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東海 自由貿 易地域 の可能性 につ いて*

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東海 自由貿 易地域 の可能性 につ いて*

船 津 秀 樹

1.は じ め

日本 で は,伝 統 的 に,日 本 の 古 くか らの 中心 で あ る京 都 地 方 か ら見 て,北 の 海 を,北 海,南 の 海 を南 海,西 の海 を西 海,東 の 海 を東 海 と呼 ん で 来 た。 こ れ らの 海 沿 い の 道 を,北 海 道,南 海 道,西 海 道,東 海 道 と呼 ぶ こ と も一 般 的 で あ っ た 。1603年 に,徳 川 家 康 が江 戸 に幕 府 を 開 い て 以 降1868年 の 明 治 維 新 ま で の 江 戸 時 代 に は,京 都 と江 戸 を結 ぶ 東 海 道 は,重 要 な交 通 ル ー トと して発 展 した 。 朝 鮮 半 島 の 人 々 は,半 島 の西 側 の 海 を西 海 と呼 び,東 の 海,東 海 と呼 ん で きた 。 現 在 の 日本 海,そ して,お そ ら く,太 平 洋 を も含 め て,東 海 と呼 ん で き た と思 わ れ る。 中 国 の東 側 に も,海 が 広 が っ て お り,沖 縄 ・台 湾 ・上 海 沖 の 海 が,東

シナ 海 と呼 ば れ て い る。 これ ら の 海 上 ル ー トを通 じて,中 国 大 陸 お よ び周 辺 の 島 々,朝 鮮 半 島 お よび 周 辺 の 島 々,そ して,日 本 列 島 に は,少 な くと も,2000 年 を超 え る貿 易 の歴 史 が あ る。

こ の論 文 の 目的 は,21世 紀 に,中 国 大 陸 お よび 周 辺 の 島 々,朝 鮮 半 島お よび 周 辺 の 島 々,そ して,日 本 列 島 に住 む 人 々が,消 費 者 主権 お よ び互 恵 無 差 別 の 原 則 に 基 づ い て,貿 易 と投 資 を促 進 す る た め に,共 通 の 関税 地 域 と して,「 東 海 自 由 貿 易 地 域 」(EastSeaFreeTradeArea,筆 者 の 命 名)を 創 出 す る た め に,日 本 は ど の よ う な役 割 を果 たす べ き な の か 考 察 す る こ と に あ る 。 自 由貿 易 地 域 は,GATT(関 税 と貿 易 に 関 す る一 般 協 定)・WTO(世 界 貿 易 機 構)

*こ の 論 文 は,2001年8月 に,韓 国 の 大 学 に お け る講 演 の た め に 執 筆 さ れ た 。

〔121〕

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ヱ22 第55巻 第4号

に よ る多 角 的 な 自由 貿 易 体 制 の 枠 組 の 中 で,最 も緩 や か 地域 経 済 統 合 の 形 態 で あ る。 自由 貿 易 地 域 内 で は,関 税 の引 き下 げ な ど を通 じて,貿 易 障 壁 を撤 廃 し て,域 内貿 易 を促 進 す る義 務 を負 う もの の,メ ンバ ー 以 外 の 第3国 に対 す る貿 易 政 策 を共 通 化 す る 必 要 が な い た め,各 国 の 貿 易 政 策 の 自由 度 が 高 く,政 治 的 に も比 較 的 実 現 しや す い 。 カ ナ ダ,ア メ リ カ合 衆 国,メ キ シ コの3力 国 か ら成 るNAFTA(北 米 自由 貿 易 地 域)は,そ の代 表 的 な例 で あ る。NAFTAは, カ ナ ダ ・ア メ リ カ合 衆 国,ア メ リ カ合 衆 国 ・メ キ シ コ,メ キ シ コ ・カ ナ ダ の三 つ の 二 国 間 自 由貿 易 協 定 か ら成 り立 っ て い る。NAFTAの 事 例 は,中 国(中 華 人 民 共 和 国),韓 国(大 韓 民 国),日 本 の3力 国 が,正 式 な 自 由貿 易 協 定 を締 結 す る際 に も参 考 に な るで あ ろ う。ま た,NAFTAは,EU(ヨ ー ロ ッパ 連 合)

とは 異 な り,一 人 当 た り所 得 の 異 な る メ キ シ コ と ア メ リカ合 衆 国 ・カ ナ ダが 結 ん だ 自 由貿 易 協 定 で あ る点 が,東 海 自 由 貿 易 地 域 を形 成 す る 上 で も参 考 に な る で あ ろ う。 これ まで,中 国 がWTO,そ し て,そ の 前 身 で あ るGATTの 締 約 国 で なか っ た た め に,協 定 に基 づ く三 国 か らな る 自 由貿 易 地 域 につ い て 議 論 す る こ と は現 実 的 で は な か っ た 。 しか しな が ら,中 国 がWTOに 加 盟 した 今 日, 世 界 全 体 の 自 由貿 易 の 促 進 と整 合 的 で あ る 限 り,日 本,中 国,韓 国 の3国 か ら

な る 自 由貿 易 地 域 を 形 成 す る こ と も可 能 で あ る。

ESFTA(東 海 自 由貿 易 地 域)の 形 成 を考 え る た め に は,1989年 か ら進 展 し て き たAPEC(ア ジ ア 太 平 洋 経 済 協 力)の 活 動 に つ い て も考 察 して お く必 要 が あ る。 特 に,中 国 が 主 催 す る2001年 のAPEC非 公 式 首 脳 会 合 は,中 国 の WTO加 盟,WTOの 新 ラ ウ ン ド交 渉 の 開 始 な ど重 要 な 問 題 が 話 し合 わ れ る。

1990年 代,APECを 通 じ て,開 か れ た地 域 主 義 の 考 え 方 に基 づ い て,中 国 を 含 む参 加 国 と地 域 が,貿 易 と投 資 の 自 由 化 に よ る 経 済 協 力 を促 進 して きた 。 APECの 中 に は,す で に,NAFTA,ASEAN(東 南 ア ジ ア 諸 国 連 合)の う な,地 域 経 済 統 合 体 が 包 摂iされ て お り,ESFTAの 形 成 は,APECプ ロ セ ス の 一 部 とみ なす こ と も可 能 で あ る。日本 は,GATT‑WTOの 理 念 に 忠 実 に, 経 済 の 部 分 統 合 を行 わ ず,世 界 全 体 で多 数 国 に よ る貿 易 自由 化 を促 進 す る立 場 を堅 持 して き た。 しか しな が ら,ヨ ー ロ ッパ ・北 ア メ リカ に お け る地 域 経 済 統

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東 海 自由貿 易地 域 の可 能性 につ いて ヱ23 合 の 成 果 に 触 発 さ れ る 形 で,APECの メ ンバ ー 国 と の 問 で 自 由貿 易 地 域 協 定 の 締 結 を 検 討 す る 動 き もあ る。

