国立国語研究所学術情報リポジトリ
米国議会図書館蔵『源氏物語』翻刻
雑誌名 米国議会図書館蔵『源氏物語』翻刻 桐壺〜藤裏葉 : 平成22年度 人間文化研究連携共同推進事業「海 外に移出した仮名写本の緊急調査」報告書
ページ 7‑391
発行年 2011‑03‑24
URL http://doi.org/10.15084/00002597
米 国議会図書館蔵﹃源氏物語﹄翻刻
7
翻 刻担当者一覧
(巻名︶
桐壼
帯 木 空 蝉 夕顔若
紫 末 摘 花 紅 葉賀 花 宴
葵賢木
花 散 里 明石 須磨 濡 標 蓬 生 関屋絵
合 松 風 薄 雲
(翻 字 担当者︶
荻 野 仁賀
篠田健一
阿部江美子 阿 部 江美子 淺 川 槙 子 淺 川 槙 子
斎藤達哉
斎藤達哉
淺 川 槙 子 杉 本 裕 子
斎藤達哉
小 川 千 寿 香 大 石 裕 子 小 川 千 寿 香 杉 本 裕 子 野口あゆみ・
野口あゆみ 野口あゆみ 阿 部 江美子
(校 正 担当者︶
神田久義 神田久義 神田久義 神田久義 神田久義 豊島秀範 豊島秀範 豊島秀範 豊島秀範
菅原郁子
菅原郁子斎藤達哉
斎 藤 達 哉 斎 藤 達 哉
斎藤達哉
斎 藤 達 哉 斎 藤 達 哉 斎 藤 達 哉
高田智和
(巻名︶
朝顔少女 玉髪
初音
胡蝶
蛍 常夏篭
火 野 分 行 幸 藤 袴 真 木 柱 梅 枝 藤裏葉
(翻 字 担当者︶
杉 本 裕 子 小川千寿香 大 石 裕 子 伊 藤 鉄 也 篠田健 大 石 裕 子 野口あゆみ 大 石 裕 子 豊島秀範 阿 部 友 敬 阿 部 江美子 野口あゆみ 阿 部 江 美 子
菅野五月
校( 正 担当者︶
菅原郁子高田智和
高田智和
高田智和神田久義
菅原郁子
菅原郁子
菅原郁子
菅原郁子
菅原郁子
菅原郁子
菅原郁子菅原郁子
菅原郁子
9
oL 凡
例
行
移り・丁移り
1 本文の行移りは原本にしたがった︒
2 丁移りは︑その丁の表および裏の冒頭において丁数・表裏を四角囲みで示した︒
3 半丁内の行番号をアラビア数字で示した︒
文
3・21字
4 5
仮名は現行の平仮名を用いた︒
漢 字 は 現 代 通用の字体によることを原則とした︒
語を漢字表記にする場合の漢字と︑仮名表記にする場合の字母とが︑
は︑漢字として扱った︒ ︵例︶見くるし︑気しき
繰り返し符号は次のように統lした︒
仮名一文字の繰り返し ︵例︶こsち 漢字一文字の繰り返し ︵例︶人々 複 数 文 字 の 繰り返し ︵例︶ひとく
判 読 できない文字は■で表した︒
一致 するときに 和
21歌
和 歌 は四字下げとした︒
散らし書き風の和歌は︑
配 置を再現することはせず︑末尾に#を付した︒
傍 記 等 1 傍記等の書き込みは︑この翻刻では省いた︒
2 擦消箇所は︑﹁米国議会図書館蔵﹃源氏物語﹄擦消一覧
した︒
(桐壼〜藤裏葉︶﹂に一覧
図
1版
各 巻 の 表 紙 および第一丁表の原本写真を掲載した︒
LL
桐壼
NL
囲
−いつれの御時にか女御更衣あまたさふらひ給けるなかに2いとやむことなききはにはあらぬかすくれてときめき
3給ふありけりもとより我はと思ひあかりたまへる御かたく
4めさましき物におとしめそねみ給ふおなし程それより
5けらうの更衣たちはましてやすからすあさ夕のみや
6つかへにつけても人の心をのみうこかしうらみをおふつもり
7にやありけんいとあつしくなりゆき物心ほそけにさとかちに
8なるをいよくあかすあはれなる物におほして人のそしりをも
固
−えはAからせたまはす世のためしにもなりぬへき御もてなし也かん
2たちめ殿上人なともあいなくめをそはめつ︑いとまはゆき人
3の御おほえ也もろこしにもかAる事のおこりにこそ世もみたれ
4あしかりけれとやうくあめのしたにもあちきなう人のもて
5なやみ草になりてやうきひのためしもひきいてつへくなり
6ゆくにいとはしたなき事おほかれとかたしけなき御心はへのた
7くひなきをたのみにてましらひ給ふちAの大納言はなくなりて
8はA北のかたなんいにしへの人のよしあるにておや打くしさし ︑
団
−あたりて世のおほえはなやかなる御かたくにもをとらす何事の2きしきをももてなし給けれととりたてAはかくしき御うしろ見
3なけれはことある時はなをよりところなく心ほそけ也さきの世
4にも御ちきりやふかかりけむ世になくきよけなる玉のをのこ
5みこさへむまれたまひぬいつしかと心もとなからせ給ていそきま
6いらせて御らんするにめつらかなるちこの御かたち也1のみこは
7右大臣の女御の御はらにてよせをもくうたかひなきまうけのきみと
8世にもてかしつききこゆれとこの御にほひにはならひ給ふへくも
固
1あらさりけれは大かたのやむことなき御思ひはかりにて此君をはわた
2くしのものにおほしかしつきたる事かきりなしはAきみははしめ
3よりをしなへてのうへみやつかへなとしたまふへききはにはあらさりき
4おほえいとやむことなく上すめかしけれとわりなくまとはさせ5給ふあまりにさるへき御あそひのおりく何事にもゆへあることのふしく
6にはまつまうのほらせたまひある時には御おほとのこもりすくして
7やかてさふらはせ給なとあなかちにおまへさらすもてなさせ給し程に
8をのつからかろきかたにも見えしを此みこむまれ給て後はいと
団
1心ことにおほしをきてたれは春宮にもならせすは此みこをすへ
2給ふへきなめりとlの宮の女御おほしうたかへり人よりさきにまいり
3給てやむことなき御おもひはなへてならすみこたちなともおはし
4ませは此御かたの御いさめをのみそなをわつらはしう心くるしうおもひ
5きこえさせ給けるかしこき御かけをはたのみきこえなからおとしめき
6すもとめ給ふ人々おほく我身はかよはくて物はかなきありさま
SL
7にてなかくなるものおもひをし給ふ人そいとくるしけなる御さう8しはきりつほなりけりあまたの御かたくをすき給つ︑ひま
固
−なき御まへわたりを人々心つくし給ふもけにことはりと見え
2たりまうのほり給ふ時にもあまり打しきる時はうちはし
3わたとの︑ほとこAかしこのみちにはあやしきわさをしつ︑
4御むかへをくりの人々もきぬのすそたへかたくまさなき事とも
5おほかり又ある時はえさらぬめんたうの戸をさしかためて心を6あはせてはしたなめわつらはし給ふおりくもありことにふれて
7かすならすくるしき事のみまされはいといたう思わひたるを
8いと﹀あはれと御覧して後涼殿にもとよりさふらひ給ふ
囲
1かうゐの御さうしをはほかにうつさせ給てうへつほね
2にたまはすそのうらみましてやらんかたなし此みこ
3みつになり給ふとし御はかまきの事ありlのみこのたてま
4つりしにをとらすくらつかさおさめ殿の物をつくしていみしう
5せさせ給ふそれにつけてもよのそしりのみおほかれと
