Bul l e t i nofFac ul t yofEduc at i o n,Na gas akiUni v e r s l t y:Cur r i c ul um andTe ac hi ng1 9 9 8,N o . 3 1 ,1‑1 2
子 どもの 日常的社会認知 の発達 (1)
一子 ど もの価格判 断 とその基準 一
福 田 正 弘 *
(平成
1
0年3
月1 3
日受理)Th eDe v e l o p me n to fCh i l d r e n ' sS o c i e t a lTh i n k i n gi nE v e r y d a yLi r e ( 1 )
‑Chi l d r e n' sPr i c eDe c i s i o na ndt he i rCr i t e r i a‑
Mas ahi r oFUKUDA
*( Re c e i v e dMar. 1 3, 1 9 9 8 )
1
.研 究 目的本研 究 は、子 ど も (小学 校第
2
学 年 〜第6
学年 児童) が、 日常 的 な文脈下 で小売 商品 の 販売価 格 を決定 す る際 に用 い る判 断基準 を明確化 す る ことによ って、彼 らの 日常 的社会認 知 の発達構 造 を明 らか にす る もので あ る。これ まで、子 ど もの価 格概念 の発達 に関す る調 査研 究 には、実在 す る財 の価格 の違 いを 子 ど もに説 明 させ る もの と、様 々な条件 下 で子 ど もに価格 の動 きを判 断 させ る ものの
2
つ が あ る。前者 に属 す る もの と して は、 田丸
( 1 987a, 1 987b, 1 989, 1 993)
、Ber t 呈and Bombi (1 981 , 1 98 8)
、Burr i s( 1 983)、Sc hug and Bi r ke y( 1 985 )
が あ る。 これ らの研究 で は、子 ど もに身 近 な 数 種類 の財 を挙 げ、 それ らの価格 が なぜ違 うのか その理 由 を説 明 させ、子 ど もの説 明根拠 を価格 概念 と して把握 しよ うと して い る。 その結 果、例 え ば 田丸(1 987a, 1 987b , 1 989)
が指 摘 す るよ うに、子 ど もの説 明 は、小 学校低学年段 階で は商 品 の大 きさや味 とい った物 理 的 属性 に依拠 す る自然 的説 明が断然 多 く、取 れ高 や生産 費 とい った社 会 的背景 に言 及 す る社 会 的説 明 は小学 校高学年 にな ってか らで あ り、両 者 の混在 期 を加 えて、子 ど もの価格 概念 は、 自然 的説 明、混 合 的説 明、社 会 的説 明 の3
段 階 を経 て発 達 す る とい う結 論 が導 か れ て い る。他方 、後者 に属 す る もの と して は、福 田(
1 993 , 1 997 , 1 998)
が あ る。 これ らの福 田 の調 査 で は、需給量変化 と価格 の変化 を子 ど もが ど う捉 えて い るか を見 るため に、 需給 量 の変化 が予想 され る様 々 な事態 を示 し、子 ど もに小売業 者 と して ど うい う価格 戦 略 を採 るかが問 われて い る。 その結 果、 需給量変 化 が直接 的 に示 され るよ うな単純 な場 面 で は、小学 校低 学年 の子 ど もで さえ比較 的容 易 に r正 しい」価格戦 略 を採 れ るの に対 し、 直接 的 に需給量 変化 に結 び付 け られな い場面 で は判 断 に困惑 し、高学年児童 で さえ 「非 合理 的」 な判 断 を す る とされて い る。*長崎大学教育学部社会科教育学教室
これ ら
2
種類 の先行 研究 の結 果 は、小学 校低学 年期 か ら子 ど もは、需給量 とい う社 会 的 関係 の中で価格 を捉 え る ことが 出来、 原型 的 な価格概 念 を有 して い る もの の、無 前提 に財 の価格 の違 いを説 明す るよ うに求 め られ た り、単純 に需給 量変化 に結 び付 け られ な い事態 で価格 判 断 を求 め られ る とい った場面 で は、既有 の概 念 を用 いた思考 が 出来 な い ことを示して い る。
と ころで、子 ど もが概念 の使 用 に困難 を きたす の は、概念 その もの を持 ち合 わせて いな い場 合 を除 けば、 そ の大半 は問題 の脈絡 の中で どの概 念 を用 いて よいか迷 った り、異 な っ た概 念 を適 用 した りす るか らで あ る。 例 え ば、福 田(