こ の 論 文 で は,国 際 経 済 学 の 基 本 的 な 概 念 を 踏 ま えつ つ,1990年 代 に お け る APECの 活 動 を振 り返 り,中 国 ・韓 国 ・日本 が 共 通 の 関 税 地 域 を形 成 し た場 合 に,ど の よ う な経 済 効 果 が あ り,ど の よ う な 問 題 が 発 生 す る と予 想 さ れ る の か 検 討 す る 。 特 に,実 現 に 向 け て,日 本 が どの よ う な役 割 を果 たす べ き な の か 議 論 す る 。

2.地 域 経 済 統 合 の基礎 概 念

GATT‑WTOの 枠 組 の 中 で 認 め られ て い る 地 域 経 済 の 部 分 統 合 の形 態 と し て は,(ユ)自由 貿 易 地 域,(2)関 税 同 盟,(3)共 通 市 場,(4)経 済 同 盟,が あ る。 自由 貿 易 地 域 は,域 内 の 関税 を,域 外 よ りも低 くす るが,第3国 に対 す る関 税 率 は,

自由 に設 定 で き る。 関 税 同盟 で は,第3国 に対 す る関 税 率 も共 通 に して 貿 易 を 行 う。 共 通 市 場 で は,関 税 同 盟 内 で,生 産 要 素 の 移 動 を 自由 化 す る 。 経 済 同盟 で は,さ ら に,経 済 政 策 を協 調 し,共 通 通 貨 を発 行 す る 。

国 際 経 済 学 で は,Vinerに よ る 関 税 同 盟 の 貿 易 創 出 効 果 と貿 易 転 換 効 果 の 比 較 に よる 地 域 経 済 統 合 の評 価 が 良 く知 られ て い る。 部 分 均 衡 分 析 を用 い て, 関税 同盟 に よ る 関税 の 死 重 的損 失 の 回復 を 「貿 易 創 出効 果」 と呼 び,関 税 収 入 の 減 少 を 「貿 易 転 換 効 果 」と呼 ん だ 。貿 易 創 出効 果 が 貿 易 転 換 効 果 を上 回 る 時, 地 域 経 済 の 部 分 統 合 は 正 当化 され る と説 明 さ れ て き た。 自由 貿 易 地 域 の 形 成 を 考 え る 際 に も,単 純 で は あ る が,応 用 で き る 考 え 方 で あ る。 これ に 対 し て, KempandWan(1979)は,「 多 数 の 財 を生 産 し,多 数 の 国 か ら成 り立 つ 競 争 的 な貿 易 を 行 っ て い る世 界 に お い て,そ の 部 分 集 合 で あ る い くつ か の 国 が 関税 同 盟 を結 成 した 場 合 に,メ ンバ ー の 国 に と っ て も,メ ンバ ー で は な い 国 に とっ て も,関 税 同 盟 結 成 以 前 よ りも経 済 厚 生 の 低 くな ら な い よ う な共 通 関税 率 とメ ンバ ー 内 の 所 得 補 償 支 払 い の ベ ク トル が 存 在 す る」 と の命 題 を述 べ た 。 こ の命 題 は,世 界 全 体 の 自由 貿 易 を 実 現 す る 過 程 にお い て,常 に,世 界 全 体 の 経 済 厚

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ヱ24 第55巻 第4号

生 を 下 げ る こ と な く,地 域 経 済 の 部 分 統 合 を進 め る こ とが 可 能 で あ る とい う こ とを,一 般 的 な 形 で 定 式 化 した とい う意 味 で大 変 興 味深 い 。 ま た,地 域 経 済 統 合 を 進 め る際 に,単 に域 内 の 関税 率 を下 げ,自 由貿 易 を促 進 す る だ け で は不 十 分 で,域 内 で の 適 切 な所 得 再 分 配 が 必 要 で あ る こ とを示 して い る こ とが 重 要 で あ る。 伝 統 的 なヘ ク シ ャ ー ・オ リー ン ・モ デ ル の 枠 組 の 中 で も,関 税 の 引 き下 げ に よる 貿 易 の 自 由化 は,必 ず,関 税 に よ っ て保 護 さ れ て い た産 業 にお い て 集 約 的 に 用 い られ て い る生 産 要 素 の保 有 者 の所 得 を下 げ る こ とが,ス トルパ ー ・ サ ミュ エ ル ソ ン定 理 と して 知 ら れ て い るの で,貿 易 の利 益 を移 転 す る メ カ ニ ズ

ム を持 つ こ とが 重 要 に な る 。 し たが っ て,Kemp‑Wan命 題 に した が っ て,経 済 厚 生 を高 め る 地 域 経 済 統 合 が 存 在 す る と して も,現 実 的 に,自 由 貿 易 地 域 を 形 成 す る た め に は,所 得 再 分 配 機 能 を も っ た メ ンバ ー 国 間 の 経 済 協 力 の シ ス テ ム を 同 時 に構 築 す る こ とが 重 要 に な る。 ま た,Kemp‑Wan命 題 は,生 産 要 素 の 移 動 し ない 前 提 で 導 か れ て い る た め に,今 日の よ う に 資 本 移 動 が 自 由 に な っ て い る状 況 で も,世 界 の 経 済 厚 生 を低 下 させ な い 地 域 経 済 の 部 分 統 合 が 必 ず 存 在 す る か ど うか は,ま だ,答 え の な い 問 題 で あ る。

BaldwinandVenables(1995)は,地 域 経 済 統 合 に 関 す る サ ー ベ イ 論 文 の 中 で,政 策 担 当者 の 問 で は,地 域 経 済 統 合 が 持 つ 資 本 蓄積 に よ る経 済 成 長 へ の 貢 献 に対 す る 関心 が 高 い の に 対 して,学 術 的 な 文 献 で は,ほ とん ど,こ の 問 題 の 研 究 が 進 ん で い な い こ とが 指 摘 さ れ て い る。 資 本 の移 動 が 自 由 な 世 界 で は, 地 域 経 済 統 合 は,他 の地 域 で 発 生 す る はず の 資 本 蓄 積 を そ の 地 域 内 で 発 生 させ

る投 資 創 出 効 果 や投 資 転i換効 果 を もた らす た め,統 合 に 賛 成,反 対 が メ ンバ ー 国 内 で もは っ き り して くる 。NAFTAの 形 成 の 際 に は,製 造 業 が 立 地 し て い る ア メ リ カ合 衆 国 中 西 部 の 州 で,NAFTAに よ っ て工 場 が メ キ シ コへ 移 転 し て しま う と して,労 働 組 合 を中 心 に 反対 の 声 が 強 か っ た 。 反 対 に,企 業 誘 致 へ の 誘 因 が 発 生 す る メ キ シ コや 隣接 す る テ キ サ ス な どの 州 で は,賛 成 の 声 が 強 か っ た 。 地 域 経 済 統 合 に よ る資 本 移 動 へ の 影 響 につ い て は,十 分 な 理 論 分 析 が 行 わ れ て お らず,今 後 の課 題 と な っ て い る。

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東 海 自由貿易 地域 の可 能性 につ い て 125

