椙山女学園大学
<翻刻> 刈谷市立図書館村上文庫蔵「伊勢物語髄脳
」(2)
著者
飯塚 恵理人, 蛯江 ゆき, 米田 真理
雑誌名
椙山女学園大学研究論集 人文科学篇
号
26
ページ
103-122
発行年
1995
URL
http://id.nii.ac.jp/1454/00001752/
︹翻刻︺
刈谷市立図書館村上文庫蔵﹁伊勢物語髄脳﹂︵言
十一、︹﹃千葉破﹄ということ︺ 〒、﹁千葉破﹂の意味︶ ちはやふるといふこと、人の五牡の内にぱらまれて のうちに生れいつるをいふ、母の五臓I 生れる時、 腹2 ハ肺の姿蓮葉に似り、蓮には らまれて、十月になりて生るゝ時、そのせんようのけつミやく腸を 破りて出るなり、されハちはやふるとかきて、ちハやふるとよむ、 ちハやふるかミとは、霊なり、人の牡となりて霊いてきたりて生る 時、ちはやの牡をいつるなり、それをはといふなり、大の霊をかみ といふなり、神とて別におそろしき物のあるにハあらす、和光問塵、 結縁といふも、無念無相にして、非もなくおもひもなかりし時を佛 とするなり、人を導かむとて、塵に光を和けて神とハいふなり、我 霊の空中に牡もなけれハ、なに事につけても、物をしる心ハながり しを、佛といふ人を導かんとて、人となる時、霊いてきたるを神と いふなり、 ︿校異﹀米蛯飯
圧│江塚
真 ゆ 恵
理
理 き 人
Iちはやふるといふこと、大の五絃の内にはらまれて、生れる時、 −︵林︶千葉破といふ事、人の五琳のうちにはらまれ、生るゝ時− ︵鉄︶千葉破と云事、大の五琳内にはらまれむまるゝとき 2。腹 のうちに生れいっるをいふ、−︵林︶はらのうちより出て生ずるを いふ也。−︵鉄︶母の腹の内にむまれ出をいふ ミ母の五臓六肺 の姿蓮葉に似り、−︵林︶母の五ざう六ふのだいていれんげににた り。−︵鉄︶母の五臓六府のすかた蓮の葉に似たり 亀蓮にはら まれて、−︵林︶れんげの五回うにはらまれてあれどもI︵鉄︶蓮 にはらまれて ミ十月になりて生るゝ時、− ︵林︶と月と云にむ まるゝとき、−︵鉄︶十月に成て生る時 6.そのせんようのけっ ミやく腸を破りて出るなり、−︵林︶其千葉の血脈かたを破て出る 也、−︵鉄︶其子千葉の血脈はたを破ていっる也 ワ≒されハちは やふるとかきて、ちハやふるとよむ、−︵林︶されはちはやふると かきて古撰集に、ちはやぶるとよむ也。−︵鉄︶されは千葉破と書 てちハやふるとよむ 8.ちハやふるかミとは、霊なり、−︵林︶ 一〇三亀迷ふ煩悩の心なり、−︵林︶まよへるぼんぷの心也。−︵鉄︶ − ︵鉄︶ されはいかなる人も母のはらの内にしはしやとらぬハなき 也 2.一切の物、草木まても、かくのことくなり、−︵林︶ 一切 の物、くさ木までも、かくのごとし。よくさとるべし。−︵鉄︶ 一 切の物草木まても如此也 ミそれをよそに、神とておそろしき物 有と思ふハ、−︵林︶それをよそに、神とておそろしき物べちにあ りと思ふは、−︵鉄︶それをよそに神とておそろしき物ありと思ふ まよふ凡夫の心也 5.我心こそ、やがて神よ神と云物なしとしる、 −︵林︶我が心こそ、やがて神に別に神といふものはなしとしるI ︵鉄︶吾心こそやがて神よ別に神と云物なしとしり 6.此心を頓 ハ 飯塚恵理人・蛯江ゆき・米日ヨ真理 ちはやぶるかみとは、たましゐをいふ也。−︵鉄︶ちハやふる神と ハ王しゐ也 9.大の牡となりて霊いてきたりて生る時、−︵林︶ 人のたいとなりてたましゐ出てむまるゝ時−︵鉄︶大の琳と成て王 しゐ出来て生る時 叩ちはやの牡をいつるなり、−︵林︶千葉は らかたをやぶりて出るを、−︵鉄︶千葉の牡をいつる也 11。それ をはといふなり、−︵林︶もはやぶるといふ也。−︵鉄︶それを破 と云也 12人の霊をかみといふなり、−︵林︶大のたましゐを神 といふ也。−︵鉄︶人の王しゐを神と云也 増神とて別におそろ しき物のあるにハあらす、−︵林︶神とてべちにおそろしきものに あらず。−︵鉄︶神とて別におそろしき物の有にハあらす 輿和 光同塵、結縁といふも、−︵林︶和光問塵は、結縁の初めといふも、 −︵鉄︶和光同塵結縁と云も 増無念無相にして、牡もなくおも ひもなかりし時を佛とするなり、−︵林︶むさうむねむにして、㈱ もなくおもひもなかりしときを仏とする也。−︵鉄︶無相無念にし て姉もなく思ひもなかりし時を佛とする也 16人を導かむとて、 塵に光を和けて神とハいふなり、−︵林︶大をみちびくとてやはら げて、ちりにまじわりて神となるといふ也。−︵鉄︶大をミちひか んとて塵にひかりをやハらけて神とハ云也 ワ 我言の空中に非 もなけれハ、−︵林︶我かみの空中に鉢もなければ、−︵鉄︶わか 玉しゐの空中に非もなけれハ 増なに事につけても、物をしろ心 ハなかりしを、−︵林︶何事につけても、物をもしろ心なかりしを I︵鉄︶何事に付ても物をしる心ハなかりしを 叩佛といふ大を 導かんとて、−︵林︶ほとけ大をみちびくといふ也。−︵鉄︶佛と 云大を道ひかんとて 20人となる時、霊いてきたるを神といふな り、−︵林︶大となりて、くるときは、たましゐ出てくるを神とい ふ也。−︵鉄︶大となる時玉しゐ出つるを神と云也 一〇四 ︵2、﹁我心こそ神﹂であるこ言 されハ、いかなる人も母の腹の内にしハしやとらぬハなきなり、  ̄2 切の物、草木まても、かくのことくなり。それをよそに、神とてお そろしき物有と思ふハ、迷ふ煩悩の心なり、我心こそ、やがて神よ 6 神と云物なしとしる、此心を頓而神といふなり、かやうにさとりえ 7蝸而神といふなり、かやうにさとりえ 9 いかにすれとも、罰もあたらす、くる しき事なし、此悟を意得ずして、神と つれハ、別に神なきゆへに、 たゝ外に のあつる罰なり、然とも、さとりを得たる人の前にてハ、 し 神を、おそろしき神別に有とおもふ、その霊、 やがて神なれハ我 ハよそに神といふものゝ有て、あつる罰にあらす、心より外になき やがて罰をあたる物なり、それ と知りぬれハ、少しも取はつせハ、 いふハほかにおそろしき物有 有やうに振舞て見せ聞へし、悟ぬもの、そしりをいたせハ、其罪を 得なり、 ︿校異︾ Tへされハ、いかかる人も母の腹の内にしハしやとらぬハなきなり、 −︵林︶されば、いかなる人も母のうちにしばしやどらぬ人なき也。
