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電 気 機 器 グ ル ー プ の 事 業 別 セ グ メ ン ト ・キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 分 析

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139

電 気 機 器 グ ル ー プ の 事 業 別 セ グ メ ン ト ・キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 分 析

平 岡 秀 福

本稿の背景 と概要および 目的

わ が 国 の 電 機 機 器 グ ル ー プ は,多 角 化 だ け で な く,取 り扱 う事 業 の ラ イ フサ イ クル の 位 置 的 な 変 化 や 競 争 激 化 の 影 響 な ど に よ り,と きに は 一 部 の事 業 の縮 小 ・撤 退 も検 討 さ れ な け れ ば な ら な い とい う厳 しい 環 境 下 にあ りな が ら,戦 略 とそ の 実 行 が 今 の 業 績 に反 映 して い る とい え そ うで あ る 。 近 年 で は 主 に デ ジ タ ル プ ロ ダ ク ツ の競 争 激 化,コ モ デ ィテ ィ化 に よ り,重 電 部 門 な どの 安 定 した 収 益 事 業 を もた な い グ ル ー プ は こ こ 数 年 苦 戦 を強 い られ て は い た 。 しか し,コ ス ト削 減 戦 略 や事 業 立 て 直 し戦 略 の 成 果 と円 高 修 正 な どの 経 済 環 境 の変 化 に よ り,こ の 状 況 を乗 り切 れ る か も

しれ な い とい う兆 候 が 見 え て きた グ ル ー プ もあ る(日 本 経 済 新 聞,2013年8月2日 付 朝 刊)。

本 稿1で は,こ の よ う な環 境 下 に あ る電 気 機 器 グ ル ー プ の マ ネ ジ メ ン ト ・ア プ ロ ー チ に よ る事 業 別 セ グ メ ン ト ・キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー情 報 を分 析 す る こ とで,各 事 業 別 セ グ メ ン トの 資 金 的 な側 面 か ら見 た 戦 略 的 位 置 づ けや セ グ メ ン ト間 にお け る キ ャ ッシ ュ の 補 完 関 係 を探 る 。 こ こ で は,家 電 を事 業 領 域 に含 む代 表 的 な 電機機 器 大 手6企 業 グル ー プ(シ ャ ー プ,ソ ニ ー,東 芝,日 立,三 菱 電 機 パ ナ ソ ニ ッ ク)の 開示 され て い るセ グ メ ン ト情 報 を用 い て い る。 こ の 分析 か ら,事 業 ポ ー トフ ォ リオ 戦 略(事 業 の選 択 ・集 中)の 財 務 的 成 果 を支 え る資 金 需 給 バ ラ ンス の 重 要 性 を強 調 す る こ と を本 稿 の 目的 とす る 。 連 結 全 体 の 財 務 活 動 に よ る キ ャ ッシ ュ フ ロ ー に つ い て は,本 稿 で は 触 れ な い 。

1.本 稿 で 用 い る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 情 報 の 定 義

事 業 別 セ グ メ ン ト情 報 と して 開示 され て い る主 な財 務 デ ー タは,売 上 高,営 業 費 用,営 業 損 益, 資 産,減 価 償 却 費,資 本 的 支 出 で あ る 。 営 業 活 動 に よ る キ ャ ッシ ュ フ ロ ー(以 下,営 業CFと 略 す)の 計 算 に必 要 な運 転 資 本 の 情 報 は 開示 され て い な い 。

そ こで,本 稿 で は,開 示 され て い る セ グ メ ン ト情 報 か ら計 算 可 能 な次 式 で 計 算 され た 金 額 を事 業 別 セ グ メ ン トの 近 似 的 な営 業CFと み な した(も し,事 業 別 セ グ メ ン トご との 詳 細 な 貸 借 対 照 表 情 報 ま で 開 示 さ れ て い れ ば,さ ら に 精 緻 化 され た 営 業CFが 計 算 で きる が,こ れ に つ い て は

1本 稿 は,2013年8月30日 に開催 され た 日本原 価 計 算研 究学 会 で の 報告 を論 文 と して ま とめ た もの で あ る・

(2)

ヱ40

(平 岡,2010)を 参 照 の こ と 。

創 価 経営論 集 第38巻 第1号

近 似 的営 業CF=営 業 利 益 ×(1一 法 定 実 効 税 率)+減 価 償 却 費

ま た,こ こ で は,事 業 別 セ グ メ ン トの 資 本 的 支 出 を 投 資 活 動 か ら の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー(以 下, 投 資CF)と し て 代 用 す る 。 そ う す る と,事 業 別 セ グ メ ン ト の 近 似 的 フ リ ー キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー

(以 下,FCFと 略 す)は,次 の 式 で あ ら わ さ れ る(こ の 測 定 方 法 に よ る パ ナ ソ ニ ッ ク の 平 成24 (2012)年 度 ・第2四 半 期 ま の 分 析 は(平 岡(2013)を 参 照 の こ と)。

近 似 的FCF=近 似 的 営 業CF一 資 本 的 支 出

これ ら の各 企 業 グ ル ー プ 内 の 事 業 別 セ グ メ ン ト間 の比 較 分 析 を各 年 度 や 時系 列 で 行 う こ と に よ り,資 金 を創 出 して い る事 業,資 金 不 足 の 事 業 な ど を 明 らか に で き る。 ま た,そ の 分 析 結 果 を企 業 グル ー プ 間 で 比 較 す る こ と に よ り,資 金 バ ラ ンス の優 劣 や 全 社 的 支 払 の余 裕 度 の差 な ど も明 ら か にで きる 。

