平 成
25年
度
学 位 論 文
特 別 支 援 学 校
(知
的 障 害
)高
等 部 に お け る
道 徳 教 育 に 関 す る研 究
一 実 施 状 況 と教 員 の 意 識 に 着 日 して 一
兵 庫 教 育 大 学 大 学 院
学 校 教 育 研 究 科
特 別 支 援 教 育 専 攻
障 害 科 学 コ ー ス
M12105F
酒 井
雅 代
第
1章
第
1節
学 習 指 導 要 領 に お け る道 徳 教 育 とそ の 変 遷 道 徳 が 教 育 課 程 に位 置 づ け られ た の は 、
1958(昭
和 33)年の 学 習 指 導 要 領 が 最 初 とな る。学 習 指 導 要 領 デ ー タベ ー ス 作 成 委 員 会(2007)が 作 成 した デ ー タベ ー ス を基 に 、 各 学 習 指 導 要 領 に お け る道 徳 教 育 に つ い て 特 徴 的 な 点 を 挙 げ て い く と 、 次 の よ うに整 理 され る。 ま ず 、1598(昭
和 33)年の 学 習 指 導 要 領 にお い て 、「学 校 の 教 育 活 動 全 体 を 通 じて 行 うこ と を 基 本 とす る」 こ とや 、 そ の 目標 は 「教 育 基 本 法 お よび 学 校 教 育 法 に定 め られ た 教 育 の根 本 精 神 に 基 く」 こ と等 が記 され た 。 内 容 と して は 、「 日常 生 活 の 基 本 的 な 行 動 様 式 」 の 理 解 や 「民 主 的 な社 会 お よび 国 家 の 成 員 と して 、 必 要 な道 徳 性 」 を発 達 させ る こ と等 が 示 され て い る。1969(昭
和 44)年 の 改 訂 で は 、「道 徳 の 時 間 」 につ い て の記 述 が な され 、「各 教科 お よび 特 別 活 動 に お け る道 徳 教 育 と密 接 な 関 係 を保 ち な が ら、 計 画 的 、発 展 的 な 指 導 を通 して 、 これ を補 充 し、深 化 し、 統 合 」 す る と され て い る。 ま た 「読 み 物 資 料 」 等 を適 宜 使 用 す る こ とが 示 され た 。1977(昭
和 52)年 の 改 訂 で は 、「教 師 と生 徒 及 び 生 徒 相 互 の 人 間 関 係 を深 め る」こ とや 、「家 庭 や 地 域 社 会 との 連 携 を 図 りな が ら」「道 徳 的 実 践 の 指 導 を徹 底 す る」 とい う文 言 が登 場 して い る。1989(平
成 元)年 の 改 訂 で は 、 日標 に 「人 間 と して の 生 き方 の 自覚 を深 め」 る こ と が 掲 げ られ 、 内 容 に つ い て も、「主 と して 自分 自身 に 関 す る こ と」、「主 と して 他 の 人 との か か わ りに 関 す る こ と」、「主 と して 自然 や 崇 高 な も の との か か わ りに 関す る こ と」、「主 と して 集 団 や 社 会 との か か わ りに 関 す る こ と」 の 四 つ の柱 に 整 理 し て 記 され た 。ま た 、道 徳 教 育 を進 め る に あ た つ て は 「学 級 や 学 校 の環 境 を整 え る」 こ と も示 され た 。1998(平
成 10)年 の 改 訂 で は 、「校 長 や 教 頭 の 参 加 、他 の 教 師 との 協 力 的 な 指 導 」、 「ボ ラ ンテ ィ ア 活 動 や 自然 体 験 活 動 な どの 体 験 活 動 を 生 か す な ど多 様 な指 導 の工 夫 」 や 「魅 力 的 な 教 材 の 開 発 や 活 用 」 等 を通 して 、 創 意 工 夫 あ る指 導 を行 うこ と が 示 され た 。 な お 評 価 に つ い て は 、 い ず れ の 学 習 指 導 要 領 に お い て も実 施 す る こ とが 求 め られ て い るが 、他 の 教 科 と同様 の数 値 に よ る評 価(評定)は適 さな い とす る 旨 が 共 通 して 記 され て い る。近 年 に お い て は 、
