九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
シッフ塩基の求核付加反応による非天然型アミノ酸 の合成
立川, 明
https://doi.org/10.11501/3135150
出版情報:Kyushu University, 1997, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
シッフ塩基の求核付加反応による 非天然型アミノ酸の合成
立川 明
次
第1 l'完 結論 参考文献
1 11
第2帝 キラル(ボルニリデンアミノ)アセタートのアンチ選択的不斉 12 Michael付加反応
第1節 序 第2節
第3節
第4節 第5節 第6節 第7節 第8節 第9節
12
光学活性(ボルニリデンアミノ)アセタートおよび 17 Michaelアクセプターの合成アクリル酸およびクロトン酸エステルをアクセプター 19 に用いた不斉Michael付加反応
Michael付加体の相対配置および絶対配置の決定 24 α-回換α,ß-不飽和エステルとの反応 27
考察
35
結語
40
実験
42
参考文献
56
第3予言 アンチ選択的重複不斉誘導型Michael付加反応 第1節 序
第2節
第3節 第4節 第5節 第6節 第7節
06 0Hu -
Fコ 戸、d
3-(1,3-ジオキソラニノレ)アクリル酸エチルを用いた
fo一複不斉誘導型Michael付加反応
Michael付加体の縛造決定、斉発現機構の考察
9 2 7 9 0
fO
【/
門/
門/
QJ z上翌五小口ロ円
実験 参考文献
第4市 (アルキリデンアミノ)アセタートのアルデヒド 92 イミンとの反応
第1節 序 92
第2節 チタンエノラートを用いる立体選択的アルドーlレ反応 98
第3節 不斉アルドール反応への展開
103
第4節 イミンとの反応
108
第5節 J3祭
115
第6節 ト小l寸1::苛ロ 11 工
119
約7節 実験
121
第8節 参考 文献
140
第5 I�( ジチオカルボンイミド酸エステルのα,ß-不飽和エステル
143
へのMichael付加反応
第1節 序
143
ヨ} 2節 第3節 第4節 第5節
ジチオカルボンイミド酸エステノレの合成
145
ジチオカルボンイミド酸エステルのMichael付加反応148
付加体の構造決定
154
ピロリジン体の官能基変換 第6節 結語
156 160 161 169
第7節 実験m8節 参考文献
第6章 競争的環状付加/Michael付加反応の分子軌道計算による 170 解析
第1節 第2節
第3節
第4節
約5節
第6節 約7節
第7市
序 170
N-メチレンアミノアセトアルデヒドのリチウムエノ 173 ラートとアクロレインとの反応:モデル系の座標解析 メチルN-アノレキリデンアミノアセタートとメチル
179
クロトナートの反応:実際の反応系の座標解析Michael付加反応の反応機構:高立体選択性発現の
184
耳目山N-プロトン化アゾメチンイリドの反応:反応機構 188
解析結語
191
参考文献 192
総括 193
第1章 緒論
行機合成化学の重要な課題の一つは,容易に入手できる化合物から出発して,
欲しい構造の有機化合物だけを選択的に, 可能な限り短段階で, 収率良く合成 する}i法を提供することである。 有機合成化学がこの使命を果たすには, 多様 な特徴ある素変換反応を準備して, 標的有機分子の合成計画の中で要求される 桁々の束縛条件を満足できなくてはならない。 それらは, 一般適用性のある汎 川変換反応であったり, 他の方法では達成できない変換に有効な特異的な反応 であったり, 特別に高い選択性を示す変換反応であったり, 特徴ある合成試剤 や反応試剤であったりする。 特に, 有機合成の基本となる炭素-炭素結合形成
応、の重要性は大きい。
さてここで, 一つの立体選択的炭素一炭素結合形成反応の発見の経緯とその 後の民間について述べる必要がある。 何故なら, この反応は本学位論文の研究 rl的を説明する上でJ極めて重要な意味をもつからである。 1970年代の後半,
Griggおよび柘植らはほぼ時を同じくして, ベンズア ルデヒドとグリシンエス テルから調製されるイミンエステルを100 <(:以上に加熱すると, α位のプロ トンがイミン窒素上に転位してN-フロトン化アゾメチンイリド1,3-双極子 が 発生することを見い出した。 これは電子吸引性置換基で活性化されたアルケン と容易に環状付加反応してピロリジン誘導体を生成する。 この反応はアゾメチ ンイリドの手軽な発生法としてのみならず, 炭素-炭素結合形成反応としても 要であるが, 環状付加反応の立体選択性が必ずしも高くない点が問題として 残された。
Chart 1-1
pr(川、N�EWG +
よ〉1
AR
故近にfり, 柘 植・ 金政らによって, イミンエステルをアミン塩基の存在
でよ盆化リチウムと処理すると, 可逆的なリチオ化が起こり リチウムエノラー トあるいはN-リチオ化アゾメチンイリドが生成することが見い出された。この 発凡を契機として, この分野の研究は新しい展開を見せることとなった。 この 傑作で生成するアニオン性活性種は, カルボニル基で活性化された種々のアル ケンと環状付加反応、を起して,多置換ピロリジン誘導体を立体選択的に与える。
1)このアニオン種が示す極めて高い反応性と立体選択性は 上述のN-プロトン 化アゾメチンイリドのそれをはるかに凌駕することが明らかにされた。
Chart 1-2
PhvN〉COOMe
Li/B紙二LiーO
ソゾ
ム
ヘ伽 YOK
R2
Transition state structure
Ph‘_/N""""'_'COOMe
YO C=:7 R3
アミン梅基の存在下で塩化リチウムを作用させる特異なリチオ化反応とそ れ に続く高占体選択的環状付加反応は次のように説明することができる。1)上述 のイミンエステルは,イミノ基とエステル基の 2つの電子吸引性置換基にはさ まれたエノール化し易いメチレンフロトンをもっ。2)このイミンエステルはイ ミン宅素とエステルカルボニノレ酸素を1,4位にもつキレート型配位子構造を 有する。 3)従って, 金属イオン(この場合はリチウムイオン)が存在するとこ れに配位することによって, このメチレンフロトンの酸性度が著しく増加し,
トリエチルアミンのように弱い塩基によっても容易に脱フロトン化される。 4) パコ成するアニオン椅は, リチウムイオンがエステル酸素原子により強く結合し ている場合にはリチウムエノラートであり, 5)イミン窒素原子により強く結ム している場合にはN-リチオ化アゾメチンイリドとみなし得る, 6)このエノラ
ートは, 立体的F]由と分子内5員環キレーション構造のため, E,Z-構造(ある いはW字型)となる。 7)このアニオン種はカルボニル共役アルケンと反応し て, エンド選択的に環状付加体に相当するピロリジン誘導体を生成する。
ほぼあらゆる種類のカル ボニル共役アルケンアクセプタ一分子に対して反 応 のエンド選択性が崩れることはないが, アラニンエステルから誘導したイミ ン エステルをドナーとして用いるアクリラートとの反応に限って, 主生成物と し ての環状付加休に加えて 少量のMichael付加体が副生することが見い出された。
この事実に基づけば, エンド選択的に生成する環状付加体はMichael付加体を 終Itlして生成した可能性が高いことになる。 ならば, エノラートのHOMO軌 道係数の大きなα位と,カルボニル共役アルケンのLUMO軌道係数の大きな 戸位との問に結合が形成されるレギオ選択性の説明は容易である。 すなわち,
この反応に関与するアニオン種は, N-リチオ化アゾメチンイリドではなくて,
