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土工の面的管理実現に向けた出来形実態についての一考察

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Academic year: 2022

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(1)

土工の面的管理実現に向けた出来形実態についての一考察

国土交通省 近畿地方整備局 近畿技術事務所 味田 悟,辻野 直義 一般社団法人 日本建設機械施工協会 施工技術総合研究所 正会員 ○藤島 崇,岩淵 裕,竹本 憲充

1.目的

平成 25 年に発表された新たな情報化施工技術推進戦略では「使うから活かす」をテーマに情報化技術に適 した環境整備の必要性が明記されている。さらに、平成 27 年 12 月の i-Construction のうち「土工における ICTの全面的な活用」では、無人航空機(UAV)を用いた空中写真測量やレーザースキャナー等の多点計 測技術を用いて施工管理や監督・検査を効率化することが求められている。このため、情報化施工技術や多点 計測技術で得られる結果を効率的に利用する方法として、従来の管理断面上での寸法(幅や長さ)および高さ による出来形管理ではなく、多点計測技術で得られる断面以外の任意箇所の3次元座標値を用いた出来形管理

(以下、面的管理という)の実現に向けた検討を実施した。

面的管理の実施に向けては、任意箇所の3次元座標を設計値と比較(出来形管理)する方法と、出来形の良 否を判定する基準を策定する必要がある。さらに、面的管理では、従来施工と同等以上の施工効率や出来形を 確保するとともに現場適用性の高い新たな基準の策定が求められる。

そこで、本稿は、上記を満足する新たな面的管理の基準案策定に向けた基礎資料として、従来施工で仕上げ られた実現場を対象に、管理断面以外の施工箇所の出来形実態を調査し、その結果を報告するものである。

2.出来形の実態把握方法

従来施工の出来形管理は管理断面上での寸法や法肩などの高さである。本稿では、従来施工による面的な出 来形の実態を把握するため、管理断面上の出来形管理ではなく、図-1に示すように天端部や法面部の横断方 向に約2m間隔(測線を配置)、測線の縦断方向に沿って約2m間隔の格子状に出来形座標の取得を行い、出 来形座標の平面位置における計測標高と設計高さとの較差に

より出来形実態を把握することとした。

(1)実態把握の対象作業と計測範囲

対象作業は土工とし、表-1に示す区分でデータ取得と整 理を行った。計測範囲は、盛土(又は掘削)区間が 40m程度 確保できる現場(連続的な機械による仕上げ作業が実施でき る工事を対象)とした。

(2)実態把握の計測機器

計測機器はTSを用いた出来形管理で利用するトータルス テーション(以下、TSという)とした。

(3)設計値との差の確認方法

TSを用いた出来形で利用される3次元設計データを利用 し、出来形計測座標の平面位置における設計標高との較差を 求めた。

(4)整理方針

従来手法における出来形管理の項目や規格値を参照し、表-1に示す工種・作業区分・施工箇所毎に実態を 整理した。また、各施工箇所で天端部や平場部と法面部を分けて整理し、設計標高に対する標高較差の平均値 と標準偏差を整理した。

測線A

2m

間隔 測線H 測線A

測線E 測線F

測線G

横断方向の測線設定

縦断方向の計測箇所設定

図-1 出来形計測箇所の設定方法

キーワード 出来形管理,情報化施工,i-Construction,面的管理,空中写真測量,レーザースキャナー

連絡先 〒417-0801 静岡県富士市大渕3154 一般社団法人 日本建設機械施工協会 施工技術総合研究所 TEL0545-35-0212

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑1789‑

Ⅵ‑895

(2)

3.出来形の実態把握結果

(1)標高較差の分布 図-2に天端および平 場部の出来形分布を示す。

道路土工・天端部は出来 形 管 理 の 規 格 値 が ± 50mm

(上限と下限の制限)であ ることから、標高較差もほ ぼ0を中心とした分布で ある。また、計測点の9割 以上が±50mm 以内である。

河川土工・盛土・天端部 は出来形管理の規格値が

-50mm 以上(下限のみ制 限)となっているため、分 布は道路土工と比べてプ

ラス側に広がっている(図-2の右上)。

河川土工・掘削工・平場部は、規格値は±50mm であるが、

全体的にマイナス側に大きく広がっている。河川の流域 面積の確保が優先されていることも一つの要因と考え られる。

(2)出来形の実態

表-1の右欄は各施工箇所について、設計との標高較 差の①平均値と②標準偏差の整理結果である。表-1よ り、道路土工の天端部では標準偏差が 30mm 以下と小さ く、平均値に標準偏差を加えても設計との標高較差が±

40mm 以内である。河川土工では、上記の分布状況にも見

られるように、天端部および平場部でもばらつきが大きくなっている。

法面部は、天端部に比べると標準偏差が大きくなっている。法面部の従来管理は天端幅や法長であり、規格 値は設計のマイナス側のみ制限されている。このことから実施工では出来形不足にならないよう横断方向には 広めの施工となる場合が多いことが考えられる。この場合、同一平面上の標高較差が大きくなる(天端部に比 べて勾配が大きいため、設計位置との差が標高較差に大きく影響する。勾配の小さい河川土工・盛土は天端部 との差が少ない)。

