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米国議会図書館蔵『源氏物語』翻字本文

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国立国語研究所学術情報リポジトリ

米国議会図書館蔵『源氏物語』翻字本文

雑誌名 米国議会図書館蔵『源氏物語』翻字本文 匂宮〜夢 浮橋 : 平成24年度 人間文化研究連携共同推進事業

「海外に移出した仮名写本の緊急調査(第2期)」

報告書

ページ 11‑245

発行年 2013‑03‑25

URL http://doi.org/10.15084/00002610

(2)

米 国議会図書館蔵﹃源氏物語﹄翻字本文

11

(3)

担 当者一覧

〔巻名︺

匂宮紅

梅 竹 河 橋 姫 椎 本

総角

早 蕨 宿 木 東 屋 浮 舟

蜻蛉

手習

夢 浮 橋

〔翻

当者︺

淺川槙子

畠山大二郎杉本裕子

野口あゆみ 楠 木 陽 子   野 崎 花 菜 楠 木 陽 子   野 崎 花 菜

阿部友敬 菅野早月 荻野仁賀

秋山あゆみ

阿 部 江 美 子   小 川 千 寿

香 大石裕子

川彩佳 伊藤朋 山田友美

大 石 裕 子   杉 本 裕 子

畠山大二郎 小川千寿香

阿 部 友 敬   大 石 裕 子

 菅野早月

淺 川 槙 子

〔校

当者︺

木曽智信

阿 部 江 美 子

太田幸代 大石裕子 斎藤達哉

高田智和畠山大二郎

大 石 裕 子

 斎藤達哉

斎藤達哉 豊島秀範

神田久義 阿 部 江 美 子 小 川 千 寿 香

太田幸代 大石裕子

杉本裕子阿部江美子 伊藤鉄也

13

(4)

寸t

凡 例

行移り・丁移り

1 本文の行移りは原本にしたがった︒

2 丁移りは︑その丁の表および裏の冒頭において丁数・表裏を四角囲みで示した︒

3 半丁内の行番号をアラビア数字で示した︒

      文

4

321字

5

名は現行の平仮名を用いた︒

漢字は現代通用の字体によることを原則とした︒

を漢字表記にする場合の漢字と︑仮名表記にする場合の字母とが︑

は︑漢字として扱った︒  ︵例︶見くるし︑気しき

り返し符号は次のように統一した︒

名一文字の繰り返し ︵例︶こsち

漢字一文字の繰り返し  ︵例︶人々

り返し ︵例︶ひとノ\

判読できない文字は■で表した︒

るときに

  和 21歌

四字下げとした︒

散らし書き風の和歌は︑

を再現することはせず︑末尾に#を付した︒

傍記等

1 傍記等の書込は︑この翻字では省いた︒

2 擦消箇所は︑﹁米国議会図書館蔵﹃源氏物語﹄擦消一覧︵匂宮〜夢浮橋︶﹂

3 書込箇所は︑﹁米国議会図書館蔵﹃源氏物語﹄書込一覧﹂に掲載した.︑

した︒

 図

1版

各巻の表紙および第一丁表の原本写真を掲載した.︑

(5)

匂宮

(6)

t 9

1ひかりかくれ給にし後かの御かけにたちつき給ふへき人そこらの御すゑくに

2ありかたかりけるおりゐのみかとをかけたてまつらんはかたしけなしたう

3たいの111の宮そのおなしおと﹀にておひ出給し宮のわか君此二ところ

4なんとりくにきよらなる御名とり給ふてけにいとなへてならぬ御あり

5さまともなれといとまはゆききはにはおはせさるへした﹀よの

6つねの人さまにめてたくあてになまめかしくおはするをもと﹀してさる

7御ならひに人の思きこえたるもてなしありさまもいにしへの御ひ﹀き

8けはひよりもや﹀たちまさり給へるおほえからなんかたへはこよなういつく

9しかりけるむらさきのうへの御心よせことにはく﹀みきこえ給しゆへ三の

10宮は二条院におはします春宮をはさるやむことなき物に思をきて

1たてまつりたまてみかときさきいみしうかなしうしたてまつりかしつき

2きこえさせ給宮なれは内すみをせきせたてまつり給へとなを心やす

3きふる里にすみよくし給なりけり御けんふくし給ては兵部卿の宮と

4聞ゆ女一の宮は六条院みなみのまちのひんかしのたいをそのよの御

5しつらひあらためすおはしましてあさ夕に恋しのびきこえ給二の宮

6もおなしおとAのしんてんを時々の御やすみところにし給て梅つほを

7御さうしにし給て右のおほい殿のなかひめ君をえたてまつり給へりつきの

8はうかねにていとおほえことにをもくしう人からもすくよかになん物し給

9けるおほい殿の御むすめはいとあまた物し給大ひめ君は春宮にま

10

り給てまたきしろう人のなきさまにてさふらひ給そのつきくなを

1みなついてのま﹀にこそはと世の人も思きこえきさいの宮ものた

2まはすれと此兵部卿の宮はさしもおほしたらす我御心よりおこら

3さらむ事はすましくもおほしぬへき御けしきなめりおと﹀もなにかは

4やうの物とさのみうるはしういとしつめ給へとまたさる御けしき

5あらんをはもてはなれてもあるましうおもむけていといたうかしつき

6きこえ給六の君なんそのころのすこし我いと思のほり給へるみこ

7たちかんたちめの御心つくすくさはひに物し給けるさまくつとひ8給へりし御かたくなくくつゐにおはすへきすみかともにみなをのく

9うつろひ給しに花ちる里と聞しにひんかしの院をそ御そうふん

10

ところにてわたり給にける入道の宮は三条の宮におはしますいま

1きさきは内にのみさふらひ給へは院の内さひしく人すくなになりに

2けるを右のおと﹀人のうへにていにしへのためしを見聞にもいける

3かきりの世に心をと﹀めてつくりしめたる人の家ゐなこりなく打

4すてられて世のならひもつねなく見ゆるそいとあはれにはかなさしら

5る﹀を我世にあらんかきりたに此院あらさすほとりのおほちなと人

6影かれはつましうおほしのたまはせてうしとらのまちにかの一条の

7宮をわたしたてまつり給てなん三条殿と夜ことに十五日つ﹀うるはしう

8かよひすみ給ける二条院にてつくりみかき六条院の春のおと﹀とて世

9にの﹀しり給ふて名もた﹀ひとりの御すゑのためなりけりと見えてあかしの

(7)

