不確実性と複占企業行動
村田省三
1.序
いわゆるチェーンストア・パラドックスがそうであるように,非対称情報 ゲームの均衡戦略には,一般的にいって,威嚇戦略がふくまれている.その ような戦略がとられなければ,ほとんどのケースにおいて情報保有プレイ ヤーの利得最大化が達成されないためである.もちろん,威嚇戦略の効果は,
情報非保有プレイヤーの構成する初期信念の水準に左右されるであろう.初 期信念が,たまたま,情報保有プレイヤーの真の姿を正確にとらえているよ うなケースでは,威嚇の効果は小さいかもしれない.
ところが,厳密にいえば,このような非対称情報ゲームも,それが1回か ぎりのものであるとすると,ゲーム戦略は初期信念によってほぼ完全に決定 されてしまうから,そこには威嚇戦略が大きな効果をもつ余地はない.1回 かぎりのゲームでは,情報非保有プレイヤーは相手の脅し戦略によって戦略 を決定するのではなく,たんに自分の設定した初期信念にもとづいて行動す るだけである.
したがって,非対称情報ゲームにおいて真に興味がもたれるのは,適当な 威嚇戦略によっで情報非保有プレイヤーの初期信念が変更され その結果と
しで情報非保有プレイヤーの戦略に変化が生じて,ゲーム均衡が情報保有プ
レイヤーにとって有利な方向へみちびかれる動学的過程にあるといってもさ
しつかえない.しかしながら,そのような場合,どのような脅し戦略をも
採りうると考えるのは正しくない.合理的推論能力をもっプレイヤーにとっ ては,相手の不合理的戦略は有効な脅し戦略として認められないからである.
そうすると,ゲームの繰り返しの進行のなかで,合理的ゲーム均衡の結果と してもたらされる可能性のある信念の推移にも,かなりな制約があることに なる.
このことは,合理的推論能力をもっプレイヤーによってどの程度のことが 見抜かれ,脅し戦略として無効になってしまうかを考えることにつながるで あろう.本稿では,非対称費用情報複占ゲームについて,このような意味で の有効信念と,それをもたらす脅し戦略の合理性ないしは斉合性について考 察する.
2 . 数量戦略複占の基本モデル
いま,二つの企業が同質な製品を生産しているものとしよう.すなわち,
供給複占である.それらを第 1 企業および第 2 企業とする.また,これら二 つの企業の生産費用構造はまったく同じであり,第 1 企業(第 2 企業)の生 産費用 C
1(C
2)は ,
C 1 (q 1 ) = 2 q 1 1 q 1εc , 1 4 J C 2 (q 2 ) = 2 q 2 , q 2εC 1 , 4 J
( 1 ) ( 2 )
であると仮定しよう.両企業の製品は同質であると想定しているのであるか ら価格戦略はとりにくく, したがって数量が基本的なコントロール変数とな っている.
さらに,両企業は実際の生産量として 1 または 4 をのみ選択可能であると 想定しよう.このことの背後には,実際の生産量が大生産量かあるいは小生 産量のいずれか一方のみである状況が仮定されている.一方,消費者につい ては完全競争を仮定して,価格コントロールの余地を与えないこととしよう.
このとき,さらに,線型需要関数を想定すれば,両企業の製品が同質である
ことなどから,
P = 10‑ (q
1+ q
2), ( 3 ) のような逆需要関数を想定してよい.
いま,かりに,同時手番でこのゲームを実行すれば,図. 1に示したよう なゲーム状況になる.この展開形ゲームにおける利得は,上記の費用関数お よび逆需要関数 (1)
,,‑,(3) から算出可能である.また,図中には,同時 手番であること,すなわち,後手・第 l 企業が先手・第 2 企業の選択した生 産数量を知らずに自企業の生産数量を決定する状況が示されている.図中の 円内がそれである.図中の 0 1 は,後手・第 l 企業が生産量 4 を選択する確 率,0 2 は先手・第 2 企業が生産量 4 を選択する確率である.
6 6
1 2 3
3 1 2
図. 1 同時手番複占ゲームの展開形表示
3 . 非対称費用情報複占モデル
O O
前節では,各企業が相手企業の費用構造について知っており,かつ,その
ことが共有知識となっている場合を考えたので、あった.それにたいして,本
節では,先手・第 2 企業が,後手・第 l 企業の費用関数について確定した知
識をもたないケースについて議論する.もとより,相手企業について何らの
情報も持たないのであれば,そこには論理的な意味での合理性をもっ戦略は 考えにくい.したがって,ここでは,あらかじめ 2 種類の費用関数が知られ ており,そのうちのどちらかが第 l企業の真の費用関数であることが分かっ ている状況を想定する.その想定は,もちろん特殊なものではあるが,実際 のところ,ある財を生産するにあたっての費用構造というものは,歴史的あ るいは経験的に,その大体は知られているのが通例である.
さて,二つの費用関数を以下のようなものとしよう.
