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博 士 ( 薬 学 ) 竹 村 隆 博

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Academic year: 2021

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博 士 ( 薬 学 ) 竹 村 隆 博

学 位 論 文 題 名

昆 虫 毒 Pederin 及 び 海 洋 産 ボ リ エ ー テ ル Gambierol の 合 成 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  近年 、分 子内に各種の環 状工ーテルを含む天然物が数 多く単離、構造決定され、 その顕著な

生物活性と 特異な化学構造から注目を 集めている。今回、これら環状エーテル系天然物の中で、

昆 虫 毒pederinと 海 産 ポ リ エ ー テ ル 系 天 然 物gambierolを 合 成 目 標 と し て研 究を 行っ た 。

(1)昆虫毒Pederinの合成研究

  アオバアリガタハネカクシPaederus fuscipesより単離 された昆虫毒pederinは、一虫体あた´

り1ygしか 含 まれ てお らず、マウス に対してLD50  0.5Ltgと極 めて強い毒性を示す化合物で あ

る 。最 近、 類 縁天 然物 とし てmycalamideAなど が海 綿か ら単 離 され 、強 い抗 腫 瘍、 抗ウ ィル

ス 活 性を 有す るこ と から、本系天然 物は新しい医薬品のりード 化合物として注目されている 。 こ れ ら化 合物 は天 然 から極めて微量 しか得ることが出来ず、そ の詳細な生物活性試験を行う た めに、大量合成可能な効率的合成法の確立が強く望まれている。

