• 検索結果がありません。

プロポリスと Artepillin C 経口投与による抗酸化作用と発癌予防について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "プロポリスと Artepillin C 経口投与による抗酸化作用と発癌予防について"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

HoneybeeScience(1999)

プ ロポ リス と

Ar

t

e

pi

l

l

i

nC

経 口投与 による

抗酸化作用 と発癌予防について

代謝を経 た老廃産物 は最終臓器の腎臓か ら尿 として排他 されるが,その過程で微量の活性物 質 は尿細管上皮に包 まれた管腔 (尿路)を通過 するうちに再吸収 され,新 しく有用な物質に生 まれ変わる.いわゆる腎臓 はこの機能を有する ネフロンの100-300万ユニッ トの集合体であ る (図 1). 一般的に尿 はこのような有用物質が取 り除か れた無用の廃物 と考えがちである. しか し,そ の中には骨髄の血液幹細胞 にシグナルを送 り貧 血が起 こると直ちに赤血球造血を命令するエ リ スロボェチ ン,血液凝固を防 ぎ血栓形成を阻止 す るウロキナーゼ,最近では健康な ヒ トにも免 疫 グロブ リンなどの必須な各種抗体 (多発性骨 髄腫のベ ンス ・ジョー ンスタンパ ク質を除 く) が発見 され生命維持にな くてはな らない微量活 性物質の存在が知 られるよ うになって きた.坐 命維持にはい くつかの生体防御機構があり,傷 図 1 ネフロン

木本 哲夫 ・栗本 雅司

書が起 こると必ず防御反応が働 く不思議な機能 が備わっている.健康維持 もこのアクセルとブ レーキの役割を果た してきた微量の活性物質の おかげと考え られる. 腎臓が何 らかの傷害を受 けるとそれに対応す る微量の防御活性物質が産生 されるのではない か, という仮想の もとに 「尿」 に着 目した. こ の研究では腎臓を傷害するN-N'diacet ylben-zydine (N-N'DAB, ジアセチルベ ンチ ジン) という発癌物質をラッ トやマウスに与えて, 自 家尿 とともにプロポ リスを経 口投与 して状態を 調べた.このN-N'DABは,ア ドレマイシンや ダウノマイシンなどの抗生物質を与えたときと 同 じように著明な腎傷害を起 こして蛋白尿がみ られる.その原因は血液浄化の癒過装置である 腎糸球体基底膜の破壊や,糸球体の透過性維持 に重要な役割を果た している上皮細胞が脱落, 消失 して液過機構が うまく行かな くなるためで ある. このような病変に対 して も防御反応が起 こり,ある種の活性物質が作 られ,腎臓か ら直 接尿中に流れていると考え られる. この未知物 質の探索に動物の自家尿 とともにプロポ リスを 経 口投与 してみた,プロポ リスは殺菌,消臭の 意味で加えたもので,当時の西欧諸国で経験的 に知 られていた民間療法的な知識によるもので あった.この実験で,N-N'DAB を与えた対照 群の動物 は,腎糸球体の萎縮や変性 に陥 り,上 皮細胞が脱落 して高蛋白尿や無尿 となり尿毒症 を起 こして死亡 した. これに反 し, 自家尿やプ ロポ リス投与の ものは透 き通 った正常尿で尿量 に変化な く,組織学的にも糸球体は実にきれい でほとんど病変がみ られなか ったことに大変驚 かされた.プロポ リスについて民間療法的知識

(2)

68 (CH3)2C=CHCH2 10 」 6

7

0

13 図2 ArteplllinCの構造式 しか持 ち合わせていなか った当晩 この病理所 見はプロポ リスと腎傷害について何 らかの重要 な因果関係があるのではないかとの興味を抱か せるに至 った. Artepillin