OECDの
PISA調
査 な ど各 種 の調 査 結 果 を背 景 に 、「教 育 再 生 会 議 第 一 次 報 告 」(文部 科 学 省,2007)に お い て 、「子 供 の 規 範 意 識 は低 下 し」、「国際 的 に 見 て も、 我 が 国 の 子 供 は 自尊 心 が 乏 しい 」 こ とが 指 摘 され て い る。 これ を受 け 、 学 校 に 対 して 「道 徳 の 時 間 に つ い て 十 分 な授 業 時 間 を確 保 し、 体 験 的 活 動 や 心 に響 く教 材 を取 り入 れ る」 こ とや 、「地 域 や 企 業 の 有 識 者 を招 い た 授 業 を 実 施 す る な ど、 道 徳 教 育 を形 骸 化 させ な い 」 こ と等 が 示 され た 。 これ らを 踏 ま え て 改 正 され た 教 育 基 本 法 や 学 校 教 育 法 及 び 学 習 指 導 要 領 に は、 発 達 段 階 に応 じた 指 導 内 容 の 重 点 化 や 魅 力 的 な 教 材 の 開 発 ・ 活 用 、 道 徳 教 育 推 進 教 師 を 中 心 と した 指 導 体 制 の 充 実 、家 庭 や 地 域 社 会 との 共 通 理 解 0相互 連 携 等 が、 改 善 点 と して 盛 り込 ま れ た 。 小0中
学 校 に お い て は 、 道 徳 の 時 間 を 要 と し て 学校 の 教 育 活 動 全 体 を通 じて行 うも の と され 、「美 しい もの や 自然 に感 動 す る心 な どの 柔 らか い感 性 」 や 「正 義 感 や 公 正 さ を 重 ん じ る 心 」、「生 命 を 大 切 に し、 人 権 を尊 重 す る 心 な どの 基 本 的 な 倫 理 観 」 等 を 育 成 す る教 育 と して 期 待 され て い る(文部 科 学 省,2008)。 高 等 学 校 に お い て は 、「倫 理 」 や 「現 代 社 会 」、「ホ ー ム ル ー ム 活 動 」 を 中核 的 な 指 導 場 面 と し、「人 間 と して の在 り方 生 き方 に 関 す る教 育 」 を学 校 の教 育 活 動 全 体 を通 じて 行 う と され て い る(文部 科 学 省 ,2009a)。 昨 今 に お い て は 、 道 徳 教 育 に つ い て 「今 な お 多 くの 課 題 が 存 在 」 し、「期 待 され る姿 に は遠 い 状 況 に あ る」(文部 科 学 省,2013a)と の 見 解 か ら、 さ らな る充 実 に 向 け て 、 文 部 科 学 省 に 有 識 者 に よ る 「道 徳 教 育 の 充 実 に 関 す る懇 談 会 」 が発 足 し、議 論 が 進 め られ て い る と こ ろ で あ る。 そ の 中 で 文 部 科 学 省 は 、「小 中学 校 の道 徳 を国 語 や 算 数 と は 異 な る『 特 別 の 教 科 』 と して 新 設 し 、 教 科 化 す る 方 針 」 (読 売 新 聞,2013,11.29)を 打 ち 出 して い る。 同懇 談 会 の これ ま で の 会 議 資 料 等 に 、 特 別 支 援 教 育 の 対 象 とな る児 童 生 徒 に対 す る道 徳 教 育 に 関 す る記 述 は 今 の と こ ろ 見 受 け られ な い が 、 特 別 支 援 学 校 等 にお い て も、 国 の 動 向 と無 関 係 で は い られ な い は ず で あ る。 こ の こ とは 、 学 校 教 育 法 第72条
