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博 士 ( 工 学 ) 小 玉 齊 明

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 小 玉 齊 明

学 位 論 文 題 名

温 度 が 岩 石 や 岩 盤 の カ 学 的 特 性 に 及 ぼ す 影 響 に 関 す る 研 究 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

北 海道 に おい ては 岩 盤斜 面の 崩 壊が 頻発 し 、崩 落防 止 策が 早急 に 検討 され て いる 。こ れ ら崩 壊の原因の ー っは 凍 結を 含む 温 度変 化と 考 えら れる 。 また 、近 年注目を浴び、多方 面において研究が なされている放 射 性廃 棄 物の 地層 処 分計 画に お いて も, 岩 盤は 最高 で+100℃程度の高温 にさらされると予 想されている。

    I

こ のよ うに、天然 であるか人工であ るかに関わらず、 岩盤溝造物を長期的 に利用するとき、 温度は、ひずみ 速 度、 降雨、間隙 水圧の変動等とな らび岩盤の変形・ 破壊挙動に影響をも たらす重要な要因 のーっとなり、

その影 響をより正確に把 握することは今後ま すます重要になる と考えられる。

本 論文 は ,各 種岩 石 を‑30'℃ か ら+800Cの 温度 の 下で 一軸 圧 縮試 験、 圧 裂引張試験、破壊 靱陸試験、ダブ ル トー シ ョン 試験 、 クリ ープ 試験の各5材料試験に供 し、強度,亀裂成長 速度等のカ学的特 陸に対する温度 の 影響 に つい て検 討 する とと も に、 負の 温 度領 域に おける各岩石の変位 挙動を、凍結融解 試験、凍ヒ試験 を 通し て 確認 し、 各 岩石 試料 の 細孔 径分 析 や‑20℃か ら0℃ まで の 温度 範囲 に おけ る各 岩 石試 料の不凍水 分量測 定の結果を加えて 、温度変化にともな う各試料と水くも しくは氷)との関係を考察、最後にこれらの原 位 置へ の 応用 とし て ,北 海道 上 川管 内国 道

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号 線沿 い の岩 盤の 露 頭部 にお け る水 平掘 削 した ポーリング 孔 を利 用 して 変位 と 岩盤 内温 度 を長 期現 揚 計測 し岩 盤 温度 を含 め た環 境の 変 化の 影響 に つい て考察した 研究について述 べたものである。

第3章 では 、 正の 温度 領 域に おけ る 水中 での 岩 石の 変形 ・ 破壊 挙動 に 関する室内 試験より、白浜砂 岩と稲 田花 崗 岩に つい て 行わ れた 一 軸圧 縮試 験 、圧 裂引 張 試験 、破 壊 靱性 試験 で は、 温度 増 加と ともに 強度が 低下 す ることや、限界ひず みやヤング率には 温度が大きくは影 響しなぃこと等を明 らかにした。また 、温度 の影 響 は稲 田花 崗 岩に つい て より 顕著 に 現れ 、各 強 度へ の載 荷 速度 の影 響は1℃ と比較して80℃で 大きく 生じるという知 見を得た。これら の結果より、温度に よる強度低下の原 因を、熱応カの発生、温度上昇に伴う 応力 腐 食速 度の 増 大、 石英 の 応力 腐食 物 質で ある 水 の粘 性低 下 によ る亀 裂 への 供給 量 増加 等、岩 種によ る影 響 の大 きさ の 違い の原 因 を膠 結物 質 であ る粘 土鉱物の有 無による熱応カの大 きさの差異で説明 してい る。  ,

また 、 正の 温度 領 域に おけ る 水中 での 岩 石中 の亀 裂 成長 挙動 に 関し ては 、 ダブ ルト ー ショ ン試験 におい

    

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て 、 温 度増加 に伴 う同レ ベルの 応力拡 大係数 の下 で亀裂 速度が 増加す るこ と、稲 田花崗 岩にお ける応 力腐 食 指 数 が 減少 す る こ と を明 ら かに した 。また 、鉱物 粒子の 線膨 張率づ 違いを 考慮L虎熱 応カの 有限要 素解 析 を行い 、結晶 質の花 崗岩 におい て砂岩 より2オー ダー程 度、熱 応カ が発生 しやす いこと を示すとともに、

稲 田花崗 岩の薄 片写真 を電 子顕微 鏡で観 察し、 その亀 裂形 状をフ ラクタル解析することにより、温度増加に 伴 い亀裂 形状が 複雑に なる ことを 明らか にして いる。

