氏 生年月日 名
学位論文審査結果の報告書
本籍(国籍) 学位の種類 学位記番号 学位授与の条件 け専士の学位)今城明典
昭和 能年 愛媛県 博 5月 論文題目 第 学位規程第5条該当 25日 士(細胞応答を制御する機能性高分子を表面固定化した
工審査委員
複合生体材料の開発と生医学ヘの応用
学) (主'査) (副主査) (副主査)白石浩平教授
野村正人教授
芦田利文教授
E J^ リ 号 む一 @体細胞から誘導可能となった人工多能性幹細胞(ips)細胞の開発により,①事故や病気等で失 われた組織を自身の幹細胞を使って形や機能を再生する医療技術,②疾患の機序解明や治療法選 択,③則Aりプログラミングや幹細胞研究等ヘの様々な応用が21世紀の最先端医療及び科学技術 等の飛躍的な発展が期待され,角膜移植では実用化レベルとなっている.また,ipS細胞から分 化誘導される細胞によって,臓器特異的な患者自身の細胞の入手が可能となり,オーダーメイド な薬剤探索,新薬開発の新しいルート形成及び関連研究の深化と加速化も可能となる.さらに, 新薬開発スクリーニングでの動物実験の軽減,機能性食品,生理活性物質,および環境ホルモン 探査のハイスループット評価等多方面ヘの波及が考えられ,多くの新産業創出も見込まれている 一方,ipS細胞等幹細胞の実用化ヘの課題は少なくなく,中でも生体材料(バイオマテリア ノレ)と関連する技術・システム開発が不可欠である.生医学分野の中核技術の1つであるバイオ マテリアル開発では,細胞やタンパク質等を用いた際の材料の生体適合性や生体毒性フリーなど の安全性の基本的な要素に加えて,生産性やコスト等に関する要求もある.各種課題の解決には, 材料の設計・合成が多様で,調製が容易なポリマーバイオマテリアルの利用が有望である.本研 究では,上記再生医療分野等の生医学分野に応用できるバイオマテリアルに関する課題である 殊剛包機能の精密診断と目的細胞の選択的かつ低・非侵襲的な回収技術」と「ipS細胞等幹細胞 の簡便かつ高効率な作製と細胞操作の基礎となる細胞内ヘの簡便かっ高効率な遺伝子/タンパク 質等導入技術」の課題解決を目的とした 細胞マイクロアレイ(μAy)はDNAのハイスループット診断を達成したDNAチップと伺様な機能を 指向した細胞チップであり,個 数個細胞数での精密な細胞機能の迅速評価,細胞内ヘの効率的 な遺伝子等の導入,さらには熱,レーザー照射等の物理的な刺激による細胞操作と試薬等のデリ バリーを迅速かつ効率的に達成できるツールとなる.細胞の配列から,診断,回収,さらには遺 伝子導入等の機能を与えるため,細胞サイズのスポットをもっ異なる性状のガラス/金等からな るリAyのそれぞれの素材面に,細胞応答を制御する機能性ポリマー(高分子)バイオマテリアル を表面固定化した複合バイオマテリアルを新規開発した.本μAy素材として必要な細胞の接着と 温度応答はく籬のための温度応答性素材の構造の最適化,固定化法,さらに遺伝子導入技術の1 つとして,μAyとノ勺レスレーザー照射を併用した細胞融合を試みた 本論文は,上記課題を解決するバイオマテリアルの分子設計・合成および性能評価からなる3 つの章から構成されている き△ 文内 ノ'、 の ヒユ
第1章では,表面りビングラジカル重合(LRP)法を用いることで基板表面のポリマー鎖長を制御 できることに着目し,下限臨界共溶温度(LCST)をもつ温度応答性ポリマーPoly(ハLis0皿叩yl-acwlamide)[P(NipAkn)]の分子鎖長やグラフト密度を制御した基板によるヒト間葉系幹細胞 (h洲SC)の接着挙動と温度刺激を用いた細胞はく陞について論述した. P(NipA加)を表面原子移動 ラジカル重合(SI-ATRの法により分子鎖長とグラフト密度を制御し表面修飾したガラス基板を調 製した.水の接触角(θ)と走査型プローブ顕微鏡(SPM)測定の結果, P(NipAAm)修飾基板は未処理 基板と比ベ,表面の濡れ性が変化し,加温により表面が疎水性になるLCST性能を示した.また, 未処理基板にナノスケールでのブラシ状の突起物を確認した.