II.電 機 機 器6企 業 グ ル ー プ の 分 析

1で 示 した6企 業 グ ル ー プ の 事 業 別 セ グ メ ン トの 近 似 的FCFの 金 額 を算 出 し,資 金 不 足 と資 金 余 剰 の 事 業,事 業 間 の キ ャ ッ シ ュ の補 完 関 係 を探 る。

① シ ヤ ー プ

図 表1を 見 る と,「 エ レ ク トロ ニ クス 機器 」(テ レ ビ な どの デ ジ タル 家 電 白 物 家 電 携 帯 電 話 機 を含 む)は,2007年 度 と2008年 度 を除 い て,安 定 的 に キ ャ ッシ ュ 余 剰 が あ る 。 これ は,減 価 償

図表1シ ャー プの事 業別 セ グメ ン ト近似 的FCF

(単位:百 万円)

エ レ ク トロ ニ ク ス 機 器 電子部品等

2003年 度

..

一66 ,607

2004年 度 24,512 一32 ,085

2005年 度 11,965 一10 ,512

2006年 度 23,614 一52 ,650

2007年 度 一9 ,841 一40

,020

2008年 度 一11 ,116 一34

,707

2009年 度 39,805 一16 ,204

2010年 度 52,494 49,995

2011年 度 36,487 9,635

2012年 度 41,403 一56 ,405

プ ロ ダ ク ト デ バ イ ス

2012年 度 43,032 一58 ,034

(3)

電気機 器 グルー プの事 業 別セ グ メ ン ト ・キ ャ ッシュ フロー分析(平 岡 秀福)ヱ4ヱ

却 費 に 比 べ て 資 本 的 支 出 が 少 な い か らで あ る。 逆 に い え ば,2007年 度 と2008年 度 は,減 価 償 却 費 く 資本 的 支 出 とな っ て い る。

「 電 子 部 品 」(液 晶,太 陽 電 池 含 む)は2010年 度 と2011年 度 を 除 き,巨 額 の 資 金 不 足 を生 ん で い る。2010年 度 と2011年 度 の 資 金 余 剰 は,2007年 度 と2008年 度 を 除 く 「 エ レ ク トロ ニ ク ス 機 器 」 と 同 じ く,減 価 償 却 費 の範 囲 内 に 資 本 的 支 出 が お さ ま っ て い る か らで あ る 。 当 グ ル ー プ に と っ て, 減 価 償 却 費 以 上 の 資 本 的 支 出 をす る 場 合 に は,そ の超 過 部 分 は税 引 き後 営 業 利 益 の 範 囲 内 に何 と か お さ め る こ とが,少 な く と も価 値 を破 壊 し な い 身 の 丈 を考 え た 経 営(つ ま り,近 似 的FCF≧

0)と い え る か も しれ な い(2012年 度 が2行 あ る の は,セ グ メ ン トの 名 称 が 変 更 さ れ,太 陽 電 池 が 「デ バ イ ス 」(旧 電 子 部 品等)か ら 「プ ロ ダ ク ト」(旧 エ レク トロニ ク ス機 器)に 移 され た か ら で あ る)。 シ ャー プ の2013年 度 上 期 の 事 業 別 セ グ メ ン ト営 業 利 益 は,図 表2の よ う に,当 期 か ら 決 算 短 信 の 補 足 情 報 で事 業 別 セ グ メ ン トが 細 分 化 さ れ,「 健 康 ・環 境 」 を 除 くす べ て の セ グ メ ン トで前 同 期 比 と比 べ 大 き く改 善 した 。 今 後 の 優 先 的重 要 課 題 は,「 デ ジ タ ル情 報 家 電 」 と 「液 晶 」 の黒 字 化,「 健 康 ・環 境 」 の 増 益 とい え る。 こ れ を 「見 え る化 」 した セ グ メ ン ト区 分 の 変 更 は, マ ネ ジ メ ン ト ・ア プ ロ ー チ の 良 い 実 務 と評 価 で きる(上 期 情 報 で は減 価 償 却 費 と 資本 的 支 出 は 開 示 され な い た め,2013年 度 の 近 似 的FCF分 析 は次 の 機 会 とす る)。

② ソニ ー

図 表3を み る と,「 エ レ ク トロ ニ ク ス 」+「 ゲ ー ム 」 の 金 額(2009年 度 以 降,資 本 的 支 出 は

図表2シ ャープ2013年 度上 期 営業損 益 改善額

(単位:百 万 円)

営業損益 2012年 2013年 改善額

デ ジ タル情 報 家 電 一21 ,185 863 22,048

健 康 ・環 境 17,339 …: 一7

,671

太陽電池 一12 ,319

:・

22,184

ビ ジ ネ ス ソ リ ュ ー シ ョ ン 6,971 15,930

;.・

液晶 一115 ,559 8,671 124,230

電 子 デ バ イ ス 一23 ,758 5,246 29,004

図表3ソ ニ ーの事 業別 セ グメ ン ト近 似 的FCF

(単位:百 万 円) セ グ メ ン ト名 2003年 度 2004年 度 2005年 度 2006年 度 2007年 度 2008年 度 2009年 度 2010年 度 2011年 度 2012年 度 エ レ ク ト ロ ニ

