俚諺の研究 : 禁忌の分析を中心に
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(2) 第2章では、先ず禁忌の僅諺を原因と結果の. るト占や呪術に比べて数が多いことからも裏付. 結びつきの状態から分類することを試みた。そ. けられるであろう。. こに欠かせないのは「直感に基づく解釈」であ. 次いで俗信を支える土壌について分析した。. り、「その時、その人が、何を連想したかを追体. 人々が忌みの対象とするものは多種多様である. 験すること」であった。俗信の成立当初の人々. が、その根底に流れているのはケガレを忌むと. の心情は「超人間的なカの存在」を信じ、それ. いう意識で、人々はやはり普通の日々、つまり. に畏怖の念を抱くことであった。. ケを重視していたと思われる。ここにも平準化. 次いで、違反した場合に課せられる制裁の分. の原理が窺える。. 類を行なった。禁忌に伴う制裁を反転させれば、. 終章では、僅諺にみる近代目本人のメンタリ. 当時の人々が「そうならないことが幸せ」だと. ティーについて考察した。明治期の科学至上主. 感じて、平穏無事を願うメンタリティーを持っ. 義の影響で、エティックな観点では呪いが禁忌. ていたことが推測された。. に移行していったことが判明した。また、俗信. また、口承であるが故に俗信の意味・内容が. の威力が弱まったため、後世に伝えるために僅. 変化することは避けられないのだが、俗信が変. 諺の形をとり、さらに心に刻まれやすい言い方. 遷しても伝承されるのは、禁忌を守ることが安. として禁忌が制裁を伴うという無意識の工夫が. 心で、守らないことが不安であるという心情に. あった。そして、それは近世末から近代にかけ. 基づいたものであることを確認した。俗信の成. てのことと推察される。. 立当初の人々は「超人間的なカの存在」を信じ、. 続いて俗信に基づく僅諺の意味・内容が変遷. それに畏怖の念を抱いていたと考えられるが、. しても共有される感情について考察した結果、. それも変遷したとみることができる。. 超人間的な力の存在への畏怖、ケガレを忌む感. 第3章では、俗信の伝承の舞台であり、伝承. 覚、平準化の原理の浸透が挙げられ、これらに. 体そのものである村落共同体の生活及び機能に. 共通しているのは、やはりマイナスを起こさせ. ついて分析した。そこに暮らす人々は伝承的な. ないという消極性であった。併せて、俗信には. ものに左右される部分が多い常民性を備え、模. 精神的疲労を和らげ、不安を解消する側面もあ. 倣的・保守的であった。また、共同体の教育機. ることが推測される。. 関である若者組で、主に行われたのは一人前の. 最後に変化する俗信について分析したところ、. 人間に引き上げる教育であったが、俗信も諺の. 超人間的な力の存在に対する不安を克服できず、. 形によって伝承されたと思われる。そこにはタ. その解消の為、俗信の意味・内容を理屈に合う. テとヨコの双方からの相互監視があり、人並み. よう変遷させたり、新たに発生させたりしてい. になろう、突出しないでおこうという平準化の. ることが明らかになった。科学の世界で未知の. 原理が働いていた。それがマイナスを起こさせ. 領域が存在する限り、俗信が息づく余地はある. ないという消極性に繋がっていったものと考え. とみることができる。. られる。. 俗信に基づく僅諺を抽出したところ、消極的. 主任指導教員 渡 邊 隆 信. な知識である予兆と禁忌が、積極的な技術であ. 指導教員 渡邊隆信.
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