C
1(q
1)= 2 q
bq
1 E (1 , 4 J Ci (q 1 ) 0, q 1ε( 1 , 4 J
( 1 ) ( 4 )
このとき,第 l 企業の真の費用関数は( 1 )であると仮定する.したがって,
実際には,第 l 企業と第 2 企業は同ーの費用構造をもっていることになる.
ただ,相手企業である第 2 企業はそのことを知らないままに戦略(生産数量) を決定しなければならない.一方,第 1企業は,いうまでもなく,白企業の 真の費用関数が(1 )であることを知っている.とはいうものの,相手企業 である第 2 企業が,自企業の費用関数を知らないということを知っているの で,そのことを合理的に利用するのである.
ここで,注意が必要である.というのも,第 l企業の費用構造をめぐる 情報を第 2 企業が知らない,ということを第 l 企業が知っているという状況 が設定されただけでは,情報構造の完全な記述にはならないということであ る.すなわち,第 1 企業の情報構造を第 2 企業が知らないということを第 l 企業が知っているということを第 2 企業が知っているかどうかが確定してい ないためである.ここでは,そのことを第 2 企業は知っているものと仮定す る.容易に気付かれることとおもうが,このような推論は,実は,無限に展 開されていく必要がある.このような推論がどこかで不可能となるような状 況はいずれも分析不可能な事態をもたらすからである.このことについて,
本稿では,ゲーム理論ないしは情報経済学において一般的に仮定されるよう
に,第 I企業の費用構造をめぐる
d情報が共有知識になっているものと想定す る.このことは,いいかえれば,先の推論が,それに先立つ情報をどちらの 企業も知っているという形で無限に展開可能となることを意味している.
ここで,以上の想定にもとづくゲームの構造を記述しておこう.以下に示 される図. 2 がそれである.
8 6
20
5
3 12C;(Q1)=0
6 6
12
3 3
12C1 (Q1) =2Q1
図. 2 非対称情報復占ゲーム
。 。
図中の利得については,ここで想定されている需要関数から容易に算出さ れるはずである.また, U2 は,先手である第 2 企業の情報集合を示してい るが,そこでは,先手・第 2 企業が,後手・第 l 企業の真の費用関数が C
1(q 1 ) あるいは C i (q 1 ) のどちらであるかを確定できない状況が明示され ている.また ,0 0 は,後手・第 l企業の費用関数が,
Cl (q 1 ) = 0 ,
である可能性についての先手・第 2 企業の信念である.いうまでもなく,
o
;;玉 O~玉1.このとき,第 2 企業の信念。。についても共有知識となっているとしよう.
すなわち,先手・第 2 企業が,後手・第 l 企業の真の費用関数が C
1で、ある
と
d思う確率が0 0 であるということを後手・第 1企業は知っており,また,そ のことを先手・第 2 企業は知っている,というような推論の連鎖がどこまで
も成立することを想定するのである.
このゲームの均衡を求めることは難しくない.実際,費用関数についての 情報を保有している後手・第 1 企業の戦略は図 2 によって明らかであり,そ れが知られているならば,先手・第 2 企業は,信念。。にもとづいて自企業の 期待利得を算出可能である.したがって,先手・第 2 企業は,そのとりうる 二つの戦略(生産量 1 あるいは 4 )のどちらがより高い期待利得をもたらす かを推定できることになる.そして,そのようにして決定された先手企業の 戦略にもとづいて後手企業の戦略が決定され,ゲーム均衡が求められること になる.
4 . 非対称費用情報複占の繰り返しゲーム
一方の企業(第 l 企業)の費用関数を他方の企業(第 2 企業)が知らない ということが共有知識となっているケースについて,そのゲームが l回限り で終了する場合のゲーム均衡を前節で明らかにした.そこで得られた結論は,
その場合のゲーム均衡が,市場の需要関数の性質から決定される各企業の利 得水準と,このゲームが開始される時点で相手企業の費用関数の実態を知ら ない企業(第 2 企業)が,当該企業(第 l 企業)の真の費用関数について思 い描くであろう信念の状態によって決定されるということであった.
そこで,本節では,このゲームの 2 回繰り返しゲームを考察することとす る.そこでは 2 回目のゲーム開始時点において,第 2 企業が第 l 企業の真 の需要関数に関して持つであろう信念を,第 l 企業自身の 1 回目ゲームの戦 略によって変更させられる可能性が発生する. 1回限りのゲームと同様に,
このゲームの 2 回繰り返しにおいても,真の需要関数についての信念の変化
は両企業の第 2 期における戦略に,したがってゲーム全体から得られる利得
水準に影響するであろう.