ク ス

一44 ,920 一55

,640 一19

,985 51,573 277,781 一102 ,116

・1

59,935 一166 ,842 一44 ,553 ゲ ー ム 一5 ,193 23,150 1,843 一145 ,895 一68 ,736 一28 ,745

音楽 9,108 11,739 32,245 33,502 29,004 31,980

映画 21,595 37,490 13,491 22,692 33,238 12,031 21,878 25,167 25,712 34,415

金融 82,913

・:

154,391 97,106 72,242 43,268 146,245 128,433 132,664 145,271

そ の他 一3 ,431 10 20,679 24,915 44,921 26,727 17,102 17,070 一26 ,027 64,969

資金過不足 60,072 98,431 170,419 50,390 359,447

.・ ・,

225,730 264,106 一5 ,489 232,082

(4)

ヱ42創 価 経営 論集 第38巻 第1号

「ゲ ー ム 」 が 「エ レク トロ ニ ク ス 」 に含 め られ て い る)は2007年 度,2009年 度2010年 度 を 除 き, 資 金 不 足 の 状 況 に 陥 っ て い る が,グ ル ー プ全 体 で も深 刻 な 資 金 不 足 の2008年 度 を 除 き,音 楽 (2005‑2008年 度 は そ の 他 に含 め られ て い る),映 画,金 融 の 資 金 余 剰 が そ の 不 足 分 を補 っ て い る。

と くに 金 融(生 保 ・損 保 ・銀 行)が ソ ニ ー グ ル ー プ に とっ て の 重 要 な 支 え とな っ て い る(な お,

「 エ レ ク トロ ニ ク ス 」+「 ゲ ー ム 」 は,売 上 高,営 業 損 益,減 価 償 却 費 に 関 して は,2009年 度 以 降 さ ら に詳 細 な セ グ メ ン トに 区分 され て い る が,資 本 的 支 出(設 備 投 資 額)は 詳 細 に 区 分 さ れ て い な い)。 ま た,図 表4を み る と,と くに 「MP&C」(携 帯 電 話 とPC含 む)と 「 金 融 」 が 営 業 損 益 の 改 善 に貢 献 して い る こ とが わ か る(テ レ ビ も黒 字 化,日 本 経 済 新 聞2013年8月1日 付 朝 刊)。 上 期 情 報 で は 資 本 的 支 出 が な い た め,近 似 的FCFの 分 析 は 通 年 の 情 報 が 出 揃 う機 会 とす る が,グ ル ー プ結 全 体 と して は 近 似 的FCFが 改 善 傾 向 に あ る と推 測 さ れ る(た と え ば,好 調 な ス マ ー トフ ォ ンの 「 エ ク ス ペ リ アZ」 とそ の他 の 製 品 ・事 業 との 連 携 な ど)。

③ 東 芝

図 表5を み る と,「 社 会 イ ン フ ラ 」 は年 度 で 差 は あ る に して も,安 定 的 に プ ラ ス の 資 金 余 剰 を 生 み だ して い る こ とが わ か る。2008年 度 は,と くに 「電 子 デ バ イ ス 」 の落 ち 込 み が 激 し く,そ れ

図 表4ソ ニ ー2013年 度 上 期 営 業 利 益 改 善 額 (単位:百 万 円)

セ グ メ ン ト名 2012年 度 20/3年 度 改善額

IP&S 14,864

・:・

一8 ,075

ゲ ー ム 6 一15 ,577 一15

,583

MP&C 一51 ,237

,..

56,224

HE&S 一25 ,798 一8 ,727 17,07!

デバ イス 45,721 22,766 一22 ,955

映画 3,005 一14 ,014 一17

,019

音楽 15,!25 20,467 5,342

金融 58,792 85,192 26,400

そ の他 一10 ,997 一8

,012 2,985

連結 39,526 51,121 11,595

(注)IP&S:イ メ ー ジ ン グ ・プ ロ ダ ク ッ&ソ リ ュ ー シ ョ ン, MP&C:モ バ イ ル ・プ ロ ダ ク ッ&コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン,

HE&S:ホ ー ム エ ン タ ー テ イ メ ン ト&サ ウ ン ド。

図表5東 芝 の 事業別 セ グ メン ト近似 的FCF

(単位:百 万 円) セ グ メ ン ト名 2005年 度 2006年 度 20Q7年 度 2008年 度 2009年 度 20!0年 度 2011年 度 2012年 度

デ ジ タ ノ レプ ロ ダ ク ツ 234 11,327

・:・

一14 ,560 22,336 20,687 一16 ,533 一10 ,065

電子 デバ イス 一18 ,355 一29 ,529 一93 ,870 一248 ,555 48,221 61,383 一33 ,588

..・

社 会 イ ン フ ラ 36,344 40,411 70,013 23,908 47,925 49,265

.111・

79,221 家庭 電器 一9 ,167 一699 5,018 一5 ,845 一1

,262 8,092

.,

一18 ,903

そ の他 25,414 16,159 33,766

・ ・:1

一6

,269 一467 20,305 一8 ,437

資金過不足 34,470 37,668 24,803 一251 ,732 110,951 138,959 30,006 70,695

(5)

電気 機器 グルー プの事 業 別 セ グメ ン ト ・キ ャ ッシュ フ ロー 分析(平 岡 秀福)143

が グル ー プ全 体 で の 資 金 不 足 を深 刻 に させ て い る 。 しか し,他 の年 度 は資 金 余 剰 事 業 の黒 字 で 十 分 に 赤 字 事 業 の 不 足 分 を補 え て い る。 特 に余 裕 の あ る年 度 は,全 社 的 支 払 へ の 充 当 の 可 能性 が 見 出 せ るが,こ こで は財 務 活 動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー との 関 係 に は 触 れ な い 。