リチウムZ-エノラートであると考えたほうが理解し易い。そこで, 取り敢えず,
:百己のアニオン種を以後エノラートと呼ぶことにする。
Chart 1-3
P h、 ... N‘
�''' ... 】,/\.JVV川t:;_COOMe � � r 、 COOMe
Me
NaHP � N 万二;cて …s
Kanemasa
et al., Bull. Chem. Soc. Jpn.,62, 2196 (1989).イミンエステルのリチウ ムエノラートとカノレボニル基で活性化された種々の アルケンとの反応において,少量ながらMichael付加体が副生することは,第2 の炭栄一炭素結合形成反応である環化を困難にする因子を持ち込むことにより ,
U体選択的なMichaelイ、l'加反応が成立し得ることを示している。 すなわち, イ ミンエステル基質を誘将するために嵩高いカルボニル化合物を用いれば, こ の rî的が達成できると与えられる。 この予想が正しければ イミンエステルの リ チウムエノラートが, 単に高エンド選択的環状付加反応を起こすアゾメチン イ リド1,3
-
双極子等価体として利用できるばかりでなく もう一つ有機合成化学 的に京浜な高立体選択的炭素一炭素結合形成反応に利用できることを意味し て3
いる。
イミンエステル基質を誘導するためにキラル中心をもっ嵩高いケトンを用い れば, \L体選択的な不斉Michael付加反応への展開が図れると予想、できる。 す なわち, 上記環状付加反応と同じ遷移状態を経由する事による高い位置および α体選択性を獲得しながらエノラートのジアステレオ面区別を行う興味ある新 しいMichael付加反応が設計できるであろう。
Michael付加反応は,有機合成に用いられるようになってから長い歴史がある にも関わらず, 不斉合成に用いられるようになったのはごく最近になってから である。 それはMichael付加反応が極めて制御の難しい反応であると考えられ たことによる。Michael付加生成物は反応系中でエノール構造をしており, この エノールが求核剤としてもう一分子のアクセプターに反応したり, あるいは連 鎖反応を起こしてアクセプターを重合させる反応が, 目的とするMichael付加 反応と競争的に起こり得る。 つまりMichael付加を一段階に制御する必要があ る。 また, 求核剤がカルボニノレ共役アルケンと反応する場合には, 1,4-付加と 1,2-付加反応が競争する。 すなわ ち反応の官能基選択性の制御をどのように 行 うかの問題が生じる。 これらの問題が解決したとしても, 不斉反応や不斉合成 に使用する場合には立体化学やエナンチオ面(あるいはジアステレオ面)の制 御が問題になる。 このような困難さの巾で最近 Heathcockらによるエノラー トの構造とMichael付加反応の生成物の構造との関係についての報告2)がなさ れて以米, 幾つかの不斉反応の例が報告されるようになった。
Chart 1-4
Stereochemistry of lithium enolates
RO
)人/
LDA (1.1 eq), THF -780C
ωーへ|
�94%E
RO
)人/ LDA (0.9 eq),
THF庁-IMPA,
-78 oC
RO人/
�88%Z
Heathcock
et al.Sch凸llkopfら3)は, 光学活性アミノ酸から誘導した環状ジペプチド型のキ ラ ルグリシン誘導体をドナーとして利用する不斉Michael 付加反応を開発した。
この万法は, 入手の平等易な天然アミノ酸から誘導できるキラルなピリダジンジ オンを金属工ノラートドナーとして用いることで 反応に関与するエノラー ト のジアステレオ面を制御するものである。 しかし, 反応で新たに生成する炭素 一炭素紡代末端の相対立体化学を制御する工夫が施されていないために, 立体 選択性は尚くない欠点、がある。実際この反応では可能な4種のジアステレオマ ーの全てが生成している。 生成物のジアステレオマー比については, ドナー側 のジアステレオ面の選択性はR:S= 83:17 とまずまずであるのに対し, アクセ プター側のそれはR:Sニ56:44 と極めて低い。また この反応のアクセプター としてカルボニル共役ジエンを用いると, ß位で反応した付加体だけでなくδ 位での付加休が副生し, 官能基選択性の制御も難しい。
Chart 1-5
'-./
Meo
℃L
OMe
n-BuLi
Ph... �入
、t7 � N02
Sch凸llkopfet al.
'-./
~へiiJ
、仁、OMe
78%
PH"" 、CH2N02RR:RS:SR:SS=45:38: 11:é
Seebachらも同じく, 光学活性アミノ酸から誘導した5-オキサゾリジノン を キラjレグリシン等価体として用いるMichael付加反応を報告している。 4)これ は, 光学活性アミノ酸と向高いアルデ、ヒドとの反応によりオキサゾリジノン の 2位にキラリティーを誘導し(1,3-不斉誘導) その後のエノラート化の段階で α 位のキラリティーを除去する手法である(キラリティー転写法)。キラル基質 として川いる5-オキサソリジノン体が加水分解されやすく その際キラリティ ーが消失する問題点がある。 しかし , 反応点と不斉中心の距離が近いため,
Sch凸 llkopfらのドナー分了-と比較しでかなり高い立体選択性を示す。
5
B山
〈
プ。Seebach et
al.Me
L ,O
Butll・・.( I
γ � COC(Ph)3
Boc三 86% (98% ds) 1) LDA!fHF
Boc
う�COC(Phb
Coreyら5)は8,8-ジフェニルメントールを不斉源として用い, そのエステル をリチウムエノラートに誘導してMichaelドナー分子として用いる反応を検討 している。 この方法では, 不斉源の導入および反応後不要となった不斉源の除 去と同収が容易に行える利点があるが, 不斉中心と反応部位がエステル基で結 合しているため, エステル酸素原子の両側での自由回転により反応面の固定 が 行いにくい。 実際, 主生成物のトレオ異性体に混じってエリトロ異性体が副生 してくる。
Chart 1-7
.\,Oì("
一一DV M
O o c
o o ‘、、 ・
Corey et
al75-79% [threo:erythro
=90 (95:5 ds) :10]
山口ら6)も, Coreyらと同様に , ドナー分子に不斉源を導入して利用する Michael 反応を研究している。Coreyらとの違いは, 不斉源としてアミノ酸由来 のフロリノールを用い, エステlレではなくアミド結合を利用してドナー分子 と 結合させている点である。 アミド結合の部分不飽和性のために 不斉源とドナ ー基質との聞の自由回転が束縛されるため, 安定した不斉環境を構築できる利 点がある。 しかし, Coreyらのそれを上回るキラリティー制御には成功してい ない。 これは, 不斉源の立体遮蔽が不十分であったためか あるいはリチウム エノラートのE-jZ-幾何構造を十分に制御できなかったためと考えられる。
Chart 1-8
ぺ ? /�0
LDA
�COOEt
Yamaguchi
et alOH
… 。
o 84%
長い|市Michael付加反応は, ドナーエノラートの幾何配置に関係なく生成物 の相対立体化学が決まるリニアな遷移状態、構造を経て進行すると考えられてい た。 しかし近年になって, ドナーエノラートの金属イオンとアクセプター不飽 和カルボニル基の酸素原子との聞にキレーションが働く新しい遷移状態、モデル が促附され, 現在ではこの考えが一般に受け入れられている。
YOC ぺ1t Li
R1H
XLinier model Chelation model
Fig 1・1.