而神といふなり、−︵林︶ こゝろを、やがて神といふ。−︵鉄︶此 心をやがて神と云也 7.かやうにさとりえつれハ、−︵林︶かや うにしりさとりぬれば、−︵鉄︶かやうにしり悟ゑつれは 8.別 に神なきゅ に神なき故 にへ に、−︵林︶別に神なし。かかるゆへに、−︵鉄︶別 9.いかにすれとも二割もあたらす、くるしき事な し、−︵林︶いかにすれども、ばちもあたらず、くるしき事もなし。 −︵鉄︶ いかにこれともはちをもあたらすくるしき事なし 回 此悟を意得すして、−︵林︶ このさとりをえずして、−︵鉄︶此悟 をえすして 11。神といふハほかにおそろしき物有と知りぬれハ、 −︵林︶神といふは外におそろしき物としりぬれば、−︵鉄︶神と いふハほかにおそろしき物有と知ぬれは 回少しも取はつせハ、 やがて罰をあたる物なり、−︵林︶すこしもとりはづせば、やがて ばちをあたりて、わろき也。−︵鉄︶すこしもとりはつせハやかて はちをあたりてわろき也 回それハよそに神といふものゝ有て、 −︵林︶それよぞに神といふものありて、−︵鉄︶それハよそに神 と云物ありて 牡∼あつる罰にあらす、︱︵林︶あつるばちにはあ らず。−︵鉄︶あつるはちにもあらす 回心より外になき神を、 おそろしき神別に有とおもふ、−︵林︶心より外になき神を、おそ ろしき神ありと思ふ。−︵鉄︶心よりほかになき神をおそろしき神 別に有と思ふ 回その霊、やがて神なれハー︵林︶そのたましゐ、 やがて神なればI︵鉄︶其玉しゐやがて神なれは 町我心のあつ る罰なり、−︵林︶わが心のあつるばちにて、あつるなり。−︵鉄︶ わか心あつるはちにて有也 回然とも、さとりを得たる人の前に てハ、−︵林︶されども、さとりをえざらか人の前にては、−︵鯵 然共悟をえさる人の前にてハ 瞬だゝ外に有やうに振舞て見せ聞 へし、−︵林︶だゞ外にあるやうにふるまふてみせよ、−︵鉄︶外 に有やうにふるまうてミせきかすへし 20悟ぬもの、そしりをい たせハ、−︵林︶さとらざるもの、そしりをいだせば、−︵鉄︶さ とらぬ物ハそしりをいたせハ 呉其罪を得な犬−︵林︶ つみを うくるなり、−︵鉄︶笠ハつミうる也 言、業平の悟りと神との関診 業平の毎に、 こひしくハきてもみよかしちハやふる 神のいさむるみちならなくに とよめる、千早振4 ハ人の霊なり、此言ハ、皆伊勢なれハ、なにと て、かの伊勢にても、伊勢をハいとふへきとよミはんへり、みちと ハ和1 の道なり、実もいかなる人か、千早ふらぬ人あるへき、いか なる人前父母和合よりいてきたりぬ人あるへき、また業平のうたに いはく、 恋せしとみたらし川にせしみそき 神ハうけすもなりにけるかな とよめる断り、いかなる神も此道をせしと祈らんか、皆伊勢にて伊 勢をせしといはんをハ、 いかなる神かうくへきや、神と云も、我心 10 11]なるを、二条の后此さとりを得ずして、たゝ此まつりをして遁かと 12 のたまヘハ、まつりことを后のためにしてみせたてまつれとも、我 ハ此さとりをえたれハ、心にたうりなき事なれハノつけすおもふを、 13 14神ハうけすもなりにけるといふなり、迷る者、此さとりをえさる、 5 − 神 外 に 有 と 思 ひ て 、 こ の ま つ り を せ は 、 も し か な ふ こ と も あ り な ま 6 7 1 1 し 、 そ の ゆ ヘ ハ 、 ば か に 有 て お そ ろ し く お も ふ 、 や が て 、 神 な れ は 、 Q ︰ y 9 1 1 か な ふ こ と あ り ぬ へ き な り 、 い つ れ も み な お も 子 1 い せ な れ ハ 、 た ヽ 0 1 2 2 心 に 任 せ て 、 あ る に 随 ひ て 有 へ き な り 、 是 こ の 誠 の さ と り 也 、 迷 へ る者のためにハ和合せぬも罪となる、おもひをのこすゆへに和合す 一〇五
飯塚恵理人・蛯江ゆき・米日ヨ真理 23 氾一 るも罪となる、ねんあるかゆへに、悟る者のうへにハ、和合するも 25 26功徳となる、迷ひを導かん為になれは、元来皆いせなれハなり、こ の心をもってなり、 ︿校異﹀ I業平の1 に、こひしくハきてもみよかしちハやふる 神のいさ むるみちならなくにI ︵林︶然に、なりひらがうた、 恋しくはき てもみよかしちはやぶる 神のいさむる道ならなくにI︵鉄︶業平 寄に 恋しくハきてもみよかしちハやふる 神のいさむる道ならな くに 2.とよめる、千早振ハ人の霊なり、− ︵林︶とよめるぱ、 ちはやぶる神は人のたましゐなりI︵鉄︶とよめるハちハやふる神 ハ人の玉しゐ也 3.此言ハ、皆伊勢なれハ、−︵林︶此神、みな いせなればI︵鉄︶此玉しいミな伊勢なれは 亀なにとて、かの 伊勢にても、伊勢をハいとふへきとよミはんへり、−︵林︶何ごと とて、かのいせにて、いせをばいさか2 べきとよみ侍しなり。−︵鉄︶ 何とてかのいせにていせをはいはふへきとよミ侍り 5.みちとハ 和合の道なり、実もいかなる人か、千早ふらぬ人あるへき、−︵林︶ みちとは、わがうのみちなり。げにもいかなる人か、もはやぶらぬ 人有べきや。−︵鉄︶道とハ和合の道也けにもいかなる人かちハや ふらぬ人有へき 6.いかなる人か父母和合よりいてきたりぬ人あ るへき、−︵林︶人といふほどなるがちゝはゝのいせ︵言わがう よりいでこぬ人ありや。−︵鉄︶ いかなる人か父母和合より出こぬ 人有へき 7.また業平のうたにいはく、恋せしとみたらし川にせ しみそき 神ハうけすもなりにけるかなI︵林︶なりひらよめる、 こひせじとみたらし川にせしみそぎ 神はうけずもなりにけるかな I︵鉄︶又業平の毎に云 亦ごしせしと御手洗川にせしミそき 神ハ うけすも成にけるかな 8.とよめる断り、いかなる神も北道をせ 一 〇六 しと祈らんか、皆伊勢にて伊勢をせしといはんをハ、いかなる神か うくへきや、−︵林︶とよめるは、いかなる神はうくべきや。−︵鉄︶ と読ることハりいかなる神も此道をせしといのらかI−ヽないせにて いせをせしといはんをハいかなる神かうへき也 9.神と云も、我 心なるを、−︵林︶神といふも、わが心なれば、−︵鉄︶神と云も わか心なるを 見二条の后此さとりを得ずして、−︵林︶二条の きさきのこのさとりをえずして、−︵鉄︶二條后この覚をえナして 11。たゝ此まつりをして遁むとのたまヘハ、︱︵林︶唯此まつりし てわかれんとのた1 へば、−︵鉄︶だゝ此まつりをしてのかれむと の給へは 見まつりことを后のためにしてみせたてまつれとも、 我ハ此さとりを見とれハ、心にたうりなき事なれハ、うけすおもふ を、−︵林︶まつりをばまどへるき谷きの為にしてみせたてまつれ ども、我は此さとりをえたれば、心にだうりなき事なれば、うけず 思ふを、−︵鉄︶まつりことをハ后のためにしてミせたてまつれと もわれハ北覚を見とれ句心に道理なき事なれはうけす思ふを 見 神ハうけすもなりにけるといふなり、−︵林︶神はうけずもなりに けるかなといふ也。−︵鉄︶神ハうけすも成にける哉と云也 見 迷る者、此さとりをえさる、−︵林︶まよふもの、このさとりをえ ざるゆへに、−︵鉄︶まよへる物北覚をえさる 見神外に有と思 ひて、このまつりをせは、もしかなふこともありなまし、−︵林︶ 神は外にありと思ひて、此まつりをせば、もしかなふ事もありなま し、−︵鉄︶神ほかにあると思ひて此まつりをせは若かなふ事も有 なまし 巧そのゆヘハ、ほかに有ておそろしくおもふ、−︵林︶ そのゆへに、外にありとしりておそろしき事と思ふ心、−︵鉄︶其 故ハ神ほかにありておそろしく思ふ也 几 やがて、神なれは、か なふことありぬへきなり、−︵林︶やがて、そのかみなれば、かな