1 99 8)
で は、子 ど もは原材料 の価 格 が 下 が れば商 品価 格 も下 げ ると判 断す るの に対 し、 その原材料供給者 が価格 の引 き上 げを訴 えて い る とな ると一転 して商品価格 を引 き上 げ ると判 断す る ことが明 らか に され て い る。 これ は、子 ど もの 「生 産費 の下 落 は商 品価 格 の下 落 につ なが る」 とい う概念 が、原材 料供 給者 の訴 え とい う脈絡 下 で は適 用 されず、 その代 わ りに 「困 った人 を助 け る」等 の道 徳 的 概念 が適用 され、彼 らの訴 え に同情 した判 断 が下 され た と言 え よ う。 この よ うな事例 は 日 常生活 の中で枚 挙 に暇 が な く、子 ど もは遭 遇 す る生活 の脈絡下 で、適 用 す る概念 を様 々に 変化 させ て判 断 して い るので あ る。で は、 この よ うな懇意 的 な概 念適用 が可 能 な文脈下 で、子 ど もが適 用 す る概念 の種類 に は、 どん な発達 的 な特 徴 が あ るのだ ろ うか。 そ して、子 ど もが社 会概 忠 (価 格概 念) を選 択 し適 用 して い くよ うにな るまで に、 どの よ うな発達 的経緯 が あ るの だ ろ うか。本研究 は、
この問 いに答 え るた め、様 々な条件下 で の子 ど もの価 格判 断 に加 え、彼 らの判 断基準 を問 う ことに よ って、子 ど もが適 用 す る概 念 の発達 的特徴 を明 らか にす る。
2.
方 法2. 1
調査 内容 と調査問題上 記 目的 を達 成 す るた め に、本研究 で は次 の
2
つ を内容 とす る調 査 を計画 した。1
つ は、様 々 な条件 下 で の子 ど もの価格 判 断 で あ る。 これ は、福 田(
1 998)
を踏 襲 す る もので あ る。 福 田(1 998)
によれ ば、子 ど もの価 格判 断 に影 響 を及 ぼす経済 外 的要 因 と して、 「道 徳 的要 因」、判 断主体 と して の子 ど もの 「特殊利 害」、 「登場 人物 の意 図」 の3
点 が挙 げ られ、 そ れ らの要 因 を判 断条件 と して組 み入 れ た質 問項 目 と、組 み入 れな い質 問 項 目を5
対 、 合 計1 0
項 目設定 し、 それぞれの反 応状況 を分 析 して い る。 今 回、 この対 に よ る反応分析 を よ り精 微化 す るため、対 とな る質 問項 目の内容 を再検討 し、6
対合計12
の質 問項 目 を調 査 問 題 の間1
と して設定 した。 表1
は、質 問項 目の対 応 関係 が判 然 とす るよ うに、対照表 の形 に ま と めた もので あ る。 これ らの対 を構成 す る際 に用 いた基 準 は以下 の通 りで あ る。(
1)( 2)
‑‑‑・子 ど もの特殊利 害 (大人 の客 か子 ど もの客 か とい う客 の属 性)( 3)( 4)
‑‑‑‑道徳 的基準 (競争相手 の リタイ アに よ る客 の困惑 )( 5)( 6)
・‑‑‑競合商 品 の出現 (補完 的関係 にあ る商 品 と代替 的関係 にあ る商 品)( 7)( 8)
‑・‑‑道徳 的基 準 (競 合商 品 の販売 中止 に よ る客 の困惑)( 9)
(1 0)
‑‑・登場人物 の意思 (レモ ン価格 の低下 に対 す る農家 の訴 え) (ll)(1 2)
‑‑登場 人物 の意思 (商店 街 ‑ の買 い物客 の意思)これ らの基準 で示 され る事態 を組 み入 れ た質 問項 目を偶数番号 の項 目 と し、奇 数番号 の 項 目と対応 させ て い る。 子 ど もは、 この表 の各項 目の記述 内容 を条件 と して、 自 ら販売 す
福 田 :子 ど もの 日常 的社 会認 知 の発 達 (1)
る レモ ネ‑ ドの販 売 価 格 を 「上 げ る」 か 「下 げ る」 を決 定 す る よ う求 め られ る。
表
1
間1
の質 問項 目の対 照表3
(1) 近 くで サ ッカーの大 会 が 開 か れ て 、 多
( 2)
.近 くで運動 会 が開 か れ、 た くさん の子 くの人 が集 ま って い る○ ど もが参加 して い る○( 3)
とな りに同 じ レモ ネー ド屋 が で きた○ 困 って い る(
な って、 店 を休 みだ した の で、 お客 さん が4)
とな りの レモ ネー ド屋 さん が 、 病 気 にo( 5)
