歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題
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(2) 64 第82号 専修国文. [内容]. 「江戸時代前期」。. 「田村の草子」流布本系の内容。彰考館蔵古活字本. 所蔵館の展示目録によると. に近い本文を持っている。 [成立年代]. 臨川書店)0. (「和・洋古書善本. 鑑定は徳田和夫氏によると言う。博物館以前に所蔵していた臨. 第六号. 「寛文延宝頃写」とある. 二〇〇三年春期特集. 川書店の目録には 特選目録」. (末尾に. 「草も木も. いづ‑か鬼の住処なるべき」という歌を. 等の比較的小さな異同がほとんどである 我が大君の国なれば. 「田村の草. 載せるか否かという大きい異同もあるが'これは後に書き込ま れた可能性もある)。. 現段階では諸本研究が進んでいるとは言えない. 子」ではあるが'横山重民によると流布本の系統の成立関係は. (流布本). と説明できるという (﹃室町時代物語大成九﹄ 横山垂'松本隆. 彰考館古活字本1天理大古活字本1整版本. 三年) によると'この寸法の絵本は室町時代‑江戸初期'江戸. 信編. 石川透氏の ﹃奈良絵本・絵巻の生成﹄ (三弥井書店 二〇〇. 前期にかけて大量に制作された物であるという。また'この本. 学蔵本 (以下台湾大本) の本文から. 本). 彰考館古活字本1台湾大本1天理大古活字本1整版本. た. (流布. 角川書店一九八一年)。さらに宮尾輿男氏は'台湾大. の筆跡は ﹃太平記絵巻﹄ と同筆であるとされている。. 「田村の草子」諸本成立順について 「田村の草子」諸本を、大き‑鈴鹿系(鈴鹿御前と田村丸が. という順で成立したとしている. これに合わせて松本隆信氏の諸本分類目録を見ると'彰考館. (﹃台湾大学国書資料集一. 戟いを経て婚姻し'共に鬼退治をする内容。慶庵義塾大学図書. むらのさうし︽翻刻・校合編︾﹄一九七六年)0. 共に鬼退治をする内容。. 館蔵「鈴鹿の草子」等'古写本の系統) と田村系 (田村丸の元 に天女の鈴鹿御前が天下って婚姻Lt. 苗活字本と台湾大本はともに流布本系を表す「七」. 「イ」. 絵巻'奈良絵本'版本等多数残存している。流布本の系統). (イロハは小異を表す) に分類されている ( 「室町時代物語類. の. 二つに分けた場合'田村系の諸本においては'鈴鹿系統の諸本. 現存本簡明目録」 ﹃御伽草子の世界﹄ 三省堂一九八二年)。天. の. 間のような'筋や場面の大きな異同は無‑'語句の追加へ脱落.
(3) 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 65. 大古活字本が本文の変化の分かれ目であることが分かる。. 理大古活字本と以降の整版本は「ロ」に分類されており、天理. 一改行は原本の行取りに従った。. ‑261). 1. ︻ 翻 刻 ︼. (整理番号. と. し. し. け. (絵. F‑320. で示し'丁数と表・裏の別を示した。. を翻刻した。. 」. ん. ‑. 一虫損で判読できない箇所は口で示した。. ①上)と示し'該当箇所に挿入した。. 一絵の箇所には'例えば上巻の1枚目の絵という意味で. 一改丁は. 国立歴史民俗博物館蔵﹃田むら﹄. 歴博本の「田村の草子」藷本間の位置について それでは'歴博本はこれらの中のどこに位置付けられるかと. の「イ」に分類することができる。. いうと'本文に小異はあるものの'彰考館古活字本や台湾大本 に近‑'「七」. 歴博本を含め「田村の草子」諸本の関係について、現段階で 言える事はこれくらいではないだろうか。. (表紙) ︹田むら 上︺ (貼題答). 上巻. 1台湾大本. (見返し). 彰考館古活字本1天理大古活字本1整版本諸本(流布本). 1スペンサー本. く. 日本はしまりて天神七代地神五代は. う. 1歴博本. や. さてをきぬ人王の御代となりてたひ. としすけ. の将軍家をつかせ給ふ中にも俊重しやうくん. し. これから先に踏み込むには'「イ」系統内でのより詳細な校 合がなされる必要があるだろう。. の御子に俊祐しやうくんと申奉るは春は花. のもとにて日をくらし秋は月のまへにて夜を. ︻付記︼本稿を成すにあたり'閲覧を許可された国立歴史民俗 博物館'ご教示を賜りました石黒善次郎先生'板坂則子先生に. あかししいかくはんけんに心をかけいろをこ. のみしゆえんらんふをむねとしておはし. 謹んでお礼を申し上げます。. ︻ 凡 例 ︼.
(4) 66 第82号 専修国文. けるされとも御心にかなふみたい所ましまさ. ほそあはれなるかゝりける所にいつくより. のかけもわひしきむしのこゑおりし‑か. なる. よふ月にうちむかひよむことのはそあはれ. すして十六の御としよ‑五十におよは. 1表. きたるともしらすいとうつくしき女のいさ 」. せ給ふまて四百六十四人そを‑り給ふされ. は御子1人もましまさすとしすけおほし. めしけるは五十にかたむきたとひ七十世の. てとしすけかほたいをたれかとふらひ申へ. なん後あとにとゝまり三ほうをくやうし. のことしわれ一人の子なくしていかにも成. たるもかくやとおもひけるに. 春風になひきふやうの‑れなゐの雨をおひ. かくとも筆にもおよひかたし柳のいとの. とつらねてうちしほれたるあ‑さまゑに. 草むらにな‑むしのねをき‑からに. さかゝるてんしやのすまゐなれはこそ心に. つきしたかふ. よわひをたもっともいま廿余年の春秋. かなふふさゐもなけれみやこへのはりた. 一人 と. 人もなくたゝ. たまひて五条あたりにすませ給ふみかと此. ほれ. ‑. つねはやとおほしめしいそきしやうら‑し. いとゝおもひのまきりこそすれ. 1裏. いくはとかあらん過にしかたをおもへはたゝ夢. 」. たち. よしゑいらんまし‑1みやこをしゆこせんため. の上らくとおほし召御かんなのめならす. 給ふ (絵①上). かくて秋もくれゆ‑にさかのゝかたへ御ゆふ らんに出たまへは野山のいろもまきり草. 」. 2表.
(5) 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 67. おほしめしか‑よみ給ふ. 何ほとのことのあるへきそかたらひゆかはやと. しいかなるまゑんのへんけにてあれはとて. きかたをしら‑ものたちまよひ給ひけるかよ. ほおもへともいろにひかる⁚Jゝろなれは行へ. とはからふらんとこ、ろつよ‑たちさるへ‑. こはいかにてんまきしんのわれをたはからん. をなしたまへとも御子といふをよろこひ. とのたまひけれはとしすけきいのおもひ. もつて二年かうちにつ‑りいたすへし. はしらをたてゝ四百八十人のはんしやうを. さん屋のたかさは三十六しやう百八十本の. 三年といはん正月にたんしやうなるへし. れけるはいまた十つきにてはあるへからす. ておはせのこと‑三十六しやうのろうもん. 事こそうれしけれとていよくかしっ. 成まて子といふものなかりつるにかゝる. によろこひ給ひてわれすてに五十に. なくくわいにんしたまふとしすけおはき. りたまひひよくのちきりをなし給ふほと. くはうみやうかくやくとして日月のことし. 大木の松三ほんさかさ七はんおひ出たり. て七日めにたちのそきたまへはうちには. 事千とせをふるこ、ちしけれはまちかね. うもんのうちへいり給ふ将軍今一日またん. す八日にならはかならす参るへしとてろ. やにいりて七日よりうちにひとかよふへから. 屋に入たまふとき殿にむかひわれさん. あはれなりなれもひとまつむしのこゑ. とうちなかめつ、たもとにすかりたまへは. をそくみあけ、るさるはとにみたいさん. 3裏. おなしおもひかいさ‑らへなん. 」. きたまふかくて月日かさなるま、に御. いかなる事やらんとあやし‑おもひて見. いはきならぬさまにておなしくるまにてかへ. さんのよういありけれは女はうおはせら. 」 4表. 」 4嚢.
