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子 どもの 日常的社会認知の発達

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(1)

子 どもの 日常的社会認知の発達 ( 3)

一 子 どもの価格判断 に関 す る 4 年 間の追跡調査結果 ‑

福 田 正 弘 *

(平成13年3月15日受理)

TheDevelopmentofChildren's

S

ocietalThinking in Everyday Life(3)

‑Resultsofthe4yearslnvestigationonChildren'sPriceDecision‑

MasahiroFUKUDA+

(ReceivedMarch15,2001)

1 研究 員的

本研究 は、個 々の小学校児童 (対象学年 :第 2学年〜第 6学年 児童 ) に焦点 を当 て、 彼 らが 日常的文脈下 で行 う社会的 (経済的)判断の内容 とその推移 を4年間継続的 に調 査 し、

子 どもの社会認知 の実態 とその発達過程 を明 らかにす るもので あ る 本研 究 で は、 子 ど も が レモネー ド店経営者 として様々な環境変化の下で行 うレモ ネー ドの販売 価格 に関 す る判 断 を取 り上 げた。

子 どもの社会認識の発達 を調査で明 らかに しようとす る研究 は数多 くあ るが、 そ の殆 ど が時系列横断的な研究である.すなわち、一時期 に異 な る年齢 の子 ど もの発達 状態 を調 査 し、 そ こか ら発達系列 を導 くとい う方法 の研究である。 こう した研究 は、 厳密 な意 味 で の 発達研究 とは言 い難 い。 なぜな らば、発達研究 とは、個 々の子 ど もの発達 経過 を跡 付 け、

それ らを一般化 して発達系列を導 くとい う時系列縦断的な方法 を採 るべ きもの と考 え るか らだ。 そ こで、本研究では、長崎市内のある小学校 に協力を求 め、

1 9 9 7

年度 に第

2

学年 と 第

3

学年であった児童 それぞれ

1 0 8

、1 0 7

名 を対象 に

4

年間に渡 って継続調査 を行 った。

これまで我々は、本研究 の遂行途上、 その時点での中間報告 を発表 して きた(福 田

, 1 9 9 8

,

1 9 9 9 a, 1 9 9 9 b, 2 0 0 0 )

。 これ らの中間報告 で得 られた知見 は、本研究の基礎 を成 す もの で あ る が、本研究 では、4年間のデータを比較す ることによって継続調査 のまとめを行 いた い. す なわち、

1)まず、4年間の子 どもの反応状況 を提示 ・比較す ることによ って、 同一集 団 に よ る発 達系列 を導 く。

2)このデータに時系列横断的手法 による調査 データを並置す る ことに よ って、 従 来 の方 法 によって導かれた発達系列 の是非 を検証す る

*長崎大学教育学部社会科教育学教室

(2)

18 長崎大学教育学部紀要 教科教育学 No.37(2001年)

これ ら2点 の視点 か ら4年間の調査 デー タを分析す る。

2 方法

2.1調査 内容 と調査問題

本研究 は、4年間の継続調査 を方法上 の中核 とす るので、 同 じ内容 の調 査 を4年 間繰 り 返 す ことにな る。調査 の内容 は、様 々な条件下 での子 ど もの価 格 判 断 とその判 断基 準 で あ

る。

前者 は、 レモネー ドの製造 と販売 を行 うとい う立場 に子 ど もを立 たせ、 様 々 な販売 条 件 の中で、 レモネー ドの販売価格 を上 げ るか下 げるかの判 断 を求 め る もので あ る。 本調 査 で は、次 に掲 げ る6対 の条件 を設定 し、間1と して、合計12個 の質問項 目(表

1

)を立 て て い る

(1)(2)‑‑‑子 ど もの特殊利害 (大人 の客 か子 ど もの客 か とい う客 の属性)

( 3 )( 4 )

‑‑‑道徳的基準 (競争相手 の リタイアによる客 の困惑)

(5)(6)‑‑‑競合商品 の出現 (補完的関係 にあ る商品 と代替的関係 にあ る商品) (7)(8)・‑‑・・道徳的基準 (競合商品の販売 中止 による客 の困惑)