ふ事ありぬべき也。−︵鉄︶やがて神なれはかなふ事有ぬへき也 巧 いっれもみなおもふ心いせなれハ、− ︵林︶ただこのみちにをひて は、せんと思ふも、せじと思ふも、おなじ事なれば、いずれもみな せぬもするも思ふ心いせにて有故に、せじと思はんを、いさかびす る事なかれ。せぬもするも思子1 みないせにて有故に、−︵鉄︶ い っれにもミな思子1 いせなれは 巧だミ1 に任せて、あるに随ひ て有へかなり、−︵林︶只心にまかせて、あるにしたがふて有べき 也。−︵鉄︶だ之1 にまかせてあるにしたかひて有へき也 20是 この誠のさとり也、− ︵林︶是まことのさとり也。−︵鉄︶ これ此 実の覚也 雖迷へる者のためにハ和合せぬも罪となる、−︵林︶ かるがゆへに、あるにもあらずなきか、なきにもあらずせぬか、せ ぬにもあらずするか、するにもあらず。まよへるものゝためにはせ ぬもっみになる。−︵鉄︶迷物のためにハ和合せぬもっミとなり 22 おもひをのこすゆへに和合するも罪となる、−︵林︶思ひをのこす ゆへにするもっみになりI︵鉄︶思ひを残す故に和合するもっミと 成 23ねんあるかゆへに、−︵林︶聖念あるがゆへなり。−︵鉄︶ 念有故に 24 悟る者のうへにハ、和合するも功徳となる、−︵林︶ さとれるものゝためには、するもくどくとなる。もとよりのいせな れば、せぬもくどくとなる。−︵鉄︶覚物の上にハ和合するも功徳 となり本よりいせなれハせぬも功徳となる 巧迷ひを導かん為に なれは、元来皆いせなれハなり、−︵林︶まよひをみちびかむため なれば、するもせぬも、よさにもあらず、あしきにも非ず、もとよ りの伊勢なれば也−︵鉄︶まよひを道ひかんためなれは元来ミない せなれは也 26この心をもってなり、−﹁林︾﹂の心をもてI︵鉄︶ 此心をもちて ︵4、義晴︹滋春︺の悟り︶ よしはるか私のきにょみてぃはく、 伊勢にしてぃせをハいかゝのそくへき するものそ伊勢い勢の伊せにて 此さとりをよくくたっねてさとりうへきなり、 4ゆめくぉほっか ″D なき事あらむぱとハ、われいまたさとりをえずとしりて、みなよろ つの物を、此伊勢の二きになすへきなり、伊 やう、勢ハ恵なり、伊ハり、勢ハ知なり、伊 ハ女、勢ハ男、伊ハち ハ胎、勢ハ金剛なり、 伊ハあ、勢ハうんなり、伊ハ身、勢白1 伊は右の手足、勢ハ左の 手足なり、伊 ︽校異﹀ ハ地、勢ハ天、伊ハ火、勢ハ水、伊八月、勢八日なり、 Iよしはるか私のきにょみてぃはく、伊勢にしてぃせをハいかゝ のそくへきI︵林︶長能が私の記にょみてぃはく、 いせにしてぃ せをばいかゞのぞくべきI︵鉄︶長能か和記によミて云 伊勢にし てぃせをはいかゝのそくへき 2.するものそ伊勢い勢の伊せにて I︵林︶するてのいせもいせのいせにてI︵鉄︶する物もいせ伊勢 のいせにて ミ此さとりをよくくたっねてさとりうへきなり、 −︵林︶此さとりをよくくたづねさとるべき也。−︵鉄︶此覚を よくく尋てさとりうへき也 亀ゆめくぉばっかなき事あらむ ほとハ、われいまたさとりをえすとしりて、−︵林︶ゆめくぉぼ っかなき事あらむほどは、我いまださとりをえずしてありとして、 −︵鉄︶努々おほっかなきことのあらんほとハ我いまだ党をえすと 知て 5.みなよろっの物を、−︵林︶万のものを、−︵鉄︶ミな 萬の物を 6.此伊勢の二きになすへきなり、−︵林︶この伊勢の 二儀になすべき也。−︵鉄︶此いせの二儀になすへき也 7≒伊ハ 女、勢ハ男、伊ハちゃう、勢ハ恵なり、伊ハり、勢ハ知なり、伊ハ 胎、勢ハ金剛なり、伊ハあ、勢ハうんなり、伊ハ身、勢白1 伊は 一〇七
飯塚恵理人・蛯江ゆき・米日日真理 右の手足、勢ハ左の手足なり、伊ハ地、勢ハ天、伊ハ火、勢ハ水、 伊八月、勢八日なり、−︵林︶○伊は女、定・理・胎蔵界で1 ・右 の手足・地・火︱日。○勢は男、恵・智・金剛界︱身︱左の手足︱ 天・水1月。−︵鉄︶和ハ伊にハ女勢ハ男伊ハ是勢は恵也伊ハ理勢 ハ智也伊ハ胎臓勢ハ金剛也伊ハ対勢ハ当也伊I1 勢 左手足伊ハ地勢ハ天伊ハ火勢ハ水伊八月せ八日也 十二、︹伊勢二門 極理潅頂撰 阿古根浦口伝︺ 〒、業平が往吉明神に重んじられたこ言 伊勢の二もん、こくりくハんちやうせん、 あこねのうらのくてんものかたりにいハく、 今身伊右手足勢 太上天皇すミよしへ御幸なり給ふといふハ、文徳天王、 天安元年正 月十八日、なかよしかきに、ことにミのけをふるうといふハ、業平 か、冊よむをたまのたむのうへにひさまつきたてまつる時、明神だ くせんにいはく、 本ノママ 引将ほんゐをのへんとおもひ、0 かしより、にしきのうらのちきり、 へんさい三ようなり、業平かよめる脊 ハ す、神の勅を蒙りて、是をかろしめす、 るゝはしめなり、業平神の御前にして、 我みてもひさしく成ぬすミよしの 岸のひめ松幾世経ぬらむ 御神現せられて御返毎にいはく むつましと君ハしらなみミつかきの 久しき世よりいわゐそめてき 、是凡失の境界愚人にあら 是ハあこねのうらのあらハ むかしの冊を詠す、 此1 ハつもりの宮人しんたつ大ふと云者に、たくせんしたまふ爵な り、なんちハ凡夫にあらす、人たやすくすることよしなしとのへた 一〇八 丈ふなり、文徳みかと此事をきこしめして後、中将をがるくしかま けず、 ︿校異﹀ I伊勢の二もん、−︵林︶伊勢二門−︵鉄︶伊勢の二門 2.こ くりくハんちやうせん、−︵林︶極理潅頂撰−︵鉄︶極理潅頂撰 ミ あこねのうらのくてんものかたりにいハく、− ︵林︶あこねのうら のロ伝イ本根作伎ど。物語二云、−︵鉄︶阿古根の浦のロ傅物語云 亀 太上天皇すミよしへ御幸なり給ふといふハ、−︵林︶太上天皇住吉 に御幸なり給ふと云は、−︵鉄︶太政天皇往吉へ御幸なり給ふと云 ハ 5.文徳天王、天安元年正四万十八日、−︵林︶文徳天皇、天安 元年正月十八日、すみよしへまうでさせ給ふ。−︵鉄︶文徳天皇天 安元年正月十八日 6.なかよしかきに、ことにミのけをふ号つと いふハ、−︵林︶長能の私記に云、ことにふりうと身のけは、文徳 の聖主往吉へみゆきなり給ふが、−︵鉄︶長能か記二ことに身の毛 をふるふと云ハ ワ≒業平珈、奇よむをたまのたりのうへにひさま っきたてまっる時、−︵林︶なりひらが、よみし奇をひざまづきて 玉壇の上にひそかに是をたてまっるとき、かんこんあふぎ、天のめ ぐみ風すゞし。−︵鉄︶業平水奇読を玉檀の上にひさまっき是をた てまっるとき 8.明神たくせんにいはく、 本ノでI︵林︶然 に、明神たくせむにのたまはく、︱︵鉄︶明神詫宣云 9.中将ば んゐをのへんとおもひ、−︵林︶則、中将本意をのぶと思へり。︱ ︵鉄︶中将本意をのへかと思ひ 片かかしより、にしきのうらの ちきり、−︵林︶かかしより、にしきのうらのちぎぎり、ト︵鉄︶ かかしよりにしきの浦のちきり 11。へんさい三ようなり、−︵林︶ 弁才たへなるものおばしといへども、−︵鉄︶弁才俳なり 12業 平かよめる奇ハ、是凡夫の境界愚人にあらす、−︵林︶なりひらが
