調査研修(インタ ーンシップ)及び海外招聘研究員との合同研修からなる海外交流プログラムを実施した。海外研修プ ログラムにおいては応用環境生物学特別講義を履修している博士前期課程1年の大学院生を中心に、 GLOCOL推薦による学部生あるいは昨年度海外研修プログラムに参加する機会のなかった博士 前期課程2年の大学院生にも門戸を広げて募集を行い、運営委員会での選考により参加者を決定した。 学生の海外派遣にあたり、本運営委員会で作成した安全管理マニュアル(資料2)を参加者に配布し、 事前学習会において、安全管理についての説明を行うとともに、誓約書(資料3)および研修届(資 料4)の提出を義務付けた。また、参加者が複数の研究科にわたるため、各研究科に研修届および緊 急連絡網を提出し、各研究科との連携を図った。 海外研究者および学生の招聘プログラムは、海外研修プログラムでの現地協力者を中心とした若手 研究者および大学院生をタイ・中国・ベトナムの各国数名ずつ日本に招聘し、国際シンポジウム・学 生フォーラム・薬学研究科環境系の基礎実習への参加・学内外の研究所の見学・大阪大学学生との交 流などを含めた研修プログラムを実施した。 海外研修プログラムの成果は下記の通りである。また、研修参加学生の報告書を資料5にまとめた。 (1)タイにおける海外研修プログラムの実施 1) 訪問者 同行教員:  平田收正(薬学研究科)  宮本和久(グローバルコラボレーションセンター)  鍋師 裕美(薬学研究科) 参加学生:(うち応用環境生物学特別講義履修者 4 名)  大野愛子(薬学研究科 M1)  金田洋和(薬学研究科 M1)  十田麻衣(人間科学研究科 M1)  藤田晴子(医学系研究科保健学専攻 M1)  住江訓明(薬学研究科 M2)  絹巻恵子(医学系研究科医科学専攻 M1)  中島綾介(外国語学部 B4) 2) 訪問期間  平成22年9月19日(日)~9月25日(土) 3) 主な訪問先  マヒドン大学薬学部  マヒドン大学・公衆衛生学部

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 マヒドン大学・附属病院

 大阪大学・バンコク教育研究センター  大阪大学・タイ感染症共同研究センター  Wat Prabat Nampu

 Pharmaceutical Research and Manufacturers Association (PReMA) 4) 訪問目的 タイ王国ではHIVが深刻な問題となっている。そこで、タイで感染症研究を行われている施設など を訪問し、現在行われている国レベルやコミュニティレベルでのHIV対策、HIVの治療方針などのタイ でのHIV対策・治療の現状を調査する。また、伝統的な医療を行っている寺院や、最新の医療設備が 整っている大学病院を見学・調査することで、タイにおける医療の状況や医療現場でのHIVに対する 意識を調査し、タイでのHIVの取り組みを日本の取り組みと比較調査することを目的としている。本 研修の特色のひとつとして、研究に携わる大学院生のバックグラウンドの多様性が挙げられる。 HIV/AIDSの現状と対策および意識調査というテーマについて、薬学的視点・公衆衛生的視点・社会科 学的視点の多角的視点から調査を行い、結果をこれら視点から分析する。この研究では、現地の方々 に感染症に関わる意識を調査することが可能であり、感染症発生数、死亡数などといった数値だけで なく、現在のタイに暮らす人々の感染症、特にHIV/AIDSに対する意識といった数値化することの出来 ない「感染症の現状」について把握する。 5) 研修スケジュール 日程 午前 午後 9 月 19 日 日 9:30 関西空港国際線出発ロビー集合 11:45 関西空港発(TG623) 15:35 バンコク着 9 月 20 日 月 9:00-9:50 大阪大学バンコク教育研究センター 訪問 10:00-16:30

Japan Foundation Bangkok Center で Glocol Bangkok Office Seminar Series 2010 参加 (テーマ:感染症予防と実践)