3.ア ジア 太 平洋 経 済 協 力

ア ジ ア太 平 洋 経 済 協 力(APEC)は,1989年 に,オ ー ス トラ リア の提 唱 に よっ て,こ の 地 域 の 貿 易 と投 資 を促 進 す るた め の 非 公 式 な協 議 体 と して 発 足 した 。 返 還 前 の 香 港,台 湾 が 独 立 した 関税 地 域 と して 参 加 して お り,太 平 洋 の 両 岸 に 位 置 す る多 数 の 国 と地 域 か ら成 り立 つ 経 済 協 力 の 仕 組 み と して発 展 して きた 。 現 在 は,21の 国 と地 域(オ ー ス トラ リ ア,ブ ル ネ イ,カ ナ ダ,チ リ,中 華 人 民 共 和 国,香 港 中 国,イ ン ドネ シ ア,日 本,韓 国,マ レー シ ア,メ キ シ コ,ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド,パ プ ア ・ニ ュー ギ ニ ア,ペ ル ー,フ ィ リ ピ ン,ロ シ ア,シ ンガ ポ ー ル,中 国 台 北,タ イ,ア メ リ カ合 衆 国,ベ トナ ム)が 参 加 し て お り,1999年 は,合 計 し た 国 内 総 生 産 は18兆 米 ドル を超 え,域 内 外 の 貿 易 は,世 界 貿 易 の43%

以 上 とな っ て い る 。(APEC公 式 ホ ー ム ペ ー ジ よ り)

APECは,GATT‑WTOの 枠 組 に お け る公 式 な 地 域 経 済 統 合 体 で は な く, 参 加 国 の 自発 的 な 意 志 に基 づ く協 議 体 で あ っ た 。 当初 は,ア ジ ア 太 平 洋 の経 済 協 力 を 文 字 通 り進 め,ガ ッ トの ウ ル グ ア イ ラ ウ ン ド交 渉 を成 功 裏 に 終 わ らせ る た め の非 公 式 会 合 で あ っ た 。 そ の後,1993年11月 に,ア メ リ カ合 衆 国 の シ ア ト ル で,初 め て の 非 公 式 首 脳 会 合 が 開催 さ れ,ア ジ ア太 平 洋 地 域 に お い て 共 同体 の 意 識 を醸 成 し,貿 易 や投 資 の 拡 大 を促 進 す る と と もに,教 育 や 自然 環 境 の保 全 な どで も協 力 して い く との 共 同 ビ ジ ョン が打 ち 出 さ れ た 。 そ の後,1994年 は,イ ン ドネ シ ア の ボ ゴ ー ル で,先 進 国 の メ ンバ ー は,2010年 ま で に,発 展 途 上 国 の メ ンバ ー は,2020年 まで に,貿 易 と投 資 の 自 由化 を実 現 す る との 目標 が 宣 言 され た 。1995年 の 大 阪 会 合,1996年 の マ ニ ア会 合 で,ボ ゴ ー ル 宣 言 に基 づ く行 動 計 画 が 策 定 され,各 国 が そ れ ぞ れ 目標 を 設 定 して,貿 易 と投 資 の 自 由化 を促 進 して い く こ と と な っ た 。1997年 に発 生 した ア ジ ア 経 済 危 機 に よ っ て,そ の 後 の会 合 で は,貿 易 と投 資 の 自 由化 を通 じた 経 済 協 力 の 方 針 を確 認 す る に と

どま っ て い る観 は あ る もの の,1997年 バ ン ク ー バ ー,1998年 ク ア ラ ル ン プ ー ル, 1999年 オ ー ク ラ ン ド,2000年 ブ ル ネ イ,2001年 上 海 と,首 脳 同士 の 非 公 式 会 合 が 積 み 重 ね られ て きて い る。2020年 まで に,APEC自 体 が 自 由貿 易 地 域 とな

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る こ と も考 え られ る し,NAFTAやASEANの よ う に,APECの 中 で, ESFTAを 公 式 の 自由 貿 易 地 域 と し て形 成 す る こ と も考 え られ る 。

APECの ア プ ロ ー チ は,開 か れ た 地 域 主 義(OpenRegionalism)と 呼 ば れ て お り,各 国 が 自発 的 に市 場 開 放 を行 い,メ ンバ ー と メ ンバ ー で は な い 地 域 を 差 別 す る こ と な く,貿 易 と投 資 の 拡 大 を 通 じて,世 界 の 経 済 厚 生 の 向上 に貢 献 す る とい う もの で あ る。 日本 は,GATT‑WTOの 理 念 に 忠 実 に,地 域 経 済 の 部 分 統 合 を行 わず,互 恵 無 差 別 の 精 神 で,多 国 間 の 包 括 的 な 交 渉 を通 じて 自 由 貿 易 を促 進 す る 立 場 を とっ て き た。 しか しな が ら,EU,NAFTAな ど地 理 的 に近 隣 に あ る諸 国 との 地 域 経 済 統 合 の 推 進 を通 じて,世 界 貿 易 の拡 大 を図 る ア プ ロ ー チ も一 般 的 に な っ て きて お り,申 国 のWTO加 盟 に 伴 いESFTA を形 成 す る誘 因 は存 在 す る もの と考 え られ る 。

表1地 域 経済 統合 の 貿易

APEC EU NAFTA ASEAN

総 輸 出(1999) 2497 2180 1070 359

地域内輸 出 1774 1385 579 79

地域外輸 出 723 796 491 280

総 輸 入(1999) 2625 2232 1420 299

地域内輸入 1883 1389 575 69

地域外輸入 741 843 846 231

域 内 輸 出 シ ェ ア(1999) 71.0 63.5 54.1 22.1

域 内 輸 入 シ ェ ア(1999) 71.8 62.2 40.5 22.9

域 内 輸 出 シ ェ ア の 変 化(1990〜1999) 3.5 一1 .4 11.5 2.0

域 内 輸 入 シ ェ ア の 変 化(1990〜1999) 6.4 .8 6.1 6.7

(輸 出 入 額 の 単 位10億 米 ドル)出 所WTOInternationaltradestatistics2000

EUと 比 較 す る と,1990年 代 に は,APECの 域 内 貿 易 の 比 率 は増 加 し て い る こ とが わ か る 。 今 後,こ の 傾 向 は続 く もの と予 想 さ れ,20世 紀 を通 じて観 察 さ れ て き た世 界 貿 易 の重 心 の 大 西 洋 貿 易 か ら太 平 洋 貿 易 へ の シ フ トは,21世 に も継 続 す る もの と予 想 され る。

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東 海 自由貿易 地域 の可能性 につい て ヱ27

4.東 海 自 由 貿 易 地 域(ESFTA)

今,日 本 海,東 シ ナ 海,北 西 太 平 洋 に 面 す る 中華 人 民 共 和 国(香 港,台 湾 を 含 む),大 韓 民 国,日 本 の3力 国 か ら成 り立 つ 自 由 貿 易 地 域 を,ESFTA(東 海 自 由 貿 易 地 域)と 呼 ぶ こ と に し よ う。 日本 か ら見 て,ESFTAを 形 成 す る こ と に どの よ う な メ リ ッ トが あ り,ど の程 度 の 社 会 的 な 費 用 を負 担 す る こ とが 可 能 な の か 考 えて み よ う。