とな りに‑ ンバ ‑ ガ‑屋 (飲 み物 は売 つ( 6)
とな りの‑ ンバ ー ガ ‑屋 が 飲 み物 も売て いな い)が で きて、 た くさんの人が買 って、
近 くで食 べ て い るo り出 した○
(7)近 くに ジュー スの 自動 販売 機 がで きた○ 故 障 して、 ジュー スを買 い に きた人 が 困 って い る
( 8)
近 くに あ った ジュ ー ス の 自動 販 売 機 が○( 9)
レモ ンが安 か つたの で、 た くさん 買 つ( 10)
レモ ンが安 くな りす ぎて、 レモ ンを作 つて、 いつ もよ り多 くの レモ ネー ドを作 ったo て い る農家 の人 が、 「レモ ンを高 く買 って ほしい」と訴 えて い る○
(ll )
商店 街 の近 くに店 を 出 した ら、 いつ も (1 2)
近 くの商店 街 が大売 り出 しを して 、 安今1つ は、 子 ど もが意 識 化 して い る判 断基 準 で あ る。 す な わ ち、 子 ど もが 価 格 判 断 に お いて用 い る基 準 と して、 どの基 準 を意 識 して い るか を問 う もの で あ る。 これ に よ って、 子 ど もが メ タ認 知 と して 自身 の判 断 を客 観 化 した 内容 が分 か る。 さ らに、問 1の結 果 と併 せ て分 析 す れ ば、 例 え ば 問1で子 ど もが 「道 徳 的要 因」 に惑 わ され て 道 徳 的 な判 断 を した と
して も、 そ れ が遺 徳 的基 準 を意 識 した もの で あ れ ば、 立 派 に 「合 理 的 な」 判 断 と言 え、 こ の よ うな子 ど もの非 合 理 的 な判 断 の合 理 性 を 明 らか に出来 るで あ ろ う。 調 査 問 題 (問 2)で は、子 ど もが答 え られ や す い よ うに、 あ らか じめ
7
つ の基 準 を挙 げ、 そ の 中 か ら価 格 判 断 で重 視 す る順 に3
つ を選 択 す る よ うに した (表2
)。表
2 間 2
の質問内容あ な たが レモ ネ ー ドの値 段 を決 め る と き、 どん な ことに注意 します か。
次 の
7
つか ら大事 だ と思 う もの を̲
旦̲三 選 らん で、 ( )に大事 だ と思 う順 番 を数字 (1 ‑3 )
で書 いて くだ さい。じゅん ぽん (丑 お客 (き ゃ く) さん が こま って い るよ うす
② お客 の数 (お き ゃ くのか ず)
③ レモ ンの値 段 (ね だん)
④ 子 ど もの小遣 い (こづ かい)
レモ ネー ドを買 い に きた子 ど もが もって い るお金
⑤ 競争 相 手 (き ょうそ うあ いて)
⑥ レモ ンを作 って い る農 家 (の うか)
⑦ 利 益 (りえ き ・もうけの こ と)
2. 2調 査 方 法
調 査 は、 既 に触 れ た よ うに、 質 問 紙 法 に依 った。 調 査 は、 1
998
年1
月 に長 崎 市 内 の 小 学 校1
校 で、 第2
学 年 か ら第6
学 年 児 童 の全 員 に対 して実 施 され た。 調 査 対 象 児童 数 は表3
の 通りで あ る。
表3 調査対象 児童数 (人) 2年 3年 4年 5年 6年 男子
6 0 63 5 9 5 3
女子62 6 0 5 9 5 9
合計1 2 2 1 2 3 1 1 8 1 1 2
1 0 1 5 6 11
甜‑86 ‑00 ‑86
2. 3分 析 方 法
調 査 デ ー タの分 析 は、
問 1
、 問2で別 々 に行 った。 問1
で は、6対12
項 目の問 に対 す る反 応 を学 年 別 に集 計 し、 反 応 の 出現 率 (百 分 率 )を算 定 す る と同 時 に、 反 応 種 別 と学 年 との関連 性 を見 るた め に カ イ二 乗 検 定 を行 った。 そ して、 各 対 にお いて対 照 され て い る項 目の正 反 応 率 を グ ラ フで比 較 した。 問2
で は、7
つ の選 択 肢 につ い て第1
位 か ら第3
位 ま で の 順 位 毎 に選 択 され た数 を学 年 毎 に集 計 し、 そ の選 択 率 (百 分 率)を算 定 す る と共 に、 そ れ ぞ れ の選 択 肢 につ いて第1
位 か ら第3
位 まで に選 択 され た総 数 を算 定 し、 同 じ く総 選択 率 を算定 した。▼′ 1
福 田 :子 どもの 日常的社会認知 の発達 (
1) 5
3.