引き続き Glocol Bangkok Office Seminar Series 2010

参加

9 月 21 日 火

10:00-18:00 サラブリーの Wat Prabat Nampu で研修

(タイ伝統生薬によるエイズ患者、麻薬中毒 患者の治療に関する調査)

引き続き Wat Prabat Nampu での研修

9 月 22 日 水

10:00-15:00 Research Collaboration Center Emerging

and Re-emerging Infections(RCC-ERI)での 研修 (研究所見学・エイズ治療の最前線に関する 講演・感染症対策に関する討論など)

引き続き Research Collaboration Center Emerging

and Re-emerging Infections(RCC-ERI)での 研修

15:00-17:00 Pharmaceutical Research and

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Manufacturers Association (PReMA )訪問 9 月 23 日 木 10:00-13:00 マヒドン大学での研修 (薬学部・附属病院・薬局・医療系学部の見 学など) 14:00-18:00 学生同士のディスカッション 9 月 24 日 金 10:30-19:00 バンコクの施設見学 引き続き バンコクの施設見学 9 月 25 日 土 7:00 関西空港到着 8:00 解散 6) 研修の概要及び成果 タイ研修では、HIV/AIDSを中心に、タイにおける感染症の状況や感染症に対する取り組みなどにつ いて調査し、現地学生との討論を行った。 GLOCOLバンコクセミナーでは、3人の研究者と1人のNGOメンバーの発表を聞いた。Dr. Anupong Chitwarakonには、タイにおける感染症および非感染性疾患の罹患率の変化や、HIV感染防止のための 国策等について発表していただいた。近代化が進んだタイでは、肥満などに起因する生活習慣病など も増加しているとのことであった。1990年代のタイでは、バンコクやチェンマイなどの都会で働くSex WorkerにHIV感染者が多いことが重大な問題であったが、国策によりコンドームの使用を推進したこ とによって感染者数が激減したということであった。タイでは学校での性教育も盛んに行われている とのことであった。武田直和先生には、パンデミックインフルエンザについての発表をしていただい た。新型インフルエンザの発生機構や感染ルート、遺伝子型などについてわかりやすく解説していた だいた。Dr. Prasert Thingcharoenからは、タイのHIV事情についてお話しいただいた。ホモセクシ ャル、バイセクシャルの人に感染者が多かったが、ヘテロセクシャルの人にまで、感染が拡大してい ることや、母子感染、薬物の回し打ちなどによる血液感染なども増えているとのことだった。また、 低収入者では、治療にアクセスできない人も多いとのことだった。タイにおけるHIV治療は、マヒド ン大学医学部やタイNIHが中心となって行われているとのことだった。本セミナーの最後には、Sex workerのHIV感染予防の啓蒙活動を行っているNGOグループSWINGのメンバーによる活動の報告があっ た。タイには多くの売春宿が存在し、そこで働く人々のHIV感染が問題となっている。SWINGでは、Sex Workerのコミュニティに入って、コンドームの普及活動や心理的なケアなどを行っているとのことだ った。啓蒙活動としてグッズなどの販売や各地で啓蒙イベントなども行っており、警察とも連携して HIV感染防止の活動を行っているとのことであった。

寺院の中に、HIV/AIDS患者のためのホスピスを設置しているWat Prabat Nampuでは、施設を見学す るとともに、働くボランティアの方からその設立の目的や活動、治療内容などについてお話を伺った。 ここには、130人の患者が暮らしており、比較的軽度の方は個室で、重症の方は感染症防止のための 管理がされた棟で生活されていた。基本的には治療行為を行っておらず、投薬等は外の病院に行くと いうような形で行われているとのことであった。治療目的というより、生活の安定およびメンタルケ アの要素が大きいとのことだった。このお寺では、啓蒙活動の一環として、この施設内で亡くなった 方のご遺体を展示していた。これは、AIDSにならなようにするため、危険なことをしないようにとい

