142 (54) 氏名(生年月日) 本 、籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ニシ オカ タカ ブミ西岡隆文(昭和
医学博士 雄健868号昭和63年1月22日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
運動負荷心臓核医学検査によるA・Cバイパス術の評価
(主査)教授 広沢弘七郎 (副査)教授 重田 帝子,教授 武田 佳彦論 文 内 容 の 要 旨
目的 虚血性心疾患に対するA℃バイパス術の適応と効 果を評価するために運動負荷心筋シンチグラフィー (心筋シンチ)とRadionuclide ventriculography (RNVG)を術前後に施行した,心筋シンチによって, 心筋底流の評価,特に心筋梗塞領域の責任冠状動脈に 対する手術適応決定と術後のグラフト閉塞の判定につ いて検討し,RNVGによって安静時と負荷時の左室機 能を評価した. 方法 対象はバイパス術を施行した91例で,1群:狭心症 34例,II群:狭心症兼陳旧性心筋梗塞症37例, III群: 陳旧性心筋梗塞症20例に区分した,梗塞領域に対する ・ミイパス術の検討の対象はII, III群のうちの39例で, 術前の心筋シンチで,梗塞領域に再分布したものを Rd(+)群(20例),再分布しなかったものをRd(一) 群(19例)とした. 核医学検査は,術前は4週以内,術後は4週から6 週後に施行し,6ヵ月後32例に再検査をした.検査に あたっては抗狭心症薬の投薬を検査12時間以前に中止 し,運動負荷には臥位電気制動型自転車エルゴメー ターを使用しsymptoln4imited exerciseとした.心筋 シンチにはT13mCiを用い,負荷後像と4時間後の再 分布像により心筋凡流と再分布について視覚的に判続 した.RNVGには99mTc25mCiを用い,安静時と負荷 時の左室駆出率(EF)を計測した. 結果 1.心筋灌流の変化 術後,負荷による心筋梗塞(再分布のある心筋灌流 欠損)の改善が1,II群の71例中70例にみられたが, III群では心筋灌流欠損は改善しなかった.術前にない 新妻流欠損や欠損拡大が91例中8例にあったが,これはグラフト閉塞例やperioperative myocardial infar- ction例であった.
2.EFの変化
安静時EFは各群とも術前後で有意の変化はなかっ
た.術前,EFは負荷により1, II群では低下し, III群
では上昇したが,術後は各群とも上昇した, 3.心筋梗塞領域に対するバイパス術の検討 Rd(+)群の20例中18例では術後心筋三流が改善し たが,Rd(一)群の19例中18例では改善しなかった. 4.グラフト閉塞症例の検討 総計170本のグラフトのうち6ヵ月以降に閉塞が確 認された3本も含めて,16本が閉塞した.心筋シソチ によって16本のうち8本の閉塞を検出できた. 考察 臨床的には狭心症を有する群すなわち心筋シンチで は心筋虚血の1,II群やRd(十)群では術後,心筋灌 流が改善したが,狭心症がなく梗塞領域に再分布のな いIII群やRd(一)群では術後に有意な変化がなかっ た.これは心筋のviabilityの有無によると考えられ, バイパス術の適応決定や効果判定には冠状動脈造影な どの解剖学的評価とともに核医学検査による機能的評 価が重要であると考察した. 結語 心臓核医学検査は狭心症患者に対するバイパス術の 一806一
143 効果判定に有用であり,非観血的方法なので長期経過 観察にも有用であった,心筋シンチは梗塞領域へのバ イパス術の適応決定や閉塞グラフトの検出に有効で あった.