C

の発見 Agaetal.(1994)はブラジル産プロポ リス か らェクノール抽出により数種の抗菌分画を得 た. これ らの中に強い抗癌作用のある物質がみ つか り, 調べてみると分子量 300.4 という低 分 子 の Artepillin Cで あ った (図2). この Artepillin Cにつ いて は ここ数年 で研究が進 み,学会発表 も行 っているので,原著論文 (木 本 ら,1995; 1996; 1998;Kimoto et a1., 1998)を参照 していただ きたい. Artepillin C は化学合成 された抗癌剤 に比 べれば確かに殺癌作用 は弱 いが動物に対する副 作用はほとんどみ られない.また,培養細胞を 使 ったinvltrOの実験で は ヒ トの各種癌細胞 や 白血病細胞 を50-100〝g/mlで24時間処 理するとほとんどの細胞が死滅する. これは, DNA合成を阻害 してアポ トーシスを誘発 し, 癌細胞を消失 させるか らである.細胞回転の速 やかで増殖の著明な癌細胞 はど早 く死 に至 る. 悪性黒色腫 (特 にマウスB-16細胞), ヒト未分 化 癌,白 血 病 や ラ ッ ト4NQO発 癌 の 肝 癌 (HTSA) などがあげられる. さらに興味深い ことに,動物実験では殺癌作用だけでな く免疫 賦活作用 もみ られる. この ことは免疫細胞など の正常細胞をも犠牲 にす る化学療法 と大変異な る点 となる. 他方,白血病細胞 は固形癌 と違 って浮遊状態 で培養でき,試験管内で研究がで きることか ら 臨床治験に近 いものとなる.多数の ヒト白血病 細胞株を保管す る林原生物化学研究所のお家芸 で,急性 リンパ性白血病 (T一細胞由来,B一細胞 由来),急性骨髄性白血病,急性単球性白血病, 非 リンパ系 一非骨髄系白血病 (赤芽球性) など 多種 の細胞株 につ いて調 べ ることがで きた. 各々の細胞株によって感受性の相違 はあるが, T-細胞 由来 の リンパ性 白血病細胞株が最 も強 い感受性を示 し,傷害を受 けて著 しいアポ トー シスに陥 った (木本 ら,1998).T一細胞白血病 といえば,HIV の親戚 ともい うべ きウイルス によって起 こる成人性T一細胞 白血病 (ATL) を思い起 こすが, これにはどうであろうか. Fe-NTA による腎癌 の研 究 最近,老化現象やあ らゆる病気の元凶として 活性酸素

(

4

種類が知 られている) が注目を集 めている.食物は太陽の紫外線の恩恵で成長生 育するが,その紫外線によ って生 じるかなりの 活性酸素か ら身を守 っている. この役 目にはプ ロポ リスにも多 く含 まれているフラボノイ ドが 一役を担 い,スーパーオキサイ ド・ディスムタ ーゼ (SOD)を作 って活性酸素を消去 している (スカベ ンジャー).プロポ リスの抗酸化作用に ついては今 日まで多 くの研究発表がある.そこ で Artepillin C やフラボノイ ドを含むブラジ ル産プロポ リスと腎臓の傷害に注 目してみた. Fe-NTA (鉄ニ トリロ三酢酸,Ferricnitril o-trlaCetate)は鉄が触媒 し,細胞膜の脂質 と反応 して過酸化を起 こす.腎臓では尿細管上皮の刷 子縁 (brush border,図 1参照) が標的 とな る.図 3A に 示 す ス ケ ジ ュ ー ル の よ う に Fe-NTA投与 を した後, 1年放置すると癌が発 生す る.特 に腎癌が多いが,Fe-NTA について はいわゆる変異原性試験が陰性なので, この発 癌 は鉄を触媒す るフ リーラジカルが関与 してい る こ と が 解 明 さ れ て い る (Okada,1996; okada,eta1.,1987;1995).今 日,多 くの発癌 物質 は活性簡素 と深い関係 にあるといわれてい お り,変異原性物質でないFe-NTA の発癌 は

(3)

A

2

扱疾 (12カ月)