4‑1歴 史 的 背 景

日本 は,江 戸 時 代 に,長 崎 の 出 島 を 除 い て,外 国 との 貿 易 を 禁 じて い た 。 オ ラ ン ダ の東 イ ン ド会 社 が 日本 と ヨー ロ ッパ との 問 の独 占的 な貿 易 権 を持 っ て い た 。 中 国,朝 鮮 半 島 との 貿 易 も行 わ れ て い た が き わ め て 限 定 的 な もの で,日 本 は 農 業 を 中心 とす る 自給 自足 体 制 を19世 紀 半 ば ま で 続 け る こ と に な っ た 。18世 紀 に イ ギ リス の 植 民 地 か ら独 立 した ア メ リ カ合 衆 国 の フ ロ ンテ ィ ア は,19世 半 ば に は,北 米 大 陸 の 西 海 岸 ま で 到 達 し,太 平 洋 貿 易 の 時 代 が 始 ま っ た。ペ リー 提 督 の 来 訪 に よ り,徳 川 幕 府 は,開 国 を決 断 し た もの の,幕 藩 体 制 は動 揺 し,

1868年 大 政 奉 還 に よっ て,天 皇 を中 心 とす る新 政 府 が樹 立 さ れ,い わ ゆ る 明 治 維 新 が 断 行 され た 。 脱 亜 入 欧 の掛 け 声 の下,富 国 強兵 策 に よ る急 速 な近 代 化 が 進 め られ た 。 朝 鮮 半 島 お よ び 中 国 の 人 々 に多 大 な迷 惑 をか け,損 害 を与 え た 国 家 体 制 は,1945年8月 に敗 戦 に よ っ て崩 壊 した 。1951年 にサ ン フ ラ ン シ ス コで 講 和 条 約 を締 結 して以 降 は,平 和 憲 法 の下 で,国 際 協 調 主 義 を 第 一 と して,ガ ッ

トに よ る 自 由 貿 易 体 制 の 中 で,経 済 発 展 を遂 げ て きた 。

ユ955年か ら1990年 ま で の,い わ ゆ る東 西 冷 戦 の構 造 の 中 で,日 本 は,軍 事 費 をGDPの1%に 抑 制 しつ つ,ア メ リ カ合 衆 国 を 中 心 とす る ガ ッ ト加 盟 国 との 自由 貿 易 を 通 じて,高 い 経 済 成 長 を実 現 した 。1980年 代 後 半 に は,巨 額 の 貿 易 収 支 の 黒 字 を背 景 に,ア メ リ カ合 衆 国 に代 わ って,世 界 で 最 大 の 債 権 国 とな り, 資本 の 供 給 国 と な っ た 。 日本 の よ う な天 然 資 源 に乏 しい 島 国 で あ っ て も,自 由 貿 易 体 制 の 下 で は,ア メ リ カ と同 じよ うな所 得 水 準 を 実 現 で きる こ と を示 した

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ヱ28 第55巻 第4号

こ とは,新 た に独 立 国 とな っ た多 くの 発 展 途 上 国 に,貿 易 と投 資 の 拡 大 に よる 経 済発 展 の道 を示 唆 す る こ と に な っ た 。

1980年 代 後 半 か ら,世 界 経 済 は,欧 州,北 米,東 ア ジ ア に よ る3極 構 造 の様 相 を 呈 し て きた 。 欧 州 で 始 ま っ た地 域 経 済 統 合 の 流 れ は,北 米 自由貿 易 地 域 や 他 の 地 域 経 済 統 合 体 の形 成 を触 発 して き た。1979年 か ら始 ま っ た 中 国 の 改 革 開 放 路 線 は,社 会 主 義 市 場 経 済 の 理 念 の 下 で 着 実 な 成 果 を あ げ,1989年 か らは, APECの 枠 組 の 中 で,WTO加 盟 へ の 準 備 が 進 め ら れ て きた 。1990年 代,日 本 経 済 は 低 迷 して き た。 これ は,東 西 冷 戦 が 終 結 し,世 界 全 体 が 市 場 経 済 化 す

る に つ れ,日 本 経 済 の もっ て い た相 対 的 な優 位 性 が 失 わ れ 始 め た こ と,さ らに, 少 子 高齢 化 の 進 展 に よ っ て 急 速 に成 長 し ない 成 熟 経 済 化 が 進 ん で い る こ と に, そ の 原 因 が あ る。 こ れ ま で,多 角 的 貿 易 の 自 由 化 を進 め るGATT‑WTO体

制 の理 念 に忠 実 に 貿 易 政 策 を実 践 して きた 日本 で あ るが,反 グ ロ ーバ ラ イゼ ー シ ョ ンの 流 れ もあ り,貿 易 の 自 由化 を推 進 す る も う一 つ の ア プ ロ ー チ で あ る地 域 経 済 統 合 につ い て も,い くつ か の 国 との 問 で検 討 を始 め て い る。

4‑2貿 易 マ トリ ッ ク ス

次 に,2000年 の 貿 易 マ トリ ッ ク ス を 用 い て,ESFTAを 形 成 し た場 合 の 貿 易 フ ロ ー を考 察 して み よ う 。 す で に,日 本 の 輸 出額 を除 け ば,全 て の メ ンバ ー

表2ESFTA貿 易 マ ト リ ッ ク ス(2000年 の 輸 出 額:単 位100万 ドル)

日 本 韓 国 中 国 香 港 台 湾 ESFTA NAFTA EU 世 界

30875 30707 27130 25126 113838 155933 78125 478910

18669 19544 9785 19544 67542 43190 21735 167639

42890 11094 53194 6223 113401 70554 41066 275129

11144 3836 69968 2187 87135 48342 29664 197801

16599 3908 4218 31338 56063 37913 21988 148321

ESFTA 89302 49713 124437 121447 53080 355932 192578 1267800

NAFTA 72501 29003 18758 15649 26957 162868 181650 1194339

EU 41304 14873 24110 18126 2187 100600 245264 2239420

340870 138260 228053 174239 140011 1021433 1559198 2219590 6312210 注1第1行(横)は,輸 入 国 ・地 域 を表 す 。 第1列(縦)は,輸 出 国 ・地 域 を 表 す 。

注2ジ ェ トロの ホ ー ム ペ ー ジの 世 界 貿 易 マ トリ ッ ク ス か ら作 成 。 オ リ ジ ナ ル デ ー タ は,IMFDirec‑

t三〇nofTradeStatisticsJuly2001。

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東 海 自由貿 易 地域 の可 能性 につ いて 129 の輸 出 額 ・輸 入 額 と もNAFTAと の貿 易 額 よ り も,ESFTAメ ンバ ー との 貿 易 額 が 多 く な っ て い る 。 日 本 の 場 合 で も,輸 入 額 で は,NAFTAよ り も ESFTAか らの 方 が 大 き くな って い る 。 日本 は,韓 国 に対 して,貿 易 収 支 は黒 字 で あ る が,中 国 に対 して は 赤 字 とな っ て い る 。 一 方,韓 国 の 中 国 に対 す る貿 易 収 支 は 黒 字 とな っ て い る 。ESFTA全 体 で は,NAFTAに 対 し て も,EU に対 して も,ま た,世 界 全 体 に対 して も,貿 易 収 支 は黒 字 と な っ て い る 。

