64 (16) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
カナメ ヒデ ミ要英美(昭和41
博士(医学) 甲第247号平成6年3月18日
学位規則第4条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程修了者)
モルモット内耳ラセン靱帯および膜半規管の支持構造一蓋疫組織化学ならび
に電子顕微鏡的検討一 (主査)教授 石井 哲夫 (副査)教授 相川 英三,小林 愼雄藩 文 内 容 の 要 旨
目的 内耳膜迷路の形態学的研究は,感覚細胞,暗細胞, 血管条が中心であり内耳膜迷路の支持構造についての 研究は少ない.本研究では蝸牛ラセン靱帯と前庭にお ける膜半規管上皮下結合織について電子顕微鏡ならび に免疫組織化学的手法を用い検討した. 対象および方法 正常ハートレー系白色モルモットを腹腔麻酔,撃発 固定後に側頭骨を摘出,電子顕微鏡用(加速電圧80kV, 350kV),免疫組織化学用(光顕,電顕レベル)試料を 作製した.電子顕微鏡用試料は通常の方法でEpok812 に包埋し,通常電子顕微鏡(80kV)は厚さ80nm,中超 高圧電子顕微鏡(350kV)は0.5μmの切片を作製し観 察した.また免疫組織化学的観察として光顕用試料は, ABC法により抗II型コラーゲン抗体(rabbit anti- bovine Type II collagen)を用い染色した.また電顕 用試料は,LR-Whiteに包埋し抗II型コラーゲン抗体, 金コロイドを用い局在を検討した. 結果 ラセン靱帯の線維芽細胞間は接着帯とギャップ結合 により接合していた.中超高圧電子顕微鏡にて線維芽 細胞とコラーゲン線維東間に存在する線維成分が数カ 所認められた.膜半規管上皮下結合織の線維芽細胞は 突起を出し接着帯とギャップ結合により接合しあい網 目構造を形成していた.また,線維芽細胞の突起間の 結合は指状嵌合を呈していた.光顕レベルの免疫組織 化学的検索によりうセン靱帯と膜半規管上皮下’にII型 コラーゲンの存在を認めたが,免疫電顕法によりうセ ン靱帯内のコラーゲン線維束と膜半規管上皮直下の微 細線維はII型コラーゲンからなることを認めた. 考察 蝸牛におけるラセン靱帯と前庭における膜半規管上 皮下結合織の構造は線維芽細胞間の接合様式,コラー ゲンの性質等同様であるが上皮細胞と線維芽細胞の関 係,線維芽細胞とコラーゲンの関係,および細胞突起 の網状嵌合の有無等に差があり,ラセン靱帯は強固に 骨迷路に支持され,膜半規管上皮は適度な伸縮性を有 しながら支持されていると思われる. 結論 ラセン靱帯が血管条上皮を強固に支持していること は,内リンパ液の振動を適確にコルチ器に伝える役割 を担っていることが推測される.また膜半規管上皮が 適度な伸縮性を有し骨迷路に支持されていることは, 種々の頭位の変化に対応する半規管の平衡機能にとっ て合目的的であると推測される.内耳に存在するII型 コラーゲンについては耳疾患の病因解明のため今後も 検討が必要であると思われる. 一670一65