6此みこのおよすけもておはする御かたち心はへありかたくめつら
7しきまて見え給ふを見たてまつるかきりの人々はえそねみ
8あへたまはす物の心しり給ふ人々はか﹀る人も世にはいておはする
固
−なりけりとあさましきまて目をおとろかし給ふその年の
2夏みやすところはかなひこ﹀地にわつらひてなんとし給ふ
3をいとまさらにゆるさせAたまはす年ころつねのあつしさに
4なりたまへれは御めなれてなをしはしこAろ見よとのみのたま
5はするに日﹀にをもり給てたA五⊥ハ日の程にいとよはかになり6たまひぬは﹀君なくくそうしてまかてさせたてまつらせ給ふ
7かAるおりにもあるましきはちもこそと心つかひしてみこをは
8とAめたてまつりてしのひてそ出給ふかきりあれはさのみも
9えとAめさせたまはす御覧したにをくらぬおほつかなさを
圃
1いふかたなくかなしとおほさるいとにほひやかにてうつくしけなる
2人のいたうおもやせていとあはれと物をおもひしみなからことに
3出ても聞えいてたまはすあるかなきかにきえ入つ﹀物し給ふを4御らんするにきしかたゆくすゑおほしめされす我もなくく
5ようつを契りのたまはすれと御いらへもきこえたまはすまみなとも
6いとたゆけにていとAなよくとわれかの気しきにてふしたまへれは
7いかさまにせんとおほしめしまとひ手くるまの宣旨なとたまはせ
8ても又いらせ給てさらにえゆるさせたまはすかきりあらんみちにも
9をくれさきた︑しと契らせ給けるにかく打すてAはさりともゆき
固
−やらしといひもやらせたまはすむせかへらせ給ふ御ありさまを女君
2いみしとみたてまつらせたまひて
享
3 かきりとてわかるAみちのかなしきにいかまほしきは
4いのちなりけりいとかくおもふ給へましかはといきもたえつ︑きこえ
5まほしけなることはありけなれといとくるしけにてたゆるやうなれは
6たAよそなからいかにもなりはてんを御らんしはてんとおほせと
7すほうあまたいむへき事人々におほせこと給ふによゐよりはらむへ
8けれはわりなくおほしめされなからまかてさせたてまつり給ふ御むねふ
9たからせ給て露まとろませたまはすあかしかねさせ給ふ御つかひの
團
︑−行かふ程もなきになをいふせさかきりなくのたまはせつるを夜中2すくるほとになんたえ入たまひぬとてなきさはけは御つかひも
3あえなくかへりまいりたるをきこしめすまAに御心まとひして何事も
4おほしめされすいみしくてこもりおわしますみこかくても御らんせ
5まほしけれとか・る程にさふらひ給ふれいなき事なれはまかて給
6なんとす何事かあらんともおほしたらすさふらふ人々のなきまとひ
7うへも御なみたのひまなくなかれおはしますをあやしと見たてまつり
8給へるをよろしき事にたにかAるわかれのかなしからぬはなきわさなるを
9ましてあはれにいふかひなしかきりあれはれいのさほうにおさめ
固
−たてまつるをはA北のかたおなしけふりにのほりなんとなきこかれ給
2て御をくりのねうはうのくるまにしたひのり給てをたきといふとこ
3うにいといかめしうそのさほうしたるにおはしつきたるこAちけに
4いかはかりかはありけんむなしき御からを見るくなをおはする物とのみ
5おほゆるかいとかひなけれははひになりたまはむを見たてまつりて
6いまはなき人とひたふるにおもひなりなんとさかしくのたまひつれと
7御くるまよりもおちふへくようひまとひ給へはさは思ひつかしと人々
8もてわつらひきこゆ内よりも御つかひありみ位のくらゐをくり給ふ
9よしちよくしきたりてその宣命よむいとかなしき事なりける
団
1女御とたにいはせすなりぬるかあかすくちおしうおほさるれは
2いま一きさみのくらゐをたにとをくらせ給なりけりこれにつけても
3にくみ給ふ人々おほかりものおもひしり給ふはさまかたちなとのめて
4かりしにもそへて心はせのなたらかにめやすくにくみところなか
5りしことなといまそおほし出るさまあしき御もてなしゆへこそすけ
6なうそねみたまひしか人からのあはれになさけありし御心をうへの
7ねうはうなとも恋しのひあへりなくてそとはかAるおりにやと見え
8たりはかなくて日ころすきて後の御わさなとにもこまかに9とふらはせ給ふ程ふるまAにせんかたもなう悲しくおほさるAに
固
−御かたくの御とのゐなともたえてしたまはすたA御なみたにひちて
2あかしくらさせ給へは見たてまつる人さへ露けき秋なりなき程
3まても人のむねあくましかりけるひとの御おほえかなとそこきてん
4なとにはなをゆるしなうのたまひけるlのみやを見たてまつらせ
5給ふにもわかみやの御恋しさをのみつきせすおほし出つ︑したしき
9L
6女房御めのとなとをつかはしつA御ありさまをはきこしめすのわきし
7たちてにはかにはたさむき夕くれの程つねよりもおほしいつる
8事おほくてゆけひのみやう婦といふをつかはす夕月夜のおかし
9きほとにいたしたてさせ給てやかてなかめおはしますかうやうの
團
1おりは御あそひなとせさせたまひしに心ことなる物のねをかきたてA
2はかなくきこえいつることの葉も人よりはことなりし気はひかたちのおも
3かけにつとそひておほさるAもやみのうつ︑にはなををとりけり
4みやう婦はかしこにまうてつきてくるまひきいるAよりけはひあは
5れなりやもめすみなれと人ひとりの御かしつきにとかくつくろひ
6たてAめやすき程にてすくし給つるをやみにくれてふし7しつみ給へる程に草もふかくなり野わきにところくあれたる
8こAちして月かけはかりそやへむくらにもさはらすさし入たる
9みなみおもてにおろしてはAきみあひ給へとと見にえものも
固
−のたまはすいまAてとまり侍るかいとうきをかAる御つかひのよも
2きふの露わけ入給ふるにつけてもいとはつかしうなんとてけにえ
3たうましうなき給ふまいりてはいとA心くるしう心きもAつくる
4やうになと内侍のすけなとのそうしたまひしをものおもふたまへ
5しらぬこA地にもけにこそいとしのひかたう侍けれとてやAためらひて
6おほせことつたへきこゆしはしは夢かとのみたとられしをやうく
7思ひしつまるにしもさむへきかたなくたへかたきはいかにとすへき
8わさにかともとひあはすへき人たになきをしのひてはまいり給て
9御心なき御物かたりをたになんやわかみやのいとおほつかなく露
團
1けきなかにすくしたまはん心くるしうおほさるAをとくまいらせ
2給つ︑かつは人も心よはく見たてまつるらんとおほしつ︑まぬにしも
3あらぬ御けしきの心くるしさにうけたまはりもはてぬやうにて
4なんまかて侍ぬるまて御文たてまつる目も見え侍らぬにかくかし
5こきおほせ事をひかりにてなんとて見給ふ程へはすこしもうちま
6きるA事もやとまちすくす月日にそへていと︑しのひかたきは