4‑3一 人 当 た り国 内 総 生 産

次 に,ESFTAメ ンバ ー 国 の 一 人 当 た り国 内総 生 産(GDP)を 見 て お こ う。

比 較 の た め に,ア メ リ カ合 衆 国 の 一 人 当 た りGDPも 付 して あ る 。1980年 後 半 に,日 本 の1人 当 りGDPは,ア メ リ カ を超 え た 。 日本 の対 米 黒 字 が 大 きか っ た た め に,貿 易 摩 擦 が 発 生 し,日 本 に対 す る市 場 開 放 要 求 が 強 く出 さ れ た 。1990 年 代 を 通 じて,ア メ リ カ は,東 西 冷 戦 終 結 後 の世 界 経 済 に お い て,平 和 の 配 当 を享 受 しつ つ,情 報 関 連 産 業 を 中 心 に 産 業 競 争 力 を 強 め,1人 当 りGDPを 上 させ て きた 。 一 方,日 本 は,相 対 的 な 競 争 力 の低 下 とい わ ゆ るバ ブ ル 経 済 崩 壊 後 の不 良 債 権 処 理 に手 間取 り,ほ と ん ど経 済 成 長 の な い 国 に な っ て し ま っ た 。

ドル で 測 っ たGDPは,為 替 レー トの変 動 に よ る影 響 を 強 く受 け る た め に,そ

表3一 人 当た り国 内総生 産 (単位 米 ドル)

ア メ リ カ 日 本 韓 国 中 国 香 港 台 湾

1989 22192 24120 5017 384 11807 7417

1990 23217 24931 5893 332 13130 7870

1991 23695 28201 6818 342 14972 8727

1992 24744 30622 7194 396 17351 10224

1993 25737 35188 7823 500 19654 10709

1994 27069 38542 9017 448 21658 11564

1995 28135 42231 10851 574 22601 12437

1996 29433 37322 11423 667 24425 13024

1997 31038 34203 10361 726 26310 13382

1998 32489 31249 6829 768 24355 12216

出所 世 界経 済 白書 平成12年 版 経済 企 画庁編

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130 第55巻 第4号

の 変 化 につ い て は,慎 重 に 判 断 しな け れ ば な らな い が,ア メ リ カ の1人 当 り GDPを ベ ン チ マ ー ク 指 標 と して 考 え る 場 合 に は,依 然 と して 重 要 な 指 標 と な

る。

1997年 に発 生 した ア ジ ァ 経 済 危 機 に よ っ て,中 国 を 除 く東 ア ジ ア の 経 済 は大 き な影 響 を受 け た 。 特 に,韓 国 の場 合 に は,外 貨 準 備 の不 足 か ら,国 民 所 得 の 伸 び が 止 ま っ て し ま い,日 本 と 同様 に 厳 しい経 済 の 構 造 改 革 を迫 られ て い る。

ヘ ク シ ャ ー ・オ リ ー ン ・モ デ ル に代 表 さ れ る伝 統 的 な 国 際 貿 易 理 論 の 考 え方 に従 え ば,自 由貿 易 を促 進 す る こ とで,生 産 要 素 が 移 動 せ ず と も,要 素 価 格 は 均 等 化 し,1人 当 り国民 所 得 は等 し くな る現 象 が 観 察 さ れ る はず で あ った 。 実 際,ガ ッ トーWTO体 制 の 下 で,自 由 貿 易 を 強 力 に進 め て き た 日本 と ア メ リ

カ の 問 で は,1人 当 り所 得 の 均 等 化 は 実 現 した と言 え る 。 同 様 に,競 争 的 な市 場 経 済 の 下 で,経 済 を 営 ん で きた香 港 の1人 当 りGDPも 均 等 化 の 方 向 に あ る。

ESFTAの 形 成 を 考 え る 際 に,日 本 と韓 国,そ して,中 国 との 問 に存 在 す る 所 得 格 差 の 問 題 を考 え る こ とが きわ め て 重 要 に な る。 所 得 再 分 配 政 策 を持 た ず に,世 界 全 体 を市 場 経 済 化 した 場 合 に は,国 毎 の 所 得 分 配 の 不 平 等 は 現 在 よ り 拡 大 す る こ とが 考 え られ る 。 地 域 経 済 統 合 を考 え る際 に も,貿 易 ・投 資 の 自 由 化 とな らん で,所 得 の 高 い 国 か ら低 く国 へ の所 得 の 移 転 を 含 む 経 済 協 力 につ い て も十 分 に考 え て お く必 要 が あ る。 特 に,持 続 可 能 な経 済 成 長 を実 現 す る た め に必 要 な 人 的 資 本 の 蓄 積 を促 進 す る よ う な経 済 協 力 が 重 要 に な る。

次 に,戦 後,日 本 とア メ リ カ合 衆 国 と の 間 で,1人 当 り所 得 の均 等 化 は,ど の よ う に実 現 した の か考 え て み よ う。

4‑4日 米 経 済 関 係

20世 紀 後 半 の 二 国 間経 済 関 係 の 中 で,日 本 と ア メ リカ合 衆 国 との 関 係 ほ ど劇 的 な もの は な か っ た。 通 常,戦 勝 国 は,敗 戦 国 に対 して,権 利 と して 賠 償 を 求 め る もの で あ る が,ア メ リ カ合 衆 国 は,そ れ を し な か っ た 。 む しろ,経 済 援 助 を通 じて,日 本,ド イ ツ,イ タ リア と い っ た 敗 戦 国 の経 済 復 興 を助 け る政 策 を とっ た 。 こ れ は,第 一 次 世 界 大 戦 後 に,戦 争 再 発 防止 の た め にベ ル サ イユ で 開

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東海 自由貿 易 地域 の可 能性 につ い て 131 か れ た 講 和 会 議 で,ド イ ッ に対 して 過 酷 な 戦 時 賠 償 を 課 し た事 が 戦 争 の再 発 と 1930年 代 の大 不 況 につ な が っ た との 反 省 か ら,敗 者 に対 して 寛 大 な 政 策 が 意 図 的 に 取 られ た 。 ま た,植 民 地 か ら独 立 して建 国 した 歴 史 か ら,戦 後 の ア ジ ア ・ ア フ リ カ地 域 で の 植 民 地 か らの 開放 と独 立 国へ の 支 援 を行 っ た。