Transition state structures of Michael addition reactions.
しかし, 1:述の反応例のいずれを兄ても, 反応点と不斉源との聞の距離, 位 置関係, 立体的商高さから, 反応で選択されるジアステレオ面選択性を予測す ることは容易ではない。 ドナーあるいはアクセプタ一分子の一方のジアステレ オ面が選択的に反応にあずかつても(すなわち ジアステレオ面選択性が極め て高くても), Michael付加によって生じる結合の両端聞の相対立体化学に関す る選択性(ジアステレオ選択性)は必ずしも高くない場合が多い。 すなわち,
キラリティー制御を達成する以前にジアステレオ制御の方法を確立する必要が ある。
そこで, イミンエステノレのリチウムエノラートの高選択的環状付加反応を支 配する閃fを利用して,リチウムエノラートをドナー分子として
用いるMichael
7
付加反応の立体選択性を向上させる合成店法を開発する研究に着眼した。キレ ーションによる分子骨格の運動の束縛と立体障害による規制に加えて, フロン ティア軌道相互作用を利用する事により, 高い立体選択性が期待される。
ところで, イミンエステルのリチウムエ ノラートとアルケンエステルとの Michael付加体は,置換基の導入されたグルタミン酸エステル誘導体に他ならな い。 グルタミン酸は必須アミノ酸として重要であるばかりでなく, 神経伝達の rjl心的役割を演じたり, 神経高揚作用などの生理活性のあることが知られてい る。 またカイニン酸をはじめとするカイノイドと呼ばれる一群の天然物質は,
グルタミン酸とイソプレンが結合してできたピロリジン骨格を有しており, そ の強い�(:Fg活性やユニークな構造から, 医学, 薬学, 神経生理学, 合成化学 な ど広い分野で興味のもたれる物質である。 本反応を用いれば多置換ピロリジン 体の光学活性体が容易に手にはいる。 従って カイノイドを始めとする種々の 生用活性物質への変換が容易なピロリジン体の効率的な合成方法を提供する こ とになる。
Isoplene unit
Fig 1・2
Kainic acid
さらにこの反応をアルドール付渇加反応に応用で、きれば 新しいアルドーノレ 応、が開発されるばかりでなく, 必須アミノ酸として知られるセリンの誘導体に 相、JI,するβヒドロキシーαーアミノ酸の光学活性体の有用合成法となる。しかし,
イミンエステルのリチウムエノラートと不飽和カlレボニルアクセプターとの反 応に予定!される硬い遷移状態構造を考えると, 本反応の1.2-付加反応への応用 は難しいと考えられる。 そこで 類似の遷移状態構造を取らせるために アル
デヒドをN-カルボニル活性化型イミンヘ誘導して用いる1.4-付加反応を検討 することとした。 期待される生成物は1.2-ジアミンである。 光学活性ジアミン 煩は, 近年, 不斉素子や不斉配位子として利用され, 合成化学的に有用な化合 物である。 そこで椅々のシッフ塩基を用いて活性化型イミンへの付加反応に つ いて検討した。
本論文は, カルボニル化合物とグリシンエステル から調製されるイミンエ ス テルの金属工ノラートを用いた炭素一炭素結合形成反応についてまとめたも の で, その内容は以下のようである。
第1市は緒論で, 本研究の背景と意義について述べた。
第2�では, カンファーから誘導されるカンファーイミンと種々の不飽和エ ステルとのジアステレオ選択的不斉Michael付加反応についてまとめた。 まず\
カンファーイミンエノラートの可逆および非可逆的発生法を開発し, 可逆的条 件下で発情させたリチウムエノラートと不飽和エステルとの反応を低温下, ア ルコール添加下で行うことにより高いジアステレオ選択性が獲得できること , 特に, アクセフターとしてアルキリデンマロナートを用いると反応は100%ジ アステレオ面およびアンチ選択的に進行することを見い出した。
第3市では,D-マンニトールから誘導できるキラルなオレフィンエステルを 用いてカンファーイミンとの重複不斉誘導について検討した。 その結果, D- カ ンファーの キラリティーとひマンニト ーノレのキラリティーがマッチするこ と により100%ジアステレオ選択的に付加体を与えること ミスマッチする場合 でも, アクセフターのキラリティーによる不斉誘導は完全に行われることを 見 いだしたo
?n4市では,桁々のイミンエステルあるいはアミドのエノラートとアルデヒ ドおよび活性化イミン類との付加反応についてまとめた。ドナー基質としては,
カンファーイミンおよび種々のアルキリデンアミノアセテートを用いた。
第5帝では,
N-ビスアルキルチオメチレンアミノ酢酸のピロリジンアミドと
梧々のオレフィンエステルとのMichael付加および環状付加反応と, 生成物の出能基変換反応について検討した結果をまとめた。
第6予言では, 半経験的分子軌道計算を利用して, イミンエステルのリチウム エノラート基質とオレフィンエステルとのMichael付加および環状付加反応に ついて反応座標の作成を行った。 その結果 環状付加反応はMichael付加反応 とは独立の反応ではなく, まず\ジアステレオ選択的Michael付加反応があっ て, ついで, 環状付加反応へと進行することを見い出した。
第7市は, 以上の総括である。
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第2主主 キラル(ボルニリデンアミノ)アセテートのアンチ選択的不斉Michael付加 反応
第1 節 序
rrJ逆条イ午ドで行われるMichael付加反応、は, 最も重要な炭素ー炭素結合形成反応と して100年を越える研究の歴史を有するが, 非可逆条件下での反応が登場したのは 1980年代後半になってからである。 Heathcockらが,リチウムエノラートの幾何学配 jこついての詳細な研究を開始して以来,エノラートの幾何構造とMichael付加反応 で生成する結合両端における相対立体化学(アンチ/シン選択性) との相関が論じら れるようになった。 、勺初,Michael付加反応はリニアな遷移状態、を経て進行すると考 えられており, 立体選択性は基質問の立体障害で制御されると信じられてきた。1990 年になって, エノラートの金属イオンと αβ-不飽和カlレボニル化合物の酸素原子と の問の相互作月jの重要性が指摘され,現在一般に受け入れられているキレーション遷 移状態が促附された。1)Corey (1985年)2) あるいは冨岡(1986年)3) らも, キレーシ
ヨン遷移状態を論じてはいたが, 断片的な記述に終わっている。
これに先立ち,金政らは (ベンジリデンアミノ)酢酸エステルから調製したリチウム エノラートが,α,(3-不飽和カルボニル化合物に対して位置および立体選択的に環状付 加を起こし, ヒ。ロリジン誘導体を単一の立体異性体として生成する新反応を見いだし た。4)この反応は, 巾心室素上に金属原子が置換した新規な双極子が関与した反応、に 相当するので, 彼らはこの活性種をN-メタル化アゾメチンイリドと呼称すること を 提案し,キレーション制御による立体選択的1,3-双極性環状付加反応の初めての例を 提供した。 現{l:も活発な研究がなされいる。反応の遷移状態、は次のように提唱されて いる。すなわち,(ベンジリデンアミノ) 酢酸エステルから調製されたリチウムエノラ ートは, リチウムイオンのイミン窒素への分子内配位によって固定され, z-異性体と して立体選択的に生成する。形式的にアゾメチンイリドの電子構造をもっエノラート の窒素隣後炭素の軌道が,α,(3-不飽和カルボニノレ化合物の不飽和結合と重なりながら 接近する。 この際, リチウムイオンがアクセプターのカノレボニル基酸素に配位してこ れを活性化するため, 結局 6中心間に引力相互作用が働く剛直な遷移状態が形成さ れる。
OR
Fig.2・1 A
proposed transition state structure of
1,3-dipoler cycloaddition rea ction.