L I

10御かたはあまたの宮たちの御うしろをしつ﹀あつかひきこえ給へりおほい

1とのはいつかたの御事をもむかしの御心をきてのまAにあらためかはる事なくあま

2ねきおや心につかうまつり給にもたいのうへのかやうにてとまり給へらましかは

3いかはかり心をつくしてつかうまつり見えたてまつらましつゐにいさ﹀かも

4とりわきて我心よせとえしり給ふへきふしもなくてすき給にし事をくち

5おしうあかすかなしう思ひ出きこえ給あめのしたの人院を恋きこえぬ

6なくとにかくにつけても世はた﹀火をけちたるやうに何事もはやなけ

7きせぬおりなかりけりまして殿の内の人々御かたく宮たちなとはさらにも

8きこえすかきりなる御事をはさる物にてかのむらさきの御ありさまを心に

9しめつ︑ようつの事つけて思ひ出きこえたまはぬ時のまなし春の桜の

10さかりはけになかAらぬしもおほえまさる物になん二品の宮のわか君は院のき

1こえつけ給へりしま﹀に冷泉院のみかととりわきておほしかしつききさ

2いの宮もみこたちなとおはせす心ほそうおほさる﹀まAにうれしき御うし

3うみにまめやかにたのみきこえ給へり御けんふくなとも院にてせさせ

4給十四にて二月に侍従になり給秋うこんの中将になりて御たうはりの

5かAゐなとをさへいつこの心もとなきにかいそきくはへておとなひさせ給おは

6しますおと﹀ちかきたいをさうしにしつらひなとみつから御らんしいれてわかき

7人もわらはしもつかへまてすくれたるをえりとAのへ女の御きしきよりもまは

8ゆくと﹀のへさせ給へりうへにも宮にもさふらふ女房の中にもかたちより

9あてやかにめやすきはみなうつしわたさせ給つ︑院の内を心につけてすみよく

10ありよくおもふへくとのみわさとかましき御あつかひけにおほされ給へりこ

1ちしのおほい殿の女御ときこえし御はらに女御た﹀一ところおはしけるをなんかきり

2なくかしつき給御ありさまにをとらすきさきの宮の御おほえの年月にまさり給

3けはひにこそはなとかさしもと見るまてなんは﹀宮はいまはた﹀御をこなひを

4しつかにし給て月ことの御ねんふつ年に二たひのみ八かうおりくのたうとき

5御いとなみはかりをし給てつれくにおはしませは此君の出入給をかへりておや

6のやうにたのもしきかけにおほしたれはいとあはれにて院にも内にもめし

7まとはし春宮もつきくの宮たちもなつかしき御あそひかたきにてともなひ

8給へはいとまなくくるしくいかて身をわけてしかなとおほえ給けるをさなご

9こちにほのき﹀給しことのおりくいふかしうおほつかなふ思わたれととふへき人

10もなし宮にはことけしきにてもしりけりとおほされむかたはらいたきすちな

1れは夜とともの心にかけていかなりける事とかはなにの契りにてかうやすから

2ぬ思そひたる身にしもなり出けんせんくいたいしの我身にとひけむ

3さとりをもえてしかなとそひとりこたれ給ける

4    おほつかなたれにとはましいかにしてはしめもはても

5しらぬ我身そいらふへき人もなしことになれて我身につ﹀かあるこAち

6するもたAならす物なけかしくのみ思めくらしつ︑宮もかくさかりの御かたちを

7やつし給てなにはかりの御道心にてかにはかにおもむき給けんかくおもはす

8なりける事のみたれにかならすうしとおほしなるふしありけん人もまさに

(8)

8 L

9もりいてしらしやはなをつ﹀むへき事のきこえにより我にはけしきを

10しらする人のなきなめりと思ふ明暮つとめ給やうなめれとはかもなくおほ

−とき給へる女の御さとりの程にはちすの露もあきらかに玉とみかきた

2まはん事もかたしいつしのなにかしもなをうしろめたきをわれ此御こ﹀ちを

3おなしうは後の世をたにと思かのすき給にけんやすからぬ思ひに

4むすほ﹀れてやなとをしはかるに世をかへてもたいめんせまほしき心

5つきてけんふくは物うかり給けれとすまひはてすをのつから世中にもて

6なされてまはゆきまて花やかなる御身のかさりも心につかすのみ思ひ

7しつまり給へり内にもは﹀宮の御かたさまの御心よせふかくていとあは

8れなる物におほされきさいの宮はたもとよりひとつおとAにて宮

9たちもろともにおひ出あそひ給し御もてなしおさくあらためたまはす

10すゑにむまれ給て心くるしうおとなしうもえ見をかぬ事と院の

−おほしのたまひしを思ひ出きこえ給つ﹀をうかならす思きこえ給へり

2右のおと﹀も我御子ともの君たちよりも此君をはこまやかにやむことなく

3もてなしかしつきたてまつり給むかしひかる君ときこえしはさるまた

4なき御おほえなからそねみ給人打そひは﹀かたの御うしろみなくなとあり.

5しに御心さまも物ふかく世中をおほしなたらめし程にならひなき

6御ひかりをまはゆからすもてしつめたまひつゐにさるいみしき世のみたれも

7出きぬへかりし事をもことなくすくし給て後の世の御つとめもをくらかしたま

8はすようつさりけなくてひさしくのとけき御心をきてにこそありしかこの

9君はまたしきに世のおほえいとすきて思あかりたる事こよなくなとそ

10

し給けにさるへくていと此世の人とはつくり出さりけるかりにやと

−れるかとも見ゆる事そひ給へりかほかたちもそこはかといつこなんすくれたる

2あなきよらとみゆるところもなきかた﹀いとなまめかしうはつかしけに心のおく

3おほかりけなるけはひの人ににぬなりけりかのかうはしさそ此世の

4にほひならすあやしきまて打ふるまひ給へるあたりとをくへた﹀る

5をひ風まことに百ふのほかもかほりぬへきこ﹀ちしけり誰もさはかり

6になりぬる御ありさまのいとやつれはみた﹀ありなるやはあるへき

7さまくにわれ人にまさらんとつくろひようゐすへかめるをかたはなる

8まて打しのひ立よらむ物のくまもしるきほのめきのかくれあるまし

9きにうるさかりておさくとりもつけたまはねとあまたの御からひつ

10

にうつもれたるかうとも﹀此君のはいふよしもなきにほひをくはへ

−おまへの花の木もはかなく袖かけ給梅の香は春さめのしつくにも

2ぬれ身にしむる人おほく秋の野にぬしなきふちはかまもとのか

3ほりはかくれてなつかしきをひ風ことにおりなしからなんまさりけるかく

4あやしきまて人のとかむる香にしみ給へるを兵部卿の宮なんこと

5ことよりもいとましくおほしてそれはわさとようつのすくれたる

6うつしをしめたまひあさ夕のことわさにあはせいとなみおまへのせんさい

7にも春は梅の花そのをなかめ給秋はよの人のめつるをみなへしさほ

(9)