ここで,第 2 期におけるゲームの第 2 企業は,第 l 期におけるゲームの第 2 企業とは別の企業であるものと仮定する. もちろん, 2 期間を通じて同一 の第 2 企業を想定することも理論的には可能である. ただ,本稿では, とり あえずここで提示されたゲームモデルによって,いわゆる評判効果の分析を おこなうことを目標としているために,同ーの第 2 企業を取り扱うことは一 種の応用分析として位置づけられざるをえない.言い換えるならば,同ーの 2 企業による 2 回繰り返しゲームによる場合は,常識的にいうところの 世 の評判"ではなく,自らの闘いの結果として,あるいは自企業の戦略のとり かた次第で変更されうるような, ゲームの途中時点における推論結果が得ら れることになるのである. それは,厳密な意味では,評判とは異なるもので あろう.
さらに, ここで,第 l 期ゲームにおいても,第 2 期ゲームにおいても,第 2 企業が相手企業(第 1 企業)の真の費用関数についての確信を得られてい ない企業であるものとし,同時にまたどちらのゲームにおいても第 2 企業を 先手としよう. このとき, このゲームの展開形は以下のように表示される.
1 6 2 8 3 1 6 2 8 4 0 2 5 2 8 1 3 2 5 1 0 1 3 1 6 2 8 1 3 1 6 1 2 1 8 9 6 1 8 2 4 1 5 1 2 9 1 5 6 3 6 6 3 1 2 0 6 3 1 2 0 6 3 1 2 0 6 3 1 2 0 6 3 1 2 0 6 3 1 2 0 6 3 1 2 0 6
191
図 3 . 非対称費用情報繰り返し複占ゲーム
1 2 3 0
3 1 2 0
図中における記号の用法は以下のとおりである.
。 o :第 l期ゲームの期首において後手・第 l企業が強力企業(生産 費 0 であるケース)である確率. (評判)
。 第 l 期のゲーム結果が,第 1 企業の生産量 4 ,第 2 企業の生産 量 4 であったとき,第 2 期ゲームの期首において,後手・第 l 企業が強力企業である確率. (修正された評判)
0 2 " ‑ ' 0 4 : 0 1 と同様に説明される.
α 。:第 l 期において,先手・第 2 企業が生産量 4 を選択する確率.
s 1 :第 l 期において,先手・第 2 企業が生産量 4 を選択したとき,
後手・第 l 企業が生産量 4 を選択する確率.
s 2 " ‑ ' ん: s 1 と同様に説明される.
r 1 :第 l 期において,第 2 企業が生産量 4 を選択し,第 l 企業も生 産量 4 を選択したとき,第 2 期において先手・第 2 企業が生産 量 4を選択する確率. ( 第 2期での第 2企業の戦略)
r 2 " ‑ ' r
4 :r 1 と同様に説明される.
5 . 第 2 期および第 1 期後半における企業戦略の分析
本節以降では,図. 3 で与えられたゲームの逐次的均衡を具体的に求める こととする.そのさい,基本的には,均衡戦略となりうる戦略の候補を網羅 的に検討するのであるが,通常の逐次的均衡分析がそうであるように,ここ でも,若干の労力をはぶく目的で,最終期である第 2 期の戦略分析から後ろ 向きにゲーム戦略の合理性を確認していくこととしよう.
( i )第 2 期の後手・第 l 企業の戦略
これは,支配戦略の意味で確定する. (図. 3 の太線)
( i )第 i 2 期の先手・第 2 企業の戦略
情報集合 A 1 ' " ' ‑ ' A 4 のいずれにおいても,第 2 企業は,
f h > 1/4 ゅ n= 1 , (i = 1 , 2 , 3 , 4)
。
iく1/4 c : > n= 0 , ( i = 1 , 2 , 3 , 4) O j = 1 / 4 c : > n
EC 0 , 1 J は任意,
という戦略をとる.すなわち,第 2 期の当初に保有される信念の値 が 1/4 を越えれば生産量 4 を , 1/4 を下回れば生産量 l をとり,
ちょうど 1/4 のときには生産量 1 をとる確率を任意にとるとき,
第 2 企業の期待利得が最大になるということである. したがって,
これ以外の戦略はすべて不合理なものと判断される. (確認は容易 である)
(日i)第 1期の後手・第 1企業の戦略
これは,もちろん,各情報集合によって異なるものになるが,第 2 期の戦略が,信念。
1の水準に対応して決定されることに注意すれば,
情報集合 BIにおいては,
。
1>1/4 , 02> 1/4 c : > s l = 0 ,
。
1>1/4 , 0 2
く1/4
亡令sI= 0 ,
。
lく1/4 , 02> 1/4 ゅ ん 1 ,
。
lく1/4 , 0 2
く1/4 ゅ ん = 0 ,
情報集合 B
2においては,
。
3 >1/4 , 04> 1/4 ゅ ん = 1 ,
。
3>1/4 , 0 4
く1/4
亡令s2= 0 ,
。
3く1/4 ,04> 1/4 ゅ ん = 1 ,
。
3く1/4 ,0 4
く1/4
亡令s2= 1 ,
情報集合 B3 においては,
。 1> 1/4 , 02> 1/4
巳令戸 3= 1 ,
。 1>1/4 , f } z
く1/4 ゅ ん = 0 ,
。
lく1/4 ,
(j2> 1/4 ゅ ん 1 ,
。 1
く1/4 ,0 2
く1//4 ゅ ん 1 ,
情報集合 B4 においては,
。 3> 1/4 ,
(j4> 1/4 。 s4= 1 ,
。 3> 1/4 ,
(j4
く1/4 ゅ ん ε c 0 , 1] ,
。 3
く1/4 ,04> 1/4
己令s4= 1 ,
。 3
く1/4 ,0 4
く1/4 ゅ ん = 1 ,
となることが確認される.以上の場合分けには,等号のケースが除 外されているけれども,それは煩雑さを避けるためであって,事実,
等号成立の場合には,第 2 期における均衡戦略は必ずしも純戦略で ある必要はなく,一般の確率戦略を許容するためである.そのよう なケースの分析は後におこなわれる.