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う教訓的な意味を込めているとのことだった。以前は、職業や死因などの掲示を行っていたが、人権 上の問題から現在は掲示を行っていない。他にも、ご遺体から摘出された臓器などもホルマリン漬け の状態で展示してあった。施設内には、亡くなった方のための火葬場や遺骨を納めるお堂などがあっ た。お寺であるので仏教ゆかりものがたくさんあり、それらが精神の安静につながっているのだと思 われた。基本的に、こちらの運営はすべてお布施でなされており、働いている人はお坊さんやボラン ティアの人であるとのことだった。日本では、このように身近にHIV/AIDSを感じることはないため、 貴重な体験であった。 RCC-ERIには、マヒドン大学の学生も一緒に訪問し、浜田室長から研究所の概要を説明いただき、 亀岡先生からHIVに関する講義を受けた。さらに、研究室の見学もさせていただいた。RCC-ERIは、大 阪大学とタイが協力して設立した感染症研究の研究施設であり、およそ200人が働かれているとのこ とだった。ウイルスやバクテリアによる感染症の研究、あるいは感染症ワクチンの開発研究などを行 っている研究所であり、P2、P3の実験施設を備えているとのことであった。実際に実験室を見学した 際にも、日本と匹敵する最新の設備が備えてある研究室であった。また、HIVの講義では、①抗ウイ ルス薬のターゲット箇所②ワクチン研究の現状③Subtypeの豊富さ④耐性菌出現率の高さに関する講 義を受け、HIV治療薬、ワクチン開発の現状と展望についてお話を伺った。ここでは、日本人の先生 の発表ということもあり、学生からも積極的な質問があった。これらの講義後、日本人学生とマヒド ン大学の学生を混合して2グループに分け、日本とタイでのHIV/AIDSに対する取り組みの違いについ て、お互いの国の現状を紹介し、どのような取り組みがよいのかについて議論した。 PReMAでは、タイの医療制度や薬の流通についてのお話を伺った。タイでは、公立病院での基本的 な治療は無料で受けられるという医療制度が施行されているが、より効果の高い薬、高度な治療にア クセスするには、私立病院に行く必要があり、それなりのお金が必要であるということであった。流 通する薬の金額や分類などについて、数字を交えてお話をしていただいた。 マヒドン大学附属病院では、HIV/AIDS治療に関する講義を受けた後、HIVウイルスの遺伝子多型を 検査する検査室を訪問し、遺伝子型によって使用する薬を変えるといったテーラーメード医療が行わ れているということを聞いた。しかし、無料で使用できる薬は決められており、治療費が支払えない 人については、検査によってその薬が効かないことが判明しても、効果のある薬を使えないというジ レンマがあるとのことだった。 これらの一連の調査を踏まえ、再度マヒドン大学にて、学生同士のディスカッションを行った。コ ミュニケーションは英語で行われ、自分の意見を伝えようとする積極的な姿勢が見られた。また、タ イのHIV/AIDS事情を知ったとともに、日本での取り組みについてあまり知らないことに気づき、国内 のことについてもっと知る必要があることを感じた学生が多かったようである。他の国の研修と比較 すると、フィールドに出ることは尐なく、講義中心の研修となったが、研究レベルの話から治療の実 際までを知ることができた、有意義な研修となったと思われる。さらに、学生同士のディスカッショ ンの機会が多くあり、研修内容のみならず他の点においても交流を深められた研修になったものと考 えている。 (2)中国における海外研修プログラムの実施 1) 訪問者 同行教員:

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 思 沁夫(グローバルコラボレーションセンター)  三田 貴(グローバルコラボレーションセンター)  鍋師 裕美(薬学研究科) 参加学生:(うち応用環境生物学特別講義履修者3名)  塩崎由梨(医学系研究科・保健学専攻 M1)  手島麻実子(人間科学研究科 M1)  岸本紗也加(人間科学研究科 M1)  張岩(人間科学研究科 M2) 2) 訪問期間  平成22年8月7日(土)~8月15日(日) 3) 主な訪問先  蓬莱鑫园保鮮食品有限公司  莱陽龍大集団  青島市撫順路蔬菜副食品批友市場  海泰集団青島市蔬菜科技示苑園  神湯淘村漁業合作社養殖示苑基地  青岛国际啤酒节  一般家庭 4) 訪問目的 近年、食品安全にまつわる事件が多数報道されているように、「食品安全」に関する国民の関心は高 く、これらの領域に精通した専門家の育成が期待されている。特に、中国からの輸入冷凍食品は全輸 入冷凍食品の6割を超えるとされるように、我が国の食の安全と中国における安全管理は、非常に密 接に関係している。そこで中国研修では、主に中国での農産物・水産物の生産・管理の状況を調査し、 我が国と中国との相違点や問題点を抽出するとともに、これから両国がどのように連携して食の安全 に取り組むべきかを考察することを目的とする。 5) 研修スケジュール 日程 午前 午後 8 月 7 日 土 13:30 関西空港国際線出発ロビー集合 16:10 関西空港発 17:20 煙台空港着(MU278) 20:00 煙台市市街地屋台調査

