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第6章ヘッジ:談話レベルからの分析

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第6章ヘッジ:談話レベルからの分析

 本章では、本研究のもう1つの分析項目であるヘッジについて「1発話文当りのヘッ ジ」、 「発話文全体49のヘッジ」、 「発話文末のヘッジ」という三つの観点から、日 本語と韓国語それぞれにおいて、べ一スの性別、対話相手の性別・年齢の要因別にそ

の分析結果を示し、考察を行う。まず、6.1節で「ヘッジ」の認定について述べる。6.

2節では、 「ヘッジ」の分析項目について述べ、6.3節では、 「ヘッジ」の分析項目に 対する筆者とセカンドコーダーとの「評定者間信頼性係数(Cohen,s Kappa)」の結果

を示す。次の6.4節では、 「ヘッジ」の分析結果を示し、考察を行う。最後に65節で 本章のまとめをする。

 まず、以下の6.1節では「ヘッジ」の認定について述べる。

6.1ヘッジの認定

 本研究では、ヘッジという用語を用い、ヘッジは、推量をしたり、または、断定や 限定を避けたり、明言や断言をせずにぼかすことで発話内容の力を和らげる(弱めた

り、緩和する)表現と定義する。つまり、文脈上、その表現がなくても発話内容の伝 達に何の問題もなく、さらに断定的に言えるところを、その表現を使うことで発話内 容の力を和らげる(弱めたり、緩和する)効果をもたらすと判断される表現である。

 ヘッジに関するこれまでの先行研究によると、ヘッジという用語を用いての研究は 主に英語におけるものであり、日本語においてはヘッジという用語を用いての研究は Lauwereyns(2000)、°1禎司(2004)以外はほとんど見られない。ただし、発話機能から 見てヘッジと類似した概念として「緩和表現」(柏崎1993、田中1995等)、 「気配り表 現」(彰飛1997等)、 「ぼかし表現」(村田1994、佐竹1995、辻1996;1999a;1999b等)、

「あいまい表現」(現代用語の基礎知識1995)、 「娩曲表現」(仁田1992、国広2000、

日本語教育事典2000等)、 「やわらげの表現」(Kekidze 2003等)などの用語を用いての 研究がいくつかある。韓国語においては、ヘッジは、ディスコース・マーカーに関す

る研究の一部分として取り上げられているものがほとんどであり、そのディスコー ス・マーカーの担っている様々な機能の中でヘッジの機能もあると指摘しているもの があるくらいである。

 本研究におけるヘッジの認定においては、上述のヘッジの定義に合っていると判断 されるものをヘッジとして認定する。その際、同じ言語表現であっても、あくまでそ の言語表現のもつ発話機能で判断することにし、イントネーションなどの音声的な側

49 アこでの「発話文全体」は、発話文末を含めた発話文全体を指す。

(2)

面も考慮に入れる。

 例えば、Lauwereyns(2000)でヘッジ表現として取り上げられている「でしょう、だ ろう」などの場合、発話の末尾が上昇イントネーションで言い切っており、文脈の中 で単純に相手の意見に同調するか確認するなど、ヘッジの機能を持ってないと判断し た場合はヘッジとして捉えない。さらに、ヘッジに関するいくつか先行研究

(°1⊇望1998、Lauwereyns 2000等)によると、ヘッジは発話の始めや話題の転換、また は単に次に言う言葉を考えるためのフィラーなどにも用いられるとしているが5°、本 研究ではそのような機能は除き、主に発話の意味を娩曲かつ柔らかく表現するための 語彙の使用に焦点を当てることにする。つまり、先行研究で、 「ヘッジ」、 「緩和表 現」、 「気配り表現」、 「ぼかし表現」、 「椀曲表現」などの研究の例の一部として 取り上げられている付加疑問文、副詞節の使用、半クエスチョン、依頼・要求の談話 における前置き表現、 「させていただく」類の言い回し表現、命令の表現を避けて

「読んでください」のように依頼の表現を用いたりする表現なども研究の対象としな い。なお、ヘッジの分析項目のコ・一・一・ディングに先立ち、何をヘッジとして認めるかに ついてもセカンドコーダーとの「評定者間信頼性係数(Cohen s Kappa)」を測り、信頼 性を確保した51。

 以下では、今研究において収集した会話におけるヘッジの認定において、発話機能 とイントネーションなどの音声的な側面を考慮に入れ、同じ言語表現であってもヘッ ジとして捉えるものと捉えないものについて日本語と韓国語それぞれの例を挙げ説明

する。

日本語におけるヘッジとして捉えるものと捉えないもの

 ここでは、日本語のおけるヘッジの認定において、発話機能とイントネーションな どの音声的な側面を考慮に入れ、同じ言語表現であってもヘッジとして捉えるものと 捉えないものについて「でしょう」と「感じ」の例を挙げ、説明する。

50。1禎。ll(2002)、 ol司唱(1994)、01フ1召(1994)などによると韓国語における「01刈」、

「−7}ス1ヱ」、 「書01°札、「音矧」、 「ユ司月刀札などのディスコース・マーカーも次 の話題を考えたり、準備するための時間を確保したりして、発言権維持のための役割を果 たしていると指摘している。また、発話において剰余的な発話の要素を列挙することは非 常に非経済的ではなるが、剰余的なディスコース・マーカーの複合的な使用は話し手と聞 き手の間の緊張を緩和してくれる緩衝の役割をし、コミュニケーションには支障を与えな いと指摘している。

51ヘッジの認定のセカンドコーダーとの「評定者間信頼性係数(Cohen s Kappa)」は、6.2 節を参照されたい。

(3)

「でしょう」

①ヘッジとして捉える「でしょう」の例:

発話文番号  話者 発話内容

JBMO1ここ大学の規模そんなに大きく<ないので…〉{〈}。

JYFO1〈あ、そうなん〉{〉}ですか?。

JBMO11学年750人ですから。

JYFO1あ一、じゃ、もう、そうですね、〈大学としては…〉{〈}。

JBMO1〈全部で、〉{〉}うん、3000人ぐらいしか〈いませんから〉{〈}。

JYFO1〈ふ一ん、ふ一ん〉{〉}じゃあと、そうですね。

JBMO1そうですね、単科大学ですし…。

JYFO1ふ一ん、あ、そうなんですか一。

JBMO1まったく、つくりがね…〈笑い〉。

JYFO1〈笑い〉まあ、ほんと、病院だったら、いい環境Z3L.kjね、きっと(うん)、

   緑も多いし、(うん、ね一)静かだし。

②ヘッジとして捉えない「でしょう」の例:

発話文番号  話者 発話内容

85−1

86

85−2 87 88 89

JBFO8 JSMO3 JBFO8 JSMO3 JSMO3 JBFO8

は一い、なんか、そんな所で、友達と一緒に、大学の####とか、一泊でし

たけど一,,

ええ。

行ったんです。

あ一そうですか。

きれいなとこでしたでLよ?。

すごくきれいな所でした。[雑音]

