亅
M −
〈管理会肖[学 会r志{島
:
∫早会Iiir幽
ji
’2000 年 第8巻 弟1・
2 脅f
洋岩.
総 合 報 告
キ ャ
ッシ
ュフ
ロー 重 視 の 経 営
池 田 和 明
*〈
論 文 要 旨
〉キャ ッ シュ フ ロ
ー
の重視が 日本企業に も浸 透 しつ つ あ る.
しか し誤 解 さ れて い るこ と も多
い よ う だ.
例えば,
単なる運転 資 本の 効 率 化,資
金の 集 中 管理 また は不 採 算事
業の 整理 だ と捉 えら れた りしてい る.
我々 は キ ャッ シュ フロー
重 視の経 営 とはバ リュー ・
ベー
ス ト・
マ ネジ メ ン ト (企 業 価 値 経 営 ) と同 義と考えてい る.
それ は,
戦 略 的 意 思 決 定 や業 務 的意思 決 定におい て企業 価 値 増 大 とい う判 断基準を適 用 することで あ る.
これ によっ て
自
社の価 値 増 大に向
けて,
企業全体のベ ク トル を揃 えるこ と がで きる.
顧客の 長 期 戦 略
構
想 策 定 におい て,
我 々 は シ ナ リ オ・
エ ン ビジ ョニ ン グ とい うアプロー
チを使
うこ と がある.
これ は劇的
な事 業環
境変
化に直
面 し てい る企業
に特
に有効
な方
法 で あ る
.
ま ず 顧 客 と 共 に 将来の事
業環境 に 関 す る 複数の シ ナ リ オ を作成 す る.
そ し て 現 状の事 業モ デ ルが新 た な 環 境で有 効に機 能 する か否かを 評 価 する.
そ して新たな 環 境に対 応 する た めの 事業モ デ ル の構 想 を策 定 する
.
こ の過 程で , 環 境 変 化の影 響 評 価お よ び戦 略 代 替案
の経 済 的 効 果 定量化のた め に企業価 値 分 析を実 施 する.
さ らに企 業 価 値 増 大の現 実 化に は
,
戦 略だけでは な く事 業 運 営が重 要である.
企業の あ ら ゆ る レベ ル の構
成 員 を 企業
価値 増 大 に向
けて動機付
け る こ と が 望 まれ る.
そのた め には期間業 績 を 的 確 に 測定 する評 価 指 標が 必 要と なる.EP
(Economic
Profit
)はその目 的に適し た指 標である
.
〈 キ
ー
ワー
ド〉キャ ッ シュ フロ
ー,
企業 価 値 分 析,
シナリ オ・
エ ン ビジョ ニ ン グ,
業 績 評価指
標,
エ コノ ミック
・
プロ フ ィ ッ ト1999年 8 可 受付
2000年 2月 受理
*
プ ラ イスウォ
ー
ター
ハ ウスコ ンサル タ ン ト株式 会 社 戦 略コ ンサル テ ィ ン グサー .
ビ ス事業 部 シニ ア・
マ ネー
ジャー
管 理 会 刮 学2000 年 第8巻 第 1
・
2 含 併号1 . は じ め に
日 本で
今
, キ ャ ッ シュ フ ロー
重 視の経営
が着
目さ れて い る が,運 転資 本効 率化
,投 資
の 圧縮,お よび
不採 算 事業
の切 捨
て とい っ た面
が 強調
さ れ 過 ぎ, 本 来
の 意味
が 曲解
さ れ てい る こと が多
い
.
キャ ッ シュ フ ロー
重 視の 経 営 と は, 企
業
価 値, す なわ ち企業 自体
の市
場 価 値の 増 大を指向 す
る経 営
であ
り,
バ リュー ・
ベー
ス ド・
マ ネジ メン トと同 義
で ある.
企業価 値
の増 大
の ため には,
戦 略
立案
と事 業
運営
の両方
が 重要
であ る. 本 稿
で は,我
々 の キ ャ ッ シュ フロー
重視経営
に対 す
る考 え 方
と, 顧客
であ
る 企業
の皆様
に提 案
し,共
に実 践
して い る企業 価値 向
上に向け
た戦
略
策定
と事 業
運 営につ い て述べ る.