な お,東 芝 グ ル ー プ は2013年 度 の期 初 計 画 に お い て 「そ の他 」 を除 くす べ て の 事 業 別 セ グ メ ン トで の 営 業 損 益 の 黒 字 化 を 目指 し て い た 。NAND型 フ ラ ッ シ ュ メ モ リ ー好 調 の 理 由 で,2013年 度 の 上 期 で は 「 電 子 デ バ イ ス 」 の営 業 損 益 が 前 年 同期 比 か ら861億2600万 円増 加 した た め,「 デ ジ

タ ル プ ロ ダ ク ッ」 「 家 庭 機 器 」 「 そ の他 」 の セ グ メ ン トが 営 業 損 失 と な っ て も,連 結 全 体 で 営 業 損 益 が368億7600万 円 増 加 した 。 当 期 は 通 年 で 「 電 子 デ バ イ ス 」 が キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を支 え る可 能 性 が 高 い 。

④ 日立

日立 グ ル ー プ にお け る 「 金 融 サ ー ビ ス 」 は リー ス と ロ ー ン事 業 で あ り,ソ ニ ー の 「 金 融 」 事 業 とは 異 な る。 セ グ メ ン トデ ー タか ら計 算 され る1の 算 定 方 法 に よ る 近 似 的FCFは,リ ー ス債 権 の 回 収 が 「 金 融 サ ー ビス 」 の投 資 活 動 か らの プ ラス の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー と して 計 算 さ れ ず,賃 貸 資 産 を含 む 固 定 資 産 の 取 得 支 出 だ けが 計 算 さ れ る た め,大 幅 な マ イ ナ ス で 参 考 と な らな い の で, こ こで は計 算 か ら除外 した。

日立 グ ル ー プで 安 定 的 に 資 金 余 剰 な の は 「 電 子 デ バ イ ス 」(2009年 度 か ら 「 電 子 ・装 置 シ ス テ ム 」 に 名 称 変 更)で あ る(半 導 体 製 造 装 置,医 療 機 器,映 像 ・通 信 機 器,電 動 工 具 な ど)。2009 年 度 以 降,「 電 力 ・産 業 シ ス テ ム 」 の セ グ メ ン ト区分 が 細 分 化 さ れ,独 立 の セ グ メ ン トと さ れ た

図 表6日 立 の 事 業 別 セ グ メ ン ト近 似 的FCF(「 金 融 サ ー ビ ス 」 を 除 く)

(単位:百 万 円) セ グ メ ン ト名 2005年 度 2006年 度 2007年 度 2008年 度 セ グメ ン ト名 2009年 度 2010年 度 2011年 度 2012年 度 情 報 ・通 信 シ

ス テ ム 15,738 一11 ,292 111,603 149,545

情 報 ・通信 シ

ス テム 70,801 54,768 35,135 35,842

電 子 デバ イス 23,374 32,531 42,040

:・

電 子 ・装 置 シ

ス テム 2,771 20,427 17,890 11,544

電 力 ・産業 シ

ス テム 26,690 一48 ,701

..・ ...

電 力 シス テ ム 2,795 21,157 一29 ,925 9,459 社 会 ・産 業 シ

ス テ ム 25,377 26,943 24,003 21,621

建設機械 一21 ,583 31,137 :.1 3,925

オ ー トモ テ イ

ブ シ ス テ ム 18,617 25,288

・ ・

一10

,318 コ ン ポ ー ネ ン

ト ・デ バ イ ス

コ ン ポ ー ネ ン

ト ・デ バ イ ス 25,173 21,763 デ ジ タ ル メ

デ ィ ア ・民 生

一17 ,900

・:・

一91

,795 一53

,670 デ ジ タ ル メ

デ ィ ア ・民 生 9β88 16,542 一4 ,532 一4

,740

高機能材料 42,267 一2 ,190 55,172 一7 ,813 高機能材料 56,435 58,773 43,360 11,346 物流 及 びサ ー

ビス他 11,038 7,231 一14 10,263 その他 19,723 10,822 33,551

・..

資 金 過 不 足

(金融 除 く) 101,206

一91 ,095 135,836 69464 資 金 過 不 足

(金融 除 く) 209,995 287,620 135,110 87,922

(6)

ヱ44創 価経 営論 集 第38巻 第1号

「 社 会 ・産 業 シ ス テ ム 」 も,2009年 度 以 降 安 定 的 に 資 金 余 剰 を生 ん で い る(英 国 で の 高 速 鉄 道 車 両 事 業 な ど)。 「 情 報 ・通 信 シ ス テ ム」 も2007年 度 以 降,常 に黒 字 の 資 金 を獲 得 して い る(金 融 系 ・公 共 系 の シ ス テ ム イ ンテ グ レー シ ョ ン事 業 な ど)。 高 機 能 材 料 も年 度 で ば らつ きが あ る が,

大 きな 資金 余 剰 を生 み 出 す 期 間 もあ る こ とが わか る(ハ イ ブ リ ッ ド車 向 け 材 料 や ス マ ホ向 け フ イ ル ム な ど)。 「コ ンポ ー ネ ン ト ・デ バ イ ス」 の セ グ メ ン トが 消 え た の は,ハ ー ドデ ィス ク ドラ イ ブ 事 業 を売 却 した た め で あ る。