7わりなきわさになんいわけなき人もいかにとおもひやりつ︑もろ
8ともにはくらさぬおほつかなさをくちおしといまはなをむかしの
9かたみになすらへて物し給へなとこまやかにかAせたまへり
固
1 みや木の︑露ふきむすふ風のをとにごはきかもとを
2おもひこそやれなとあれとえ見たまはすいのちなかさのいとつらう
3思たまへしらる﹀に松のおもはむことたにはつかしく思給へ侍れはまして
4も﹀しきにゆきむかひ侍らん事はいとAは・かりおほくなんかしこき
5おほせことをたひくうけたまはりなから身つからはえなむおもひ給へ
6たつましきわか宮はいかておほししるにかまいりたまはん事をのみ
7なんおほしいそくめれはことはりにかなしう見たてまつり侍るなとうちく
8に思給ふるさまをそうし給へゆ︑しき身に侍れはかくておはしまさんも
9L
9いまくしうかたしけなくなとのたまふ宮はおほとのこもりにけり
−見たてまつりてくはしう御ありさまもそうし侍らまほしきをまち
2おはしますらんに夜もふけ侍りぬへしとていそく暮まとふ心の
3やみもたへかたきかたへをたにはるAはかりなんいと聞えかほしう侍を
4御わたくしにも心のとかにまかてよらせ給へ年ころうれしくおもた︑しき
5ついてにのみたちよりたまひし物を御せうそこにて見たてまつるは
6返々つれなきいのちにも侍かなむまれたまひし時よりおもふ心ありし
7人なり故大納言いまはとなるまてたA此人の宮つかへのほいかなら
8すとけさせたてまつれ我なくなりぬとてくちをしきかたにおもひ
9くつをるなと返々いさめをかれしかははかくしううしろみ思ふ人も
1なきましらひは中くなるへき事と思給なからたAかのゆいこん
2たかへしとはかりにいたしたて侍りしを身にあまるまての御心はへ
3のようつにかたしけなきに人けなきはちかましさをかくしつ︑
4ましらひ給めりしを人の御そねみふかくつもりやすからぬ事おほ
5くなりそひ侍つるによこさまなるやうにてつゐにかくなり侍ぬれは
6かへりてはつらくなんうへの御心はへを思給へられ侍るこれもわりなき
7心のやみになともえいひもやらすむせかへり給ふ程に夜もふけぬうへ
8もしかなんわか御心なからあなかちに人めおとろくはかりにおほされしもかく
9なか.tsるましき契なりけりといまはつらかりける人のとなん思なす世に
−いさAかも人の心にまけたる事はと﹀めしと思しをたA此人ゆへに2あまたのさるましき人のうらみをおひしはてくはかく打すてられ
3て心のおさめんかたなきにいとA人わろくかたくなになりはつるも
4さきの世のいふかしくなと打かへしつ︑しほたれかちにのみおはし
5ますとかたれはつきもせすなくく夜いたうふけぬれはこよひすく
6さす御かへりそうせんとていそきまいる月は入かたの空きよう7すみわたれるに風いとす︑しうふきて草むらのむしのこゑく
8もよほしかほなるにいとたちはなれにくきくさのもと也
9 すAむしのこゑのかきりをつくしてもなかき夜あかす
−ふるなみたかなとものりやらす
2 いと\しくむしのねしけきあさちふに露をきそふる
3くものうへ人かことも聞えつへくなといはせ給ふおかしき御をくり物
4なとあるへきおりにもあらねはたAかの御かたみにとてかAるよもやとて
5のこし給へりける御さうそく一くたりみくしあけのてうとたつ物
6をそそへ給ふわかき人々かなしき事はさらにもいはす内わたりを朝7ゆふにならひていとさうくしくうへの御ありさまなとおもひいてき
8こゆれはとくまいりたまはん事をそAのかしきこゆれとかういまく
9しき身のぞひたてまつらむもいと\人きAうかるへし又見たて
1まつらてしはしもあらんはいとうしろめたう思ひきこえ給てすかくとも
LL
2えまいらせたてまつりたまはぬなりけりみやう婦はまいりてまたおほ
3とのこもらせたまはさりけるとあはれに見たてまつるをまへのつほせん
4さいのいとおもしろきさかりなるを御らんするやうにてしのひやかに
5心にくきかきりの女房四五人さふらはせ給て御物かたりなとせさせ給ふ
6なりけり比ころあけくれ御らんするちやうこんかの御ゑていしのみかとの
7かAせ給て伊勢とつらゆきによませ給へるやまとことの葉をももろ
8こしのうたをも我御世のみたAそのすちをまくらことはにせさせ
9給ふいとこまやかにありさまをとはせ給へはあはれなりつる事とも
−しのひやかにそうす御世御らんすれはいともかしこきはをきところも
2侍らすかAるおほせ事につけてもかきくらすみたり心ちなん
3 ° あらき風ふせきしかけのかれしよりこはきかうへそ
4しつ心なきなとやうにみたりかはしきを心おさめさりける程と御らん
5しゆるすへしいとかうしも見えしとおほししつむれとさらにもえ
6しのひあへさせたまはす御らんしはしめしとし月の事さへかきあつ
7めようつにおほしつ︑けられて時のまもおほつかなかりしをかく
8ても月日はへにけりとあさましうおほさる故大納言のゆい
9こんあやまたす宮つかへのほいふかく物したりしよろこひは
1かひあるさまにてこそ思わたりつれいふかひなしやとうち
2のたまはせていとあはれとおほしやれりかうてもをのつ
3からわかみやなともおひいてたまはさるへきついてもあり
4なんいのちなかくとこそ思ねんせめなとのたまはす此をくり
5物を御らんせさすれはなき人のすみかをたつねいてたりけん
6しるしのかんさしならましかはとおほすもいとかひなし
7 たつねゆくまほろしもかなつてにても玉のありかを
8そことしるへくゑにかきとめたるやうきひのかたちはかき
9りいみしきゑしといへとも筆かきりありけれはいとにほひすく
1なしたいえきのふようみあうの柳もけにかよひたりし
2かたち色あひからめひたるよそほひはうるはしうけふらに
3こそはありけめなつかしうらうたけなりしありさまはをみな
4へしの風になひきたるよりもなよひなてし子の露にぬれ
5たるよりもらうたくなつかしかりしけはひをおほし出るに
6花鳥の色にもねにもよそふへきかたそなきあさ夕のこと草
7にははねをならへえたをかはさんと契らせたまひしに誰も
8かなはさりけるいのちのほとそつきせすうらめしき風のをと
9むしのねにてもののみかなしくおほさる﹀にごきてんには
1世の中物むつかしうおほされて人の御つほねにもまうの
2ほりたまはす月のおもしろきに夜ふくるまてあそひをそ
3し給ふなるみかといとすさましう物しときこしめす此ころの御け
4しきを見たてまつるうへ人女房なとはかたはらいたしとき﹀けり
8L
5いとをしたちかとくしきところ物し給ふ御かたにてことにもあらす
6おほしけちてももてなし給ふなるへし月もいりぬ
7 雲のうへもなみたにくるA秋の月いかてすむらん
8あさちふのやとおほしめしやりつ\ともし火をか.rsけつくしておき
9おはしますにうこんのつかさのとのゐ申のこゑ聞ゆるはうしに