 ①の例の発話文番号254に見られる「でしょう」は、ヘッジとして捉える。発話の 文脈から、話し手(ここではJYFO1)は、いろいろな環境から見て「病院だったら、いい 環境である」と確信しているにも関わらず、 「でしょう」と推量の表現を使うことで、

発話の内容を和らげていると判断されるため、ヘッジとして機能していると捉える。

しかし、②の例の発話文番号88に見られる「でしょう」は、発話の末尾が上昇イント ネーションで言い切られており、文脈上、 自分の意見に対し、単純に相手に同意を 求めていると判断されるため、ヘッジとして機能しているとは捉えない。

(4)

「感じ」

①ヘッジとして捉える「感じ」の例:

発話文番号  話者 発話内容

169 170 171

JOMO3献立ってのは、もうプログラムと殆ど同じですから、やり方としましては。

JOMO3それが、できりゃできんじゃないっていう戚じ。

JBFO8ん一、なんかそう言われると、〈笑いながら〉やってみたく<なちゃうなっ    て〉{〈}。[声が小さくなった]

②ヘッジとして捉えない「感じ」の例:

発話文番号  話者 発話内容

225 226 227−1

228 227−2

229 230 231 232

JBFO8あ、なんか、コマーシャルに出てますよね、琢郎が。

JYMO3 はい。

JBFO8知らない人は分かんないじゃないですか、メガネかけて,,

JYMO3ええ、〈そうですよね〉{〈}。

JBFO8〈髪の毛も〉{〉}こ一んなになって。

JYMO3昔のイメージ全然ないですからね。

JBFO8全然〈ないですよね〉{〈}。

JYMO3〈はい、え一〉{〉}〈笑い〉。

JBFO8そうなんだ、ああ、ああいう戚じなのか。

 ①の例は、JBFO8がプログラムを作ることが難しいと思っているのに対し、 JOMO3がそれほど 難しくないと献立を例に挙げ、比較する場面である。発話文番号170に見られる「感じ」

は、「献立ができればプログラムもできる」といえばいいものを「っていう感じ」という表現 を使うことで、発話内容をぼかしていると判断されるため、ヘッジの機能をしている と捉える。しかし、②の例の発話文番号231に見られる「感じ」は、 「琢郎」の最近 の外貌のイメージについて「ああいう感じ」と言っているので、ヘッジとして機能し ているとは捉えない。

韓国語におけるヘッジとして捉えるものと捉えないもの

 ここでは、ヘッジの認定において、発話機能とイントネーションなどの音声的な側 面を考慮に入れ、同じ言語表現であってもヘッジとして捉えるものと捉えないものに っいて閂(何、なんか)」と「ユ望亡}/ユ司計叶(そうである)」の例を挙げ、説明す

る。

(5)

「¥(何、なんか)」

①ヘッジとして捉える「刊(何、なんか)」の例:

発話文番号  話者 発話内容

48

49

50

KBFO1

KSFO1

KSFO1

xl i。1刈,亘}7博叫叫今司刈神〈晋牛是妾⊇.里神〉,

(oロー)q1今司刈λ1(名一一)昇〈遡書OL皇〉{〈}.←(ヘッジとして 捉える)

(わたくしは、もう、暇になれて〈最後の部分、笑いながら〉、(うん)

なれていて(うん)なんか〈大丈夫です〉{〈}。)

〈il U1−,〉{〉}(ヰ菩戴刈入}i契王書・合司1陪)却≡王 勺苓せ(司)升せ銀司誓昊司・7i]三9(告)=.

(〈でも一、〉{〉}余裕をもって暮らすのもいいけど(うん)わたくしは性 格上、のんびりできないんです(うん)=。)

=ユ零τ斗ユ 吾フ1銀刈 (ムロ)ヨ三里 6}とLI,王 ユ奏王

叫」ヱ(o口),器望叡01判誓斗司ヱ芒計芒司く晋早是

臭旦望司〉.

=だからといって、じっとなにかをするのかといったら、そうでもな いし(うん)、たえずになにかをしようとはするけど〈最後の部分、笑 いながら〉。)

②ヘッジとして捉えない「91(何、なんか)」の例:

発話文番号 話者 発話内容

13

14

15

16

17

KBFO1 日}里・司1皇?,(裂皇く望舛ス1>{<},

   (忙しいですか、日曜〈日まで〉{〈}。)

KSFO1 〈o}一,〉{〉} Ll早 日}里こ}.

   (〈あ一、〉{〉}忙しすぎて。)

KBFO1叫.

   (え。)

KSFO1 〈OOフ:〒「〉ユ己]司1 r斗7} qス刊 ]i6}:一,, モ}ヌ]1司]三  フ『 言}番o}≦〕L[↑],

    ズ国亡.

   (〈笑い〉それに、もうお金にかかわる仕事をしているでしょう[↑]、私たち     は。)

KBFOI o},昇6n R−?.←(ヘッジとして捉えない)

(6)

18

   (あ、何をしますか。)

KBFO1ユ7a E76} A1 i>3・119?.←(ヘッジとして捉えない)

   (あれ、何をされているんですか?。)

 ①の例の発話文番号48を見ると、KBFO1がまだ結婚してないので時間が多い自分の状 態に対し、平気であることをいい時に、「¥1(なんか)」という語彙をその前にいうことで、発話内 容の力を緩和していると判断される。そのため、発話文番号48の、「判(なんか)」は、

ヘッジの機能をしていると捉える。しかし、②の例の発話文番号17と18に見られる

「¥1(なんか)」は、単に「何」という疑問代名詞として使われており、ヘッジとし て機能しているとは捉えない。

「ユ尋1斗(そうである)」

①ヘッジとして捉える「ユ尋叫/ユ司吉}τ十(そうである)」の例:

発話文番号  話者 発話内容

78−1

79

78−2

80

81−1

82

81−2

83

81−3

84

KBMO2=モト司,司 6}し干6}PtL,61 qフ},,

   (でも、何をするかというと、して,,)

KYFO2 (11−.

   (え一。)

KBMO2智[job]9王璽}司…,刈,フ1(召 司神ス1苦・司 銀銀・19.

   (仕事をまたしよう…、わたくし、企業のリサーチの方にいました。)

KYFO2 0}一 (11−.

   (あ一、え一。)

KBMO26}qフ},但刈 o}入1烈ス1口},,

   (していて、もうお分かりだろうけど,,)

KYFO2 (1],叫.[(i音烈τ斗モ三 昊01]

   (え、え。[分かったように])

KBMO22三A)A}#入1苦01午(叶ズ1弔λ〕,,

   (株式#市場が衰えて,,)

KYFO2 (司,al).

   (え、え。)

KBMO2王一智[job]9「1計七vl1香三≡.←(ヘッジとして捉える)

   (また一、仕事を探すのがちょっとあれでいた。)

KYFO2 0}一.

(7)

85

   (あ一。)

KBMO2 iJI I rao司旦呈  司7} 01零月1 司神  巷司曽{≧, 七圭01フ} (iユ刈

   誓司司月ぞL ?}司裁亡Pユ司入〕,皇λ‖ス]晋喫7‖型る1早司xlF

   苦早誓香言}一一L%) 7a s9.