2 . キ
ャ ッシ
ュ フ ロー 重 視 の 意 味
ブ リニ
・
キ ャ ッ シュ フ ロー ( FCF )
は 企業本 来
の事 業活 動
か ら創 造
される キ ャ ッ シ ュ フ ロー
で あ り
,資
金調
達活 動
に関
る キャ ッ シュ フ ロー
は 含 ま ない. 今
,経 営管
理指 標
と してFCF
が注
目さ れ る理由
の ひ とつ に,
財 政状 態
や資
金繰
鯛悪化
し た 企業
の増 加
があ げ
ら れ る.
こう
し た 企業
は年 度
のFCF
を黒字 化
し財 政状 態
を改 善 す
る必要
がある.
そ こ か ら,
キ ャッ シ ュ フ ロー
重視
とは,投 資
を 圧縮 し事 業 展
開 を絞
り込
む縮
小指 向
の経営
であ
る という
誤 っ た認 識が 生 れ がち だ
.確
か に過大
な 成長 期待
や精 度
の低
い経 営 管
理 が原
因で 過剰投 資
と なっ た 企業
,自社
の強
み につ い て 吟 味せ ず 横 並 的に事 業展
開 して きた 企 業にお い て は, 縮 小 施 策は有 効 であ る.
た だし,本 来
は投 資期
間を 通算
した上 でFCF
が プラ スであ り,
か つ資本
コ ス ト を 上 回る余 剰
を創 造 す
る投 資
案件
は実行 す
べ き だ.
そう
し た投 資
案件
が ある と き, ある年 度
のFCF
をマイ ナ ス に して , そ の分 外 部 か ら資 金 調 達 す る こ と は , 当 然 合 理 的で ある
. 一
律に
年
度 のFCF
を 黒
字
化 す る こ と がキ ャ ッ シ ュ フ ロー
重視
で は ない.
キ ャ ッ シ ュ フ m
一
重 視 の 目 的 は, 企 業 価 値や株
主 価 値の 増 大 にある.
株 主資
本は , 株 式 と し て 流動 化
さ れ売
買価 格
がつ く.
上 場企業
で あ れば 株 式 市
場で時
価 評 価 さ れて お り, 株
価に発 行済株
式数
を乗
じ た時
価 総額
が,文 字
ど おり資
本の時
価 を表
してい る.
こ の時 価総 額
に有 利子 負 債
の時
価 を 加 え た もの が , 企業
の 「経 済的
な」
価値
で あ り, 企業価 値 (
ま たは市場 価 値 )
と呼 ば れ る
.
時 価 総 額の部
分 だ けで みれ ば 株 主 価値
と なる.
企 業 価値
と投
下資 本( 修
正項
目 を 反映
し た もの)差
額はMVA ( Market
Value
Added
:市 場 付 加 価 値)
と呼ば れ る.
企
業価 値
は,過 去
の業績
で は なく,将
来に対す
る期 待
に よ っ て形成
さ れ て い る、 株
価の低 迷 は, 企 業の 未 来 に 対 す る投 資
家の評
価 が低
い こ と を 意味
する.
財務 諸 表
の情 報
は,過 去 情報
と して今 後の 期 待 形 成へ の イン プッ ト と なるが , そ れ 以 上の もの で は ない。
企 業 価値
の形 成 過程
を 説 明す
る 最も
基 礎 的 なモ デ ル は,言 う
ま で も ない が割
引 キ ャ ッ シ ュ フ ロー ( DCF
:Discounted
Cash
Flow )法
である.
DCF
は,資
本の時 価 は, 企 業 が 将 来 獲i
得 す るで あろ う 期 待FCF
流列
の現在
価値 合計
に よっ て 決定
さ れ る と考
える.
株 式
市 場 に お ける 自社 の 評 価 を 注 視 する経 営 者 が 増 加 してい る.株
式 市場
と積 極的
に コ ミュニ ケ
ー
ト し,
自 社の価値
に関す
る情 報
を伝
える ことで,
より適
切 に 評価
さ れ る よう
に な る.
ま た市 場 か らの メ ッ セー
ジに 関 心 を持
つ こ とで, 自社
の 状 況 を客観 的
に見
る こ とが出来
る.資 本 市 場
の 主要
プ レ イ ヤー
であ
る機
関 投資
家は, 経 済 環 境, 産業
動向
, 投資
企 業の 戦 略, 競 合 他 社の
動
向,
に関 して多
くの情 報
を持
ち,洗 練
さ れ た投 資 判 断
を行
っ て い る.彼
ら が 企業
を評 価 しキ:
・
ッシュフ ロー
重 視の経 営た 結
果
が, 資 本市 場
で の時
価 に反 映さ れ てい る. 資 本市 場
に 関 心 を持
つ こ と に よっ て,彼
らの 持つ 情 報と判 断 を 企 業 経 営 に取 入れ る こ とが 出 来る.