重合時間により分子鎖長を制御で き,ガラス基板ヘの末端アミノ基のシランカップリング剤の比率調整によりグラフト密度が制御 できることを明らかにした. hiMSCを用いた細胞接着・はく陞実験から,固定化P(NipAkn)の分子 鎖長とグラフト密度の変化により細胞接着性は幾分異なるが,冷却による細胞はく籬では分子鎖 長やグラフト密度による大きな違いはなかった. SI-ATRPを用いた分子鎖長とグラフト癌度を調 整して,細胞接着性を制御でき温度刺激によって,低・非侵襲的に細胞はく籬の機能を与えた. 従って,異なる接着およびはく唐樹生の細胞種に対して,最適なポリマー表面を設計・合成できる 方法の 1つになることを示した.さらに,μAyにP(NipAAm)を固定化し,個細胞また少数細胞を評 価した後,温度刺激で低・非侵襲的にはく雜・回収でき,細胞診断および目的細胞の低・非侵襲 型回収ツールとしての生医学ヘの応用が可能であると結論付けた 第2章では,生体適合性,生体物質の抑制効果および上限臨界共溶温度(UCST)を併せもっ両性 イオン構造Poly{2-〔(methactyloyloxy)ethyl]dimethyl(3-sulfoproryDa伽伽ium hydroxide} [P(SBMA)]とノニオン構造であるPoly(ACI'yla血de-CO-ACTylonitrile)[P(Akn-CO一愈)]のUCST型 ポリマーを用いた細胞の低・非侵襲的なはく離・回収システムに関する研究を実施した P(SBMA)とUCSTの温度域を制御するためノ?・Buty1 鵬th印tylate佃MA)との共重合体P(SBMA-CO-BMA) をプラズマ照射ーポスト重合法および表面開始ラジカル重合法により,汎用素材であるポリェチ レンテレフタレートフィルム(PET)あるいはガラス基板表面に固定化した.また,ノニオン構造 であるPoly(Aory]amide-CO-Aorylon北rile)[P(飴m-CO一鯲)]もSI-ATRP法によりガラス基板に表 面修飾した.調製した基板を用いヒト子宮頸がん由来の細胞であるHeL'佃胞の接着・はく雛挙動 等について検討した.水の接触角とSPM測定の結果, UCST型ポリマーを修飾した基板は未処理基 板と比ベ,表面の濡れ性が変化した.同様に26゜Cから40゜Cヘ表面を加温した場合 UCST以上で表 面が疎水性から親水性になるUCST性能を示すことを明らかにした.
また,末処理基板には見られないポリマーが由来だと考えられるナノスケールでのブラシ状突起 物を認めた. HeLa細胞を用いた接着・はく離実験より, HeLa細胞はUCST以下(3ぴのの基板上で接 着・伸展が可能なことを明らかにした. UCST型ポリマー修飾基板でのUCST以上の加温による細胞 はく離では,ノニオン構造をもつポリマー修飾基板では両性イオン構造に比ベ,細胞はく離能が 高いことを明らかにした.一方, LCST型ポリマー修飾基板と同様な80 90%はく雛率は得られな かった. LCST型P(NipAAln)では,レーザー照射により,高速な相転移誘導が知られている.接触 角30゜付近で,細胞接着の足場が強固でないと考えられるP(SBMA-CO-B瞰)固定化艶Tに接着させ たHeL飾個胞で,基板表面に高精度に位置決めした349nmのパノレスレーザーを照射して,局所加温 できることを見出し,接着HeLa細胞を最大80%程度レーザー照射誘導によるはく離・回収するこ とを認めた. UCST型ポリマーをμAyの細胞接着の基板表面に構造や分子量を制御して,細胞の接 着・はく雛に最適な性状とした後,高精度位置決めレーザー照射装置を組み合わせ,少数の有用 細胞を局所レーザー加温によって細胞を選択的に回収できるシステム化を可能とする要素技術を 確立した 第3章では,細胞操作で最も重要な課題の1つである遺伝子等の導入法ヘのμ卸および高精度位 置決めレーザー照射を併用した研究を実施した.特に,巨大遺伝子群を設計・導入し,過剰発現 や消失のない等,様々な細胞操作の長所をもつヒト人工染色体(HAのベクター含有微小核細胞(ミ クロセル:Mのを用いて導入法を開発した.