結 果3.1
子 どもの価格判断
問1の反応結果 を表
1
の対応順 に従 って、 それ ぞれ の反応 の出現率 を百 分 率 で示 す (表4
‑1 5
。 反応欄 の下線 を付 した もの は、期待 す る正反 応 を示 す。 )また、 対 応 す る質 問項 目 で、期待 した正反応 の出現 率 を比較 す る グ ラフ(図1‑ 6
)を示 す。表
4 間 1‑ (1)
の反応 表5 間 1‑ ( 2 )
の反応反応
2
年3
年4
年5
年6
年 反応2
年3
年4
年5
年6
年 上 げ る3 6. 1 % 3 5. 0% 51. 7% 6 4. 3% 7 7. 3%
上 げ る2 6 . 4% 21. 1 % 3 3 . 1 % 3 8 ・ 4% 6 0・ 0%
下 げ る
6 3. 9% 65. 0% 4 8. 3% 3 5. 7% 2 2. 7%
下 げ る7 3・ 6% 7 8・ 9% 6 6・ 9% 61 ・ 6% 4 0・ 0%
∬ 2
‑61 . 6 5 5 df ‑4 P<. 01
8 0%
7 0%
6 0%
5 0%
4 0%
3 0%
2 0 %
10%
0%
x
2‑4 5. 0 8 3 df ‑4 p<. 01
2
年
3年 4 年 5 年 6 年
図 1 間 1‑ (1) と (
2
) の正反応率表
6 間 1‑ ( 3 )
の反応反応
2
年3
年4
年5
年6
年 上 げ る1 9. 7% 1 0. 6% 7. 7% 6. 3% 5. 5%
王逆 旦
8 0. 3% 8 9 . 4 % 9 2. 3% 9 3. 8% 9 4. 5%
∬2
‑1 7. 5 2 6 df ‑4 p<. 01
1 00 % 90 % 80 % 7 0 % 6 0 % 50 % 40 %
30%
2
0%
1 0%
0%
表
7 間 1‑ ( 4 )
の反応反応
2
年3
年4
年5
年6
年 上 げ る2 5. 0% 3 8. 2% 3 8. 2% 5 3. 2% 7 0 . 4%
下 げ る
7 5. 0% 61. 8% 61, 8% 4 6. 8% 2 9. 6%
x
2‑55. 0 91 df ‑4 p<, 01
2年 3 年 4 年 5 年 6 年
図
2 間 1‑ (3)
と(4)の正 反応 率
表
8 間 1‑ ( 5 )
の反応反応
2
年3
年4
年5
年6
年 土壁 旦3 3. 9% 4 7. 2% 5 6. 8% 7 5. 9% 7 9. 1 %
下 げ る6 6. 1 % 5 2. 8% 4 3. 2% 2 4. 1 % 2 0. 9%
∬2
‑6 9. 6 4 5 df ‑4 pく 01
% % % % % % % 0 0 ・0 0 0 0 0 0 9 8 7 6 5
41
%%0032表
9
間1‑ ( 6 )
の反応反応
2
年3
年4
年5
年6
年 上 げ る21. 3% 9. 8% 8. 5% 3. 6% 5. 5%
王ぜ旦
7 8. 7% 9 0. 2% 91. 5% 9 6 . 4% 9 4. 5%
x
2‑2 5. 51 5 df ‑4 p<.
