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論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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論文内容の要旨

人工多能性幹細胞 (iPS 細胞) は分化多能性と自己複製能を有している。また、iPS 細胞は患者自身の 体細胞からも作製可能であるため胚性幹細胞 (ES細胞) の抱える倫理問題や移植後の拒絶反応の問題を 克服している。そのため iPS 細胞は、器官や組織を病気や怪我によって失った場合にそれらを構成す る細胞あるいは組織を移植し再生する、再生医療への応用が期待されている。しかし iPS 細胞は未分 化状態のまま生体に移植すると悪性の未熟奇形腫を形成する。そのため再生医療に用いる際は iPS 細 胞を目的とする細胞種へと分化誘導する必要があるがiPS 細胞を分化誘導した後の細胞群を用いても 移植後に悪性の未熟奇形腫を形成し得る。このことは Nanog を発現する未分化細胞が分化誘導後も残 存することが原因と考えられている。現在様々な未分化細胞の除去法が検討されているが細胞傷害の 少ない形態学的な手法を用いた方法は皆無である。そこで 我々は、iPS 細胞の臨床応用のための基盤 研究の一環として、分化誘導後に残存する未分化細胞の生存状態における形態学的特徴を検討した。

再生医療への応用を想定した場合、移植する細胞は生細胞であることが必須である。

その結果、分化誘導後に残存する生存未分化細胞は細胞質及び核が円形あるいは類円形で直径が約

12 µmの細胞であった。核 / 細胞質比は約 60% で偏在核であり、細胞質内の一部に顆粒様構造を有し、

核内には明瞭な核小体を有していた。また、分化誘導後に残存する未分化細胞は iPS 細胞に類似する

iPS 細胞に比して小型であった。加えて、これらの細胞とは異なる非常に小型の未分化細胞も認め

られた。以上のような我々の提示した形態学的所見を検討、評価することにより未分化細胞の除去が 可能である。また、我々の報告はiPS 細胞を用いた安全な再生医療実現の一助になると示唆された。

公表論文 : Yukihiko Osawa, Tomoyuki Miyamoto, Setsuyo Ohno, and Eiji Ohno.

Morphological Analysis of Live Undifferentiated Cells Derived From Induced Pluripotent Stem Cells. Stem Cells and Development. Jan 1. 2018, 27(1): 1-9.

1 大澤 幸希光

博士の専攻分野の名称  博士(保健科学)

学 位 授 与 の 日 付   2018年 319

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 目   Morphological Analysis of Live Undifferentiated Cells Derived From Induced Pluripotent Stem Cells

 

論 文 審 員 主   教授   近藤 照義

副    教授  池脇 信直 副    教授  園田 徹

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論文審査結果の要旨

1.総論

人工多能性幹細胞(iPS細胞)の分化誘導後に残存する未分化細胞は、生体移植後に形成される悪 性未熟奇形腫の原因と考えられている。本論文は、分化誘導後に残存する未分化細胞の形態学的特徴 を生細胞で明らかにし、更には、その形態学的特徴を細胞診用染色によって詳細に検定したものであ る。本研究の成果は、ヒトiPS細胞を細胞移植治療に応用する際に、遺伝子操作や各種染色を行わず に未分化細胞を検出するための新規指標の確立に有用である。

2.論文評価

iPS 細胞は、患者自身の体細胞から作製可能であるため、胚性幹細胞の抱える倫理問題や移植後の 免疫拒絶反応の問題を克服している。そのため、iPS 細胞は失われた臓器や身体の機能を修復させる 再生医療への応用が期待されているが、 iPS 細胞が未分化状態のまま生体に移植されると悪性未熟奇 形腫が形成されるので、iPS 細胞を目的とする細胞種へ分化誘導した後に生体移植を行う必要がある。

しかし、iPS 細胞を分化誘導した後の細胞群を用いても、移植後に悪性未熟奇形腫が形成されること があり、この一因として、未分化細胞が分化誘導後も残存する可能性が考えられている。現在、様々 な未分化細胞の除去法が検討されているが、未分化細胞の除去を行う上で重要な未分化細胞の形態学 的特徴は全く明らかにされていない。そこで本論文は、移植の際に用いられる生細胞に加えて細胞診 用染色を施した細胞を用いて、誘導後に残存する未分化細胞の形態学的特徴を詳細に観察したもので ある。その結果、生細胞及び染色細胞において、分化誘導後に残存する未分化細胞は、iPS 細胞と比 較して細胞及び核は小型化の傾向を示し、更には、非常に小型の未分化細胞の存在が明らかとなった。

本研究によって初めて明らかにされた未分化細胞が呈する細胞の小型化の形態学的特徴は、iPS 細胞 を用いた安全な再生医療実現の一助になり得る。

以上のことから、本論文は博士論文にふさわしいと判定される。

3.口頭発表ならびに質疑応答の評価

口頭発表では、本論文の内容について適切な顕微鏡写真、図、表などが提示され、発表制限時間も 順守された。質疑応答では7つの質疑がなされたが、いずれにも的確に回答し、研究背景、研究方法 、 研究内容についても十分な知識があると判定できる。

4.審査結果

上述の論文評価と口頭発表ならびに質疑応答の評価から、本論文は保健科学領域の博士論文として 十分に値すると評価される。

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参照

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