日本 は,1951年 に,サ ン フ ラ ン シス コ で 講和 条 約 を結 ん だ 後,ア メ リ カ合 衆 国 との 間 で 安 全 保 障 条 約 を結 ん だ 。 これ は,平 和 憲 法 の 下 で,国 際 協 調 主 義 で 生 きて い こ う とす る 日本 の 安 全 保 障 を ア メ リカ 合 衆 国が 守 る と言 う趣 旨 の もの で あ っ た 。 こ の50年 間,日 本 は,平 和 国 家 と して,全 て の 国 と友 好 関 係 を持 つ こ とで,生 活 水 準 の 向上 に 努 め て きた 。 対 外 経 済 政 策 は,多 角 的 自由 貿 易 に よ る互 恵 無 差 別 の 原則 で,関 税 の 引 き下 げ,撤 廃 を進 め,世 界 で も有 数 の 自 由貿 易 国家 と な っ た 。1960年 代 の 高 度 経 済 成 長 の背 景 に は,当 時,1人 当 り国 民 所 得 が10倍 ほ ど高 か っ た ア メ リ カ市 場 が 決 して,日 本 製 品 に対 す る 門戸 を 閉 ざ さ なか っ た こ とが あ げ ら れ る 。 これ も,1930年 代 に,ス ム ー ト ・ハ ー レー 関 税 法 と言 う 日本 に対 して 差 別 的 な 貿 易 政 策 が 世 界 経 済 の ブ ロ ッ ク化 を招 き,結 局 は 戦 争 に な っ た 反 省 か ら行 わ れ た 。GATTの ケ ネ デ イ ー ラ ウ ン ド交 渉,東 京 ラ ウ ン ド交 渉 を通 じて,鉱 工 業 品 の 関税 率 は大 幅 に 引 き下 げ られ,天 然 資 源 の乏 しい 日本 は,加 工 貿 易 を通 じて 経 済 成 長 を実 現 す る こ とが 可 能 と な っ た 。

1980年 代 に,欧 米 の 一 部 の 論 者 か ら,日 本 特 殊 論 が 出 され,日 本 の 特 異 性 が 強 調 さ れ た 時 期 が あ っ た。1990年 代 の 長 期 不 況 を 観 察 して,こ の よ うな 論 調 は 影 を潜 め た 。 戦 後 の 日本 経 済 の 成 長 要 因 は,大 部 分 経 済 理 論 に よ っ て 説 明 可 能 な も の で あ る。 経 済 成 長 の結 果,豊 か な 成 熟 経 済 と な り,世 界 に対 して 資 本 を 供 給 す る債 権 国 に な っ た とい うの が 現 在 の 日本 で あ る。 経 常 収 支 の赤 字 を続 け る ア メ リカ は,1980年 代 後 半 か ら債 務 国化 して お り,日 本 か ら超 低 金 利 の 金 融 資 本 の供 給 を受 け る状 態 が 続 い て い る。 日米 経 済 は,資 本 市 場 を通 じて 統 合 が 進 ん で お り,マ ク ロ 政 策 の協 調 に よ っ て,さ らに 市 場 経 済 の 平 準 化 が 進 ん で い く も の と予 想 さ れ る 。 自 由貿 易 地 域 協 定 は結 ん で い ない もの の,そ れ 以 上 に緊 密 な広 範 囲 の 経 済 関係 が 存 在 して お り,多 数 国 間 の 経 済 交 渉 にお い て,日 米 協 調 が 崩 れ る こ と は な い で あ ろ う。 た だ,ア メ リカ経 済 が 景 気 後 退 に 向 か い,失

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ヱ32 第55巻 第4号

業 率 の増 大 す る 局 面 に入 っ た 場 合 に は,ア メ リカ 国 内 の保 護 主 義 的 か つ 差 別 的 な 論 調 が 息 を吹 き返 す リス ク は,常 に存 在 して い る 。 ア メ リ カ は,日 本 ば か り で な く,中 国 との 貿 易 収 支 赤 字 も拡 大 させ て お り,貿 易 紛 争 を避iける とい う言 う意 味 で は,多 国 間 お よ び ア ジ ア太 平 洋 地 域 に お い て 良 好 な貿 易 環 境 を 維 持 す る こ とが 欠 か せ な い 。

4‑5東 海 自 由 貿 易 地 域 の 目標

日本 に と って,す で に,韓 国 と 中 国 は,ア メ リカ に 次 ぐ重 要 な 貿 易 相 手 国 で あ り,今 後 と も,そ の 比 重 は増 し て い くで あ ろ う 。 東 京 の貿 易 政 策 の立 案 者 達 は,日 韓 自由 貿 易 協 定 の 締 結 を推 進 す る 姿 勢 を見 せ て い るが,シ ン ポ ジ ウ ム 等 の 議 論 を見 る限 り,韓 国 側 の論 者 か らは,日 韓 中 の協 力 関 係 を 重 視 す べ きで あ る との 考 え が述 べ られ て い る。 これ は,当 然 の こ とで あ り,東 京 にお け る 政 策 立 案 能 力 の低 下 を示 す もの で あ る。

そ もそ も,日 本 の多 くの 人 達 は,朝 鮮 半 島 の 人 々 が,日 本 海 の こ と を,い で も東 海 と呼 ん で い る こ とを知 ら な い し,1868年 か ら1945年 ま で の 近 代 化 の 歴 史 に 対 す る 反省 も著 し く欠 如 して い る。 日本 に,今,必 要 な の は,隣i国 の経 済 的 繁 栄 は,必 ず,自 国 の 利 益 に つ なが る と言 う政 策 理 念 で あ る 。 これ は,ア ム ・ス ミス が,1776年 に,ロ ン ドンで 出版 した 「諸 国 民 の 富 」 の 中 で 繰 り返 し 説 い た 経 済 政 策 上 の 思想 で あ り,自 由貿 易 主 義 の根 幹 を なす 考 え で あ る。 朝 鮮 半 島 お よ び 中 国 の 消 費 者 の 所 得 が 向 上 す る こ と は,必 ず 日本 の生 産 者 の売 上 を 伸 ば し,日 本 の 消 費 者 の 所 得 を 向 上 させ る こ と に な る 。 ア ダ ム ・ス ミ ス は,富

とは,金 ・銀 ・財 宝 で は な く,普 通 の 人 々 が 日 々消 費 す る財 の集 計 量 で あ る こ とを 明 らか に した 。 い わ ゆ る,今 日の 国民 所 得 の 概 念 で あ る。 国家 が 貿 易 に 関 与 して,輸 出 を促 進 す る 重 商 主 義 政 策 を厳 し く批 判 した 。

日本 は,中 国 に対 して,貿 易 収 支 の 赤 字 を記 録 して い るた め,国 内 産 業 保 護 を名 目 に,特 定 の 品 目に セ ー フ ガ ー ド措 置 を発 動 して輸 入 制 限 を始 め た。 これ に対 抗 して,中 国 も,特 定 品 目に 高 関 税 を 課 す と言 う 日米 貿 易 摩 擦 を彷 彿 と さ せ る 現 象 が 観 察 さ れ て い る。 失 業 率 が 高 い状 況 で も,保 護 主 義 的 な 貿 易 政 策 を