このような|明日な遷移状態構造をとることから,分子内のどこかに不斉源を導入す ればこの反応を不斉反応、に発展させられる。 そこで次のような分 をデザインした。
Fig.2・2 A chiral Schiff base for diぉtereoselectiveMichael addition reaction.
シッフ温基はグリシンエス テルとカルボニル化合物の縮合により容易に得られる ことから, キラルなカルボニル化合物を用いることを考えた。 キラルなカルボニル化
ム物の でカンファーは, 光学活性体が入 用意であり, また分子構造が剛直で配座 異性休がなく,カルボニル平面に対する の面の立体R きな差があると思わ れる。
Michael付加反応の遷移状態としてこれまで信じられていたリニアな遷移状態モデ ルでは付加体はシン選択性を示し,その選択性は発 したエノレートの構造には関係 なく反応点の問換 の立体障害により制御される。 しかしながら実際には反応条件に よりシンーアンチ選択性が変わることがわかり, 発 するエノレートの幾何構造が重 要な鍵であることがわかってきた。このようにしてHeathcockにより提案されたのが キレーションモデルである。 この遷移状態構造では エノレートの幾何構造により生 成物のシンーアンチ選択性の変化することが良く説明される。 もしエノレートの幾 何 構造が
E-体に制御さ れれば
生成物はシン 選択性を示す。 本研究に用いるシッフ塩基 は, 発生させたエノレートの構造はキレーション形成のため完全にz-体に制御され ると巧えられる。さらにフロンティア軌道の相 作用とエステルカルボニル基の Jl、金属イオンへの配位により, アクセプターであるオレフィンエステルに接近する位
と相対的反応面が制御される。さらに不斉源であるカンファーの立体障害により反応 面が制御され, ジアステレオ選択的にアンチ付加休を与えると予測できる。
」(人、 付ソ
OJ
一H
・-A ミ ,o h Y
Transition state of cycloaddition
e M
c o o
'R
i d , l t ; 今'
% 円
a,v b t ' 0.
40 1」
ρM
M
Linier transition model
氏、、,(.
六 ‘・-
、益、 �‘&音色。/lj
rOMe,
J
R F V OHeathcock's甘ansitionmodel
anti-Adduct
R
』 一
\
MeOOC-一 一
� -COOMe R'ミyn-Adduct
R l....R'
- MeOOC- 、γ' 、COOMe R"
Fig.2・3
Structures of the Michael addi tion reactions of metal enolates.
Heathcockらの提案する8員環キレーションモデルでは分子全体の自由度が高い と思われ,
:
1}�極めて立体選択性の 高い反応条件においてもシン体とアンチ体の両方 が乍成する。一万本反応のためにデザインしたシッフ塩基のオレフィンエステルへの 反応では, 遷移状態において分子間に3本の相互作用を示す結合を書くことが出来 る。このことから分子全休の 白由度は極めて小さいと考えられ, 高いアンチ選択性が期待できる。
次に問題となるのはカンファーによるジアステレオ面の制御である。McIntoshらに よる同じシッフ塩基を使ったアルキル化反応の報告がある。 これによると, このシッ フ塩基は央化ベンジ、ルと高ジアステレオ選択的に反応し R-体を与えると報告されて
いる。5)この反応ではベンジル化のように立体障害の大きなアルキル基の導入に特に
効であり, 最高98%という高い選択性を示す。
町
Fig.2・4
Diastereoselective alkylation of chiral Schiff bases.
Michael付加の場合と遷移状態の構造を比較してみると, Michael付加ではアクセプ ターのオレフィンやエステノレの部分がカンファ一部分にかなり接近しており, アルキ ル化の場介よりも, カンファ一部分の立体障害を受けやすいと考えられる。このこと から, Mclntoshらの報告したジアステレオ選択性と同等またはそれ以上の選択性が期
待できる。
ジアステレオ選択的Michael付加反応の例を以下に示す。
(1)式はSchÖllkopfらの報告である。6)彼らの報告した遷移状態、の構造をみると,
ドナーとアクセフターは反応面同士が向かい合って重なるように接近している。その ため不斉初、の立体的な違いに敏感に反応すると考えられる。 実際最高990るを越える ジアステレオ選択性で生成物を与える。しかしながらα,(3, )1,ふ不飽和ケトンとの反応 において, ð-イ立で選択的に反応することは, この遷移状態構造からは説明つきにくい
様に忠われる。
(2)式はOppolzerらの報告である。 7)嵩高い求核剤を用いたときには最高98.5%
のジアステレオ選択性がf!?られている。他の方法と違い, 不斉源、にモノテノレペンを使 用している。 CuIj(n-Bu)3P/BF
3
存在下で高いジアステレオ選択性を示すことから, 遷 移状態、の構造は提出されたものよりかなり複雑ではないかと思われる。(3)式はSeebachらの報告である。8)95%を越えるジアステレオ選択性を得るため には, アクセプターのβ炭素上やエステル部分に嵩高い置換基を導入することが必 要である。
(4)式は
;
守防jらの方法である。 9) ドナーの 分子
構造はリチウムイオンへの
キレーショ ンにより 同定されているとはいえ,多くの配座異性体の存在することが予想され,
実極限られた基質において 難ではないかと思われる。
のみ最高90%のジアステレオ選択性を示している。
立体|埠得による不斉誘導は
Diastereoselective Michael addition reactions
九 ベ立ωe JVN\OMe
」市V E Meoへす γ
Chart 2-1
一 ιー
うlEJプ
(3)
内ノι口H02
O R C O / O
YIC --E,‘、R=・・《
yac
\ O
OHAO 4F+l
〆 仁」
F 』
J人人
OEt(4)
第2節 光学活性(ボルニリデンアミノ)アセタートおよびMichaelアクセプターの ム成
本市で研究対象とするMichael付加反応に用いるドナー基質であるキラルな(ボル ニリデンアミノ)アセタートla,bは, 以下の合成経路に従って合成できる( Scheme 2-1)。 すな わち,まずグリシンエステル塩酸塩を合成し, 次いでカンファーと脱水縮
ムさせる:段|桝経路によった。
Scheme 2-1
SOCl
勺H2NCH2COOH ι ... H2NCH2COOEt.HCl
EtOH
� �H2NCH2COOH
+Z-Cl NaHC03
Ether/H20
Z-NHCH2COOH 人
conc H州CH2C12 Z-NHCH2COOBut H
1)
NEt3/ CH2C12 H2NCH2COOR・HCl
2)
R-Camphor pTSA / Toluene
reflux
よ
Z: ()
Z-NHCH2COOBul
H2NCH2COOBut・HCl
'" 1 ... 、t' ミ�� N - 、COOR.J'へ
la : R
=Et lb : R
=t-Bu
グリシンのエチルエステル指酸塩は,エタノーノレ溶媒中でグリシンに塩化チオニル を作用させる常法により,円色針状結品として得ることができた。一方 グリシンのt
ブチルエステル取酸取は, 文献記載の方法に従って,グリシンから三段階を経て合成 することができる。10)まず\遊離グリシンのアミノ基上を塩化ベンジ、ルオキシカルボ
ニル(Z-Cl)を用いて保護することにより,いわゆるZ-保護アミノ酸を得る。 これを,
イソブテン/硫酸を用いるイソブテン法を利用してZ-グリシンのt-フ守チルエステル (黄色れi1状物)へと変換した。 次いで, エタノール溶媒中塩酸存在下 5% Pd-C触媒 の下で,Z-グリシンt-フゃチルエステルから還元的にZ保護基を除去することにより,
t-フ、、チルエステル塩酸塩が|コ色個体として得られた。
このようにして合成されたグリシンエステルを塩化メチレンに懸濁させ,トリエチ ルアミンを加えて遊離のエステルを黄色油状物質として得る。これらをトルエンに溶 解し, 計算i立のR-(+)ー カンファーと触媒量のp-トルエンスルホン酸を加えて加熱環 流する。 その際, 反応で生成する水は, Dean-Starkトラップを用いて除去し続ける。
通常, α -アミノエステルのイミンは加水分解されやすいことが知られているが,カン ファーイミンla,bは嵩高いケトンから誘導されたイミンであるため,加水分解に対 しでかなりIfJし通安定性を示す。従って, 分解する事なくシリカゲルカラムを用いて精