。
iCi= l , 2 , 3 , 4) の値がちょうど 1/4 になるケースを除けば,
相手企業の費用関数について知っている後手・第 1 企業の選択する生産数量
は,基本的に,支配戦略の意味で確定する.そのような状況のもとでは,第
2 期におけるゲーム結果は誰の目にも明らかとなる(共有知識となる)ため
に,第 1 期ゲームの後手である第 1 企業にとっては,それまでのゲーム展開
について不明な点さえなければ,そこでの生産数量の選択が,最終的にどの
ような期待利得をもたらすかについて判断するさいに何らの不確定要素も存
在しない.図. 3にはそのような状況が反映されている.すなわち,第 2企
業の情報集合 CB
1'‑"""B
4)はすべて単一になっており,それらの情報集合に
は複数の節は含まれていない.
ところで,先にまとめておいた信念。 r ‑ . . . . ‑ ( } 4 の分類のなかには,論理的には 可能ではあっても,自然なゲーム結果としては許容しにくいものが含まれて いる.それらは,
である.
。 1 > 1/4 , (}zく1/4 ,
(}3> 1/4 , ( } 4
く1/4 ,
( } 1
く1/ 4 , ( } z > 1 / 4 , ( } 3 く 1/4 , ( } 4 > 1/4 ,
( 5 ) ( 6 ) ( 7 ) ( 8 )
たとえば, (5) のケースでは,情報集合 Bl および、 B3 において,第 1 企 業は生産数量 1 を選択することになるから,情報集合 Az における信念 O z は 初期信念。。がそのまま持ち越されることになると考えなければならない.と ころが,情報集合 A
1においては,それが本来は実現されない 2 つの節から なっているために,それらにたいして,情報集合 Az と同レベルの議論によ っては,確定的な信念(確率分布)を与えることができない.もちろん,逐 次的均衡の定義に従えば o に収束する信念の列を構成して,その極限値と
してベイズルールの成立を確認できさえすれば良いのではあるが,やはり,
特定の信念を実現するためには何らかの窓意的な操作を必要とすることは否 定できない.すなわち,自然に理解されうるような戦略を採るかぎりにおい ては,初期信念。。以外の値を
4情報集合 A
1において想定することには無理が ある.ところが,もしもそうであれば,結局のところ,
。 0=01 = ( } z ,
となるから,当初の想定である( 5 )と矛盾することになる.
( 8 )のケースも自然な均衡とはならない.というのも,このとき,情報
集合 Bz においては生産数量 l が,純戦略の意味で選択され,情報集合 B4~こ
おいては生産数量 4 が,確率戦略の意味で選択される可能性があるけれど
も , B 4 において生産数量 Lが純戦略によって選択されないかぎり ,0 3 は ,
。 3 > 1/4 ,
にはならない.かりに, B 4 において,生産数量 lが純戦略として選択され た (s4= 0 )とすると,
。 3=00> 1/4 ,
となるが,このとき ,0 4 についても,自動的に,
04=()0> 1/4 ,
であることが要請され不都合を生ずる.
また, (7) のケースでも,情報集合 B
1および情報集合 B3 のいずれにお いても生産量 4 が選択され,その結果,
0 0
ニ0 1 (
ニ0 2 ) ,
となり矛盾することが確認される.
( 8 )についても,同様に,情報集合 B2 および : B 4 における生産数量 4 の 選択から,
。 0=03 (=04 ) , という結果がみちびかれる.
そして,その結果,合理的なゲーム均衡をもとめるには,具体的に,以下 に示されるケースc'情報集合 B
1" ‑ ' B
4における生産数量の選択パターン)に 限定して分析をおこなえば十分であることが確認されたのである.