01: : : : : : :
. 重
】
LE鳴(つ(56::
2
年 3 年 4 年 5 年 6 年
図3 間 1‑ (5) と (6) の正 反応 率
福 田 :子 ど もの 日常 的社 会認 知 の発達 (
1)
表
1 0 間 1‑ ( 7 )
の反 応反 応
2
年3
年4
年5
年6
年 上 げ る1 6 . 4% 1 2. 2% 3. 4% 4. 5% 3. 6%
土 壁 旦
8 3. 6% 87. 8% 96. 6% 95. 5% 9 6 . 4%
x2
‑2 2. 22 2 df‑4 p<. 01
7
表
日
間1‑ ( 8)
の反応反 応
2
年3
年4
年5
年6
年 上 げ る3 7. 7% 51. 2% 5 3 . 4% 67. 0% 81. 8%
下 げ る
62. 3% 4 8. 8% 46. 6% 3 3. 0% 1 8. 2%
r2
‑5 3. 1 2 0 df ‑4 p<. 01
表1
2 間 1‑ ( 9)
の反応 表13 間 1
‑( 1 0)
の反応反 応
2
年3
年4
年5
年6
年 反 応2
年3
年4
年5
年6
年 上 げ る4 7. 5% 2 9. 3% 2 4. 6% 21. 4% 2 6. 9%
下 げ る
5 2. 5% 70. 7% 7 5 . 4% 7 8. 6% 7 3. 1%
r 2
‑2 3. 8 92 df ‑4 p<. 01
上 げ る
63. 1% 83. 7% 82. 2% 90. 2% 9 0. 7%
下 げ る
36. 9% 1 6. 3% 1 7. 8% 9. 8% 9. 3%
x
2‑39. 7 46 df ‑4 p<. 01
蓑1 4 間 1‑ (
ll)の反応反応
2
年3
年4
年5
年6
年 上 げ る36. 1 % 3 6. 6% 5 4. 2% 6 7. 0% 7 0. 0%
下 げ る
6 3. 9% 6 3 . 4 % 4 5. 8% 3 3. 0% 3 0. 0%
x
2‑4 8. 69 0 df ‑4 p<. 01
表
1 5
間1‑ ( 1 2 )の反応
反応 2年 3年 4年 5年 6年 上 げ る
1 4. 8% 1 5 . 4% 2 4. 6% 31. 5% 3 6. 7%
下 げ る
8 5. 2% 8 4. 6% 7 5 . 4% 6 8. 5% 63. 3%
32
‑2 3. 62 3 df ‑4 p<. 01
I % 1
. %(
一 % l %
%
%
%
図
6 間1‑ (
lll)と( 1 2 )の正反応率
3. 2子 ど もの判 断基 準
次 に問
2の反 応 結 果 を選 択 順 位 毎 に示 す (
表1 6‑1 8)
。 そ して、 そ れ らを合 算 して、 そ れ ぞ れ の項 目の総 選 択 率 を示 す (表19
、 図7
)。表
1 6
第1
位の選択反応
2
年3
年4
年5
年6
年①
4 4 . 4 % 2 6. 0% 3 8. 5% 2 6. 6% 1 0. 2%
②
1 6. 2% 2 5. 2% 1 8. 3% 1 9. 3% 2 0 . 4%
③
1 1. 1 %
ll. 4% 5. 8%
ll. 9% 1 7. 6%
④
1 1 . 1% 1 0. 6% 6. 7% 1 0. 1 % 4. 6%
⑤
5. 1% 5. 7% 4. 8% 4. 6% 3. 7%
@
9 . 4% 1 3. 0% 8. 7% 4. 6% 5. 6%
@
2. 6% 8. 1 % 1 7. 3% 2 2. 9% 3 8. 0%
表
1 7
第2
位の選択反応
2
年3
年4
年5
年6
年①
1 4. 7% 1 8. 2% 1 0. 6% 1 4. 7% 7 . 4%
②
2 3. 3% 2 2. 3% 1 8. 3% 2 5, 7% 21. 3%
③
1 4. 7% 2 4. 8% 2 0. 2% 1 2. 8% 2 5. 9%
④
2 6. 7% 1 4. 9% 2 6. 9% 1 8. 3% 6. 5%
⑤
4. 3% 6. 6% 5. 8% 1 0. 1 % 1 2. 0%
