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古本 朗嗣 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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古本 朗嗣 論文内容の要旨

主 論 文

Additive effect of pneumococcal vaccine and influenza vaccine on acute exacerbation in patients with chronic lung disease

(慢性呼吸器疾患患者の急性増悪に対する肺炎球菌ワクチンとインフルエンザ ワクチンの相加的効果)

古本 朗嗣、大日 康史、陳 蒙、川上 健司、真崎 宏則、末安 禎子、

岩永 知秋、相澤 久道、永武 毅、大石 和徳 Vaccine 26(33):4284~9 2008 年

長崎大学大学院医学研究科 新興感染症病態制御学系専攻

(主任指導教員:有吉紅也 教授)

緒言

慢性呼吸器疾患、特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)における急性増悪は死亡率、医療費 の増加に関与している。急性増悪は肺炎球菌やインフルエンザによる感染に伴うこと が多く、慢性呼吸器疾患患者に対して 23 価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン(PV)、

インフルエンザワクチン(IV)の接種が推奨されている。レトロスペクティブな研究で は IV を接種した慢性呼吸器疾患患者における入院率、死亡の減少といった PV の相加 的効果が報告されているが、同患者群における肺炎、急性増悪に対する効果について のプロスペクティブな研究は行われていない。今回、我々は IV を接種した慢性呼吸 器疾患患者における肺炎や急性増悪に対する PV 接種による相加的な効果を評価する ため、オープンラベルの無作為比較試験を行った。

対象と方法

九州・沖縄地方の 13 病院の呼吸器科外来に通院中の病態が安定している慢性呼吸 器疾患患者で研究参加の同意が得られた 191 名が対象。封筒法により PV と IV 接種群

:94 名、IV 単独接種群:97 名に割り付けを行った。脱落例もあり最終的には前者は 87 名、後者は 80 名が分析対象となった。尚、症例登録期間は 2001 年 11 月から 2002 年 4 月まで、各症例は 2 年間を観察期間とし、エンドポイントを肺炎、急性増悪、感 染性急性増悪、死亡とした。PV 接種による効果は、Kaplan-Meier 生存曲線および Cox ハザード比例モデルにより検討した。更に、PV+IV 接種群 35 名の PV 接種前、接種 1 ヶ月、6ヶ月、1年、2年後の4つの血清型(6B、14、19F、23F)の肺炎球菌ポリサッ カライドに対する血清中 IgG 濃度を定量測定した。

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結果

慢性呼吸器疾患の内訳は PV+IV 接種群と IV 単独接種群で、それぞれ COPD24 例と 31 例、陳旧性肺結核 33 例と 17 例、その他 30 例と 32 例であった。観察期間中に感染性 急性増悪が、PV+IV 接種群に 32 症例、IV 単独接種群に 44 症例診断され、Kaplan-Meier 生存曲線解析にて、両群に有意差(p=0.016,log rank test)を認めた。一方、非感染 性急性増悪、肺炎、死亡に関しては両群に差はなかった。更に Cox ハザード比例モデ ル解析を行ったところ、PV 接種後 1 年間の感染性急性増悪に関して PV+IV 接種群の ハザード比は 0.58(95%CI 0.37-0.91,p=0.019)、また年齢・性別を補正した後のハザ ード比は 0.56(95%CI 0.35-0.90,p=0.016)であった。しかし、2 年目の感染性急性増 悪については、両群の間に有意差は認められなかった。更に、慢性呼吸器疾患の中で COPD 症例、陳旧性肺結核、その他の 3 群に分類し同様の検討を行ったところ、COPD 症例においてのみ、感染性急性増悪に関して有意差を認めた。

PV+IV 接種群の肺炎球菌ポリサッカライドに対する血清中 IgG 濃度は 4 つの血清型 とも接種後 1 か月後に有意差を持って上昇を認めたものの、2 年間にわたり抗体上昇 を維持できたものは、血清型 14 のみであった。

考察

本研究によって IV 接種された COPD 患者の感染性急性増悪に対する PV 接種の相加 的な予防効果が PV 接種後 1 年間はあることが判明した。2 年目に予防効果が認められ なかった原因として、PV 接種した患者群のポリサッカライドに対する IgG 濃度の減少 が示唆された。今後、COPD の急性増悪に対する PV の相加的効果についてより大規模 な研究が必要である。

参照

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