6 L

8しかの妻にすめる萩の露にもおさく御心うつしたまはす老をわす

9るA菊におとろへゆくふちはかま物けなきわれもかうなとはいとすさ

10ましき霜かれのころをひまておほしすてすなとわさとめきて香に

1めつる思をなんたて﹀このましうおはしけるかAる程にすこしなよひやはら

2きてすいたるかたにひかれ給へりと世の人は思きこえたりむかしの源氏は

3すへてたて﹀その事とやうかはりしみ給へるかたそなかりしかし源中将

4此宮にはつねにまいりつ︑御あそひなにもましろふ物のねを吹たてけに

5いとましくもわかきとち思かはし給つへき人さまになんれいの

6世の人はにほふ兵部卿かほる中将と聞にく﹀いひつ﹀けてそのころ

7よきむすめおはするやむことなきところくは心ときめきにき

8こえこちなとし給もあれは宮はさまくにおかしうもありぬへき

9わたりをはのたまひよりて人の御けはひありさまをもけし

10きとり給わさと御心につけておほすかたはことになかりけり

1れせい院の一の宮をそさやうにても見たてまつらはやかひありなんかし

2とおほしけるはは﹀女御もいとをもく心にく︑物し給あたりにてひめ宮

3の御けはひけにとありかたくすくれてよそのきこえもおはしますに

4ましてすこしちかくもさふらひなれたる女房なとのくはしき御ありさま

5のことにふれてきこえつたふるなともあるにいとAしのひかたくおほすへ

6かめり中将は世中をふかくあちきなき物に思すましたる心なれは中々

7心とAめてゆきはなれかたき思や残らんなとおもふにわつらはしき思あらん

8あたりにか﹀つらはんはつ︑ましくなと思すて給さしあたりて心にしむへき

9事のなき程さかしたつにやありけん人のゆるしなからん事なとはまして思よる

ーo

vもあらす十九になり給年三位の宰相にてなを中将もはなれす

1みかときさきの御もてなしにた﹀人にてははAかりなきめてたき人

2のおほえにて物し給へと心のうちには身を思しるかたありて物あは

3れになともありけれは心にまかせてはやりかなるすきことおさく

4このますようつの事もてしつめつ﹀をのつからおよすけたる心さまを

5人にもしられ給へり三の宮の年にそへて心をくたき給める院の

6ひめ宮を見るにもひとつ院の内に明暮立なれ給へはことにふれても

7人のありさまを聞見たてまつるにけにいとなへてならす心にく︑ゆへく

8しき御もてなしかきりなきをおなしくはけにかうやうなる人を見んにこそ

9いけるかきりの心ゆくへき妻なれと思なから大かたこそへたつる事なく

10おほしたれひめ宮の御かたさまのへたてはこよなくけとをくならはせ

1給もことはりにわつらはしけれはあなかちにもましらひよらすもし

2心よりほかのこAうもつかは我も人もいとあしかるへきと思しりて

3物なれよることもなかりけりわかかく人にめてられむとなり給へるあり

4さまなれははかなくなけのこと葉をちらし給あたりもこよなくもて

5はなる﹀心なくなひきやすなる程にをのつからなをさりのかよひ

6ところもあまたになるを人のためにことくしくなともてなさす

(10)

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7いとよくまきらはしそこはかとなくなさけなからぬ程の中々心やま

8しきを思よれる人はいさなはれつ﹀三条の宮にまいりあつまるは

9あまたありつれなきを見るもくるしけなるわさなめれとたえなん

10よりはと心ほそきに思わひてさもあるましききはの人々の

−はかなき契りにたのみをかけたるおほかりさすかにいとなつかしう

2見ところある人の御ありさまなれは見る人みな心には﹀かりしやうにて

3みすくさる宮のおはしまさん世のかきりはあさ夕に御めかれす御らむ

4せられ見えたてまつらんをたにと思のたまへは右のおと﹀もあまた物し給

5御むすめたちをひとりくいと心さし給なからえことに出たまはすさす

6かにゆかしけなきなからひなるをとは思なせと此君たちををきてほかには

7なすらひなるへき人をもとめ出へき世かいとおほしわつらふやむことなき

8よりも内侍のすけはらの六の君とかいとすくれておかしけに心はへなとも

9たらひておひ出給をよそのおほえのおとしめさまなるへきしもかくあた

10らしきを心くるしうおほして一条の宮のさるあつかひ草も給へらてさうく

−しきにむかへとりたてまつり給へりわさとはなくて此人々に見せそめてはかならす

2心と﹀め給ふてん人のありさまをも見しる人はことにこそあるへけれなとおほして

3いといつくしくはもてなしたまはすいまめかしくおかしきやうに物このみせさせて人

4の心つけんたよりおほくつくりなし給のりゆみのかへりあるしのまうけ六条院にて

5いと心ことにし給てみこをもおはしまさせんの心つかひし給へりその日みこたち

6おとなにおはするはみなさふらひ給きさいはらのはいつれともなくけたかくきよ

7けにおはします中にも此兵部卿の宮はけにいとすくれてこよなう見え給四の

8みこひたちの宮と聞ゆるかういはらのは思なしにやけはひこよなうをとり給へり

9れいの左あなかちにかちぬれいよりはとく事はて﹀大将まかて給兵部卿の宮ひた

﹇川団       ︑

ーoちの宮きさきはらの五の宮とひとつくるまにまねきのせたてまつりてまかて

−給宰相の中将はまけかたにてをとなくまかて給にけるをみこたちおはします御をく

2りにはまいり給ましやとをしとめさせて御このゑもんのかみ権大納言右大弁

3なとさらぬかんたちめあまたこれかれにのりましりいさなひたて﹀六条院へ

4おはすみちのや﹀程ふるに雪いさ﹀かちりてえんなるたそかれ時也物のねおか

5しき程に吹たてあそひて入給をけにご﹀ををきていかならんほとけの

6国にかはかやうのおりふしの心やりところをもとむと見えたりしんてんのみ

7なみのひさしにつねのことみなみむきに中少将のつきわたり北むきにむ

8かへてゑかのみこたちかんたちめの御さあり御かはらけなとはしまりて物おも

9しろくなりゆくにもとめこまひかはる袖ともの打かへす羽風におまへちかき

ーo梅のいといたうほころひごほれたるにほひのさと打ちりわたれるに

−れいの中将の御かほりのいとAしくもてはやされていひしらすなまめかし

2はつかにのぞく女房なともやみはあやなく心もとなき程なれと香に

3こそけににたる物なかりけれとめてあへりおと﹀もいとめてたしと見

4給かたちようゐもつねよりまさりてみたれぬさまにおさめたるを

5見てみきのすけもすゑくはへ給へやいたうまらうとた︑しや

(11)

6とのたまへはにくからぬほとに神のますなと

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(12)

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紅 梅

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_・認ぺ、烈

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・均:   ・

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(13)

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1そのころあせちの大納言と聞ゆるはこちしのおと﹀の二らう也うせた