よめるうたは、是ぼんぶ ︵言き予つがいのぐわんに循らず。たや すくするによしなしとI︵鉄︶業平か読る爵ハこれ凡夫の境界愚人 にあらす 行神の勅を蒙りて、是をかろしめす、−︵林︶神勅を 蒙りて、これをはゞからずして、−︵鉄︶神の勅を蒙りてこれをか ろしめす 八是ハあこねのうらのあらハるゝはしめなり、−︵林︶ これあこねのうらのあらはr.Q .けじめ也。−︵鉄︶是ハ阿古根の浦 のあらハるゝ始也 15。業平神の御前にして、むかしの可を詠す、 −︵林︶又、なりひら神前にして、むかしの可をよめる。−︵鉄︶ 業平神の御前にしてむかしの可を詠ず 行我みてもひ谷しく成ぬ すミよしの 岸のひめ松幾世経ぬらむ 御神現せられて御返爵にい はく むつましと君ハしらなみミつかきの 久しき世よりいわゐそ めてきI︵林︶ナシー︵鉄︶われミても久しく成ぬ往吉の きしの 姫松いく代へぬらん 神現し給ひて返可云 むつ言しか君はしらす やみつかきの 久しき代より思ひそめてき ワ此可ハつもりの宮 人しんとつ大ふと云者に、たくせんしたまふ可なり、−︵林︶かん たちのだゆふといふ者につきて、たくせんの1 也。−︵鉄︶此百八 津守宮入神達大夫と云ものに詫宣し給ふ可なり 八なんちハ凡夫 にあらす、入たやすくすることよしなしとのへたまふなり、−︵林︶ なんぢぼんぶにあらず、入たやすくするによしなしとのつげなり。 ︱︵鉄︶汝ハ凡夫にあらす人たやすくよる事よしかしと︹書白添光 :のへたまふ︺ 行文徳みかと此事をきこしめして後、中将をが るくしたまはす、−︵林︶御前に御ことをきこしめしてのち、中将 をかろくなしそと云り。︱ ︵鉄︶ ︹書白添え:もんとくみかと此こ とをきこしめして︺後中将をがるくし給ハす 言、業平が往古明神より﹁阿古根浦口伝﹂を伝授吝れたこ古 業平たまのたんにひさまつゐてあるに、明神御感参り、業平この心 心肝にそミてすヽしか時、ミやのうちより、 天つかミ伊勢の契りをたつぬれは あこねのうらを君にしめしつ しるばとの人しなけれハ伊勢の国 あこねのちきりきみにしめしつ 業平、よろこひてよめる、 伊勢の国たつねて も 力 またまよひなん ふかきちきりのほとをしらねは 叉㈲神御詠 つきもなき伊勢のかからいたとりこし やミなるみちを君しるへせよ 一はんのきよふの心ハ、天津神伊勢の契とハ、天照太神の御父母い さなヽ侃 e い谷なきの、天神七代・地神五代のはしめにてある天神な 3 4 り、1 ハ御父母のかミの御事なり、言勢の契りとハつきのながらい、 和合なり、 その契りのはしめをたつぬれハ、あこねのうらといふ所 15なり、いざなミヘ e い啓なきの、そらより天降りて、此浦にて、嫁眸 しむるなり、たゝしハにしきの浦といふなり、 ふたいろの浦といふ 1 なりご言を君にしらせんとあそハしたまへる開、二ほんの御詠、 しるばとの人しなけれハ、伊勢の国のあこぬの君にしらしめんと、 いせ二つのかハ、男女なり、男女のはしめ契りの咎とりをハ、凡夫 にハいかゝおしへん、汝は、たゝ人にあらす、契りの初めをしめし つと系いしたまへるなり、あこねとハ子を産ことかきたり、あこね を尋ぬれは、嫁のうらといふ心なり、 ︽校異︾ I業平たまのたんにひ吝まつゐてあるに、−︵林︶業平ぎよくら んにひざまづきてあるに、−︵鉄︶業平玉檀にひさまつきてあるに 一〇九
飯塚恵理人・蛯江ゆき・米日ヨ真理 犬引神御感あり、−︵林︶みやうじんのごかん、−︵鉄︶瞬神御 感 3.叢半この心心肝にそミてすゝしか時、−︵林︶なり0 らの しんかんにそみて心すずしきとき、−︵鉄︶業平の心肝に染て1 ずヽ しか時 亀 ミやのうちより、天つかミ伊勢の契りをたつぬ軋は あこねのうらを君にしめしつI︵林︶宮のうちより、あかき衣きた るわらはべ、とはそのぎよくだんをひらきて、うたひ給ふと思ふ。 うたにかく、あまつ神いせのちぎりをたづぬれば あごねのうらを 君にしめつゝ− ︵鉄︶宮内より あまつ神伊勢の契りを尋ぬ軋は 阿古根のうらを君にしめしつ ミしるばとの人しなけれハ伊勢の 国 あこねのちきりきみにしめしつI︵林︶ナシー︵鉄︶しる程の 人しなければ伊勢の国 あこねのちきり君にしめしつ G。業子、 よろこひてよめる、−︵林︶なりひら、よろこぴてよめる毎に、か く、−︵鉄︶業子悦てよめる 乙伊勢の国だつねで またまよひ なんI︵林︶ いせのくにたづねても又まよひ南−︵鉄︶伊勢の国だ つねても元まよひなん 8.ふかきちきりのにとをしらねはI︵林︶ ふるき契のほどをしらせよI︵鉄︶ふかきちきりのばとをしらねは 9.元明神御詠 つきもなき伊勢のかからいたとりこし や員なる みちを君しるへせよI︵林︶ナシ︹宮0 文庫本一元、明神の御詠。 つきもなき伊勢のなからひたどりこし やみなるみちを君しるべせ 土−︵鉄︶元明神の御詠 つミもなきいせのなからひたとりこし やミなるみちを君しるへせよ 押 一はんのきよゑの㈲ハ、−︵林︶ 一番の御うたの心は、−︵鉄︶ 一番の御詠の意八 輿天津神伊勢 の契とハ、−︵林︶あまつかみいせのちどりとは、−︵鉄︶天津神 いせのちきりとハ 膳天照太神の御父母いさな々ぺ t い谷なきの、 天神七代︱地神五代のはしめにてある天神なり、1︵林︶天照大神 の父母yいざなぎIいざなみの、天神七代・地神五代のはじめにてあ 一一〇 軋ば、あまつかみとは天神也。I︵鉄︶天照太神の御父母伊弊諾伊 発冊の天神七代地神五代ばしめにてある天神也 穏是ハ御父9 の かこの御事なり、︱︵林︶こ牡はいざなぎ・いざなみのことをいふ 也。−︵鉄︶ こ牡ハ御父母の神の御事也 特伊勢の契りとハ⊇呑 のながらい、和合なり、その契りのはしめをたつぬ牡ハ、あこねの うらといふ所なり、−︵林︶ いせの契りとは、とつぎのなからひ、 和合也。そのちぎりのはじめをたづぬれば、あこねのうらといふと ころ也。−︵鉄︶ いせのちきりとハとつかのなからひの和合也その 契りのはしめを⑤ぬ牡はあこねの浦と云所也 ヰ いざな`気 e い谷 なきの、そらより天降りて、此浦にて、嫁ぱし0 るなり、たゝしハ にしきの浦といよなり、ふたいろの浦といふ心なり、−︵林︶たう じはにしきのうらといふ也。にしきのうらとは、二色のうらといふ 心也。いざなぎIいざなみのみこと、そらよりあまくだりて、この うらにて、とつぎはじめしところ也。I︵鉄︶伊詐諾伊発冊の天よ り天下で此浦にてとつきはし0 る也当時ハ錦のうらと云1 二色のう らと宰心0 珀ご言を君にしらせんとあそハしたまへる開、−︵林︶ こゝを君にしらしめ0 とはよませたまへる也。−︵鉄︶ こゝを君に しらせ0 とあそはし給へる ドニはんの聯詠、−︵林︶言誉の毎 に、−︵鉄︶二番ノ御詠 特しるばとの人しなけれハ、︱︵林︶ しらけどの人なければ、−︵鉄︶しるばとの人しなければ 押伊 勢の国のあこねの君にしらしめんと、−︵林︶ いせのくにあこねの ちぎり君にしらしめんと。︱ ︵鉄︶ いせの国のあこねのちきり君に しらしめんと 萌 いせ二つのかハ、男女なり、−︵林︶ いせの二 義は尚也。−︵鉄︶ いせの二の儀ハ尚なり 牡劈女のはしめ契り のさとりをハ、凡失にハいかゝおしへん、−︵林︶娯のはじめのち どりを、ぼんぶにはいかごをしへ0 。1︵鉄︶帽の始契の覚とハ凡