−なるなるへし人目をおほしてよるのおとAにいらせ給ても
2露まとろませ給ふ事いとかたしあしたにおきさせ給ふとても
3あくるもしらてとおほしいつるにもなをあさまつりことをはをこ
4たらせたまひぬへかめり物なともきこしめさすあさかれいゐの
5御ものけしきはかりにて大正しのおものなとはいとはるかにおほし
6めしたれははひせんにさふらふかきりは心くるしき御けしきを見た
7てまつりなやむすへてちかうさふらふかきりはおとこをんないとわり
8なきわさかなとみないひあはせつ〜なけくさきの世にもさるへ
9き契りこそはおはしましけめそこらの人のそしりうらみをも
1はAからせたまはす此御事にふれたる事をはたうりをは
2うしなはせたまひしにいまはたかく世のまつりことをもおほしすてたる3やうになりゆくはいとたひくしきわさなりと人のみかとのためし4まてひきいてAさAめきなけきけり月日へてわかみや
5まいりたまひぬいとAこの世の物ならすかしこうきよらに
6およすけ給へれはいと︑ゆ︑しうおほしたりあくるとしの
7春春宮さたまり給ふにもいとひきこさまほしうおほせと
8御うしろ見すへき人もなく又よの人のうけひくましき
9ことなりけれは中くあやうくおほしめしはAかりて色にも
−いたさせにすまはすなりぬるをさはかりおほしたれとよ人もき
2こえ女御も御こAろおちゐたまひぬかの御をは北のかたなくさむ
3かたなくおほししつみでおはすらんところにたにたつねゆかんと
4ねかひたまひししるしにやつゐにうせ給ぬれは又これをかなしひ
5おほす事かきりなしみこも六になり給ふ年なれは此たひは
6おほししりていみしう恋なき給ふ年こうなれむつひ聞え給へるを
7見たてまつりをくことのかなしひをなん返々のたまひけるいまは内
8にのみそさふらひ給なAつになり給ふ年ふみはしめなとせさせ
9給て世にしらすさとうかしこくおはすれはあまりゆ︑しくおそ
1うしきまて御覧すいまは誰もくえにくみたまはしはAきみ
2なくてたにらうたかり給へとてこきてんなとにもわたらせ給ふ へ3御ともにはやかてみすのうちにいれたてまつり給ふいみしきもの︑
4ふあたかたきなりとも見てはまつ打ゑまれぬへきさまのしたま
5へれはえさしはなちたまはすをんな宮たちも二ところ
6此御はらにはおはしませとなすらひ給ふへきたにそなかりける7いつれの御かたくもえかくれあへたまはすいまよりなままめかしう
6L
8はつかしけにおはすれはいとおかしう打とけぬ御あそひ草
9にたれもくおもひ聞え給へりわさとの御かくもんをはさる
−物にて琴ふえのねにも雲井をひAかしすへていひつ︑
2けはことくしううたてなりぬへき人の御さまなりける
3そのころこまうとのまいれる中にかしこきさうにんのありける
4をきこしめして宮のうちにめさん事はうたのみかとの御いま
5しめあれはいみしうしのひてやつして此みこをかうろくわん
6につかはしたり御うしろみたちてつかうまつる左大弁の子のやう
7おもはせていてまつるに相人おとろきてあまたたひかたふき
8あやしふくにのおやとなりて帝王のかみなきくらゐにのほる
9へきさうおはします人のそのかたにてみれはみたれうれう
1る事やあらんおほやけのかためとなりて天下をたすくる
2かたにて見れは又その御さうたかうへしといふ弁もいとさへ
3かしこきはかせにていひかはしたる事ともなんいとけうあり
4けるふみなとつくりかはしてけふあすかへりさりなんとするに
5かvありかたき人にたいめんしたるよろこひのかへりてはかなし
6かるへきことの心はへをおもしろくつくりたるにみこもいとあはれ
7なる句をつくり給へるをかきりなうめてたてまつりていみし
8きをくり物ともをさAけたてまつるおほやけよりもおほくの物
9給ふをのつからことひろこりてもらさせたまはねと春宮のおほち
1おとAなときA給ていかなる事にかとなんおほしうたかひてなん
2ありけるみかとかしこき御心にてやまとさうをおほせておほし
3よりにけるすちなれはいまAて此君をみこにもなさせたまは
4さりけるをさうにんはまことにかしこかりけりとおほしめして
5無品の親王の外釈のよせなきにてはたAよはまし我御身
6をもいとさためなきをたA人にておほやけの御うしろ見を
7するなんゆくさきもたのもしけなめる事とおほしさためていよく8かvもんをせさせたてまつりみちくのさえをならはさせ給ふに
9きはことにかしこくてたA人にはいとあたらしけれとみこと
−なりたまひなは世のうたかひおひたまひぬへく物し給へは
2すくよこのかしこきみちの人にかんかへさせ給ふにもおなしさまに
3のみかんかへ申せは源氏になしたてまつるへくおほしをきたり
4とし月にそへてみやすむところの御事をおほしわするA時なし
5なくさむやとさるへき人々まいらせ給へとなすらへにたにおほさるA
6たにかたき世かなと物うとましうのみようつにおほしなり
7ぬるに先帝の四宮の御かたち世にすくれたる名たかうきこえ
8おはしますはAきさき世になくかしつき聞え給ふをうへに
9さふらふ内侍のすけは先王の御時の人にてかの宮にもしたしう
Ol
1まいりなれたりけれはちいさくおはしまし︑時より見たてまつり
2けりいまもほの見たてまつりてうせ給にしみやすところの
3御かたちになすらはれに給へる人をみ代の宮つかへにつたはり
4ぬるにえみたてまつりつけぬをきさいのみやのひめ宮こそいと
5ようたてまつりておひいてさせ給へりけれありかたき御かたち
6人になとそうしけるをまことにやと御心とまりてねんごろに7聞えさせ給へれとはAきさきあなおそろしや春宮の御はA
8女御のみこAろいとさかなくてみやすところもいときりつほの更
9衣のあらはにはかなくもてなされにしためしもゆ︑しとおほし
1つンみてすかくしうもおほしたAさりける程にきさきも
2うせたまひぬ心ほそきさまにておはしますにたA女御たちの
3御はらに思ひ聞えむかといとねんごろに聞えさせ給ふれはさふらふ
4人々御うしろみたち御せうとの兵部卿の宮なとたけにかく心ほそく
5ておはしまさんよりはうちすみせさせ給て御心もなくさむへくなと
6おほしなりてまいらせたてまつり給へり藤つほと聞ゆけに御かたちあり
7さまあやしきまてそおほえ給へる是は人の御きはまさりて思なし
8めてたく人もえ思おとしめ聞えたまはねはうけたまはりてあかぬ
9ことなしかれは人のゆるしきこえさりしに御こAうさしはあやにく
−なりしそかしおほしうつるとはなけれとをのつから御心うつろひて
2こよなうおほしなくさむやうなるもあはれわさなりけり源氏の
3君は御あたりさりたまはぬをましてしけくわたらせ給ふ御かたに
4ましてはえはちあへたまはすいつれの御かたにもわれ人にをとらん5とやは思たるやはあるとりくにいとめてたけれとうちおとなひな
