• 検索結果がありません。

RCC-ERI マヒドン大学

ドキュメント内 質の高い大学教育推進プログラム (ページ 150-172)

研修期間 2010年9月19日 ~ 2010年 9月25日 ( 7日間)

研修内容 及び その他活動内容

9月20日(月):Glocol Bangkok Office Seminar Series 2010参加

大阪大学バンコク教育研究センターを訪問後、Japan Foundation Bangkok Center にてGlocol Bangkok Office Seminar Series 2010に参加。Dr. Prasert ThingcharoenのタイにおけるHIVの歴史と現状に関する講演、武田直和RCC-E RI特任教授による「パンデミック・インフルエンザ」の講演、そして現地のNGOであ る「SWING」によるセックスワーカーに対する民間レベルでの取り組みに関する講 演を聴いた。この研修シリーズの初日でタイにおけるHIVやその他感染症に関す る知識の再確認とその現実を目の当たりにすることができ、非常に有益な時間で あった。

9月21日(火):Wat Prabat Nampul 訪問

Wat Prabat Nampuに赴き、職員の方の説明を受けながら、寺院敷地内の様々な施

設を見学した。この寺院には、性交渉、薬物の注射器の使いまわし、母子感染な

ど様々な理由でHIVに感染し、AIDSを発症した患者が生活している。人数は約13

0名である。待機患者は約1万人と言われている。家賃や食費、水道代はかからな

い。この寺院に医師はおらず、専門看護師、看護師助手、比較的状態が安定して

いる患者、ボランティア達約50名で患者たちをケアしている。要するにこの寺院は

AIDS治療を行う場ではなく、改善を目指す場であり、AIDSにより仕事を失った患

者、一人では生活しづらい患者が入所する場である。症状がまだ出ていない感染

者や症状が軽い患者には、自宅で改善できるよう助言を行い、末期の患者をでき

るだけ多く受け入れられるようにしている。寺院という宗教に深く結びついた場では

9月22日(水):RCC-ERI 訪問

日本感染症共同研究センター(RCC-ERI)でHIVを含むウイルスや細菌による新 興・再興感染症における最新の研究施設を見学した。また、専門家のHIVに関して

①抗ウイルス薬のターゲット箇所②ワクチン研究の現状③Subtypeの豊富さ④耐 性菌出現率の高さに関する講義を受け、HIV治療薬、ワクチン開発の現状と展望を 学んだ。

9月23日(木):マヒドン大学付属病院見学、グループディスカッション

【病院見学】

マヒドン大学の病院、薬局を見学し、タイでの医療の実際、日本との違いについ て調査した。マヒドン大学付属病院ではMr. Wasun Chantratita,ph,Dによる講義を受 けた。First-line ARV治療(NVP200mg+d4T30mg+3TC150mg)、Second-line ARV治 療、オーダーメイド治療について講義して頂いた。病院見学においては、HIVウイル ス量の測定、耐性ウイルス検出など臨床で用いられている最新の機器類の説明を 受けた。HIV患者は定期的に血液検査を行い、耐性ウイルスが検出されるとそれを もとに用いるARVを変え、治療効率を高める取り組みがなされていた。日本のHIV 検査技術と同等かそれ以上であるような印象を受けた。

【グループA】

・検査方法と検査にかかる費用について

→検査方法は日本と同じく抗体検査が主で、NATはまだほとんど普及していない。

費用に関しても日本の状況とほとんど変わらず、公立病院であれば無料。

・学校教育のどの段階でHIV/AIDSについて学習するか

→タイでも小学校高学年や中学校段階にかけて基礎知識のみを習う。大学で薬学 部や医学部の学生は感染症に関する専門の授業を履修し、細かく時間をかけて 勉強するという点は日本と大きく異なる点。

・HIV/AIDS感染者に対する偏見は強いか、またどのように思っているか

→タイではテレビ番組・CMやウォークラリー・スポーツイベントなどの啓蒙活動がさ かんなため偏見は強くない。またそれらの取り組みのおかげで不治の病である、

感染者と接触しただけで感染してしまうなどどの誤った知識を持っている人はほと んどいない。タイではタクシン政権時の政策によりテレビやアンテナが農村、山間 部にも普及しているため、テレビを通じた啓蒙活動が成功したと思われる。

【グループB】

最終日のディスカッションでは、タイと日本それぞれのAIDS予防のために行って いる政策の長所を確かめ合って、互いの国がこれから先、どのようなAIDS対策を 行っていくべきかについて話し合った。

タイでは、薬物使用者が日本に比べてとても多く、薬物を摂取する際に使用する 注射器の使い回しが原因で、AIDSに感染する人がたくさんいる。このような感染を 防ぐためには、日本のように、警察が薬物摂取者を厳しく取り締まる必要があると いう結論になった。

