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ベントナイト系難透水性材料の透水・圧密試験時間短縮の試み

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Academic year: 2022

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ベントナイト系難透水性材料の透水・圧密試験時間短縮の試み

鹿島建設株式会社 土木設計本部 正会員○畔柳 幹雄 技術研究所 正会員 岡本 道孝 技術研究所 正会員 小林 一三 技術研究所 正会員 笹倉 剛

1.はじめに

締固めベントナイトのような難透水性材料の水理・力学特性を把握する場合,試験時間が長期に亘るため, 試験時間の短縮が望まれる.透水係数が 10-11~10-10(cm/sec)オーダーの締固めベントナイトでは,従来の加圧 法透水試験を実施した場合,供試体作製・飽和時間を含めて少なくとも2ヵ月程度の試験期間が必要である.

また,圧密試験を実施した場合は,供試体の初期間隙比によるが最大5ヵ月程度の試験期間が必要である.筆者 らはこれらの試験の試験時間短縮策として,フローポンプ法による透水試験,及び定ひずみ圧密試験の難透水 性材料への適用性を検討している1).本報文では,試験装置の改良を含めた,新たな試験結果から得られた知見 について報告する.

2.試験概要

(1)透水試験:フローポンプ法は,Olsen が提唱した方法2)で,供試体の一端か ら一定流量の流体を注入した時の供試 体両端の非定常状態での水頭差の測定 結果から,定常状態での透水係数を求 めるものである.ここでは,フローポン プ法透水試験に加えて,この比較対象 として,0.7~0.8MPa で加圧通水した従

来用いられている加圧法による透水試験を併せて実施 した.

(2)圧密試験:昨年は定ひずみ圧密試験【JGS0412-2000】

(以下改良前試験),及びこの比較用として,標準圧密試 験【JGS0411-2000】を実施した1).その結果を踏まえ,今 年は極低速でも安定したひずみ速度が得られるよう,定 ひずみ圧密試験機内部のモーター及びギア等を改良し た試験機を作製し,10MN/m2程度まで載荷する高圧定ひ ずみ圧密試験を実施した(以下改良後試験).ひずみ速 度は 0.0014 %/min (Na 型),及び 0.0025%/min(Ca 型化) とした.また,高圧定ひずみ圧密試験の比較として高圧 圧密試験を実施した.

(3)供試体の諸元:供試体の諸元を表-1 に示す.透水試 験では,Na 型及びこれを Ca2+イオンでイオン交換した Ca 型化ベントナイトを用い,膨潤状態を模擬した密度の異 なる締固め供試体を5種類作製した.また,圧密試験は 同じく Na 型及び Ca 型化ベントナイトを用い,それぞれ 1種類の密度の締固め供試体を作製した.両試験とも,

表-1 供試体の緒元

適用 種類 供試体

No.

湿潤密度 (Mg/m3)

初期含 水比(%)

乾燥密度 (Mg/m3)

直径 (cm)

高さ (cm)

質量 (g)

1 1.715 7.00 1.603 43.1

2 1.431 7.00 1.337 36.0

Na 型

3 1.220 7.00 1.140 30.7

4 1.639 7.98 1.518 41.1

透水試験

加圧法・フロ ーポンプ法

(同一供試体

で実施) Ca 型化

5 1.566 7.98 1.450

4.0 2.0

39.4

Na 型 6 1.220 7.00 1.141 69.0

標準圧密 Ca 型化 7 1.549 9.00 1.143 70.8

Na 型 8 1.251 9.45 1.421 87.6

改良前 定ひずみ

圧密 Ca 型化 9 1.579 9.10 1.448 89.7

Na 型 10 1.245 9.04 1.142 69.1

高圧圧密 Ca 型化 11 1.575 9.07 1.444

2.0

87.4

Na 型 12 1.243 9.04 1.140 62.4

圧密試験 改良後

高圧定ひ

ずみ圧密 Ca 型化 13 1.591 9.07 1.459

6.0

1.8 79.0

キーワード 透水試験,圧密試験,ベントナイト,試験法

連絡先 *〒107-8502 東京都港区赤坂 6-5-30 Tel.03-5561-2169 Fax.03-5561-2153 **〒182-0036 東京都調布市飛田給 2-19-1 Tel.0424-89-7067 Fax.0424-89-7034

図-2 両試験から得られた透水係数の比較

1.0E-12 1.0E-11 1.0E-10 1.0E-09

1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7

乾燥密度 (Mg/m3)

透水係k (cm/sec)

フローポンプ(Ca型化)

加圧法(Ca型化)

フローポンプ法(Na型) 加圧法(Na型) 0.0E+00

5.0E-07 1.0E-06 1.5E-06 2.0E-06

(cc/sec)

0 0.05 0.1 0.15

送水量(cc)

流量(Na型,No.3) 流量(Ca型化,No5) 送水量(Na型,No.3) 送水量(Ca型化,No.5)

1.0E-12 1.0E-11 1.0E-10 1.0E-09 1.0E-08

0 500 1000 1500 2000

時間(min)

(cm/sec)

0 10 20 30 40

送水圧(kN/m2) 透水係数(Na型,No.3) 透水係数(Ca型化,No.5) 送水圧(Na型,No.3) 送水圧(Ca型化,No.5)

図-1 試験結果例(Na 型,Ca 型化) 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑321‑

CS7‑022

(2)

供試体の膨潤を拘束しながら飽和させた後,試験に供した.