   (私の経歴では、私がこのようにして行くなら、目標がもう変わってくるから、

    だめだ と思って、この頃、今、何ヶ月前から今勉強をちょっとしていますよ。)

②ヘッジとして捉えない「ユ零τ}/ユ司6}q(そうである)」の例:

発話文番号  話者 発話内容

73

74

75

76

77

78

80

81

82

   t斗 ユ望 刃1甚ol t斗 司干甚01くユ フ『叫且?.

KSFO2

   (全部、だったら3名様が全部お友達でいらっしゃいますか?。)

   司.

KBMO2

   (はい。)

   9苦一.[せ裁亡}亡昊01]

KSFO2

   (うん一。[分かったように])

   ヱ号叫正 ゜3酔旦 叫一,召{≧ 草}.

KBMO2

   (高校1年の時一、同じ組。)

   叫・1−,モ司1叫司舛ス1…?.

KSFO2

   (ああ一、なのに今まで…?。)

   /吾入1丑司/ユ書盃.

KBMO2

   (/少し間/そうです。)

   (あ一。[分かったように])

   廿斗音名司早甚書くコヲ与丘?〉{<}.←(ヘッジとして捉えない)

KSFO2

   (男の人たちはほとんど〈そうですか?〉{〈})

   〈Oト〉{〉}を ( L}コty i.←(ヘッジとして捉えない)

KBMO2

   (〈あ一〉{〉}、あまりそうではないでしょうね。)

   ユ主?.

KSFO2

   (そうですよね?。)

 ①の例の発話文番号81−3を見ると、 「景気があまりよくないので、新しい仕事を求 めるのが難しかった(できなかった)」ということを伝えようとする時、 「難しい(で きなかった)」などの都合の悪い表現の代わりに「ユ尋叶(そうである)」という表現 を使うことで、発話内容をぼかし、発話内容の力を緩和しているということが文脈か

(8)

ら判断できる。そのため、発話文番号81−3の「ユ零叫(そうである)」は、ヘッジの機 能をしていると捉える。しかし、②の例の発話文番号80と81に見られる「ユ零叫(そ

うである)」は、文脈から、単に前に出た内容を指示していると判断されるため、ヘ ッジとして機能しているとは捉えない。

 以下では、ヘッジの分析項目について述べる。

6.2ヘッジの分析項目

 ヘッジは、大きく「ヘッジの有無」と「1発話文当たりのヘッジ」という2つの観点 からコーディングして分析する。まず、ヘッジの有無の分析項目においては、すべて の発話文を対象にヘッジの現れる位置に関係なく、ヘッジが該当発話文にあるかどう かについて、ヘッジの有無をコーディングする。これを「発話文全体のヘッジ」とす る。さらにスピーチレベルとの関連を考慮に入れ、該当の発話文末にヘッジがあるか どうかについて、 「発話文末のヘッジ」として別途コーディングする。ここでいう発 話文末はスピーチレベルを判定するところの発話文末を指す。

 次に、 「1発話文当りのヘッジ」の分析項目のコーディングにおいては、すべての 発話文を対象に1発話文ごとに現れるヘッジ数を該当セルに記入する。その際、ヘッ ジの種類とは関係なく、同じヘッジ表現であっても複数現れる場合は、表れた回数分 を数えて記入する。例えば、1つの発話文に「なんか」というヘッジが3回現れ、また、

「ちょっと」というヘッジが1回現れる場合は、該当発話文のヘッジ数は4回となる。

日本語におけるヘッジのコーディングの例

 以下に、日本語におけるヘッジのコーディングの例を示す。本研究でヘッジとして 認定されるものは太字のイタリックで、下線を引いて示す。

発話文  話者 番号

発話内容 発話文全体の 発話文末の 1発話文当りの  ヘッジ    ヘッジ    ヘッジ 160  JBMO3

161 162 163 164

JYMO4 JBMO3 JBMO3 JYMO4

麓かあれですね、成城だかのおぼっちゃん学 校あるんじゃなかったかな、あのあの一(うん)中 央線沿線に。

あ何かあるんですか、(うん)やっぱり〈笑い〉。

あったよラな(うん)気がナるんだ万ど

あ一ちょっとこれもううろ覚えなんで(〈笑い〉)。

でもあれですね一、だからいっつもやっぱりそ の子たちもおんなじ一顔ぶれなんですよね(う

0

00

0

0

3

〔∠−⊥

(9)

165  JYMO4

166  JBMO3

一ん)。

みんないっつも一緒にいて、(うん)あ一仲いい な一とか、蟹って6

あれがだんだんだんだん大人になってくるに〈

つれて憎たらしくなってくるっでいラ…〉{〈}〈笑い

〉。

O 0

0 0

2

1

 日本語におけるヘッジのコーディングの例を見ると、まず、発話文番号160では、

「確か」、 「〜だか」、 「〜かな」の3つのヘッジが使われており、その中で「〜か な」は発話文末に使われている。 発話文番号162の場合は、 「ような」、 「気がす る」の2つのヘッジが使われており、その中で「気がする」は発話文末に使われてい る。次に、発話文番号163では、 「ちょっと」がヘッジとして使われており、発話文 番号165では「とか」、 「思って」の2つのヘッジが使われており、その中で「思っ て」は発話文末に使われている。最後に発話文番号165では、 「〜という」がヘッジ

として、発話文末に使われている。

 以下では、韓国語におけるヘッジのコーディングの例を示す。

韓国語におけるヘッジのコーディングの例

 韓国語においても日本語と同じく、ヘッジを大きく「ヘッジの有無」と「1発話文 当りのヘッジ」という2つの観点からする。ヘッジの有無のコーディングにおいては、

まず、全ての発話文を対象にヘッジの現れる位置に関係なく、ヘッジが該当発話文に あるかどうかを「発話文全体のヘッジ」としてコーディングし、さらにスピーチレベ ルとの関連を考慮に入れ、該当の発話文末にヘッジがあるかどうかを「発話文末のヘ

ッジ」として別途コーディングする。 次に、 「1発話文当りのヘッジ」のコーディン グにおいては、すべての発話文を対象に1発話文ごとに現れるヘッジ数をコーディン グする。その際、ヘッジの種類とは関係なく、同じヘッジ表現であっても複数現れる 場合は、複数記入する。

 以下に、韓国語におけるヘッジのコーディングの例を示す。本研究でヘッジとして 認定されるものは太字のイタリックで、下線を引いて示す。

発話文  話者 番号

発話内容 発話文全体の 発話文末の 1発話文当り  ヘッジ    ヘッジ   のヘッジ 94 KOMO1 モ司1,已η}ol袖旦望,ズ1 ia 70v△司誓書

    寄忍斗ス}i司ロ)E 殼ヱ(o口),尋君

O 0 2

(10)

95

96

97

98−1

99

98−2

100

101

KBFO1

KOMO1 KOMO1

KBFO1

KOMO1

KBFO1

KOMO1

KBFO1

N(召・1畳 くa彗 ス同誓, 書尋 司÷

入}昔音到(o口)旦モ斗01三4ξガ,

(でも、だから、あの鉄鋼の消費をちょっと促進 しようとする意味もあるし(うん)、鉄鋼産業という 認識を、鉄鋼産業の従事する人たちのプライド

とか。)

昔,ユ零1斗望ユ甘フ1唱〈01 ul xl…〉{<}.