2013年 度 上 期 で は,「 情 報 ・通 信 シス テ ム 」 「 建 設 機 械 」 「 高 機 能 材 料 」 「オ ー トモ ー テ ィ ブ シ ス テ ム 」 「 金 融 サ ー ビス 」 で 営 業 損 益 が 改 善 し(た だ し 「デ ジ タ ル メ デ ィア ・民 生 機 器 」 の み 営 業 損 失8億9200万 円),そ の 他 の セ グ メ ン トで は 悪 化 し た が,連 結 全 体 の 営 業 利 益 は6%増 益 と な っ た 。

⑤ 三 菱 電 機

図 表7を み る と,1で 定 義 した 近 似 的FCFで 測 定 し た場 合,「 電 子 デ バ イ ス 」 を 除 き,す べ て の セ グ メ ン トで 資 金 が 自給 自足 され て い る こ とが わか る 。 と りわ け,国 内 シ ェ ア トップ の 昇 降 機 事 業 を含 む 「 重 電 シ ス テ ム」 が 安 定 して い る こ とが わ か る。 「産 業 メ カ トロ ニ ク ス 」 もば らつ きは あ る もの の,資 金 余 剰 額 が 多 く稼 ぎ頭 の1つ で あ る とい え る 。 最 も早 く 「選 択 と集 中 」 を進 め,高 収 益 体 質 が 定 着 した の で,「 家 庭 電 器 」 で テ レ ビ の 自社 生 産 か ら撤 退 し た り,苦 戦 した

「 電 子 デバ イ ス」 でDRAM事 業 の譲 渡 や シ ス テ ムLSI事 業 の 切 り離 しに よ る 関 連 会 社 化 を 可 能 に した り した(世 界 シ ェ ア1位 の パ ワ ー モ ジ ュ ー ル の み を残 した)。 工 場 プ ロ フ ッ トセ ン タ ー制 を導 入 し,工 場 ご とに財 務 諸 表 を作 成 して お り,工 場 長 の 権 限 も強 い 。 しか し,短 期 的 に は事 業 撤 退 や 自動 車 関 連 機 器 の 開 発 費 用 の 増 加,国 内 火 力 発 電 所 の 緊 急 増 設 案 件 な ど の 反 動 もあ り, 2013年 度 上 期 は,前 期 比 で 営 業 利 益 が11%減 少 し た(「 産 業 メ カ トロ ニ ク ス 」 「電 子 デ バ イ ス 」

「 家 庭 電 器 」 の営 業 損 益 は改 善 した)。 そ れ で も,2013年 度 の通 年 で の 営 業 利 益 は増 益 を見 込 ん で い る よ うで あ る。

図表7三 菱 電機 の 事業別 セ グ メン ト近 似 的FCF

(単位:百 万 円) セ グ メ ン ト名 2007年 度 2008年 度 2009年 度 2010年 度 2011年 度 2012年 度

重 電 シ ス テム 27,640 43,925 45,248 47,496 44,199 39,612

産 業 メ カ ト ロ ニ ク ス ・:1: 27,842 27,235 10,157 46,596 28,220

情 報 通信 シス テ ム 16,427 29,047 20,331 12,108 19,494 6,049 電 子 デ バ イス 一1 ,722 一22 ,787 一10 ,717 一1 ,234 一8 ,102 一5 ,619

家庭 電器 3a466 18,036 335 20,926 4,709

・ ・;

そ の 他 11,001

.;・

2,543 10,833 11,865 11,130

資金過不足 159,620 104,051

:,・.

100,286 118,762 89,310

(7)

電気 機 器 グル ープ の事業 別 セ グメ ン ト ・キ ャ ッシュ フ ロー分析(平 岡 秀 福)ヱ45

⑥ パ ナ ソ ニ ッ ク

図 表8を み る と,テ レ ビ を含 む 「デ ジ タ ルAVCネ ッ トワ ー ク 」 は,2007年 度 まで グ ル ー プ を 牽 引 す る稼 ぎ頭 で あ った が,2008年 度2009年 度 と続 い て 大 幅 に赤 字 と な っ た の は,セ グ メ ン ト の 売 上 高 が2期 連 続 で マ イ ナ ス 成 長 で あ る に もか か わ らず,将 来 も成 長 可 能 と見 誤 っ て つ ぎ込 み 過 ぎ た 巨額 投 資 の た め で あ っ た こ とが わ か る 。2010年 度 の 黒 字 は,地 上 デ ジ タ ルへ の移 行 に伴 う 一 過 性 の 需 要 増 加 に よ る も の で あ る。安 定 的 に黒 字 を稼 ぎ続 けて いた のは,「 アプ ライ ァ ンス」

と旧 パ ナ ソニ ック 電 工 の 「電 工 ・パ ナ ホ ー ム 」 で あ り,新 セ グ メ ン ト後 も 「ア プ ラ イ ア ンス 」 と

「エ コ ソ リ ュ ー シ ョ ンズ 」 と し て,グ ル ー プ の 安 定 的 な 資 金 の 稼 ぎ頭 で あ る こ とが うか が え る (図 表9参 照)。

さ ら に,図 表9を み る と,テ レ ビ を含 む 「AVCネ ッ トワ ー ク ス 」 も黒 字 に転 じ,赤 字 は 「エ ナ ジ ー」 の み で,そ の 赤 字 幅 も縮 小 に 向 か っ て い る こ とが わ か る。2012年 度 決 算(2013年3月

