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車両荷重を用いた実石橋の静的・動的挙動実験について

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Academic year: 2022

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(1)

写真 2  軸荷重の静的載荷状況

3.85m

47.43kN 153.47kN

図 2  試験車両と荷重分担 

車両荷重を用いた実石橋の静的・動的挙動実験について 

熊本大学大学院 学生員 ○工藤  輝彦    熊本大学大学院 フェロー 山尾  敏孝   熊本大学工学部 学生員 楠  隆志    ㈱シビコン 加来  雄一    宇城市役所  中山  誠 1.はじめに 

宇城市の有形文化財に指定されている鴨籠橋は,新石橋 (昭和26年建設)と旧石橋(明治時代)から構成されている.こ の橋は,地元住民からは荷重制限(4t 以下)の要望がされてい ることから,耐力調査をすることになった.そこで,本研究 では20tの試験車両を用いた静的および動的挙動実験及びモ デル解析を実施することにより,鴨籠橋の挙動特性と耐荷性 能を明らかにする.実験はアーチ石材の応力ひずみとたわみ 変形の測定状況から載荷荷重との関連を調べたものである.

また,別途鴨籠橋で使用されている石材を用いた圧縮試験も 実施した.

2.静的・動的実験と石材圧縮試験 

対象とした実石橋(鴨籠橋)の上流側側面図を図1(a)に,背面 図を(b)に示す.スパンは5.1m,アーチライズは1.01mであり,

ライズ・スパン比は0.2である.静的・動的実験には試験車両 として20tトラックを用いた.図2は試験車両と前輪後輪への荷重 分担を示すが,作用軸荷重は,前輪47.43kN,後輪153.47kNで ある.実験では,前輪および後輪をそれぞれ単独に図1(a)に示 すようにスパンLの1/4,1/2および3/4の位置に十分注意し

て作用させた.写真2は旧石橋側から見たスパン3L/4点に前輪荷重を載荷し ている様子である.静的実験では応力分布および変形形状を把握するため,

新・旧石橋の各位置で軸ひずみと鉛直変位をひずみゲージや変位計により測 定した.各測定位置を図 1 に示すが,アーチ基部両端においては水平変位を 測定した.動的実験は,試験車両を時速20km/hで走行させ,その時の振動数 を加速度計で測定し,試験車両が通過した時の固有振動数を調べた.振動の 測定箇所は新・旧石橋のスパンL/2の地覆部2点とした.各測定器での測 定状況を写真3に示す.石材圧縮試験では,鴨籠橋に使われている石材の 最大圧縮強度,静弾性係数,及びポワソン比を求めた.この石材は凝結凝 灰岩であるため,供試体は堆積方向の異方性を考慮して3方向で2本ずつ コア抜きした6本の各供試体から物性値を調べた.

3.数値解析の概要 

  解析には汎用非線形有限要素ソフトウェアMARC2005r3を用いて,離 散型有限要素解析を実施した1).平面解析モデルを図3に示すが,文献1)

を参考に1石材を4要素に分割したモデルとした.

境界条件は,アーチ基部の橋軸及び鉛直方向を固定 とし,石材間の摩擦はバイリニア型摩擦モデルを用 いた.このモデルは限界摩擦応力τclimではなく,す べり発生変位usによって定義することで,接触圧の 変化による摩擦係数の増減も考慮できる.すべり発

生変位を0.5mm,摩擦係数を0.65とした2).その他

の物性値は石材圧縮試験の結果より用いた.荷重条

(a)上流側側面図 

1630

1010 L=5100

L/4 L/2 3L/4

L=5100

図 1  鴨籠橋の寸法と測定位置(単位mm) 

(b)背面図 

変位計 ひずみゲージ すき間ゲージ  1820 1830

3650

(下流側・旧石橋)

(上流側・新石橋)

荷重作用位置 

ひずみゲージ  変位計 

加速度計

(a)変位計  (b)ひずみゲージ  (c)加速度計 写真 3  測定状況 

土木学会西部支部研究発表会 (2009.3) I-048

-95-

(2)

件は,アーチ石に図3に示すような壁石配分荷重と重力加速度によ る初期軸力を与えた後,前・後の輪荷重を実験と同様に載せた.