(うん、だったらただ企業の〈イメージ…〉{〈}。)

〈01ロ同〉{〉}呈旦旭胡且.

(〈イメージ〉{〉}として受け取ればいいです。)

£7普ヱ量叶ヱ司司司入}j7L(司1),翌ユ書 ダ召xア芒o}望ガ(o口)召」7L.

(なんか広告したとしてもっと買うという(はい)、

なんかそのようではなさ(うん)そうだし。)

ユ,ユ屯司 司恕芒 司,神 司一月舛,o},

入悟}音01骨,曽口}入}音暑01骨早G♀}剤 銀L}?,01旦想z†音…,,

(でも、とにかく、あの、やるから、あ、一般の 人々と、一般の人々と何の関係あるのかな?こ

ういう考えを…,,)

司.

(え。)

戴殼互.

(しました。)

ユ司神 号里司 昇ユ屯オ旦叶亡(o口),

已η}・1ロ1ス1叶ヱ旦入1望9.770jlR.

(それで別になんかそんなことよりは(うん)、だか らイメージとして考えられるといいでしょうね。)

音,{三司(『殼暑王ムヨ.句1司司勺想之「{ξ,

モ舛 ユ 書吾01せ 力叫 司司神 槽之「忘

斗刈6}eダ召oガR.

(うん、でもとにかくボスコに対する考えを、だか らあの鉄鋼と言うものについて考えはさせるよう な気がします。)

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0

0

0

4

2

1

(11)

 韓国語におけるヘッジのコーディングの例を見ると、まず、発話文番号94では、

「香(ちょっと)」、 「叫li 7}(とか)」の2つのヘッジが使われており、その中で

「叫暑フ}(とか)」は発話文末に使われている。発話文番号97の場合は、 「判(なん か)」、 「〜力巷叶(〜のようだ)」の2つのヘッジ表現が2回ずつ計4回使われており、

その中で「〜誤吾叫(〜のようだ)」は発話文末に使われている。次に、発話文番号 100では、 「司(なんか)」、 「〜el(¶皇(〜でしょう)」の2つのヘッジが使われてお り、その中で「〜eA(¶皇(〜でしょう)」は発話文末に使われている。最後に発話文 番号101では、 「〜夷社叫(〜のようだ)」がヘッジとして、発話文末に使われている。

 以下では、ヘッジの認定とヘッジの分析項目のコーディングに対する分析の信頼性

を確認するため、 「評定者間信頼性係数(Cohen s Kappa)」の結果を示す。

6.3分析の信頼性

 以上のコーディング項目に基づいた会話データの分析、発話の分類が単に筆者の主 観によるものではなく、信頼性のあるものであることを確認するために、セカンドコ ーダー(第2認定者)を立てて筆者との「評定者間信頼性係数(Cohen s Kappa)」を測っ た。セカンドコーダーにコーディングの定義を熟知させた上で、 「ヘッジ」の分析項 目についてコーディングをしてもらい、 「評定者間信頼性係数(Cohen s Kappa)」を算 出した。なお、ヘッジの分析項目のコーディングに先立ち、何をヘッジとして認める かについて、日本語は文節(橋本1948)を、韓国語は語節(南基心他2001)を単位とし、

セカンドコーダーとの「評定者間信頼性係数(Cohen,s Kappa)」を測った。

 以下では、ヘッジの認定とヘッジのコーディングの評定者間信頼性係数(Cohen,s kappa)だけを表51に示すが、詳しい内訳に関しては、資料集を参照されたい。

表51日本語と韓国語におけるヘッジのコーディングの評定者間信頼性係数(C。hen s Kappa)

      言語 ェ析項目

日本語 韓国語

ヘッジの認定 0,776 0,764

1発話文当りのヘッジ 0,711 0,730

発話文全体のヘッジ 0,784 0,860

発話文末のヘッジ 0,736 0,732

 以上の結果より、日本語と韓国語におけるヘッジの認定とヘッジのコーディングは、

全ての分析項目についてK>0.70で、信頼性があると判断された。

(12)

以下の6.4節では、 「ヘッジ」の分析結果を示し、考察を行う。

6.4ヘッジの分析結果と考察

 ここでは、 「1発話文当りのヘッジ」、 「発話文全体52のヘッジ」、 「発話文末のヘ ッジ」という3っの観点から、日本語と韓国語それぞれにおいて、べ一スの性別、対 話相手の性別・年齢の要因別にその分析結果を示し、考察を行う。まず、6.3.1節では、

日本語と韓国語におけるヘッジの全体像が分かるよう、べ一スと対話相手を合わせた、

全ての発話文を対象にしたヘッジの種類とヘッジの使用について、使用割合及び使用 頻度を提示する。6.3.2節では、話し手の性別、対話者の年齢・性別という要因に応じ て、話し手がどのようにヘッジを使用するかを見るために、べ一ス側の会話のみを取

り上げ、1発話文当りのヘッジと、発話文全体と発話文末におけるヘッジを、べ一ス の性別、対話相手の性別・年齢の要因別にしてその分析結果を示し、考察を行う。

6.4.1全ての発話文におけるヘッジ

 以下では、日本語と韓国語におけるヘッジの全体像が分かるよう、べ一スと対話相 手を合わせ、全ての発話文を対象にしたヘッジの種類とヘッジの使用について、使用 割合と使用頻度を提示する。

6.4.1.1ヘッジの種類

本研究では、日本語と韓国語において、推量をしたり、または、断定や限定を避けた り、明言や断言をせずにぼかすことで発話内容の力を和らげる(弱めたり、緩和する)

表現をヘッジと定義している。以下では、全ての発話文を対象にして、日本語と韓国 語のヘッジの種類を具体的に提示し、その使用例も挙げて説明する。ヘッジの全体像 をより統合的に捉えるため、発話文末におけるヘッジと発話文全体におけるヘッジに 分け、それぞれの使用割合と使用頻度を提示するが、その際、発話文全体におけるヘ

ッジの使用割合の高い順にする。

 その前に、以下の表52に本研究においてヘッジと認定された、日本語と韓国語にお けるヘッジの種類の数を提示する。

52ここでの「発話文全体」は、発話文末を含めた発話文全体を指す。

(13)

表52日本語と韓国語におけるヘッジの種類

         言語 ェ析項目

日本語 韓国語

発話文全体のヘッジの種類 37 27

発話文末のヘッジの種類 24 14

 日本語と韓国語におけるヘッジの種類を見ると、表85、表86、表87に提示されてい るように、発話文全体においても発話文末においても日本語の方が韓国語よりヘッジ の種類が多いことが分かる。