一方、日本は先進国で唯一、AIDSの患者数が増えている国である。なぜ、日本

では患者数が増えるのか話し合った結果、タイのように国をあげて、AIDSの予防

活動・教育を行っていないからではないかという考えに至った。タイでは学校の教

育課程において必ずAIDSに関する授業があり、また、コンドームの無料配布といっ

た国による政策が行われている。そのため、国民のAIDSに対する関心は高く、予

事をこのディスカッションを通じて学ぶ事ができた。

海外研修エッセ

(この研修で学 んだこと、感じた こと等を自由に 記入してくださ い。写真などを 盛り込んでも構 いません)

今回の研修は私にとって、とても有意義で充実したものになりました。以下がその 主な理由になります。

①AIDS問題に関わる様々な職業の方々にタイのAIDS対策について話を伺えた。

②多方面の研究科の学生が参加したので、異なった意見を交わす事ができた。

③マヒドン大学の学生と行動する事で、AIDS問題に対する考え方の違いを知れ た。

私はこのトリップに参加するまでAIDSに関して、薬の事しか勉強をした事がなく、

また、関心をもった事がほとんどありませんでした。それは、AIDSが日本では流行 している病気とは言えず、自分自身にとって身近な病気ではなかったからです。あ る時、医療分野における国際協力について調べてみました。すると、AIDS は3大 感染症(AIDS、結核、マラリア)の一つであり、発展途上国の人々の大きな死因と なっている事がわかりました。この問題を解決するために、AIDS感染者の多い各 国が国家レベル、草の根レベルで予防、治療対策が行っている事を知りました。こ れら活動がどのように行われておりどれだけの効果が得られているのかを知りた いと思い、AIDS対策の研修であるタイトリップに参加させて頂きました。

この研修では数多くの施設に訪れ、セミナーに参加させて頂く事ができました。

研究面においては日本・タイ新興・再興感染症共同研究センターのスタッフの方、

草の根対策においてはSWINGと呼ばれる現地NGOの方やエイズホスピスのスタッ フの方、治療面ではマヒドン大学付属病院の医師からお話を聞かせて頂けました。

タイの研究センターでは、新しい機序を持った薬の研究や、エイズワクチンの開 発といった今までにないAIDS治療薬の開発が行われていました。セックスワーカー に対してAIDS予防対策を行っているNGOのSWINGの活動は、セックスワーカーに 対するコンドームの無料配布、使用方法の指導、予防のための啓蒙運動、組織的 な情報伝達、教育など、徹底的に現地に密着したものでした。ホスピスでは無料で AIDS末期患者さんの受け入れを行っていました。また、AIDS治療は国民保険によ り無料となっており、患者さんの国籍や薬剤耐性に合わせた薬の処方が行われて いました。日本では見られない活動がタイで行われている事を、様々な施設に訪問 して知る事が出来ました。

これらエイズの研究、治療、対策面において、日本よりも優れていると感じる部

分が数多くありました。AIDS患者を減尐させる事に成功しているタイの政策を日本

にも取り入れる事が、AIDS患者が増えている日本にとって必要な事だと感じまし

た。また、私が知りたいと思っていたAIDSの対策活動の内容を、本などの媒体で

はなく、現地で実際に対策に取り組んでおられる方々に聞かせて頂く良い機会とな

りました。

今回の研修には、薬学、医学、人間科学、外国語学研究科など様々なバックグ ラウンドを持った学生が参加しました。多方面の研究科の人たちと研修を行ってい く中で、改めて専門知識の重要性を感じました。

タイの病院で医師に、タイで広く用いられているAIDS治療薬の種類やAIDS治療 薬の耐性の検査方法について教えて頂きました。それらは薬学や医学の知識を持 っていなければ、なかなか理解できない事だったので、薬学や医学研究科の学生 たちが人間科学や外国語研究科の学生に、医師の話の内容を伝えるよう心がけ て、知識の共有を行いました。逆に、人間科学、外国語学研究科の学生は、英語 でコミュニケーションをとる事ができたので、タイの学生とディスカッションする際、

お互いを理解するためのかけ橋となってくれました。このように各自が専門を持ち あって協力する事で、研修に対する理解を深める事が出来ました。

タイの学生と互いの国のAIDS問題の実情や対策について話し合い、これからど

のように問題に取り組んでいくべきか、ディスカッションしました。私は元々、医療の

技術面において、日本の方がタイよりも進んでいるので、タイから学ぶ事はほとん

どないと考えていました。しかし、Glocol Seminar の先生方やタイの学生の話

から、90年代後半からAIDSの患者数が激減している事を知りました。そこで、ディ

スカッションの際、タイの学生に何故、AIDS患者さんの数が大きく減ったのか尋ね

ました。それは、SWINGなどのNGOが行っている活動や、政府によるTVコマーシャ

ルやチラシによる啓蒙活動によるものでした。タイでは日本と違い急激にHIV感染

者が増えたからこその対策だと思いました。国ごとでAIDSに対する考え方、考え方

からくる対策に違いがある事を知り、物事を色んな角度から見る事の大切さを、タ

ドキュメント内 質の高い大学教育推進プログラム (ページ 150-172)

関連したドキュメント