投 資 家の言 う 通 り経営
すべ き という
つ もり
は ない.
し か し自分
の姿
を鏡
に映 し て見
る こ とは重 要 だ.
3 . 企 業価 値 増 大 の た め の 経 営
企
業
は,
ドメ イ ン( 事 業領
域)
を定義
し, 経 営資 源
を投
下 し, 競 争
優位
の確
立 を試
み る.
こ れ らを 検 討 する こ とが 戦 略 立 案で ある.
こ こ で は他 社に 出 来 ない こ と,
他 社 が や ら ない こ と,
をや るの が重 要で ある
.
過去
, 日本
企業
は こ れ が苦手
であっ た.
もちろ ん全 て の 日 本 企 業が そう
で あっ た という訳
で はな く, 一
般論
で はあるが.経 済
が持続 的
に成長
してい た時代
で は, 戦
略 を明 確に し 他 社 との 差 別 化 を考
え ず とも,
同 じこ とをよ り効率
的 に 実 施 する こ と で成 長 す るこ とが 出
来
た.
そこで 日本
企業
の経営
に お い て は,事 業運 営
の効 率
が 重視
さ れ てき
た.
効率
は 重 要で はあ るが, それ だ けで は ダメ だ.
長 期 的 な 観 点 か ら,有
形, 無 形の資
産 に投資 す
る という行
為 は, 極めて 戦 略 的 な もの で ある.
過 去, 日 本 企 業は高 水 準の投資
を 継 続 して き た.
し か し その 投 資 に関 す る意 思 決 定 は,
他 社 に追 随 す る とか, 既 存市
場の 成長
を当
て込ん だ もの であ
っ て
,
戦 略 的意
図 を持
っ て い なかっ たの で は ない か.
そ して , 戦 略の重 要 性 と同 じ くらい 事 業 運 営 も 重 要で ある
.
素 晴 ら しい 戦 略 が 出 来 て も,
適 切に実行
されな けれ ば意
味が無
い.
また事 業
運 営が非
効 率で は, 戦 略は 実 行 でき
ない.
よっ て,有 効 な 戦
略
と事 業
運 営は 企業
価値 向
ヒの両輪
で ある.
シ ナ リ オ
・
エ ン ビ ジ ョ ニ ング に よ る 戦 略 策 定事 業
環境
の変
化 が激
しい業
界 に お い て は, 将 来の事
業 環 境につ い て , ある一
つ の 状 態 を 想定
して戦 略 を策 定
す る手 法
は有
効と は言
え ない.
想定
と全 く異 なっ た環 境
が現 実
と なっ た時, 過 去
に立案
し た戦 略は意
味を無
くして し まう.
企 業を取 巻 く環 境 変 化 は激 し くな る一
方の よ うに 思 える.
技 術革 新
に よる産 業構
造の 激変, 規
制緩 和, 新
しい タイ プの競 合他 社参
入 に よ る競 争
の 変 質 とい っ た, 現 状の 延 長で はない, 不 連 続 的 な 新 しい
事 業 環境
が 出 現 する可能 性
が高
い 産 業が多
く なっ て い る.
それ は企 業 に とっ て脅威
で あるが , 裏 返せ ば新た な 成 長の 機 会で も あ る.
シ ナ リ オ
・
エ ン ビジ ョ ニ ン グ は, 激 変 す る事 業 環
境下で 有効
な 戦略
立案 手法
で ある. 将 来
の事 業環 境
につ い て複数
の シ ナ リ オ を作
成す
る.
そ して, 各
シ ナ リ オ が現実
化し た場合
, 現 状の 戦 略で い っ た ら自 社は どう なるの か,
ま た 勝 ち残
る た めに 有 功 な 新 た な 戦略
につ い て, 真
剣 に検 討
し て お く。
人 間や組織
は,経
験がある こ とに は 上于
に対 処 で きる 可 能 性 が高い.
シナ リオ
・
エ ンビ ジ ョ ニ ングに よっ て, 企 業は未 来の経 験を獲
得
で きる.