(6) 68 第82号 専修国文. をいたしてねふりあひしてこそ. うつくしき子をのせてくれなゐのした. たつのつのゝあひたに三さいはかりなる. たまふに百ひろあま‑の大しやなるかふ. うふるへしわれはますたか池の大しやな‑. 七才のとしみかとより大事のせんしをか. へし若きみ三才のとし俊祐し、給ふへし. へしこのわかきみをはにち‑う丸と申. いもせのかたらひをなしつるなりいA]ま申. しよてんせんしのおはせにしたかひかりに 」5表. あそひ けれ. のきならはやきうちにせんなとおほし. えねいかさま天まの人かはりたるらんそ. めしけるはかゝるおそろしき事こそおは. 日月と見えつるはまなこ也としすけおほし. むまれ給ふわかきみになんちかはゝはいつ‑. にむせひたち給ふあまりのなつかしさに. き事たとへんかたもな‑てたゝなみた. も三とせかあひたなれし名こりのおし. かやうにおそろしき大しやとはしり給へと. てさらはとてかきけすやうにうせにけり. めしわつらひ給ふに八日と申にありしすか. へ行ぬるそとのたまへは天にむかふてあ. 5裏. たにていつくしきわか君をいたきまいらせ. れ‑1とはかりそいひけるかくて年月を. 」. てろうもんよりおり給ひておほせけるは. すきゆ‑はとに日‑うとの三才と申せし. (絵②上). 七日をす‑して御らんさふらはゝ日本の. 時としすけはかな‑ならせ給ひけりも. たるわかれのかなしさ申はか‑なし日. あるしとなし奉るへしとおもひつれ共わか. 6表. とよりこしたることなれともさしあたり 」. ほんたいを御らんしたるあひたかなはす されとも天下の大しやう‑んとなし奉り候. 」. 6裏.
(7) 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 69. みの囲みなれ川といふ所にくらみつくらへの. けるはとに七さいと申にせんしくたりあふ. りうとのもなけきなから日かすををくり. さはるかたなし五百よきの軍兵をそ. りうとの弓をしはりひき給ふに少も. にしんつうのかふら央とりそへて奉る日. ろへてみなれ川へそ. 又七さいにてかやうのせんしをかふふるこ. 母にわかれて三才と中にちゝにをくれ. けるうき世かなむまれて十日にたらて. なみたをなかしのたまひけるはうらめしかり. ほろほして参らせよとのせんし也日りう. すとてふちのはたへたちより大をんあけて. はかりこと也かまへてみな‑1日をかくへから. たまへ人々われをたはからんためかやうの. くなかれけり日りうおはせけるはこれみ. らんしけれはれうらきんしうたくひおほ. かの所へつきたまひてふちのあたりを御. 7表. すけとて二つの大しや有むかしよりにし」. とよとおはせられけれは御めのと申け. いかに此ところの大しやたしかにさけわれは. (絵③上). るはきみの御ちゝは五才にてゑちせん. みもすそ川のなかれあまつひこねの御す. とこそうけたまはれ君はすてに七さい. 仕へしとのたまへは川なみたかくたちあか. これまてむかふたりいそき出てたいめん. ゑ十善のきみのおほせにしたかひ日りう. の園けいの津にて長さ六ちゃうのしやを. せきたえてかよひちなしいそきかれを. 下られける. 7裏. ひかしへとをるものをとりくらふあひたしん. 」. に成たまへはなにのしきゐの候へきこれ. り風すさましくふきけれは五百余さの. いたかせ給ひぬされは万民したをふ‑ける. はせんその御たからとてしけたうの弓. 」. 」. 」. 9表. 8裏. 8表.
(8) 70 第82号 専修国文 めくりて年月ををくりけるはとに七歳. へすして月りう一人川のみきはをかけ. なれはいかにしてかほろはさんともわきま. はらりとしゝたりけりめに見えぬかたき. くんひやうみつのあはのきゆることくに1とに. ゆみしんつうのかふら夫にて. て日‑うすこしもさはかすつのゝつき. そなりけるされとも備神の御たすけに. けれは山も川も一度にねつてつのうみと. になさんとて口よりくわゑんをふきいたし. 敵をなさん事およひかたしいて‑〜みちん. てき. より十三のとしまてこゝろをつ‑しけ. さん. 三豊かあひたしらかはらとなりて百ひろは. 給ふみかとえいらんまし. やかてくひをつらぬきいそき都へのはり. にいたまへは. るかあまりのことに傭神にいのりけるは. たちまち. けり. ほろひ. ‑. 日本のあるし十せんの君のせんしにて. 9裏. 大しや 」. 候ねかは‑はこの川の水上をとゝめ水をほ. し大しやのかたちをみせ給へとかんたんを くたきてねんしけれはまことに仏神のめ. かりなる大しや二つあらほれて日りうに. をうけとしひと将軍とそ申けるかくて. (絵④上). 申けるはなんちしらすやわれは汝かためには. としひと十七の御ときあるゆふ‑れのつれ. くみをたれ給ふにや水上よりよこきりて. おちなりなんちか母ますたか池の大しやは. ︿にかすみのうちにかりの1 つら行を見. て将軍のせんし. 我ためにはいもうと也われ此川にすむ事. たまひておほしめしけるはそらをかける. ‑. 二千五百年なんちわつか十三にてわれに. 」 1 0表.
(9) 71歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題. よしある人もかないひよ‑てかたらふへしと. まてつまといふものゝなきこそきくわいなれ. つはさまてふうふのかたらひをなす我十七. なき御こゝろにて手にもとり給はてかほ. り将軍の御ふみまいらせけれはいわけ. ねとてひめ君のめのとありけるにいひよ. とあそはしてつかはされけれほ少将のつは. なるをかせのたよりにきゝそめたまひ. きみてる日の御前と申て天下一の美人. ‑てはかなふましとてせめ奉れ共ひきか. 文なるにともかくも一筆の御返事な. 御すゝりもて参り天下の大しやうくんの御. うちあかめておはしけるに少将のつはね. てわくるかたなき御物おもひのあさからき. つき御いらへもなしめのと心うくおもひ母う. 1裏. りしをめとのさこんのすけいさめまいら. へにこのよししか. 1. せけれはいとはつかしき事なからか‑て. おさあひ人のこゝろこそうらめしけれよそに. 」. おほしめしけるにそのころてんかに時めき. たまふほり川の中納言たかとをのひめ. おもひしつまんもつみふかくこそとてあり. きく事ならはいかはかりうらやむへきそ. ひしん. のまゝにかたり給へはさこんのすけより. やいそき‑1御へんしとせめたまへはちか. 申けれはまことに. かけうけたまはりそれかしはり川殿にい. らなくをきなをり給ひてかたはらにう. とかきてひきむすひてをき給ふを少将と. あひみてのちはかはるならひに. いかにして人のことはをたのむへさ. ‑. ひよるへきってこそはんへれまつ御ふみをつ. ちむかひてもみちかさねのうすやうに 」 1 2表. かはして御らんさふらへと申けれはなのめな らすおほしめしみとりのうすやうに. ったへきく風のたよりのわすられて おもひきえなんことそかなしき. 」 1 2裏.
(10) 72 第82号 専修国文. ‑てさこんの助かもとへつかはしけれはより. ひとこそたゝいまるにんとな‑て東園に. くたるなれみなれかはにてころせし大しや. とものこんはくあらはみやこにのはり心のま. 3表. まいらせけれはとしひとうれし‑もこひ. まにせよといひすてゝくたり給ふさるはと. 1. のやみちのみちしるへせしものかなとて. にそのころみやこのあたりにて人おは‑うせ. 」. さこんのしやう. てゆきかたしらすなりにけり日のくるれ. かけよろこひやかてしやうくんへ御へんしとて. けんにそ. はもんこをとちてこゑをたつる事もなし. ひるはゆきかふみちたえてあさちかはらと. の御ちきりあさからきりしにみかと此よし. かへしたまはすはしつまるましきよしそ. てかんかへさせ給ふにとしひとしやうくんをめし. 日義. きこしめし御うたあはせにことよせてめし. うもん申けれはやかてしやめんのりんしくた. 」. そなりにけるそのころみかとにはさまく. あけられそれよ‑返したまはすして. りふたゝひきらくしたまひてまたせたの. 14表. としひとをは伊豆の園へなかさせ給ふとしひ. はしをとをるとてとしひとこそしやめんの. 」. なされ. ける (絵⑤上). と口をしくおもひなからちからなくをんる. りんしくたりふたゝひきらくするなり大しや. の御きたう其ほかてんもんはかせにおはせ. のみちにおもむき給ふこゝろのはとこそあ. ともみやこあたりにかなふましとて其日都. ‑. はれなれさるはとにあふみの‑にせたのはし. につきたまふにらく申しつかになり万. さてこの後たひ′‑,御文かさなりしのひ. をわたるとてはしいたあらくふみならしとし. 」 1 4裏. 」 1 5表.