数叩のMCは通常の遺伝子等の1000倍以上のサイズであ リ,通常は細胞融合で受容細胞に導入される. MC導入技術の閉発によって, MCより小サイズの遺 伝子等の導入汎用性は飛躍的に拡大すると考えられる.また,細胞毒性の高い高濃度ポリェチレ ングリコール(PEG)溶液による細胞融合を避けるため,細胞融合助剤としてのPEG鎖を細胞接着ガ ラススポットに固定化したμAyを調製して細胞融合の低・非侵婆化と高効率化を指向した. MCと 受容細胞としてヒトリンパ腫由来である四37細胞を血球細胞モデルの受容細胞とし,細胞融合で の遺伝子導入について検討した.μ釘のガラススポットにはP郡鎖をイ則鎖にもつメタクリレート系 マクロモノマーPoly(ethylene 宮lycoD methyl ethet methacrylate (macpEG:Mn=110の
[P(macpEG)]とタンパク質アミノ基等と反応するN-succinimidyl aory}ote(NAS)との共重合体
[P(macpEG-00-NAS)]を表面開始ラジカル重合によりに固定化した.水の接触角とSPM測定の結果, PE催劃彦飾μAyは未処理μAyと比ベ,表面の濡れ性が変化した.また,未処理μAyには見られないポ
MCとW37細胞をP郡鎖固定化μAy上で3日間融合する細胞融合実験では,固相化距Gによる細胞死
等の毒性を認めず,その後,HACに組み込んだG即および抗生物質耐性遺伝子の発現によって融△
細胞が選択培養により獲得された.従来法に比較して使用するMCおよび肌Cの数をν3 V5の減
量にも拘わらず単純比較して最低でも約1000倍以上の融合効率の向上を明らかにした.さらに水晶振動子マイクロバランス(QCM)法を用いて,融合活性を示したPEG構造ヘの受容細胞U937の結△
性を認め,1000程度鎖長のPEG鎖圖定によって,融合活性が与えられることを推定した.さらに,
本μAyの細胞圖定化と融合補助性能を利用して新規な遺伝子導入法である高精度ナノ秒パルスレーザー光照射を併用して,融合効率を少なくとも未照射μAy基板の2倍以上ヘの向上を見出し
た.レーザー光照射条件(照射時間,パルス幅,照射回数等)の条件設定が非.低侵襲的な細胞
融合活性ヘの重要な因子であることも同時に明らかにした以上,各章で調製した機能性高分子を固定化したμAyは複合生体材料として,新規開発中の
レーザー光照射装置と組み合わせることにより,再生医療等先端技術ヘの要求に応える技術.シ
ステムカ誹蒜築できることを示した.さらに,機能性高分子の構造およびレーザー光照射条件の精
密制御によって,ハイスループット細胞診断及び細胞応答(はく離/融合)を低.非侵襲的に達
成できることを明らかにした人工多能性幹細胞 6PS細胞)が開発され,再生医療が実現可能な医療として期待されるばかり でなく,臓器特異的な患者自身の細胞の入手が可能となり,オーダーメイドな薬剤探索,副作用 の少ない新薬開発の迅速化や研究開発の深化も可能となる.さらに,新薬開発スクリーニングで の動物実験の軽減,創薬のみならず機能性食品,生理活性物質,および環境ホルモンの生体応答 の精癌かつハイスループットな評価等多方面ヘの波及が考えられ,関連の新産業創出も見込まれ ている.しかし,ipS細胞等幹細胞の実用化には,細胞培養基材となる生体材料(バイオマテリ アル)の,細胞ヘの非・低侵襲性やタンパク質等生体関連物質の吸着・変性を制御する生体適合 性や毒性フリーなどの安全性および生産性やコスト等の要求等が多数存在する.また,細胞はく 離・回収及び細胞内ヘの遺伝子等の導入は細胞操作のための人工的な操作であり,細胞ヘの低・ 非侵襲性を確保しつつ達成するために,バイオマテリアルやそれに関わる医療機器が組み込まれ た技術・システム開発が不可欠である.