。 1= 1 / 4 , ()2> 1/4 吟 ( , 4 , 4) ( 9 )
。 1= 1/4 , 0 2
く1/4 ゅ(1, , 4) ( 1 0 )
。 1>1/4, 02=1/4 吟(1, , 4) ( 1 1 )
。
lく1/4 , 02= 1/4 吟 ( , , 4 , 4) ( 1 2 )
。 1> 1/4 , 02> 1/4 吟(1, , 4 , 4) ( 1 3 )
。
lく1/4 , 0 2
く1/4 。(1, , 4 , 4) ( 1 4 )
。 1= 1/4 , 02= 1/4 ゅ ( 4 , 4 , 4 , 4) ( 1 5 )
( 9) " ‑ ' ( 1 5 )の内容は,とくに驚くほどのものではない.というのも,
第 2 期ゲームの開始時点における信念の値である f h , f } z を,共に 1/4 にし ないような第 l期における戦略というものは,遡って,第 l期の後手・第 l 企業の戦略のかなりな部分を純戦略の意味で確定してしまうからである.そ のような,第 l 期における戦略の確定化は,基本的に初期信念。。をそのまま 第 2 期に持ち越してしまうために矛盾を引き起こしやすいのである.このこ
とは ,0 3 , 0 4 が 1/4 にならないときも同様である.
また, B4 における第 l期ゲームの後手・第 l企業の戦略がすべて生産量 4であることについても詳細な説明は要さないであろう.それらは,図. 3 の展開形に示されている第 l 企業の利得をみれば明らかなように,第 2 期 ゲームの先手・第 2 企業の戦略に左右されることなく,支配戦略の意味で確 定する.同様に,情報集合 B3 における第 1企業の戦略についても,一部の
ものについては確定することが確認される.
さて, ( 1 5 ) のケースであるが,この場合は,
0 1 = 1/4 , 02= 1/4 , であることから,
s 1 = 1 q 00= 1/4 , so= 0 q 00= 1/4 (矛盾) , および, α 。 が O であるかどうかに無関係に,
0
く ん くl ゅ の = 1 (矛盾) , となっていることがわかる.
また ,s2= 1のケースを詳細に検討すれば,実は,
s2= 1 , 00= 1/4
ゆ00=01=02= 1/4 ,
であることも判明する.ところが,
。 3三三 1/4 , 04~ 1/4 等号成立は s2= 1 のとき)
s1=s3= ん = 1 ,
。 3 く 1/4 , ( } 4 > 1/4 ( s 2 く 1 のとき) ,
という事実は,
s2= 1 ,
を要求するから,これも矛盾であり,最終的に,このケースでは,
( } 1 = 1 / 4 , ( } 2 = 1 / 4
吟( } O = ( } l =02=03=(}4= 1/4 sl=s2=s3= ん= 1 , 以外に斉合性は得られない.
そうすると,具体的に,第 2 期ゲームの開始時点における信念。 1 " ‑ ' { } 4 のな かで,合理的なゲーム均衡とともに発生する可能性のあるものを特定するた めには,残る信念。
3および
{}4を特定化すればよいことになる.形式的には 0 1 およびり
2について記述したものとまったく同様であるから,その点で多少の 煩わしさはあるが,念のためそれらを列記しておこう.
。 3=1/4 , { } 4 > 1/4 , (, 4 , , 4 ) ( 1 6 )
。 3=1/4 , { } 4
く1/4 ,
( } 3 > 1/4 , ( } 4 = 1/4 , ( } 3
く1/4 ,{}4=1/4 , ( } 3 > 1/4 , ( } 4 > 1/4
4 , 4 ,
。 3
く1/4 , { } 4
く1/4 (, 4 ,
, 4 )
, 4)
, 4 )
, 4 )
, 4)
( 1 7 ) ( 1 8 ) ( 1 9 ) ( 2 0 )
( 1 6 ) " ‑ ' ( 2 1)から分かることは, ( 1 7 ) および(1 8 ) 以外については,第 l 期ゲームにおける情報集合 B
2での後手・第 l 企業の戦略が確定するとい うことである.その点に注目すれば,第 2 期ゲームの開始時点における信念
。
1"‑'{}4の水準と,それに対応する第 l期ゲームの企業の均衡戦略の特定化は
容易になる. 実際,情報集合 B2 における第 l企業の選択する生産数量の
同一性に着目して,ゲーム均衡に対応する可能性のある信念。
1"‑'(}4の水準を
網羅的に分類したとしても,たかだか以下の程度のものが存在するにすぎな
し¥
( i ) f h = 1/4. fh> 1/4 のとき:
。 3 = 1/4. 0 4
く1/4
E令. 4 . 4)
。 3 > 1/4. 04= 1/4
ゆ. 4 . 4 )
otherwise
亡令• 4 . 4 . 4 ) ( i i ) f h = 1 / 4 . 0 2
く1/4 のとき:
。 3 = 1/4. 0 4
く1/4
亡令(1. . 4 . 4 )
。 3 > 1/4. 04= 1/4
E今(1. . 4 )
otherwise
=令(1. 4 . • 4 ) ( 日 i ) 01> 1/4. 02= 1/4 のとき:
。 3 = 1/4. 0 4
く1/4 c : : : > (1. • 4 )
。 3 > 1/4. 04= 1/4
=令(1. • 4)
otherwise
=令( 1 . 4 . . 4)
C i v ) 0 1
く1/4. 02= 1/4 のとき:
。 3 = 1/4. 0 4
く1/4
亡令• 4 . 4)
。 3 > 1/4. 04= 1/4
=令. 4 . 4 )
otherwise
=令• 4 . 4 . 4 ) (v) 01> 1/4. 02> 1/4 のとき:
。 3 = 1/4. 0 4
く1/4 c : : : > (1. . 4 . 4 )
。 3 > 1/4. 04= 1/4
己今(1. • 4 . 4)
otherwise c : : : > (1. 4 . 4 . 4) (吐) 0 1
く1/4. 0 4
く1/4 のとき:
。 3 = 1/4. 0 4
く1/4
=令(1. • 4 . 4)
。 3 > 1/4. 04= 1/4
E令(1. • 4 . 4 )
otherwise c : : : > (1. 4 . 4 . 4 ) ( v u ) 0 1 = 1/4. 02= 1/4 のとき,
03= 1/4. 04= 1/4 O ( 4 . 4 . 4 . 4 ) .