製することができる。
このようにして純粋な, エチノレ(ボルニリデンアミノ)アセテートlaおよびt-フザチ ノレ(ボルニリデンアミノ )アセテートlbを得た。 嵩高いケトンであるカンファーは求 核試剤に対する反応性が低いので,αーアミノエステルとの脱水縮合反応において長時 間の加熱を要する。 高温で長時間加熱すると,エステル置換基が比較的小さなグリシ ンのエチルエステルは環化二量化してピペラジンー2,4-ジオン誘導体を副生するため,
イミンlaの収率は60%程度にとどまった。 しかし, 嵩高いエステル置換基をもっ グリシンのt-フマチルエステルを用いた同様の反応では,この種の二量化副反応が起こ りにくいため, lbの収率は80%まで改善された。
さて,
Michaelアクセプターとして用いるアクリノレ酸およびクロトン酸t-フ。チルエ
ステルは, 1:に述べたイソブテン法を適用することによって合成できた。また, 種々 のβ置換基をもっジメチルアルキリデンマロナート, ジメチルマロナートとアルデ ヒドとをピペリジン存在下で縮合させるKnoevenagel反応により容易に合成できる (Scheme 2-2)。
Scheme 2-2
R�COO卜i 人
H2S04 CH2C12
RCHO
...COOMe
+ く
、COOMe
R‘ J少、 � 、COOBut
ηridine ÇOOMe
Benzen ;- R � 、グ 、COOMe
reflux
第3節 アク リル酸およびク ロトン酸エス テ ルをアクセプタ ーに用 いた不斉 Michaelイ、JJJn反j心
ノドi'�第2節で合成したキラノレなN-アルキリデングリシナート基質である光学活 性(ボノレニリデンアミノ)アセタートla,bを, テトラヒドロフラン(THF)溶媒中で 積々のリチオ化試薬によってリチウムエノラートに変換した後 アクセプターとして アクリル円安およびクロトン酸のメチノレおよびt-フ、 、チルエステルを用いたMichael付
加反応を検討した。 結果をTable 2・1 にまとめた。
まず,イミンlaのエステル基とアルキリデンアミノ基にはさまれた活性メチレン 水素は, laが将高いケトンのイミン誘導体であることと 生成する2-アザアリルア ニオン租を尚皮に安定化する置換基をもたないことから,その脱プロトン化の困難さ が予想される。そこで, このメチレン水素の酸性度を見積もるために 強い塩基であ る1.8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカー7-エン(
DBU) と処理したが 脱プロトン化は
起こらなかった。 すなわち,生成するアニオン種を捕捉するためのクロトン酸メチル 共存下で, 百fF中加熱還流を行ったが, 相当する Michael付加体は得られなかった (En町r1)。そこで,(ベンジリデンアミノ)アセタート類の温和な条件下でのリチオ化のために 開発された臭化リチウム/トリエチルアミン (LiBr/N Et3) の組み合わせ塩基試薬を用 いると, 室温下でゆっくりとリチオ化が進行し, 低収率ながらアクリル酸メチルへの Michael付加体2aが得られた(En町2)。より塩基性の高いLiBr!DBUの使用によっ て反応時間は大幅に短縮され,室温下30分で反応は完了して付加体2aが得られた が, ジアステレオ面選択性は77:23 と低かった(En句3)。 さらに詳細な反応条件の 検討の結栄, 触媒電(10mol%) のLiBr!DBUを用いた場合でも, 極めて容易に( 0 CC,
l分) この反応は完了することが判明した(En町ies4, 5)。 アクセプターとしてアクリ ル酸t-フcチノレを用いた反応、で、は,Michael付加体2bがかなり高いジアステレオ面選 択性で得られた(84:16,En町r 6)。
-}J,イミンlaとLiBr/NEt{とから室祖下で生成させたリチウムエノラートは 日イ立の反応点に置換基をもつために反応性が低下したアクセプターであるクロトン 酸エステルでは捕捉できず,原料laの回収に終わった(En町 9)
。より強い塩基であ
るLiBr/DBUを1当量用いた反応では, クロトン酸エステルとのMichael付加反応 はスムーズに進行したが, ジアステレオ面選択性は低かった(74:26, Entries 11,18)。mol%) (10
効であった触媒 やはり進行しなかった(En町, 10)。
前述のアクリル酸エステルとの反応において極めて のLiBr/DBUを用いた同様の反応も,
Derived Table 2-1
R3 =孔1e R3 = t-Bu R3 = Me R3 = t-Bu R3= Me R3 = t-Bu R3 = t-Bu a
b e d e f 皐2222222 Rl = Et
Rl = t-Bu la:
1 b:
Dias陀reomer RatiOc recovered
75:25
w m
一山
口
77:23 80:20 82:18 84:16 84:16 95:5 recovered
49 356329 767678
凸し甲山O R M N c -守、u-0 08398880
一dnvQノQ
Uぷ UQU円/QUAu-u噌,i噌Ei-開HVJ hu 吋・mm niv pv 勺
recovered 74:26 60:40 78:22 80:20 84:16 85:15 86:14 74:26 94:6 95:5 93:7 92:8 86:14 18785
0606fonδハツ
今ノ』今/】Fコ1uzdqJ
噌Eム 1tム 噌Eム
rt
-78 口 -78 -78-78 唱Ei噌EA噌Ei4Ei噌EA唱Ei噌Ei 今3良U4F3RU弓dpコRU
-78 -78 -78 口 -78 -78 -78 -78 LνBase
(equiv) DBU (1.2)
LiBr (1.5)川Et3(1.2) LiBr (1.5)/DBU (1.2) LiBr (O.l)/DBU (0.1) LiBr (O.l)/DBU (0.1) LiBr (1.5)/DBU (1.2) n-BuLi (1.1)/t-BuOH (1.0) FトBuLi(1.1)/t-BuOH (1.0)
LiBr (1.5)川Et3(1.2) LiBr (0.2)/DBU (0.1) LiBr (l.5)/DBU (1.2) LDA (1.1)
LDA (0.5)川Et3(0.6) LDA (1.1)/H20 (1.0) LDA (1.1)/BF3・Et20(1.0) LDA (1.1)/t-BuOH (1.0) n-Bιi (1.1)/t-BuOH (1.0)
LiBr (l.5)/DBU (1.2) n-Bιi (1.1)/t-BuOH (0.5) n-BuLi (1.1) /t-BuOH (1.0) n-BuLi (1.1)/t-BuOH (2.0) n-BuLi (l.l)/t-BuOH (3.0) n-BuLi (1.1)/t-BuOH (1.0)
bYield of isolated products・
R3
Me Me
Asymmetric恥1ichael Addition Reactions of the Lithium Enolates from Chiral Imine Esters 1 a, b to Aαylates and Crotonates. a
2RψCOOR3
』aミ CO併
N�COOR1 �ヘ N... 'COOR1
Rl=Et, R2=H,
R1=Et, R2=H,
R1=t-Bu, R2=H,
Rl = t-Bu, R2 = H,
Rl = t-Bu, R2 = Me,
R1=t-Bu, R2=Me,
R1 = t-Bu, R2 = Ph,
Time Yield (h) (%)b
24 R2
恥1e H Rl
Et b En町f
2
30min 2min 1min 5min 18 18 48 口
円
。河
06nk U河
:円/【/:
一 一 Me
恥1e 恥1e t-Bu Me t-Bu Me H
H H H H H 加島 Et Et Et Et t-Bu t-Bu Et -dA斗FコKU門/oony
Me Me Me 恥1e
恥fe Me 九1e 恥1e Me Me 孔1e 恥1e Et t-Bu t-Bu t-Bu t-Bu t-Bu
ハU1iフ-、3噌Ei噌Ei噌Ei唱,i
14
孔1e Me t-Bu t-Bu t-Bu t-Bu t-Bu Me 地地ぬMぬ陥鳩町
t-Bu t-Bu t-Bu t-Bu t-Bu t-Bu t-Bu t-Bu 15 1A1i1i1i fb円/nHunyAUti今/旬、3
今/臼 今ノ臼 今ノ臼 今/“
aAlJ rcactions werc pcrfonned in
THF.