従って,医療分野の中核技術の1つであるバイオマテリ アルを合目的的に最適化する材料設計,さらには生産性や低コスト視野に入れ,工業的に応用で きる簡便合成法を用いて,併用する装置やシステムに適合させるよう調製しなければならない 本研究では,再生医療分野等の生医学分野に応用できるバイオマテリアルに関する課題である 「細胞機能の精密診断と目的細胞の選択的かつ低・非侵襲的な回収技術」と「ipS細胞等の簡便 かつ高効率な作製と細胞操作の基礎となる細胞内ヘの簡便かつ高効率な遺伝子/タンパク質等導 入技術」の解決を目的に,個細胞サイズのスポットをもつ細胞マイクロアレイ(μAy)スポットに 細胞応答を制御する最適な機能性高分子を設計して,表面固定化したバイオマテリアルの調製を している.本山yと開発中の顕微鏡レーザー照射装置を併用して細胞集積,診断,はく蹴,およ び回収といった細胞応答を制御し,先進バイオ研究や医療に応用できる素材とシステムに関する 基礎研究を実施し,3つの章に亘って論述されている 言△ 文 査 の ヒ二 第1章では,細胞接着・はく離応答を制御するため, PAyスポット材の1つであるガラス基板上 に,下限臨界共溶温度(LCST)をもつ温度応答性ポリマーPoly(NiS叩r叩ylacTy1飢ide) [P(NipAko)]を表面りビングラジカル重合法により鎖長やグラフト密度を精密制御した固定化法 の開発を実施している. P(NipAAm)固定化表面上で,幹細胞モデルとしてのヒト間葉系幹細胞 (h洲Sのを用い,細胞の低・非侵襲的なはく籬を温度刺激で達成する表面性状の最適化を実施し, 他の細胞種ヘの応用を可能とする方法論の1つを確立している イノ
また,μAyスポット上にP(NipAAm)を固定化して,パルスレーザー光照射による不用細胞除去と冷 却による細胞はく酢によって目的細胞の選択的獲得を可能とするこれまでにない回収システムと した.本システムは従来装置と異なり,低・非侵襲性に加えて,使用する細胞数が理論的に細胞 アレイのスポット数の数1000個の少数で診断と回収が可能であり,細胞ヘの抗体や磁気ビーズの 固定化といった前処理工程もなく簡便かつ再現性の高い操作が実現できる 第2章では,第1章とは温度による陛質変化が反対である上限臨界共溶温度(UCST)をもっ機能性 高分子のμAyとレーザー光照射を併用した細胞診断と標的細胞を選択的に獲得する手法ヘの応用 を指向して基礎研究が実施されている.使用したUCST型機能性高分子は,生体適合性,生体物質
の抑制効果を併せもつ両性イオン構造Poly(2-[(鵬thacryloyloxy)ethyl]dimethy]ー(3-Sulf叩τoryD a卿oni町 hydroxide}[P(SB川)]とUCST転移に細胞培養時の培地中のイオン性化合 物の干渉が少ないノニオン構造のPoly(ACTylomide-CO-Acrylon北τil.)[P(AAm-CO一愈)]のUCST型 ポリマーをそれぞれ用いて山y基板としてのポリェチレンテレフタレートフィルム(PET)あるいは ガラス基板上ヘの固定化を検討している.ここに, P(SB噸)とUCSTの温度域および細胞接着面と なる表面の親.疎水性を制禍1するためノ?・Buty] methacTylate佃MA)との共重合体[P(SBMA-CO-B獣)]をP訂基材の性能を損なわずに,表面固定化するため,プラズマ照射ーポスト重合法,また, ガラス表面には第1章で確立した表面開始ラジカル重合法を適用して表面固定化した.さらに, ノニオン構造のP(AAm-CO一愈)も第1章で確立したSI-ATRP法によりガラス基板に表面修飾した UCST型機能性高分子による細胞接着とはく離技術はこれまでに殆ど例がなく, LCST型機能性高分 子の固定化陀T表面での接着・はく籬に関する多くの知見があるヒト子宮頸がん由来のHeLa細胞 による評価から論述した. UCST型ポリマーを固定化したP訂及びガラスはいずれも加温によって 表面が疎水性から親水性に変化する性状変化を示すととを明らかにした. UCST以下(30゜C)の基板 上でH.La細胞はいずれも接着・伸展したが,両性イオン構造およびノニオン構造UCSTポリマーを 修飾した基板ではいずれも表面性状変化に応答した細胞はく肩伽才認められなかった.UCST型ポリ マーは迅速な相転移がしぱしぱ起こりにくいことから, LCST型ポリマー等の温度応答性ポリマー の相転移の誘導に使用されるレーザー光を細胞接着基板に精密に位置決めして,P(SB瞰)誘導体 を固定化したP訂基板に照射した.その結果,パノレスレーザー照射による表面の5゜C上昇を兜、め, レーザー照射によって最大80%程度の細胞はく雛を達成した.このとき,細胞はく離には細胞接 着時の足場となる基板の性状を制御して,はく雛のための緩い足場形成を誘導する必要性を示し ている