(11) 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 73. あるときとしひとさんたいおはしけるに. み二人いてき給ひていつきかしつき給ふ. ちきりをなしたまひけれはほとなくひめき. てやかててる日のまへを下されてひよくの. 民よろこひのいろをなすみかと御かんまし‑㌔. したかふほとの人なるにこのほとてふあひ. 夫のはまれ世にすくれおにかみもおそれ. まことにふしきなれとしひとしやうくんは弓. てんまのわさはひ有といひつたへけるこそ. 長久なりしかれともまんしんのこ、ろあれは. よLLやうくんへ申つかはしけれはいそき. ててるひのまへをてんにふきあけたりこの. しひとの御やかたにつちかせあらく吹おち. りけるをちゃうもんしておはしける間にと. はあとなるものゝいはくそれはさる事な. かへさすしてはいけるかひもなき事よといへ. わらはもまことにうみ山をさかしてもとり. かひなき事よとてわらひけれは中なる. むとなりあれほとのふしやうとしていひ. のつまをつち風にとられてなけきかなし. わかやにかへりこはいかなる事やらんとな. れとも行ゑをしらすはいか、せんきりな. tq裏. けさかなしみ給へともかひもなしあま‑の. からとしひとはとのものか天くともを. 」. かなしさにせめては夢に成ともいま1たひ. とらへてとふならはおそれてありところ. おりふしたいりにはくはんけんの御ゆふあ. 見まいらせはやとてすこしまとろみ給へはと. 人もなし. あたりをみれは. いふへきものをとてわらひける. 6表. しのほと十二三はかりのわらは三人つれ. 1. 其こゑに夢はさめて 」. てゆきけるかさきなるわらはのいひけるそ. れ日本はそくさんへんちの小国たりといへ とも神国たるゆへに人の心すなはにして. 」 1 6一義. 」 1 7表.
(12) 74 第82号 専修国文. におはしますか天下大将軍俊仁これま. あたこさんにのはりきゃう‑はう坊はうち. くおもひ八まん大菩薩にきせい申まつ. さてはふっしんの御つけそとありかた. にうせけれはいそきかへり見たまふに申つる. く御たつねあれといひすてゝかきけすやう. 木のあるへしこれこそをしへ申へし‑わし. しこれより御かへり候はんするみちにふし. すひかし山の三郎房かかたにも侯はす候たゝ. よらぬことを承候てしともの中にも候は. て参りた‑とおはせけれはせつなかあ. ことく谷川にうちわたして大なるふしき. E]裏. ひたにくうてんろうかくたまのうてなに. のはしありたちよりあらけなくふみならし. 」. いたるまていま,てありともみえさるかいて. いかになんちに物とはんとおはせけれはしはら‑. (絵⑥上). きたりや、ありて八十あまりなる老僧. あってこの木うこくかとみえてかしら出き. ほさつ. てしともに手をひかれてよろほひ出て何の. くひを三けんはかりもちあけて人に物とふ. としひと. 御ようにて御出候とてひきのうへまてかゝ. それかし女にて候ものをこのほとうしなひ. としひとこれまて参事よの義にあらす. なそれはこのへんにはあるへからすむつの国. ゆるそわとのは女をうしなふてたつぬるよ. ちか母はわかためにはいもうとなれはをし. とてさる事やあるをしへじとおもへともなん. て侯さためてしろしめすへし御弟子の中. たか山のあくるわふといふおにかとりたる也. 18表. にも候ならはかへしたひ候へなにさま行. はんふのちからにてはかなひかたしくらま. 」. ゑを御存侯へしをしへてたまはれとおは. の大ひたもんてんの御ちからをたのみ奉り. りたるまふたを弟子にひきあけさせける. せけれはさやうくはう坊き、てこれはおもひも. 」 1 8裏. 」 1 9表.
(13) しやしんのおもひつきせす我ためにせんこ. かれて成仏せ‑我はいまたこういんふか‑して. なりしかかりに人かいにむまれたるゑんにひ. をやめよかし御身かは、ますたか池のぬし. てかのきしんをしたかへしよにんのうれひ. のそこまてなりともありかとたにもきかは. 河内判官かくのことくの人々はたとひちいろ. きみ三修の中納言殿北の御かたみの、せんし. 人かすをしらす中にも二候大将殿御ひめ. 囲へそ‑た‑給ふそのころさいしをうしなふ. しやうしゆありかたくおもひていそきむつの. 人もありおもひ. けなんちこのたちをもちきしんをやす‑\. にかつちうをたいしてきちゃうをうちあ. もりたまひけるかまんするとらの1てん. にかくるなるこなはひかるゝ心あさからて一. 七月下しゆんの事なるにしっのめのわき田. のこはりたむらの郷につきたまふころは. さるはとに日かすつもりてむつの囲はつせ. の出たちはなやかに. とほろはすへしとの給ひないしんへ入給ふ. 夜のなさけをかけたまひてもしわすれ. ‑. あるひはらうとうをくたし又はみつから下る. かわちはうくはん. むをなLLやたうのくるしひをたすけた. たつねんとおほしめすおりふしなれは. 9義. まへといふことは、のこりかたちはきえてうせ. 1. こそみえたり. 」. のそうに引たまへはそのく‑きにてやか. けれ. としひとうちをとろきてみれはまくらに. かたみもあるならはこれをしるしにたつ. (絵⑦上). つるきをたてゝありけりさてはしよくはん. けりかくてとしひとはくらまへ参り三七日こ. てしやうふっしてふしきの事ともおはかり. 一まんふのほけきゃうをよみ千石千貫を千人. 、たりけりとしひとあはれにおほしめし. 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 75. 」 2 0表.
(14) 76 第82号 専修国文. ねこよとて上さしのかふら央一たまはりて 申けれ. たると. (絵⑧上). ・ま. たち出給ふさるほとにかのあくるわうかしや うくわくにをしよせこまかけよせ見たま. へはあかゝねのついちをつきまはしてく. のそと、ひ給へはこれはみのゝせんしかむす. せひ門外にたゝすみたるをおのれはなにも. をんなわらはのうちしほれてなみたにむ. りて見れはとしのほと十五六はかりなる. かためたりひかしおもての門前にしのひよ. にのりいらんとし給へとも門のうちへはいら. むそく共をはいれ候と申けれはかのりう. のこまに乗てうちへ人もんをひらきてけ. としているとおはせけれはあれに候りう. まいりたると申さて此もんのうちへはなに. あるかと、ひ給ふこのほとゑちせんのかたへ. としひと心もとなくおほしめしおにはうちに. めにてさふらふか十三にてこの所にとらは. すして北のかたへ行としひとつるきをぬき. 型暴. れ三とせかあひたもんまもりの女とさため. なんち命をしくはうちへいるへしきなくは. 」. られて侯とてさめ‑1となくとしひときゝ. たちまちいのちをと、むへしとの給へはおそ. ろかねのもんを四方にたてはんをきひしく. たまひてせんしもきたりたるそみやこへ. れてうちへそ人にけるさてかのもんをひら. かんとすれは大はんしゃく共をかさねたるこ. ‑して行へしとてまつみたい所の御車を 22表. とくにてすこしもゆるかす其時くらまの. 」. 二三日いせんまては. かたをふしおかみねかはくは御ちからをそ. とひ給ふにくはしくはしりさふらはすたゝし. 御こゑのきこえ. 」 23裏.
(15) 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 77. へてたひ給へとねんしたまへはひらき. 中巻 中︺. (貼題答). としひといよく心もとなくおほしめし. ︹田むら. 条殿の北のかたととしひとのみたい所はおはし. みたいのあり所をたつねられけれはきのふ. (表紙). まさすいかになりゆき給ふそと御たつね. まてこれよりお‑に御きゃうのこゑ聞えつる. けりやかてうちへいり見給ふに女のこゑあま. ありけれは中納言殿きたのかたは二三日さき. かなにとならせ給ふやらんしらすといふお. この比むなしくなりたまふ事のかなし. あさましや三とせのはときへなからへてけふ. かひなきくひにいたさつきこれは夢かや. きたのかたおはせけるはなにとしてこれま. はていかにくとはかりなりやゝありて. おはしましけるか御日見あはせてあきれ. けみたまへはかすかなる所にをしこめられて. ほっなくおほしめしておは‑の戸をあ. におにのゑしきと成給ひぬとて‑びは. (見返し). 24表. たしてなきけるたちよりみたまふに三. 」. さよとて. ては御入候そやまつこんしやうにてみ、へぬる. かりとりいたしみせけれはちうなこんとのは. ふしまろひてそ. なるへきなりた、一すちにこせほたい. こそうれしけれ我あすほおにのゑしきと 堅異. なき 」. をたのみ奉るへしおにのかへらぬ. 給ふ (裏見返し). さきにと‑. 御かへり. (裏表紙). あれとて. ‑. (上巻終わり). 」‑秦.