crude product m以turc・
このように, アクセフター基質の立体的属高さの小さな変化が,反応性にかくも劇 的な変化をもたらしたことは予想外の結果であった。何故なら イミン基質としてla の代わりに(ベンジリデンアミノ)アセタートを用いた場合には,アクセプターの反応 性の影特はほとんど観察されなかったからである。11)これらの結果から,次の結論が 得られる。 すなわち, 1 ) イミンlaは活性メチレン部位周り が立体的に嵩高い基 質 であり, さらに, 生成するアニオン種を高度に安定化する置換基をもたない。 従って,
LiBr川EらあるいはLiBr/DBUなどを用いた可逆条件下のリチオ化では, アニオン種 の生成速度が逝く, しかも, 可逆系の平衡は原系側に偏っている ,2) 生成したアニ オン椅がやはり立体的に嵩高いため,アクセプターの置換基との聞の立体障害が増大 して反応性を大きく減じる, 加えて, 3) ジアステレオ面選択性を改善するためには,
より低い反応瓶度で反応を行うことが望まれるにもかかわらず,この問題解決が困難 であることは明白である。従って,これらの組み合わせ塩基を用いる可逆条件下での リチオ化法には限界がある。
そこで, リチウムアミド塩基を用いる非可逆的リチオ化を検討した。 この塩基は,
前述の組み合わせ塩基と比較してはるかに強い脱プロトン化剤であり 非可逆反応剤 として卜分な濃度のリチウムエノラートを発生させることができると予想される。従 って, イミン1のMichael付加反応を低い反応温度で行うことができる。 しかし一 方で, このように強い頃基を用いることは, 反応で生成するMichael付加体が,アル キリデンアミノ基のαー位でエピ化を起こす危険性が増大することを意味している。
THF中 ー78 'cにおいてイミンt-フ。チルエステlレlbに ブチルリチウムとジイソ プロヒ。ノレアミンとから使用直前に調製したリチウムジイソプロピノレアミド(LDA) を 作用させてリチウムエノラートを生成させ, 次いで,クロトン酸メチルとの反応を|百 温度で行った(En句r 12)。 子先日、どおり高い反応性が認められたが, -78 'cの低温にお ける反応にも拘わらず\ジアステレオ選択性は可逆条件下での反応よりも低い結果を 得た(60:40)。 後述するが, この反応で得られた2つのジアステレオマーは共にアン チ異性体であって,エノラートのジアステレオ面の選択の差異に基づく異性体であっ た。 従って, このような反応条件下では, 危'倶していたαー位で、のエピ化は殆ど起こ らないことが切らかとなった。
この反応で観察されたジアステレオ面選択性は,反応に用いるLDAの調製方法に 敏感に依存して, 再現性に之しかった。 検討を重ねた結果, LDA調製に用いたブチ
ノレリチウムとジイソフロピノレアミンの純度と当量数が,選択性に大きく影響したと推
古された。イミンlbから調製できるリチウムエノラートはTHF溶媒中で会合して 存在している可能性が高く, リチウムイオンに強く配位できる少量の求核試剤の存在 下で, リチウムエノラートのMichael付加反応のジアステレオ面選択性が変化するこ とは卜分nJ能である。 このような考察に基づいて, 求核性の高い添加剤を加えてリチ ウムエノラートの会合を解くことにより,反応性とジアステレオ面選択性を向上させ ることをねらった。
そこで,TIIF中, -78 CCで1.1当量のLDAまたはブチルリチウムを作用させて イミンlbをリチウムエノラートへと変換した後,反応系中に種々の添加剤を加えて,
同温度におけるクロトン酸エステルとのMichael付加反応を行った(En官邸13-17)。
その結果,LDA により発生させたリチウム エノラートに, 過剰のジイソプロヒ。ルア ミンを模したトリエチルアミンを添加した場合には,再現性良く中程度のジアステレ オ面選択性が観察された(78:22, En町13)。 驚いたことに, 1当量の水を添加しでも このリチウ ムエノラートはフロトン化さ れる事なく, 付加体2eを高収率で与えた (En町14 )。 さらに, 比較的強いルイス酸である三フッ化ホウ素・エーテル錯体を添加 すると, 収不およびジアステレオ面選択性共に大きく向上した(84:16, En町T 15)。 添 加剤として特に優れているのはt-フoチlレアルコールであって, ほぼ定量的に
Michael
付加体2eを与えることがわかった(En町T 16)。
t-フ、チルアルコール添加剤は, リチウムエノラートに対して 0.5当量に減らすと収 率の低下が認められのに対し(En句(19),2--3当量に増やすと収率とジアステレオ面 選択性が共に低下する(En廿ies 21, 22)。 そこで, イミンlbを用いた不斉Michael付 加反応の故適反応条件は以下のように決めることができる。 すなわち, 1) エノラー トの調製およびMichael付加反応はTHF rr窒素気流下で -78CCにて行う, 2)同温 度でイミン基質lbに1.1ベ号の ブチルリチウム(あるいはLDA) を作用させる,
3)反応系中に1当量のt-フ、、チルアルコールを添加する, 4) アクセ プターのt-フοチ ルエステノレを滴ドし,-78 CCにて所定の時間反応を行う方法である。 以後, この反応 条件を “M適化された条件" と呼ぶこととする。
このようにして,アクリル酸およびクロトン酸のt-フ。チルエステノレを用いた -78CC における反応では,1当量のt-フ、
、チルアルコール添加剤の存在下で,
最も高い(95:5) ジアステレオ町選択性が観察された(En町ies 8, 20)0 アクセプターのβ位の置換基がジアステレオ面選択性に及ぼす効果を調べる目的でこれらをH→Me→Phと順次嵩 高くしたが,反応性が多少低下するもののジアステレオ面選択性はほとんど 変化せず,
ほぼ一定の伯を示した (En甘ies 7, 16, 23を比較)。 むしろ, 高い選択性を得るにはア クセプターのエステル置換基をメチル基から嵩高い
t-フゃチル基に変えることが効果
的であった。t-フ、チルエ ステルの使用によってジアステレオ面選択性は確実に10%程度向上する(E凶ies 3, 6および11,16)。 結局, アクセプターとしてα,ß-不飽和エ ステルのt-フ、チルエステルを用いさえすれば, どのようなß-位置換基をもっ基質に 対しでも, 一線に高いジアステレオ面選択性を達成することができると考えてよい。
第4節Michael付加体の相対配置および絶対配置の 決定
前節で述べた(R)
ーカンファーから誘導されたキラルイミ
ンla.bのリチウムエノ ラー トを用いた不斉Michael
付加反応により得られたMichael付加体2a・fの相対昆体化学および絶対配置は, 以下のようにして決定することができる(Scheme 2-3)。
Schcme 2-3
イ -COOH H2N- ‘COOH
(S)-Glutamjc acid
;: �
∞O 叫
…O処H___ �ハ,./"CO∞O
N - "' CしJλtυ)OBut E日tOH,
r陀ef凶flu以』以XF H2N/
一"'COOBut
Et....
