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吉野川、重信川、大野川、肝属川は気候変動に伴

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Academic year: 2022

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(1)Ⅱ− 19. 第38回土木学会関東支部技術研究発表会. 気候変動に伴う河川の流量変動に関する研究 学生会員 前橋工科大学○清水義明 フェロー会員 前橋工科大学 土屋十圀 1.目. 的. 規模な工業地域を有し、水需要が大きく、潜在的. 地球規模の気候変動による気温や降水量などの気. な水不足のリスクが高いと考えられる。加えて、. 象要素の変動は、地域レベルの水循環にさまざまな. 吉野川、重信川、大野川、肝属川は気候変動に伴. 影響を及ぼすことが予想されている。近年、極端な. う蒸発散量の増加による渇水や台風の影響が大き. 大雨や少雨に伴う洪水や渇水が日本各地で頻発して. い流域と考え選択した。. いる。今後、気候変動が進行すると、極端な気象現 象(図-1、大型の台風や局地的な豪雨や渇水など) がさらに増加すると予想されており、それに伴って 流域での災害発生の頻度や被害の規模も増加すると 考えられる。 また、急峻で複雑な地形を有し、地形により気候が 大きく異なる日本の河川流域では災害発生の頻度や 被害の規模は様々である。そこで、河川流量を気候 変動の重要な指標の一つと考え、本研究では河川流 量の変化が気候変動に伴い全国の主要河川でどの程 度河川流量に表れているのかをこの研究で明らかに する。. 図-2 解析対象の位置 3.解析方法 水文水質データベースより、解析対象となる 10 河川の 1970 年から 2000 年前後の約 30 年間の流 量データを収集した。年平均流量、年最大流量、 年最小流量、標準偏差、渇水流量をもとに流況変 化を検討した。加えて、気候変動に伴い融雪の早 期化が考えられるため、2 月から 5 月の流量デー. 資料506.jpg. タから融雪期のズレを検討した。 4.解析結果 整理した結果を以下にまとめる。 年平均流量:東日本、由良川で増加し、四国で減 少傾向にある。 図-1 年降水量の経年変化(国土交通省) 年最大流量:東北地方、西日本で増加し、年変動. 2.解析対象 解析対象としたのは、石狩川(14,330 km²) 、雄物. も大きくなる傾向にある。石狩川、信濃川、利根. 川(4,710 km²)、鳴瀬川(1,133 km²)、利根川(16,840. 川で減少し、年変動も緩やかになる傾向がある。. km²)、信濃川(11,900 km²)、由良川(1,882 km²)、 吉野川(3,750 km²)、重信川(445 km²)、大野川(1,465. 年最小流量:東日本、由良川で増加傾向にある。. km²)、肝属川(485 km²)の 10 流域である(図-2)。. 四国、九州の河川では減少傾向にある。. 石狩川、雄物川、鳴瀬川、信濃川は、気候変動に伴 う積雪・融雪量の変化の影響が大きい流域と考えら. 渇水流量:東北地方、石狩川、信濃川で増加傾向. れる。また、利根川、由良川は流域内に大都市や大. にある。利根川、四国、九州の河川では減少傾向. キーワード:気候変動、流況変化、河川流量 連絡先:〒371-0816. 群馬県前橋市上佐鳥町 460-1. 前橋工科大学. TEL:027-265-7355.

(2) Ⅱ− 19. 第38回土木学会関東支部技術研究発表会. にある。. 5.考察 石狩川、雄物川、鳴瀬川、利根川、信濃川では. 流況係数:流況係数とは最大流量と最小流量の比を. 年最小流量、渇水流量が増加し、流量が安定して. 表す。東日本の河川では値が減少傾向にあり、水利. きていることが分かる。また、四国、九州の河川. 用が安定してきていると考えられる。代表事例とし. は年平均流量と渇水流量が減少していることがわ. て図-3 に示す。一方で西日本の河川においては値が. かり、気候変動に伴う蒸発散量の増加が起因して. 上昇傾向にあり、温暖化の影響で水利用の安定性が. いるのではないかと考える。流況係数においては、. 低下してきていると考えられる。代表事例として図. 東日本と西日本では傾向がわかれ、西日本におい. -4 に示す。. て温暖化による影響が表れていることがわかる。 また、融雪のある流域では東北地方の河川におい ては予想していた通り融雪期の早期化する傾向が わかった。ここでの代表事例として、雄物川を示 す(図-6) 。しかし、石狩川、信濃川、利根川にお いては逆に融雪期が遅くなってきていることが分 かった。代表事例として、信濃川を示す(図-7)。 図-3 流況係数. 融雪期においては予想していた結果が得られなか った。ダムによる影響などの他の要因が考えられ る。. 図-4 流況係数 融雪による流量:北海道、東北、関東、中部地方の 図-6 融雪期のズレ. 融雪期の最大流量が減少傾向にある。代表事例とし て、図-5 に示す。また、出現期間は東北で早くなり、 石狩川、信濃川、利根川で遅くなる。具体的に 30 年で変化した日数を表-1 に示す。. 図-7 融雪期のズレ 参考文献 1)国土交通省 水文水質データベース web サイ ト http://www1.river.go.jp/ 図-5 年降水量と融雪期のピーク流量との関係. 2) 押川元重・坂口絋治共著 基礎統計学 培風館 3)社団法人 日本河川協会監修 河川便覧. 表-1 融雪期の 30 年間での変化. 1998 年版 4) 山口千谷・滝野晶平・立川康人・推葉充春. 石狩川. 鳴瀬川. 雄物川. 約 2 日遅い. 約 3 日早い. 約 2 日早い. 信濃川. 利根川. 水文水資源学会,研究発表会要旨集,. 約 11 日遅い. 約 4 日遅い. Vol. 22 (2009) p-70. 地球温暖化に伴う日本流域の流況変化の推計.

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