(9)(10)・・‑・・登場人物 の意思 (レモ ン価格 の低下 に対 す る農家 の訴 え) (

l l

)(12)‑‑登場人物 の意思 (商店街へ の買 い物客 の意思)

1 間 1

の質問項 目の対照表

人が集まっている. が参加 している

(3)となりに同 じレモネー ド屋ができた○ (4)て、店を休みだ したので、お客 さんが困 っているとなりのレモネー ド崖 さんが、病気になっ (5) となりに‑ンバーガー呈(飲み物 は売 ってい (6) となりの‑ ンバーガー鼻が飲み物 も売 り出

ない)ができて、たくさんの人が買 って、近 く した

で食べている

(7)近 くにジュースの自動販売機ができた (8)して、ジユ‑スを買いにきた人が困 っている○近 くにあったジュースの自動販売機が故障 (9) レモンが安か つたので、 た くさん買 って、 uO レモンが安 くなりすぎて、 レモンを作 って

いつ もより多 くのレモネー ドを作 った。 いる農家の人が、「レモンを高 く買 ってほしい」と訴えている

( 川

商店街の近 くに店を出 したら、 いつ もより

W

近 くの商店街が大売 り出 しを して、安売 り

後者 は、子 ど もが価格判断 において用 いる基準 と して、 どの基 準 を意 識 して い るか を問 うものであ る。 これ によ って、子 ど もが メタ認知 と して 自身 の判 断 を客観 化 した内容 が分 か る。 ところで、 これ までの先行研究 で、子 ど もの価格判 断 は純 粋 に経 済 的基 準 にの み依 拠 してな されて いるとは言 い発 く、道徳 な ど非経済 的基準 の影 響 も受 けて い る ことが 明 ら か にな って い る(福 田,1998)。 それで、本調査 で は、間 1の条件分 けを参考 に しなが ら、 子

(3)

ど もの判断基準 を非経済的基準、経済 的基準 に分類 し、次 に示 す(D〜⑦ の7つ の具休 的 な 判断基準 を挙 げ、 その中か ら価格判断で重視 す る順 に

3

つ を選 択 す るよ うに子 ど もに求 め た(表2)

0

非経済的基準 ・‑‑レモネー ド販売 の収支 には関わ らない基準

(①客 の困惑、④子 ど もの小遣 い、⑥ レモ ン農家) 経 済 的 基 準・‑・・レモネー ド販売 の収支 に関わ る基準

直接 的経済的基準‑‑‑収入 または支 出の判断が直接 的 にで きるもの (②客 の数、③ レモ ン価格、⑤競争相手)

統合的経済 的基準・‑・・間 1の価格判断で直接問われなか ったが、 価 格 判 断 の 目的 に相 当 し、 直接的な基準 を統合す るもの ((訂利益)

表2 問 2の質問内容

あなたがレモネー ドの値段を決めるとき、どんなことに注意 しますか。

次の7つから大事だと患 うものを旦三選 らんで、( )に大事だと患う 順番を数字 (1‑3)で書いて ください。

お客(きゃく)さんがこまっているようす

お客の数 (おきゃくのかず)

レモンの値段 (ねだん)

子どもの小遣い (こづかい)

レモネー ドを買いにきた子どもがもっているお金

鼓争相手 (きょうそうあいて)

レモンを作っている農家 (のうか) ( 利益 (りえき ・もうけのこと)

じゅんぽん

( )

( )

( )

( )

( )

( )

( )

2.2調査方法

本調査 は、質問紙法 に依 った 。 調査 は、1997年度 か ら2000年 度 の4年 間、 いず れ も12月 また は1月 に実施 した。調査実施場所 は長崎市内の小学校1校 で、 対 象 児童 は上 述 の通 り 1997年度 に第 2学年、第3学年 であ った児童全員であ る しか し、 本 調 査 は4年 間 の継 続 調査であるため、4年分 のデー タが揃 って いる児童 のデー タのみ を最 終 的 な分析 対 象 と し