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東 海 自由貿易 地域 の可 能性 につい て 133 採 る こ とは,事 態 を 悪 化 させ る だ け で あ る こ と は,1930年 代 の歴 史 が 証 明 して い る。 今 日,日 本 が し な け れ ば い け な い の は,こ れ か ら発 展 し よ う とす る 国 の た め に,世 界 市 場 を 自 由 な状 態 に し続 け る こ と で あ る 。WTOを 通 じ て,世 界 全 体 の 自由 貿 易 体 制 を維 持 発 展 させ る と と も に,最 も身 近 な 隣i国の た め に, 貿 易 と投 資 の 自 由化 を 通 じた経 済 協 力 を進 め る こ とで あ る。こ こ に,日 本 に と っ

て の 東 海 自由 貿 易 地 域 形 成 の 意 義 が あ る。

ESFTAの 形 成 にあ た っ て は,ロ ー ル ズ の 経 済 厚 生 基 準 を採 用 し,以 下 を, こ の 地 域 の 目標 とす る 。

MAXMin旧 本 の1人 当 り所 得,韓 国 の1人 当 り所 得,中 国 の1人 当 り所 得}

社 会 の 中 で最 も恵 ま れ な い 立 場 の メ ンバ ー の 利 益 を最 大 にす る こ と を 目的 と し て,政 策 を作 り,実 施 して い く。 現 時 点 で は,中 国 の 経 済 成 長 を促 進 す る こ と を 目標 と して,東 海 自由 貿 易 地 域 を形 成 す る 。 次 の ミ レ ミ ア ム の 問 に は,日 本 の1人 当 り所 得 が 最 低 に な る場 合 も十 分 あ り得 る の で,そ の 際 に は,日 本 の1 人 当 り所 得 を最 大 にす る こ と を 目標 とす る 。 この 厚 生 基 準 は,世 界 全 体 も適 用

さ れ るべ き もの な の で,ESFTAの メ ンバ ー は,常 に,恵 まれ な い 立 場 に あ る 国 に居 住 す る消 費 者 の利 益 の た め に,貿 易 の 自 由化 を推 進 しな け れ ば な ら な い。

5.ESFTA形 成 の 可 能 性 と 日本 の 役 割

WTOと 整 合 的 な 自 由 貿 易 地 域 を形 成 す る の で あ れ ば,NAFTA方 式 を 採 る事 に な る で あ ろ う。 す な わ ち,日 本 と韓 国 の 自 由貿 易 協 定,韓 国 と 中 国 の 自 由貿 易 協 定,中 国 と 日本 との 自 由貿 易 協 定 を締 結 し,3つ の 二 国 間 自 由貿 易 協 定 が 適 応 さ れ る 地 域 を東 海 自 由貿 易 地 域 とす る 。 自 由貿 易 協 定 の 内 容 は,な べ く簡 素 で 明快 な も の とす る。(1)商品 貿 易 に 関 す る 関税 率 の 共 通 化 と引 き下 げ に合 意 す る。(2)知的 所 有 権 を含 む サ ー ビス 貿 易 の ル ー ル につ い て合 意 す る 。(3) 貿 易 紛 争 処 理 メ カニ ズ ム につ い て合 意 す る。

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134 第55巻 第4号

自 由貿 易 協 定 と平 行 して,円 滑 な資 本 の 移 動 を実 現 す る た め の 投 資 協 定 につ い て も合 意 す る。 さ ら に,日 本 か ら,韓 国,中 国へ の所 得 移 転 をす る た め に, 経 済 協 力 協 定 を締 結 す る。 協 力 の 内 容 は,(1)大 学 に お け る経 済 ビ ジ ネ ス教 育 を 通 じ た人 材 育 成,(2)空 港 ・港 湾 ・道 路 な ど貿 易 を促 進 す る交 通 イ ン フ ラ ス トラ ク チ ャ ー の 整 備 に対 す る支 援,(3)環 境 の保 全 に対 す る 支 援,と す る。

日本 で は,政 府 部 門 で は赤 字 が 深 刻 化 して い るが,家 計 部 門 に は,低 金 利 に もか か わ らず 過 剰 な貯 蓄 が 存 在 して お り,国 内 に は安 定 した収 益 を上 げ る こ と の で き る投 資 先 が 減 少 しつ つ あ る 。 高 い 成 長 可 能 性 の あ るESFTAへ 安 定 的 に 資 金 を供 給 す る こ とが 可 能 で あ る。

次 に,ESFTA形 成 の 障 害 とな る 要 因 につ い て 述 べ て お こ う。 第1に は, 共 同 体 意 識 の 欠 如 で あ る。 日本 で は,近 代 化 の 失 敗 に対 す る反 省 が 不 十 分 な た め に,偏 狭 な ナ シ ョナ リズ ム に基 づ い て,韓 国 や 中 国 を,日 本 の 経 済 的 な ラ イ バ ル とみ な す 傾 向 が 強 い 。 若 い 世 代 の 交 流 を通 じて,こ の 地 域 の 将 来 につ い て 共 通 理 解 を持 ち,共 通 の 利 益 が 存 在 す る こ と を認 識 す る必 要 が あ る。第2に は, 欧 米 諸 国 との 経 済 関係 へ の 影 響 で あ る。 中 国 の 潜 在 経 済 成 長 率 の 高 さ は,欧 米 諸 国 の 企 業 も注 目 して お り,ESFTAに よ る貿 易 投 資 転 換 効 果 が 大 き くな い か とい う懸 念 で あ る。 い くつ か の 仮 定 に基 づ くモ デ ル 分析 が 必 要 で あ ろ う。 第 3に は,日 本 の 構 造 改 革 に よ る 失 業 者 の 増 大 と 財 政 赤 字 の 問 題 で あ る 。 ESFTAを 形 成 す る た め に は,日 本 か ら韓 国 と 中 国 へ 経 済 協 力 と して 所 得 の 移 転 を す る必 要 が あ るが,日 本 国 内 の 世 論 が 許 容 で きる か ど う か とい う問 題 が あ る。 日本 の 納 税 者 の 負 担 に 見 合 う だ け の 利 益 を,ESFTAの 形 成 か ら 日本 国 民 が 得 ら れ る か ど う か とい う 問題 で あ る。

自由 貿 易 地 域 の 形 成 に は,政 治 的 な リ ー ダ ー シ ップ も不 可 欠 で あ る。 朝 鮮 半 島 に残 存 す る冷 戦 構 造 と台 湾 問題 は,こ の地 域 の 持 つ 政 治 的 リ ス ク と して世 界 市 場 で は認 識 され て お り,何 よ り も平 和 な環 境 の 醸 成 が 自 由貿 易 地 域 を形 成 す る た め に は重 要 で あ る 。 日本 と して は,緊 密 な 日米 関係 を維 持 しな が ら,欧 州 諸 国 と も協 調 しな が ら,こ の 地 域 に お け る貿 易 と投 資 の拡 大 に よる 経 済 発 展 に 協 力 して い くべ きで あ ろ う。

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東 海 自由貿 易 地域 の可 能性 につ い て ヱ35