。 o = 1/4.
6 不斉合的な信念
ところで, ,結論からいえば,実際にゲーム均衡となる戦略によって達成さ れる信念の組は,意外に感じられるほどたいへん少ない.いし、かえるならば,
前節の分類に登場する信念の値の組は,そのほとんどが利潤極大の意味で矛 盾を含んだものであるか,あるいはベイズルールによって規定されるところ の信念の更新基準を満足していないのである.以下では,そのことを確認す るが,これによって,結局のところ,僅かに 2 ' " " 3 のケースについてのみゲー ム均衡分析を行えば十分であることが判明する.
まず, ( i i ) , C i v) および (v i)のケースが,どのような均衡戦略によっ ても成立しないことから確認する.
( i i ) のケースでは,
。 1=1/4 , f h
く1/4 ,
の成立が想定されているが,そこでは,これと同時に , f h および、 0 4 の水準に 関係なく,情報集合 B
1における生産数量 1 (ないしは戦略ん= 0) および,
情報集合 B 4 における生産数量 4 (あるいは戦略ん= 1 ) の選択が行われる.
すると,このときのゲームの進行は,第 1 期についてみれば,図 4 のような 状況になっていなければならない.
AI 0
1=1 / 4
図 4 信念の斉合性の検証
この図からあきらかなことは,この状況が実現されるためには,すくなく とも,ん =0 でなければならないということである.そうでなければ,
(h=1/4 ,
となる可能性はない.実際,s 3 が Oでなく正値であれば,ただちに , 01= 0 がもたらされる.ところが,もしもん =0 であったとしても,たまたま初期 信念 ( 0
0)が ,
。
。
く 1/4 , である場合を除けば,
。
2く1/4 ,
が成立しない. しかも,その場合には,容易に気付かれるように,
。
1 =1/4 ,
はもたらされないのである.
結局のところ, ( i i ) のケースは,ベイズルールの意味で,あるいは逐次 的均衡の意味で斉合的な信念にはなりえないということである.したがって,
このケースにはゲーム均衡戦略は存在しないことになる.
次に, C i v) および(吋)のケースについても逐次的均衡戦略における斉 合的な信念とはなりえないことが,ほとんど同様に示される.たとえば, ( i v ) のケースについては,図 5 のような状況におかれていることから,
。
2 =1/4 ,
となるためには情報集合 B
1でのん = 1 の選択(生産数量 4 の選択)が必要 となること,および,
0 0 = 1/4 ,
であることの必要性が理解される.ところが,そのとき,
。
lく1/4 ,
は実現されない.
一方, (吋)のケースについては,もっと容易に信念の形成に関する矛盾
を指摘することができる.すなわち,図 6 からあきらかに,
。 1 < 1 / 4
sl
図 5 ケースCi v) の戦略構造
。 2く1//4 ,
という状況は発生しえないことが確認される.ケース(v i ) においては,第 l 期における後手・第 2 企業の情報集合 B
1""'‑'B4 のうち, 3 つの情報集合(
Bb B3 および~B4) における選択が,純戦略の意味ですでに確定しているた めに,第 2 期の開始時点における各情報集合での信念の値が非常に強い制約 をうけることとなって,事実上のところ任意の水準をとりうる可能性が少な いのである.簡単にいえば,このケースでの各企業の行動様式はほとんど確 定的である.
。 1 < 1 / 4
図 6 ケ ー ス (v i ) の戦略構造
さて,次に,残るケース (i) ,( i i i ) および (v) についての信念の斉合 性を検証してみよう.結論からいえば,これらのケースについても,斉合的 な信念を含むものはたいへん少ない.