た。調査対象児童数 は表3の通 りである。

表3 調査対象児童数 (人)

97年度 に第2学年 であ った児童 98年度 に第3学年 であ った児童 97‑2nd 98‑3rd 99‑4th 00‑5th 97‑3rd 98‑4th 99‑5th 00‑6th 調査を受 けた児童数 122 123 118 119 117 123 118 121

(4)

20 長崎大学教育学部紀要 教科教育学 NQ.37(2001年)

2.3分析方法

調査 データの分析 は、調査問題 に対応 して次 の2つの方法で行 った0 1)分析 1(間 1の反応状況の分析)

問1の12項 目の問 に対す る反応 をそれぞれの調査年度毎 に集計 し、 調査 者 が期待 す る正 反応 の出現率 (百分率)を算定 した。上述 の対 にな っている質 問項 目間 の反 応 の相違 を見 る

ために、対毎 にデータを提示 し、 グラフで比較 した。 また、 時系列 横 断的調査 で導 出 され た発達系列 (グラフ)を並置 し、相互比較 した。

2)分析2 (間2の反応状況の分析)

間 2では、非経済的 ・経済的等 カテゴ 7)‑化 された7つの選択肢 につ いて第1位 に選択 さ れた数 を年度毎 に集計 し、 その選択率 (百分率)を算定 した。 そ して、 そ の選択率 の推移 を グラフ表示 し、比較 した。 また、 1)と同様、時系列横断調査の結果 と対比 した。

以上 の分析 は、全 て1997年度 の第2学年 グループと第3学 年 の グル ープの2つ につ いて行 う。 そ こで、以下 の表記では、前者 の グループを97‑2グループ、 後者 の グルー プを97‑3 グループとす る。 また、本研究で比較のために用 いる時系列横断的調査 の結 果 (97全体) は、1997年度 に実施 した第1次調査 の もの(福 田,1998)である。

3 結果

3.1間 1の反応状況

間1に対す る97‑2、97‑3両児童 グループの反応状況 は以下の通 りである。

1)間 1‑(1)(2)の反応

表4 間 1‑(1)(2)の正反応率

97‑2の児童 n‑108 97‑3の児童 n‑107 問1‑(1) 間ト(2) 間1‑(1) 間1‑(2) 97年 38.0% 25.2% 35.5% 21.5%

98年 40.7% 34.3% 55.1% 29̲0%

99年 55.6% 36.1% 66

.

4

%

43.9%

00年 67.6% 47.2% 79

.

4

%

47.7%

MMMMM

0070100

97 98年 99年 00年

Fq1(1x2)の 正反応*(97‑2)

瓜∬∬仇

0070加20100

9 7 年9 8 年9 9 年0 0

F

1 1 < 1 x 2 ) の 正 長 鉱 車 (

973)

gF23020100

1

間 1‑(1)(2)の正反応率

2年 8年 4 5 8

間1I(1x2)の 正反応雷(07全体)

(5)

表5 問 1‑(3)(4)の正反応率 2)問 1‑(3)(4)の反応

97‑2の児童 n‑108 97‑3の児童 n‑107 間ト(3) 間1‑(4) 間1‑(3) 間1‑(4) 97年 80.6% 25.5% 87.9% 41.1% 98年 90.7% 28.7% 95.3% 40.2%

99年 96.3% 43.5% 97.2% 57.9%

00年 96.3% 55.6% 93.5% 66.0%

008070503020100

97 98年 鮒年 00年

間1‑(3X4)の正反応率(8712)

3 )

1‑( 5 )( 6 )

の反応

MMMMMMMhJM

0000100

97 98年 99年 00年 1‑(3X4)の正反応率 (07‑3)

MmmMMMMM

00

7020100

図2 間 1‑(3)(4)の正反応率

表6 間 1 ‑(5)(6)の正反応率

2年 3 4 5 6

筒1(3X)の 正反応* (07全体 )

97‑2の児童 n‑108 97‑3の児童 n‑107 間1‑(5) 間ト(6) 間1‑(5) 問1‑(6) 97年 33ー64% 79.63% 49.53% 88.79%

98年 47.22% 88.89% 56.07% 91.59%

99年 56.48% 96.30% 67.29% 97.20%

00年 66.67% 95.37% 77.57% 96.26%

S.