図 表8パ ナ ソ ニ ッ ク の セ グ メ ン ト名 称 変 更 前 の 事 業 別 セ グ メ ン ト近 似 的FCF

(単位:百 万 円) 1日セ グ メ ン ト名 2003年 度 2004年 度 2005年 度 2006年 度 2007年 度 2008年 度 2009年 度 2010年 度

デ ジ タ ルAVCネ ッ

ト ワ ー ク 133,644 112,576 140,206 131,435 115,488 一105 ,689 一86β46 28,703

ア プ ラ イ ア ン ス 58,165 70,067

・:・ ・

65,962 74,944 27,665 57,461 84,311

デ バ イ ス 11,457 27,594 52,609 46,248 55,785 一37 ,690 24,353 18,570

電 工 ・パ ナ ホ ー ム 84,512 74,420

... ...

46,928 50,004 65,141

日 本 ビ ク タ ー 23,279 2,827 一5 ,017 一3 ,293 一7 ,006 一 一 『

三洋電機 99,133 60,954 37,784 55,853 31,172 一147 ,316 一46 ,068 19,271

その 他 15,357

...

:::・ 58,736 65,709 25,841 22,743 55,207

資金過不足 341,035 352,641 450,287 434,759 424,945 一190 ,261 22,147 271,203 (注)三 洋 電機 の 子会 社 化 前 の デ ー タ は三 洋 電機 の連 結 財 務 諸 表 の デー タ。

図 表9パ ナ ソ ニ ック の 新 事 業 別 セ グ メ ン ト近 似 的FCF

(単位:百 万 円) 新 セ グ メ ン ト名 2010年 2011年 2012年

AVCネ ッ トワ ー ク ス 一42 ,654 一64 ,289 8,632

ア プ ライ ア ンス 84,107 70,726 31,983

シ ス テ ム コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ 43,205 16,318 11,048

エ コ ソ リ ュ ー シ ョ ン ズ 60,128 61,078 38,591

オ ー トモ ー テ ィ ブ シ ス テ ム ズ 25,292 5,514 12,537

デバ イス

・・::

一17 ,012 23,222

エ ナ ジ ー 一20 ,413 一7

,809 一6

,746

そ の他 63,359 29,585 22,874

資金過不足 279,906 94,111 142,139

(8)

ヱ46創 価経 営論 集 第38巻 第1号

期)の 最 終 損 益 も7542億5000万 円 の 大 幅 赤 字 で あ っ た が,リ ス トラ に よ る前 年 度 か ら続 く巨 額 の 減 損 損 失 処 理 と繰 延 税 金 資 産 の 取 り崩 し に よ る もの で あ り,む し ろ事 業 別 セ グ メ ン トの 近 似 的 FCFの レベ ル で は 資 金 需 給 バ ラ ンス は 満 た さ れ て い て,「 ア プ ラ イ ア ンス 」 と 「エ コ ソ リュ ー シ ョ ンズ 」 と い う グル ー プ全 体 を資 金 的 に支 え る 事 業 別 セ グ メ ン トの 存 在 が 重 要 で あ っ た こ とが わ か る 。

2013年4月1日 か ら は,グ ル ー プ体 制 の再 編 に伴 い,4カ ンパ ニ ー に対 応 した4セ グ メ ン ト+

そ の 他 で 開 示 さ れ る こ と に な っ た(パ ナ ソニ ック(株)平 成26年3月 期 第1四 半 期 決 算 短 信)。

名 称 が そ の ま まの 「ア プ ラ イ ア ンス 」 と 「エ コ ソ リュ ー シ ョ ンズ 」 「AVCネ ッ トワ ー クス 」 に加 え,「 オ ー トモ ー テ ィ ブ シ ス テ ム ズ 」 と 「デ バ イ ス 」 と 「エ ナ ジ ー 」 が 「オ ー トモ ー テ ィ ブ&イ ン ダ ス ト リ ア ル 」 と な る 。 「ア プ ラ イ ア ン ス 」 と 「エ コ ソ リ ュ ー シ ョ ン ズ 」 で 安 定 的 に 資 金 を 確 保 し な が ら も,市 場 規 模 が 期 待 さ れ る 太 陽 光 発 電 シ ス テ ム や 電 池 事 業 を 有 す る 「オ ー トモ ー テ ィ

ブ&イ ン ダ ス トリ ア ル 」 で の シ ェ ア 拡 大 と 資 金 創 出,「AVCネ ッ トワ ー ク ス 」 に お け る 液 晶 パ ネ ル の 非 テ レ ビ 向 け 用 途 の 市 場 開 拓 や 次 世 代 テ レ ビ で の ヒ ッ ト商 品 開 発 と 主 導 権 獲 得 な ど が 鍵 を 握 る と い え よ う 。2013年 度 上 期 で は,営 業 損 益 レベ ル で 「AVCネ ッ トワ ー ク ス 」 が197億 円 の 赤 字 で あ っ た が,通 期 で は す べ て の セ グ メ ン トで 営 業 損 益 の 黒 字 化 と い う 見 通 しが 立 て ら れ て い る 。 復 活 し た 事 業 部 制 とCCM(CapitalCostManagement)に よ る 事 業 採 算i生 の 管 理 が よ り徹 底 さ れ る こ と に な ろ う(Hiraoka,2006;Hiraoka,2013;平 岡,2013)。

