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博士論文要旨

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Academic year: 2021

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博士論文要旨

論文題名:プロセスイノベーションによる科学知識の爆発

立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科 テクノロジー・マネジメント専攻博士課程後期課程

ふりがな しながわ けいすけ 氏 名 品川 啓介

本稿では科学論文書誌情報をもとに、ハイテク分野の素材型製品開発の過程において生じた 科学知識の爆発を分析することで、その背後にある技術的プロセスイノベーションの特徴を探 る。ハイテク分野の素材型製品の具体例としては、青色発光ダイオードなどを取り上げる。

青色発光ダイオード製品開発では、青色発光を可能にする新しい半導体結晶材料の候補とし て、同時期にふたつの結晶材料が存在していたことが知られている。それはガリウムナイトラ イド(以降、GaNとする)結晶とセレン化亜鉛(以降、ZnSeとする)結晶であるが、結果的にGaN 結晶の開発が成功し、製品化を実現した。

科学論文の書誌情報をもとに、1970年から 2012 年(データ収集時におけるデータベースの 最新収録年)までの両結晶の開発推移を分析した結果、それぞれ以下のような特徴が認められ た。GaN 結晶開発研究に関わる論文累積数の推移に見られたのはロジスティック曲線を描く ような増加の様子であり、対してZnSe結晶開発研究に関わる論文に見られたのは緩やかに単 調増加する様子である。さらにGaN結晶開発研究について述べると、その曲線の前半に、科 学知識の爆発と見られる論文の急増が生じている。そしてそこにはGaN結晶の製品化を可能 としたプロセス技術として知られるmetalorganic chemical vapor deposition(MOCVD)が研 究課題として含まれていた。

以上の発見から、GaN 開発研究成功の背景には「科学的知識の爆発」が存在すること、そ の爆発の様子は製品開発に関わる論文累積数の急激な上昇によって観察されること、さらにそ の爆発の因子のひとつとして科学を起点として形成される技術的プロセスイノベーションが 挙げられることを指摘する。そして、このプロセスイノベーションの形成に必要なプロセス技 術が、学術界における論文発表を伴うような高いレベルのものであったことを考慮し、これま で議論されてきたような企業内で生じるプロセスイノベーションの様相とは異なり、企業が戦 略策定を行う際の事業環境分析において、外部環境に属する技術変化に相当する特性を有する 可能性についても議論する。

本稿ではさらに、GaN開発研究およびZnSe開発研究に見られる傾向が、他の製品開発でも 見られるかを確認するために、前者についてはアモルファスシリコン太陽電池、後者について

はEUV(極端紫外線)露光装置の開発の事例についても分析する。

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