(16) 78 第82号 専修国文. なみたに. きしにしてあり又あま法師のくひを. かけならへたりかれを見これをみるにお. 二三百しゆすのこと‑つなきのきの下に 」‑裏. むせひ たまふ. 雨ふり七里のうちよりおにのこゑ聞え侯. とうらいてんおひたゝしくしやちくの. たまへは‑まなき空もかき‑ち‑しん. おにともかへる時にはしるしあるやらんと、ひ. こそおもひつるにいかてかかへり候へきさて. としひとこれまて参るもおなしみちにと. すになにものなれはきたるそた、手な. やとちかくなれは門まもりの女はなきか我る. はおにのかへるをまち給ふあ‑るわう我. た、いきたるちからはなかりけりとしひと. おにのこゑ山をくつすことしのこりの人々は. なりしんとうしてひかりものとひちかひ. しこくうつれはにはかに空かきくもりかみ. そろしとも中‑〜申はをろかなりか‑て. とそのたまひけるさてなんときにかへり. かけそにらみころせとて千八百のまなこ. 2表. 候はんするそ明日のむまの刻にかへらん. のひかりはくわゑんのとふこと‑なりされと. 」. と申つるとおはせられけれはその間にお. もとしひとのかうへのうへには日月あま‑た. (絵①中). にとものすみかみんとてのこりの人々かたら. り給ひてとしひとのまなこと成てにら. みたまへはおにともにらみまけてちの. 2裏. おはくならへをきたり見れはあまたの人を. なみたをなかしけるそのときたもんてん. 」. とりてすしにてをきけるまたかたは. よりたまはりたるつるきをなけたまへは. ひこゝかしこ御らんすれは大なるおけとも. らをみれは十四五のちこかつしきを‑し. 」. 3表.
(17) 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 79. おにのくひはみなことくくをちたりけり (絵②中). ‑. のふる. 残りの人々ちからつきとしひとをふしおか み給ふさてとられたる男女おもひ. さとへをく‑かへされけるはんみんのよろこ. 」. 」 4表. 3裏. なれとありのまゝにかたりくたんの. きしんをしたかへ給ひつるとしひとしやうくん. かふらやとりいたし. みせけれ ‑ま. りかくてしやうくんはおもひのま、にきしん. 納言殿御なけきおもひやられてあはれな. 目につき三日にみや二につき将軍の御門の. せんとて廿日あまりのみちなれ共よを. 其義ならはみやこにのほり父にたいめん. (絵③中). をしたかへ給ひてみやこにのはり年月を. まへにやすらふおりふしとしひとまりをあ. ふ事かきりなしこれにつけても三条中. を‑り給ふはとにむつの園にて一夜のなさ. そはしけるかか、りの外へきれけるをふせ. りてもとのこと‑けこまれたりとしひと御. けをかけたまふしっのめのはらになんし. 4裏. りとのさらりとなかしおもひのま、けめく 」. 一人出きたり名をふせり殿と申この子五才 のとしよ‑あたりの山寺にてかくもんせき. かさままりはす‑れたりとおほしめしいかな. らんしてなにものそとゝひ給へともこたへすい. のとしつ‑. るものやとおほせけれとも返事にもおよはす. せけるに一を十とさとり給ひさて十さい. てうるゐちくるいまてもち、はゝありわか. こしよりもかふら矢ぬきいたLLやうくんの御ま. あんしけるは人けんのみならす. ち、はいつくにあるそと母にとひけれはは、. へにをかれたりとしひとこれを御らんして. ‑. なみたをなかしなんちかちゝこそは当園の. 」. 6表.
(18) 80 第82号 専修国文. すくれ御ちからはいかはとあるともかきり. めて田村丸とそ申けるきりやうこつから人に. ま. かうなりそのうへ神園として弓矢のはかり. さんの少囲なれとも人のちゑふかふしてこゝろ. くんこの園をしたかへんとて参る也日本はそ‑. かせらる、にはかせかんかへていはく日本のしやう. わたれは人みなおとろききはきれいもんをひ. なしやかて御けんふくあ‑ていなせの五郎. ことをえたりいかてかほんふのちからにてふ. さてはわか子なりとうれし‑おほしめしさ. 坂上のとしむねと申けるさるはとにとしひ. せ‑へしふつりきならてはたのむかたなし. の御もてなしにてまつ御名をあらた. と五十五の御時つ‑‑1おほしめしけるは. とてけいくわ和尚百千まんのふどうみやう王. ‑. それ日本ははっかの囲なりたうとにわたり. すゑにうつたち給ふかそれかしはとのものか. きうちのりしんつうのものゝたいして二月の. としひとよろこひ三千そうの船に五十まん. ととむるにおよはすとおほせいたされける. もん申たれけれはまことにおもひたちたる事. のひかりをはなつてふりたまふとしひとも. はんてうにかへるへしとてこうまのりけん. 大国をしたかへん事おもひもよらすいそさ. せけるふとうのたまふやう汝小園の臣として. なふましすみやかに引しりそくへしとおは. なんちなにものそ我矢さきにはとてもか. てふせき給ふとしひと御らんしていかにや. こんからせいたか引ぐしてみやうしゆうの津に 6裏. てきりしたかへまつたいまて名をのこきは 」. わたらんにまつそのしるしなくてはかなふまし. しんつうのつるきをぬきた、かひ給ふかふと. やとおもひときのくはんはくみつたかしてそう. とてしんつうのかふらや1射たまへは其矢み. うのりけんたゝかひまけて次第‑\にしり. や. やうしゆうの津にと、まり七日七夜ひ、き. 」. 」. 7裏. 7表.
(19) 81歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題. た‑候ねかはくはこのたひのかつせんにとし. てよせ候おほかたはふせき候へともかなひか. 申されけるはとしひとたうとをしたかへんと. 子を日本へつかはして‑らまのひしやもんへ. そきけりふとうかなはしとおもひこんから童. 仁うしなひ候ともわれ日本にわたりとし. けれはふとうかさねてのたまはくたとひ俊. まほりをはいかてかうしなひ候へきゃと仰. をそへ給ふしかるを日ほんのけん臣ていわうの. にこの団はふっほうきかんにして仏神ちから. たひ給へとおほせけれはたもんてんの御返事. ひとかことく王法をもまもりふっほうはん. ひとかいりさをおとしわれにちからをそへて 8表. しやうの園となすへしとのたまひけれはその. 」. いかてか日本の大しやうにふかくをはか、せ. ときひしやもんとしひとかかはりに日本を. たひ給へとのたまへはたもんおほせられけるは. 候へきと‑‑1かへり給へとおはせけれはとし. けるはまった‑この団をかたきとおもふにはあら. に又みつから‑らまへ御こしありておはせ. りか、やけりふとうかなはしとてせつなか間. ひとの御ちからはいよ. かひ給ふはとにとしひとのつるきのひかりを. ふとうおほきによろこひかへり給て又たゝ. のつるさのひかりをまいらすへしそのとき. はせこそうれしけれそのきならはとしひと. しゆこしてしゆしやうをたすけ給はんとのお. まきりつるきのひか. すこのたひとしひとにまけぬる物ならは. とりふとうのりけんにた、かひまけて三. ‑. ふつりきすたりてしんするものうす‑. つにおれてりやうせんへこそ. けれ. なりいよくしやたうきしんちからをえて. 8裏. まひあかり 」. しゆしやう三津にかへらん事うたかひあるへ からすねかはくはとしひとかいりさをおとして. 9裏. 」 9表. 」.