まず,ケース( i )について検討する.このケースでは,
0 1 = 1/4 , 02> 1/4 , が成立しているが,このとき,さらに,
03= 1/4 , 0 4
く1/4 ,
であるとすれば,図 7 に示されるような選択が行われているはずである.そ うすると,情報集合 B2 においては,生産量 1 および 4 は,どちらも正の確 率で選択されているのでなければならない.すなわち ,s2= 0 では03=0と なり,ただちに矛盾がおこる.また ,s2= 1 では ,03=00 となると同時に,
04=00 がもたらされることから,やはり,矛盾が発生することが分かる.と ころが,
0 く s 2 く 1 ,
の場合にも,容易に確認されるように,
。
4 =1 ,
。 1 = 1 / 4
AI
図 7 ケ ー ス (i )の戦略構造 (a)
であり,やはり斉合性は崩れる.
ケ ー ス (i )において,
。 3>1/4 , { } 4 = 1/4 ,
である場合も,同様に,情報集合 B
2に着目して,信念の斉合性に関するチ ェックをおこなえば,やはり矛盾を指摘することが可能である.一方,ケー ス (i )のこれ以外の信念の組については,情報集合 B3 および : B 4 において 生産数量 4 が選択されるのみでなく,情報集合 B
2においても , s 2 = 1 ( 生 産数量 4)が選択されるために,たとえば,信念の組;
。 3 く 1/4 , {}4=1/4 ,
のように,
{}3と
{}4にたいして異なる水準を要求することの矛盾であることが 検証される.
ところで,両者にたいして同様な水準を仮定するもののうち,たとえば,
{ } 3 = 1/4 , { } 4 = 1/4 ,
についても,生産数量 4 が,情報集合 B
2" ' ‑ " B
4のすべてにおいて選択されて いる場合には,たまたま,
0
0= 1 / 4 ,
となる場合のみについて斉合性の成立可能性が残されているだけである.と ころが,図 8 からも明らかなように,この場合,ケース( i )の仮定である ところの,
。
1= 1 / 4 , 02> 1 / 4 ,
を同時に成立させるような,情報集合 B l での戦略は存在していない.すな わち,このケースは過度に制約的なのである.同様にして,
。
3く1/4 , 0 4
く1/4 ,
の矛盾であることも導かれるが,この場合には,
0 0
く1/4 ,
が必要なことから,やはり,ケース(i )で仮定される0 1 および : 0 2 の水準を
同時にはとりえない.
図 8 ケ ー ス (i )の戦略構造 (b)
。
1 =1 / 4
AI
したがって,斉合的信念の可能性をもつものとしては,ケース(i )につ いては, 。 3 > 1/4 , 04> 1/4 ,
のみが残されていることになり,このケースについてのみ逐次的均衡性の検 証を行えばよい.
つぎに,ケース ( i i i )について検討する.この場合も,ケース(i )と 同様に,情報集合 B 4 において,生産数量 4 が純戦略の意味で選択されてい るのであるから,上記の分析は依然、として,その大部分が有効である.たと えば, 。3 =1/4 ,
が要求されるケースにあっては,かりに,情報集合 B
2における正戦略(生 産量 1 および 4 のどちらも正の確率で選択されるような戦略)がとられると すると, 。 4= 1 ,
がもたらされるが,その場合には,情報集合 B
2において生産量 4 が,純戦
略として選択されることが分かっているため,ただちに矛盾をひきおこす.
また,かりに情報集合 B2 において純戦略(生産量 4 )が選択されたとして も ,
。
0 =1/4 ,
であればいちおう無矛盾のようにみえるが,このケースでは,情報集合 B
1において純戦略(生産量 1)が選択されることから,やはり,
fh>1/4 ,
を達成することとの矛盾をひきおこしている.
一方, 。 3
く1/4 ,
の場合も,仮定より情報集合 B 2 で純戦略(生産量 4 )がとられることが確 定しているため,
。 3=04=00 ,
となること,および情報集合 B
1での生産数量 l の選択を考慮すれば,ケー ス(出)における前提である,
。 1 > 1/4 ,
は達成されないことが理解され,矛盾の発生が確認される.
その結果,ケースCi u ) では,
。 3 > 1/4 ,
のケースのみが均衡戦略にともなう信念の候補として残ることになる.ただ,
このとき,
。
4く 1/4 ,
を成立させることはない.それは,情報集合 B2 および B4 における生産量 4 の選択を考慮すれば自明であろう.また,このとき
04= 1/4 ,
も不成立である.このことの根拠は ,03= 1/4 のケースと同様の推論によ
って得られる.すなわち,情報集合 B
2において正戦略がとられると仮定す
れば,04= 1 となることから,情報集合 B2 での純戦略が要求されて直ちに
矛盾をひきおこすこと,また,逆に,情報集合 B
2での純戦略は fh>1//4 との矛盾をひきおこすのである.
ケース (v) の分析も,以上のケース(i u ) とほとんど変わるところはな い.実際,ケース (v) ではケース(出)よりもさらに制約的な状況になっ ている.このケースでは,情報集合 B
}'‑‑,.‑B4 における生産数量の選択のほぼ すべてが,純戦略の意味で確定してしまっているからである.実際,情報集 合 B 1 では生産数量 1 が, B3および~B4 では生産数量 4 が確定しており,さら に,かなりなケースについて,情報集合 B 2 における生産数量も 4 となるこ とが分かつているのである.そのため,ケース C i u ) においては可能であっ たところの,
。 3> 1/4 , ()4> 1/4 ,
についても,それが,
()1> 1/4 ,
との間に矛盾をひきおこすことから,事実上このケースに合理的均衡はない ことが理解される.