夫にハいかゝをしえむ 四汝は、たヽJ入にあらす、契りの初めを しめしつとゑいしたまへるなり、−︵林︶なんぢは、たぐ人にあら ねば、ちぎりのはじめをしめしつとよませ給0 けり。I︵鉄︶汝ハ たゝ人にあらねハ契のはしめをしめし一と詠し給ふへか也 嬰為 こねとハ子を産ことかきたり、−︵林︶あこねとは手をう0 ことか きたり。− ︵鉄︶阿古子とハこをうし手と書たり 特有こねを尋 ぬれは、嫁のうらといふ心なり、−︵林︶あこねをたづぬ軋は只和 合なり。とつぎのうらといふ所也。︱︵鉄︶阿古平を⑤ぬれはとつ きの浦と云心1 言、業平の返歌の意味︶ 業平の返事の脊ハ、このなんによはしまり、たつねても猶迷ひ、ふ かき契りのさとりをハ、いかゝ谷とりうへきとなり、神の御冊の、 つきもなき伊勢のなからひたとりわひとハ、男女の和合の道ハつ きもなくて、くとくにてあるを、人吝とりえずして、たとりわふ るを云なり、やミなる道を君しるへせよとハ、迷へる生死の人を此 さとりひらかせて道引といふなり、すてに業平の深白契りのいとを 8しらせよと祈り申たることハ、互におハりぬるものなり、 0 9 其後 勢の順にあこぬの浦をかっかゆきて、このところをみるより、一 一11 つ し1 のさとりそこよりひらけて、いよく此道の谷いはひなるをえて、 つゐに誠の道にいりにき、このことハ、よっきにもしろさす、業平 かだくしのひしなゆへに、しゅしゃくゐんのすぃなうにもかくるこ となし、九∼業平の家のしゃうにしるしおくところをもって、か きおく也、 ︿校1 I業平の返事の冊ハ、このなんにょはしま犬たっねても猶迷ひ、 ふかき契りのさとりをハ、いかヽさとりうへきとなり、−︵林︶な りひらが返事は、このこと、とっぎの事のはじまりを、たづねても なをまま0 か0 、ふかきちどりの谷とりをば、いかご谷とりうべき と也。−︵鉄︶業平の返事の脊ハ此端の始たっねても猶まよひふる き契の吝とりをはいかゝ吝とりうへきと也 亀神の御脊の、つか らかき伊勢のなからひたとりわひとハ、︱︵林︶かみの御うたの、 つみもなきいせのなからひた︵ど︶りはいるといふは、−︵鉄︶神 の御冊のっミもなき伊勢のなからひたとりわひとハ 入男女の和 合の道ハつきもなくて、くとくにてあるを、人吝とりえずして、 −︵林︶とっぎのわがうのみちはっみもなくして、くどくにてある を、人谷とり光ずして、−︵鉄︶㈹の和合の道ハつミもなくして功 徳にて有を人の覚ふすして 亀たとりわふるを云なり、−︵林︶ たどりはいるをいふ也。− ︵鉄︶たとりわふるを云也 ≒ やミな る道を君しるへせよとハ、−︵林︶ やみなるみちを君しるべせよと いふは、−︵鉄︶ ヤミなる道を君しるへせよとハ 6.迷へる生死 の人を此谷とりひらかせて道引といふなり、−︵林︶生死の人をこ のさとりをひらかせみちびけといふこころ也。− ︵鉄︶まよへる生 死の人を此覚ひらかせてみちひけと云也 7≒すてに業平の深白契 りのいとをしらせよと祈り申とろことハ、−︵林︶すでになりひら のふかきちぎりのばどをしらしめよと祈り申とろことは、−︵鉄︶ 既に業平のふかき契の程をしらせよと訴甲たる事 へ互におハり ぬるものなり、1︵林︶かなひおはりぬるもの也。−︵鉄︶たかひ におハりぬる物0 亀其後、い勢の順にあこねの浦をたっねゆき て、−︵林︶そのゝち、いせの節為こねのうらをたづねゆきて、− ︵鉄︶其後いせの順に阿古根の浦をかっか行て 押 このところを みるより、︱︵林︶かしこを見るより、︱︵鉄︶此所をミるより 八 二つの谷とりそこよりひらけて、−︵林︶ いせのさとりそこよりひ 一 ︸ 一
飯塚恵理人・蛯江ゆき・米日ヨ真理 らけて、−︵鉄︶此党底よりひらけて 12。いよく北道の吝いは ひなるをゑて、つゐに誠の道にいりにき、−︵林︶ いよく此道の 幸なる事、つゐのまことのみちにいりにき。−︵鉄︶弥此道の幸な るをえてっゐのまことの道に人にき 柿 このことハ、よっきにも しるさす、−︵林︶この事、世っぎにもしるさず。−︵鉄︶此事ハ 世継にもしるさす 14。業平わたくしのひしなゆへに、−︵林︶な りひらのわたくしのひじなるゆへに、︱︵鉄︶業平の私の秘事なる 故に 巧しゆしやくゐんのすぃなうにもかくることなし、−︵林︶ 朱雀院の髄脳にもかゝる事なし。︱︵鉄︶朱魯雀院の髄脳にもかゝ るゝなし 巧九∼業平の家のしやうにしるしおくところをもっ て、かきおく也、−︵林︶只、なりひらの家の集にしるしをく所を もて、其いゑけりにょむところ也。−︵鉄︶だゝ業平家集にしるし をく所をいかき置所也 ⊇、﹁伊勢﹂の意味︶ 住吉大明神、これ、ふきあはせすのみことゝ申ハ是なり、このこと のさとり、皆元来のさとりにてわかくにっもりの浦に跡をたれて人 を道引て此道をまもりたっる、伊と云ハ女、勢と云ハ男、いざなみ ハおんな、いさなきハおとこなり、この二しんなんにょの1 なり、 rD叉伊勢といふハ男女のき也、叉伊といふハかいの字なり、ロをあき 6 ていはるゝくちのうちの声の文字なり、勢といふハかうの字なり、 しなひの声のもしなり、か いかうのきをたでかかすに、かうといふ 字をハ、つほむとよむ、男の裸のっぽミたれハなり、か いの宇を、 ひらくとよむ、おんなのかいはひらけたれハなり、おとこをかうの れんけ、おんなをかいの蓮花といふ、これもこんかい・胎蔵かいと いふなり、総よそ天下の万の草・木・つち・やま・河・海、9 勢の 外に、別の物なし、みな伊勢よりいてきたりて、いせをするなり、 一 コー ︿校具︾ I往古大明神、これ、ふきあはせすのみことヽ申ハ是なり、︱︵林︶ 抑、なりぴら、家の集にかきをくところ、往吉の明神は、是、うか やふきあはせずのみことの、日4 月神をうみたてまつりし時、うの はをもて、日神のうぶやをふきし人なり。−︵鉄︶往吉犬引神ハこ れ鵜萱不0 合尊と申ハ1 也 2.このことの咎とり、皆元来のさと りにてわかくにつもりの浦に跡をたれて人を道引て此道をまもりた つる、−︵林︶此吝とりのふかきより、吝とりて、吾、国つかみの うらに跡をたれ、人をみちびき、このみちを守り給ふと有。いざな ぎ・いざなみの日神とは、天照大神、月神とは、やまとたけのみこ と・す谷のおのみこと、ならびにふたはしらをたつるに、− ︵鉄︶ 此覚みな元来さとりにてわが国つもりのうらに跡をたれて人を導引 て此道をまもり給ふと1 井に伊勢の二門をたつる 3.伊と云ハ女、 勢と云ハ男、−︵林︶伊は女、勢ぱおとこ也。−︵鉄︶伊と云ハ女 勢と云男 建。いざなみハおんな、い谷なきハおとこなり、この二 しんなんによの1 なり、叉伊勢といふハ男女のき也、−︵林︶ いざ なぎIいざなみとは、おとこ女の1 也。−︵鉄︶伊算冊女也伊井諾 男也此二神男女の1 也叉伊勢と云ハ男女の儀也 ≒叉伊といふハ かいの字なり、ロをあきていけるゝくちのうちの声の文字な勺、1 ︵林︶叉伊は開の字なり。ロをあけて出るロのうちのこふのもんじ 也。︱︵鉄︶伊と云冊字1 口をあきていけるゝロの内のこ2 の文字 也 亀勢といふハかうの字なり、しなひの声のもしな犬I︵言 勢は、あはするの字也。はのうちのこふのもんじ也−︵鉄︶勢と云 合の字也歯内のこふ文字也 八かいかうのきをたてなかすに、か うといふ字をハ、つぱむとよむ、1︵林︶開合の二義を尋ぬるに、 合といふ字をば、つぼむとよむ也。−︵鉄︶開合の儀をたつると合
