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令和元年度(平成31年度)学内研究助成金 研究報告書

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Academic year: 2022

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(1)令和元年度(平成 31 年度)学内研究助成金 研究報告書. 研. 究. 種. □奨 励 研 究 助 成 金. ☑研究成果刊行助成金. □21 世紀研究開発奨励金 (共同研究助成金). □21 世紀教育開発奨励金 (教育推進研究助成金). 目. 研 究 課 題 名. 被差別部落女性の主体性形成に関する研究. 研究者所属・氏名. 研究代表者: 人権問題研究所・熊本理抄 共同研究者:. 1.研究目的・内容 本研究は、日本の被差別部落女性の主体性形成に焦点をあて、その形成過程を明らかにするなか で、部落女性が直面する諸問題を考察し、部落女性による運動の今後の課題と展望を提示するこ とを目的とする。. 2.研究経過及び成果 上記の目的を果たすため、3 つの方法で研究を行なった。第 1 に聞き取り資料の分析である。 2006 年から 2013 年にかけて聞き取りを行なった 109 人のうち、本人もしくは親が部落コミュニ ティに生まれ、本人が部落民の自覚を有する女性 90 人の聞き取り資料を分析した。第 2 に歴史 資料の分析である。戦後の部落解放運動を歴史的かつ大衆的に担ってきた部落解放同盟の公式文 書である全国大会の運動方針、部落解放同盟が主催する、女性の全国交流集会である部落解放全 国婦人集会、後に改称した部落解放全国女性集会の討議資料と報告書を分析した。第 3 に文献研 究である。 「交差性」概念の代表的論客であるキンバーレ・ウィリアムズ・クレンショウ(Kimberlé Williams Crenshaw)とパトリシア・ヒル・コリンズ(Patricia Hill Collins)、複数の抑圧に関する 理論を展開したクリティカル・レイス・フェミニズム(Critical Race Feminism)の論客であるエリ ザベス・V・スペルマン(Elizabeth V. Spelman)を中心に、1980 年代から 1990 年代におけるブラ ック・フェミニズムの言説を対象とした。 まず聞き取り資料の分析から、自己教育運動および部落解放運動への関与による主体性の遂行 的形成過程を明らかにした。さらに、女性の主体性形成を妨害する部落解放運動のジェンダー体 制と、そうした体制のなかでの女性による主体性形成追究のありようを示した。歴史資料の分析 からは、運動への関与の過程で遂行的に主体性が形成される、そうした主体性形成の遂行性(パ フォーマティヴィティ、performativity)を確認し、それが次には運動を内から変えていくとい う主体性形成と運動との往還を明らかにした。さらに日本語で流通した「複合差別」概念の問題 性と有用性を考察するべく原義に戻り、ブラック・フェミニズムの言説に着目した文献研究の結 果、部落女性がとらえた限りの「複合差別」概念には二つの問題があることを明らかにした。一 つは、 「複合差別」概念の日本語概念の問題である。もう一つは、日本語で流通している「複合差 別」概念が、被差別者集団内の性差別を論じる一方、フェミニズムの限界やバイヤスを問わない という問題である。 以上をふまえ、部落女性の思想や経験により、フェミニズムの諸概念や諸定義を再構築していくと ともに、部落解放運動が掲げてきた差別論と主体性論を問い直していくことが必要であり、 「複合差別」 概念をその闘いに導入することは可能であると結論する。複数の差別の「交差性」概念と、交差する ところに現出する「複合差別」概念は、部落女性が生きる場の権力関係や社会的抑圧を解明し、主体 性形成を追究するうえでの理論と実践として使っていくうえで必要であり可能であると結論づける。.

(2) 3.本研究と関連した今後の研究計画 本研究と関連して今後、他の差別との共通性、他国との普遍性を追究していく。ここで言うところ の普遍とは連帯することである。部落差別という個別分析から世系(descent)に基づく差別、カース ト差別とのつながりの可能性を探る。女性という個別分析から女性とのつながりの可能性を模索する。 普遍性をより求めるうえで抑圧を分けて考察することが必要であり、それをしてこそ連帯可能性が開 かれると考えるからだ。 本研究は、部落女性の主体性形成における「複合差別」概念の有用性を検討するにあたり「複合性」 に焦点をあてた。今後、 「差別」に焦点化した差別論の再構築、部落差別を必要とする構造の研究を行 なっていく。. 4.成果の発表等 発. 表. 機. 関. 名. 被差別部落女性の主体性形成に関す る研究. 種類(著書・雑誌・口頭). 発表年月日(予定を含む). 著書. 2020 年 3 月 31 日.

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