令和元年度(平成31年度)学内研究助成金 研究報告書
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(2) 縮を試みた。フォトリソグラフィーフリーのマイクロチップを作製するにあたり、基材には poly(dimethylsiloxane) (PDMS)を使用した。まず、市販のプラスチック容器にマイクロチップの流 路長に応じて穴を開け、容器の裏を密閉する。その容器に PDMS 溶液を流し込み、80℃のオーブ ンで加熱し PDMS を硬化させた。その後 PDMS を通過させるようにナイロンモノフィラメント縫 合糸を穴から通すことにより、流路系を構築した。その後ナイロンモノフィラメントをバリヤコ ートでコーティングし、鋳型とした。次に鋳型を覆うように PDMS 溶液を流し込み、80℃のオー ブンで約 30 分加熱した。凹面となった流路をとりだし、表面をプラズマ処理することにより流路 を貼り合わせた。最後に、3 時間、80℃の条件下で加圧することによりマイクロチップを作製し た。3 次元型のマイクロチップの作製ではプラズマ処理を行った流路面に対し、その流路が直行 する部分に透析膜を配置したのち 3 時間、80℃加熱下で加圧した。作製したフォトリソグラフィ ーフリーのマイクロチップを用いて、8-aminopyrene-1、3、6-trisulfonate 標識化イソマルトオリゴ 糖の電気泳動分離を試みた。その結果、少なくとも単糖から 15 糖までのピークを検出することが でき、作製したマイクロチップでも十分に分離・検出が行えることが分かった。続いて 6-8 kD の 半透膜を用いた 3 次元マイクロチップを用い、分子量が 80 kD のヒト血清トランスフェリンのオ ンライン濃縮を試みた。その結果、時間経過とともに流路交差部でタンパク質が濃縮される様子 が確認できた。また、導入時間 240 秒における濃縮効率を算出した結果、透析膜を配置しなかっ た場合と比べ、感度が約 70 倍向上した。また、この方法では過剰試薬を含む標識直後の試料を濃 縮することが可能であり、煩雑な過剰試薬の除去作業を必要としないオンライン濃縮法であるこ とが分かった。次に、濃縮した試料の分離を検討したところ、3 分付近に単一のピークが検出さ れた。以上の結果から作製したサイズ排除型 3 次元マイクロチップでは、濃縮と同時に過剰試薬 の除去が達成されることが分かった。 3.本研究と関連した今後の研究計画 糖鎖修飾やタンパク質のリン酸化などの翻訳後修飾を解明しようとする研究が世界中で盛んに行 われているが、それぞれの翻訳後修飾がどのタイミングでどのように変化した結果、糖鎖構造や リン酸化状態が変化したという報告はない。これが解明できれば、より詳細ながん化や、がん転 移のメカニズムの解明につながるだけでなく治療のターゲット分子を発見できる可能性がある。 しかしながら、上述した通り糖鎖解析は測定までに酵素消化、蛍光標識化、試料精製操作が必須 であり、実際にある試料から糖鎖を調製し、測定を完了するまでに数日を要してしまう。このよ うに現状では多くの前処理操作と分離分析、あるいは同定手段として質量分析装置などを用いる 必要があるため、現行においては特に抗体医薬品の品質管理のようにルーチンでのモニタリング では早急な改善が求められている。リン酸化反応においても同様であり極めて動的で複雑なリン 酸化反応を捉えるために、世界規模で解析が進んでいる質量分析装置を用いたリン酸化プロテオ ミクス以外にも多角的に、この現象を解明する必要があり、特に何らかの刺激を与えた直後のリ ン酸化・脱リン酸化を明確に解明する必要がある。今回開発した技術を集約することにより、一 連の分析操作が特に困難な糖鎖とリン酸化タンパク質をターゲットとし、アクリルアミドゲル層 と3次元型のマイクロチップを用いて細胞を3次元で培養し、そこに何らかの刺激を与えた直後の タンパク質の翻訳後修飾のメカニズムを解明するために、糖鎖およびリン酸化タンパク質の分析 までに必要な前処理を含む一連の工程を流路中で、かつプログラムされた電圧印加のみで行うこ とにより真のハイスループット分析を行うことが可能な方法を開発する。この法が開発されれば、 細胞に発現している糖鎖のプロファイリングなどはもちろんのこと、抗体医薬品の生産ラインに おいて免疫原性となる糖鎖の特異的検出などを短時間で簡単に、かつ網羅的に解析することが可 能になると考えられ、糖鎖やリン酸化化合物あるいは、この両方を利用した指標とした臨床分析 にも広く応用することが可能であると考えられる。.
(3) 4.成果の発表等 発. 表. 機. 関. 名. 種類(著書・雑誌・口頭). 発表年月日(予定を含む). Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis Chromatography. 雑誌. 2019 年 12 月 17 日. 雑誌. 2019 年 5 月 30 日. BUNSEKI KAGAKU. 雑誌. 2019 年 8 月 28 日. 第 79 回分析化学討論会 第 26 回クロマトグラフィーシンポジ ウム 第 32 回バイオメディカル分析科学シ ンポジウム 第 17 回次世代を担う若手のためのフ ィジカル・ファーマフォーラム(招待 講演) 日本分析化学会第 68 回年会. 口頭. 2019 年 5 月 18 日. 口頭. 2019 年 6 月 6 日. 口頭. 2019 年 8 月 23 日. 口頭. 2019 年 9 月 3 日. 口頭. 2019 年 9 月 11 日.
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