6とし給へるにいとわかううつくしけにてせちにかくれ給へとあさ夕
7にさふらひ給へはをのつから見たてまつるそはAみやすところは
8かけたにおほえたまはぬに是なんいとよう似給へりと内侍のすけ
9の聞えけるをおさなき御こAちにいとあはれと思ひ聞え給て
−つねにまいらまほしくなつさひ見たてまつらはやとそおほえ給ふ
2うへもかきりなき御思とちにてなうと見たまひそとつねには
3聞え給あやしくよそへ聞えつへきこAちなんするなめしと
4おほさてらうたうし給へつらつきまみなとはいとよう似たりし
5ゆへかよひて見え給ふもにけなからすなん聞え給へれはおさなき御
6こAちにもうれしく思ひてはかなき花もみちにつけてもおかしき
7さまなるをはまつ心さし見えたてまつりこよなう心よせきこえ給へれ
8はこうきてんの女御又この宮とも御中そはくしきゆへ打そへて
9もとよりのにくさもたちいてAものしとおほしたち世にたくひ
−なしと見たてまつり給ふ名たかくおはする女御の御かたちにもなを此
2君のにほはしさはたとへんかたなくうつくしけなるをよの人
3ひかる君ときこゆ藤つほならひ給て御おほえもとりくなれは
頴
4かAやく日のみことそ聞ゆこのきみの御わらはすかたいとかへまうく
5おほせとさてのみあるへき事ならねは十二にて御けんふくせさせ
6たてまつり給ふめてたくおほしいとなみてかきりあることに
7ことをそへさせたまひぬひとAせの春宮の御けんふく南殿
8にてありしきしきのよそほしかりし御ひAきにをとらせた9まはすところくのちやうなとくらつかさこくさうゐんなと
1おほやけ事につかまつれりれいをうそかなる事もそととりわき2おほせことありてをのくきよらをつくしてつかうまつれりおはし
3ます殿のひんかしのひさしのひんかしむきにこいした
4てAかさの御さひきいれの大臣の御さ御まへにありさるの時にて
5源氏まいり給てひんつらゆひ給へるつらつき御かほのにほひさま
6かへたまはん事おしけ也おほくらの卿くら人つかうまつるいと
7きよらなり御くしをそく程いと心くるしけなるをうへはみやす
8ところの見ましかはとおほしいつるにいとたへかたきをこAろ
9つよくねんしかへさせ給ふかうふりし給てみやすところに
−おりたまひて御そたてまつりかへておりてはいし
2たてまつり給ふさまをみな人なみたおとしつみかとはた
3ましてえしのひあえたまはすおほしまきるAおりも
4ありつるむかしの事もとりかへしいとかなしくおほさる
5いとかうきひはなるほとはあけをとりもやとうたかは
6しくおほされつるをあさましううつくしけさそひ
7給へりひきいれの左大臣のみこはらにた﹀ひとりかし
8つき給ふおほんむすめ春宮よりも御けしきあるを
9おほしわつらふ事ありけるをこの君にたてまつらんの
−御心なりけりうへにも御けしきたまはらせたまへり
2けれはさらは此おりのうしろ見なるめるをそひふしにも
3ともよほさせ給けれはさおほしたりさふらひに■かうて4たまひて人くおほみきなとまいるほとみこたちの
5御さのすゑに源氏つき給へりおとAけしきはみきこえ
6給ふ事あれともの︑つ﹀ましき程にてともかくもえ
7あへしらへきこえたまはす御まへより内侍せんしうけ
8たまはりつたへておとAまいり給ふへきめしあれはまいり
9給ふ御ろくの物うへのみやう婦とりて給ふしろきおほ
−うちきに御そlくたりれいのことなり御さかつきのついてに
2 いときなきはつもとゆひになかきよをちきる心は
3むすひこめつや御心はへありておとろかせ給ふ
4 むすひつるこ﹀ろはふかきもとゆひにこぎむらさきの
5色しあせすはとそうしてなかはしよりおりてふとうし
6給ふひたりのつかさの御むまくら人ところのたかすへて
.
lN
7たまはりたまふみはしのもとにみこたちかんたちめ
8つらねてろくともしなくたまはりたまふその日の御
9まへのおりひつこものなと人々いみしかる左大弁なん
−うけたまはりてつかうまつらせけりとんしきろくのから
2ひつともなとところせきまて春宮の御けんふくの
3おりにも数まされりなかくかきりもいかめしうなんやかて
4その夜おとAの御さとに源氏の君まかてさせ給ふさほう
5世にめつらしきまてもてかしつき聞え給へりいときひはにて
6おはしたりをゆ︑しううつくしと思ひきこえ給へりをんな君
7はすくし給へる程にいとわかうおはすれはにけなぐ
8はつかしとおもひたり此おとAの御おほえいとやむことなきに
9はA宮うちのひとつきさきはらになんおはしけれはいつかたに
−つけてもいと物あてやかなるにこの君さへかくおはしそひ
2ぬれは春宮の御おほちにてつゐに世の中をしり給ふへき
3右のおと\の御いきをひは物にもあらすをされ給へり御こ
4ともあまたはらくにものし給ふこの宮の御はらにくら人の
5少将にていとわかうおかしきをみきのおとAの御中はいとよから
6ねと人からをえ見すくしたまはてかしつき給ふ四のきみに
7あはせ給へりをとらすもてかしつき給へはあらまほしき御あはひ
8ともになん源氏の君はうへのつねにおほつかなかりめしまつ
9はせは心やすくさとすみもえしたまはす心のうちにもたA
1藤つほの御ありさまをたくひなしとおもひ聞え給てさやう
2ならん人をこそ見めこptら見るににる人なくもおはしけるかな
3おほい殿のひめ君いとおかしけにかしつかれたる人とは見ゆれと4こAうにもつかすおほえ給ておさなき程の御ひとへこAうに
5かAりていとくるしきまてそおはしけるおとなになり給て後は
6ありしやうにみすのうちなとにもいれたまはす御あそひ
7のおりく琴ふえのねにきこえかよひほのかなる御こゑ
8をなくさめにて内すみのみこのましうおほえ給ふ五六日は9さふらひ給てはおほひ殿に二三日なとたえくにまかて
1たまへとたAいまはをさなき御ほとにようつつみなくおほし
2めしていとなみかしつき聞え給ふ御かたくの人々よの中に3をしなへたらぬをえりとAのへすくりてさふらはせ給ふ御こAうに4つくへき御あそひをしようつにおふなくおほしいたつく内
5にはもとのしけいさを御さうしにてはAみやすところのかたの
6人々まかてちらすさふらはせ給ふさとの殿はもくすりたくみ
7つかさなと宣旨くたりてになうあらためつくらせ給ふもとの
8木たち山のた﹀すまひなとおもしろきところなりけるを
9いとA池のこAろひろくしなしてめてたくつくりの︑しる
ノ
Nっ
1とこAうにおもふやうならん人をすへてすまはやとのみ
2なけかしうおほしわたるひかるきみといふ名はこまう
3とのめてきこえてつけたてまつりけるとそいひつたへ4たるとなん
寸l
帯
木
91
団
1ひかる源氏名のみことくしういひけたれたまふとか2おほかる中にいと・かAるすきこと・もをすゑの世にもきAつたへ3てかろひたる名をやなかさむとしのひ給けるかくろへこと