3.試験結果

(1)透水試験:フローポンプ法透水試験の代表的な計測データ例を図-1 に示す.Na 型と比較して Ca 型化の測定 結果に変動が見られるが,これは検討初期に実施した試験であったため通水量の制御が不十分であったことが 原因と考えられる.定常状態の透水係数を得るために必要な時間は,図-1 のケースでは,約 500~1 000min 程度 であったが,全試験ケースでは 500~3 000min(約2日)程度であった.また, 図-2 に示すフローポンプ法及び 加圧法透水試験により得られた透水係数の比較結果から,透水係数は 10-11~10-9(cm/sec)の範囲に分布し,両 試験の結果はほぼ一致していることが確認できた.

以上から,従来法(加圧法透水試験)では,排水量を1日間隔で 目視計測し透水係数を算出するため,透水係数の信頼性を確保す るため約 30 日程度の計測を行う必要があったのに対し,フロー ポンプ法透水試験では約 2 日で試験が終了し,試験精度を落とす ことなく試験時間を短縮できることが確認できた.

(2)圧密試験:改良前試験及び改良後試験により得られた e-logp,

cv-p’,mv-p’関係の比較結果を図-3,4 に示す.図-3 より従来法

(標準圧密試験)と改良前試験での定ひずみ圧密試験の e-logp 曲線は,初期間隙比及び Pc に若干違いは見られるもののほぼ同 様な結果が得られた 1)が,改良後の高圧定ひずみ圧密試験結果の 方が従来法(高圧圧密試験)とより一致する傾向が認められた.

また,図-4 より改良前試験における Na 型での定ひずみ圧密試験 結果(cv,mv-p’)は,圧密応力 500kN/m2以上でばらつきが顕著であ ったが,改良後試験での高圧定ひずみ圧密試験ではほぼ解消され,

さらに,改良後試験では従来法の結果とより整合した結果を得る ことができた.これらは試験機内部のモーターやギアを改良した ことで,ひずみ速度が安定して与えられることの効果

であると考えられる.なお,試験結果を得るために要し た時間は,改良試験機を用いた定ひずみ圧密試験で4 日程度であり,従来法に比べて大幅な時間短縮が可能 であることが確認できた.

4.あとがき

締固めベントナイトに対して,フローポンプ法透水 試験,及び定ひずみ圧密試験を行った.これまで主に用 いてきた加圧法透水試験,標準及び高圧圧密試験と比 較して,試験時間の短縮が行えることが確認できた.今 後は,これらの試験により難透水性材料に対する透 水・圧密試験の効率化を図ってゆく予定である.

<参考文献>1)畔柳幹雄,岡本道孝,笹倉剛:ベントナイ ト系難透水性材料に対する透水・圧密試験時間短縮の 試み, 第 57 回土木学会年次学術講演会,共通セッショ ン CS10-035,pp451-452,平成 14 年 9 月.

2) Olsen,H.W(1965):Daviations from Darcy’s law in

saturated clays, Soil Science Society of American Proceedings, Vol.29, No.2, pp.135-140.

1.0E-01 1.0E+00 1.0E+01 1.0E+02 1.0E+03 1.0E+04

10 100 1000 10000

平均圧密応力 p' (kN/m

2

)

密係数 cv (cm2/d)

1.0E-05 1.0E-04 1.0E-03 1.0E-02

体積圧縮係数 mv (m2 /kN) No.6cv(標準圧密) No.10cv(高圧圧密) No.8cv(定ひずみ) No.12cv(高圧定ひずみ) No.6mv(標準圧密) No.10mv(高圧圧密) No.8mv(定ひずみ) No.12mv(高圧定ひずみ)

1.0E+00 1.0E+01 1.0E+02 1.0E+03 1.0E+04 1.0E+05

10 100 1000 10000

平均圧密応力 p' (kN/m

2

)

圧密係数 cv (cm2 /d)

1.0E-06 1.0E-05 1.0E-04 1.0E-03

体積圧縮係数 mv (m2 /kN) No.7cv(標準圧密) No.11cv(高圧圧密) No.9cv(定ひずみ) No.13cv(高圧定ひずみ) No.7mv(標準圧密) No.11mv(高圧圧密) No.9mv(定ひずみ) No.13mv(高圧定ひずみ)

図-4 cv,mv-p’関係

灰色:改良前 黒色:改良後

灰色:改良前 黒色:改良後 Na型

Ca型化

0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6

10 100 1000 10000

圧密応力 p (kN/m

2

)

間隙比 e

No.6(標準圧密)

No.8(定ひずみ)

No.10(高圧圧密)

No.12(高圧定ひずみ)

0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

10 100 1000 10000

圧密応力 p (kN/m

2

)

間隙比 e

No.7(標準圧密)

No.9(定ひずみ)

No.11(高圧圧密)

No.13(高圧定ひずみ)

Ca型化

Na型 灰色:改良前

黒色:改良後

灰色:改良前 黒色:改良後

図-3 e-logp 曲線 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑322‑

CS7‑022

参照

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