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2010年9月24日

ドキュメント内 質の高い大学教育推進プログラム (ページ 176-180)

マヒドン大学の病院、薬局などを訪問・見学し、タイでの医療の実際、日 本との違いなどについて調査した。

マヒドン大学付属病院ではMr. Wasun Chantratita,ph,Dによる講義を受け た。病原体と宿主の相互作用およびAIDS治療にかかる医療費に関連して、

First-line ARV治療(NVP200mg+d4T30mg+3TC150mg)から耐性ウイルスの出現 でSecond-line ARV治療に移行することによる、2~9倍の医療費増加から もFirst-line ARV治療の重要性を述べていた。またSNPをマーカーで検出す ることによりオーダーメイド治療の導入を進めている研究の紹介および HIV患者を治療することで患者のQOLの改善および余命が延長した例の説明 を受けた。自己紹介と簡単な質疑応答の後、病院内におけるCOBAS TaqMan を用いた血中のHIV量の測定、TRUGENE HIV-1を用いた耐性ウイルス検出な ど実際に臨床で用いられている最新の機器類の見学と説明を受けた。High throughput, automated DNA sequencerを使用するなど用いられている技術 の高さを知ることができた。HIV患者は定期的に血液検査を行い、耐性ウイ ルスが検出されるとそれをもとに用いるARVを変え、治療効率を高める取り 組みがなされていた。日本のHIV検査技術と同等かそれ以上であるような印 象を受けた。

その後マヒドン大学薬学部の学生と討論した。

以下討論内容である。

最終日のディスカッションでは、タイと日本それぞれのAIDS予防のため に行っている政策の長所を確かめ合って、互いの国がこれから先、どのよ うなAIDS対策を行っていくべきかについて話し合った。

タイでは、薬物使用者が日本に比べてとても多く、薬物を摂取する際に 使用する注射器の使い回しが原因で、AIDSに感染する人が多くいる。この ような感染を防ぐためには、日本のように、警察が薬物摂取者を厳しく取 り締まる必要があるという結論になった。

一方、日本は先進国の中で唯一、AIDSの患者数が増えている国である。

なぜ、日本では患者数が増えるのか話し合った結果、タイのように国をあ

げて、AIDSの予防活動・教育を行っていないからではないかという考えに

至った。日本では、小中高においてAIDSに関する教育を行っている学校と

そうでない学校があり、また、予防活動も行われてはいるものの、活動の

情報がほとんど入ってこないのが現状である。一方、タイでは学校の教育

増えている日本においても同様に行う事が、新規のAIDS患者を増やさない 手段になるという結論に至った。

このように、互いの国の良い所を見習い、自国に活かす事が大切である という事をこのディスカッションを通じて学ぶ事ができた。

ディスカッションの後マヒドン大学内にある薬局を見学した。調剤薬局で 薬剤師がおり一般医薬品の他にOTC医薬品の販売も行なっていた。

海外研修エッセイ

(この研修で学んだ こと、感じたこと等 を自由に記入してく ださい。写真などを 盛り込んでも構いま せん)

今回、タイにおけるHIV/AIDS対策、タイの医療の実際を学び調査することを目 的として海外研修を行った。

タイは日本とは違い、国を挙げてコンドームの使用を大きく取り上げ推奨し、HIV 感染防止運動を行っていることが判明した。日本では未だにTVコマーシャルな どでコンドームを取り上げたり、コンビニエンスストアのレジ横や大学構内の薬局 でコンドームを販売するといったようなことはタブーであり、コンドームの使用法 などは高校生になる頃にやっと学校で学ぶ。しかしタイの大学生は幼少期から TVコマーシャルでコンドームについて知っていたという。

左;タイにおけるコンドーム 使用推進を推し進めた人 物のポスター

HIV感染予防においてコンドームの使用は非常に重要であるが、それぞれの 国、地域には習慣やタブー、宗教が存在し、全ての地域において同じ啓蒙活動 が有効であるとは限らない。その地域に暮らす人々がずっと行ってきた生活に 沿ったもの、地域住民が納得した上で実施できるもの、それらを考慮して行うこ とが必要である。そのためには、机上の調査だけでなく、実際にその土地に赴 き、その地域の人々と話をしてみることが大切である。

タイでは仏教が非常に浸透しており、僧侶はいろいろな知識を人々に授ける教

師的な役割をも果たしている。AIDS患者の生活の場となっている寺院の見学も

行ったが、遺体展示や遺骨が目に見える場所に保管されているなど、「タイにお

ける仏教」があってこそ成り立つと考えられる部分も多く見受けられた。寄付をつ

のり患者の生活を支えるという施設が成立するためには、タイのように普段から

の熱心な信仰心が必要であり、日本のように普段宗教を心の拠り所としている

人間が少ない地域ではこれだけの施設を経営できるほどの資金は集められな

いであろう。

左;遺骨展示、白い袋の中に遺骨が 入っている

国際化が進む現在、国と国の交流は多くなっていく一方である。医療の場にお いても、保健の場においても、相手の国・地域がどういった国であるのか、何を 信じているのかを理解した上で、比較、検討し、自国でも有効な保健活動は何で あるのかを考えていくべきであると学んだ。

アンケート

本グラムに参加して、特に良かった点は何ですか。

海外に実際に赴き、日本にはないような施設を見学できたこと。

同世代の他国の学生と討論できたこと。

他学部の学生の考え方に触れることができたこと。

研修中に何か困ったことがありましたか。

特にありませんでした。

訪問国の治安などはどうでしたか。また、留意すべきと思う点がありますか。

タイは、外は暑いが室内は冷房によりかなり寒い点。

本プログラムに参加して、「健康環境」とはどういうことだと考えましたか。

健康環境とは、その環境に暮らす生物が、他の生物や物質と共存し、害があるものに対し、それ らを排除するのではなく、害を被らないように自ら行動を起こすことができる環境、また行動を起 こせるよう、教育が行き届いている環境であると考えられる。その環境内に有害であるとされるも のがどれだけあるか、ないか、という点よりも、どれだけ回避できているか、回避できる環境であ るかが「健康な環境かどうか」の指標となるのではないだろうか。

本プログラムに対する意見・要望などがあれば記述してください。

ドキュメント内 質の高い大学教育推進プログラム (ページ 176-180)

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