シ ナ リ オ
作
成時
に は,何
をシ ナ リ オ の主 題 (シナ リ オ・
ドラ イバー )
に す る のか ,何 年 後
(
シ ナ リオ・
タ イム フ レー
ム)
の事
業 環 境 を予 測 する の か, そ して 将 来の シ ナ リ オ テー
マ の変 動
範囲 (
バ ウン ダ リ)
を どう
見 る のか,
につ い て留
意 す る.
シ ナ リ オ・
ドラ イバー
と して は,
不 確 実 性 が 大 き く, かつ 自 社に与 える影 響 が 大 きい 要 因 を 選
定
する.不確 実性
の 小 さい要因
で あ れ ば, その変動
につ い て シナ リ オ を作 成 す
る必 要は な く,
対 処 す る た めの戦 略 を 立 案 し 事 業 計 画 に織 込め ば 良い.
また不確
実 性 が 大 き くと も,
自 杜に与
える影 響
が小
さ い要 因
に つ い て は,真
剣
に考
える必 要は ない(
図1 参
照〉 .
着王里会言1弓冫2000 舞 第8巻 第1
・
2 含 併 弓凵
〈
n大
小
事 業 計 画
に反 映 す
る課 題
. ・は
遡匸 ’
げ
難
、
鯲 滞、
繰・
獸・
1…
轗 薫 轟
痛 講 櫻 龝鯉 藩
‘
監講噸 騨 §騨 嬾 嚶
…
モ ニ タ
ー す
る課
題モ ニ タ
ー し 再 評 価 す
る課
題小
不 確 実 性
図
1
シ ナ リ オ ドライバ の 抽 出大
シ ナ リオ
・
ドラ イバー
が選 定
さ れ た ら,次
に各
々 の相
互作 用 ,
す な わ ち各
ドラ イバー
の変 動
の
相関 分析
を行
う.
そ して作
成 す るシ ナ リオの フ レー
ムワー
ク(
枠 組)
を 決 定 する. 各
シナ リオ は単 なる バ リエ
ー
ショ ンで はな く, 本 質 的 に
異
な っ た未 来 につ い て記
述し, シ ナ リ オ数
をあ
ま り多 く
し ない こ とが 重要
であ
る.
また,
シ ナ リ オ が整合 性
を持
っ てい る こ と は当然
と して,
内 容 が もっ とも ら し く, かつ 現 状の 延 長 で はない 新 しい 未 来 を 描 出 して い る必 要があ る.
そ し て,
戦 略の策定
過 程 に お い て は,代 替案
の投 資効
果を定
量化
し,経 済性
を評価
し た 上 で,
実 施の 可 否 や 優先
度 が 決 定 される.
経 済 性 とい う 価 値 判 断 基 準 は 企 業 経 営の 根 本 である.
経 済性
評 価の フ レー
ム ワー
ク と して, 従 来の
会
計 に よ らず,
企業
価値
概念
を適
用す
る ことに よ っ て,
よ り的確
な 意 思決定
が 可能
と なる.
こ れは シナ リオ
・
エ ン ビ ジ ョ ニ ン グに おい て も 同 様 である.
シ ナ リオ で想 定 し た事 業 環 境 の 中で ,自
社の 企業
価値
は ど う なるの か.
ま た,
その事 業環 境
の 中で有
効 な 戦 略 は 何 か.戦
略シナ リ オ 策 定 プロ ジ ェ ク トで は, こ の
2
つ の 質 問 に回答
する た め に,
企業
価 値 分析
を実 施 する.
そ の た め に
,
企業
価値
をそ の決 定要
因(
バ リュー
ド ラ イバー
と呼
ばれ る)
に因数 分解
し,
モ デル 化 してお く
.
また ,各
要 因の企業
価値
に与
え る 重要
度 分 析(
感 度 分 析)
は,
戦 略代替
案の 抽 出 と評価
に有益
な情 報
を提 供 す
る.
業
績評価
指 標へ のEP ( Economic
Profit )
の導
入企 業は 人 間の集 りで あ り
,
戦 略に従 っ た事 業
運営
を行
うの は 企業
の構
成員
で ある.
よっ て,
戦略
の実行
に は,彼
らを動機
づ ける こ とが重
要 となる.