908070503020100

97 98年 99年 00

ト(5X6)の正反応率(97‑2)

MmM

00007020100

97 9B年 常年 00*

ト(5Xe)の正反応轟く07‑3)

SS.

880702010

0

図3 問1‑(5)(6)の正反応率

2 3* 4 5年 6 間1<5×6)の正反応率 (97全体)

(6)

22

4)間 1‑(7)(8)の反応

長崎大学教育学部紀要 教科教育学 No.37(2001年)

表7 間 1‑(7)(8)の正反応率

・97‑2の児童 n‑108 97‑3の児童 n‑107 間1‑(7) 間1‑(8) 間1‑(7) 問1‑(8) 97年 82

.

41% 36.11% 85.98% 54.21%

98年 92.52% 45.37% 92.52% 48.60%

99年 92.59% 53.70% 98.13% 71.03%

00年 94.44% 70.37% 94.39% 75.70%

S.0070100

97 90年 99年 00年

PqlイJXB)正反応雷97‑2)

5)間 1‑(9)(10)の反応

M

mEj00

70too g70100

97 90* 沖年 00年 {1<7X8)の正反応轟く07‑3)

図4 間 1‑(7)(8)の正反応率

2年 4年 5年

nl<7Xl)正反応雷(07全体)

表8 間 1‑(9)(10)の正反応率

97‑2の児童 n‑108 97‑3の児童 n‑107 問1‑(9) 間1‑(10) 間1‑(9) 間1‑(10) 97年 50.00% 36.11% 71.96% 17.76%

98年 70.37% 27.78% 68.22% 5.61% 99年 77.78% 17.59% 71.03% 9.35%

00年 67.59% 12.04% 70.09% ll.21%

仇∬瓜仇瓜仇瓜仇仰抑807000紬仙3020t0.0

97年 90年 99* 00*

『118Xlのの正反応霊(1712)

%.55100

8gg0

97 始年 99F ODf {ト(lXlの正反応雷(87‑3)

図5 間 1‑(9)(10)の正反応率

2 3 4年 5 8

1(lXlのの正反応■く07全体)

(7)

表9 間 1‑

( l l )

(12)の正反応率

6 ) 間1‑( l l )

(

1 2 )

の反応

97‑2の児童 n‑108 97‑3の児童 n‑107 間1‑(ll) 間1‑(12) 問1‑(ll) 問ト(12) 97年 37.96% 15.74% 35.51% 15.89%

98年 51.85% 25.00% 53.27% 23.36%

99年 56.48% 31.48% 64.49% 28.97%

00年 62.96% 39.81% 73.83% 33.64%

0080.70.50gt0.0

97

年9 8 年9 9 年 0 0

間1

< 1 1 X 1 2 m 正 J i J 8 尊 0 7 2 )

00ggg100

ggg

g

gmto

o

97 90年 99

0 0 *

剛 1<11X12正反応雷

( m ‑ 3 )

図6 間1‑(ll)(12)の正反応率

2年 3年 4年 5年 8年

1(11X12)の正長鉱車(97全体)

以上 の図表 は、97‑2が第2学年か ら第5学年 までのデー タ、97‑3が第3学年 か ら第6学年 までのデータを掲載 してお り、1学年ずれた表示 にな っている。 また、97全体 の図 と比較 す る際 も、 この ことを念頭 にお く必要がある。 これ らを踏 まえ、間 1の反応状況 につ いて 次 の ことが言え る

まず、表4‑ 9及 び図1‑ 6よ り、97‑2と97‑3では、質問項 目の全てにおいて正反応率 の 高 さやその学年 による推移 のパ ター ンが両者 において非常 に似 て い る ことが分 か る。 従 っ て、 この結果を本調査 における発達系列 とす ることがで きよう。