4をさへかたりつたへけん人の物いひさかなさよさるはいといたく
5世をは﹀かりまめたち給ける程なよひかにおかしき事は
6なくてかた野の少将にはわらはれ給けんかしまた中将
7なとに物し給し時は内にのみさふらひようし給ておほひ
8殿にはたえくまかて給ふをしのふのみたれやとうたかい
9聞ゆる事もありしかとさしもあためきめなれたる打つけのすき
固
1すきしさなとはこのもしからぬ御本上にてまれにはあなかちに
2ひきたかへ心つくしなる事を御心におほしとAむるくせなんあや
3にくにてさるましきおほんふるまひも打ましりけるなか雨
4はれまなきころ内の御物いみさしつ︑きていとAなかゐさふらい
5給けるを大殿にはおほつかなくうらめしくおほしたれと
6よろつの御よそひなにくれとめつらしきさまにてうしいて給つ︑
7御むすこの君たちたA此御とのゐところに宮つかへをつとめ
8給ふ宮はらの中将はなかにしたしくなれきこえ給てあそひたは9ふれをも人よりは心やすくなれくしくふるまひたり右のおと﹀の
10
圏
いたはりかしつき給ふすみかは此君もいと物うくしてすきかま−しきあた人也さとにても我かたのしつらひまはゆくして君の
2出入し給ふに打つれきこえ給つ︑よるひるかくもんをもあそひ
3をももろともにしてをさくたちをくれすいつくにてもまつ
4はれきこえ給ふ程にをのつからかしこまりもをかす心のうちに
5思ふ事をもかくしあへすなんむつれきこえ給けりつれくとふり6くらしてしめやかなるよゐの雨に殿上にもをさく人すくな
7に御とのゐところもれいよりはのとやかなるこ﹀ちするにおほ
8となふらちかくて文ともなと見給ふついてにちかきみつしなる色々
9のかみなる文ともをひきいて﹀中将わりなくゆかしかれはさりぬへき
固
−すこしは見せんかたはなるへきもこそとゆるしたまはねは
2そのうちとけてかたはらいたしなんとおほしめされんこそゆかし3けれをしなへたる大かたのは数ならねとほとくにつけてかき
4かはしつ︑も見侍なんをのかしAうらめしきおりくまちかほ
5ならん夕暮なとのこそ見ところはあらめとえんすれは
6やむ事なくせちにかくし給ふへきなとはかやうにおほそう
7なるみつしなとに打をきちらし給ふへくもあらすふかく
8とりをき給ふへかめれは是は二のまちの心やすきなるへし9かたはしつ︑見るによくさまくなる物ともこそ侍けれとて
團
−心あてにそれかかれかなととふ中にいひあつるもありもてはなれ
9N
2たる事をも思よせてうたかふもおかしとおほせとことすくな
3にてとかくまきらはしつ︑とりかくし給つそこにこそおほく
4つとへ給ふらめすこし見はやまてにこそなん此つしも心よくひら
5くへきとのたまへは御らんしところあらむこそかたく侍らめなと聞
6え給ふついてにをんなの是はしもとなんつ〜ましきはかたくも7あるかなとやうくなん見給へしるたAうはへはかりのなさけに
8手はしりかきおりふしのいらへ心えてうちしなとはかりはすいふんによう
9しきもおほかりと見給ふれとそもまことにそのかたをとりいてむ
固
1えらひにかならすもるましきはいとかたしや我心えたる事はかりを
2をのかしA心をやりて人をはおとしめなとかたはらいたき事おほか
3りおやなとたちそひもてあかめておひさきこもれるまとのうちなる
4程はたAかたかとをき︑つたへて心をうこかす事もあめりかたちおか
5しく打おほときわかやかにてまぎる﹀事なき程はかなきす
6まひをも人まねに心をいるA事もあるにをのつからひとつゆへつけ
7てしいつる事もありみな人をくれたるかたをはつくろひまねひ
8いたすにそれしかあらしとそらにいかAはをしはかり思くたさんまことかと
9見もてゆくに見をとりせぬやうはなんあるへきとうめきたるけしき
④
−もはつかしけれはいとなへてはあらねと我もおほしあはする事やあらん
2打ほAゑみてそのかたかともなき人はあらんやとのたまへはいとさはかり
3ならんあたりにはたれかすかされより侍らんととるかたなうくちお
4しききはといふ也とおもほゆはかりすくれたるとはかすひとしくこそ
5侍らめ人のしなたかくむまれぬれは人にもてかしつかれて
6かくるA事おほくしねんにそのけはひこよなかるへし中の
7しなになん人の心々をのかしAのたてたるおもむきも見えて
8わかるへき事かたくおほかるへきしものきさみといふきはに9なれはことにみAたAすかしとていとくまなけなる気しき
固
−なるもゆかしくてそのしなくやいかにいつれをかみのしなにをき
2てか三にわくへきもとのしなたかくむまれなから身はしつみくらゐ
3みしかくて人気なきあたりまたなを人のかんたちめなとまてなり
4のほりたる我はかほにて家のうちをかさり人にをとらしとおもへる
5そのけちめをはいか・わくへきととひ給ふ程にひたりのむまのかみ
6藤式部のそう御物いみにこもらんとてまいれりよのすき物にてもの
7いひとをれるを中将まちとりて此しなくをわきまへさためあらそふいと
8きAにくき事おほかりなりのほれとももとよりさるへきすちならぬは
9よ人のおもへる事もさはいへとなをことなり又本上やむことなきすちな
固
−れと世にふるたつきすくなく時代うつろひておほえおとろへぬれは
2こAろは心として事たらすわろひたる事とも出くるわさなめれは
3とりくにことはりて中のしなにてをくへきすりやうといひて人のくに
4のことにかAつらひいとなみなとしてしなさたまりたる中にも又きさみ
Ll
5きさみありてかのしなのけしうはあらぬえりいてつへきころをひ也6さまくのかんたちめよりも非参議の三四位ともの世のおほえくちおし
7からすもとのねさしいやしからぬかやすらかに身をもてなしふるまひたるは
8いとかはらかなりや家の内にたえぬ事なとはたなかめるまAにはふかすま
9はゆきまてもてかしつけるむすめなとのおとしめかたくおひ出るためし
固
1ともあまたあるぺし宮つかへに出たちて思かけぬさいはひとりいつる
2ためしともおほかりかしなといへはすへてたえむこそかきりなくめつらしくは
3おほえめいかてはたか﹀りけんと思ひよりたかへる事なんあやしく心とまるわさ
4かなち﹀のとしおひ物むつましけにふとりすきせうとのかほにくけにおもひ
5やりことなる事なきねやのうちにいといたく思ひあかりはかなくしいてたる
6わさもゆへなからすけにと見えたらんかたかとにてもいか﹀思のほかにおかし
7からさらんすくれてきすなきかたのえらひにこそをよはさらめさるかたにて
8すてかたき物をはとて式部を見やれは我いもうととものよろしき聞えある
9を思ひてのたまふにやとや心うらん物もいはすいてやかみのしなと思ふに
固
1たにかたけなるよをと君は御心のうちにおほすへししろき御そともの
2なよらかなるになをしはかりをしとけなくきなし給てひもなとも打すて>