ì
'ぃ、Me Cl2f'hvCI
、 ノ......"l'、
.MeOH -
,---\ 、Me・� . �ー
H2N^COOH H〆+H3N人coOH F
V
ACOOHL-Isoleucine rα]0
=
-30.0。J. Kollonitsch et. al. J. Am. Chem. Soc., 82, 3359 (1960).
C
,FJ Au pi 勺,L H 』11111曹V HU B t o O U 4
《 W似叫
〆\ FU=
D
/ αN It nノ』 UH HU R】 0 0 2 C
e h り
5 h , -
d
T NH FA OBilli--宙曹'A 旧 0 日 O 〔 ρ H
N p ℃e 一 + D 41 〆 = h6
一 一NH
叫
イミンlbのアクリlレ酸エステルへのMichael付加反応 で得られた付加体2bは,
イミン部分を加水分解するとグルタミン酸エステル3へと変換できる。 そこで, 天 然産のs-グノレタミン般から光学的に純粋なt-フOチノレエステルを合成し, その旋光度 を比岐することにより3の絶対配置が決定できる。 まず, 天然型の光学活性グルタ ミン般のアミノ必をz-保護した後, イソブテン法によりιフ、、チルエステノレとした。 得られたN-保122アミノ酸エステlレのZ基を接触還元によっ て除去しグルタミン酸 ιフ、チルエステルとした。 天然型のグルタミン酸はS配置であり,それから誘導され
たt-フーチル(s)-エステルは正符号の旋光度([α]D=+13.4カを示した。 一方,Michael
付加体2dをヒドロキシルアミンで処理することによりグルタミン酸ιフーチルエス テル
3
を得たが, その旋光度は負の符守([α]0 = -13.3ウであった。
この事実に基づ いて,前述のMichael付加反応で生成した付加体2dの主異性体の絶対配置は,非天 然型のR体であると決定された。 すなわち, (R)ーカンファーのイミンから誘導され たリチウムエノラートは,Re面が優先的に反応、に関与したと結論できる。�
Jj, キラルイミンlbとクロトン酸メチルとの反応では Michael付加体2eの 2種のジアステレオマーの混合物が生成する。 一例として 付加体2eの80:20ジ アステレオマー混合物(T
abl
e 2-1, En町1 14)を取り上げ, ヒドロキシlレアミンで処理 してカンファー不斉制御fを除去すると, トランスアミノ化で生じたグルタミン酸エ ステル誘導体が反応条件下で、閉環して,'Y-ラクタム4aを単一の立体異性体として与 えた(lH N恥1R)。 この実験事実から, キラルイミンlb とクロトン酸メチルとの Michael付加反応においては,Michael付加反応の段階で新たに構築される連続した2 つのキラlレ炭素の聞の相対立体化学は完全に一方に制御されていることを示す。 すな わち,2eの2つのジアステレオマーの生成は, イミンlbのリチウムエノラートの 異なるジアステレオ面が選択されることにより生じたものと決定できる。不芥制御子の除去によって得られた'Y-ラクタム4aは, 標品とのスペクトルデ ー タの比較によって,トランス異性体であると構造決定された。すなわち 付加体2eは アンチ付加体のジアステレオマーの混合物である。 カンファーイミン
la.b
の Michael付加反応が高いアンチ選択性を示したことは,アキラルなイミンである(2,2- ジメチルプロピリデン )アセタートを用いた同様の反応が完全にアンチ選択的に進 行することと良く一致している。12)すなわち, キラルで立体的に嵩高いイミンla.b のリチウムエノラートとα,β不飽和カノレボニル化合物とのMichael付加反応は, イ ミンエステルのリチウムエノラートの同様な反応に対して提唱されてきたと
同じ遷 移状態を終ると与えてよい(Fig.2-5)。 アクセプターとしてアクリル酸エステルおよ びクロトン椴エステノレを川し=たMichael付加反応がほぼ似通ったジアステレオ面選 択性を/示したことも, 選移状態、の類似性を支持する。さらに, この'Y-ラクタム4eのアミド部分の還元およびエステル基の加水分解に よりピロリジンカルボン酸6に誘導し,
L-イソロイシンから誘導した標品と旋光度
を比較した(Scheme 2-3)。 その結果, このMichael付加反応によって得られたグノレ夕、ン酸エステlレ誘導体2eの絶対配置は, 主異性体が2R,3R体であり, 従って, 副
異性体はお,3S 体であることを確認した。 結lロ.� , 前述のアクリル酸エステルの反応 と同様に, クロトン酸エステルは, (R)ーカンファーのイミンから誘導されたリチウム エノラートのRe面と優先的に反応したことになる。 このことは,両方のアクセプタ ーに対する Michael付加反応が類似した遷移状態、を経るとの上の結論を支持してい る。
Lithium Z-enolate of 1 M
�
COOMン/
�、�-司、� I
MeO� ,--.;
Me
rS2・01/top
N'
�
ムORL
=ーシMe一
-』F
』F
Minor isomer
/〆r-... 々、. /'、\
� I 、 ...� � COOMe '- , ./-、
\十/可 ,
_/....""COOR2R,3R.・2 Major isomer Figure 2・5 Diastereofacial selection in the Michael additions of the lithium Z-enolate
derived from a camphor imine 1 to methyl crotonate.
第5節
α-f置換α,(3-不飽和エステルとの反応
α ー イ立に置換基 をも っα
,(3- 不飽和エス テルをア クセプ
ター基質として
用い た Michael付加反応、では, 反応で生じる付加休エノラートをプロトン化処理する際に
この炭素 I-Jこ新たに不斉中心が構築される。 イミン la .bのリチウム z
-エノラート とα, (3-不飽和カルボニル化合物とのMichael付加反応に対して提唱されているキレ ーション遷移状態、13)によれば,付加体のリチウムエノラートは リチウムイオンが イミン宅京とカlレボニル酸素の両方に対して配位できるため,その安定性を大きく向
kさせているはずである。従って, 水によるクエンチがジアステレオ選択的に進行す る可能性がf,Iい(Fig.2-6)。 実際に, 分子内配位で安定化されたエノラートの水のク エンチによる向ジ、アステレオ選択的な反応例が,Figure 2・6
』 F
Presumed stereoselective protonation 01 the stereoselective Michael adduct 01 the lithium Z-enolate derived 1rom a camphor imine 1 b to a methacrylate.