Fe_N子A投与 発癌ふ 認

2回/過

B

I.サンプル投与 廿 :Fe-NTA投与 l TW S軌便 a)norma一 e)pro 2hr 号 千)p√e.5hr 図3 Fe-NTAを用 いた長期発癌 モデル (∧)と腎脂 質過酸化初期 モデル (B) フ リーラジカルによることを証明する重要な実 験で もある. そこで Fe-NTA による発癌の実 験を企てた. この過酸化脂質を抑制す るものと して は,現 在 Vitamin Eが知 られ て い る (Okadaeta1.,1987).フラボノイ ドやArtep -illinCなどを豊富に含むプロポ リスと,それよ り抽出 した単品のArtepillinCの薬効 を比較 することも重要であり,健康食品 としてのプロ ポ リスが果た して発癌を防 ぐかという具体的な 証拠 を探 ることはさ らに大変重要 なことであ る. このような実験を2回繰 り返 し,1回目の 実験では Okadaetal.(1995)と同 じく腎癌 がみ られた.その他に肺癌が多発 したが, ここ では一般的に知 られている腎の発癌を中心 とし て述べたい. ArtepillinCの体内動態 ArtepillinCによるinvivoでの癌増殖抑制 実験では, ヌー ドマウスに移植 した培養 ヒト癌 細胞 の増殖 に対 してArtepillinCを皮下注射 した実験であったが,健康食品 という観点か ら は経 口投与が極めて重要 となる. 幸 い私たちは,プロポ リスか ら抽出 したArt -epillin Cというマーカーに近 い ものを得 るこ とができたので, まず これの体内動態を調べる ことに した.ArtepillinC を静脈内注射する と,5-30分後には肝臓 と腎臓 によ く入 り,そ の後 はほとんど体内にはな くなり尿へ排推 され る.経口投与で も多 くたまるのはやはり肝臓 と 腎臓で,投与6時間後に ピークに達 し,その後 ゆっくりと消失 していった.肝臓に次いで腎臓 にもArtepillinCが通過す るため,プロポ リス やArtepillin CでのFe-NTAによる腎発癌へ の影響に興味を抱 いたわけである. Fe-NTA単 回投与 による腎臓 で の 脂質過酸化 Fe-NTAは動物 の週令 や性 によ りかな りの 感受性の違 いがある(Okadaeta1.,1995).今 回の実験 で は8週令の雄ddYマ ウス (Japan SLCInc.)を用いた.プ ロポ リス (固型含有量 1.0mg/body)あるいはArtepillinC (100FLg/

body) をFe-NTA (7mg Fe/kg body

weight)投与0,2,5時間前 に経 口投与 した. 投与時間は,ArtepillinC含有量が腎臓で最 も高 い投与6時間後が,Fe-NTA投与1時間後 になるように設定 した.脂質過酸化 によるチオ バ ル ビ ツ ー ル 酸 反 応 産 物 (TBARS)は 2 0 U L3 3 0

Ld

6∈

\ 一〇 E u V O H

S

tN

g

1 U 一3 3

0

J d 6 u JJ 一O LU u V 凸 三 S t lV g

n

o

r

r

n

a

l

c

o

n

t

r

o

I

α

G

-

R

u

t

i

np

r

o

o

h

rp

T

e

2hrpre5hr

p

r

o

p

o

I

L

s

(1.Orng佃ody)

F

e

m

A

norrTd cOntr(】loG・Rutn 1Orng O5mq Olmq propolis(即82hr) Fe・NTA 図 4 プロポリスのTBARS抑制効果 a)p(0.005(対正常群),b)P(0.05(対コン トロール),C)P(0.01(対コントロール),d) P(0.05(対コントロール)

(4)