2まひにしゑもんのかみのさしつきよわらはよりりやうくしう花やかなる心はへ

3物し給し人にてなりのほり給ふとし月にそへてまいていと世にある

4かひありあらまほしうもてなし御おほえいとやむことなかりけり

5北のかたふたり物し給しをもとよりのはなくなり給ていま物し給ふ

6は後のおほきおと﹀の御むすめまきはしらはなれかたくし給し

7君を式部卿の宮にてこ兵部卿の宮にあはせたてまつり給へりしをみ

8こうせ給て後しのひつ﹀かよひ給しかと年月ふれはえさしもは﹀かり

9たまはぬなめり御こは北のかたの御はらに女二人のみそおはしけれはさうくし

10とて神ほとけにいのりていまの御はらにそおとこ君ひとりまうけ給へる

1こ宮の御かたに女君一ところおはすへたてわかすいつれをもおなしこと>

2思きこえ給へるををのく御かたの人なとはうるはしうもあらぬ心はへうち

3ましりなまくねくしき事も出くる時々あれと北のかたいとはれく

4しvいまめきたる人にてつみなくとりなしわか御かたさまにくるしかるへき

5唱をもなたらかに聞なし思なをし給へは聞にくからてめやすかりけり君

6たちおなし程にすきくおとなひたまひぬれは御もなときせたてまつり給

7七けんのしんてんひろくおほきにつくりてみなみおもてに大納言殿

8おほい君西に中君ひんかしに宮の御かたすさせたてまつり給へり大かた

9に打おもふ程はち﹀宮のおはせぬ心くるしきやうなれはこなたかなたの御

10たから物おほくなとして内々のきしきありさまなと心にく﹀気たかくなと

1もてなしてけはひあらまほしくおはすれいのかくかしつき給ふきこえありて

2つきくにしたかひつ﹀きこえ給人おほくうち春宮より御けしきあれと内には

3中宮おはしますいかはかりの人かはかの御けはひにならひきこえんさりとて

4思をとりひけせむもかひなかるへし春宮には右の大殿の女御ならふ

5人なけにてさふらひ給ふはきしろひにくけれとさのみいひてやは人に

6まさらんと思ふ女子を宮つかへに思たえてはなにのほいかはあらんとおほし

7たちてまいらせたてまつり給十七八の程にていとうつくしうにほひおほ

8かるかたちし給へり中の君も打すかひてあてになまめかしうすみたる

9さまはまさりておかしうおはすめれはた﹀人にてはあたらしく見せまうき

10御さまを兵部卿の宮のさもとおほしよらはなとおほしたる此わか君を内

1にてなと見つけ給時はめしまとはしたはふれかたきにし給心はへ

2ありておくをしはかる﹀まみひたひつき也せうとを見てのみは

3えやましと大納言に申せよなとのたまひかくるをさなんときこ

4ゆれは打ゑみていとかひありとおほしたり人にをとらむ宮つかへ

5よりは此宮にこそはよろしからむ女子は見せたてまつらまほしけれ

6心のゆくにまかせてかしつきて見たてまつらむにいのちのひぬへき

7宮の御さまなりとのたまひなからまつ春宮の御ことをいそき給ふて

8かすかの神の御ことはりも我世にやもし出きてこおと﹀の院の女御

9の御ことをむねいたくおほしてやみにしなくさめのこともあらなんと

(14)

z

−o

うちにいのりてまいらせたてまつり給ふついと時めき給ふ

1よし人に聞ゆかAる御ましらひのなれたまはぬ程にはかくしき御

2うしろ見なくてはいか﹀とて北のかたそひてさふらひ給ふはまことに3かき9もなく思かしつきうしろ見きこえ給殿はつれくなるこ﹀地し

4て西の御かたはひとつにならひ給ていとさうくしくなかめ給ひんかし

5のひめ君もうとくしくかたみにもてなしたまはてよるくは一ところに6御とのこもりようつの御事ならひはかなき御あそひわさをも師の

7さまに思きこえてそ誰もならひあそひ給ける物はちをよのつ

8ねならすし給ふては﹀北のかたにさやかにはおさくさしむかひた

9てまつりたまはすかたはなるまてもてなし給物から心はへけはひの

10

まれたるさまならすあひきやうつき給へる事はた人より

1すくれ給へりかく内まいりやなにやとわかかたさまをのみおもひ

2いそくやうなるも心くるしなとおほしてさるへからむさまにおほし

3さためてのたまへはおなし事とこそはつかうまつらめとは﹀君にもきこ

4え給けれとさらにさやうのよつきたるさま思立へきにもあらぬけ

5しきなれは中々ならんことは心くるしかるへし御すくせにまかせて世に

6あらむかきりは見たてまつらん後そあはれにうしろめたけれと世をそ

7むくかたにてもをのつから人わらへにあはつけき事なくてすきしたまは

8なんなと打なきて御心はせの思ふやうなる事をそきこえ給いつれも

9わかすおやかり給へと御かたちを見はやとゆかしうおほしてかくれ給ふ

10

こそ心うけれと恨て人しれす見えたまひぬへしやとのぞきありき

−給へとたへてかたそはをたにえ見たてまつりたまはすうへおはせぬほとは

2たちかはりてまいりくへきをうとくしくおほしわくる御けしきなれは心うく

3こそなときこえてみすのまへにゐ給へは御いらへなとほのかにきこえ給御こゑ

4気はひなとあてにおかしうさまかたち思やられてあはれにおほゆる人

5の御ありさま也わか御ひめ君たちを人にをとらしと思おこれと此君にえしも

6まさらすやあらんか﹀れはこそ世中ひろき内はわつらはしけれたくひあらしと

7おもふにまさるかたもをのつからありぬへかめりなといと﹀いふかしう思きこ

8え給月ころなにとなく物さはかしく程にことのねをたにうけたまらて

9ひさしうなり侍にけり西のかたにはつる人はひわを心に入て侍るさもま

10

とりつへくやおほえ侍らんなまかたほにしたるに聞にくき物のねから也

−おなしくは御心と﹀めてをしへさせ給へおきなはとりたて﹀ならふ物侍ら

2さりしかとそのかみさかりなりし世にあそひ侍しちからにや聞しる

3はかりのわきまへは何事にもいとつきなうは侍らさりしを打とけて

4もあそはさねと時々うけたまはる御ひわのねなんむかしおほえ侍る

5こ六条院の御つたへにて右のおと﹀なん此ころ世に残り給へる源中納言

6兵部卿の宮なに事にもむかしの人にをとるましういと契りことに物し給

7人にてあそひのかたはとりわきて心とAめ給へるを手つかひすこしなよひたる

8はち音なとなんおと﹀にはをよひたまはすと思ふ給ふるを此御ひわのねこそ

(15)

