日本機械学会[
No.137-1
]北陸信越支部 第50
期総会・講演会 講演論文集 [2013.3.9
福井市]1115
分子動力学法による異方性くさび領域接合界面の力学特性評価
Evaluation of mechanical properties for interface in anisotropic wedge joints using molecular dynamics
○ 鈴木 庸靖(長岡技科大)
正 古口 日出男(長岡技科大)
Nobuyasu SUZUKI, Nagaoka University of Technology, 1603-1 Kamioka, Nagaoka, Niigata
Hideo KOGUCHI, Nagaoka University of Technology, 1603-1 Kamioka, Nagaoka, Niigata Key Words: Molecular Dynamics, Interface, Elastic constants, Interface stress, interface energy
1.
緒言本研究では,分子動力学法を用いてナノスケールの異方 性異材接合体の表面・界面特性および界面端部の特異応力 場の特性について調べる.二つの異なる材料から成る接合 体のくさび形切欠先端近傍における原子応力の分布を調べ,
界面上の原子応力分布の特性評価および
Stroh
形式を用い た特異性オーダの解析と分子動力学法の解析との比較を行 う.2.
分子動力学法本研究では分子動力学法を用いて解析を行う.分子動力 学法では原子の動きを以下のようなニュートン運動方程式 により求める.
m
!
a
!= F
!= !E
!!r
!"(1)
ここで
m
αは原子α
の原子質量,a
αは原子α
の加速度,F
αは 原子α
に加わる力,E
αは原子α
のもつポテンシャルエネルギ,r
αβは原子α
,β
間の距離を表す.本研究では式(1)のポテンシャルエネルギEにGEAMポテ ンシャル(1)を用いた.
3. 弾性係数,界面エネルギ,界面応力,界面弾性係数
原子レベルで不連続構造体における有効な弾性係数とし て原子弾性係数
C
α,原子応力σ
αがある.原子弾性係数,原子応力はそれぞれ以下の式で表される(2).
C
ijkl!= 1
!
!"
2E
!""
ij""
kl,#
ij= 1
!
!"E
!""
ij(2)
ここで,
Ω
αは原子α
に対するボロノイ多面体の体積である.また
ε
ijはi,j
方向のひずみである.界面エネルギは界面ひずみ
ε
の関数で次式のように表さ れる.! ( "
ij) = !
0
+ #
0"
ij+ 1
2 d
0ijkl"
ij"
kl(3)
ここで,
γ
0,τ
0,d0はそれぞれ無ひずみ状態における界面エ ネルギ,界面応力テンソル,界面弾性係数を表す.原子レベルで不連続構造体における有効な原子界面応 力
τ
α,原子界面弾性係数d
αを次式で求める.!
ij"
= a
!
""#
""$
ij, d
ijkl"= a
!
""
2#
""$
ij"$
kl(4)
ここで,
a
はレイヤー厚さである.
4.
界 面 特 性 を 考 慮 し た 特 異 応 力 場 の 算 出 方 法図 1 のようなモデルの異種材料界面角部の特異応力場は 角部の特異点を原点として,特異点からの距離
r,界面に対
する角度をθ
とすると次式で表される.
!
ij= K
ijm
f
ij m(")
m=1 n
! r
"#m(5)
ここで,
K
ijは応力集中の大きさを表す応力拡大係数であり,λ
は特異性固有値,f(θ)
は角度関数である.界面特性を考慮した特異性固有値は以下のように求めら れる(3)
.K
は材料定数と角度から成る6×6
の行列であり,次式で求められる.
K = K
1K
2K
3K
4!
"
# #
$
%
&
&
p
*0 ' ( )
*) + , ) -)
= ! G
1 1( )" G
1 0.1( )p ˆ
*11.!
( ) "
1p ˆ
*1.1+!
( ) "
00
0 p ˆ
*11.!( ) "
1p ˆ
*1.1+!( ) "
0!
"
# #
#
$
%
&
&
&
. A
2A
2B
2B
2!
"
# #
$
%
&
&
G
2 2.1( )p ˆ
*21.!
( ) "
1p ˆ
*2.1+!
( ) "
20
0 p ˆ
*21.!
( ) "
1p ˆ
*2 .1+!( ) "
2!
"
# #
#
$
%
&
&
&
$
%
&
&
&
p
*0 ' ( )
*) + , ) -)
= 0 0 ' ( )
*) + , ) -)
(6)
ここで,
K
iは3×3
の小行列,p
*は変位の固有ベクトル,山 括弧<>は3×3
の対角行列を示し,AkとB
kはStroh
固有ベ クトルによって与えられる各材料の行列,p
jはStroh
の固 有値, ̄は共役複素数を表す(4).θ
iは図1
のモデルにおけ る角度を表す.G
k(s)は6×6
の行列であり次式で定義される.G
k s( )= !
kA
kA
kB
kB
k"
#
$ $
%
&
' ' ( H
10s( H
21s! ! )
* + ,
- .!
k0 0
A
kA
k"
#
$ $
%
&
' '
(7) ここで
!
k=
cos! sin! 0
!sin! cos! 0
0 0 1
"
#
$ $
$
%
&
' ' '
, H
10k= 1
! d
1111ik a( )
0 d
1131i k a( )0 0 0
d
3111ik a( )
0 d
3131i k a( )!