ま た事 業
運 営の効 率
性 を測 定 し, その改 善
を 企業 構 成員
に動 機
づけ
る仕
組が必
要であ
る. 更
に, 経 営 陣
は, 適
切 な 頻度
で 戦 略の 実行
状 況とその 結 果 およ び効 率 性 を把 握 す る必 要 が あ る.
そ れ を 可 能 とする仕 組 が業
績 評 価指
標体 系
であ
る.
戦 略
の実行
を動機
づけ
るため に, 当 然
なが ら業 績
評価指 標体 系
は戦 略
と整 合 性
を もっ てい る 必 要 が ある.
また, ケー
ス・
バ イ・
ケー
ス で ある が,
戦 略 を 明 示 する ために は,
財 務 指 標だ け で はなく他
の 切口 での業績 評 価指 標
を 設定す
るこ とが有 効
な場合
があ
る.
こ れ らの 財 務 指標
以 外 の指 標 を適 切 な 切 り口で バ ラ ン ス させ ると い うコ ン セ プトをバ ラ ン ス ド・
ス コ ア カー
ド と呼
キヤツシュ フロ
ー
重 視の経 営ぶ
.
こ の コ ンセ プ トを提唱
し た カ プラ ン とノー
トン は「
財務 」
,「
顧客」
,「 学
習 と成 長」
,「
杜 内 ビ ジネス プロ セ ス」
という 4
つ 切口 をあ
げてい る.
ま た, そ れ 以外
に も様
々 な切口 が提
唱 さ れ お り, 導 入 す る企 業は 自 社に適 し た切 り冂 を設 定 して い る.
バ ラン ス ド
・
スコ ア カー
ドの もう 一
つ の意味
は , 財 務指 標
に影 響
を与
え る で あろう事象
を事
前 に
認
識 し測 定す
る こ とに ある.
こう
した指
標 を 先行 指 標
と呼
ぶが ,先行 指 標
を認 識
し測定 す
る こ とで , 問 題
点
に関 する , より素
早い ア ク シ ョ ンが 可能
とな る.
た だ し
,経 済的 業績
を測定
す る財務 指 標
は最
も 重要
な もの で ある. 年 次
の業績 測 定
に は,
企 業 価 値 の よ う な一
定 時 点の ス トッ クで は な く, 期 間 内の フ ロ
ー
概 念の 指 標 が 必要
であ る.
こ こで ド記の
3
つ の指 標
に つ い て年 次業
績 評 価へ の適
合 性を検 討
して み る.
年
初 と年
末の市場価
値(
時 価 総額
+有
利子負債 )
あ るい はMVA
の 差分市 場 価
値
やMVA
は株
式 市 場 要 因に よ っ て も変 化
し,
かつ変 動
が激 しい.市場
や業 種別
イ ンデ ッ ク ス と対比 し
,市
場や業
界 全 体の平 均 よ り上 回っ た か否か と いう
切 り口 か ら, 企 業 全 体 に 対 して 責 任 を 負 う 経営
者の 業 績 評価指 標
と して は適用 可能
で ある.
しか し企業 内
の事 業部
,部
門, 社 員個
人の業績 管
理指標
に は適
さ ない場合
が多
い.
フ リ
ー
キャ ッ シュ フ ロー
確
かに,
企業
価値
は 将来
のFCF
流列
を資 本
コ ス トで現在 価 値
に割
引い て資 本 化
した もので あ る.
し か し, 年次
で 見た場 合, 投 資 に よ るキ ャ ッ シュ・
ア ウ トとリター
ンに よる キ ャ ッ シュ
・
イン との対
応 関係
に大
きな ズ レがあ
るこ と が多
い.
よ っ て ,FCF
は, 年 次
の業績
評 価 に適 さ ない.
仮 に, 本 仕 経 営 陣 が各 事
業部
の トッ プの 業 績 評 価 を年
次のFCF
で実施 す
る という
状 況 を想 定
し て欲
しい.
こう
し た中
で将 来に向
け た価値
あ る投資
が 実行
され る だ ろ うか.
EP ( Economic
Profit
)EP
はFCF
の持
つ欠点
を補
正 しており
, 下記算 式
で求
め ら れ る. EP
=NOPAT ( Net
Operating
Profit
A
銑erTax
:税 引 後 営業利
益) 一
資 本使
用料 資 本使
用料 =投
下資 本残 高
×資
本コ ス ト レー
トEP
の 世界
で は, 減 価 償 却費
金額
が維持 投
資 金額
であ る とい う仮 定
を置
くか,
ま た は減 価償 却 費
の計
上 を維 持 投資
金額
に近づ ける よう
な修
正(す
る と投
下資本
も修
正 さ れ る)
を行っ て ,NOPAT
を算定 す
る.
