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植物防疫 第73
巻第8
号(2019年)薬剤効果試験のためのチバクロバネキノコバエ自然発生促進方法および簡易飼育方法
は じ め に
ク ロ バ ネ キ ノ コ バ エ 類 は,ク ロ バ ネ キ ノ コ バ エ 科
(Sciaridae)に属する昆虫であり,園芸作物では主にチ バクロバネキノコバエ Bradysia impatiens( Johannsen ) による被害がしばしば問題となってきた(図―1)。施設 園芸作物や露地野菜への被害が報告され,特に促成栽培 のキュウリにおいて被害が大きいとされてきた(笹川・
赤松,1978;中込,1980;笹川,1985)。また,温室メ ロ ン(池 田, 1986 )や リ ン ド ウ 等 の 花 き 類(伊 村,
1992 ;後藤・藤沢, 2003 )等でも被害が報告されている。
近年では特にイチゴにおいての被害報告が多く, 1998 年に三重県(三重県病害虫防除所,1998) ,2004 年に長 野県(長野県病害虫防除所, 2004) , 2008年に長崎県(長 崎県病害虫防除所,2008) ,2010 年に佐賀県(佐賀県農 業技術防除センター病害虫防除部,2010) ,2014 年に茨 城県(茨城県病害虫防除所, 2014 )から病害虫発生予察 特殊報が出されており,全国的な問題になっている。
さらに, 2014 年より埼玉県の秋冬ネギ, 2015 年には 春ニンジンの一部(埼玉県病害虫防除所,2016)で,
2016 年には群馬県の秋冬ネギ(群馬県農業技術センタ
ー環境部発生予察係,2017)においても,新種のネギネ クロバネキノコバエ(S
UEYOSHIand Y
OSHIMATSU, 2019)に よる被害が報告されており,クロバネキノコバエ類への 関心が高まっている。
現在,クロバネキノコバエ類に対してイチゴ,ネギ,
ニンジン等で農薬登録が進み, ジノテフラン顆粒水溶剤,
スピネトラム SC,ダイアジノン粒剤 5,トルフェンピ ラド乳剤,ニテンピラム水溶剤,テフルトリン粒剤,フ ルフェノクスロン乳剤等が使用可能となっている(2019 年 5 月 15 日現在)。チバクロバネキノコバエは全国的に 発生しているが,薬剤効果試験方法は定まっていない。
本研究は,農薬登録のための薬剤効果試験における試験 方法を確立するため,本種の自然発生促進方法や放飼の ための簡便な飼育方法を検討したので報告する。
I 自然発生促進方法
これまでにイチゴ,花き類等で薬剤効果試験が実施さ れてきた。本種は国内全域に分布しているものの圃場内 に均一に自然発生させ,薬剤効果試験を実施した例は少 ない。本研究では,本種に対する薬剤効果試験の準備段 階として,イチゴを対象とした試験区内に幼虫を均一に
薬剤効果試験のためのチバクロバネキノコ バエ自然発生促進方法および簡易飼育方法
小 林 政 文
一般社団法人 日本植物防疫協会
A Natural Outbreak Increasing Method and a Simple Rearing Meth- od of Dark-Winged Fungus Gnats Bradysia impatiens
(Johannsen
)used for Testing Pesticide Effi cacy.
By Masafumi K
OBAYASHI(キーワード:クロバネキノコバエ類,発生促進,飼育方法)
図−1 チバクロバネキノコバエ成虫(左:雄,右:雌)