  正 の温 度 領 域 に お ける 水 中 で の 岩石 の 時 間 依 存性 変形 挙動に 関す るもの で、一 軸圧縮 クリ ープ試 験に お い て 、 温度 増 加 に 伴 って 寿 命 が 短 くな る こ と 、 最小 軸ひず み速度 と同 様に最 小伸ぴ ひずみ 速度が 増加 す ること を確認 した。 高温 下における稲田花崗岩では寿命のぱらっきが大きくなることを明らかにし、この現 象 を、ダ ブルト ーショ ン試 験の結 果から 説明し ている 。ま た、最 小ひずみ速度とクリープ寿命の関係は両対 数 グ ラ フ 上 で 温 度 に 関 わ ら ず11の 勾 配 を 持 っ 直 線 で 近 似 で き る こ と を 明 ら か に し た 。 第4章 で は、 氷 点 下 の 温度 領 域 におけ る岩石 の変 形・破 壊挙動 に関す る諸 試験を 実施し た結果 をまと めた

‑30℃か ら.5℃ の温度 範囲で 凍結 させた 稲田花 崗岩、 白浜 砂岩、 幌延泥 岩の一 軸圧縮 試験 と圧裂 引張試 験 を 行 い 凍 結の 程 度 に 伴 う強 度 増 加 を 示し 、 幌 延 泥 岩に ついて は大き な異 方性と 明瞭な 粘性的 変形挙 動が 認 められ ること を明ら かに し、岩石の微硯的構造と結び付けて説明している。更に、稲田花崗岩、白浜砂岩、

支 笏 溶 結 凝灰 岩 、 層 雲 峡溶 結 凝 灰 岩 に凍 結 融 解 履 歴を 与え、 凍結融 解時 の変形 計測と ともに 、各岩 石試 料 の 比 表 面積 測 定 と 不 凍水 分 量 測 定 、顕 微 鏡 観 察 によ り、凍 結に伴 う圧 裂引張 強度の 増加割 合は比 表面 積 と 正 の 相関 を 持 っ な ど、 凍 結 に 伴 って 氷 が も た らす 岩石の 微視的 構造 の変化 と上述 のカ学 的特性 の変 化 を関連 付けた 。

第5章で は、2004年8月より 開始Lアた 、寒 冷地の 急崖に おける 岩盤変 形の 長期モ ニタリ ングに関して、新た に 開 発 し た高 精 度 測 定 器の 説 明 と と もに 、 北 海 道 上川 管内国 道39号 線沿い の岩盤 露頭部 急崖 斜面の 変形 と 温度等 の気象 条件の 計頒 嚇果を まとめ ている 。

第6章は 結論 であり 、本研 究で得 られ た成果 につい て総括 した。

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学 位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教   授 教   授 教   授 特 任 教 授 助 教 授

石 島 三 浦 三 田地 赤 川 藤 井

学 位 論 文 題 名

洋 二 清 一 利 之     敏 義 明

温度が岩石や岩盤のカ学的特性に及ぼす影響に関する研究

北海道では 岩盤斜面の崩壊がしばしば発生し、早急な防止策の検討が望まれる。崩壊の外因のーつ に氷点以下の気温を挙げることができる。一方、近年注目を浴び、多方面において研究がなされている 放射性廃棄物の地層処分に際して、岩盤は最高で100℃程度の高温に晒されると予想されている。これ ら2つの例が示すように、岩盤は、種々の温度の下で利用されるが、温度は、ひずみ速度、降雨、間隙水 圧の変動等とならび岩盤の変形・破壊挙動に影響をもたらす重要な外因のーっであるので、この影響を 正確に把握することは重要である。

本論文では 、まず、各種岩石を‑30℃から+80℃の温度下で次の5種の材料試験、すなわち一軸圧縮試 験、圧裂引張試験、破壊靱性試験、ダブルトーション試験、クリープ試験、に供し、強度、亀裂成長速度 等のカ学的特陸に対する温度の影響について検討している。っぎに、負の温度領域における各岩石の 変形挙動を、凍結融解試験、凍上試験を通して確認し、各岩石試料の細孑I径分析や‑20℃から0℃までの 温度範囲における各岩石試料の不凍水分量測定の結果を加えて、温度変化に伴う各試料と水(もしくは 氷)との関係を考察している。最後に、原位置への応用として、北海道上川管内国道39号線沿いの崖を 対象に、岩盤中に水平掘削したボーリング孔を利用して変位と温度を長期計測し、岩盤変位に及ぽす岩 盤温度を含めた環境の変化の影響について調査している。以上の諸研究に関して評価すべき成果は以 下の5点に要約される。

第一の成果は、氷点以上の温度領域における水中での岩石の変形・破壊挙動に関するもので、白浜砂 岩と稲田花崗岩について行われた一軸圧縮試験、圧裂引張試験、破壊靱陸試験では、温度増加とともに 強度が低下すること、限界ひずみやヤング率には温度が大きくは影響しなぃことを明らかにした。また、