3そひふし給へる御ほかけいとめてたくをんなにて見たてまつらほし此御ため
4にはかみかかみをえり出てもなをあくましくみえ給ふ此ついてにさまくの
5人のうへともをかたりあはせつ︑大かたの世につけて見るにはとかなきもわか
6物と打たのむへきをえらはむにおほかる中にもえなん思さたむまし
7かりけるをのこのおほやけにつかうまつりはかくしき世のかためとなるへき
8もまことのうつは物となるへきをとりいたさんにはかたかるへしかし
9されとかしこしとてもひとりふたり世中をまつりこちしるへきならねはかみは
固
1しもにたすけられしもはかみになひきてことひろきにゆつろふらん
2せはき家の内のあるしとすへき人ひとりを思めくらすにたAはてあし
3かるへきなんかたくおほかりけんとあれはかAりあふさきるさにてなのめ4もさてもありぬへき人のすくなきをすきくしき心のすさひにて人の
5ありさまをあまた見あはせんのこのみならねとひとへに思さたむへき
6よるへとすはかりにおなしくは我ちからいりをしなをしひきつくろふ
7へきところなく心にかなふやうもやとえりそめつる人のさたまりかたき
8なるへしかならすしも我思もかなはぬと見そめつる契りはかりを
9すてかたく思ひとまる人は物なめやかなりと見えさてたもたるA女の
団
1ためも心にく︑をしはからるA也されとなにか世のありさまを見たまへ
2あつむるまAに心にをよはすいとゆかしき事もなしや君たちのかみなき
3御えらひにはましていかはかりの人かはたくひたまはんところせく思ふ
4給へぬにたにかたちきたけなくわかやかなる程のをのかしAはちりも
5つかしと身をもてなし思ひてふみをかけとおほとかにことえりをしすみ
6つきほのかに心もとなくおもはせつ︑又さやかにも見てしかなとすへなく
7またせわつかこゑきくはかりいひよれといきのしたにひきいれことすく
◎oN
8なAるか心のうちをはいとよくもてかくすなりけりなよひやかにをんなし
9と見れはあまりなさけにひきこめられてとりなせはあためくこれ
固
−をはしめのなんとすへしとか中になのめなるましき人のうし
2ろ見のかたは物のあはれしりすくしはかなきついてのなさけありおか3しきにすAめるかたなくてもよかるへしと見えたるも又まめく
4しきすちをたてA見みはさめかちにひさうなき家とうしの
5ひとへに打とけたるうしろ見はかりをしてあさ夕の出入に
6つけてもおほやけわたくしの人のたptすまひよきあしき事の
7めにもみAにもとまるありさまをうとき人にわさとうちまねはん
8やはちかくてみん人のきAわき思しるへからんにかたりもあはせ
9はやと打もゑまれ涙もさしぐみもしはあやなき大やけはし
囲
−た︑しく心ひとつに思あまる事なとおほかるをなにAかは
2きかせんとおもへは打そむかれて人しれぬ思ひいてわらひも
3せられあはれともうちひとりこたる﹀に何事そなといとあは
4つかにさしあふきゐたらんはいかAはくちおしからさらんたAひた
5ふるにこめきてやはらかならん人をとかくひきつくろひては
6なとか見さらむ心もとなくともなをしところあるこAちすへし
7けにさしむかひて見ん程はさてもらうたきかたにつみゆるし
8見るへきをたちはなれてさるへき事をもいひやりおりふしに
9しいてんわさのあた事にもまめことにも我心と思ひうる事
固
−なくふかきいたりなからんはいとくちおしくたのもしけなきとかやな
2をくるしからんつねはすこしそはくしく心つきなき人のおりふしに
3つけて出はへするやうもありかしなとくまなき物いひも思ひさため
4かねていたく打なけくいまはた︑しなにもよらしかたちをはさらにも
5いはしいとくちおしくねちけかましきおほえたになくはたA
6ひとへに物まめやかにしつかなる心のおもむきならんよるへをそつゐの
7たのみところには思をくへかりけるあまりゆへよし心はへうちそへ
8たらんをはよろこひに思ひすこしをくれたるかたあらんをもあな
9かちにもとめくはへしうしろやすくのとけきところたにつよくは
團
−うはへのなさけはをのつからもてつけつへきわさをやえむに物はち
2してうらみいふへき事をも見もしらぬさまに思ひしのひてうはへは
3つれなくみさほつくり心ひとつに思あまる時はいはんかたなくてすご
4きことの葉あはれなるうたをよみをきしのはるへきかたみをとAめて
5ふかき山さとに世はなれたる海つらなとにはいかくれぬるおり
6わらはに侍し時女房なとの物かたりよみしをきAていとあはれに
7かなしく心ふかき事かなと涙をさへなんおとし侍しいまおもふには
8いとかるくしくことさらひたる事也こAうさしふかAらむおとこををきて
9見るめのまへにつらき事ありとも人の心をも見しらぬやうににけかくれ
團
6N
1て人をまとはし心をも見むとする程になかき世の物おもひになる
2いとあちきなき事也心ふかしやなとほめたてられてあはれすAみぬれ
3はやかてあまになりぬかし思たつ程はいとたけく心すめるやうにて
4よるへ見すへくもおほえすいてあなかなしかくはたおほしなりにける
5よなとやうにあひしれる人きとふらひひたすらにうしともおもひ
6はなれぬおとこき︑つけて涙おとせはつかう人ふるこたちなとなを
7君の御心はへあはれなりける物をあたら御身をなといふ身つからひたひ
8かみをかきさくりてあへなく心ほそけれは打ひそみぬかししのふれ9となみたこほれそめぬれはおりくことにえねんしえすくやしき
1事もおほかめるにほとけも中々こ﹀ろきたなしと見給つべし
2にこりにしめる程よりもなまうかひにてはかへりてあしきみちにも
3た﹀よひぬへくそおほゆるなをたえぬすくせあさからて
4あまにもなさてたつねとりたらんもやかてあひそひてとあらんおり
5もか﹀らむきさみをもすくしたらむ中こそ契ふかくあはれならめ我も
6人もうしろめたく心をかれしやは又なのめに思うつろふかたあらん
7ひとをうらみて気しきはみそむかんはたをこかましかり
8なん心はうつろふかたありとも見そめしこAうさしいとおかしく
9おもはしさるかたのよすかに思ひてもありぬへきにさやうならん
1たちろきにたえぬへきわさ也すへてようつの事なたら
2かにゑんすへき事をは見しれるさまにほのめかしにくからす
3かすめなさはそれにつけてあはれもまさりぬへしおほくは我心も
4見る人からおさまりもすへしあまりむけに打ゆるす人見はなち
5たるも心やすくらうたきやうなれとをのつからかろきかたにそ
6おほえ侍かしつなかぬ舟のうきたるためしもけにあやなさは侍ら
7ぬかといへは中将うなつくさしあたりておかしともあはれとも
8心にいらむ人のためたのもしけなきうたかひあらんこそ大事なる
9へけれわか心のあやまちなくて見すくさはさしなをりても
1なとか見さらんとおほえたれとそれさしもえあらしともかくもたかう
