アペリンは圧負荷+カテコラミンによる心筋障害を 減弱させる。
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(2) 2014 年度 修士論文要旨. アペリンは圧負荷+カテコラミンによる心筋障害を減弱させる。 関西学院大学理工学研究科 生命科学専攻 大谷研究室 隅谷直城 【研究目的】心不全とは、心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し,末梢主要臓器の酸素需要量に見 合うだけの血液量を拍出できない状態である。心不全の形成には、交感神経を初めとして種々の神経体 液性因子が関与している。交感神経の活性化は、心不全において収縮力を上昇させる心機能低下に対す る代償的因子の側面もあるが、一方、心肥大や心筋の細胞死、繊維化をきたし、心不全の増悪因子とし ても働く。また、心不全に予防的に働くとされる神経体液性因子、アペリン(AP)は 13 アミノ酸から なるペプチドで,その配列はマウスからヒトまで保存されている。ヒトでは、末期心不全では心筋のア ペリン発現量が低下することが以前より報告されている。しかしながら、交感神経活性化による心不全 の悪化でのアペリンのメカニズムは未だ十分に解明されていない。今回、私は圧負荷/β刺激薬投与によ るマウス心肥大モデルにおいて、アペリンの存在がどのような影響を及ぼすかを検討した。 【実験方法】大動脈縮窄術(TAC)心肥大モデルは、10 週齢のマウス(C57B/6J)に 2%イソフルレン吸入 麻酔下に開胸下に、7-0 絹糸を用いて横行大動脈を 27G 針径に縮窄し、作成した。 イソプロテレノール (ISO)は TAC 後 2 週間の 12 週齢マウスに 3mg/kg/day、または 3mg/kg/dayと同時にアペリン 200 mg/kg/day を 1 週間投与した。適宜、心エコーによる心機能評価を行った。生存したマウスはイソフルレンの深麻 酔により安楽死させた後に心臓、肺、脛骨を取り出し、各臓器の重量の測定を行った。心臓切片の HE 染色、マッソントリクローム染色により心臓の組織を形態学的に検討した。Western blot 法により、心臓 の GRK、βアレスチンの発現量、また RT-PCR 法で心臓の Ardb2 の mRNA の変化を検討した。 【実験結果と考察】心重量では各群に有意差がみられていたが、肺重量ではコントロール群と TAC 群 の間に有意差が見られなかった。肺重量の増加は、主に心臓の血液拍出量低下による肺うっ血である。 TAC 群では、心臓の代償機構により、血液拍出量は維持されていたため、肺うっ血は起こらなかったと 考えられる。TAC/ISO 群、TAC/ISO/AP 群では、イソプロテレノールの長期投与による心収縮力低下 が起こり、代償機構が破綻したため、血液拍出量の低下による肺うっ血を起こしたと考えられる。組織 染色を用いて、細胞の肥大や線維化を調べると、TAC 群、TAC/ISO 群で増加していたが、TAC/ISO/AP 群では、TAC/ISO 群での増加を抑制していた。しかし、定量的 RT-PCR において、肥大のマーカーで ある nppa や線維化のマーカーである Collagen III の mRNA を調べると、TAC/ISO 群での発現量の増 加と TAC/ISO/AP 群での発現量の抑制は見られたものの、コントロール群と TAC 群の間に有意な増加 は見られなかった。このことから、心機能が安定している心肥大モデルにイソプロテレノールを投与す ることは、著しく細胞の肥大や間質の線維化を引き起こすと考えられる。心不全へのイソプロテレノー ル投与は、心不全を悪化させることは既に知られているが、心肥大の段階であっても、イソプロテレノ ールの投与は心機能を悪化させることが明らかになった。また、GRK2 の発現量は、TAC/ISO 群と比 べ、TAC/ISO/AP 群で減少していた。また、Ardb2 の発現量は、アペリンの投与により、増加していた。 アペリンは GRK2 の上昇を抑え、β2 アドレナリンレセプターの発現量を増やすことで、脱感作の亢進 を抑制し、カテコラミンによる心筋障害を抑制していると考えられる。.
(3) 【参考文献】 (1) Crozatier B, Hittinger L. Mechanical adaptation to chronic pressure overload. Eur Heart J. 1988;9:7-11.
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