温度の影響 は試験に供した岩石の中で稲田花崗岩に最も顕著に現れ、各強度に及ぼす載荷速度の影 響は1℃より80℃の方が大きいという知見を得た。温度による強度低下の原因として、熱応カの発生、温 度上昇に伴う応力腐食速度の増大:石箕の応力腐食物質である水の粘性低下による亀裂への供給量増 加の3つの要因を挙げ、温度による強度低下の機構を詳細に検討している。また、温度の影響の大きさ     ―1049―

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が岩種 によっ て違う のは 、膠結 物質で ある粘 土鉱物 の有 無によ り熱応 カの大 きさ に差異 が生じるためで     f  ゛

あると 解釈し た。

第二 の 成 果 は 、氷 点 以 上 の 温度 領 域 に お け る水 中 で の 岩 石中 の 亀 裂 成 長挙 動 に 関する もの で、ダ ブ ルトー ション 試験に おい て、温 度増加 ととも に同レ ベル の応力 拡大係 数の下 での 亀裂速 度が増加するこ とを明 らかに した。 さら に、稲 田花崗 岩の場 合、温 度増加に伴い応力腐食指数が減少すること、亀裂形状 が複雑 になる ことを 明ら かにし た。な お、後 者の知 見は、薄片の偏光顕微鏡観察で得た亀裂形状をフラク タル解 析する ことに より 得たも のであ る。ま た、鉱 物粒子の線膨張率の違いを考慮した有限要素解析を行 い 、 結 晶 質 の 花 崗 岩 で は 砂 岩 よ り2オ ー ダ ー 程 度 大 き な 熱 応 カ が 発 生 す る こ と を 示 し た 。 第三 の 成 果 は 、氷 点 以 上 の 温度 領 域 に お け る水 中 で の 岩 石の 時 間 依 存 性変 形 挙 動に関 する もので 、 一軸圧 縮クリ ープ試 験を 行い、 温度増 加に伴 って寿 命が 短くな ること 、最小 軸ひ ずみ速 度と同様に最小 伸びひ ずみ速 度が増 加す ること を確認 すると ともに 、クリープ変形が確認できる応カレベルが狭くなるこ と、っ まり、瞬時に破壊してしまうクリープ応力日政壊まで48時間以上要するクリープ応カに差がみられな くなる ことを 見出し た。 また、 最小ひ ずみ速 度とク リープ寿命の関係は両対数グラフ上で温度に関わらず 約‑1の勾 配を持 つ直 線で近 似でき ること を明 らかに した。

第四の 成果は 、氷点 下の 温度領 域にお ける岩 石の変 形・ 破壊挙 動に関 するも ので 、‑30℃から ̄5℃の温 度範 囲 に 置 い た稲 田 花 崗 岩 、白 浜 砂 岩、幌 延泥岩 の一軸 圧縮試 験出 王裂引 張試験 を行い 、稲 田花崗 岩 の一軸 圧縮試 験を除 けば 、温度 の低下 に伴い 強度が 増加 するこ とを明 らかに した 。また 、幌延泥岩につ いては 、温度 低下に 伴い 異方陸 と粘陸 的変形 挙動が 顕著 になる ことを 見出し 、岩 石の微 視的構造と結び 付けて 説明し ている 。さ らに、 稲田花 崗岩、 白浜砂 岩、 支笏溶 結凝灰 岩、層 雲峡 溶結凝 灰岩について、

凍結融 解履歴 を与え たと きの変 形挙動 を調ベ 、これ と各 岩石試 料の比 表面積 、不 凍水分 量、顕微鏡観察 による 岩石の 微規的 構造 とを関 連付け て解釈 した。

第五 の 成 果 は 、寒 冷 地 の 急 崖に お け る岩盤 変形の 長期モ ニタリ ング に関す るもの で、北 海道 上川管 内 国道39号 線 沿い の 露 頭 部 急崖 斜 面 の変 形と温 度等の 気象 条件の 計測結 果をま とめて いる 。岩盤 変形の 計 測 は 、 開 発 し た 高 精 度 測 定 器 を 用 い て 2004年8月 よ り 開 始 し た も の で あ る 。 これ を 要 す る に、 著 者 は 、 種々 の 岩 石を‑30℃か ら+80℃の温 度下で 一軸 圧縮試 験、圧 裂引張 、破 壊靱 性試験 、ダブ ルトー ショ ン試験 、一軸 圧縮ク リープ 試験に供し、温度が岩石の変形・破壊挙動に与える影 響を明 らかに すると とも に、計 測器を 開発し て寒冷 地の急崖における岩盤変形の長期モニタリングを実施 して有 益な多 くの知 見を 得たも のであ り、岩 盤工学 ならびに寒冷地工学の進歩に貢献すること大なるもの がある 。

よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

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