Fe-NTA投 与1時 間 後 に ピ ー ク を 示 し, Fe-NTA濃 度 に依 存 す る. こ の 実 験 で は, Fe-NTA溶液を各群5-10匹腹腔内投与 し, 1 時間後 に屠殺 した (図 3).右腎臓 はホルマ リン 固定後組織観察を行 い,左腎臓 はホモ ジネイ ト 後Ohkawaetal.(1979)の方法に したが って 組織中のTBARS量 を測定 した.組織変化が顕 著 にみ られ るFe-NTA投与5時間後 の腎臓 も ホルマ リン固定後 に観察 した.陽性対照 には腎 脂質過酸化の保護効果 (Shimoieta1.,1997)

が報 告 され て い るαG-Rutin (Toyo Sugar RefiningC0.,Ltd.) を用 いた. 図

4

に示 したよ うにプ ロポ リスは

2

時間前 投与ではTBARSを有意 (p(0.005)に抑制 し, 用量依存的であ った.ArtepillinCは投与時間 に関係 な くTBARSを抑制 し,5時間前投与で は100〃g/bodyまで用量 に依存 して抑制す る 傾向にあ った (図 5).正常 マウスの腎ホモ ジネ イ トを用 いて プ ロポ リス とArtepillin Cの効 果をみたところ, 両者 ともに TBARSを抑制 した (図 6). u Ea 1

0

L d

6∈

\一Ouu

u V q 三 S t

Jくg

J

.

noTrTml COntrOI oGIRutin pro ohr pre 2hr pre 5hr

ATt (100Hgn)edy)

normal control trG-Rutm 300JLg lOOLLq 30LLq

Art.lpre2hr) 2 u la 7 0 L d B u J

J10∈U

V O H S t l Vg

Fe・NTA 図5 ArtepillinCのTBARS抑制効果 a)p(0.005(対正常群),b)P(0.05(対コン トロール),C)p(0.01(対コントロール),d) P(0.05(対コントロール) 0 0

0

0 5 1 ( % ) * r一u rJ jf S n Jg

J.

10 100 1000 浪度(LLg/ml) 図6 プロポリスおよびArteplllinCのinvitl・0で のTBARS抑制 ◆ αG-Rutin,▲プロポリス,●ArtepillinC Electron-spin resonance (ESR)

による

ラ ジカル スカベ ンジ ャー作用の測定

腎傷害の元凶 と考え られ るフ リーラジカルの うち,最 も強 い ヒ ドロキ シラジカル (

・O

H)に つ い て調 べ た.Hydroxylradicaltrapping agentと して5,5㌧Dimethy1-1-pyrroline-1

-oxide(DMPO,Labotec)を使用 し,電子 ス ピ

ン共鳴装置(JESFE2ⅩG)で測定 した.磁場強 度339.95mT, マイクロ波 出力8mW, マイク ロ波周波数9.412GHz,磁場掃引時間0.1S,記 録時間2minの測定条件 を用 いたところ,ESR 0 0 0 0 8 6 4 2 EO JI U O 0 -0 % o 0 0 0 0 o 8 6 4 2 10 」 一 u O U -0 % --L controI(10% EtOH) 0.8 1.0 0 1 2 3 4 濃度(mg/rTlI) 図7 DMPO-OHに及ぼすプロポリスとArtepillin Cの影響

(5)

はMn peakの問 に 4本 の DMPO-OH に由来 するピークが観察 され, peak 3/Mn比で調べ た. プロポ リスは原液を1%エタノールに希釈 し, プロポ リスを含 まない1%ェタノールを コ ン トロールとした.Artepillin

C

は10%エタ ノールの条件で測定 した (両者 はともに水に難 港). プロポ リス,Artepillin

C

のいずれ もが ヒド ロキ シラジカルのスカベ ンジャー効果を示 し, 抗酸化作用 のあ ることが明 らか にな った (図 7). 脂 質 過 酸 化 に よ る 腎近 位 尿 細 管 上 皮 細 胞 の変 性壊 死 と抑制 過 ヨウ素酸 (過酸化)処理を除いたSchiff反 応 (凍結切片)において,正常マウスでは尿細 管上皮のbrush borderに過酸化現象が起 こっ ていないので陰性である.他方,Fe-NTA投与 群ではbrush borderを中心に著明な陽性反応 がみ られ ることか ら,脂質過酸化 はここで進行 することがわかる. これを考慮 して,人工的破 壊 を 防 ぐた め ホ ル マ リ ン固 定 後 のbrush borderを中心 に観察 を行 った.Fe-NTA によ