4.実験および解析結果と考察 

図4は石材圧縮試験の結果から得られた応力‐ひずみの分布である.

各供試体の圧縮強度から求めた石材の最大圧縮強度は24.0(N/mm2) であった.また静弾性係数は 1.17×104(N/mm2),ポアソン比は 0.18 であった.

図5 は静的実験及び解析による変位分布を比較したものである.図5

(a)は前輪荷重を3L/4点に載荷したときであり,(b)は後輪荷重をL/2点 に載荷したときの結果である.実験での最大鉛直変位は後輪荷重を L/2 点に載荷した(b)の時で,新橋は 2.36mm,旧橋は2.93mmであった.

解析値を実験値と比較すると,(a)のケースはよい対応をしているが,

(b)のケースでは解析値は実験値の約半分であった.これは実験時に,

軸荷重を3L/4点,L/2点,L/4点の順に載荷したが,その都度ゼロクリア ーをせずに実施したことにより,測定変位に残留変位が累積したこと が原因であると考えられる.つまり,実橋ではアーチ石の組み方に よる石材間のかみ合わせの影響により弾性的挙動しなかったと推測 される.なお,今回の解析では平面解析であるため,橋幅方向や組 み方による石材間の影響を考慮していないことも問題あると思われ るが,これについては今後検討する予定である.     

図6は後輪荷重を3L/4点に載荷した時の軸応力分布を示した.こ の時の軸応力が最大となり,左岸側アーチ基部で約0.6(N/mm2)で生 じた.この値は使用した石材の最大圧縮強度の1/40程度であった.

動的実験で得られた応答加速度波形と積分して得られた変位応答 を図7に示す.得られた加速度応答は最大50ガル程度であった.1 次の固有振動数を求めると,新橋では 11.0Hz,旧石橋では 10.3Hz とほぼ同様に大きな値であった.これは鴨籠橋のライズ・スパン比 が0.2 であり,かつ5m の短いスパン長であるため,剛性が大きく 固有振動数が大きくなったと思われる.図7(b)の応答変位について,

新石橋と旧石橋を比較しても最大鉛直変位は 3mm 以下であり,静 的実験の結果とほぼ同様な値が得られた.

以上の静的・動的試験の結果から,鴨籠橋は通常の交通荷重でも 問題ないが,5 トン未満の車両であれば変位及び耐力の面からも全 く問題はない石橋であることがわかった.

参考文献 

1)浅井光輝 他:離散型有限要素モデルによる石材アーチ橋の…,構造工学論文集,Vol.55A, pp.1-6,2008. 2)山本健次郎 他:石橋模型を用いた損傷を有する…,土木学会第62回年次学術講演会,I-154,pp.307-308,2008

図 6  軸応力分布(実験) 

‐4

‐3.5

‐3

‐2.5

‐2

‐1.5

‐1

‐0.5 0 0.5 1

10 11

12 13

14

変位(mm)

変位計NO.

新橋 旧橋 新橋解析 旧橋解析

図 3  平面解析モデル 

図 4  応力‐ひずみ関係 

0 1000 2000 3000 4000 5000 0

10 20 30

μ(×10-6) σ(N/mm2)

供試体1 供試体2 供試体3 供試体4 供試体5 供試体6

‐4

‐3.5

‐3

‐2.5

‐2

‐1.5

‐1

‐0.5 0 0.5 1

10 11

12 13

14

変位(mm)

変位計NO.

新橋 旧橋 新橋解析 旧橋解析

図 5 鉛直変位の比較  (a)3L/4 点に前輪荷重載荷 

(b)L/2 点に後輪荷重載荷 

‐1

‐0.8

‐0.6

‐0.4

‐0.2 0 0.2

1 2

3 4

5

応力(N/mm2

橋軸方向 新橋

旧橋

重力加速度g

5100mm X

Y

壁石配分荷重72kN

L/4 L/2 3L/4

0 10 20 30 40 50

-0.1 0 0.1 0.2 0.3

時間(sec)

変位(cm)

新橋旧橋

(b)変位応答 

8 9 10 11 12

-50 -25 0 25

50 新橋

旧橋

時間(sec)

gal

(a)加速度応答 

図 7  動的挙動特性 

土木学会西部支部研究発表会 (2009.3) I-048

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