と云字をはっほむとよむ 8.男の裸のっぽミたれハなり、−︵林︶ されば、おとこの開はっぼみたれば合といふ也。−︵鉄︶男の閉っ ほミたれハ也 9.かいの字を、ひらくとよむ、−︵林︶開といふ 文字は、ひらくとよむ。−︵鉄︶開と云宇をひらくとよむ 坪お ん座のかいはひらけたれハなり、おとこをかうのれんけ、おんなを かいの蓮花といふ、−︵林︶されば、女の開はひらけたれば、開蓮 花といふ。−︵鉄︶女の開ハひらけたれハ也男を合蓮花女を開蓮花 と云 輿 これもこんかい・胎蔵かいといふなり、−︵林︶是を金 剛界︱胎蔵界といふ也。−︵鉄︶是を金則界胎臓界といふ也 耶 およそ天下の万の草︱木・つち・やま・河・海、−︵林︶几、天下 の万の草︱木・土︱川︱山までも、−︵鉄︶几天下のよろっの草木 土山河海 穏伊勢の外に、別の物なし、−︵林︶此伊勢の外、㈹ に物なし。−︵鉄︶ いせのはかに㈹のものなし 特 みな伊勢より いてきたりて、いせをするなり、−︵林︶みないせより出て、いせ をする也。いせはおほく有やうにはおぼゆれども、皆だゞひとっい せ也。−︵鉄︶ミないせより出来ていせをする也いせハおほく有や うに思へともミなたゝ一伊勢也 言、﹁秋津島﹂ の起源と天神七代・地神五代︶ ″J 2つしまのおこりをたつぬれハ、よつきのほんもんにかきしるす天神 七代旬地神五代といふこと、天神のはしめ、くにつねたちより空中 にすミてこのくにゝきたらすとしるせり、いかにしてか空中にすま ふへ ろえへきそや、天神とハ、たゝ空の神とかけり、 き、又、命もなかくきはまらすとしるせり、是なにをもってこ 天といふ、故に天神なり、 命きはまらすと 父母にとつきせぬ先に、空中に有時を、 7人のたましゐの 9 れとも、たましゐハうせすして中にあり、このたましゐハ空にみち てわ壮人のたましゐなり、 く生死をはなれ、霊ハ、我 一つかミの伊勢なりとしりぬれハ、なか へし、人のとつきするときこのみちばしのことくにして、− いせ人のいせとさとり、頓而父母となる ﹂の霊、 ちゝとはゝと和合する時、かたまりあふてはゝの胎内にいりて、人 2 2と成て生るゝなり、又はゝの胎内に有時 此23命 ハ、是木火上金水の五行、和合せぬは、すかたなけ ハ、命みしかきに似たれ共、 なり、乱るゝ時なけれハ死する事なしといふハ、もとよりある命な ハしなしヽ乱軋ハ空中にある時ハきはまりなきなり、これ生死 れハ、すかたハかりこそ生るれ、命ハ生れず、 生死といふ事なしといふなり、 ︽校異﹀ た28ゝもとの命なれハ、 1 つしまのおこりをたっぬれハ、−︵林︶抑、我朝秋津鵠の事尋 ぬれば、−︵鉄︶抑吾穐津嶋のおこりを尋ぬれは 2.よっきのほ んもんにかきしるす天神七代・地神五代といふこと、−︵林︶世っ ぎのばんもんにしるせるは天神七代・地神五代と云り。−︵鉄︶世 継の本文に書0 天神七代地神五代と云事 3.天神のはしめ、くに っねたちより空中にすミてこのくにゝきたらすとしるせり、いかに してか空中にすまふへき、−︵林︶天神のはじめ、くにとこたっの みことより空中にすまぴしてこの間にきたらずとしるせり。いかに してか空中にはすまふべき。−︵鉄︶天神の始間常立尊より空中に 住て此順に来らすとしるせりいかにしてか空中にすまふへき 亀 災、命もなかくきはまらすとしるせり、−︵林︶災、いのちもきは まりなしとしるせり。−︵鉄︶災命もなく極石としるせり 5.是 なにをもってこゝろえへきそや、−︵林︶何をもて心得べきぞや。 −︵鉄︶これなにを以心得へきそや G。天神とハ、たゝ空の神と かけり、−︵林︶天神とは、空神とかきたれば、これはすべてっく りけるほんもん也、−︵鉄︶天神とハたゝそらの神とかける ワ≒ 一 一三
り、人の身のあつくあたゝかかるハ火なり、しるたり涙 ハ是水なり、 飯塚恵理人・蛯江ゆき・米日日真理 大のたましゐの父母にとつきせぬ先に、−︵林︶∧のたましゐの父 9 に甥せぬさきに、︱︵鉄︶大の玉しゐの父母にとつきせぬ谷かに 8.空中に有時を、天といふ、1︵林︶いまだ空中にかけるときは、 天といふ也。−︵鉄︶空中に有時を天と云 9.故に天神なり、− ︵林︶其故は、空の神なれぱなり。−︵鉄︶故に天神也 行0 春 はまらすとハ、−︵林︶いのちきはまらずと云ば、いか万心得べ白。 ︱︵鉄︶命ぎハまらすとハ 11。是水火土金水の五行、−︵林︶是 は、木火土金水の五行、︱︵鉄︶是ハ水火土金水の五行 12和合 せぬは、すかたなけれとも、1︵林︶和合して、またすがたはなけ れども、−︵鉄︶和合せぬ程ハすかたなけれとも 瞬たましゐハ うせすして中にあり、−︵林︶神はうせずして、中有にあり。︱︵鉄︶ 玉しゐハうせすして中有にあり ヰ このたましゐハ空にみちてわ れ大のたましゐなり、−︵林︶この神は、只空にみちて我人の神也。 − ︵鉄︶此玉しゐハ空にみちてわれ大の玉しゐ也 巧 一つかミの 伊勢なりとしりぬれハ、−︵林︶ ︸神の伊勢としりぬれば、︱︵鯵 一神のいせなりと知ぬれぱ 珀。なかく生死をはなれ、−︵林︶な がく生死をはなれて、−︵鉄︶永生死をはなれて 巧言ハ、我い せ大のいせとさとり、頓而父母となるへし、−︵林︶此神ぱわが神・ 人の神とてかはりて別にあり。然れども、われ伊勢と吝とる時は、 やがて父母と成べし。−︵鉄︶神ハわかいせ人のいせと谷とるやか て父母となるへし 18人のとつきするときこのみちばしのことく にして、−︵林︶人姉するときの此みちは、ばしのごとくして、− ︵鉄︶大のとつきする時此道1 のことくにして 瞬 この霊、ちヽ とはゝと和合する時、−︵林︶此神、父と母と和合するとき、−︵鉄︶ 此神父と母と和合する時 20かたまりあふてはゝの胎内にいりて、 ︱︵林︶かたまりあひて母の胎のうちに人で、−︵鉄︶かたまり合 一 一㈲ て母の胎内に︹書白添犬:いりて︺ 21人と成て生るゝなり、− ︵林︶人となりて生れ出石也。−︵鉄︶ ︹書白添え:人となりてむ まる△ 芦又はゝの胎内に有時ハ、命みしかきに似たれ共、I ︵林︶きて、すがたのうちにあるときは、いのちみぢかきににたれ ども、− ︵鉄︶ ︹書参添え:たいないに︺有時ハ命ミしかきに似た 軋とも 23此命ハしなし、− ︵林︶げに、このいのちは死なざり け紅ば、−︵鉄︶此0 ハ死なし 訴谷軋白空申にある時ハきはま りなきなり、︱︵林︶くうちうにある時は、いのちはきはまりなき なり。−︵鉄︶谷れハ空中に有時ハ命ハきハまりなき也 芦 こ軋 生死なり、︱︵林︶是、つゐに生死なし。−︵鉄︶此生死なく 26。 生るゝ時なけれハ死する事なしといふハ、もとよりある命なれハ、 −︵林︶をするゝ事なければ死する事なしと云は、もとよりある命 なれば、−︵鉄︶0 するゝ時なければ死する事腹しと云八本より有 命なれは 貿すかたハかりこそ生るれ、命ハ生れず、− ︵林︶生 せず。−︵鉄︶姿斗こそ生るれ命ハ生す 芦だゝもとの命な紅ハ、 生死といふ事なしといふなり、−︵林︶只もとのいのちは生れ死す る事なしといふ也。−︵鉄︶只もとのいのちなれは生死といふこと なしといふ1 万、天神七代・地神五代と往 七代といふハ、眼・耳︱鼻・舌・身等、是ハ空申にあれ共、かゝる 3すかたうっす時ハ、まなこありて色を見、耳ありて診を参入 4 5 有て香をかき、舌ありで眸を嘗、身有てあっく、涼、痛、岸、 はな とお を六親とす、伊勢有を七代とはいよなり、地神五代とハ、木で火・ 上令金︱水の、此五つの物をもって、琳とした牡ハ、五絃といぶか もふなり、心有て、 かやうによろつの物を打吝より谷とる、六根有