(20) 82 第82号 専修国文. やまとの囲ならさか山にかなつふてをうつ. やこへのはり給ひて年月をを‑り給ふに. たうとへかへり給ふ三千そうのふねともはみ. 給ふその、ちにこんからせいたかもうちつれ‑㌔. にのりうつりひつくんてうへをしたにかへし. その時としひとむねんにおもひふとうの船. るとしむねこまかけよせてのたまふやうこれ. こさす出すへしとておとりあかりわらひけ. はとを見すへしなをもよき物のあらはの. からんためかよしくそのきならはてなみの. ものをかさりてみせたるはこの法師をたは. あらめつらしやこの山をとをるとてかやうなる. ありさまにてたかき所にかけあかりて. たかくほうはねいかりまことにおそろしき. りやうせんといふけしやうのもの出きてみや. はみかとへ参御物な‑我いのちのあらんか. 10表. こへ参るみつきものを道にてうはひとりお. きりはとらる、事あるましそとおはせられ. 」. はくの人の命をたつこの事天下のなけ. けれはきこはなるくはしやめかなこと︿し. (絵④中). きならすやいそきとしむねにむかふてした. くほおもへともあまり‑はしやめかことはの. にくけれはかなつふてをもってた、一つ. 0裏. けたまはり五百よきの‑んひやうを引‑して. のせうふにせん三郎つふてとなつけてかね. 1. なら坂山へむかはれけるかはかりことにいろよ. めは三百両つのゝかすは百八十三うけてみよ. 」. き小袖あまたこつかはにてぬらしたるて. といふまゝにひちをあけ一ふりふってうち. かへよとのせんし‑たりけれはとしむねう. いにしてきゝのえたにかけならへてをき. けれは天地ひ、きなる神のことしされとも とまち給ふしはらく. りやうせんをいまや. としむねさはかすしてあふきにてうちを. ‑. ありてたけ二ちゃうあまりの法師のまかふら. 」 H表. 」 1 1裏.
(21) 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 83. かほにて. りやうせんけふさめ. をもおなしかつてにうちおとし給へは. とし給へは又次郎つふてとりいたしうちける. てなをしひとちかひちかふてひ、きわた. けれされともとしむね少もさはかす馬た. をともせすた、‑らやみにこそなりたり. 五百よきのつはものはみなひれふして. とおはえてきもたましゐも身にそはす. されとも太郎つふてにをきては山をたて. ふては三つなからうちをときれいまはちか. はれたりけりりやうせんもたのみたるつ. るかなつふてをあふみのはなにてけをと. につ‑ともみちんになさん物をとてかね. らをうしなひいひすこしたる口をかゝへ. 1. は六百両つのはかすをしらすもろこしに. てもとの山にたちしのはんとあしはやに. 」. 2表. たち. けるか. 五百年かふらい団に五百年日本の地に住. あゆみけるとしむねこまかけよせいかに. し給へはせけんなりしつま‑もとのこと‑. 事八十年この山にはた、三とせなりよろ. 御はう手なみは見申たるにさしたるふ. cql哀. つのたからをとることもみなこのつふてのい. せゐもなした、し御はうのつふてはと. 」. とくなりあたらこきかしきわらはをころさん. こそなくとも二代さうてんしてもちたる. (絵⑤中). もむさんなれとも口のさかなさゆへにた、. りやうせん房かみ、のね三すんのきてな. かふら夫lすちけんさんにいれてはあるへ. 3表. いまいとまとらするそねんふっ申せといふ. 1. きとてしんつうのかふら矢にていたまふに 」. ま、にめてのあしをつよくふみゑいやとう. ちけれは百千のいかつちの一度におつるか. 」 1 3嚢.
(22) 84 第82号 専修国文. りわたるもとよりひきやうしさいのものなれ. のまへにかけて. か山にてきりくひを八人してかきごくもん. 見せ給ふ. は七日七夜海山かけてにけゝれとも. 14表. ゆきゝのものに 」. さらにはなるゝ事なしとしむねはかす か山にちんをとりりやうせんほうをまちた. みに人はうみにいり山にのほれは山にのは. とをすなと承て侯へ今日まて七日か間う. とも五町十町にてかんせきてつへきは. 手をあはせ申けるはいかなるせいひやうと申. 伊勢の囲す、か山におほたけ丸とてき. り給ふかゝりける所にとし二年ありて. ゑちせんをそへて下されゑい‑わにほこ. たまはりむつの固はつせのこうりに. やかてとしむねは十七にて将軍つかさ. (絵⑥申). りみ,のねにはなれす候いかなる御弓. しん出来ゆきかふ人をなやましみつきも. まふ七日めにかへりとしむねの御前に参り. そやけふよりしてあくしすへからすいのち. 申けれはとしむねき. としむねにおはせつけいそきほろはす. ‑. 成申さんとなく. へしとのせんしなり将軍かしこまって. なはにてくゝり五百よきか中にとりこめ. するおはたけ丸はひさやうしさいのものな. まんよきにてうつたちす、かの山へをしよ. せんうけたまはりくんひやうをめしよせ三. こしめしゑいりよはかりかたしまついま. のもたえ‑〜なりみかと此よし聞しめし. 14裏. を御たすけ侯はゝ御らうとうとまかり. 」. みやこにかへり給へはみかとゑいらんまし′1. れはこのよしをきゝてみねのくろくもに. しめて参るへしとて‑ろかねの‑きり. て御かんは申はかりなしりやうせんはふなを. 」 1 6表.
(23) 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 85. くしきとうしとなり又あるときはくきゃ. こせんにこゝろをなやましあるときはうつ. をはす、か御前と申ける大たけ丸すゝか. 山かけへ天女あまくたりておはします名. きゃうな‑して年月ををくり給ふ又この. まもな‑風すさましくふきてせめよるへ. たちまきれ火の雨をふらせらいてんひ. ‑. しうつり革はの露もをきまとひむしのこゑ. たちしのはせ給ふかゆふくれの月ほのかにさ. みやこへ返したまひてたゝ一人すゝか山に. かた‑おほしめしまつ三まんよきの兵をは. らんして夢はさめたりけりとしむね有. 事なりかたしとをしへてたちきり給ふと御. むへしこのはかり事ならては大たけ丸うつ. あはれをそへふるき秋をおもひいたし革. うてんしやう人にへんしてさま′トのはか. つうりさにてしりたまふうへさらになひ. やとこ、ろをくたきあくかれけれともすゝか. のはかまふみしたきてこつせんと来り給ふ. やうらくかけからにしきのすいかんにくれなゐ. はかり成をんな玉のかんさしにきんノバ.しの. のまくらにうちかたふき給ふに年のほと二八. き給はすかくてとしむねはいかにもして. としむねこれはかのおにのたはかりて我こゝ. 6裏. かたきのあり所をたしかにしりてせめ入. ろをひきみるにこそとおもひつるきをひ. 1. せうふをけつせはやとおもひしよてんにいの. さの下にか‑しきらぬてゐにて見たまへは. 」. りをかけたまへはある夜のあかつき夢とも. めに見えぬおにのすみかをしるへ‑は. り事をめ‑らし一夜のちきりをこめは. な‑うつ,ともな‑老人きたり給てこの山. わかあるかたにしはしとゝまれ. とうちなかめてかきけすこと‑うせに. のおにをしたかへんとおもはゝこのへんに. す、か御せんとて天女のおはしますをたの. 」 1 7表. 」 1 7裏.
(24) 86 第82号 専修国文. をふし. けりとしむねこはありかたき御つけそと ‑. かひまみしおもかけこそはわすられね. 目にみぬおにはさもあらはあれ. とうちなかめてたゝはうせんとしてゐ. おもひ大神宮をほしめ奉りかみ. おかみ給ふされとも其ゆ‑ゑをしらされは. たまふにあ‑し人のきた‑とく. よくのちきりあさからす来るともさる. ‑‑戟. たつぬへきかたもなくてたゝはうせん. かたへ御い‑侯へしとかたらひゆきてひ 18表. としておはたけ丸か事はうちわすれう 」. ともなく月日をゝくり. つ、に見えつる人のおもかけ身にそひて時の まもわすられてこひちのやみにまとひ給ふ. けるか (絵⑦中). かせめてはしはし夢のたよりもかなとまと ろみうはのそらなる物おもひにしつみはて. たり三とせなり御身このやまのきしん. ある夜のむつことに我はこの山にかりにき. おもひきらんと又かみ. をしたかへ給はんとて来り給ふともかな. なん事もた⁚」れおにのほからふらんに. くはこのあくねんをわすれてきしんをし. ひかたしわかちからをそへ奉らんために. をふしおかみねか□. たかへさせたひ給へ諸天しよふっの中に. かりにこのかいにくたるなりかのおはたけ. ‑. も大し大ひの御ちかひこそありかたけ. まるわれにちきりをこめんとてさま/\. とおほせけれはとしむねうれしくおもひ. くうたせ申へし御こ,ろやすくおほしめせ. とかんたんをくたきいのりて心をすました. 18裏. いひよるなりわかはかりことにてたやす 」. まへともなをわすれやらぬおもかけのたちそ ひて露の命もたのみすくなきありさま にてかくくちすさみたまふ.