皿.ま とめ と今 後 の 研 究 課 題 ・本 研 究 の 限 界 と提 言

各 社 の分 析 結 果 を ま とめ る と,次 の とお りで あ る 。

まず,シ ャ ー プの 「エ レ ク トロ ニ クス 機 器 」 の 近 似 的FCFは,資 金 余 剰 の 時 が ほ とん どだ っ た が,赤 字 の 年 度(2007‑08年 度)も あ っ た。 後 に 「 太 陽 電 池 」 が 加 わ り 「プ ロ ダ ク トビ ジ ネ ス 」

と して 開 示 され たが,具 体 的 に どの 事 業 の 近 似 的FCFが 黒 字 で,ど の事 業 の そ れ が 赤 字 だ っ た か わ か り に くか っ た 。 こ れ を 「デ ジ タ ル 情 報 家 電 」 「健 康 ・環 境 」 「太 陽 電 池 」 「ビ ジ ネ ス ソ リ ュ ー シ ョン」 の4つ に細 区 分 した 当期 か らの新 セ グ メ ン トの 定 義 は,今 後 の キ ャ ッシ ュ の 補 完 関 係 を よ り 「見 え る化 」 す る こ と に な ろ う。 「電 子 部 品等 」 の 近 似 的FCFは2010年 度 の み が 大 き く資 金 創 出 とな っ たが,そ れ 以 外 は2010年 度 の 黒 字 を 除 き,大 き く赤 字(資 金 不 足)の 場 合 が 多 い 。2012年 度 に 「 太 陽 電 池 」 が 分 離 さ れ た 後 の 「デバ イ ス ・ビジ ネス 」 セ グ メ ン ト単 独 で も大 き く赤 字 で あ る 。 こ れ も 「 液 晶 」 と 「 デ バ イ ス 」 に分 離 され る の で,上 記4つ の セ グ メ ン トに加 え,計6セ グ メ ン トの 資 金 創 出事 業 と資 金 不 足 事 業 の 内 訳 が 明確 に さ れ る 。 この よ う なデ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー は,シ ャ ー プ が 復 活 す べ き そ の 軌 跡 を よ り浮 き彫 りに して くれ る こ とで あ ろ う。 と く に,「 液 晶 」 の赤 字解 消 が 最 重 要 課 題 と な ろ う。

ソ ニ ー は,「 エ レ ク トロ ニ ク ス 」 と 「ゲ ー ム 」 で な い 他 の セ グ メ ン ト,と りわ け 「 金 融 」 が 安

定 的 な 収 入 源 で あ っ た が,今 後 は,本 来 の ソ ニ ー ら し さ に戻 るべ く,NTTド コモ の 「ッ ー ト ッ

プ戦 略 」 の 採 用 を得 た 携 帯 電 話 事 業 を 中 心 と した 「 エ レク トロニ ク ス 」 が 他 の エ ン タ ー テ イ メ ン

(9)

電気機 器 グ ルー プの事 業 別セ グ メ ン ト ・キ ャッシ ュ フロー分 析(平 岡 秀福)ヱ47

ト事 業 で あ る ソ フ トの セ グ メ ン ト(映 画 ・音 楽)と ど う融 合 して,資 金 を創 出 して い くか が 鍵 と な る で あ ろ う(日 本 経 済 新 聞2013年8月7日 付 朝 刊)。

東 芝 は,「 社 会 イ ン フ ラ」 が 安 定 的 に 資 金 を創 出 して き た事 業 で あ り,他 の 諸 事 業 も各 年 度 で み れ ば 資 金 創 出 事 業 が 資 金 不 足 の 事 業 を補 え て い る 。 今 後 は 「電 子 デ バ イ ス 」 に 含 ま れ る NAND型 フ ラ ッ シ ュ メ モ リ ー事 業 や,「 社 会 イ ン フ ラ」 に含 まれ る 医 療 機 器 ・サ ー ビス の ヘ ル ス ケ ア事 業 な どが 中 長 期 的 に 期 待 さ れ るで あ ろ う(日 本 経 済 新 聞2013年8月6日,8日 付 朝 刊)。

日立 は,「 電 子 デバ イ ス 」(2009年 度 か ら 「電 子 ・装 置 シ ス テ ム 」 に名 称 変 更)が 常 に 資 金 創 出 事 業 と な っ て お り,「 情 報 ・通 信 シ ス テ ム 」 は2006年 度 の 資 金 不 足 を除 い て,も っ と も安 定 的 な 稼 ぎ頭 で あ る 。2008年 度 ま で 資 金 余 剰 と大 き な 資 金 不 足 を繰 り返 して い た 「 電 力 ・産 業 シ ス テ ム」 は2009年 度 以 降,「 電 力 シ ス テ ム」 「 社 会 ・産 業 シ ス テ ム」 「 建 設 機 械 」 「オ ー トモ ー テ ィ ブ シ ス テ ム 」 に 分 け られ る こ と に よ っ て,「 社 会 ・産 業 シ ス テ ム 」 が 「 情 報 ・通 信 シ ス テ ム」 と 同 じ く安 定 的 な稼 ぎ頭 で あ る こ とが 「見 え る化 」 され た。 高 機 能 材 料 も2009年 度 以 降 は,減 速 しな が ら も資金 余 剰 を確 保 して い る。

三 菱 電 機 は,慢 性 的 に 資 金 不 足 の 「 電 子 デ バ イス 」 を除 き,す べ て の セ グ メ ン トで 常 に資 金 創 出 して い る。 と くに 「 重 電 シス テ ム 」 と 「産 業 メ カ トロ ニ ク ス 」 が 強 力 な稼 ぎ頭 で あ る 。 た だ し