また、97年度 に一斉調査 した各学年 の反応状況 デー タが97‑2と97‑3の反応状況 に類似 して いることか ら、97年度の時系列横断的調査 の結果 も発達系列 と して妥 当性 を持 ち うると判 断す ることがで きる。

次 に、項 目毎の正反応率 を見 ると、低学年期 よ り比較的高率であるものが(3)(6)(7)、 逆 に高学年 にな って も低率であるものが(2)(12)、中位 にまで しか届か な い ものが (1)(4)(5) (8)

( l l )

であった。 また

( 9 )

は学年 による変化が見 られず中位の ままで あ り、 (

1 0 )

は学 年進 行 によって逆 に低下 している。 こうした正反応率 の相違 は、 対 にお け る質 問項 目間 の相違 と して現れている。 すなわち、正反応率が高率 な ものは対 の中 で統制 的立場 にあ る もので あ り、低率 な ものは付加的な条件 を付加 した もの とな っているのであ る

(8)

24 長崎大学教育学部紀要 教科教育学 Nm37(2001年)

3.2間2の反 応状 況

間 2に対 す る97‑2、97‑3両 児 童 グル ー プの反応状況及 び97年度 調 査 の反応状況 は以下 の 通 りで あ る。

表10 問2の反応状況 (97‑2)

非経済的基準 経済的基準

直 接 的 統合的

1 4 6 小計 2 3 5 小計 7

97年 43.7% 10.7% 9.7% 64.1% 15.5% ll.7% 5.8% 33.0% 2.9%

98年 36.8% 9

. 4 %

12.3% 58.5% 17.0% 12.3% 8.5% 37.7% 3.8%

99年 28.3% 10

. 4 %

ll.3% 50.0% 22.6% 8.5% 6.6% 37.7% 12.39i

11 2の反応状況 (97‑3)

非経済的基準 経済的基準

接 的 間接的

1 4 6 小計 ′ 2 3 5 小計 7

97年 .26.2% 12.1% ll.2% 49.5% 26.2% ll.2% 4.7% 42.1% 8

. 4 %

98年 31.1% ll.7% 6.8% 49.5% 21.4% 9.7% 2.9% 34.0% 16.5%

99年 22.2% 10.1% 10.1% 42

. 4 %

20.2% 5.1% 3.0% 28.3% 29.3%

(9)

表10、11及 び図7‑ 9か ら、間2の反応状況 につ いて次 の ことが言 え る。

97‑2、97‑3、97全体 の3つの グラフでは、1の選択率 の推移 に相違があ るものの、共 に グ ラフの区分線が左下 を向いている。 これ は、 1、4、6の選択率 が減少 し、 逆 に2、 3、 5、7の選択率が増加 した ことを表 わ している。 す なわち、 図7‑ 9は、 縦軸 に学 年 を と り学年進行 は下 向 きで ある また、横軸 の系列 データは、2.1で述べ た非経済 的基準 と経 済 的基準 に分類 し、左側 に非経済的基準、右側 に経済的基準、 そ して右 端 に統 合 的経 済 的基 準 であ る7が来 るよ うに配置 してい る 従 って、 区分線が左下 が りな の は、 非 経 済 的基準 の選択率 が減少 し、経済的基準 の選択率が増加 していることを示 して い る。 特 に、 統 合 的 経済的基準 であ る7の増加が顕著で ある。

4 考案

以上 の結果か ら、子 ど もの価格判断の発達系列 を導 出す る ことが で きると同時 に、 時系 列横断的調査 によ って仮説的 に導 かれた発達系列 の是非 につ いて検証 す ることがで きる

4.1子 どもの価格判断の発達系列

まず、間 1及 び間 2の反応状況 の分析結果か ら、次 のよ うな発 達 的特 徴 を見 出す ことが で きる。

(彰子 どもは、競争相手が出現 した場合 は、価格 を下 げるとい う判断 を低学年期 よ りす る.