4.さいごに

本稿では、情報化施工技術などで取得できる多点群を利用した出来形管理に向けた基礎資料として従来手法 で実現されている出来形実態をとりまとめたものである。本調査により、従来の管理断面での管理・検査には 適合している場合でも、管理断面以外では従来の規格値の範囲外となる箇所も存在していることが確認された。

面的管理の実現と現場の施工性の両立に向けては、施工のばらつきを考慮した多点の全数に適用する規格値を 設ける必要がある。また、本調査は数現場の一部区間による断片的な出来形実態であることから、今後も、面 的な出来形実態の把握を継続し、面的管理の円滑な現場導入の支援に取り組んで参りたい。さらに、面的管理 を用いた出来映えの自動判定による監督・検査の省力化や自動化など、3次元データの積極的な活用について も検討を進めて参りたい。

0 50 100 150 200 250 300 350

x<‐200mm ‐200mm≦x<‐180mm ‐180mm≦x<‐160mm ‐160mm≦x<‐140mm ‐140mm≦x<‐120mm ‐120mm≦x<‐100mm ‐100mm≦x<‐80mm ‐80mm≦x<‐60mm ‐60mm≦x<‐40mm ‐40mm≦x<‐20mm ‐20mm≦x<0mm 0mm≦x<20mm 20mm≦x<40mm 40mm≦x<60mm 60mm≦x<80mm 80mm≦x<100mm 100mm≦x<120mm 120mm≦x<140mm 140mm≦x<160mm 160mm≦x<180mm 180mm≦x<200mm 200mm≦x 0 20 40 60 80 100 120 140

x<‐200mm ‐200mm≦x<‐180mm ‐180mm≦x<‐160mm ‐160mm≦x<‐140mm ‐140mm≦x<‐120mm ‐120mm≦x<‐100mm ‐100mm≦x<‐80mm ‐80mm≦x<‐60mm ‐60mm≦x<‐40mm ‐40mm≦x<‐20mm ‐20mm≦x<0mm 0mm≦x<20mm 20mm≦x<40mm 40mm≦x<60mm 60mm≦x<80mm 80mm≦x<100mm 100mm≦x<120mm 120mm≦x<140mm 140mm≦x<160mm 160mm≦x<180mm 180mm≦x<200mm 200mm≦x

0 50 100 150 200 250 300 350 400

x<‐200mm ‐200mm≦x<‐180mm ‐180mm≦x<‐160mm ‐160mm≦x<‐140mm ‐140mm≦x<‐120mm ‐120mm≦x<‐100mm ‐100mm≦x<‐80mm ‐80mm≦x<‐60mm ‐60mm≦x<‐40mm ‐40mm≦x<‐20mm ‐20mm≦x<0mm 0mm≦x<20mm 20mm≦x<40mm 40mm≦x<60mm 60mm≦x<80mm 80mm≦x<100mm 100mm≦x<120mm 120mm≦x<140mm 140mm≦x<160mm 160mm≦x<180mm 180mm≦x<200mm 200mm≦x 0 20 40 60 80 100 120 140 160

x<‐200mm ‐200mm≦x<‐180mm ‐180mm≦x<‐160mm ‐160mm≦x<‐140mm ‐140mm≦x<‐120mm ‐120mm≦x<‐100mm ‐100mm≦x<‐80mm ‐80mm≦x<‐60mm ‐60mm≦x<‐40mm ‐40mm≦x<‐20mm ‐20mm≦x<0mm 0mm≦x<20mm 20mm≦x<40mm 40mm≦x<60mm 60mm≦x<80mm 80mm≦x<100mm 100mm≦x<120mm 120mm≦x<140mm 140mm≦x<160mm 160mm≦x<180mm 180mm≦x<200mm 200mm≦x

図-2 天端部および平場部の出来形分布状況

※施工箇所に該当するデータの全てを集計した分布

X(mm)=出来形標高-設計標高 X(mm)=出来形標高-設計標高

度数 度数

河川土工・盛土(築堤)工・天端部の出来形分布 河川土工・掘削工・平場部の出来形分布

X(mm)=出来形標高-設計標高 X(mm)=出来形標高-設計標高

度数(点) 度数(点)

道路土工・盛土(路体)工・天端部の出来形実態 道路土工・掘削工・天端部の出来形実態

工種 作業

区分 施工箇所 調査件数

施工箇所別の集計

(標高較差

=TS計測値-設計標高)

①平均値 (mm)

②標準偏差 (mm)

道路 土工

盛土工 天端部 13 25

法面部 -13 41

掘削工 天端部 -7 28

法面部 3 35

河川 土工

盛土工 天端部 1 37

法面部 -3 38

掘削工 平場部 -17 48

法面部

表-1 出来形実態の調査区分と把握結果一覧

※“-”:該当データ 無し

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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Ⅵ‑895

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