⑥
1 2. 1 % 1 0. 7% 5. 8% 7. 3% 9. 3%
⑦
4. 3% 2. 5% 1 2. 5%
ll. 0% 1 7. 6%
福 田 :子 ど もの 日常 的社 会認 知 の発達 (
1)
表
1 8
第3
位 の選択反応 2年
3
年4
年5
年6
年 01 2. 9% 1 2 A% 1 0. 6% 8. 3% 6. 5%
②
1 4. 7% 21. 5% 25. 0% ll. 9% 1 9 . 4%
⑨
1 2. 1% 9. 9% 1 2. 5% 9. 2%
ll. 1%
④
20. 7% ll. 6% 1 2. 5% 1 5. 6% 8. 3%
@
9. 5% 1 2 . 4% 4. 8% 20. 2% 1 9 . 4%
@
1 9. 8% 1 4, 0% 25. 0% 1 7 . 4% 1 0. 2%
@
1 0. 3% 1 8. 2% 9. 6% 1 7 . 4% 25. 0%
9
表
1 9
総選択 率反応
2
年3
年4
年 5年6
年 (丑72. 2% 5 6. 7% 59. 6% 49. 5% 2 4. 1%
②
5 4. 2% 69. 0% 61. 5% 56. 9% 61. 1%
@
37. 8% 46. 0% 38. 5% 33. 9% 5 4. 6%
@
58. 5% 37. 0% 46. 2% 44. 0% 1 9 . 4%
⑤
1 8. 9% 24. 7% 1 5. 4% 34. 9% 35. 2%
⑥
41. 3% 37. 8% 39. 4% 29 . 4% 25. 0%
⑦
1 7. 2% 28. 8% 39 . 4% 51. 4% 80. 6%
4.
考 察4. 1
子 どもの価格 判断 の特徴問
1
の反応結果 を示 す表4‑ 15
及 び各対 の正 反応 率 を比較 した図1‑ 6
か ら、 子 ど もの価 格判 断 の特 徴 と して、次 の2
点 が指摘 で きる。・項 目(3)
( 6)
(7)( 9)
にお いて、子 ど もは低学 年 期 よ り高 い正反 応率 を示 し、基本 的 な経 済概念 を形 成 して い る。・各 対 にお いて、
2
つ の項 目の正 反応 率 に大 きな差が認 め られ、子 ど もは明 らか に異 な っ た判 断 を して い る。これ らは、正反 応率 の値 に若干 の相違 が あ る ものの、 福 田(
1998)
の調 査結果 と一致す る。それ ゆえ、 「子 ど もが理解 して い る基 本 的 な法 則 的知識 は、様 々な判 断 要 因 が混 入 す る 日 常 的 な文脈 で は、単 純 に適 用 され な い」 (福 田
, 1998, p. 35)
ので あ って、 子 ど もは文 脈 に お いて用 い るべ き基準 を取 り替 えて判 断 して い るので あ る。4. 2
子 どもの判 断基 準 に見 られ る発達 的特 徴で は、子 ど もが文脈 に応 じて用 い る基 準 に は、 どの よ うな発達 的特 徴 があ るのだろ うか。
まず、 表
19
と図7
か ら明 らか な よ うに、第2
学 年 にお いて は① 客 の困惑、 第3 ,4,5
学 年で は② 客 の数、第
6
学年 で は③利益 の選択 率 が最 も高 く、 またその他 の項 目に対 す る選択 率 に も学年 で大 きな差 が あ り、子 ど もが価格 判 断 の際重視 す る基準 は学年 に よ って異 な っ て い る。 さ らに、第2学年 と第6学年 で は特定項 目へ の選択 が集 中す るの に対 し、 その間 の 学 年 で は選 択 が分散 す る傾 向 にあ る。と ころで、 問
2で挙 げた 7
つ の項 目は、 その性格 によ って次 の よ うに分類 で きる。 経済 的基 準 ‑ ‑ レモ ネー ド販売 の収 支 に関 わ る基準直接 的経済 的基準 ‑ ‑収 入 また は支 出の判 断 が直接 的 にで きる もの (②客 の数、③ レモ ン価格、⑤ 競争相手)
統 合 的経済 的基 準 日・‑問