"
# #
# #
$
%
&
&
&
&
, H
21k=
d
a1111ik a( )
0 d
a1131ik a( )
0 !
a11i k a( )0 d
a1131ik a( )0 d
a3131ik a( )!
"
# #
#
#
$
%
&
&
&
&
(8)
ここで,
!
は応力場の代表寸法である.p
*が自明の解を持 たないための条件として次式を得る.K
3= 0
(9)式(9)より固有値
λ
を求めることができる.変位の角度関数
m
kと応力の角度関数f
kを次式で表す.m
kf
k!
"
#
$#
%
&
# '#
= A
kA
kB
kB
k( )
*
*
+
,
-
- G
k ( j )p ˆ
!k1"!(" ) ˆ p
!k"1+!("
2) 0 0 p ˆ
!k1"!(") ˆ p
!k"1+!("
2)
#
$
% %
%
&
' ( ( (
p
!0 )
* + ,+
- . + /+
(10)
Fig.1 Multi-wedge model Fig.2 Model for analysis
5.
解 析5・ 1
解析モデル接合体として図
2
のようなΓ3を界面とし異材界面角部 を有するモデルを用いた.Γ
0の外向き法線方向に100MPa
の力を加える.Γ1とΓ2は自由表面である.また, 界面が
[100]
になるような結晶構造を持つ.MD
解析に用いたモデルは
r=7nm
とし,厚さは約2nm
とした.開き角ω
が90°
から
170°
まで10°
刻みで変え,モデル全体の原子数は7,000
~15,000個である.計算中の温度変化は
0K
から計算を始 め,5ps
後に5K
まで上げ,その後35ps
から45ps
後までに0K
に減少し,50psで計算を終える.z
方向には周期境界条 件を設定した.また界面で整合界面になるようにした.Material 1,2
はそれぞれCu, Au
とした.5・ 2
MD 法による応力分布解析MD
法により応力分布の解析を行った.開き角90°
から170°
まで20°
刻みでz =0
面上においての応力σ
yyの分布を図3
に示す.図3
より開き角ω
が大きくなるにしたがって界 面から65°
,-70°
方向の応力と界面端部の応力が大きくなっ ていることがわかる.図4
に各開き角における界面上の応 力分布を両対数で示す.図4
より界面応力が角部に向けて 変化し,角部先端で異なる傾向が出てくることがわかる.ω=170° ω=150°
ω=130° ω=110° ω=90°
Fig.3 Contour map of stress
Fig.4 Distribution of stress σ
yyalong the interface 5
・3
固有値解析結果と MD 法を用いた界面応力の比較開き角
170°
における固有値解析の結果とλ
1を! + !!
!式 で近似した結果を図5
に示す.λ
1は角部先端に近づくにつ れ大きくなり,λ
3も変化は小さいがλ
1と同じ傾向を示す.λ
2は変化せず一定の値であった.図6
は開き角ω=170°にお
ける界面上の応力分布であり,
実線は固有値解析により求 められた値λ
1より4.8!
!!!式を用いて決定した.Fig. 5 A variation of the order of stress singularity
Fig. 6 Distribution of stress σ
yyalong the interface 5.
結 言MD
法によりくさびのあるモデルの応力分布を求めた.界面上の応力分布を
MD
法と固有値解析により求めた.参 考 文 献
(1)
X.W.Zhou, H.N.G.Wadley, R.A.Johnson, Atomic Scale Structure of Sputtered Metal Multilayer, Acta mater., 49, pp.4005-4015, (2001).
(2) 泉 聡志,原 祥太郎, 熊谷 知久, 酒井 信介, 半導体 材料 の界面応力/弾性定数の原子レベル評価, 機械学会 講演 論文集, No03-06, (2003).
(3)
Koguchi H., Analysis for Stress Singular Fields near a Wedge Corner in 2D Joints Considering Interface Elasticity, Technical Paper(Reviewed paper), ASME 2012 International Mechanical Engineering Congress & Exposition.
(4)
Ting T. C. T., Anisotropic Elasticity: Theory and Applications, Oxford University Press, (1996), pp.134-263.
Γ
1Γ
2Material 1
Material 2 Γ
3x z
y
ω a ω
Γ o r θ
Material 2x1
x2
rθ Material 1
θ1 θ0
θn
6 1
2 3 4 5 6 10
atomic stress m
yy, GPa
0.1 2 3 4 5 6 7 1 2 3 4 5 6 7 10
After subtraction 4.8
h1 0.500.49 0.48 0.47
3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5
1 2 3
0.4993+0.000082273
6 8
1
2 4 6
10
8 2atomic stress m
yy, GPa
3 4 5 6 7 8 9