2へきふしあらむをのとやかに見しのはんよりほかにます事あるまし
3かりけりといひてわかいもうとのひめ君は此さためにかなひ給へりと4おもへは君の打ねふりてことはませたまはぬをさうくしく心やましと
5思ふむまのかみ物さためのはかせになりてひAらきゐたり中将は
6此ことはり聞はてんと心にいれてあへしらひゐ給へりようつの事に
7よそへておほせしらすかほかにもてなしいはまほしからん事をも
8きのみちのたくみのようつの物を心にまかせてつくりいたすもりう
9しのもてあそひ物のその物とあともたまらぬはそはつきされはみ
1たるもけにかうもしつへかりけりと時につけつ︑さまをかへて
2いかめしきにめうつりておかしきもあり大事としてまことにうる
3はしき人のてうとのかさりとするさたまれるやうある物をなん
oS
4なくし出る事なんなをまとの物の上すはさまことに見えわかれ侍5又ゑところに上すおほかれとすみかきにえらはれてつきくにさらに
6をとりまさるけちめふとしも見えわかれすかAれと人の見をよはぬ
7ほうらひの山あら海のいかれるいをのすかたからくにのはおかしき
8けたもの︑かたち目に見えぬおにのかほなとのおとろくしくつく
9りたる物は心まかせて一きはめおとろかしてしちには似さらめと
−さてありぬへしよのつねの山のたAすまひ水のなかれめにちか
2き人の家ゐありさまなと見えなつかしやはらひたるかたなとをしつか
3にかきませてすくよかならぬ山のけしきこふかく世はなれてたA
4みなし気ちかきまかきのうちをはその心しらひをきてなとをなん上す
5はいといきをひことにわろ物はをよはぬさころおほかめる手をかき
6たるにもふかき事はなくてこAかしこのてんなかにはしりかきそこ7はかとなくけしきはめるは打見るにかとくしく気しきたちたれと
8なをまことのすちをこまやかにかきえたるはうはへの筆きえてみゆ
9れといま一たひとりならへて見れはなをしちになんよりけるはかなき事
−たにかくこそ侍れまして人の心の時にあたりてけしきはめらん
2見るめのなさけをはえたのむましく思ふ給へて侍るそのはしめの事
3すきくしくとも聞え申侍らんとてちかくゐよれは君も目さまし給ふ中将
4はたいみしくしんしてつらつえをつきてむかひ給へりのりのしの世のこと
5はりときAかせんところのこA地するもかつはおかしけれとかAるついてに6をのくむつこともえしのひとAめすなんありけるはやうまたいとけ
7らうにて侍し時あはれと思ふ人侍り聞えさせつるやうにかたちなと
8いとまほにも侍らさりしかはわかき程のすちこAちには此人を9とまりとも思と・め侍らす是をよるへとは思ひなからさうくしくて
−とかくまきれありき侍しを物えんしをいたくし侍しかは心つきなく
2いとかAらてをひらかならましかはと思つ︑あまりいとゆるしなくうたかひ
3侍しもうるさくてかく数ならぬ身をも見はなたてなとかくしも思ふらん4と心くるしきおりくも侍りてしねんに心おさめらるAやうになん侍し此
5をんなのあるやうもとより思いたらさりける事にもいかて此人のために
6はとなきてをいたしをくれたるすちの心をもなをくちおしくは見え
7しと思はけみつ︑とにかくにつけて物まめやかにうしろ見露まても
8心にたかう事はなくもかなとおもへりし程にすAめるかたの一と思ひ
9しかととかくになひきAてなよひすき見にくきかたちをも此人に見や
−うとまんとわりなく思ひつくろひうとき人に見えはおもてふせにや
2おもはむとはAかりはちてみさほにもてつけてみなるptまAにごAろ3もけしうはあらす侍しかとたA&JVきかたひとつなんおさめす
4侍しそのかみ思侍しやうは我にはかうあなかちにしたかひおち
5たる人なめりいかてこるはかりのわさしておとして此かたもすこし
6よろしくもなりさかなさもやめんと思ひてまことにうしなとも思ひ
L£
7てたえぬへきけしきならはかはかり我にしたかう心ならはおもひ
8こりなんと思ひ給へてことさらになさけなくつれなきさまをみせて
9れいのはらたちえんするにかくをそましくはいみしき契ふかく
1ともたえて又見しかきりとおもはAかくわりなき物うたかひはせよゆく
2さきなかく見えむとおもはAつらき事ありともねんしてなのめに思なりて
3かAる心たにうせなはいとあはれとなん思ふへき人なみくにもなりす
4こしおとなひんにそへて又ならふ人なくあるへきなとかしこくをしへたつ
5るかなと思給へて我たけくいひめんし侍に此女すこしわらひてよ
6うつに見たてなく物けなき程を見すくして人数なる世もやと
7まつかたはいとのとやかに思なされて心やましくもあらすつらき心を
8しのひて思なをらんおりを見つけん年月をかさねんあひなたの
9みはいとくるしくなんあるへけれはうらみにそむきぬへききさみに
1なんあるとねたけにいふにはらた︑しくなりてにくけなる事ともを
2いひはけまし侍に女もれいのえおさめぬすちにてをよひひとつを
3ひきよせてくひて侍しをおとろくしくかこちてかうきすさへ
4つきぬれはいよくましらひをすへきにもあらすはつかしめ給ふめるつかさ
5くらゐいと︑しくなにAつけてかは人かめむ世をそむきぬへき身なめり
6なといひおとしてさらはけふこそはかきりなめれとこのをよひをかAめて
7まかてぬ
8 手をおりてあひ見しことをかそふれはこれひとつやは
9きみかうきふしえうらみしなといひ侍れはさすかに打なきて
1 うきふしをこAろひとつにかそへつ︑こや君かてを
2わかるへきおりなといひしろひ侍しかとまことにかはるへき事とも
3思たまへすなから日ころふるまてせうそこもつかはさすあくかれまかり
4ありくにりんしのまつりのてうかくに夜ふけていみしうみそれふる
5夜これかれまかりあかるAところにて思ひめくらせはなを家ちとおも
6はんかたは又なかりけり内わたりのたひねすさましかるへく気しき
7はめるあたりはそAうさむくやと思給へられしかはいかAおもへるとけしきも
8見かてら雪を打はらひつ︑まかてAなま人わろくつめくはるれとさり
9ともこよひ日ころのうらみはとけなんと思たまへしに火ほのかにかへに
−そむけなへたるきぬとものあつこへたるおほひなるこに打かけてひき
2あくへき物のかたひらなとうちあけてこよひはかりやとまちけるさま也
3されはよと心おこりするにさうしみはなしさるへきねうはうはかりと
4まりておやの家にこのよさりなんわたりぬるとこたへ侍りえんなるうた
5もよます気しきはめるせうそこもいとひたやこもりになさけなかり
6しかはあへなきこAちしてさかなくゆるしなかりしも我をうとみねと思ふ
7かたの心やありけんとさしも見給へさりし事なれと心やましきま﹀に思ひ
8侍しにきるへき物つねよりも心とAめたる色あひしさまいとあらま
9ほしくてさすかに我見すてAむ後をさへなん思ひやりうしろみたりし