(25) 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 87. ひたすらにたのみ給ふさらはわかあとをした ひたまへとありしかはやまくみね︿ 」. 20表. なき行山はしけりあひいはかとけつる. 瀧つせのなみもす、しき夕暮にとひ. さて又にしは秋風のすゑはの露のちるかけ. かふほたるかすかにてあまの戸た、‑ゐ. ‑. にところ. をたとりこえて見たまへはおほきなる. ありこんごんるりのいさこをしきくろ. こゑあはれしらるゝよもきふの露にみたる、. なとりもあけほのをやなをおしむらん. かねのもんをすきゆけはしろかねのもん. いとはさのはなむらさきの藤はかまきゝやう. いはあなありこのうちにいり見たまへはまん. 有なをも過行みれはきんぐのそりはし. かるかやをみなへしいまをさかりと見えた. たるかすみのうちにこかねのいらか. をかけたりまことにこくらくせかいといふ. りけり北は冬のけしきにておのへの松の. のむらもみちいろとる野への虫の. ともこれにはいかてまさるへき庭に四さ. こすゑまてもふりうつみたる雪の日にす. きあかつきはひとりぬる身や. につかはぬおしのたちさばく羽はせもさむ. ‑. のてゐをあらはしまつひかしは春のけ. みやくけふりほのかにて池のこはりのかたよる Sj貴. しきとうち見えて出る日影ものとかな 」. ねのゆきとけてかきねの梅のかつちれ. うかるらん. り谷のとあくるうくひすのこゑもたか. はさくらはをそしとさきつゝくきしの. 又たつみのかたを見ればいろ‑〜の鳥のはね. (絵⑧中). もみとりの空にたちつゝきみなみおも. にてふきわけたるやかた百はかりならひたり. やまふきいろふか‑藤なみよする桧かえ. ては夏の夜のあけかたちかきほと、さす. 」 2 1表.
(26) 第82号. 88 専修国文. 心をよせたるもありそれよりおくをみる. てひはことしらへあるひはこすころくに. 玉のかんさしかけたる女はうあまたなみゐ. ねをしきしっはうのかうしのうちには. そのうちをみれは玉のゆかににしきのしと. もてなし三つのつるさをあつかりてとるへし. るへしきあらはしやうし入むつましけに. 事なしさためて又今夜もをとつれ来. とたひ. ましおはたけまるわれにちきりをこめん. 日本かよりてせむるともうたるゝ事は有. ‑. とうち給へまったゝ. いひかたらへともつゐになひく. に大たけ丸かすみける所とおほしくて. 其後きたらん時やす. かへり給ふあんのことく日くれけれは大たけ. ‑. こかねのとひらにしろかねのはしらにて. いまはかへり給ふへしとてうちつれたちて 等最. 一たんたかくつくりこはりのことくなるけん. 」. まるはうつ‑しきとうしと成すゝか御前. はこをはすきまもなくたてならへくろか ねの弓やなくひはかすをしらすとしむね. の御まくらもとにたちより. 岩ならすまくらなりともくちやせん. おほしめしけるはたゝいまよきおりふし也. かふら矢ひとついはやとおほしめしけるか. とよみたもとをかほにをしあてゝなき. 夜々のなみたの露のつもれは. 給ふへした、今ことの出くるならはけん. けるすゝか御せんはかねてたくみし事. まつす、か御せんにとひ給へはしはらくまち. そく共にとりこめられ御いのちあるまし. くちはてんまくらはたれにおとらめや. なれは返し. 小とうれんけんみやうれんとて三つのけん. 人こそしらねたえぬなみたを. それをいかにと串にこのおには大とうれん. ありこのつるきともをたいするうちには. 」 23表. 」 2 3裏.
(27) 歴史民俗博物館蔵「凹村の草子」翻刻と解題 89. われらのやうなるおにかみをもあはれと. 人のことはのうれしきよまことなるかな. の御返事たになかりつるにたゝいまの. いかにちつかにふみのかさなるまて一度. とよみたまへは大たけ丸これをき⁚」は. きならねはいかはかりおもひつるそやかまへ. て涙をなかしけれはす、か御せん我もいは. やた、いまのことのはこそありかたけれと. とつ‑せし心のはとをあはれみたまふに. 放すゝか御前のそはちか‑よりふしこのほ. て見すてたまふへからすとうちとけかほ. におはせけれは大たけ丸もなにかこゝ. 24表. けたけきもの、ふのこ、ろをもなくさ. ろをのこすへきこしかたゆ‑すゑの事. 」. むるはうたなりわれうたのみちをしらす. いひかたらひけるか明ほのつくるとりの. おもはせおとこをんなの中をもやはら. してはいかてこの君とちきりなんあっ. こゑにをとろきをきわかれ行きぬ. の. はれうたよみかなとそ、ろにわか身を. 袖をひかへおはせられけるはかやうなること. ‑. はめたり. 串につけておこかましき事なからこ. のほととしむねとやらんいふもの我に文. 墾裳. (裏見返し). かよはしけれともてにもとらす御身に. 」. (裏表紙). かくなれぬるときくならはいかなるうき. ナ り. (中巻終わり). のつるきをわれにあっけ給へかしとおは. めにやあはすへき心ほそくおもふ也御身. (表紙) ︹田むら 下︺ (貼題答). せけれはまことにさる事ありそのとし. 下巻. (見返し). 」‑衣.
(28) 90 第82号 専修国文. むねといふこくわしやめはよしあるくせ. ものにてわれらをもねらふと間て候き りなからこのつるきとものあらんほとは. 御こゝろやすくおほしめして御ま‑らに 」‑裏. ける (絵①下). かくてとしむねはこのよしをきこしめし. たゝこれふっしんの御はからひなりとてい. たうに引入よとの御つかひにそれかしけ. わう日本の悌ほうきかんなりいそきま. きと申はてんちくまかた団にてあしゆら. のけんをぬきいたしてそも. 参‑候そや又今夜はおにともにさけをすゝ. 申おにかあつかりしかこのほとてんちくへ. いふつるきは大たけまるかおちに三めんきと. けんを参らするいま一つのけんみやうれんと. れはいそき御よういあるへしとてまつ二つ. よ′1くはんねんしたまふかくて夜もあけゝ. むそくともをくしてまいる時この三のつる. めてのませよとへいちをを‑りて侯間. たてたまへとて大とうれん小とうれん二つ. さをたまはる事後代まてのめんはく. みなけんそくともはゑいふし候へし御心や. このつる. なれは身をはなす事なししかるを. すくおほしめしてうちたまへとてす、か. ‑. 1夜のなさけにはたされてすゝかこせん. にうちのりて. はいつくにおはすそとてれんちうさし. 日くる、をまちかねて来りたり御せん. おはたけ丸これをは夢にもしらすして. は雲に乗てたちか‑れ給ふさるはとに 2表. にまいらせて御まくらかみにたてたまへと 」. おにのすみかに. ていりけれはとしむねたちむかひた. てまたよをこめてたちまよふくろくも. かへり. 」. 3裏.
(29) 91歴史民俗博物館蔵「出村の草子」翻刻と解題. 奉る田村大将軍としむねとは我事なり. しらすやわれはこれ日本のみかとにつかへ. めて大たけまるといふ‑せものかなんち. まひてす,か御せんと申はなにものそさた. をなし大山のうこくことしされ共田村さは. はらひ給ふきしんはいかりをなし数千騎に身. まひてしやうくんのうへにをちかゝるほこを. くらまの大ひたもんてん両わきにたちた. としむねのみかたには干しゆ‑はんをんと. きたまはすしんつうのかふら失ゐたまへ. 十七にてやまとの囲ならさか山にかなつぶて 4表. は千まんの失さきとなりきしんのかうへに. 」. しやう‑んつかさを給はりみかとをしゆこし. をちかゝれはあるひはうたれいた手をひ四方. のりやうせんといふけしやうのものをしたかへ大. 申事いこくまてもそのか‑れなしそれ. へちり. に成に. になんそまのまへにて大あ‑をなす事. けり. ‑. たかゆるしけるそとのたまへはおはたけ丸. (絵②下). されとも大たけ丸はみちんとなりはんしや‑と. はいま、てうつくしきとうしなりしか. みる. へんけしはら‑うたれされはとしむねつる. たけ十ちゃうはかり成きしんとなり. 日月のことくなるまなこをみいたしとしむね. さをなけたまへは‑ひはたちまちをとされ. ‑. にらみけるか天地をひ、かし大をんあけ. うんかのことく見えたるけんそくもみなきえ. かとえいらんまし. ‑. て伊賀の園を給は. をさう‑るまにつみ都にのはせ給ふみ. てなんちはそくさん国のみかとの臣下と. 4裏. ‑トとなりにけり其後おにの‑ひとも 」. してなにほとの事のあるへきそてなみ のほとをみせんとてこほりのことくなる. けんは二を三百はかりなけかくるされとも.