  Pederinの左半分については 、既に理研・中田研で効率 的な合成法が確立している。 今回、右

半 分に相当する(+)‑benzoylpedamideの合成計画を立案し た。C‑15位以降の側鎖部分 は、3−ヒ

ド口キシ−6−ラク卜ンヘ・の立体選択的アリル化を経て構築することにした。3−ヒド口キシ−6‐ラ

ク ト ン は 、 分 子 内 に2― ブ ロ モ イ ソ プ チ リ ル 基 を 有 す る ア ル デ ヒ ド のSmIzに よ る 分 子 内

Reformatsky反応により立体選択的に合成することを計画した。

  (S)‑Malic acidから2行 程で 導い たア ル コー ルに 対し 、ワ ン ポッ トでSwem酸 化、Wittig反

応 を 行い 不飽 和工 ス テル を得 た。1N HCIで脱 アセトナイド化を 行いジオールとし、選択的 に1

級 水酸基をTBS化した後、2‑bromoisobutyryl bromideを作 用させ、a.プ口モエステル を合成し

た 。オゾン酸化を行い、鍵中 間体であるアルデヒドを得、 続いて、Srrll2を作用させると速やか

に 反応が進行し、求める3―ヒドロキシ−6‐ラクトンを立体選択的に得ることができた(収率85%,

2行程)。DIBAH還元でラクト ールとした後、ベンゾイル化 し、次にMeCN中、TMSOTf―BF3.Et20

存 在 下、 (覡 =CHCH21MSを作 用さ せる と 、ア リル 基が 立体 選 択的 (洳 配置)に導入された 。

こ の 際、 シル ル基 が 脱離した化合物 が主生成物として得られた が、定量的にシリル体へと変 換

で き た。 次い で(DHQ)2P1ほを用い たSha叩less不斉ジヒドロキ シル化を行い、求めるp‐ヒ ド

ロキシ体を収率68%で得ることができた(a‐isonler:22ゲ。)。2つの水酸基をメチル化し、Joncs酸

化 で1級 ア ル コ ー ル のTBS保 護 基の 脱保 護 とカ ルボ ン酸 まで の 酸化 を一 気に 行 い、 アミ ド化

を 行って、の‐Malicacidから15行程、通算収率35%で( 十)‐benZ0ylpedamidcの合成に成功し

た。

  左 半分 エス テル をn.PrSLiでカル ボン酸とした後、チオニル クロライドで酸クロリドへと 導

き 、 右半 分ア ミド か らMec剛ein試薬 により合成したイミデート とカプリングさせた。その後 、

直 ち にNaBH4で還 元し 、dibcnZ0ylpeder血 とそ のC一10印f体を1:3の比率で得ることができ 、

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学位論 文審査の要旨

教授 教授

理化学研究所・

主 任 研 究 員 助教授

小林 橋本 中田 森田

学 位 論 文 題 名

淳一 俊一      忠 博史

昆 虫毒 Pederin 及 び 海 洋産 ポリエー テル Gambierol の 合 成 研究

   近 年 、 分 子 内 に 複 数 の 環 状 エ ー テ ル を 含 む 天 然 物 が 数 多 く 単 離 、 構 造 決 定 巻 れ 、 そ の 顕 著 な 生 物 活 性と 特 異 な 化学 構 造 から 注 目 を集 め て いる 。 本 研究 で は 、 Srrr12 を 用 い た 環 化 反 応 を 鍵 反 応 と し て 、 2 個 の エ ー テ ル 環 を 含 む 昆 虫 毒 pederin の 右 半 分 の 効 率 的 合 成 と 、 8 個 の エ ー テ ル 環 が 梯 子 状 に ぬ ns に 結 合 し た 海 産 毒 gambierol の 全 合 成 を 目 標 と し て 研 究 を 行 っ た 結 果 、 前 者 で は 行 程 数 と 収 率 の 向 上 が 達 成 さ れ 、 後 者 で 1 ま 8 個 の エ ー テ ル 環 の う ち 5 個 の 環 の 合 成 に 成 功 し た 。

(1) 昆 虫 壷 PederinQ 金 處 矼 窓

   ア オ バ ア リ ガ タ ハ ネ カ ク シ Paederus ん s 〔 ゆ es よ り 単 離 さ れ た 昆 虫 毒 pederin は 、 2 個 の エ ー テ ル 環 を 含 む 化 合 物 で 、 個 体 当 た り の 含 有 量 が 1 〃 g で 、 マ ウ ス に 対 し て 強 い 毒 性 を ( ID50 0 . 5 ル g ) 示 す こ と が知 ら れ てい る 。 最 近 、 海 綿 か ら 単 離 さ れ た 類 縁 天 然 物 mycalamideA が 、 強 い 抗 腫 瘍 活 性 な ら ぴ に 抗 ウ イ ル ス 活 性 を 有 す る こ と か ら 、 本 骨 格 を も つ 天 然 物 は 新 し い 医 薬 品 の り ニ ド 化 合 物 と し て 期 待 さ れ て い る 。 こ れ ら の 化 合 物 は 天 然 か ら は 微 量 に し か 得 る こ と が で き ず 、 詳 細 な 生 物 活 性 試 験 を 行 う た め に 、 効 率 的 合 成 法 の 確 立 が 望 ま れ て い る 。

  Pederin の 左 半 分 に つ い て は 、 既 に 効 率 的 な 合 成 法 が 確 立 し て い る の で 、 本

研 究 で は 、 右 半 分 に 相 当 す る (十 ) − benZoylpedamide の 合 成を 計 画 した 。 3 ー ヒ

ド ロ キ シ ― d − ラ ク ト ン 部 分 は 、 分 子 内 に 2 ー ブ ロ モ イ ソ ブ チ リ ル 基 を 有 す る ア

(4)

ルデヒドのSrrlI2 による分子内 Reformatsky 反応により立体選択的に合成し、

出発原料の(S) −malic acid から 15 行程、通算収率 35 %で、目的する(十)―

benzoylpedamide の合成に成功した。

   続いて、既知の方法で合成した左半分のエステ丿レ体を酸クロリドへと導き、

右半分のアミド体から誘導したイミデートとカプリングさせ、(十)ーpederin の全合成を達成した。

   本研究で開発されたpederin の右半分の合成法は、mycalamideA の右半分.、

の合成にも応用され、その全合成が達成された。

(2) GambierolQ 金盛璽究

   渦 鞭 毛 藻 G 伽 Merdjscus め 対 cus か ら 単 離 さ れ た 海 洋 産 ポ リ エー テ ル gambierol は、強カなマウス致死活性があり、その作用がcigato 姐n に類似し ていることから、活性発現機構に興味がもたれている。Gambierol 構造上の特 徴は、エ ーテル環が梯子状にぬns に縮環した 8 環性ポリエーテル骨格と、化 学的に不安定なトリエン側鎖を有していることである。本研究では、Sm12 によ るラジカル環化反応を基盤として gambierol のエーテル環部を構築し、その全 合成を計画した。

  2 ―DeoXy ―D − ribose を出発原料として用いてまずG 環部を合成し、続いてF      ′

環部、 E 環部を構築した。さらに、 Sm12 によるエーテル環化反応を繰り返すこ とにより、CDEFG 環部の合成を達成した。

   残る 3 個のエー テル環(A 、B 、 H 環) の合成は時間切れのため達成できて いないが 、これまでの研究結果から、Sn12 を用いたgambierol 全合成への展 望が開けたと判断される。

   本研究では、環状エーテル構造を含む微量天然有機化学物の立体選択的合成 法のひとっとして、SrrlI2 を用いる方法の有用性を示した点で、天然物有機化合 合成の 分野で優れ た研究成果 をあげたものとぃえる。本研究成果のうち、

pederin の改良合成法については既に国際学術誌に発表されており、博士(薬

学)の学位を受けるに値する業績と判断された。

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