9N

9いとよくいとおほえ給へれひわはをし手しつやかなるをよきにする物なるに

10ちうさす程はち音さまかはりてなまめかしうきこえたるなん女の御こと

−にて中々おかしかりけるいてあそはさんや御ことまいれとのたまう女房なとは

2かくれたてまつるもおさくなしいとわかき上らうたつる見えたてまつらしと思ふは

3しも心にまかせてゐたれはさふらふ人さへかくもてなすかやすからぬとはらたち

4給わか君内へまいらんととのゐすかたにてまいり給へるわさとうるはしき

5みつらよりもいとおかしく見えていみしくうつくしとおほしたりれいけいてんに

6御ことつけきこえ給ふゆつりきこえてこよひもえまいるましくなやましく

7なときこえよとのたまひてふえすこしつかうまつれともすれは御まへの

8御あそひにめし出らる﹀かたはらいたしやまたいとわかき笛をと打ゑみ

9てそうてうふかせ給いとおかしうふい給へはけしうはあらすなりゆくは此

10わたりにてをのつから物にあはするけ也なをかきあはさせ給へとせめきこえ給へは

1vるしとおほしたるけしきなからつまひきにいとよくあはせてた﹀すこし

2かきならい給ふかは笛ふつAかになれたるこゑして此ひんかしのつまに軒ちかき

3こうはいのいとおもしろくにほひたるを見給ておまへの花心はへありて

4見ゆめり兵部卿の宮うちにおはす也lえたおりてまいれしる人そしる

5とてあはれひかる源氏といはゆる御さかりの大将なとにおはせしころわくら

6はにてかやうにてましらひなれきこえしこそ夜とともに恋しう侍れ此宮

7たちをよ人もいとことに思きこえけに人にめてられむとなり給へる御あり

8さまなれとはしかはしにやありけん大かたにて思ひ出たてまつるにむねあくよ

9なくかなしきを気ちかき人のをくれたてまつりていきめくらふはおほろけの

10

ちなかきなりかしとこそおほえ侍れなときこえ出給て物あはれに

1すこくおもひめくらししほれ給ついてのしのひかたきにや花おらせて

2いそきまいらせ給いか﹀はせむむかしの恋しき御かた見には此宮はかり

3こそは仏のかくれ給けん御名残にはあなんひかりはなちけんを二たひ出

4給へるかとうたかうさかしきひしりのありけるをやみにまとふはる

5けにところにきこえをかさんかしとて

6    こ﹀ろありて風のにほはすその﹀梅にまつうくひすの

7とはすやあるへきとくれなゐのかみにわかやかにかきてこの君の ︑

8ふところかみにとりませをした﹀みていたしたて給をおさなき心に

9いとなれきこえまほしとおもへはいそきまいりたまひぬ中宮のうへの

10御つほねより御とのゐところに出給程也殿上人あまた御をくりに

−まいる中に見つけ給て昨日はなといととくはまかて侍にしくやしさ

2にまた内におはしますと人の申つれはいそきまいりつるやと

3おさなけなる物からなれ聞ゆうちならて心やすきところにも

4時々はあそへかしわかき人とものそこはかとなくあつまるところそと

5のたまふ此君めしはなちてかたらひ給へは人々はちかうもまい

6らすまかてちりなとしてしめやかになりぬれは春宮にはいとま

7すこしゆるされにためるないとしけうおもほしまとはすめり

(16)

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8しをときとられて人わうかめるとのたまへはまろはさせた

9まひしこそくるしかりしか御まへにはしもときこえ出されは人

10けなしとおもはれたるとなことはり也されとやすからすそふる

1めかしきおなしすちにてひんかしと聞ゆなるはあひおもひ給てん

2やとしのひてかたらひきこえよなとのたまうついてにこの花を

3たてまつれと打ゑみて恨て後ならましかはとて打もをかす御

4らんすえたのさま花ふさ色も香もよのつねならすそのににほ

5へるくれなゐの色にとられて香なんしろき梅にはをとれるといふ

6めるをいとかしこくとりならへてもさきけるかなとて御心とAめ給

7花なれはかひありもてはやし給ごよひはとのゐなめりやかて

8こなたにとめしこめつれは春宮にもえまいらす花もはつ

9かしくおもひぬへくかうはしくて気ちかくふせ給へるをわかきこ﹀地

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にはたくひなくうれしくなつかしうおもひ聞ゆこの花のあるしは

1なと春宮にはうつろひたまはさりししらす心しらむ人になと

2こそ聞侍しかなとかたり聞ゆ大なごんの御心はへは我かたさまにおもふへ

3かめれと聞あはせ給へとおもふ心はことにしみぬれは此返ことけさや

4かにものたまひやらすつとめてこの君のまかへるになを

5さりなるやうにて

6   花のかにさそはれぬへき身なりせは風のたよりを

7すくさましやはさてなをいまはおきなともにさるしらせさせて

8しのひやかにと返々のたまひて此君もひんかしのをはやむこと

9なくむつましふおもひましたり中々ことかたのひめ君は見え給なと

10してれいのはらからのさまなれとわらはこ﹀ちにいとおもりかに

1あらまほしうおはせる心はへをかひあるさまにて見たてま

2つらはやと思ありくにその宮の御かたのいと花やかにもてなし

3給につけておなし事とは思なからいとあかすくちおしけれはこの

4宮をたに気ちかくて見たてまつらはやとおもひありくにうれ

5しき花のついて也これはきのふの御かへりなれは見せたてまつる

6ねたけにものたまへるかなあまりすきたるかたにす﹀み給へるを

7ゆるしきこえすと聞給て右のおと﹀われらか見たてまつるには

8いと物まめやかに御心おさめ給こそおかしけれあた人とせんにたらい

9給へる御さまをしゐてまめたちたまはんも見ところすくなくや

10ならましなとしりううちてけふもまいらせ給ふにまた

1   もとつ香のにほへる君か袖ふれは花もえならぬ

2なをやちらさむとすきくしやあなかしことまめやかにきこえ給へり

3まことにいひなさんとおもふところあるにやとさすかに御こ﹀ろ

4ときめきし給て

5   花のかをにほはす宿にとめゆけは色につめとや

6人のとかめむなとなを心とけすいらへ給へるを心やましと思ゐ給へり

(17)

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7北のかたまかて給てうちわたりの事のたまうついてにわか君の

8一夜とのゐしてまかり出たりしにほひのいとおかしかりしを

9人はなをと思しを宮のいとおもほしよりて兵部卿の宮にちかつ

10ききこえにけりむへ我をはすさめたりとけしきとりえんし

1給へりし梅のはなめてたまう君なれはあなたのつまの

2こうはひいとさかりに見えしをたAならておりてたてまつれ

3たりし也うつりかはけにこそ心ことなれわれましらひし給ふらん

4女なとはさはえしめぬかな源中納言はかうさまにこのましうは

5たきにほさて人からこそ世になけれあやしうさきの世の

6契りいかなりけるむくひにかとゆかしきことにこそあれおな

7し花の名なれと梅はおひ出けんねこそあはれなれこの宮

8なとのめて給ふさる事そかしなと花によそへてもまつかけきこえ

9給ふ宮の御かたは物おほししる程にねひまさり給へれはなに事も

10見しり聞とAめたまはぬにはあらねと人に見えよつきたらむ

1ありさまはさらにとおほしはなれたり世の人も時による心ありてにや

2さしむかひたる御かたくには心をつくしきこえわひいまめかしき

3ことおほかれとこなたはよろつにつけ物しめやかにひきいり給へるを

4宮はさふらひのかたに聞つたへ給てふかういかてとおもほしよせ給

5つ﹀しのひやかに御文あれと大納言の君ふかく心かけきこえ給て

6さもおもひたちてのたまう事あらはとけしきとり心まうけしたまふを

7見るにいとおしうひきたかへてかうおもひよるへうもあらぬ

8かたにしもなけのことの葉をつくしたまふかひなけなる事

9ときたのかたもおほしのたまふはかなき御返なともなけ

10

はまけしの御こAうそひておもほしやむへくもあらす

1なにかは人の御ありさまなとかはさても見たてまつらま

2ほしうおひさきとをくなとは見えさせたまうをなと

3きたのかたおもほしよるときくあれといといたう色めき

4たまふてかよひたまうしのひところおほく八の宮の

5ひめきみにも御こAうさしのあさからていとしけうて

6ありきたまうたのもしけなき御こAろのあたくしさ

7なともいと﹀つ﹀ましけれはまめやかにはおもほし

8たえたるをかたしけなきはかりにしのひてはA

9きみそたまさかさかしらかりきこえたまふ

(18)

竹 河

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(19)

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1是は源氏の御そうにもはなれ給へりし後のおほい殿わたりにあり