1
の価格判 断 で直接 問 われ なか ったが、価 格判 断 の 目的 に相 当 し、 直接 的 な基 準 を統合 す る もの (⑦ 利益)非経 済 的基準 ‑ レモネー ド販売 の収 支 に は関 わ らな い基 準
((丑客 の困惑、④子 ど もの小遣 い、⑥ レモ ン農 家)
そ こで、 この分類 に従 って、各学年 の子 ど もの反応 状況 を整理 し(表20)、彼 らが選択 し た基準 の性 格上 の特 徴 を見 て み る。
表
2 0
種類別 の総選択 率種類 反応
2
年3
年4
年5
年6
年経
済的 直 接 的 ②客 の数
5 4. 2% 6 9. 0% 61. 5% 5 6. 9% 61 . 1 %
③ レモ ン価格
3 7. 8% 4 6. 0% 3 8. 5% 3 3. 9% 5 4. 6%
⑤競争相手
1 8. 9% 2 4. 7% 1 5 . 4% 3 4. 9% 3 5. 2%
統 合 的 ⑦利益
1 7. 2% 2 8. 8% 3 9 . 4 % 51 ̲ 4% 8 0. 6%
非 経 済 的 ①客 の困惑④子 どもの小遣 い
7 5 2. 8. 2% 5% 5 3 6. 7. 7% 0% 5 4 9. 6. 6% 2% 4 4 9. 4. 5% 0% 2 1 4. 9 . 4 1 % %
この表 か ら、第2学年 で は非経 済 的基準 (客 の困惑 、子 ど もの小遣 い) が多 く、第 3,
4
,5
学年 で は直接 的経 済 的基準 (客 の数) と非経済 的基 準 (客 の困惑) が混在 し、第6
学年 で は統 合 的経済 的基準 (利益) が多 い ことが分 か る。 また、 それぞれの基準 の種類毎 に表 を横 に見 ると、非経 済 的基準 が学 年進 行 に応 じて減少 して い くの に対 し、経 済 的基準 は学年進行 に応 じて増加 して い くことが分 か る。 従 って、子 ど もの価格判 断 の基 準 は、小 学校 低学年 期 か ら高学年 期 にか けて、非経 済 的基 準 の段 階、非経 済 的基準 と直接 的経 済 的 基準 が混在 す る段 階、統 合 的経済 的基 準 の段 階 を経 て発達 す る と言 え る。
4. 3子 どもの非経済 的判 断の合理 性
で は、子 ど もは、意識 的 に挙 げた判 断基 準 に従 って合理 的 に判 断 して い るのだ ろ うか。
これ まで、経済 的意思決 定 と して重視 され る合理 的意思決 定 とは、 こ こで い う経 済 的基準 に従 った判 断 を指 してお り、非経 済 的基準 によ る判 断 を非 合理 と して きた。 しか し、子 ど もが経 済 的基準 を持 ち合 わせつつ敢 えてそれを適 用 せず、非経 済 的基準 に従 って判 断 した と した ら、 それ は非 合理 とは言 え ないで あ ろ う。 そ こに は、文脈 に応 じた一 種 の価値 選択 的 な判 断が含 まれて お り、単 純 に非経済 的 ‑非合理 とは言 えな いか らで あ る。
福田 :子どもの日常的社会認知の発達 (1)
l l
そ こで、 非 経 済 的基 準 の中 で、 各 学 年 を通 じて最 も多 く選択 され て い る(丑客 の困惑 を取 り上 げ、 この基 準 の選 択 の有 無 と、 この基 準 が価 格 判 断 に最 も反 映 され る問
1( 4)( 8)
の反 応 との関係 を カイ二 乗 分 析 に よ って検 定 して み た。 但 し、 こ こで は子 ど もの選 択 意 識 の強い デ ー タを取 り上 げ るた め、 第
1
位 選 択 の デ ー タの み を分 析対 象 と した (表2
1)。表
21
① 「客の困惑」の選択と問1(4)(8)
の関係問
1( 8)
‑h
d
f眼‑Jd
f眼2
年3
年0. 3 46 0. 9 2 4
1 1
n. S. n. S.
0. 0 3 7 0. 6 0 4
1 1
n. S. n. S.