る近位尿細管上皮の傷害 は,著 しい破損による 変性 と壊死がみ られ,断裂や凝集が著明であっ た . Fe-NTA 投与 のみでは 1時間後 よ り著明な brush borderの傷害がみ られ, 5時間後では 著 しい尿細管上皮の変性壊死が進行する (図8 B). これ に反 して プ ロポ リスや Artepillin C 経 口投与群 は

1

時間後の傷害 は軽度で

,5

時間 後で も比較的尿細管上皮 は保護 され, この所見 は抗酸化作用のあるαG-Rutinよりも優れてい た (図8A,C,D,E). プ ロポ リスお よ びArtepillinCの経 口投 与 による Fe-NTA 発癌抑 制実 験 プロポ リスなどに含まれている癌抑制効果に ついてはGrunberger (1988) や Matsuno (1955),鈴木 (1997)などの報告があるが,特 に日常,健康食品 として摂取 した場合,果た し て活性酸素による癌予防 となりうるかについて の詳 しい研究はほとんどな く, この実験は大変 興味深 いものと考え られ る. 前述で はFe-NTA単回投与 による効果であ るが,長期反復投与による発癌抑制実験を行 っ た (図3A).各群 12匹のマウスにプロポ リス (1% エ タノール)あ るい は1% ェ タノール水 (対照群)を実験終了まで5日/週飲水 させた. また,Artepillin

C

(70q〃g/bodyinolive oil/回)あるいはオ リーブ油 (対照群)を実験 終了 まで5日/過 (2回 /日)経 口投与 した. Fe-NTA (longFe/kgl⊃Odyweight)は8週 間 (2回 /過,計 16回)腹 腔 内 投 与 し, Fe-NTA最終投与 か ら 1年後 に主要臓器 の組 織学的観察を行 った. その発癌結果を表 1に示す.この実験で発癌 は腎臓の他,肺にもみ られた.対照群の1%エ タノール群では腎臓 と肺の重複癌 も多 く,発癌 表l Fe-NTA反復投与1年後の発癌率 マウス個体数 (%) マウス個体数 (%) 実 験 群 死亡数 性癖 生存数 笹胞 処理中 観察中 ⊥lJm 叫''ー 腎癌 肺腺腫 肺腺癌 精巣腫療 1%エタノール 12 2 2 8 8 4 1 4 2 (17) (17) (66) (100) (50) (13) (50) (25) プロポリス 12 3 0 (25) (0) 0 0 (o) (o) オリーブ油 12 0 3 (0) (25) 4 0 (44) (0) ArtepillinC 12 5 1 (42) (8)

(6)

図8 Fe-NTA 7mgFe/kg腹腔内投与 5時間後のddYマウス腎尿細管上皮の病理所見

^ 正常マウス (無処理)群 :PAS陽性 (黒色)のbrushborderは整っている (PAS染色) B Fe-NTA投与群 :brushborderの消失と尿細管上皮の著明な変性壊死 (PAS染色)

C αG-Rutln (100〃g/kg)をFe-NTA投与 30分後に投与 した群 'Fe-NTA投与のものに比へ軽度 ではあるが尿細管上皮の変性がみられる(PAS染色)

D プロポリス(1.0mg/body)をFe-NTA投与2時間前に投与 した群 :尿細管上皮の変性はαG-Rutlnより軽 くFe-NTAの傷害を保護 している (PAS染色)

