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俚諺の研究 : 禁忌の分析を中心に

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Academic year: 2021

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(1)   僅諺の研究. 一禁忌の分析を中心に一. 人間発達教育専攻. コース. 教育コミュニケーション. 学籍番号. M 1 1 0 0 5 I. 氏  名. 藤  井  雅  哉. 第1節 俗信に基づく僅諺の伝承の舞台. 【研究の目的】. 第2節 俗信に基づく僅諺を支える土壌.  俗信は、超人間的な力の存在を信じてきた日. 本人が長い経験によって帰納した、それに対処. 専  攻. 終. 章 僅諺にみる近代日本人のメンタリテ. する知識と技術である。俗信の大部分は後世に.   イー. 伝承するため定型化され、洗練を経て、僅諺に. 第1節 僅諺にみる近代日本人のメンタ. 変身した。わけても、我々の生活の中に浸透し.     リテイー. ているのは、「∼すると∼になる」といった制裁. 第2節 今後の課題. を伴う禁忌の僅諺であった。. 【研究の概要】.  この俗信は明治期の西洋化に伴う弾圧と、第.  序章では研究の目的と方法を述べた。本研究. 二次世界大戦後に起きた迷信撲滅運動により、. で用いる資料については『増補僅言葉覧』『僅諺. 打撃を受けたのだが、それでも着実に次世代に. 辞典』『僅諺大辞典』を選定した。. 引き継がれたり、新たに発生したりしている。.  第1章では、僅諺と俗信をそれぞれ定義づけ.  本研究では、近代を中心とした禁忌の僅諺を. した上、両者の関係を明らかにした。口承文芸. 通して、僅諺に内在する俗信的内容を分析し、. である諺の研究にとって重要な観点は、そのr発一一. 俗信を支える土壌と、そこに潜む近代目本人の. 言の場」であり、「社会組織や贋用についての知. メンタリティーを探ることを目的とする。. 識」であり、それが俗信に基づく僅諺の場合で. 【論文の構成】. も変わりはない。また、諺には比楡を中心とし. 序 章 研究の目的と方法. た言語技術と音数律があり、それが諺を伝承さ. 第1章 僅諺と俗信の定義. せる要因となっている。これらは意図されたも.   第1節 狸諺の定義. のではなく、無意識の工夫と呼べるものである。.   第2節 俗信の定義と分類.  諺は特定の人によって言いだされたものと推.   第3節 僅諺と俗信の関係. 測されるが、それが人々に共鳴され、人が口に. 第2章 僅諺の内容と分析. しなければ成立しないもので、故に集団のもの.   第1節 禁忌の僅諺の分析. であると言える。そして俗信も同様の性格を持.   第2節 俗信に基づく僅諺の分類と分析. っていると思われる。俗信が僅諺の形をとるよ.   第3節 変遷する解釈. うになったのは、後世に伝承させるためであり、. 第3章俗信に基づく僅諺を支える土壌. 教育を目的としたとみることができる。.

(2)  第2章では、先ず禁忌の僅諺を原因と結果の. るト占や呪術に比べて数が多いことからも裏付. 結びつきの状態から分類することを試みた。そ. けられるであろう。. こに欠かせないのは「直感に基づく解釈」であ.  次いで俗信を支える土壌について分析した。. り、「その時、その人が、何を連想したかを追体. 人々が忌みの対象とするものは多種多様である. 験すること」であった。俗信の成立当初の人々. が、その根底に流れているのはケガレを忌むと. の心情は「超人間的なカの存在」を信じ、それ. いう意識で、人々はやはり普通の日々、つまり. に畏怖の念を抱くことであった。. ケを重視していたと思われる。ここにも平準化.  次いで、違反した場合に課せられる制裁の分. の原理が窺える。. 類を行なった。禁忌に伴う制裁を反転させれば、.  終章では、僅諺にみる近代目本人のメンタリ. 当時の人々が「そうならないことが幸せ」だと. ティーについて考察した。明治期の科学至上主. 感じて、平穏無事を願うメンタリティーを持っ. 義の影響で、エティックな観点では呪いが禁忌. ていたことが推測された。. に移行していったことが判明した。また、俗信.  また、口承であるが故に俗信の意味・内容が. の威力が弱まったため、後世に伝えるために僅. 変化することは避けられないのだが、俗信が変. 諺の形をとり、さらに心に刻まれやすい言い方. 遷しても伝承されるのは、禁忌を守ることが安. として禁忌が制裁を伴うという無意識の工夫が. 心で、守らないことが不安であるという心情に. あった。そして、それは近世末から近代にかけ. 基づいたものであることを確認した。俗信の成. てのことと推察される。. 立当初の人々は「超人間的なカの存在」を信じ、.  続いて俗信に基づく僅諺の意味・内容が変遷. それに畏怖の念を抱いていたと考えられるが、. しても共有される感情について考察した結果、. それも変遷したとみることができる。. 超人間的な力の存在への畏怖、ケガレを忌む感.  第3章では、俗信の伝承の舞台であり、伝承. 覚、平準化の原理の浸透が挙げられ、これらに. 体そのものである村落共同体の生活及び機能に. 共通しているのは、やはりマイナスを起こさせ. ついて分析した。そこに暮らす人々は伝承的な. ないという消極性であった。併せて、俗信には. ものに左右される部分が多い常民性を備え、模. 精神的疲労を和らげ、不安を解消する側面もあ. 倣的・保守的であった。また、共同体の教育機. ることが推測される。. 関である若者組で、主に行われたのは一人前の.  最後に変化する俗信について分析したところ、. 人間に引き上げる教育であったが、俗信も諺の. 超人間的な力の存在に対する不安を克服できず、. 形によって伝承されたと思われる。そこにはタ. その解消の為、俗信の意味・内容を理屈に合う. テとヨコの双方からの相互監視があり、人並み. よう変遷させたり、新たに発生させたりしてい. になろう、突出しないでおこうという平準化の. ることが明らかになった。科学の世界で未知の. 原理が働いていた。それがマイナスを起こさせ. 領域が存在する限り、俗信が息づく余地はある. ないという消極性に繋がっていったものと考え. とみることができる。. られる。.  俗信に基づく僅諺を抽出したところ、消極的. 主任指導教員  渡 邊 隆 信. な知識である予兆と禁忌が、積極的な技術であ. 指導教員 渡邊隆信.

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