(30) 92 第82号 専修国文. やかて御くたりありてあかしくらし. すゝかこせんの御なさけふかくおはしければ. りいよ‑1さかへ給ふされともとしむねは. ことはもことはりなれともきりなからわ. こそおもひさふらへとおはせられけれは其御. なしくはみやこへ御とも申てすまはやと. のほらはやとおほしめしけれはすゝか御前. てかゝるひなのすまゐならんしのひみやこに. はみやこの事おほしめしいたしていつま. 給ふされともみやことをき所なれはおりふし. をはしやうりん女と申ていつきかしつき. たむらに又したかへよとのせんしくたる. いてて世のさまたけをなすへしきあらは. このくれにはあふみの園にあくしのたか丸. 候うへは弓夫のまもり神と成へしさあらは. はりたりとも我はしやう‑んと申ひめか. も‑申へしいそき御のほり候へ御心こそか. れはこの山のしゆこしんとなりみやこをま. これをうらみ給てもとより我は下かいの人. へし内々御こゝろにかけ御よういあれと. 6表. けんにあらすなに事も御心におもひ. おはせけれは田むらきこしめしこはうら. 」. たまふ事わかしらぬことなしさしも. めしき御事かなもしもろともにのは. 給ふはとにひめ君一人出きたまひて御名. ふた世とこそちきりつるにはやくもかは. にいかて見すてまいらすへさと. りみやこのすまひもかなとこそおもひつる 6裏. りたる御心かなとなみたにむせひ給へは 」. おはせ. 田むらきこしめしいやとよ心のかほる事は さふらはすされともこの所にかくてなからへ侯. ける (絵③下). へは君の御めくみもうすくなり又はらう. とう共のおもはんほともはかりかたしお. 」 7表.
(31) 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 93. ■ 「 ト. けれはとしむねは時のめんはくこれにすき. .. すゝかきこしめしまつ. しとよろこひおうけを申まかりたちて. このたひはわれ. にまかせて御のはり候てやかて又‑たり. すゝかへこのよし申さはやとおほしめすか. ‑. たまへとありしかはちからな‑としむね. いやくつうりさにてとくしり給ふへきもの. 十六万さの兵を引くしてたかまるか. しやうらくありてまつさんたいなされけれは. の御もてなしなるうへ‑. しやうにをしよせうちのありさまみたまふ. ‑. きゃうてん上人と‑. に石のつゐちをたかくつきまはし‑ち. の御なくさめに更に. よるひるかけて御ひまもなしかくてやよ. かねのもんをきしかためてせめ人へきゃうも. ‑. ひのすゑより神無月のほしめころまて御. なしとしむね門前にこまかけすゑいかに. おに共たしかにきけたゝいまなんちか. ゆふらんありける所にすゝかおほせしこ. 寄あはせさま. を時うつりてはあしかりなんとおほしめし. 8裏. みかとえいらんありてくはんけんらんふ御. 」. うつてにむかふたるものをいかなるものと. とくあふみの園にたか丸といふおに出きて ゆきゝのものをうしなふ事かすをしらす. かおもふらんいこくまてもか‑れなき藤原. はらのとしむねなり手なみのほとはさた. いそきうつて下さるへしとてさい′‑ILよ‑‑‑. ‑. めてきくこそはおよふらんになにとて. のとしひとのちゃくしに田村しやうくんふち. くをもなくさめんとおもひつるにいくほとも. まかり出てかうさんしていのちをつきをの. より申来るこのよしそうもん申けれはたま. なくてかゝることこそうらめしけれきりなから. れか本国へかへらぬそとの給へはしやうには. しやうくんの在京なりこのとし月のしん. たれにおはせつけられんものなしとおはせ. 9裏. 」 9表. 」.
(32) 94 第82号 専修国文 ける」 10表. たけへおちゆき. るは雲にのりてしなのゝくにふせやか. まへはくわゑんとなりてやけあかるたかま. いのいんをむすひてしやうのうちへなけた. らをたてすゝか御せんのつたへ給ふくわか. なりをしっめてをともせすとしむねは. うつりなんとおもひまかりとをり候なり. いとまこひにまいらはやと存候へともしこ‑. その御幸にて候まかりむかふときも御. まふそとおはせけるとしむねきこしめし. むかひなにとてたゝいまちんをひきた. か‑のしゆくにつきたまへはすゝか御せん出. こへのほり給ふとてすゝかのさかの下ま. もりけれはろく地につゝくほとはせめける. さかひに岩をくりぬき城としてひきこ. かこれをもせめっけられて唐と日本の. せめをとされそとのはまにおちゆきける. ふしのたけへをちゆきけるこれをもやかて. たむらつゝひてせめられけれはするかの囲. にかなふへからす兵ともをはいそきみやこへ. もいかほとあつめたまふともほんふのちから. すゝかきこしめしふねともをも‑んひやうを. あけやかて又うちよせ侯へしとおはせけれは. り候そのうへ人あまたうたれ候このよし申. ふねをとゝのへんためにまつみやこへのは. 中にいはを‑りぬきてひきこもり侯間. たか丸をはすいふんせめ候へともいまは海. か海上の事なれはいかゝせんまつひき帰. のほせたまふへしわらは参‑たはかり. (絵④下)」1 0裏. 兵船とゝのへかさねてよせんとて引給ふか. いたしやす‑トとうたせ申さんとてしん. たう. 十六まんきのつはものこ、かしこにて. つうのくるまにのりたゝ二人せつなか間. じやう. うたれやう︿二万きはかりになりみや. 」 1 1表. 」 1 1裏.
(33) 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 95. ようしんせよといふま、にいはとをたて、. かつはとをきれゐのたむらか又来るそ. たか丸はおりふしひるねしてゐたりつるか. へまひたまへはあまりのおもしろさにあく. あつまりてことにたえなるをんかくをそろ. のそきけれは廿五のほきってんとうし. からな‑いはやのとを三寸はか‑あけて. かさねて串やうあらはにも出て兄はこそあ. 引こもるその時すゝかはひたりの手をさし. るとはおもはねともひろくとあきけれは. にそとのはまに. あけ天をまねきたまへは十二のほし廿. すゝかたむらにあれあそはせとの給ふ. しからめ戸をほそめにあけて見候に. 五のはさつあま‑たり給てみめうのをん. としむね‑ろかねの弓にしんつうのかふら失. つきたまふ」 1 2表. かくをそろへかの岩屋のうへにまひあそひ. うちつかひしはしかためてはなちたまへは. なんのしきゐのあるへきといひけれはち. たまへはたかまるかてうあひのむすめこ. いかつちのことくになりわたりたかまるか. (絵⑤下)」は裏. れをきゝあらおもしろのをんかくやてんち. とおもふへからすたむらとす、かわれを. こそあまへけれたか丸串やうまことのかく. こへのはり給ひけれはくんこうけしやうおもひ. うちをとし八人つ、の人そくにもたせてみや. なけたまへはたか丸おや子七人か‑ひを. ろなる石につなぬかれける其時つるきを. みけんを射くたきこしはねかけてうし 13表. ‑にありし時はたひ‑〜きゝけれ共かほ 」. たはかりいたさんとてする事そかしか. のまゝにちゃうたいして又すみかへくた‑た. とのかくはいまたきかすあはれみはやと. まへてみる事むやくなりといへはむすめ. 」 1 3裏. 」 1 4表.
(34) 96 第82号 専修国文. おはせけれは」 14裏. みやこにのはりよき馬をもとめ給へと. をなすへさとのすいさうありいそき. 山かたけにたてこもりて世のさまたけ. ち‑へかへり又日本へわたりむつの囲きり. をとりのこせしゆへにこんはくのこり天. せ大たけまるかけんみやうれんのつるさ. させ給ふあるときすゝかおはせけるは一と. めて夜もすからくはんけんしてあかし‑ら. まふすゝか御せんはよろこひのみきをすゝ. たまふに世中にならひなき名馬に. よろこひけるとなりさて其馬をかひ. 小袖をそへてくたしたふおきなおはきに. まひてかのおきなに百石百貫にいろよき. おほしめし明日ひかせ申さんとてかへりた. すひかせ給へといふとしむねうれし‑. かひたまふへきほし‑はあたひはいるへから. きなあさわらひなんのようにこのむま. しむねこの馬うるへきかとおはせけれはお. 引たつるとも一足ゆくへきとも見えすと. をきなむまやのまへにねふりゐたり又. りたちよりみれは二百歳にもおよひたる. 五候のかたはらにすみあらしたるやかたあ. やかて上らくして馬をたつね給ふ所に. にめされてむつの園きり山かたけを御. 御せんは御らんしてあっはれ御馬候これ. たまへはせつなかあひたにつき給ふすゝか. おほしめしすゝかへゆかんとおもひ乗いたし. をわたるもおなし平地のことしふしきに. てとしむねのり給へは山をかけりうみ. よのつねの馬五つはか‑一つにしたるほ. らんしをかれ候へ大たけ丸かきたり侯とも. (絵⑥下)」 1 5表. との馬をかなくさりにて八方へつなきた. こまのあしたちをしらせ給はゝた、一か. さい. るか百日にもま革くれたりとも見えす. 」 1 5裏. 」 1 6表.