2けるわるこたちのおちとまり残れるかとはすかたりしをきたるは

3むらさきのゆかりにもにさめれとかの女とものいひけるは源氏の御

4すゑくにひか事とものましりて聞ゆるは我よりも年のかすつもりほけ

5たりける人のひかおほえにやとなんあやしかりけるいつれかはま

6ことならん内侍のかみの御はらにことの﹀御こはおとこ三人女二人なんお

7はしけるをさまくにかしつきたてん事をおほしをきてA年月の

8すくるも心もとなかり給し程にあえなくうせ給にしかはゆめの

9やうにていつしかといそきおほし﹀御宮つかへもをこたりぬ人の心も

10時によのわさなりけれはさはかりいきをひいかめしうおはせしおとAの

1御なこり内々の御たから物らうし給ところくなとそのかたのおとろへは

2なけれと大かたのありさまひきかへたるやうに殿のうちもしめやかに

3なりゆくかむの君の御ちかきゆかりそこらこそは世にみちむろこ

4り給へれと中々やむことなき御なからひのもとよりもしたしからさり

5しにご殿のなさけすこしをくれむらくしさすき給へりける御本上

6にて心をかれ給事もありけるゆかりにや誰にもえなつかしうきこえ

7かよひたまはす六条院にはすへてなをむかしにかはらすかすまへ

8きこえ給てうせ給なん後の事ともかきをき給へる御せうふんのふみ

9ともにも中宮のつきにくはへたてまつり給へれは右の大臣殿なとは中々

10その心ありてさるへきおりくは音つれきこえ給おとこきんたちも御けん

1ふくなとし給てをのくおとなひし給にしかは殿おはせてのち心もと

2なくあはれなる事ともあれとをのつからなり出給ぬへかめりひめ君たちを

3いかにもてなしたてまつらんとおほしみたる内にもかならす御宮つかへ

4のほいふかきよしをおと﹀のそうしをき給けれはおとなひ給ぬらむ

5年月をおほしはからせ給ておほせことたまはすれと中宮のいよく

6ならひなくのみなりまさらせ給御気はひにをされてみな人むとくに

7物し給めるすゑにまいりてはるかにめをそはめられたてまつらんもわつ

8らはしく又人にをとり数ならぬさまにて見むはた心つくしなるへきを

9おほしたゆたふに冷泉院より又いとねんごろにおほしのたまはせて

10

君のむかしの御ほいなくてすくし給しつらさをさへとりかへし

1恨きこえ給ていまはましてすさましうさたすきにたるありさまに

2思すて給ふともうしろやすきおやになすらへてゆつり給へなといとまめや

3かにきこえ給けれはいか﹀はあるへき事ならんみつからのいとくちおしきすく

4せにて思のほかに心つきなしとおほされにしかはつかしうかたしけなきを

5此世のすゑにてや御らんしなをされましなとさためかね給かたちいとよく

6おはするきこえたかうありて心かけ申給人おほかり右のおほい殿のくら

7人の少将とかいひしは三条殿の御はらにてあに君たちよりもひきこして

8いみしうかしつき給人からもいとおかしかりし君いとねんごろに申

9給いつかたにつけてももてはなれぬ御なからひなれは此君たちのむつひ

(20)

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10まいり給なとするはけとをくももてなしたまはす女房にもけちかく

−なれよりつ︑思事をかたらふにもたよりありてよるひるあたりさらぬ

2み﹀かしかましさをうるさき物の心くるしきにかんの君もおほしたり

3は﹀北のかたの御ふみもしはくたてまつり給ていとかろひたる程に

4侍めれとおほしゆるすかたもやとなんおと﹀もきこえ給けるひめ君

5をはさらにた﹀のさまにもおほしをきてたまはす中の君をなん

6いますこし世のきAみ﹀かるくしからぬ程になすらひ給なはさもやと

7おほしけるゆるしたまはすはぬすみもとり給つへくむくつけき

8まておもへりこよなき事とはおほさねと女かたの心ゆるしたまはぬ

9ことのまきれあるはをとき﹀もあはつけきわさなれはきこえつく人

1 41slもあなかしこあやまちひきいつなとのたまふにくたされてなんわつら

1はしかりけるに六条院の御すゑに朱雀院の三の宮の御はらにむまれ

2給へりし君冷泉院に御このやうにおほしかしつv四位の侍従そのころ十

3四五の程にていときひはにおさなかるへき程よりは心をきておとなくしう

4めやすく人にはまさりたるおいさきしるくもてなし給をかんの君はむごに

5て見まほしくおほしたり此殿はかの三条の宮にいとちかき程なれはさるへき

6おりくのあそひところには君たちにひかれて見え給おりくあり心にくき程

7の女のおはするところなれはわかきおとこの心つかひせぬなく見えしらかひ

8さまよふ中にかたちのよさは此たちさらぬくら人の少将なつかしく心はつかし

9けになまめいたるかたは此四位の侍従の御ありさまににたる人そなかり

10ける六条院の御気はひちかしと思なすか心ことなるにやあらん世中にをの

−つからもてかしつかれ給へる人也わかき人々心ことにめてあへるをかんの殿

2もけにこそめやすけれなとのたまひて気ちかうなつかしき程に物なとき

3こえ給六条院の御心はへを思ひ出きこえてはなくさむよなういみしう

4のみおほしたるをその御かたみにも誰をかは見たてまつらん右のおと﹀はことく

5しき御程にてついてなき御たいめんもかたきをなとのたまひてはらからの

6つらに思きこえ給へれはかの君もさるへきところには思ひてまいり給よの

7つねのすきくしさも見えすいといたうしつまりたるをそこ﹀かしこのわか

8き人々はくちおしくさうくしき物に思ひていひなやましけるむ月の

9ついたちころかんの君の御はらからの大納言たかさこうたひしよ藤中納言

10

こおほい殿の太郎まきはしらの御ひとつはらなとまいり給へり右のおと﹀

回図       −

−も御ことも六人なからひきつれておはしたり御かたちよりはしめてあかぬ事

2なく見ゆる人の御ありさまおほえ也君たちもさまくいときよけにて年の

3程よりはつかさくらゐはすきつ﹀何事をおもふらんと見えたるへし夜と

4ともに蔵人の君はかしつかれたるさまことなれと打しめりて思ふ事あり

5かほ也おと﹀はみきちやうへたて﹀むかしにかはらす御物語きこえ給

6その事となくてしはくもえうけたまはらす年の数そふま﹀に

7内にまいるよりほかのありきなとうゐくしうなりにて侍れはいにしへ

8の御物語もきこえまほしきおりくおほくすくし侍をなんわかきをのこ

(21)