これ は、間1‑(3)(6)(7)の正反応率が低学年期 よ り高 か った ことによる これ らの質 問項 目に対 す る子 ど もの正反応率 は、低学年期 よ り90%前後 と高 い状 態 を保持 して い る 子 ど もは、 「同 じレモネー ド屋」 (3)ばか りでな く、 ハ ン′ヾ‑ガー屋 が売 り出 した 「飲 み物」 (6) も、近 くにで きた 自動販売機で売 られ る 「ジュース」 (7)も間違 いな く 「競争相手」 と認 識 し、価格 を下 げて対抗 しよ うと しているの は事実 である 子 ど もが ど う して こ う した判 断 をす るよ うにな ったのか は本調査 で は明 らか にで きないが、 この事 実 は、 子 ど もが既 に原 初的 な 「価格競争

概念 を保有 していることを示 す証拠 とな ろ う

(塾子 ど もは、 お客 が増 え るとき、価格 を上 げるとい う判 断 を学 年 進 行 に応 じて徐 々 にす るよ うにな る

これ は、 (1)(5)(ll)で正反応率 が学年進行 に伴 って徐 々に上 昇 して い き、 高学年 で70%

前後 とな ることか ら言 え る。 サ ッカー大会 に来 た 「多 くの人」 (1)、 ‑ ンバ ーガーを食 べ て い る 「多 くの人」 (5)、商店街 の近 くで 「増 えたお客

(ll)は、 「お客 さん が増 え る」 とい う条件変化 を直接的 に意味 して いる。 しか し、正反応率が(彰の よ うに低 学年 期 よ り高率 と な らず、徐 々に しか上昇 していかない。 この ことか ら、子 ど もの中 に は、 お客 の増 加 に伴 う価格判断で2つの考 えが括抗 しているよ うに思 われ る つ ま り、 お客 さんが多 い ときは、

安売 りをす るとい う判断 も有力 なのである。 この判断 は、子 ど もが見 聞 して い る実 際 の経 済現象 (バ ーゲ ンセールな どで人 だか りが して いる風景)と合 致 す るの で、 子 ど もに は根 強

く支持 され るのであろ う。

③子 ど もは、競争相手が いな くな ってお客 が増 え ると予想 され て も、 お客 が困 って い る 場合 には、価格 を上 げ るとい う判断を鋳拷 す るとい う傾 向が あ る。 この傾 向 は、 学年 進行 によ って徐 々に解除 されてい く。

(10)

2 6

長崎大学教育学部紀要 教科教育学 No.37(2001年)

これは、 (4)(8)の正反応率が低学年で低 く、高学年で も中位程度 まで しか上昇 しない こ とによる。 (4)(8)はお客が増えることが予想 され る状況下で、 お客 が困 って いるとい う心 情的条件を付加 した質問である。子 どもは、競争相手がいな くな って お客 が増 え るとい う 条件 と、お客 さんが困 っているとい う条件を考慮 して価格を判断す ることになる。 しか し、

この2つの条件 は全 く異質の ものであって、高学年 になると徐 々 に心情 的条件 を排除 して い くよ うになる

④子 どもは、登場人物 の立場や意思 によって、逆の価格判断 をす る傾 向が あ る。 この傾 向は小学校段階で はなかなか解消 されない。

これは、(2)(10)(12)の正反応率が高学年 にな って も50%を越 えない、すなわち逆 の判断 を していることによる。 これ らの質問 は、運動会が開かれお客 は多 いのだが、 そのお客が

「子 ども」であること(2)、原料供給者 の レモ ン農家の 「訴え

(10)、 商店街 の大売 り出 し に来ている沢山の人の 「安売 り商品を買 うとい う意思

(12)とい った登場人物 の立場 や意 思が条件 として付加 されている。 この付加条件が、子 どもの価格判断を逆転 させている

⑤子 ど もが自覚す る価格判断の基準 は、「お客 さんが困 っている様子」 など非経済 的基準 か ら、「お客の数」 などの直接的経済的基準、「利益」 の統合 的経済 的基準が学年進行 によって多 くな ってい く。

これは間 2の反応状況分析か ら言える。 しか し、子 どもの判断基準 は必ず しも非経済的 な ものか ら経済的な ものへ と移行す るのではな く、高学年 にな って も非経済 的基準 を重視 す る子 どももいる。