らによって報告されている。14)
7a
そこで, 故適化された条件下で, イミンlbから発生させたリチウムエノラートと β位に置換必をもたないメタクリル酸エステルを用いたMichael付加反応を検討し た(Table2・2, Entries 2, 3)。ところが期待に反して反応のジアステレオ選択性は著しく 低く,Michael付加体7a,bのほぼ1:1の異性体混合物を得たにすぎなかった。アク セプターのエステル置換基を商高くすることは, むしろ選択性を低下させた。しかし 一方,この反応では新たに2つのキラル中心が構築されるので4種のジアステレオ
マー混合物が生成すると予恕されるにも拘わらず,
実
際には2種のみが生成した。このことは, イミンのリチウムエノラートのジアステレオ面の選択 (Michael付加 反応) あるいはMichael{,j-))O休エノラートの面の選択 (プロトン化) のいずれかが,
完全な選択性で行われたことを怠味している。前者の選択性が極端に低下する理由が 見当たらないことを考慮すれば,α-位に置換基を有するアクセプターを用いる Michael付加反応、においては, イミンエノラートのRe面の選択が完全に行われて
2Rエナンチオマーだけが選択的に生成したと考えることができる。
このことを確認するために,
Michael付加体7a,bのジアステレオマー混合物から
のカンファー不芥制御子の除去を行った (Scheme2-4)。 その結果 得られたピロリジ ン体8はやはり2種のジアステレオマーの混合物として得られ, その異性体比は Michael付加体7a,bのジアステレオマー比と一致した。 従って, 前述のMichael付 加反応で生成した付加体7a,bの2種のジアステレオマーは, 反応後のプロトン化 がジアステレオ選択的に起こらなかったために生成したものであると結論できる。lb
H2NOH EtOH, reflux
Two diastereomers 7a:
R =Me (60:40) M\. 7b:
R = t-Bu(50:50)
'ー 1 \
O�N/向、COOBut H
Two diastereomers 8: 60:40 (from 7a) 50: 50 (from 7b)
結局,Michael付加反応の炭素ー炭素結合形成ステップは, 完全にジアステレオ面 (Re面) を選択して進行していることが明らかにされた。 この結果は, アクセプター として尚尚いt-フ、、チルエステルを用いたときに選択性が向上する事実と矛盾しない。
なぜなら, アクセプターのα剖位あるいはエステル部分の置換基は 後述する反応の 遷移状態において,キラル補助基であるカンファー骨格と重なり合う位置にあって,
カンファ ーに対して上下のジアステレオ 面を 識別するのに有利に働くと考えられる
からである(Figs. 2-5および2-6)。
Table 2-2
En句f
2 3 4 5 6 7 8 9 10
Asymmetric Michael Addition Reactions of the Lithium Enolate Derived from Chiral lmine Ester
1 btoα-Substitutedα,�-Unsaturated Esters.a
1) 川
2)
t-BuOH
(1.0) N...COOBut 3) R2、、グ.,...COOR3
7a:
Rl = H,
7b:
Rl = H,
9a: Rl = Me,
9b: R] = Et,
9c:Rl=t-Bu,
9d: Rl = Ph,
ge:
Rl =(日-MeCH=CH,
9
f:Rl =伍)-PhCH=CH,
9g: Rl =伍)-MeOCH二CH,
R] R2 R3
T出le(h)
Me
H t-Bu
18H
Me Me 18H
Met-Bu
18Me
cα)Me
Me 3Et cα)Me
恥1e 2t-Bu
C(めMe Me 2Ph
C仁ゆMeMe
2(E)-MeCH=CH cα)Me Me
2伍)-PhCH=CH
cα)Me Me
2(E)-MeOCH=CH COOMe
九1e 2R2 1 4 R
ピ
∞R2 = Me,
R2 =恥1e,
R2 = COOMe R2 = COOMe,
R2 = COOMe,
R2 = COOMe,
R2 = COOMe,
R2 = COOMe,
R2 = COOMe,
R3 =恥1e R3 = t-Bu R3-加1e R3二孔1e R3=恥1e R3=孔1e R3 = Me R3 = Me R3 -恥1e
Yield Diぉtereomer
(%)b ratioC
88 95:5
90 60:40d
83 50:50d
67 86:14e
92
single
86
single
94
single
96
single
68
single
6o
single
aAll reactions were performed in THF. bYield of isolated produc也 CDetermined by
1H and/or 13C N�侭of the crude product mixωre. 命位xture of 4-epimers. eMixture of anti- and syn-lsomers・
メタクリル円安エステlレを川いた反応 が完全なジアステレオ面選択性を示したこと は,αイ立に置換法を導入したアクセフターを用いることで, 高ジアステレオ面選択的 で高アンチ選択がjなMichael付加反応が達成できることを示唆している。その際,反 応後のフ。ロトン化に際してジアステレオマーが生成しない工夫が必要である。そこで,
アクセプターとして種々のアノレキリデンマロナートを用いたMichael付加反応を検
討した。 アルキリデンマロナ ートは, 不飽和結合の同一炭素上に2つの電子吸引基 をもつ ため, アクセフターとして反応性に富む基質でもある 。
取適化された条件下で,イミンエステルlbとジメチルアルキリデンマロナートと のMichael付加反応を行った(Table2-2)。 その結果,エチリデンマロナートとの反応 を除いた全ての反応において, ジアステレオマーを副生す ることなく, 単一の立体配
!回.をもっアンチ付加体9b-gが高収率で得られた(En凶es 5-10)。エチリデンマロナー トとの反応ではジアステレオマーの副生が見られたが,これらはアンチ異性体とシン 異性体との混合物であることが, ピロリジン誘導体10aへの誘導によって確認でき
た(Scheme2-5)。 すなわち, 唯一選択性が低か ったこの反応でもやはり, リチウムエ ノラートのRe閣のみが選択的に反応に関与し, Michael付加体9a は2R,3R異性 体と2R,3S異性体との混合物であった。
TS2・03/exo TS2・03/endo
Major isomer 01 9a Minor isomer 01 9a
Figure 2・7 Two possible approaches between the lithium Z-enolate derived 1rom a camphor imine 1 b and dimethyl ethylidenemalonate.
エチリデンマロナートには,反応の遷移状態においてエノラートのリチウム イオン が配位できるエステル基が2つあって, しかもβ位の置換基 (メチル基)が比較的 小さいため,エンド接近とエキソ媛近による両方の反応が競争的に起こり得たためと 考えられる (Fig.2-7)。これら2積の接近は他のアルキリデンマロナートを用いた反 応でも同級に可能で ある が, 。ィ立の置換基が嵩高くなると エンド遷移状態(TS2・
o 3/endo)がエキソ遷移状態、(TS2-03/exo)に比べて不安定となる ため 専らエキソ接 近からの反応が進行して,光学的に純粋なアンチ付加体9b-gが生成したものと思わ