マ ッ ク ス ・ シ ェ ‑ ラ ー の 生 命 哲 学 の 一 考 察
五 十 嵐 靖 彦
l 、 は じ め に
本 稿 は 、 マ ッ ク ス ・ シ エ ー ラ ー の 後 期 思 想 に お け る 生 命 哲 学 の 一 間 題 分 野 、 「老 化 と 死 」 に 関 す る 遺 稿 の 考 察 で あ
る 。 は じ め に 資 料 に つ い て 補 足 説 明 を し て お き た い 。
マ ッ ク ス ・ シ ュ ー ラ ー は 、 一 九 二 八 年 、 五 四 歳 の 若 さ で 死 去 し た 。 死 後 六 〇 年 余 に な る わ け だ が 、 彼 の 一 次 文 献 そ
の も の が ま だ す べ て が 公 刊 さ れ て い る わ け で は な い 。 オ リ ジ ナ ル 資 料 の 大 部 分 を 保 管 し て い る 、 ミ ュ ン ヘ ン の バ イ エ
ル ン 国 立 図 書 館 で は 、 書 簡 類 や 未 公 刊 草 稿 の 閲 覧 に つ い て 、 関 係 者 の 人 格 権 や 版 権 の 擁 護 の た め 若 干 の 制 限 を 設 け て
い る 現 状 で あ る 。
未 公 刊 文 献 と い う 点 に つ い て 言 え ば 、 一 九 四 八 年 に シ ュ ー ラ ー の 未 亡 人 マ リ ア が 編 者 に な っ て 、 シ ュ ー ラ ー が 生 前
発 表 済 み の 諸 著 作 と 遺 稿 類 を 網 羅 す る 全 十 四 巻 か ら な る 全 集 の 出 版 計 画 が 立 案 さ れ た 。 こ の 計 画 は 着 々 実 現 さ れ た 。
二 、 三 、 五 、 六 、 八 、 十 の 諸 巻 が 刊 行 さ れ た と こ ろ で マ リ ア が 死 去 し た 。 一 九 六 九 年 の こ と で あ る 。 そ の 後 、 ほ ぼ 同
じ 構 想 の も と に 、 シ カ ゴ の マ ン フ レ ー ト ・ フ リ ン グ ス が 編 者 を 引 き 継 ぎ 、 こ の 事 業 を 継 続 し 今 日 に 至 っ て い る 。 彼 の 2 手 で い ‑ つ か の 巻 が 順 調 に 刊 行 さ れ て き た が 、 ま だ 完 結 し て い な い の で あ る 。
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そ う し た 折 に 、 一 九 八 七 年 、 第 十 二 巻 (遺 稿 集 第 3 巻 ) が 公 刊 さ れ た 。 こ れ が 最 新 版 と い う わ け で あ る 。 こ の 巻 に
は 、 哲 学 的 人 間 学 と い う 副 題 が 付 さ れ て い る こ と か ら わ か る よ う に 、 シ エ ー ラ ー の 後 期 思 想 に 属 す る い ‑ つ か の 論 文
が 収 め ら れ て い る 。 3 周 知 の よ う に 、 シ エ ー ラ ー は 、 そ の 生 涯 の 思 想 発 展 に お い て 微 妙 な ス タ ン ス の 変 更 を 行 っ て い る 。 7 九 一 〇 年 頃 ま
で は 、 新 カ ン ト 派 や イ エ ナ 大 学 で の 恩 師 オ イ ケ ン の 影 響 を 強 ‑ 受 け た 精 神 論 的 価 値 哲 学 者 で あ っ た が 、 一 〇 年 代 以 降
には、