6.多 角 的 自由 貿 易 交渉 と 自由 貿易 地 域

ウ ル グ ア イ ラ ウ ン ド交 渉 に続 く,新 しい多 角 的 貿 易 交 渉 の 立 ち 上 が りが 遅 れ て い る 。世 界 貿 易 機 構(WTO)に 加 盟 す る 国 や 地 域 の 数 が 増 大 す る につ れ て, す べ て の メ ンバ ー が 同 じテ ー ブ ル に つ い て,す べ て の メ ンバ ー が合 意 で きる 貿 易 の 自由 化 に つ い て 交 渉 す るの は,政 治 的 に は 困 難 に な りつ つ あ る 。 ま た,近 年,世 界 全 体 が市 場 経 済 化 す る 中 で,環 境 問 題 や 労 働 条 件 の 問題,そ して,貧 富 の 格 差 の 問 題 な ど を 考 え る 市 民 団 体 が,WTOに 限 らず,IMF,世 界 銀 行 な どの 会 議 で も,抗 議 活 動 をす る こ とが 一 般 的 に な っ て きた 。 次 期 多 角 的貿 易 交 渉 で は,発 展 途 上 国 に と って,は っ き り と貿 易 の 自由化 か ら利 益 が あ る こ と が 示 さ れ な い 限 り,合 意 を 形 成 す る こ と は 困 難 で あ ろ う。 一 方,地 理 的 に近 い 諸 国が,数 力 国 集 ま っ て,自 由 貿 易 地 域 や 共 通 市 場 を形 成 す る こ とで 貿 易 自由 化 を は か ろ う とす る地 域 主 義 の 動 き も,さ ら に活 発 に な っ て い くこ とで あ ろ う。

表4購 買 力平価 に基づ くGDPの 地域 シ ェア(単 位%)

1980年 1985年 1990年 1995年 2000年

3.4184 4.8653 5.9424 9.3363 11.5507

0.2640 0.3014 0.3609 0.4178 0.4079

0.4975 0.5985 0.7751 0.9536 1.0546

0.7293 0.9354 1.2618 1.6124 1.7012

8.0529 8.2644 8.6665 8.3055 7.3310

東 海FTA 12.9621 14.9650 17.0067 20.6256 22.0454

2.1425 2.1323 2.0544 1.9981 1.9946

ア メ リ カ 21.2698 21.5963 21.2176 21.3465 22.0035

メ キ シ コ 2.1587 2.0778 1.8884 1.8175 1.9646

北 米FTA 25.5710 25.8064 25.1604 25.1621 25.9627

5.7401 5.8574 5.6370 2.9039 2.4744

北 太平 洋7 44.2732 46.6288 47.8041 4836916 50.4825

IMETheWorldEconomicOutlook(WEO)DatabaseMay2001か ら 作 成 。

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136 第55巻 第4号

表4は,IMFの デ ー タ に基 づ い て,東 海 自 由 貿 易 地 域,北 米 自 由 貿 易 地 域 の5年 毎 の 世 界 に お け るGDPシ ェ ア を 示 した も の で あ る 。2000年 に は,中 国 の シ ェ ア の 増 大 に よ っ て,ESFTAの シ ェ ア は,ア メ リ カ合 衆 国 とほ ぼ 同 じ に な っ た 。NAFTAの シ ェ ア は,過 去20年 間,あ ま り変 わ っ て お ら ず, ESFTAの シ ェ ア の 増 加 は,中 国 経 済 の発 展 と共 に今 後 と も続 くで あ ろ う。 東 海FTA,北 米FTA,ロ シ ア の7力 国 のGDP合 計 は,す で に,世 界 の50%を 超 え て お り,百 数 十 ヶ国 に よる貿 易 交 渉 よ りも,7力 国 に よ る 合 意 形 成 を 図 る

こ との ほ うが 容 易 な こ と は 自 明 で あ ろ う 。 意 味 の あ る 多 角 的貿 易 自 由化 の合 意 形 成 が 困 難 で あ れ ば,次 善 の策 と し て,世 界 の 各 地 域 ご と に 自由 貿 易 地 域 を作 り,そ れ らを 重 層 化 す る こ とで,世 界 全 体 の 貿 易 自由化 を促 進 す る こ と も考 え られ る で あ ろ う。EU,NAFTA,メ ル コス ー ル な ど先 行 す る地 域 経 済 統 合 の 経 験 を踏 ま え な が ら,ア ジ ア太 平 洋 地 域 に お け る貿 易 促 進 に貢 献 す る よ うな 東 海 自由 貿 易 地 域 を構 想 して い く こ とが 大 切 で あ る。

7.お り に

こ の 論 文 で は,日 本,韓 国,中 国 か らな る 自 由貿 易 地 域 の可 能 性 につ い て, 日本 の 役 割 を 中 心 に考 察 して きた 。 過 去20年 間,中 国 は,改 革 開 放 路 線 に よっ て,社 会 主 義 市 場 経 済 の構築 を 目指 して きた 。 こ の論 文 で は,自 由 主 義 経 済 学 の 基 本 的 な 立 場 で あ る 経 済 的 弱 者 に 配 慮 し た 「思 い や り の あ る 資 本 主 義 」

(CaringCapitalism)に 基 づ い て,自 由 貿 易 地 域 形 成 の 可 能 性 につ い て 議 論 して き た 。1990年 代 に は,「 求 同 存 異 」 と い う考 え に基 づ い て,ア メ リ カ合 衆 国 と 中 国 との 関 係 改 善 が 見 ら れ た 。 日本 の 頭 越 し に,米 中 が 接 近 す るJapan Passingと い う論 調 も聞 か れ た 。 日本 で は,こ れ ま で,日 米 関 係 の 視 点 か ら,

中 国 お よ び朝 鮮 半 島 の 問 題 を考 え る傾 向 が 強 か っ た が,こ れ か らは,日 韓 中 関 係 の 視 点 か ら,対 米 経 済 関 係 を考 え る こ と も重 要 に な るだ ろ う。 日本 海,東 ナ 海,太 平 洋 に面 す る 国 々 が 「求 同 存 異 」 の 姿 勢 で,貿 易 と投 資 の 拡 大 を 目指 す な ら,東 海 自由 貿 易 地 域 実 現 の 可 能 性 は,そ れ ほ ど低 い も の で は な い だ ろ う。

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東 海 自由貿易 地域 の可 能性 につい て 137 今 後 は,簡 単 な経 済 モ デ ル を構 築 して,い くつ か の 条 件 の 下 に可 能 な シナ リ オ を分 析 す る こ とが 重 要 だ ろ う。 特 に,貿 易創 出効 果,投 資 創 出 効 果,貿 易 転 i換効 果,投 資 転 換 効 果 の 計 測 を通 じて,WTOの 多 角 的 な 自由 貿 易 の 推 進 と 整 合 的 な 自 由 貿 易 地 域 の 形 成 が可 能 か ど うか 検 証 す る こ とが 重 要 だ ろ う。

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参照

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変更 更許 許可 可申 申請 請書 書( (第 第1 16 6号 号様 様式 式( (第 第5 59 9条 条関 関係 係) )) )の の備 備考 考欄

本論文の構成は、第 1 章から第 3 章で本論文の背景と問題の所在について考察し、第 4

本研究の目的と課題

This paper aims to clarify the features of the descriptions of Japan in Chinese geography textbooks. Japan and China share a long-term relationship. The descriptions of Japan in