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8 月 8 日 日 9:30-12:30 煙台市郊外調査 16:00-17:00 蓬莱鑫园保鮮食品有限公司(リンゴ農園)調 査 8 月 9 日 月 9:00-11:00 莱陽龍大集団(食品加工会社)調査 13:00-18:00 煙台から青島へ移動 8 月 10 日 火 8:30-12:00 青島市撫順路蔬菜副食品批友市場調査 13:00-22:00 ふりかえり 8 月 11 日 水 10:00-12:00 海泰集団青島市蔬菜科技示苑園調査 12:00-16:00 一般農家調査 17:00-18:00 ふりかえり 8 月 12 日 木 9:30-11:30 神湯淘村漁業合作社養殖示苑基地調査 15:00-17:00 大学職員への聞き取り調査 20:00 発表会打合せ 8 月 13 日 金 9:00-12:00 発表会準備 14:00-18:00 調査報告ワークショップ 8 月 14 日 土 10:00-15:00 青島市内調査 16:00-19:00 青岛国际啤酒节調査 8 月 15 日 日 9:15 宿舎発 12:15 青島空港発 15:45 関西空港着(MU525) 6) 研修の概要及び成果 今回の中国研修のテーマを“グローバル化の時代における食品の安全・安心を取り巻く現状”~食 の生産・流通・消費に関する質的・量的調査と分析~と決定し、生産・加工・流通・消費の各段階に おける食品安全について調査を行った。 蓬莱鑫园保鮮食品有限公司は、ヨーロッパや東南アジアに有機栽培のリンゴを輸出している会社で あり、近隣の農民と契約して会社の敶地内の農園でリンゴの有機栽培をしている。ここでは、まず生 産技術部門の課長である彭永波さんに、会社の設立の話や有機栽培を行うようになった経緯をお話い ただいた。また、学生からの質問にも答えていただいた。その後、リンゴ栽培をしている農園をご案 内いただいた。安全なリンゴの栽培には、日本の専門家にも助言等を受けており、品質管理はヨーロ ッパギャップ(EUROPE GAP;2009年からGLOBAL GAPに名称変更)の基準を満たすような形で行われて いる。この基準でリンゴを栽培するにあたって、管理者はヨーロッパギャップの試験を受ける必要が あり、彭さんもニュージーランドで一定期間研修し、認定試験を受けたとのことだった。現在は、こ の基準で中国国内はもとより、東南アジア、ヨーロッパなどにも輸出を行っている。輸出は1995年ご ろから中東・東南アジア・ヨーロッパを対象国としてスタートしている。2005年までは80%が輸出で あったが、徐々にその比率は低下してきており、2009年では輸出割合は40%である。逆にいえば、中 国国内での消費が急増しているとのことだった。