堅骨ハ是金なり、 皮けハ木なり、肉ハ土なり、うこノハ風なり、う ちの五形と、ばかの五行と、共にあひたかひにたすけて、 成也、臨五つのものも、おのく死することなきにょりて、払ふ いまの霊をまとひてあれとも、おのくはなれて、火 人の身と ハ火にかへり、 2 3 2 2 水 ハ 水 に か へ り 、 木 ハ 水 、 土 ハ 土 、 風 ハ 風 に か へ る 時 、 死 と 云 な り 、 ︿校具﹀ 1.七代といふハ、眼︱耳こ界︱舌︱身等、−︵林︶七代と云は、 眼︱耳二で舌・身で意・法等也。法塵のきやうがいにある故なり。 −︵鉄︶七代と云ハ眼耳鼻1 1 意等 ミ是白平甲にあれ共、かゝ るすかたうっす時ハ、−︵林︶是はくうちうにあれども、かゝるす がたをうくるときは、︱︵鉄︶ これハ空中にあ牡ともかよ心すかた をうへる時ハ 3.まなこありて色を見、耳ありて馨をき犬はな 有て香をかき、−︵林︶まなこありて色を見、耳ありて声をきく。 はなありて香をかぎ、−︵鉄︶眼ありて佐を見耳ありて声を聞鼻あ り香をかき 4.舌ありて昧を嘗、−︵林︶したありてあぢはひを なめ、−︵鉄︶舌ありてあちをなめ 5.身有であっく、涼、痛、 岸、とおもふなり、−︵林︶身ありてあっく、ひやゝ加也。かゆし、 いた﹂と思ふ也。− ︵鉄∇身ありてあっく吝むくふたくかゆしとい 十心也 671 有て、かやうによろっの物をむ谷ふりさとる、−︵林︶ 心ありて、よろづの物をわきまへさとる。I︵鉄︶心意有てかやう に萬の物をむさふりさとる ワ≒六根有を六親とす、−︵林︶是六 根あるを六根といふ。−︵鉄︶六根あるを六の子とす 8.伊勢有 を七代とはいふなり、−︵林︶いせあるを七代とはいふ也。︱︵鉄︶ 伊勢あるを七代と云なり地神五代とハかやうに胎内にありっる玉し ゐも父母の甥するによりて人となりて地にすまヘハ地のかこと云也 9.地神五代とハ、−︵林︶地神五代といふは、かやうにはらのう ちにありっる神も、父母も、とっぎするまで∧となる。いでゝつち にあんすは地の神といよ也。五代といふは、︱︵鉄︶五代とハ 10 木︱火︱上︱金︱水の、此五つの物をもって、−︵林︶木︱火:土︱ 金・水、此五っの物をもて、− ︵鉄︶水火土金水の五の物を以 輿 琳としたれハ、五琳といふなり、−︵林︶五解としたれば、 方便と云1 。−︵鉄︶琳とした牡八五代といふ也 竹人の身のあ っくぁたゝかかるハ火なり、−︵林︶人あっくぁたゝかかるは火1 。 −︵鉄︶人の身にあっぐぁたゝ珈成ハ火0 竹しるたり涙ハ是水 なり、︱︵林︶うるほひあると、叉なみだなどは永なり。I︵鯵 しるこりJ言べたハこれ水1 嬰堅骨ハ是金なり、−︵林︶ こはさ ばれはこ牲金0 。−︵鉄︶かたき骨ハこれ金也 坪皮けハ水なり、 肉ハ土なり、−︵林︶かはは木也。にくは±1 。−︵鉄︶1 毛八木 也㈹ハ上なり 聯うこくハ風なり、−︵林︶ものいひひきうごき はたらくは風1 。−︵鉄︶動ハ風なり 17ノつちの五言と、ぱかの 五行と、−︵林︶うちの五行、外の五行、−︵鉄︶肉の五行と 竹 共にあひたかひにたすけて、人の身と成也、I︵林︶ともドあひた がひにあひたすけで、人の身となる。−︵鉄︶共にあひ互にあひ㈹ けで人の身と成也 19。此五つのものも、おのく死することなき にょりて、−︵林︶ この五のものも、叉をのく死することなきに ょて、−︵鉄︶この五の物もをのく死する事なきにょりて 20 あふくぃまの霊をまとひてあれとも、I︵林︶かうじて、今、か みをまどひてあれども、−︵鉄︶合てぃまの神のまとひてあれとも 牡おのくはなれて、火 ハ火にかへり、水ハ水にかへり、−︵林︶ をのくはなれて、火は灰にかへ回水は米にかへり、I︵鉄︶各 誰で火ハ火にかへり本ハ水に 22木ハ水、土ハ土、風ハ風ドかへ る時、−︵林︶土は土にかへり、風は風にかへる時、︱︵鉄︶土八 一 一五
飯塚恵理人・蛯江ゆき・米旺│真理 土風ハ風にかへる時 嗣死と云なり、−︵林︶死するとは云也。 −︵鉄︶死すると云也 賜ナシー︵林︶天嬰二年卯朧月中旬書写 丁 洛章隠士村井古厳︹注一底本・鉄の年記は一三︵識語︶ の校異 7.︺ テ、6項の地神五代に関する説への反論︶ 是ハひかことなり、霊ハもとのことく、五行はなるれハ、本の空に まりはりて、叉さるところもなくゆきかたもなし、五行のはなるゝ 時心にあり、五行も叉、おのく本のことくしてあれハ、かたちも 琳もわっらひなし、是を迷ふものハ死するといへるなり、是、地神 五代といふなり、 ︿校具﹀ 1.是ハひかことなり、霊ハもとのことく、五行はなるれハ、本の 空にまりはりて、又さるところもなくゆきかたもなし、− ︵鉄︶ 是ハひか事也神ハもとのことく五行はなれは元の空にましハりて叉 さり所なく行かたもなし 2.五行のはなるゝ時心にあり、−︵鉄︶ 五行のはなるゝところにあり ミ五行も又、おのく本のことく してあれハ、−︵鉄︶五行も叉をのく本のことくにてあれは 亀 かたちも牡もわっらひなし、−︵鉄︶かたちも神もわっらひなし 宍 是を迷ふものハ死するといへるなり、−︵鉄︶是を言上ふものハ死 すると也 G。是、地神五代といふなり、−︵鉄︶是地神五代とい ふ也 ︵8、﹁世継﹂に記された伊弊冊・伊弊諾︶ よっきのほんもんにいはく、いざな々へ ・ いさなきの二神、あまのう 3 きはしのもとにして方便て、のたまハく、したにもし開かがらんや とて、天のさかほこをさしおろして、あを海原をざくろに、ぱこの したゝりかたまりて一つの嶋となる、くうちうにものおり、たいあ ︸ ロハ しかひのごとし、二神その嶋におりゐて、つまとなり給ふ、まつお う息いやしまをつくり、つきに草木をつくり、つきに臼月つくり、 つきによろつの人のふるまひをつくり、そのゝちに、てむしようを うまるゝといふ、是、伊弊冊・伊井諾の男女也、あまのうきはしと ハ、嫁するところをいふなり、二神だハかりといふハ、二つの男女 の神に嫁せんといふ心をいふなり、このしかにくになからむやとい ふハ、くにと ハ、そこはくものをなかにこめて、吝かいをよもにし 16たるもんしなり、五行ハおうそらにミちたれ共、まろかして子にせ 17 18 んといふきなり、子のたねなからむやといふ心なり、天のにいほこ とハ、天のにいはこなり、是等のすかたへいの1 なり、ほこの、 らに吝しいたしたるにゝたり、うな原とハ、 かいのすかたなり、 咎22そ しおろすとハ、嫁の事なり、かいハすかたひらけて、なかにミつあ るゆへに、うな原といふ、子をうむゆへに、あをといふ、 ほこのし たゝりとハ、男の胤をいふなり、こりかたまりとハ、女の胤に和合 して、子たねとなるゆへをいふなり、一つの嶋といふハ、うなはら のなかにかたまりてあ牡ハ、嶋といふなり、二胤和合して、かいの かかにかたまるを嶋といふなり、二神この嶋に居て夫婦となるとい ふハ、二つのふうぱの霊なり、ふうばのくなきてよしとおもふ霊な り ︿校具︾ Iよつきのばんもんにいはく、−︵鉄︶世継本文云 2.いざな 々へ t いざなきの二神、あまのうきはしのもとにして方便て、のたま ハく、−︵鉄︶伊詐諾伊竹冊二神天のうき橋のもとにしてたはかり ての玉ハく 亀したにもし團ながらんやとて、−︵鉄︶此下にも し團かがらんやとて 亀天の谷かほこをさしおろして、あを海原 をざくろに、−︵鉄︶天の谷かほこをさしおろしてあをうな原をさ