そ して減
価 償 却費
を 上 回る 純 投資 (
こ れ を 新 規 投資
とみ な す)
につ い ては
,
そ れ が キャ ッ シ ュ ア ウ トし た年 度
のNOPAT
か ら差引 く
の で はな く,資 本使 用料
に よっ て 標 準 化 し, 複 数年 度
に亘 っ て差 引 くとい う 仕 組 に なっ て い る. EP
の本質
は投 資に よ る キ ャ ッシ ュ ア ウ ト を その
時 点
で認 識
せず,投 資期 間
に 亘 っ て標 準 化
し た フ リー ・
キ ャ ッ シュ フロー
で ある( 図 2 参
照) . 年 度 業績 管
理に はEP
が適
してい る.
将 来
の期待 EP
流列
の 現在 価値 合計
はMVA
とな り,FCF
に よ る企業
価 値 評 価 とEP
に よ る年 度 業 績 評 価は,
理論
的 な 整 合 性 が取
ら れ てい る.
管埋会言[学2000 年 第8巻 第1
・
2 合 「ii 71鬮
売
上 キ ャシ ュ利 益 率
キヤ シ ュ
税額
髄
・
滋轢 礁 難 1 鷺
運 転資 本
覊 蘿覊
壕
」
賜肖
囎肖 ・
、 尸、
軸1ご減価 償 却 費 輳 麹 驪
肖 匸
柵ゴ
尉 ヒ
£ 新 規 投 資
驪 疆驤翻
資本
コ ス トレ
ー
ト図
2
FCF
とEP
の関 係4 . む すび
企
業
価値
の増大
の ため には , 的確
な 戦 略 立案
と効率
的 な事 業
運営
が 必 要で ある。
シ ナ リ オ・
エ ンビ ジ ョ ニ ング は,
激 変す
る環境
下で有効
な戦 略 策定 手法
であ
る.
こ の中
で企業 価値 分析
を行
い,
シ ナリ オの影響
や , 戦 略代 替
案の効 果 を 評 価 する こ と は,
重要
な 意 思 決定
基準
とな る.
また , 戦 略は , 絵 に描 い た 餅で あっ て はな らず
, 適 切に実行
されて こそ意
味 が ある.
実行
の ため に は
事業
運営
に おい て戦略
の達 成
を動 機
づ ける こ とと, 運 営
の効率 性
が重 要であ
る.業 績
評価 指標 体系
は, そ れ ら を実 現 す
る ため の経 営
ッー
ル で あ る.
そ の体 系
の中
で 基本
に なる財 務指
標 と し て はEP ( Economic
Profit )
が適
し てい る.
The Joumal of Management Aceounting,Japan Vol,8,No. 1・2 2000
,
Value Based Management
Kazuaki Ikeda*
Abstraet
Maximizing
cashflow is becoming
akey
corporate objectivein Japan. However the
conceptis
often misunderstood thatit is just
a working eapital management, a cashpooling
or adivestment
of moneylosing business
unit.We define the
cashfiow
management asthe
same asValue Based Management,
which meansthat
applying a shareholder value concept
to
strategie and operationaldecision
making,is
apowerfu1
way of energizingthe
whole corporationin pursuit
ofvalue.In
creating along-term
strategy, we sometimes useScenario Envisioning,
aninnovative technique
usedto develop
a new vision of anindustry's possible future
with our clients.
Then,
we evaluate a client's currentbusiness
model against somefuture
scenarios anddesign
a newbusiness
modelto
survivein
a new environ- ment.Shareholder
value analysisis
aprecise tool to
evaluate thelong-term
eco- nomicimpact
of environmental changes and strategic options.To
makeValue Based Management
a reality, we needperfbrmance
measures,which can measure real shareholder value creation
in
a certainperiod,
and weneed
to incentivize people
at alllevels to pursue the
overriding objective ofimprov-
ing
shareholder value.The Economic Profit is
suitablefor these
objects.Key Words
Cash Flow, Shareholder Value Analysis, Scenario Envisioning, Pefbrrnance Measures, Economic Profit
SubmittedAugust 1999.
AcceptedFebrary2000.
"Price Waterhouse