 以下には、まず、日本語におけるヘッジの種類を具体的に提示し、その使用例を挙 げて説明する。

6.4.1.1.1日本語におけるヘッジの種類

 ここでは、日本語におけるヘッジの種類を発話文末におけるヘッジと発話文全体に おけるヘッジに分け、表53に示す。ヘッジの並べ方は、発話文全体におけるヘッジの 使用割合の高い順である。

表53日本語におけるヘッジの種類53

ヘツジの種類 発話文末のヘッジの

@使用割合(頻度)

発話文全体のヘッジの

@使用割合(頻度)

とか 10.87(69) 19.84(516)

なんか 2.05(13) 13.15(342)

みたいだ/ようだ/そうだ/らし

「/みたいな/ような 11.50(73) 8.38(218)

ちょっと 1.10(7) 7.07(184)

かしら/かな/かね 12.60(80) 6.31(164)

というか 3.62(23) 5.19(135)

くらい/ころ/あたり/程 1.42(9) 4.77(124)

たり(する) 3.78(24) 4.77(124)

感じ 11.50(73) 3.73(97)

53 坙{語と韓国語それぞれの発話文末と発話文全体のヘッジにおいて、それぞれ使用割 合の高いもの5つに対し、使用割合と使用頻度を太字にした。

(14)

けっこう 0.31(2) 2.85(74)

でしょう/だろう 6.14(39) 2.50(65)

など/なんか 0.16(1) 2.31(60)

〜という 8.82(56) 2.15(56)

じゃないか 8.03(51) 2.15(56)

かもしれない 6.30(40) 2.04(53)

たぶん/おそらく/たしか 0.16(1) 1.85(48)

思う/思って 6.30(40) 1.73(45)

ほう 0.79(5) 1.46(38)

一応/とりあえず 0(0) 1.38(36)

(という)ふうに/ふうな 0(0) 1.38(36)

なんて 0.63(4) 1.35(35)

0.16(1) 1・04(27)

って/と 2.36(15) 0.58(15)

関係 0(0) 0.38(10)

大体/大抵 0(0) 0.31(8)

気がする 1.10(7) 0.31(8)

なんとなく 0(0) 0.27(7)

0(0) 0.19(5)

0(0) 0.15(4)

0(0) 0.08(2)

だいぶ 0(0) 0.08(2)

でも 0(0) 0.08(2)

感覚 0.16(1) 0.04(1)

ほとんど 0(0) 0.04(1)

ぽい 0(0) 0.04(1)

見える 0.16(1) 0。04(1)

あれ 0(0) 0.04(1)

合計 100(635) 100(2601)

 本研究で、日本語のヘッジとして認められたものは、37種類ある。その中で発話文 末に使われたヘッジは24種類ある。発話文全体に使われたヘッジを見ると、 「とか」

(15)

「なんか」、 「みたいだ/ようだ/そうだ/らしい/みたいな/ような」、 「ちょっと」、

「かしら/かな/かね」の順にもっとも多く使われている。また、発話文末に使われた ヘッジを見ると、 「かしら/かな/かね」、 「みたいだ/ようだ/そうだ/らしい/みたい な/ような」、 「感じ」、 「とか」、 「という」の順にもっとも多く使われている。

 以上の日本語のヘッジの種類とその使用割合を見ると、発話文全体においても発話 文末においても限定されたいくつかの表現に偏らず、様々な表現が使われていると言

えよう。

 次に、談話の中における発話機能からヘッジとして認められたものを、言語形式の 面から分類すると以下の表54のようにまとめられる。

表54日本語におけるヘッジの言語形式

言語形式 ヘツジの種類

動詞・助動詞類 みたいだ/ようだ/そうだ/らしい/みたいな/ような、たり(す 驕j、でしょう/だろう、〜という、じゃないか、かもしれな

「、 思う/思って、気がする、見える

副詞類 なんか、ちょっと、けっこう、たぶん/おそらく/たしか、一応

^とりあえず、大体/大抵、なんとなく、だいぶ、ほとんど 名詞類54 感じ、ほう、ふうに/ふうな、あれ、感覚

助詞類 とか、かしら/かな/かね、など、って/と、なんて、か、でも 接尾辞類 くらい/ころ/あたり/程、関係、風、的、系、ぽい

接続詞類 というか

 本研究で、ヘッジとして認定されたものは、表55のように、大きく、 「動詞・助動 詞類」、 「副詞類」、 「名詞類」、 「助詞類」、 「接尾辞類」、 「接続詞類」の6つ の言語形式に分けられる。その中でも、動詞・助動詞類と副詞類が多く、特に、推量 を表すモダリティ形式と程度を表す副詞がヘッジとして多く使われていることが分か

る。

 以下では、本研究で日本語のヘッジとして認められるものをいくつか例を挙げ、説

明する。

54 {研究における名詞類の範疇には名詞、代名詞、数詞が入る。

(16)

日本語におけるヘッジの使用例

「とか」

発話文番号  話者 発話内容

JOFO4 JBF12 JOFO4 JBF12

なにがご専門とか…?。[→]

え一っと、国語です。

あ、そうですか。[大げさに]

はい。

 発話文番号94の「とか」の使用例を見ると、 「ご専門」を聞いており、 「ご専門 は」と言えるところを「とか」を使うことでぼかしており、発話内容の力を和らげて いると判断されるため、ヘッジとして機能していると捉える。

「なんか」

発話文番号  話者 発話内容

97

98−1

99

98−2

100

JSFO1 あの、昔は、なんかこう、助手さんを何年かやって、(うん)研究ショシさ     んになられて、それで何年か経つとなんか講師になるとか。

JSFO1 今はなんかこう、博士課程出たかとか,,

JBFO3 あ一、〈そうなんですよ〉{〈}。

JSFO1 〈大学院出たか〉{〉}という、大学院ができたせいで、(ええ)〈変わって     きていますよね〉{〈}。

JBFO3 〈あの一、変わって〉{〉}きています。

 発話文番号97、98−1の「なんか」の使用例を見ると、 「なんか」がなくても発話内 容の伝達に何の問題もないが、 「なんか」をところどころ使うことで、断定を緩和し、

発話内容の力を和らげていると判断されるため、ヘッジとして機能していると捉える。

さらに、発話文番号97、98−1には「とか」も一緒に使われ、ヘッジの機能がより強く なっていると考えられる。

「みたいな」

発話文番号  話者 発話内容

174−1  JYMO3

175 JBF12

なんかほんとに入った当初の学園祭ってのは、なんですかね、なんと か発表会みたいな(あ一あ一)のりで一、これ一え一,,

高校生くらい〈かなってかんじ〉{〈}?。

(17)

174−2  JYMO3

176 177

178 179

JBF12 JYMO3

JBF12 JYMO3

〈これなんか〉{〉}、ええ、学祭とはいえないなって、すごい思ったんで

すよ。

ああ、そうですか。

私のイメージはやっぱり屋台出して一(うん)、〈笑い〉なんとかして、み

たいな(うん)。

うん一。

うん一、そういうイメージあったんですよね。

 発話文番号174−1の「みたいな」の使用例を見ると、 「発表会ののりで」と言える ところを「発表会みたいなのりで」と「みたいな」を追加することで、 「発表会」と 限定するのを避けており、発話内容の力を和らげていると判断される。また、発話文 番号177の「みたいな」の使用例を見ると、 「みたいな」が終助詞的に使われ、発話 内容をぼかしており、発話を柔らかくしていると判断される。そのため、発話文番号 174−1と177の「みたいな」は、ヘッジとして機能していると捉える。