E ArtepllllnC(100pg/body)をFe-NTA投与2時間前に授与 した群 :brushborderの変性は軽 度ではぼ正常に近い(PAS染色) は両者 とも50%の高率であった. これに対 し, プ ロポ リス群では腎癌0%および肺腺腫 (ade -noma)11%で明 らか に発 癌 の抑 制 が み られ た.Artepillin C群では腎癌 0%および肺腺腫 33%であった. Fe-NTA投与 によ り尿 細管上皮 は著 しく荒 廃 し変性壊死 が進行 して多 くの動物 は死亡す る.生 き永 らえた動物 の腎臓ではやがて再生現 象 (慢性期)が起 こり問質 の増殖がみ られるが, 一部 の尿細管上皮では大核 の異型細胞が出現 L PCNA (proliferating cellnuclearantlgen) 陽性 と思 われ る細胞 が 出現 す る. この所 見 は Okadaeta1日(1995) によ りFe-NTAの変異 原作用でな く過酸化脂質 ラジカルによる核変化 であることが知 られている.Fe-NTA による腎 癌の発生 はKondoetal.(1995)が報告 したよ うに嚢胞 由来 の ものが多 く,蛮胞上皮 の乳頭 状,多層状増殖 は前癌状態 にあるものが多 くみ られた.1%ェクノールの対照群で は腎臓 に癌 はみ られな くて も嚢胞が多発性 となるが, プロ ポ リスおよびArtepillin C群 で は単純嚢胞 で 単発か単層状の もので前癌状態の ものはみ られ なか った (図9A,B

,

C,D). Fe-NTA投与 によ り腎臓 以外 に肺 に も腫癌 が み られ た.腎 臓 で は 尿 細 管 上 皮 細 胞 が Fe-NTA の標的 となるが,肺では肺胞上皮細胞 が標的になると思われ る. そのため過形成や腺 腫がみ られ, さらに悪性化が進行す ると肺胞上 皮癌や大細胞癌 になる. また,著明な肺胞上皮 細胞 由来 のⅡtypeマクロフ ァー ジの増殖 がみ られ, この所見 は癌細胞 の分化誘導 とも思われ るため今後詳 しく検討 したい と考 えて い る. Fe-NTA による肺癌 は,プ ロポ リスや Artepil -1in C群で は大部分が肺胞上皮細胞 の過形成 か 腺腫 (良性)である.しか し,1%エタノールの 対照群では明 らかに腺癌で, さらに悪性化 した 大細胞癌 な どの未分化癌 へ進行 して い る (図 10A,ち

,

C,D). 以上 の病理学所見か らプ ロポ リスやArtepiL linCは Fe-NTAの長期反復投与 による活性酸 素のスカベ ンジャー作用を有 し,腎臓や肺を中 心 とした活性酸素 による細胞傷害や発癌 を抑制 す ることが明 らかになった. 考察 1977年 Awaiら は 鉄 と キ レ ー ト し た Fe-NTA を ラッ ト腹腔内に投与す ると多尿,糖 尿が起 こり, ヒ トのヘモクロマ トーシス類似 の 鉄沈着が肝臓,肺臓 にみ られ ることを報告 した (Awaieta1.,1979). その後,Okadaetal. (1987) によ りFe-NTA の傷 害 はむ しろ腎臓

(7)

