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令和元年度(平成31年度)学内研究助成金 研究報告書

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Academic year: 2022

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(1)令和元年度(平成 31 年度)学内研究助成金 研究報告書. 研. 究. 種. ■奨 励 研 究 助 成 金. □研究成果刊行助成金. □21 世紀研究開発奨励金 (共同研究助成金). □21 世紀教育開発奨励金 (教育推進研究助成金). 目. 研 究 課 題 名. 低用量ケタミン投与による霊長類統合失調症モデルの行動薬理学的検討. 研究者所属・氏名. 研究代表者: 医学部 生理学教室 望月 圭 共同研究者:. 1.研究目的・内容 もっともメジャーな精神神経疾患のひとつである統合失調症は、いまだ霊長類の疾患モデル動 物がなく、その脳内メカニズムの解明や根本的な治療法の開発に大きな足枷となっている。本研 究では、自発運動にともなう時間間隔知覚のバイアスというヒトで知られた現象を、サルにおい ても客観的に計測可能な新しい行動課題を構築することで、生理学研究に用いやすいサル統合失 調症モデルを確立することを目的とした。 2.研究経過及び成果 精緻な運動制御にとって、身体運動や外的イベントの間の時間間隔の正確な把握は不可欠であ る。しかしヒトにおいては、自身の行なった運動と、その結果起きた外的イベントとの間の時間 間隔を短く感じる認知バイアスがあることが知られている。例えばコンピュータのキーボードを 打つとき、我々は一般に打鍵とその結果起こる画面上での文字入力とのあいだに高い同時性を感 じるが、実際には機械的・電子的な遅延が存在しているはずである。このような自発運動におけ る時間間隔の認知バイアスは intentional binding 効果と呼ばれ、運動の自己帰属感と密接に関係 していると考えられている。実際、運動の自己帰属に異常の生じる統合失調症者においては、こ の intentional binding 効果にも変化がみられる。 本研究では、この intentional binding 効果の神経生理学的メカニズムを検討するため、サルに おいて自発運動時の時間間隔の知覚バイアスを検討するのに適した新しい行動課題を開発した。 サルは 2 つの音声刺激間の時間間隔を、事前に決められた基準長より長いか短いか弁別すること を求められた。このとき、弁別対象となる音声刺激を外発的に与える条件(受動条件)と、サル 自身のボタン押しによって与える条件(自発条件)とを用意し、条件間におけるサルの時間弁別 精度を比較できるようにした。音声刺激間の時間間隔は 100ms から 600ms とし、毎試行変化さ せた。また長短弁別の基準長も実験日ごとに変化させたため、サルは実験日ごとに、試行錯誤に よって弁別基準を学習する必要があった。 実験の結果、サルは比較的高い精度で課題を遂行できるようになった。これはすなわち、各実 験日において設定された弁別基準長を、サルが試行錯誤的に学習することができたことを意味し ている。そこで本研究では、サルの各試行における選択系列と、その結果起きた弁別基準長の潜 在学習過程を、複数の計算論的モデルによりフィッティングすることで、サルの内的な学習過程 を検討した。モデルにおいては、各試行の選択とその正否をもとに、弁別基準長が異なる修正関 数により逐次修正された。結果、検討したモデル群のうち、その試行が受動条件だったか自発条 件だったかにより弁別基準長の修正量に差をつけるモデルがもっともよくサルの行動を説明する ことができた。この結果は、サルの時間弁別判断において、弁別対象となる音声刺激が単に外発 的に与えられたか、あるいは自身のボタン押しによってもたらされたものであるかが、内的に区 別されていることを意味している。すなわちサルにおいても、ヒトにおいて intentional binding 効果として知られているのと同様に、自発行動に起因した外的イベントの時間間隔の知覚に内的 バイアスが生じている可能性が示された。以上のとおり、本研究は、運動の自己帰属感と密接な 関係のある intentional binding 効果と類似の現象がサルにおいて生じる可能性を示し、客観指標 に基づいたサル統合失調症モデルの構築という新しい方向性を切り拓いた。.

(2) 3.本研究と関連した今後の研究計画 本研究では、現在、さらに課題パラメータを変更し、より頑健に intentional binding 効果と類 似の影響がサルの時間弁別において観察される条件を検討している。今後、2 個体目のサルにお けるデータ収集を実施する予定である。. 4.成果の発表等 発. 表. 機. 関. 名. 種類(著書・雑誌・口頭). 発表年月日(予定を含む). 第 97 回日本生理学会大会. 口頭. 2020 年 3 月 18 日. Journal of Physiological Science. 雑誌. 2020 年. 第 43 回日本神経科学大会. 口頭. 2020 年 7 月 29 日.

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