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Academic year: 2021

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全文

(1)

引張せん断荷重下の重ね合わせ継手に対する三次元境界要素法を用いた特異応力場の解析 Singular stress field analysis using 3D boundary element method for adhesive joints under tensile shear load

○学 星 和久(長岡技大院)

Kazuhisa Hoshi, Graduate School of Nagaoka University of Technology, 1603-1 Kamitomioka Nagaoka Niigata

正 古口 日出男(長岡技大)

Koguchi Hideo, Nagaoka University of Technology, 1603-1 Kamitomioka Nagaoka Niigata

Key Words: Stress Analysis, Boundary Element Method, Singular Stress Field, Intensity of Stress Singularity, Adhesive Joint

1. 緒言

現在,接着による接合は,小型化が求められる携帯電子機 器,気密軽量化が求められる構造部材,美観性が求められる 車体外装など様々な場面で用いられている.しかし,接合界 面が外力や熱変形によって剥離し,接合部材が破損すること がある.この原因として接合界面端に発生する特異応力場が 考えられる.異材接合体における接合界面端部には,材料定 数の違いから,弾性論的には応力が無限大に発散する特異応 力場が発生する.ここでは応力が発散するため応力値のみで の単純な強度評価ができない.

一般的に,特異応力場内の応力σijは,応力特異点からの距 離

r

に対して近似的に式(1)で表されることが知られている.

!ij=Kijr!"

(1)

ここで

K

ijは特異場の強さ,λは特異性のオーダである.

本研究では,この二つのパラメータを用いて異材接合体の 特異応力場の解析を行う.特異性オーダは有限要素法を用い た固有値解析により求め,さらに境界要素法を用いた応力解 析による応力分布を式(1)で当てはめることで,特異場の強さ を求め,引張せん断荷重下の重ね合わせ継手における,接着 層の材料定数が特異応力場に及ぼす影響について検討する.

2. 三次元異材接合体における特異性

2-1固有値解析手法 特異応力場を特徴づける特異性オーダ λは,有限要素法を用いた固有値解析により求められる.固 有値

p

はλとλ=1-Re(p)の関係があり,

p

は式

(2)

の固有方程式 を解くことにより求められる.

p2

[ ]

A +p B

[ ]

+

[ ]

C

( ) { }

u =0

(2)

ここで,[A],[B]および[C]は弾性定数と接合形状から決まる 行列,{u}は節点の変位ベクトルである.

2-2 三次元境界要素法(1) 一般に応力解析には有限要素法を 用いることが多い.しかし,特異応力場など応力値の変化が 顕著になる箇所ではより微小な要素を用いる必要があるた め,本研究では,境界のみの要素分割でよく,さらに高精度 に解析できる境界要素法を用いる.

三 次 元 弾 性 体 内 に お け る 任 意 の 点 の 変 位 は , 式

(3)

Somigliana

の境界積分方程式で求めることができる.

uj

( )

p =

&

S"#Uij

( )

p,Qtj

( )

Q !Tij

( )

p,Q uj

( )

Q$%ds Q

( ) (3)

ここで,

p

は領域の内点,

Q

は境界上のソース点,

U

ijおよび

T

ijは変位と作用力の基本解,

t

i

u

iは作用力ベクトルと変位 ベクトルである.また内点のひずみは式

(4)

で求められる.

uj,k

( )

p =

&

S"#Uij,k

( )

p,Qtj

( )

Q !Tij,k

( )

p,Q uj

( )

Q$%ds Q

( ) (4)

ここで,Uij,kおよび

T

ij,kは着力点における変位および表面力 の基本解の微分である.内点の応力は式(4)を

Hooke

則に代 入した式(5)によって求められる.

!ij

( )

p =!uk,k

( )

p!ij+2µ

{

ui,j

( )

p +uj,i

( )

p

} (5)

基本解には

Rongved

の二相体の解(2)を用いた.これにより,

材料界面の要素分割が必要なくなり,高精度に解析ができる.

3. 解析モデル

本研究では,JIS-K6850 にある引張せん断接着強さ試験で 用いられる試験片を解析モデルとした.その形状を図1に示 す.同寸法の

2

平板の被着体が,重ね合わさる形で接着剤に より接合される.この両端をつかみ引張荷重を加えることで,

接合部には引張せん断荷重が加わる.

応力解析における境界条件は,継手つかみ部を平板の厚さ 方向に変位拘束し,継手の片端は長手方向に変位拘束,もう片 端に

1kN

の長手方向の荷重を付加した.また

,

対称性を考慮 し

1/2

モデルを用いて解析を行った.

Fig.1 Analysis model of adhesive joint

境界要素分割モデルには,セレンディピティ二次要素を用 い,応力特異点となる接合界面端角部で約

10

-6

mm

の最小要 素とした.総要素数は

6903

,総節点数は

20717

である.被着 体のヤング率は

E

1

=100GPa

,ポアソン比はν1

=0.30

で固定し,

接着層は

E

2

=0.01~50GPa

の範囲で変化させて解析を行った.

またν2は界面端角部での特異性オーダがλ=0.40 となる値を 用いた.この端部を基準とした理由については,後に示す解 析結果から特異性オーダ・応力値とも高い値を示し,実際の 継手において剥離起点になると考えられるためである.