9ともはさるへき事にはめしつかはせ給へかならすその心さし御らんせられ

10よといましめ侍りなときこえ給いまはかく世にふる数にもあらぬ

−やうになりゆくありさまをおほしかすまうるになんすきにし御

2こともいと﹀わすれかたく思給へられけると申給けるついてにゐん

3よりのたまはする事ほのめかしきこえ給はかくしううしろみなき

4人のましらひは中々見くるしきをとかたく思給へなんわつらふと申

5給へは内におほせらる﹀事あるやうにうけたまはりしをいつかたにおも

6ほしさたむへきことになんかの院はけに御くらゐをさらせ給へるに

7こそさかりすきたるこ﹀ちすれと世にありかたき御ありさまはふり

8かたくのみおはしますめるをよろしうおい出る女子侍らましかはと

9思給へよりなからはつかしけなる御中にましらふへき物の侍らてなん

10くちおしう思給へらる﹀そもく女一の宮の女御はゆるしきこえ給ふや

1さきくの人さやうのは﹀かりによりと﹀こほる事も侍りしと申給へは女御

2なんつれくにのとかになりにたるありさまもおなし心にうしろ見てなく

3さめまほしきをなとかのす﹀め給につけていかAなとたに思給へよるに

4なんときこえ給これかれこAにあつまり給て三条の宮にまいり給朱

5雀院のふるき心物し給人々六条院のかたさまのもかたくにつけて

6なをかの入道の宮をはえよきすまいり給なめり此殿のさごんの中将

7右中弁侍従の君なともやかておと﹀の御ともに出たまひぬ

8ひきつれ給へるいきをひことなりゆふつけて四位の侍従まいり給へり

9そこらおとなしきもわかきんたちもあまたさまくにいつれかはわろ

10

たりつるみなめやすかりつる中にたちをくれて此君のたち出

−給へるいとこよなくめとまるこ﹀地してれいの物めてするわか人

2たちはなをことなりけりなといふ此殿のひめ君の御かたはらには是

3をこそさしならへて見めと聞にく︑いふけにいとわかうなまめか

4しきさまして打ふるまひ給へるにほひかなとよのつねならすひめ君

5と聞ゆれと心おはせむ人はけに人よりはまさるなめりと見しり

6給ふらんかしとそおほゆるかんの殿御ねんすたうにおはしてこなた

7にとのたまへれはひんかしのはしよりのほりてとくちのみすのまへに

8ゐ給へりおまへちかきわか木の梅心もとなくつほみてうくひすのはつ

9こゑもいとおほとかなるにいとすかせたてまつらまほしきさまのし

10給へれは人々はかなき事をいふにことすくなに心にくき程なるをねた

1かりて宰相の君と聞ゆる上らうのよみかけたまふ

2    おりて見はいと﹀にほひもまさるやとすこし色めけ3梅のはつ花くちはやしときAて

4    よそにてはもき木なりとやさたむらんしたににほへる

5梅のはつ花さらは袖ふれて見給へといひすさふるにまことは色より

6もとくちくひきもうこかしつへくさまよふかんの君おくのかたより

7いさり出給てうたてのこたちやはつかしけなるまめ人をさへよくこそ

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8おもなけれとしのひてのたまふ也まめ人とこそつけられたりけれいと

9くつしたる名かなと思ゐ給へりあるしの侍従殿上なともまたせねは

10ところくもありかておはしあひたりせんかうのおしき二つはかりしてく

−た物さかつきはかりさし出給へりおとAはねひまさり給ま﹀にご院にいと

2ようこそおほえたてまつり給へれ此君は似給へるところも見えたま

3はぬをけはひのいとしめやかになまめいたるもてなしそかの御わか

4さかり思やらる﹀かうさまにそおはしけんかしなと思ひ出きこえ

5給て打しほたれ給なこりさへとまりたるかうはしさを人々はめて

6くつかへる侍従の君まめ人の名をうれたしと思けれは廿日あまり

7よひのころ梅の花さかりなるににほひすくなけにとりなされし

8すき物ならはむかしとおほして藤侍従の御もとにおはしたる中門

9入給ほとにおなしなをしすかたなる人たてりけるかくれなんとおもひ

10けるをひきと﹀めけれはこのつねに立わつらふ少将なりけんしんてんの

−西おもてにひわさうのことのこゑするに心をまとはしてたてるなめり

2くるしけや人のゆるさぬ事思はしめんはつみふか﹀るへきわさかなと

3おもふことのこゑもやみぬれはいさしるへし給へまろはいとたとくしとて

4ひきつれて西のわた殿のまへなるこうはいの木のもとに梅か﹀を

5うそふきて立よる気はひ花よりもしるくさと打にほへれはつま戸

6をしあけて人々あつまをいとよくかきあはせたり女のことにてりつの

7うたはかうしもあはせぬをいたしと思ひていま一かへりおりかへしうたふを

8ひわもになくいまめかしゆへありてもてない給へるあたりそかしと心とまり

9ぬれはこよひはすこし打とけてはかなし事なともいふうちよりわこん

10さし出たりかたみにゆつりててふれぬに侍従の君してかんの殿ちし

1のおと﹀の御つまをとになんかよひ給へりと聞わたるをまめやかに

2ゆかしくなんこよひはなをうくひすにもさそはれ給へとのたまひ

3いたしたれはあまえてつめくふへき事にもあらぬをと思ひてはおさく

4心にもいらすかきわたし給へるけしきいとひ﹀きをもく聞ゆつねに

5見たてまつりむつひさりしおやなれと世におはせすなりにきと思ふに

6いと心ほそきにはかなき事のついてにもおもひはてたてまつるにいとなん

7あはれなる大かた此君はあやしうご大納言のみありさまにいとようお

8ほえことのねなとたAそれとこそおほえつれとてなき給もふるめい

9給しるしの涙もろさにや少将もこゑいとおもしろうてさき草

10うたふさかしう心つきて打すくしたる人もましらねはをのつからかたみに

−もよほされてあそひ給あるしのししうはこおと﹀に似たてまつり給へるにや

2かやうのかたはをくれてさかつきをのみす﹀むれはことふきをたにせんやと

3はつかしめられて竹川をおなしこゑにいたしてまたわかけれとおかしう

4うたふすのうちよりかはらけさしいつゑいのすAまてはしのふることもつ︑ま

5れすひかことするわさとこそ聞侍れいかにもてない給そととみに

6うけひかすこうちきかさなりたるほそなかの入香なつかしうしみたるを

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(23)

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7とりあへたるま﹀にかつけ給なにそもそなとさうときてししうはあるしの

8君に打かつけていぬひきと﹀めてかつくれと水むまやにて夜ふけに

9けりとてにけにけり少将はこの源侍従の君のかうほのめきよるめれは

10

る人これにこそ心よせ給ふらめ我身はいと﹀くつしいたく思よはりて

1あちきなうそうらむる

2    人はみな花にご・ろをうつすらむひとりそまとふ

3春の夜のやみ打なけきてたてはうちの人のかへし

4    おりからやあはれもしらん梅の花た﹀かはかりに

5うつりしもせしあしたに四位の侍従のもとよりあるしのししうのもとに

6よへはいとみたりかはしかりしを人々いかに見給けんと見給へとおほしうかな

7かちにかきてはしに

8    たけ川のはし打出し一ふしにふかきこ﹀ろのそこはしりきや#

9とかきたりしんてんにもてまいりてこれかれ見給手なともいとおか

10しうもあるかないかなる人いまよりかくと﹀のひたらむおさなくて

1院にもをくれたてまつりは﹀宮のしとけなふおをしたて給へれと

2なを人にはまさるへきにこそはあめれとてかんの君は此君たちの

3てなとあしき事をはつかしめ給返ことけにいとわかくよへは水

4むまやをふかさしといそきしもきこゆめりし

5    竹かはに夜をふかさしといそきしもいかなるふしを

6思をかましけに此ふしをはしめにて此君の御さうしにおはしてけしき

7はみよる少将のをしはかりしもしるくみな人心よせたり侍従の

8君もわかきこ﹀地にちかきゆかりにて明暮むつひまほしう思ひけり

9やよひになりてさく桜あれはちりかひくもり大かたのさかりなる

10

ころのとやかにおはするところはまきる﹀ことなくはしちかなる

−つみもあるましかめりそのころ十八九の程にやおはしけん御かたち

2も心はへもとりくにそおかしきひめ君はいとあさやかに気たかうい

3まめかしきさましてけにたA人に見たてまつらんはにけなう

4そ見え給桜のほそなか山ふきなとのおりにあひたる色あひの

5なつかしき程にかさなりたるすそまてあいきやうのこほれおち

6たるやうに見ゆる御もてなしなともらうくしく心はつかしきけさへ

7そひ給へりいま一ところはうすこうはいに桜色にて柳のいとのやうに

coたをくと見ゆいとそひやかになまめかしうすみたるさましてをもり

9かに心ふかきけはひまさり給へれとにほひやかなるけはひはこよなし

10とそ人おもへるこうち給とてさしむかひ給へるかんさし御くしのかAり

−たるさまともいと見ところあり侍従の君けんそし給とてち

2かうさふらひ給にあに君たちさしのぞき給て侍従のお

3ほえこよなくなりにけり御このけんそゆるされにけるとておと

4なおとなしきさましてついゐ給へはおまへなる人々とかうゐなをる

5中将宮つかへのいそかしうなり侍程に人にをとりにたるはいとほいなき

(24)