(35) 歴史民俗博物館蔵「L土附の草√‑」翻刻と解題 97. ねにゐてひとをとる事かすかきりなし. こんはくもとのことくになりてきりやまかみ. をす‑したまへはあんのこと‑大たけ丸か. まはりもとの所にかへり給ふか‑て月日. まふにへんしの間にきり山あたりをかけ. 此こまにうち乗てひかしをさしてうちた. せんのせうそとおはせられけれはやかて. とにきしんはやまをはりぬき口には大はん. いまたふた時はかりあとにつきけるさるは. り山のふもとにつき給ふにくんひやうともは. むねはかのこまにうち乗へんしの間にき. 出るごぜんは飛行の‑るまにめすとし. かみや二を出て三十四日と申にすゞかを. はまて夜と、もの御ゆふさま‑1なりし. ひやうをたむら将くんにつけたまひていそ. しるなりからめてにまはりせめ入て見. なしされともたむらはかねてあんないは. しや‑をとひらとしてせめ人へきゃうは. きうつたつへしとのせんし也としむねかし. たまへはおはたけまるはなかりけりもん. 6哀. こまって承す,かにこのよしかたり給へは. まもりの鬼一人出なにものなれはわれ. 1. 人数はさやうにいるへからすた、御てせいはか. にあんないもいはてとをるらんムUのみ. 」. りつれ給ふへしとてみな人々をはかへし給. せんとてくろかねのばうにてうたんとすれ. このよしそうもん中けれは甘万きの‑ん. て五百よきのてせいはかりめしつれ給ふ. はとしむねあふきにてうちおとしに‑さ. 引出す. まついましめて. ふに. みやこよりきり山まては三卜l#日のみちなる. もの、ふるまひかなとて ‑. をくんひやう共をはさきにたてとしむねは す,か御前としゆえんくはんけんさま. の御あそひにて七月のすゑより八月なか. 」 1 7表. 」 1 7裏. 」 1 8表.
(36) 98 第82号 専修国文. かみなりしてくろくも一むらの中よ. りたまはんと申せはにはかに空くもり. ためにさのふ御こし候はとにやかてかへ. ゑそかしまにおはします御見まいの. 八大王と中はわれらかしうのしうなるか. さておはたけはいつくにあるそとゝひ給へは. て大石をあめのふるほとうちけれとも. へはつらの三つあるあかきおにをと‑出. はにものないはせそ三めんさはなきかとい. のたまへは大たけ丸はらをたてあのわつ. まてのちさんなによりまんそくなりと. をとりのこし心にか,りおもひしにこれ. て日本のたからとなしいま一つのけん. してうれしし‑1ふたつのつるさは給‑. り鬼のこゑすさましくしてあらめつらし. ひとつもあたらすそのときとしむねれ. は裏. やたむらとの久しきほとのけんさん也. ゐの大弓にかふら央つかひしはしかため. 」. 一とせ伊勢のすゝか山にて御身はそ. てはなちたまへは三めんさかまつかふい. (絵⑦下). れかしうちとゝめたりとおもふらんわれは. ひとつのこしをきて帰な‑それを我本た. かり一とひにとんてかゝるとひちかへてきり. はらをすへかねてとりにせんとて半町は. くたかれあしたの露ときえにけり大たけ. いとおもふらん人けんのちゑのあさましさ. たまへはくひはまへにおちけるかそのまゝ天. 9表. よとわらひけれはたむらき、たまひて. へまひあかるすゝか御せんは御らんして此. 1. それはさる事もあるへしなんちかつるさ. くひたゝいまをちかゝるへしょうしんあ. 」. はいかにとおはせけれはこれこそけんみや. れとてよろひかふとをかさねてき給ふに. そのころ天ちくにようありてたましゐ. うれんよとてさしあ‑るとしむね御らん. 」 1 9裏. 」 2 0表.
(37) 歴史民俗博物館蔵「田村の草子」翻刻と解題 99. ける又おはたけまるかくびをはまつたいの. ひきのはりみなきってごくもんにかけられ. るのこりのけんそくともにはなはをかけ. をぬき御らんするにそのまゝくひはしにけ. かふとのてへんにくらひつくとしむね甲. 二時はかりありてなりわたりたむらの. 大将軍俊宗也なんちかしうにたいめんした. よひなんちは十王の下人か我はしやはの田村. てめいとにゆき給ひてくしやうしんを. 日にあたる日こかれしにゝしに給ふかやか. 申はかりなしあまりかなしみ給ひて一七. なしく成給ふとしむねの御なけき中︿. しやうりんをいとおしみ給へといひすて、む. しやうくんとしむね. ったへにとて宇治のほうきうにおさめ千. きよし申へしとのたまへはくしやうしんお. せんた、かせのこ、ちと仰られしかしたい. あさからぬ中と成たまひけるかすゝか御. りけるかくてとしむねすゝか御前と猶. さるはとに将軍の御ゐくはういよ/\まき. いふ事き‑ましきかとおほせけれはく. たかあしたにてころ‑1とふみたをしわか. おにとあかきおにか引たてんとしけるを. むものむけんへうちをとすへしとてくろき. もあれかし今われらにさやうの事をいは. はさにいかりしやばにてはなにものにて. におもらせ給ふとしむねこゝろうくおほしめし. しやうしんはきもをけしたゝあきれはて. g3裏. さま′‑‑の御祈あれはす、かこのよしきこし. たるはかりなりや、あつてをきあかり. 」. もとの大かしらと申ていまの世まてもみ くぴ. めし我はかりにこのかいにむまるゝなりこ. せひのしさいもなく十王のまへににけて. こしのさきにわたるはこの大たけ丸か首也. のよのきゑんつきたれはいかにいのり給ふ. ゆき此よしか‑と申けれは十王出給ふ其. いのり. ともかひあるましいとま申てたむらとの. 」 21表. 」 2 1裏.
(38) 100. 第82号 専修国文. せけれはちゃうこうなれはこそ返してたへ. なんちはひごうなりいそさかへれとおは. それはぢやうごうかきりあれはかなふまし. 候いそき返したまはるへしとのたまへは. 時としむね我つま七日いせんに身まかり. くわんを御つかひにてとうはうしやうるり. なしてたひ給へとおほせけれは第三のみやう. けれはとしむねはらをたてもとのことくに. かありしよりすかたもかはりかたちをと‑. からたにとりかへて田村のまへにいたしける. てんやけあかる其時大とうれんをぬき給ひ. かいのゐんをむすひなけたまへは大しゃく. たまはすはらうせきのあるへしとて‑は. その給ひけるめいとの三ねんはしやはの四十五. まよりのち三年のいとまをとらするなりと. せ給ひけるとかや放たいしや‑のたまふはい. たまへはなを其むかしよりいつくしくなら. せかいのいわうほふしゃくのくすりをすゝめ. てかけまはりたまふこの大とうれんは. 年なりさてこそ田むらしやうくんとす、か. 1表. もんしゆのけしんなれは十王もくしやうしん. 御せんの御ちきりは二世のゑんとは申なれ. 2. もいかてたやす‑おもふへきゑんまわうは. ありかたかりきためしなりさても此大. 」. こくそつをめしかのものをかへせとおはせ. しやうくんはまことはくわんをんのけしんに. とは申侯へひこうなれはいひふんはなしかへし. けれはこくそつ申けるはちゃうこうのもの也. てましませはしゆしやうさいとのはうへんにか. しんをたすけふつたうにいれ給ふへきと. ちくふしまの弁才天女なるかあっきしや. 其上はやからたも侯はすいか、はせんと申. 22裏. りに人けんとあらはれ給ふ又す,か御せんは 」. けれはすゝかとおなし時にむまれたる女 みのゝ園とふかいといふ所にありかれにとり. かへよとおはせられけれはこくそつ承てかの. 」 23表.
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