「ちょっと」

発話文番号  話者 発話内容

52 JBFO3

53  JYFO1 54  JBFO3 55  JBFO3

56−1   JYFO1

57  JBFO3

56−2   JYFO1

58  JYFO1

59 JBFO3

ええ、あの図書館の横にできた(ええ)新しい建物に、今年から移らせ ていただいて…。

は一、は一、あ、そうなんですか。

御覧になったことありますか?。

いらっしゃいました?。

ええ、あの、2、3回,,

ああ、そうですか。

なんですけれども、あのキャンパスガイダンスの時に。

あの、下の博物館ですか?、(はい)あそこへちょっと、初めて入りまして

〈2人笑い〉。

あ、そうですか。

 発話文番号58の「ちょっと」の使用例を見ると、 「ちょっと」がなくても発話内容 の伝達に何の問題もないが、 「ちょっと」を追加することで、博物館に入った事実を、

謙遜な気持ちも表しながら柔らかく伝えていると判断されるため、ヘッジとして機能 していると捉える。

(18)

「かしら」

発話文番号  話者 発話内容

57

8Q∂ハU 5反UC)

JOFO4

JBF12 JOFO4 JOFO4

あの一ほら、こう、洋服って綿とか(ええ)ナイロンとかポリエステルとかあ りますでしょ。

はい。

で、そういった素材のことの、物理的性能っていうのかLら。

こう、汗を吸う力、吸湿性(ええ)とか、吸水性とか(ふ一ん、はい)そんな 性能を調べたり、あとは、そうですねえ、快適に衣服を着るためにこう

(ええ)温度湿度を計って、(ええ)人工気候室で温度湿度を測って、(は い)それで、人から出た温度と湿度、こう汗かいたりしたのが、(はい)衣 服を通してどう放散するか、とかいうのやったりしてるんです。

 発話文番号59の「かしら」の使用例を見ると、文脈上、 「物理的性能です」と断定 的に言えるところを、 「かしら」を追加することで不確実的な気持ちを表し、発話内 容の力を弱めていると判断される。そのため、発話文番号59の「かしら」はヘッジ

として機能していると捉える。

「〜というカ、」

発話文番号  話者 発話内容

 96  97 98 99 100 101 102−1

103 102−2

104 105 106 96

JYMO3えっ、お生まれは…?、ええ。

JBFO8生まれは東京なんです。

JYMO3は、そうなんですか。

JBFO8 ええ。

JBFO8東京で一、そして一横浜に〈引っ越しました〉{〈}。

JYMO3〈あ、はい〉{〉}。

JBFO8で、ですから、そ、大学1年生まで、東京で〈いて〉{〈},,

JYMO3 〈はい〉{〉}。

JBFO8とそれ以降はずっと横浜に、ま、家 いえ が替わった〈という…〉{〈}。

JYMO3〈あ、〉{〉}ご家族〈ごととレ、うか〉{〈}。

JBFO8くええ、〉{〉}一家転住〈どe)51)…〉{〈}。

JYMO3〈ああ、そうなんですか〉{〉}。

JYMO3えっ、お生まれは…?、ええ。

発話文番号104と105の「というか」の使用例を見ると、文脈上、 「ご家族ごと」

(19)

「一家転住」と確実に言ってもかまわないところを、 「というか」を後ろに追加する ことで不確実的な気持ちを表しながら、発話内容をぼかしていると判断される。その ため、発話文番号104と105の「というか」は、ヘッジとして機能していると捉える。

「くらい」

発話文番号  話者 発話内容

113

114

115 116

JYMO1ただあの、その毎年走ってるのは11月の最後の週の日曜日だ、か    な??、日曜日だかっていうか、だからもう##も時期的には寒いんですよ    =o

JYMO1=で、3回ぐらい走ったの中で、寒かった年と寒かった年と暑かった年が    あるんですよ。

JYMO1〈だめですね…〉{〈}。

JBMO2〈いやもう〉{〉}、暑い年はダントツで、やっぱり辛い〈ですね〉{〈}〈笑い〉。

 発話文番号114の「くらい」の使用例を見ると、文脈上、 「3回走った」ことは確か な事実であるのに関わらず、 「3回ぐらい」と「くらい」を追加することで、 「3回」

と限定するのを避けており、発話内容を柔らかくしていると判断される。そのため、

発話文番号114の「くらい」は、ヘッジとして機能していると捉える。

「〜たり(する)」

発話文番号  話者 発話内容

132 133

134

JOMOl JBFO3

JOMO1

あの、どんな、あの、本を読んだ吻します?。

いや一、最近はなんかその仕事に関係しないような本はほとんど読ん でなくってですね。

仕事ばかり。

 発話文番号132の「〜たり(する)」の使用例を見ると、年上に当たるJOMO1が「どん な本を読みます?」と単刀直入に聞けるところを、 「読んだりします?」と「〜たり(す る)」の表現を使うことで、柔らかく聞いており、年下に当たるJBFO3への配慮の気持 ちをも表していると判断される。そのため、発話文番号132の「〜たり(する)」は、ヘッジ

として機能していると捉える。

(20)

「〜って感じ」

発話文番号  話者 発話内容

97 98 99 100 101 102 103 104 105−1

106 105−2

107

JBFO3 JYFOl JBFO3 JYFOl JYFOl JBFO3 JYFOl JBFO3 JYFOl JBFO3 JYFOl JBFO3

そうですか、日文の、あの、助手の方は今何人いらっしゃるんですか?。

技術助手が4人で、研究助手が2人です。

あ、そうですか。

はい。

「姓6」さんてご存知ですか?。

わからない。

前「姓7」さんておっしゃったんですけれども。

あ一あ一、はいはい。

あの、今年、やめまして,,

ああ、そうくですか〉{〈}。

〈4月〉{〉}から、はい、新しい人ばかり4人という感じで…、ええ。

あ一そうですよね。

 発話文番号105−2の「感じ」の使用例を見ると、発話の文脈から、 「4月から新しい 人ばかり4人」ということは事実として確かなことのようであるのにも関わらず、 「4 人という感じで」と、発話内容をぼかして、和らげていると判断される。そのため、発 話文番号105−2の「感じ」は、ヘッジとして機能していると捉える。

「〜かもしれない」

発話文番号  話者 発話内容

0σO OOO」

0己O」

JBFO3 JBFO3

JYFOl JBFO3

もともと歴史をやりたかったということもあったんですけれども(ええ)。

あのちょっと回り道をしましたけれども、今はやりたいこと自分の好きな 事ができているので、(はあ)非常に恵まれているか6Lカなレ、〈笑い〉。

ああ、そうですか。

私が入った頃は、その、この大学に史学科ができるなんてことはもう(は あ)夢にも考えてなかったんですけども。

 発話文番号90の「〜かもしれない」の使用例を見ると、発話の文脈から、JBFO3は、

「今の大学生は非常に恵まれている」と思っているにも関わらず、「非常に恵まれているかもし れない」という表現で断定を避けて、発話内容の力を和らげていると判断される。そのた