7 .斉合的信念をめぐって
以上の分析によって,結局のところ,均衡分析をおこなう必要があるのは,
以下の 3つのケースのみであることが判明したことになる.
(a) ( ) 1 = 1/4 , 02> 1/4 , ()3> 1/4 , ()4> 1/4 , (b) ()1> 1/4 , 02= 1/4 , ()3> 1/4 , 04> 1/4 , (c) 01=1/4 , 02=1/4 , 03=1/4 , 04=1/4.
これらに特徴的なことは,情報集合 A
1"""""A4 における信念であるところの 0 1 . . . . . . . . . . 0 4 の水準が 1/4 を下回らないことである.
このことの意味は,第 1期ゲームの終了時点で,各情報集合における信念
の値 ( 0 1 . . . . . . . . . . 0 4 ) を 1/4 未満にするような逆転的戦略,いいかえれば情報保
有企業である後手・第 1企業にとって決定的に有利な状況をもたらすところ
の戦略は,それが合理的なものである以上,それ以前における後手・第 1企 業の戦略の純戦略化を誘発せざるをえず,その結果,自己矛盾におちいると いうことである.情報保有企業による脅しは,極端な結果をもたらすほどに は強力に効かないといってもよい.
このことは,初期信念。。が 1/4 を下回る場合にも妥当する.つまり,ど のような初期信念が与えられていようとも,どのような戦略がとられようと も,それらが合理性をもつものであるかぎり,第 2 期ゲームの開始時点にお いて,情報非保有企業を無差別状況 ( O i =1/4 , i = 1 , 2 , 3 , 4 ) に 追い込むこと以上に強力な威嚇戦略は合理性をもちえないのである.このと
き,プレイヤーの推論能力に制限を加えないならば,その事情は情報非保有 企業である先手・第 2 企業にとっても既知であるものと考えねばならない.
そうすると,先手・第 2 企業は,第 2 期ゲームの開始時点では,各情報集合 における信念の値が 1/4 以上であることについて,事実上なんらの迷いも 持たないことになる.この結果はたいへん興味ぶかいものであるが,これも,
各プレイヤーが不合理な行動をとらないということを共有知識としたことか らくる必然、的な帰結と考えざるをえない.
なお,いうまでもないことであるが,第 l 期末における信念が 1/4 以上 であるようなケースについては,基本的に,論理的な自己矛盾は発生しにく い.そこでは,ゲーム開始時点の初期信念 ( 0 0 ) からしてかなり大きく,第
l 企業の強大企業であるかもしれないという 恐れ"を情報非保有企業であ る第 2 企業が殆ど感じていない可能性が高い. したがって,このような状況 にあっては,本来の意味での 脅し"がもっとも必要とされるであろうけれ ども,すでにみたように,その脅しの効果も極端なものとはなりえないので ある.むしろ,そこでは,初期信念 ( 0 0 ) がどの程度までの大きさであれば 第 2 期ゲーム開始時点での信念 ( 0 1' " ' " ‑ ' 0 4 ) を無差別水準 (1/4 )に変更可 能であるかということが問われるであろう.
たとえば,
。 0= 2/3 ,
というような高い初期信念水準であっても,戦略のとりかたによっては,
。
1 =1/4 ,
へと移行可能なのであれば,その威嚇戦略のもつ意義は相当に大きいといっ て差し支えないのである.というのも,初期信念状態のままでは,情報非保 有企業である第 2 企業は,相手第 l 企業の正体を弱小企業であると ほとん ど見抜いている"から,早晩,大生産量
C4 )をもって先手を打ち,その結 果,情報保有企業である後手・第 1 企業はやむなく小生産量(1 )をもって 対応せざるをえないと予想されるためである.
なお,ゲーム均衡において,第 l 期末の信念。 Ci= l , 2 , 3 , 4) の 多くが 1/4 を超えることは可能だとしても,すべての信念。
iがそうである わけにはいかない点に注意すべきである.すくなくとも,ひとつ以上の信念 については無差別状況に対応する信念水準 (1/4 )になっていることが必 要である.そのような状態でなければ,かならず全戦略の純戦略化が起こり,
相手企業の真の姿にかんする 謎"は解かれてしまうであろう.そして,そ のとき,合理的ゲーム均衡は消滅する.このことは,おそらく一般の非対称 情報繰り返しゲームについても,そこに支配戦略が存在しないかぎりは,妥 当するものと考えられる.
結局,非対称情報繰り返しゲームの均衡は,初期における不完全情報状態 を質的に変化させないもののなかから得られ,情報保有企業の真の姿を確定 しえないままに終了するようなゲーム戦略のなかから選択されることになる のである.
参 考 文 献