4
年5
年6. 8 6 7 1 6. 6 5 2
1 1
p<. 01 p<. 01 4. 1 5 0 2 0. 91 1
1 1
p<. 0 5 p<. 01
6
年2 05 61 . 98 1 く 3 ・ 3 1 4 p 1
p<. 01
そ の結 果 、両 者 の間 に は、 第
2
、3
学 年 で は有 意 な関係 は認 め られ なか ったが、 第4
学 年 以 降 で は有 意 水 準5%
乃 至 は1%
未 満 で有 意 な関係 が見 られ た。 この こ とは、 第3
学 年 以 下 の子 ど もは価 格 判 断 の基 準 と して客 の困惑 を第 1位 で選択 して いて も、実 際 の価格 判 断 で はそれ が反 映 され な いの に対 し、 第4
学 年 以 降 の子 ど もで は、 明 瞭 な判 断 の違 い と し て反 映 され る こ とを意 味 して い る。 つ ま り、 価 値選 択 に よ って 自 らが選 択 した基 準 に よ っ て合 理 的 に判 断 で き るの は、 小学 校 高学 年 (第 4学 年)にな ってか らで あ り、低学年 期 の子 ど もの判 断 は、選 択 した基 準 に従 った合 理 的判 断 とは必 ず しも言 え な いので あ る。 従 って、低 学 年 児童 の非経 済 的判 断 と、 高学 年 児 童 の それ とは質 的 に異 な った もので あると言 え る。
5.
結 語以 上 述 べ て きた よ うに、 子 ど も (小 学 校 第
2
学 年 〜第6
学 年 児 童) が、 日常 的 な文 脈 下 で小 売 商 品 の販 売 価 格 を決 定 す る際 に用 い る判 断基準 を明確 化 す る こ とに よ って、彼 らの 日常 的社 会 認 知 の発 達 構 造 を部 分 的 で はあ るが 明 らか にで きた。 本研 究 の成 果 を ま とめ る と次 の よ うに な る。・子 ど もの価 格 判 断 は、 条 件 と して設 定 され る文脈 に よ って影 響 を受 け、異 な った判 断 基 準 が用 い られて い る。
・子 ど もが意 識 化 す る判 断基 準 は学 年 に よ って異 な り、 非 経 済 的基準 の段 階、 非 経 済 的 基 準 と直接 的経 済 的基 準 が混 在 す る段 階、 統 合 的経 済 的基 準 の段 階 を経 て発 達 す る。
・高 学 年 児 童 の非 経 済 的判 断 は、選 択 した非 経 済 的基 準 に従 った合理 的判 断 で あ るの に 対 し、 低学 年 児童 のそ れ は必 ず しも合 理 的 とは言 えず、 子 ど もの非 経 済 的判 断 にお い て学 年 に よ る質 的 な相 違 が見 られ る。
しか しなが ら、 今後 究 明 す べ き課 題 もまた多 く見 出 され た。 例 え ば、 本 研 究 で 明 らか に な った子 ど もの価 格判 断基 準 の発 達 過程 が、他 の経 済 的判 断 の場 面 で も妥 当 す る ものか と い う発達 過 程 の普 遍性 の吟 味 や、 子 ど もの非 経 済 的判 断 にお いて 明 らか にな った学 年 に よ る質 的 な相 違 の さ らな る解 明 な ど は、 今 後 究 明 して いか ね ば な らな い課 題 で あ る。 また、
本研 究 は、 様 々 な学 年 の子 ど もを同時 に調 査 し、 そ の反応 を比 較 して発達 を云 々す る時系 列 横 断 的研 究 で あ り、純 然 た る発 達 研 究 とは言 い難い 。 その意 味 で、 本研 究 の成 果 は仮 説
の域 を 出 る こ と は な い。 今 後 、 これ らの 子 ど もが ど の よ うに発 達 を遂 げ て い くの か 、 個 々 の 子 ど もの 変 化 に焦 点 を 当 て た追 跡 的 研 究 が 必 要 で あ る。
(付記) 本稿 は、平成
9‑1 2
年度文部省科学研究費補助金 (基盤研究C( 2
))、研究課題 「子 ど もの 日常 的社会認知 の発達 に関す る時系列縦断的研究」 (課題番号 :0 9 6 802
77、研 究 代表 者 :福 田正 弘) の研 究 成果の一部 であ る。 また、調査 に際 して は、長崎大学教育学部附属小学校 (有 田嘉伸校長 ) の協 力 を得 た。 ここに厚 くお礼 申 し上 げます。文 献
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