4. 解析結果

4-1固有値解析結果 本研究で用いた解析モデルの接合界面 端において,特異応力場の形状は図

2

に示すように,応力特

異点の

Vertex1,2

と応力特異線の

Line1,2

の4種類がある.こ

れらにおける各固有値から特異性オーダを求めた結果を表

1

に示す. λVertex1とλVertex2, λLine1とλLine2

E

2

/E

1

<0.01

で近い 値となり,E2

/E

1の増加に伴いλVertex2とλLine1は減少, λLine2は 増加する.また

E

1

= E

2でλVertex2

Line1

=0

となり,

Vertex2

Line1

での特異性が消失する.

(2)

Tab.1 Material property and order of stress singularity

Fig.2 Edge shape of Fig.3 Spherical coordinate origin adhesion site at the stress singular point

4-2境界要素法による応力解析結果 ここで図

3

のような球 座標系を,高い特異性オーダ・応力値を示す

Vertex1

を原点,

界面をθ=90o

, Line1

をφ =0o,Line2を φ =90oとして設定する.

また解析結果については,応力特異場において応力成分の中 で最も高い値を示し,剥離に強く影響すると考えられる界面 上の垂直応力σθθのみを示す.

4

はθ=90o

r=0.0001mm

におけるφに対するσθθの分布で ある.σθθは,各

E

2

/E

1においてφ =0o

,90

oの応力特異線付近で 高い値を示している.λLine1

!

λLine2となる

E

2

/E

1

<0.01

では φ =45oでσθθが最小値となり,ほぼ対称な分布であるが,

E

2

/E

1

>0.01

では,σθθが最小値を示すφの値が小さくなる.

5

はθ=90o,φ =45oにおける

r

に対するσθθの分布である.

σθθは特異応力場では両対数グラフ上で直線的に分布する.ま た

E

2

/E

1の増加とともに高い値となっていることがわかる.

Fig.4 Stress distribution of σ

θθ

against φ and E

2

/E

1

Fig.5 Stress distribution of σ

θθ

against r and E

2

/E

1

4-3 特異応力場の強さ 三次元異材接合体における特異応 力場は,これまでの研究(3)から式

(6)

のように表せることがわ かっている.

!"" r

t

!"# $

%&=K1"" r

t

!"# $

%&

'#

+K2""

(6)

ここで,

K

1θθは特異応力場の強さであり,特異点からの距離

r

は接着層の厚さ

t

で無次元化してある.

5

に示した応力分布を式

(6)

によって最小二乗近似し,各

E

2

/E

1において求めた

K

1θθを図

6

に示す.特異性オーダλは

Vertex1

におけるλVertex1

=0.40

を用いた.

K

1θθ

E

2

/E

1の増加と ともに高い値を示している.これらは,応力分布がφ =45oに 対して対称となる,つまりλLine1

!

λLine2となる

E

2

/E

1

=0.01

を 境に,

E

2

/E

1

<0.01

では

K

1θθ

! 15.3(E

2

/E

1

)

0.29

E

2

/E

1

>0.01

では

K

1θθ

! 6.32(E

2

/E

1

)

0.11となった.

Fig.6 Intensity of stress singularity K

1θθ

and E

2

/E

1 5. 結言

本研究では,引張せん断荷重下の重ね合わせ継手における 接着層の材料定数を幾つか変えたモデルに対して,有限要素 法による固有値解析と境界要素法による特異応力場の解析 を行い,以下の結果を得た.

(1)

界 面 端 角 部 で の 特 異 性 オ ー ダ はλVertex1

=0.40

と な り ,

E

2

/E

1

<0.01

でλLine1

!

λLine2

E

2

/E

1

>0.01

でλLine1

Line2となった.

(2)

特異応力場の強さ

K

1θθは,

E

2

/E

1<0.01で

K

1θθ

! 15.3(E

2

/E

1

)

0.29

E

2

/E

1

>0.01

K

1θθ

! 6.32(E

2

/E

1

)

0.11が得られた.

6. 参考文献

(1)

結城良治,木須博行共著,境界要素法による弾性解析,

1987,培風館,pp.219-249.

(2) Rongved, 1995, "Force Interior to One of Two Jointed Semi-Infinite Solid", L., Proceedings Second Midwestern Conference on Solid Mechanics, pp.1-13.

(3)

古口日出男,山口昌朗,皆木健一,P. Mochas,"二相横 等方性弾性体の基本解を用いた三次元境界要素法による三 次元接合体角部の特異応力場の解析",

2003,機論, 69-679A,

pp.585-593.

Adhesive

E

2

/E

1 λ

E

2

[GPa]

ν2

Vertex 1 Vertex 2 Line 1 Line 2 0.01 0.34 0.0001

0.40

0.40 0.31 0.31

0.02 0.34 0.0002 0.40 0.31 0.31

0.05 0.34 0.0005 0.40 0.31 0.31

0.1 0.34 0.001 0.40 0.31 0.32

0.2 0.34 0.002 0.40 0.31 0.32

0.5 0.34 0.005 0.39 0.31 0.32

1 0.34 0.01 0.38 0.30 0.32

2 0.34 0.02 0.37 0.29 0.32

5 0.345 0.05 0.33 0.27 0.34

10 0.35 0.1 0.28 0.23 0.36

20 0.38 0.2 0.21 0.17 0.39

50 0.49 0.5 0.08 0.07 0.46

参照

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