め、発話文番号90の「〜かもしれない」は、ヘッジとして機能していると捉える。

(21)

「〜と思う」

発話文番号  話者 発話内容

127−1   JBFO3

128   JYFO1 127−2   JBFO3 129   JYFO1 130   JBFO3 131   JYFO1 132    JBFO3

〈先生方も…そうですね、〉{〉}私が教えていただいたのは、「姓10」先生と、

(ええ)「姓3」先生、「姓11」〈先生〉{〈},,

〈ああ一「姓3」先生〉{〉}。

男性の先生はみんな入れ替わってしまったから。

は一、「姓12」先生…。[↑]

はですね、まだいらっしゃっていなかったです。

あ一そうですか。

と.帥、ま先

 発話文番号132の「〜と思う」の使用例を見ると、発話文130で、 「「姓12」先生はい らっしゃっていなかった」とはっきり述べているにも関わらず、発話文番号131のJYFO1 の「あ、そうですか」の発話文に対し、発話文番号132でJBFO3は「と思います」と断定を避けて、

発話内容の力を和らげていると判断される。そのため、発話文番号132の「〜と思 う」は、ヘッジとして機能していると捉える。

「〜ほう」

発話文番号  話者 発話内容

192 193 194

JBMOl JSFOl JSFO1

〈ぱっと見て分かるほう〉{〉}なんですか?。

いえいえいえ、や、あの、あのぱっと見てなんてわかんないです。

でも、最初は、ちょっと話してくとね、〈分かる…〉{〈}。

 発話文番号192の「〜ほう」の使用例を見ると、JBMO1が「ぱっと見て分かります か?」と単刀直入に聞けるところを、 「分かるほうなんですか?」と「〜ほう」の表現 を使うことで、断定を避けた聞き方をしており、発話内容を柔らかくしていると判断 される。そのため、発話文番号192の「〜ほう」は、ヘッジの機能をしていると捉え

る。

6.4.1.1.2韓国語におけるヘッジの種類

以下、表55には韓国語におけるヘッジの種類を示す。

(22)

表55韓国語におけるヘッジの種類

ヘツジの種類 発話文末のヘッジの

@使用割合(頻度)

発話文全体のヘッジ フ使用割合(頻度)

弔/呈/碧升(なんか) 1.25(7) 29.82(659)

〜司唱旦olτ}/〜剋力吾亡}/〜望 ン苛τ!(翌亡D/〜し}(?]7D旦τ!/

̀旦(苦01τ斗/〜巷書(みたいだ/よ

、だ/そうだ/らしい/みたいな/よ

、な) 59.82(335) 22.17(490)

香/呈音(ちょっと) 0(0) 15.79(349)

〜誤01叶/〜烈叶(でしょう/だろ

、) 23.39(131) 6.20(137)

尋〜(大略/約) 0(0) 5.16(114)

吾/書王(くらい/ころ/あたり/程) 0.36(2) 3.35(74)

〜但フ}/〜升(かしら/かな/かね) 2.68(15) 2.81(62)

〜し}/〜01し}/〜暑フ}(とカ・) 1.25(7) 2.40(53)

ユ珪(ただ) 0.54(3) 2.17(48)

叫叫(E⊥)(たぶん/おそらく/たし

ゥ) 0(0) 2.04(45)

〜言}71玉三  言}τ!/〜誹モ}  古}E十/〜言ト

iし↓計叶(したりする) 1.79(10) 1.36(30)

司司/早舎/σ1旭(どこ/何か/何の/

ヌの) 0(0) 1.22(27)

〜週(olτ十)(〜ほう(である)) 3.40(19) 1.22(27)

ユ零叫/ユ司斗叶/ol零1斗/01已]斗τ十

iこうである/そうである) 2.86(16) 0.95(21)

〜曽ス1旦旦τ}/〜(翌千蚊叶

i〜かもしれない) 1.43(8) 0.77(17)

フ『司(ほとんど) 0(0) 059(13)

〜想叶01音叫/〜と忽。1音し}(〜

ニ思われる/感じがする) 0.89(5) 0.50(11)

喫〜(どれくらいかの/幾〜) 0(0) 0.45(10)

(23)

司(けっこう) 0(0) 0.27(6)

里呈(あまり) 0(0) 0.27(6)

司袖呈(大体) 0(0) 0.18(4)

〜叫王/〜01L干(〜でも) 0(0) 0.09(2)

翅司(なんとなく/なぜか) 0(0) 0.05(1)

〜司(01τD(〜式(である)) 0.18(1) 0.05(1)

〜己}ヱ 璽}zヰ(〜とし、うカ・) 0.18(1) 0.05(1)

剖斗叶(なんだ) 0(0) 0.05(1)

〜叫(〜余) 0(0) 0.05(1)

合計 100(560) 100(2210)

 本研究で韓国語のヘッジとして認められたものは、27種類ある。その中で発話文末 に使われたヘッジは14種類ある。発話文全体に使われたヘッジを見ると、 「刊/E/題 升(なんか)」、 「〜司碧旦01叶/〜剋夷79叶/〜剋昊斗τ}(翌し})/〜叫(剋7D旦叫

/〜旦罐01叶/〜巷芒(みたいだ/ようだ/そうだ/らしい/みたいな/ような)」、 「香/

王晋(ちょっと)」、 「〜力01叫/〜裁叶(でしょう/だろう)」、 「司〜(大略/約)」

の順にもっとも多く使われている。また、発話文末に使われたヘッジを見ると、 「〜

司唱旦01叫/〜剋ろ]社叫/〜望昊言}叶(翌t斗)/〜し}(『ユフ})旦τ斗/〜」己(1‡01叶/〜蒼 芒(みたいだ/ようだ/そうだ/らしい/みたいな/ような)」、 「〜力01叫/〜烈叶(でし

ょう/だろう)」、 「〜週(■1叶)(ほう(である))」、 「ユ尋叶/ユ司斗叶/01尋亡ト/01司 6}叫(こうである/そうである)」、 「〜剋升/〜7}(かしら/かな/かね)」の順にもっと も多く使われている。ただ、韓国語では、発話文末に使われたヘッジの中で、 「〜司 碧旦Ol叶/〜『ユ契社t斗/〜剋昊6}叫(翌亡})/〜斗(剋フD旦t斗/〜呈罐01叶/〜社芒

(みたいだ/ようだ/そうだ/らしい/みたいな/ような)」、 「〜裂ol叶/〜裁叶(でしょ う/だろう)」の2つのヘッジが、全体ヘッジ使用の80%以上を占めており、限定され たいくつかの表現に偏っていることが分かる。

 次に、談話の中における発話機能からヘッジとして認められたものを、言語形式の 面から分類すると以下の表56のようにまとめられる。

(24)