「電 子 デバ イ ス 」 も,直 近 の 四 半 期 決 算 で は 改 善 傾 向 に あ る。 安 定 的 な 資 金 創 出 事 業 が 他 に あ る た め,こ の 事 業 へ の 投 資 を で き る こ とが 強 み で あ る。

パ ナ ソ ニ ッ ク は,テ レ ビ を含 む 「AVCネ ッ トワ ー ク ス 」 の 近 似 的FCFが2012年 度 に よ う や く前 年 度 の 大 幅 な 資 金 不 足 か ら資 金 創 出 に転 じ,テ レ ビ失 敗 の 呪 縛 か ら立 ち 直 りつ つ あ る 。 「ア プ ラ イ ア ン ス」 と 「 エ コ ソ リ ュ ー シ ョ ンズ 」 か らの 安 定 的 な資 金 創 出 が あ っ た か らこ そ,こ の危 機 を乗 り越 え られ る 兆 しが 見 え た。 今 後 は,「AVCネ ッ トワ ー ク ス 」 の 営 業 損 益 黒 字 化,す で に グ ル ー プ の 収 益 性 を支 え 始 め た 「オ ー トモ ー テ ィ ブ&イ ン ダス トリ ア ル シス テ ム ズ 」(太 陽 光 と カー ナ ビな ど の車 載 用 機 器 が 支 え,2013年 度 上 期 は営 業 利 益 が582億 円 と な り,AVCの 赤 字 を埋 め た事 業)か ら の 資 金 創 出,「 ア プ ラ イ ア ンス 」 と 「エ コ ソ リュ ー シ ョ ン ズ 」 か らの さ らな る継 続 的 な 資 金 の 確 保 が 重 要 とな ろ う。

以 上 の6社 の分 析 を通 して,多 角 化 され た諸 事 業 の 中 に,資 金 を 強 力 に稼 げ る事 業 が どれ だ け 存 在 す る か が グ ル ー プ全 体 の 安 定 感 に 影 響 を与 え て い る こ と が わ か っ た。 た と え ば,ソ ニ ー の

「 金 融 ⊥ 東 芝 の 「 社 会 イ ン フ ラ 」,パ ナ ソ ニ ック の 「ア プ ラ イ ア ン ス 」 と 「エ コ ソ リ ュ ー シ ョ ン ズ 」 で あ る 。 日立 と三 菱 電 機 に つ い て は ,3つ 以 上 の 資金 余 剰 事 業 が 安 定 的 に存 在 して い る こ と も わ か っ た 。 逆 に,主 力 の 資 金 余 剰 事 業 が 不 在 だ と,成 長 の た め に 必 要 な投 資 資 金 の 外 部依 存 度 が 高 ま り,自 己 資 本 で 賄 え な い 場 合,財 務 安 全 性 を よ り低 下 させ て し ま う。 今 後 の 研 究 課 題 と し て,こ れ ら と財 務 活 動 に よ る キ ャ ッシ ュ フ ロ ー をは じめ とす る諸 財 務 指 標 が どの よ う に 関 係 して い る の か を解 明 した い 。

最 後 に,本 稿 の 限界 と して,近 似 的FCFの 計 算 に,運 転 資 本 の 増 減 額 が 加 味 さ れ て い な い こ

とで あ る 。 こ れ は,セ グ メ ン ト情 報 に 関 す る現 状 の 財 務 会 計 基 準 が もつ 限 界 と もい え る 。 事 業 別

(10)

ヱ48 創 価経 営論 集 第38巻 第1号

セ グ メ ン トの よ り精 緻 化 さ れ た キ ャ ッシ ュ フ ロ ー情 報 を,経 営 者 と 同 じ 目線 で ス テ ー ク ホ ル ダー に 提 供 す る とい うマ ネ ジ メ ン ト ・ア プ ロ ー チ の 真 の狙 い を強 調 し た い な ら,あ とは少 な くとも無 利 子 流 動 負 債 の 事 業 別 セ グ メ ン ト情 報 を 開示 す べ きで あ る こ と を,あ え て 管 理 会 計 の 立 場 か ら提 言 した い と思 う。

【 主 要 参 考 文 献 】

平 岡 秀 福(2010)『 企 業 と 事 業 の 財 務 的 評 価 に 関 す る 研 究 一 経 済 的 利 益 と キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー ,セ グ メ ン ト 情 報 を 中 心 に 一 』 創 成 社 。

平 岡 秀 福(2013)「 パ ナ ソ ニ ッ ク の 構 造 改 革 と 財 務 情 報 分 析 一 真 の 環 境 革 新 企 業 と な る た め に 一 」 『 創 価 経 営 論 集 』 第37巻 第1・2・3合 併 号,pp.25‑51。

Hiraoka,S.(2006)"ValuationofBusinessBasedonEVA‑TypeMetricsinJapaneseCompanies ,"

Tjalue‑BasedManagementoftheRisingSun,editedbyMonden,Y.,Miyamoto,K.,Hamada,K .,Lee,G., andAsada,T.,WorldScientific,pp.75‑87.

Hiraoka.S.(2013)"ChallengetotheBusinessCrisisbyApplyingCapitalCostManagement:TheCase

StudyofPanasoincGroup,"ManagementofEnterpriseCrisesinjapan ,editedbyMonden,Y.,World

Scientific,pp.83‑94.

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