局所レーザー加温による温度刺激で細胞をはく離する新しい発想をべースとして,μAy上スポッ トへの固定化によって,標的細胞のみを低・非侵襲的にはく雜回収できるシステムを少数細胞ヘ の適用と簡便性に及んで論述した 第3章では,細胞融合を行う際に使用されるポリエチレングリコール(PEG)に注目して, PAy利 用による細胞のスポットへの集積から,細胞一細胞問の接触効率の増大とスポット上ヘの融合助 剤としての陀G鎖固定化による全く新しい融合用素材を閉発している.細胞ヘの邇伝子やタンパ ク質等の導入は細胞機能改変のための最も重要な技術であるが,低・非侵襲的に多くの細胞種ヘ の汎用的な適用法は末だ解決されていない課題の1つである.このとき,遺伝子やタンパク質の 数1000倍サイズの細胞融合による導入を評価系として,各種物質の導入汎用性を担保する実験を 選択している.ここでは,巨大遺伝子群の細胞移入と細胞内で過剰発現や消失がなく,細胞内で 安定的に機能発現するヒト人工染色体(臥のベクター含有微小核細胞(ミクロセル:MC)を標的細胞 としてμAyを用いての移入を検討している.受容細胞には,ヒト型細胞の改変を指向して,ヒト リンパ腫由来であるU93フホ棚包を用いている. PEG鎖を但雌凱こもっメタクレート系マクロモノマー Poly(ethy1肌e glycol methyl ethor methacrylate [P(macpEG):Mn=1,100]あるいは P(maopEの
とタンパク質のアミノ基と反応・結合するスクシイミジル基を含むN-succinimidyl-aory]ato(NAS)との共重合体[P(m郎P郡一00-NAS)]を表面開始ラジカル重合によりμAy上のガラスス ポットに第1,2章で確立した方法を応用して固定化した.スポット周囲は細胞集積を促進するた め,細胞膜表面のりン脂質類似構造を固定化している.本UAy上にMC及びU93畔鰯包の播種によっ て,細胞がスポット上に集積する効果を見出し,艶G溶液融合法では,高濃度PEG溶液の使用のた め,数分間であった細胞融合時間を3日間に延長しても細胞死なく適用できることを示した.融 合後,10 14日程度の選択培養から,従来法のPEG溶液融合と比較して少なくとも約1000倍の向 上を使用するMCおよひU937細胞をν3 ν5に減少させるμAyを用いる手法により達成した.μAyを 用いないPEG鎖固定化ガラス基板での融合活性はなく,μAyによる集積効果等による融合活性を示 唆した.さらに,水晶振動子マイクロバランス法により,センサー表面にμAyガラススポットと 同様のPEG鎖誘導体を固相化してW37融合細胞の動的・静的吸着実験の結果, PEG鎖固相化表面ヘ の四37細胞の吸着とNASセグメント導入による吸着量が増加したことから,細胞膜や細胞膜表面 のタンパク質との固相化艶G誘導体の相互作用によって,細胞融合が促進されると推定してぃる PEG鎖固相化基板上での細胞融合現象等の報告はなく,細胞融合法およぴ遺伝子導入法を新規に 開発している
PEG鎖固定化PAyは従来法と比較し,簡便操作でかっ細胞に対して低・非侵襲的に高効率に融合細 胞を得ることが可能である、さらに,細胞の診断や細胞操作にも活用可能なパノレスレーザーが, 細胞ヘの遺伝子導入法として利用されていることに着目し,μAy上に集積した細胞には,高精度 に位置決めしたパノレスレーザー光照射が可能であり,さらに細胞ダメージ軽減のため使用されて いる高価で大型装置が必要なフェムト秒パルスレーザーを汎用性の高いナノ秒パルスレーザーに 変え,μAy上に高精度位置決め照射して融合効率を最低でも2倍に高めた.複合生体材料.システ ムとして,再生医療や遺伝子治療,さらには関連の細胞関連の研究に汎用的に応用可能である先 進ツールであることを提案した