表56韓国語におけるヘッジの言語形式

言語形式 ヘッジの種類

動詞・助動詞類 〜司唱旦01叶/〜剋刀召1斗/〜剋昊斗τ打包τD/〜斗(剋フD U叶/〜旦讐01τ十/〜蒼芒(みたいだ/ようだ/そうだ/らしい/み スいな/ような)、〜刀01叶/〜烈叶(でしょう/だろう)、〜斗フ1

、斗叶/〜斗芒計叶/〜斗オL}斗叶(したりする)、 ユ零叫/ユ

i吉}亡レol里1斗/01司司亡}

iこうである/そうである)、〜望司呈旦τ十/〜(i呈午戴叶(〜か 烽オれない)、〜想z†01音叫/〜と省01昔τ十(〜と思われる/感 カがする)、〜叶ヱ董η}(〜というか)、 刊計叫(なんだ)、

副詞類 香/呈昔(ちょっと)、ユ珪(ただ)、叫叫(王)(たぶん/おそらく/

スしか)、オ到(ほとんど)、司(けっこう)、曽呈(あまり)、叫刈 諱i大体)、塾司(なんとなく/なぜか)、(『司(どこ)

名詞類 〜遡(01叶)(〜ほう(である))、〜司(°1叶)(〜式(である))、喫〜

iどれくらいかの/幾〜)、剖/呈/旦升(なんか)、〜⊇王(程度)

助詞類 〜叫王/〜01し}(〜でも)、〜望7レ〜升(かしら/かな/かね)

接尾辞類 〜吾(くらい)、〜吋(〜余)

連体詞類 尋〜(大略/約)、早会/(司旭〜(何の/どの)

 本研究で、ヘッジとして認定されたものは、表90のように、大きく、 「動詞・助動 詞類」、 「副詞類」、 「名詞類」、 「助詞類」、 「接尾辞類」、 「連体詞類」の6つ の言語形式に分けられる。その中でも、動詞・助動詞類と副詞類の使用が多く、日本 語も韓国語も動詞・助動詞類と副詞類がヘッジとして多く使われていることが分かる。

 以下に、本研究で韓国語のヘッジとして認められるものをいくつか例を挙げ、説明

する。

「剖(なんか)」

発話文番号  話者 発話内容

48

49

KBFO1

KSFO1

神七〇1刈,尋フ悟}司叫奇司刈刃く晋早甚癸旦旭神〉,

({}一)司今司刈神(毛}一)翌く遡」雲o}且〉{〈}.

(わたくしは、もう、暇になれて〈最後の部分、笑いながら〉、(うん)

なれていて(うん)なんか〈大丈夫です〉{〈}。)

〈iull−,〉{〉}司♀銀刃1 A}i力王苦{≧司(音)xl ll王

(25)

50

    勺司音(司)升吐銀ズ1誓昊斗7]暑皇(告)=,

    (〈でも一、〉{〉}余裕をもって暮らすのもいいけど(うん)わたくしは性     格上、のんびりできないんです(うん)=。)

KSFO1 =ユ書t斗」ユ モ子フ1 銀フ}1 (o口) 王  里  6}」二『しΣ, 王  ユ7A9王

    o}斗ユ(oP),晋望叡01剖暑6}司.一=i古}七司 く晋早甚     妾旦望司〉.

    ( =だからといって、じっとなにかをするのかといったら、そうでもな     いし(うん)、たえずになにかをしようとはするけど〈最後の部分、笑     いながら〉。)

 発話文番号48の「刊(なんか)」の使用例を見ると、KBFO1がまだ結婚していないので、

時間が多い自分の状態に対し、平気であることをいい時に、「判(なんか)」という語彙をその 前に使うことで、発話内容の力を緩和していると判断される。そのため、発話文番号48 の「司(なんか)」は、ヘッジとして機能していると捉える。

「〜菱蒼叶(〜のようだ/みたいだ/そうだ/らしい)」

発話文番号  話者       発話内容 231

232

233

234

KSMO1

KBFO1

KSMO1

KBFO1

召01畏・合司,朗o}吾1斗{}召王殼ヱ(O口),旦ヱ翌{≧,

モし舛暑川書{≧7]E(o口)銀七司1,−o}01零刃1

・斗叫尋召呈司叶司t斗,E} le刈吾01 69 7}?}隷≡司,

壬ユ呈011う〜1斗旦し1オー(o口),を呈旦烈司叫干且,ユ 亡陪早司七.

(道って多いけど、だってきれいな道もあるし(うん)、見たい、だ から見るものが多い道も(うん)あるけど、なんでわざとこんな何 もない道にしなきゃいけないのかなあ、というのがどうも理解で きなかったけど、また、あんなところでいることに慣れると(うん)、

鈍感になってよくわかりませんでした、それ以後からは。)

oi,ユ,刈]三豊司斗ヱ噛彗01ユ,ユ入}ヱ

亨}司01フ『芒9.

(あの、わたくしはもともと思考方式が、その思考方式ですけど

ね。)

all・司一.

(ええ。)

モ}司71フ肉せ叫廿音司司舛剖書司一司音殼益.

(26)

235

236

KSMO1

KBFO1

(でも、あの分野で生き残ろうとしたからすごく大変だったんで

す。)

叫一.

(え一。)

ユ蝦望乃7召oメ丘.

(そうだったような気がします。)

 発話文番号236の「〜刀蒼叶(〜のようだ/みたいだ/そうだ/らしい)」の使用例を 見ると、大学の専門が建築であるKBFOIが、発話文番号234では、「そこで生き残るのが大 変だった」と確実に断定するような表現をしているが、対話相手のKSMO1のあいつち的発話に 対し、発話文番号236で「ユ殼望司蒼叫丘(そうだったような気がします)」と確実 に断定するような表現を避け、発話内容の力を和らげていると判断される。そのため、

発話文番号236の「〜須社叶(〜のようだ/みたいだ/そうだ/らしい)」は、ヘッジと して機能していると捉える。

「香(ちょっと)」

発話文番号  話者 発話内容

113

114

115

KBFO1

KSFO1

KSFO1

】】<司司入1>{〉},刊き国ヱ翌旦杢1司1?.

(】】〈何をされ〉、{〉}何されたい?。)

MBA (習日同01 等ol萱言}ヱ包(司神且(音一).

(MBAのほうがちょっとやりたいんです(うん一)。)

已司ユ刈凶刈Al 7}ユ甚但司千ぞ叫司司神

く臭旦望神〉叶早圭喜ヱ音。|已肉…,言}言}司一〈音○囲 妾音〉,

(でもそれがもう私の水準に比べ、〈笑いながら〉あまりにも高い目 標で…、ははは〈二人で笑い〉。)

 発話文番号114の「香(ちょっと)」の使用例を見ると、発話の文脈から、 「香(ちょ っと)」がなくても発話内容の伝達に何の問題もないが、 「香(ちょっと)」を追加す ることで、 rMBAの方がしたい」という自分の希望の程度を弱化させ、柔らかく伝え ていると判断される。そのため、発話文番号114の「香(ちょっと)」は、ヘッジとし て機能していると捉える。

参照

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