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山東永益集団有限公司は、莱陽永昌食品有限会社、莱陽永成食品有限会社、煙台永昌食品有限会社、 莱陽永安食品有限会社、莱陽永昌包材製造有限会社、煙台広源検査有限会社からなる企業グループで、主 に日本・ヨーロッパを対象とした輸出専門の野菜・果物冷凍加工を行っており、年間の輸出売り上げは1500 万ドルとのことだった。原材料は自社の農園ですべて調達しており、中国全体で2000ムの農園で、技術者 の指導のもと、農民と連携して高品質の野菜・果物を栽培している。グループの中に輸出品の検査をする 会社や包装容器を作る会社を作ることで、包装容器からの異物や化学物質の混入を回避し、安全基準に引 っかからない製品を生産し、烟台港から世界各国に輸出している。日本のシステムである5S管理を導入し、 整理・整頓・清掃・清潔・しつけという5つの項目を徹底している。主な輸出先は日本とヨーロッパで、 全体として約50%を日本へ輸出(冷凍野菜は90%が日本へ、果物は90%がヨーロッパへ輸出される)。大 半が冷凍野菜など、味付けなどの加工をせずに販売されており、加工食品としての輸出はごくわずかとい うことであった。日本向けに輸出していることもあり、非常に安全管理や衛生管理に対する意識が高 いことを感じた。ここでは、日本でもなかなか間近で見ることができないような、野菜の加工現場に 入らせていただき、作業されているところを見学することができた。ほとんどの作業を手作業でやっ ていることに驚いたが、このような場で働く人々が日本の食生活を支えていることを強く感じた。ま た、日本は安全基準が高いだけでなく、色や形、長さ等に対しても基準が厳しく、例えば長さが揃っ ていないといけないなどというようなこだわりはヨーロッパ等には見られないという話であった。 青島市で最大の市場である青島市撫順路蔬菜副食品批発市場での調査は2組に分かれて行った。こ の市場は、一般の消費者から仲介業者、レストラン経営者など、幅広い人が利用する市場で、食品か ら調理器具、包装容器など品ぞろえも幅広い。野菜を扱うエリアは1階部分にあり、床は土だった。 ここでは、台の上に商品が並んでいるような整然とした形ではなく、かご等に野菜が雑多においてあ り、傷んだ野菜やいらない葉などは周辺に捨ててあったりと、非常に雑然としていた。また、ハエ等 が多い上、犬がうろうろしており、食品を取り扱う場所として、非常に不衛生であった。精肉売り場 は、地下にあり、空調のないところで肉の解体と販売を同じ所で行っていた。気温も高かったことも あり、高温多湿なサウナのような状況の中、清潔とは言い難い調理台の上で、肉が解体・成形されて いた。血のにおい等も入り混じって何ともいい難い悪臭が漂っていた。床には、解体した際の血や内 臓の一部等が落ちており、脂のせいかぬるぬるとしていた。精肉売り場は早朝3:30ごろから12:00 頃まで営業しているとのことだった。次に訪れた魚売り場にも冷蔵設備等はほとんど見られず、常温 で魚を陳列しているお店が多かった。この市場で取引されている魚の価格は仕入れ先が決定しており、 1日の中での変動もあるとのことであった。日本ほど、魚の見栄えは気にしないとのことで(姿焼の ような調理法をとる以外は)、皮が部分的にめくれているような魚も多数みられた。一部の店舗では、 魚や貝の入れてある水の入った容器に酸素を送り込んで、新鮮さを保つ工夫をしているところもあっ た。最後に立ち寄った果物店は、朝の6:00ごろから夜の8:00ごろまで商売をやっているとのことで、 主に山東省の果物を取り扱っているとのことだった。日本と比較してかなり安価に果物を購入できる。 ここで販売されている果物の農薬管理等の話は聞くことができなかった。この果物店は10月くらいま では青果を販売しているが、冬になれば木の実などの販売に変わるとのことであった。 日本で言うところの農業試験場のような施設である青島市蔬菜科技示苑園を訪問し、農園の見学を するとともに、管理部主任の方に施設の概要、生産・流通システム、食品安全に対する取り組みなど についてお話を伺った。このモデル地区は、1996年に政府によって設立された。野菜・果物の普及の ための実験栽培を行うのが一番の目的であり、ここで研究された植物の栽培技術やノウハウを農民に 普及していくことを使命としている。現在、1000畝(ム)以上の敶地を持ち、社員数は約130人。技 術とノウハウを契約農家に伝え、農家によって栽培された野菜は、すべてこの青島市蔬菜科技示苑園

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