以上か ら、子 どもの価格判断に関 して、次のような発達系列 を導 出す る ことがで きる。

すなわち、子 どもは既 に低学年期 に経済的判断のための原初的 なル ールを持 ってお り、 価 格判断す る状況が単純 な場合そのルールを充分適用で きる。 しか し、 子 ど もはまた 日常生 活で用 いる生活 ルールを も有 してお り、それに従 って生活上 の判断 を して い る。 子 ど もが 直面す る価格判断状況で、 この両者が適用可能な場合、子 ど もは適用 す るル ールを任意 で 選択す ることになる。子 どものルール選択 には、発達的傾向が見 られ るが、 強 い もので は ない。

4 . 2

時系列構噺的璃重の妥当性

既 に述べている通 り、間 1、間 2における97‑2グループ、97‑3グループ、そ して97全休 の

3

つの反応 データを比較 した結果、三者の類似が見 られた。従 って、 本研究 で実施 した調 査 においては、時系列横断的調査の結果が、時系列縦断的調 査 の結果 によ って確証 された といえ る。 この ことは、発達調査 における時系列横断的研究 に方法的妥 当性 を与 え る もの と考え られる

5

おわ Uに

子 どもの 日常的社会認知 における発達系列 について、次 の よ うに結論 づ け ることが で き る。すなわち、子 どもは、判断す る文脈 において適用す るルールを選択 して判断 して い る。

ルール選択が容易な文脈 では判断の発達 は安定的だが、 そ うでな い文脈 で は不安定 な発達

(11)

となる。 また、調査方法の妥当性では、時系列横断的研究 も方法 的 に妥 当であ ると結論 づ けることがで きる。

本稿で行 ったデータ分析 は、4年間のデータの単純比較であった. しか し、4年間のデー タの蓄積 はまた別な観点か らの分析 も可能 にす る。本研究 で示 された子 ど もの 日常的社会 認知の発達系列が、 どのような経路で形成 され るのかなど、 子 ど もの発達 に関す る動的 な 分析が可能 になるであろう 今後、 こうした観点か らの分析 に取 り組みたい。

(付記) 本稿 は、平成9‑12年度学術振興会科学研究費補助金 (基盤研究C(2))、 研究課題 「子 ど も の日常的社会認知の発達 に関す る時系列縦断的研究」(課題番号 :09680277、研究代表者 :福 田正 弘) の研究成果の一部である. また、調査に際 しては、長崎大学教育学部附属小学校 の協力 を得 た。 ここ に厚 くお礼申 し上 げます。

文献

福田正弘(1998).子 どもの日常的社会認知の発達(1)一子 どもの価格判断 とその基準 ‑.長崎大学教育 学部教科教育学研究報告,31,1‑12.

福田正弘(1999a)子 どもの企業行動理解の発達.全国社会科教育学会,社会科研究,50,111‑120.

福田正弘(1999b).子 どもの日常的社会認知の発達(2)‑1997‑1998年庄調査の結果‑.長崎大学教育学部 紀要教科教育学,33,17‑26.

福田正弘(20m).子 どもの企業行動理解の発達(2).長崎大学教育学部紀要教科教育学,34,15‑25.

表 5 問 1‑( 3)( 4) の正反応率2)問 1‑(3)(4)の反応 9 7 ‑ 2 の児童 n‑1 0 8 9 7 ‑ 3 の児童 n‑1 0 7 間ト( 3 ) 間1 ‑ ( 4 ) 間1 ‑ ( 3 ) 間1 ‑ ( 4 ) 9 7 年 8 0
表 9 間 1‑ ( l l ) ( 1 2 ) の正反応率6)間1‑(ll)(12)の反応 97 ‑ 2 の児童 n‑1 0 8 97 ‑ 3 の児童 n‑1 07 間1 ‑ ( ll ) 間1 ‑ ( 1 2 ) 問1 ‑ ( ll ) 問ト( 1 2 ) 97 年 37

参照

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