くると ミはこのしかヽりかたまりて一つの嶋となる、−︵鉄︶ 其はこのしかゝりこりかたよって一の嶋となる 6.くうちうにも のおり、たいあしかひのことし、−︵鉄︶空中に物あり牡あしかひ のことし 不二神その嶋におりゐて、つまとなり給ふ、−︵鉄︶ 二神其嶋におりゐて妻と成給ふ 8.まっおうきいやしまをつくり、 つきに草木をつくり、つきに日月っくり、つきによろっの人のふる まひをつくり、−︵鉄︶先大八嶋をつくり次に草木を作次に日月を 作次よろっの人のふるまひをつくり 9.そのゝちに、てむしよう をうまるゝといふ、−︵鉄︶其後に天照をうめると云 坪是、伊 井冊︱伊詐諾の男女也、−︵鉄︶是ハ伊井諾伊発冊の姻也 11。あ まのうきはしとハ、嫁するところをいふなり、−︵鉄︶天のうき橋 とハ甥する所をいふ也橋とハ姻ハ世をわたす心也 穏二神だハか りといふハ、二つの男女の神に嫁甘んといふ心をいふなり、−︵鉄︶ 二神たはかりすと云八二の男女の神にとっきせんと云所を云也 3・ TJ このしかにくになからむやといふハ、 ︵鉄︶此下に国ながら んと云八 輿くにとハ、そこはくものをなかにこめて、−︵鉄︶ 国とハそこく物を中にこめて 回吝かいをよもにしたるもんしな り、−︵鉄︶m方にさかひをしたる文字也 聯五行ハおうそらに ミちたれ共、まろかして子にせんといふきなり、−︵鉄︶五行ハ大 空にミちたれ共まろかして子にせんと云儀也 町子のたねなから むやといふ心なり、−︵鉄︶子の種ながらんやと云1 也 回天の にいはことハ、天のにいはこな犬− ︵鉄︶ 天のにひばことハ天の 新鉾なり ㎡ ︱% ヘイだ開の1 也 20。ほこの、そらにさしいたしたるにゝたり、−︵鉄︶ はこの空にさし出たるに似たり 呉うな原とハ、かいのすかたな り 瞬是等のすかたへいの1 なり、−︵鉄︶ ごれ開のすか ︵鉄︶うな原とハ開のすかたなり 22さしおろすとハ、嫁 の事なり、︱︵鉄︶谷しおろすとハ痍の事也 らけて、なかにミつあるゆへに、うな原といふ 23 かいハすかたひ ︵鉄︶開ハすか たひらけて中に水ある故に海原と云 24 子をうむゆへに、あをと いふ、︱︵鉄︶子をうわよ訟にあをと云 付はこのしかゝりとハ、 男の胤をいふなり、−︵鉄︶鉾のしかかりハ男の婬を云なり 26。 こりかたまりとハ、女の胤に和合して、子だわとなるゆへをいふな り、−︵鉄︶ こりかたよるとハケの婬に和合して子の種と成行をい ふ也 27 一つの嶋といふハフつかけらのかかにかたまりてあれハ、 嶋といふなり、−︵鉄︶ 一の嶋と云ハうな原の申にかたまりてあれ は嶋といふ也 付二胤和合して、かいのかかにかたまるを嶋とい ふなり、−︵鉄︶二婬和合して開の中にかたまれるをしまと云也 29 二神この嶋に居て夫婦となるといふハ、−︵鉄︶二神其嶋におりゐ て夫婦と成と云ハ父母のとつきせんと思ふを云此婬かたまりて人と なると云ハ 萌 二つのふうばの霊参り、−︵鉄︶二の父母のこと く 八ふうぱのくなきてよしとおもふ霊なり、−︵鉄︶婬ハ父母 のくなきてょしと思ふ神なり ︵犬﹁朱雀院註﹂の伊井諾・伊井世 しゅしゃくゐんのちうにいはく、このっまおとこなるとハ、この胤 かたまりておむなとなるをいふ、そのこの女子なんく二神なりと のへたまへりと云こと、くうちうに物のすかた、あしのき谷しのこ とくなるといふハ、くうちうに霊ある時ハ、姉あしのめにゝたりと いへり、あしの いよなり 7 かいとをいよハ、あしのねのつのくミいてたる心を 叉いはく、芽の服とハしばきかひのすミなるかひなりけ り、それにゝたりともいふ、 なかよし私のきにハ 、これ、胤のかた まり、子となりてむまれいてたるなり、生れ出ぬれは、いまだみさ りつるこの犬和こくを見いたしぬる、この嶋をつくり 一 一 七 いたせハ、ふ
飯塚恵理人・蛯江ゆき・米E日真理 ほの、嫁せしめてよしとおもふ心なり、 月をみそむることなり、これ、ふばの嫁つくるなるへし、 吝れハ、草木をつくり、 日 人のよう つふるまひをつくるといふも、人と生れてしらさる事もおのつから ならふをいふなりヽ乱れハヽ人ひとりあれはヽ二人の伊詐冊・伊0 諾なり、これふばを伊背冊︱伊弊諾といふゆへに、十人あれハ廿人 の伊詐諾・伊詐冊あるなり、一切の物、ミなかくのことし、たゝい さなき・いざなミと申ハ、ふしきのつうりきあり、三にんの伊勢の くにあこねのうらにて嫁して、一女、三男をうミし事を、よつきの はしめにハ、かやうにかげろなり、このばんもんの心ハ、人、こと にI切草木鳥類まても皆かくのことし、このい吝なこぺ ・ い谷なきの ミことのすゑのくにのわうとなりて、今まて百王となりてある也、 かしこを伊勢の国といふも、このにんわうのはしめハ、 かしこより みかとヽして、くにのぬしとなり、男女かの国のあこねのうらより はしまりしあひた、伊勢の国と云なり、 ︿校具﹀ I しゆしやくゐんのちうにいはく。−︵鉄︶朱雀院の註云これ妻 男となるとハ 2.このつまおとこなるとハ、この胤かたまりてお むなとなるをいふ、−︵鉄︶此婬かたまりて女となり男と成を云 入 そのこの女子なんく二神なりとのへたまへりと云こと、−︵鉄︶其 子の神女子男女の二神なりと宣り云事 亀くうちうに物のすかた、 あしのきさしのことくなるといふハ、− ︵鉄︶空中にものゝすかた 葦の牙のことくなると云ハ 5.くうちうに霊ある時ハ、前奏しの めにゝたりといへり、−︵鉄︶空中に神有時ハ琳あし牙に似りとい へり 6.あしのかいとをいふハ、あしのねのつのくミいてたる心 をいふなり、−︵鉄︶葦のかひと根のつのくミ出たる心を云也 I 叉いはく二7 の萌とハしばきかひのすミなるかひなりけり、−︵鉄︶ 一▽八 谷万4 の牙とはしばきかひの三角なるかひ也 8.それにゝたりと もいふ、︱︵鉄︶其貝に似り共云 ≒なかよし私のきにハ、こ礼、 胤のかたまり、子となりて0 まれいてたるなり、−︵鉄︶長能か私 記にハ是ハ婬のかたまり子と成で生れ出たる也 斡生れ出ぬれは、 いまだみ吝りつるこの大和こくを見いたしぬる、−︵鉄︶むまれ比 ぬ軋はいまだみ吝りつる此大和順を見出しぬる 11。この嶋をつく りいたせハ、−︵鉄︶此嶋をつくり出せるハ 増ふばの、嫁せし めてよしとおもふ心なり、I︵鉄︶父母のとつきせしめてよりと思 十心也 戸谷軋ハ、草木をつくり、日石をみそむることなり、− ︵鉄︶白礼ハ草木を作万口を見そむる事也 ヰ これ、ふほの嫁つ くるなるへし、−︵鉄︶ これハズ母の㈹のつくる成へし 瞬大の よろつふるまひをつくるといふも、−︵鉄︶大の萬のふるまひを作 ると云も 瞬人と生れてしら白る事もおのつからからふをいふな り、−︵鉄︶大と生れてしら白る事もをのつからからふをいふ也 八 吝軋ハ、大ひとりあ礼は二瓦の督発冊・轡詐諾なり、I︵鉄︶答 礼ハ大ひとりあれ八二人の併弊諾伝弊冊あり 増 これふぱを伊発 冊︱奸詐諾といふゆへに、十人あ礼ハ廿人の奸詐諾e奸発冊あるな り、−︵鉄︶ これ父母をい白なきいざなミと云故に十人あれ八二十 大のい白なきい咎なこ有0 19。一切の物、員なかくのごとし、− ︵鉄︶ 一切の物みな如此1 萌だゝいさなき・いざなミと申ハ、 ふしきのつうりきあり、−︵鉄︶だゝ 雖三にんの伊勢のくにあ こねのうらにて嫁して、−︵鉄︶伊勢順阿古根の浦にて姻して 22。 一女、三災をうミし事を、よつきのはしめにハ、かやうにかけるな り、−︵鉄︶ 一女三男をうこへし事を世継のはしめとハかやうにかけ る也 萌 このばんもんの心ハ、大、ごとにI切草木鳥類まても皆 かくのことし、−︵鉄︶此外文の心 ハ人ことにI切草木吹風まても