図9 Fe-NTA長期反復投与 1年後の腎臓の組織学 的所見 A プロポリス経口投与群 :腎臓に単発 した 蛮胞には癌化は見 られない(H.E.染色) B エタノール対照群 :蛮胞に由来する乳頭 腺癌 (PAS染色) C ェクノール対塀群 :同部の強拡大,乳頭 腺癌で異型性が強い(PAS染色) D エタノール対照群:癌細胞 にはbrush borderの断片が見 られる尿細管上皮細胞由 来の腺癌 (PAS染色) に強 く現 れ,投与初期 に強 い尿細管壊死 を起 こ し,長期反復投与で腎臓 に高率 に腺癌 を発生 さ せ ることが報告 された.Fe-NTAの変異原性 は 陰性 であることよ り,鉄 によ り触媒 され る脂質 過酸 化作 用 が原 因 で あ る ことが明 らか にな っ た.現在 この脂質過酸化 を防 ぐもののひとつが Vitamin Eであ ることが知 られている. フラボノイ ドなどを含 むプロポ リスの抗酸化 作用 は古 くか ら知 られて いるが,発癌 との因果 関係 について詳細 な研究報告 はほとん どない. 前述のOkada etal.(1995)の Fe-NTA投与 による腎癌 の実験 は活性酸素 と発癌 の因果関係 を解決 した重要 な研究で ある.我 々が今回行 っ 図10 Fe-NTA長期反復投与 1年後の肺臓の組織学 的所見 A エタノール対照群 :原発性肺癌 (肺胞上 皮癌:腺癌)(H且 染色) B エタノール対照群 :同部の強拡大,腺癌 (H.E.染色) C エタノール対照群 :腺癌の管状腺構造は 癌細胞の増殖で不明となり,一部は大細胞 癌 (未分化癌)へ進行 (PAS染色) D ArtepillinC経口投与群:肺胞上皮細胞 の過形成による腺腫,プロポ リス経口投与 群 も同 じ腺腫が多い.異型性は見 られない (H.E.染色)

た Fe-NTA発癌 で プ ロポ リスお よび Artepil -1in Cに発癌抑制効果が あ ることを明 らか に し た実験結果 はOkada らの研究 を裏面か ら実証 した と考え られ る. これ に加 えてFe-NTA によ る今 回 の発癌実 験 で腎臓以外 に肺 に も癌 が原発 し, その多 くは 肺胞上皮細胞 またはクララ細胞 に由来す る腺癌 で, さ らに未分化 の大細胞癌へ と悪性化 した. これ に反 して,プ ロポ リスおよびArtepillinC 群 では肺胞上皮細胞 の過形成 に由来す る小 さい 腺腫 か悪性腺腫 が稀 にみ られた.他方,対輿の 1%ェ クノール群 で は腎癌,肺癌 の他 に各臓器

(8)

の リンパ小節の腫大,増殖や精巣 の ライディッ ヒ細胞の腫疾,副腎の腺腫 がみ られたが, プロ ポ リスお よびArteplllin C群 で はみ られ なか った .

おわ リに

プ ロポ リスお よびArtepillin Cの経 口投与 は最 も過酸化作用 の強 い ヒ ドロキ シラジカル の消去作用 を有 す るとと もにFe-NTA投与 に よる腎臓の脂質過酸化 を防 ぎ,腎尿細管上皮細 胞 の変性や壊死を防御 した. この活性酸素消去 はプ ロポ リスか ら抽 出 したArtepillin Cよ り もむ しろプ ロポ リスに強 くみ られ,長期 にわた るFe-NTA反復投与 によ る腎癌 や肺癌 の発生 を阻止 した. この両者 のスカベ ンジャー作用 は 従来知 られて いるαG-Rutinよ りも優 れて い た. また肺癌の発生 も活性酸素 の関与が考え ら れ, プロポ リスや Artepillin Cは今後重要 な 課題を提 出 している. この実験結果か ら発癌の 予防 という観点か らはプ ロポ リスが最 も優れて いるが,実験動物の移植癌 への直接的な抗癌作 用 (Kimoto,eta1.,1998)や抗 白血病作用 (木 本 ら,1998)ではArtepillin Cが優れている と考 え られ る. この ことか ら癌の予防を目的 と した食品デザイ ンの見地か らプロポ リスは重要 な役割を果たす もの と考 え られ る. (〒702-8006 岡山市藤崎675-1 (秩)林原生物化学研究所 藤崎研究所) 参考文献

Aga,H,etal1994.Biosci.BIOteCh Biochem.58 (5):945-946.

Awai,M.,etal1979.Am ∫Pathol,95:663-674, Grunberger,D,R.BaneiJee,and 冗,Eisinger

1988.Experientia44:230-232.