V S

6わさかなとうれへ給へは弁官はまいてわたくしの宮つかへをこたりぬ

7へきさまにさのみやはおほしすてんなと申給こうちさしてはち

8らひておはさうするいとおかしけ也内わたりなとまかりありきて

9もことのおはしたてまつり給廿七八の程に物し給へはいとよくと>

10

て此御ありさまともをいかていにしへおほしをきて

1しにたかへすもかなと思ゐ給へりおまへの花の木ともの中にも

2にほひまさりておかしき桜をおらせてほかのにもにす

3こそなともてあそひ給をおさなくおはしまさうし時この花は

4わかそくとあらそひ給しをそことのはひめ君の御花そとさため

5給うへはわか君の御木にさため給しをいとさはなきの﹀しらねと

6やすからす思給へられしはや此桜の老木になりにけるに

7つけてもすきにけるよはひを思給へいつれはあまたの人に

8をくれ侍にける身のうれへもとめかたうこそなとなきみわらひ

9みきこえ給てれいよりはのとやかにおはす人のむごになりて

10

しつかにもいまは見えたまはぬを心とめて物し給かんのきみ

1かくおとなしき人のおやになり給御年の程おもひよるはいとわかう

2きよけになをさかりの御かたちと見え給へり冷泉院のみかと

3はおほくは此御ありさまのなをゆかしうむかし恋しうおほし出られ

4けれはなににつけてかいとおほしくらしてひめ君の御ことをあな

5かちにきこえ給にそありける院へまいりたまはん事は此君たち

6そなを物しはへなきこ﹀ちこそすへけれようつのこと時につけたるを

7こそ世人もゆるすめれけにいと見たてまつらまほしき御ありさまはこの

8世にたくひなくおはしますめれとさかりならぬこ﹀ちそするやこと

9ふえのしらへ花鳥の色をもねをも時にしたかひてこそ人のみ﹀も

10とまる物なれ春宮はいか﹀なと申給へはいさやはしめよりやむこと

−なき人のかたはらもなきやうにてのみ物し給めれはこそ中々にて

2ましらはんはむねいたく人わらへなる事もやあらんとつ︑ましけれは

r

 3殿おはせましかはゆくすゑの御すくせノ\はしらすた﹀いまはかひあるさまに

4もてなし給てましをなとのたまひ出てみな物あはれ也中将なとたち給て

 5のち君たちはうちさし給へるこうち給むかしよりあらそひ給桜をかけ物

 6にて三はんに数一かちたまはんかたにはなをよせてんとたはふれかはしきこ

 7え給くらうなれははしちかうてうちはて給みすまきあけて人々みな

8いとみねんし聞ゆおりしもれいの少将侍従の君の御さうしに来たりけるを

9打つれて出給にけれは大かた人すくなかるにらうの戸のあきたるにやを

 10らよりてのぞきけりかううれしきおりを見つけたるは仏なとのあらはれ

 −給へらむにあひたらんこ﹀ちするもはかなき心になん夕暮の霞の

 2まきれはさやかならねとつくくと見れはさくら色のあやめもそれと

 3みわきつけにちりなん後のかた見にも見まほしくにほひおほく見え

 4給をいとAことさまになり給なん事にわひしく思まさらるわかき人々の

(25)

gS

5打とけたるすかたとも夕はへおかしう見ゆ右かたせたまひぬこまの

6らさうをそしやなとはやりかにいふもあり右に心よせたてまつりて

7西のおまへによりて侍る木を左になして年ころの御あらそひのかAれは

8ありつるそかしと右かたはこ﹀ちよけにはけまし聞ゆ何事としらねとおか

9しと聞てさしいらへもせまほしけれと打とけ給へるおりこ﹀ちなく

10

はとおもひて出ていぬ又かAるまきれもやとかけにそひてそうかAひ

−ありきける君たちは花のあらそひをしつ﹀あかしくらし給に風あららか

2に吹たる夕つかたみたれおつるかいとくちおしうあたらしけれはまけかたのひめきみ

3    さくらゆへ風にご﹀ろのさはくかなおもひくまなき4花と見るく御かたの宰相

5    さくと見てかつはちりぬる花なれはまくるをふかき゜

6うらみともせすときこえたすくれは右のひめきみ

7    風にちることはよのつねえたなからうつろふはなを

8た﹀にしも見しこの御かたの大輔のきみ

9    こ﹀ろありて池のみきはにおつる花あわとなりても

10

かAたによれかちかたのわらはへおりて花のしたにありきてちりたるを

1いとおほくひろひてもてまいれり

2    大そらの風にちれともさくら花をのかものとそ

3かきつめて見る左のなれき    .

4    桜はなにほひあまたにちらさしとおほふはかりの

5袖はありやは心をはけにこそ見ゆめれなといひおとすかくいふに月日はか

6なくすくすもゆくすゑのうしろめたきをかんの殿はようつにおほす

7院よりは御せうそこ日々にあり女御うとくしうおほしへたつるにやうへは

8こ﹀にきこえうとむるなめりといとにくけにおほしのたまへはたはふれ

9にもくるしうなんおなしくは此ころの程におほしたちねなといと

10まめやかにきこえ給さるへきにこそはおはすらめいとかうあやにくに

1のたまうもかたしけなしなとおほしたる御てうとなとはそこらしをかせ

2給へれは人々のさうそくなにくれのはかなきことをそいそき給是を聞

3に蔵人の少将はしぬはかりおもひてはA北のかたをせめたてまつれは

4聞わつらひ給ていとかたはらいたきことにつけてほのめかし聞ゆるも世に

5かたくなしきやみのまよひになんおほししるかたもあらはをしはかりて

6なをなくさめさせ給へ人なといとおしけにきこえ給をくるしうもあるかな

7と打なけき給ていかなる事と思給へさたむへきやうもなきを院より

8わたりなくのたまはするに思ふ給へみたれてなんまめやかなる御心ならは此程

9をおほししつめてなくさめきこえんさまをも見給てなん世のきこえも

10なたらかならんなと申給も此御まいりすくして中の君をとおほすなるへし

1さしあはせてはうたてしたりかほならんまたくらゐなともあさへたる程

2をなとおほすにおとこはさらにしか思うつるへくもあらすほのかに見たて

・3まつりて後はおもかけに恋しういかならんおりにとのみおほゆるにかうたのみ

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