木本哲夫 ら.1995.日本医事新報 3726:43-48.

木本哲夫 ら.1996.癌 と化学療法 23:1855-1859 Kimoto,T.etal.1998.CancerDetectlOn and

Prevention22(6):506-515

木本哲夫 ら.1998.Biotherapy.12(8):1135-1142. Rondo,A.,I.Deguchl,andS.Okada,1995. Vlr

-chows.Arch.427:91-99.

Matuno,T 1955 Z Naturforch,50C:93-97. Okada,S.,etal.1987.BIOChem.Biophys.Acta.

922:28-33.

Okada.S.etal.1995.in OxidativeStrecsand Aging.(Culter,R.G.etal.eds.)Birlhause Verlag,Basel.

Okada,S.1996.Pathol.Int.46:311-322. Ohkawa,H"N.Ohhashi,and K.Yagi.1979.

Anal.Biochem.95:351-358.

Shimoi,K etal.1997.Jpn,J.CancerRes.88: 453-460, 謝辞 本研究 は古谷聡美,日野恵子,山本祐規子,花谷利 香,新井成之,池 田雅夫等,林原生物化学研究所,蘇 崎研究所研究員お よび川崎医大富 田正文博士 の協 力 を得 た.また図 の一 部 は原 著 論 文BIOtherapy (1999)13 (3):273-280を引用 した.合わせて感 謝 したい.

TETSUOKIM0TOandMASASHIKuRIMOTO Anti o-ⅩidatantandpreventiveeffectsofcarclnOgene -SisbyoraladministratlOn OfBrazilian propolis andArtepillinC.HoneybeeScience(1999)20(2): 67-74.FujisakiInstitute,HayashibaraBiochem Labs.,Inc.,675-1,Fujisaki,Okayama,702-8006, Japan.

Theantioxidantandpreventiveeffectsofcar

-cinogenesISOfBrazillanprOpOllSanditsextract Artepillin C against ferric nitrilotriacetate (Fe-NTA)-induced renaloxidative damage and carcinomawerestudiedinmaleddY mice.Oral administrationsofpropolisandArtepillinC ef -fectively suppressed renal lipid peroxidation. Repeated injection ofFe-NTA (10 mg Fe/kg/ day,16 times in 8 weeks)Caused remarked necrosisin theproximalrenaltubulesandthe onsetofrenalcellandlungcarcinomaafter12 months.BrazillanPrOpOlisandArtepillinCpr o-tected theirtumorsagainstthecarcinogenesis bytheantioxidanteffects.

図 8 Fe ‑ NTA 7mgFe /kg 腹腔内投与 5 時間後のddYマウス腎尿細管上皮の病理所見
図 9 Fe ‑ NTA長期反復投与 1年後の腎臓の組織学 的所見 A プロポリス経口投与群 :腎臓に単発 した 蛮胞には癌化は見 られない ( H. E. 染色) B エタノール対照群 :蛮胞に由来する乳頭 腺癌 ( PAS 染色) C ェクノール対塀群 :同部の強拡大,乳頭 腺癌で異型性が強い ( PAS 染色) D エタノール対照群:癌細胞 には br us h bor de r の断片が見 られる尿細管上皮細胞由 来の腺癌 ( PAS 染色) に強 く現 れ,投与初期 に強 い尿細管壊死 を起 こ

参照

関連したドキュメント

しかしながら生細胞内ではDNAがたえず慢然と合成

の多くの場合に腺腫を認め組織学的にはエオヂ ン嗜好性細胞よりなることが多い.叉性機能減

わからない その他 がん検診を受けても見落としがあると思っているから がん検診そのものを知らないから

 我が国における肝硬変の原因としては,C型 やB型といった肝炎ウイルスによるものが最も 多い(図

要旨 F

○ 発熱や呼吸器症状等により感染が疑われる職員等については、 「「 新型コロナ ウイルス 感染症についての相談・受診の目安」の改訂について」