に お い て 「特 別 支 援 学 校 は 、 …(中 略)…、幼 稚 園 、 小 学 校 、 中学 校 又 は高 等 学 校 に 準 ず る教 育 を施 す 」 と示 され て い る よ うに 、 通 常 の 学 校 に お け る 教 育 と 特 別 支 援 学 校 にお け る教 育 は 「原 則 と して『 同一 』」(全国特 別 支援 学 校 知 的 障 害教 育校 長 会 ,2010)と 考 え られ る こ とか らも明 らか で あ る。 一 方 で 、「完 全 に同一 で あ害 の あ る児 童 生 徒 の 状 態 、 能 力 や 適 性 等 を考 慮 して 、 幼 稚 園 、 小 学 校 、 中 学 校 、 高 等 学 校 の 教 育 目標 の 達 成 に努 め る教 育 を行 う」 こ とが 必 要 とな る。 道 徳 教 育 に 関 す る 国 の 新 た な 動 き を 契 機 と して 、 特 別 支 援 教 育 の 対 象 と な る児 童 生 徒 に 対 す る教 育 とは 何 か 、 ど うあ るべ き な の か とい うこ とに つ い て 今 一 度 見 つ め 直 す こ と が 求 め られ て い る よ うに感 じる。
第
2節
特 別 支 援 教 育 の対 象 とな る児 童 生 徒 に対 す る道 徳 教 育 特 別 支 援 学 校 の 小 ・ 中 学 部 に お け る道 徳 教 育 に つ い て 、 特 別 支 援 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 の 総 則 等 編(幼稚 部
0小
学 部 。中学 部)に は 、「道 徳 の 目標 、 内 容 及 び 指 導 計 画 の 作 成 と内容 の 取 扱 い に つ い て は 、…(中 略)… 小 学 校 又 は 中学 校 に 準 ず る こ と」 が 示 され て い る(文部 科 学 省 ,2009b)。 加 え て 、特 別 支 援 学 校 独 自の項 目が 三 つ 示 さ れ て い る。 一 つ 目は 、「児 童 生 徒 が 自己 の 障 害 に つ い て の認 識 を深 め 、 自 ら進 んで 学 習 上 ま た は 生 活 上 の 困難 を改 善・克 服 して 、強 く生 き よ う とす る意 欲 を高 め る」 こ と、二 つ 日は 、各 教 科 等 との「連 携 を密 に しな が ら」、「経 験 の 拡 充 を 図 る こ と」、 三 つ め は 、 特 別 支 援 学 校(知 的 障 害)に お け る配 慮 事 項 と して 、「児 童 生 徒 一 人 一 人 の 知 的 障 害 の 状 態 や 経 験 等 に応 じ」 る とい う点 を重 視 し、「実 際 的 な 体 験 を 重 視 す る こ と」 で あ る。 高 等 部 に お け る道 徳 教 育 つ い て は 、「知 的 障 害 者 で あ る生 徒 に 対 す る教 育 を行 う 特 別 支 援 学 校 に お い て は 、 道 徳 の 時 間 を は じ め と して 、 各 教 科 、 総 合 的 な 学 習 の 時 間 、 特 別 活 動 及 び 自立 活 動 に お い て 、 そ れ ぞ れ の 特 質 に応 じて 適 切 な指 導 を行 わ な けれ ば な らな い 」 こ とが 示 され て い る(文部 科 学 省 ,2009c)。 しか し、 特 別 支 援 教 育 の 対 象 とな る児 童 生 徒 に 対 す る道 徳 教 育 に つ い て は 、先 行 研 究 、 実 施 事 例 と も に 、 ほ とん ど見 当 た ら な い の が 現 状 で あ る。 小 学 校 特 別 支 援 学 級 に お い て 、 役 割 演 技 と ソー シ ャ ル ス キ ル トレー ニ ン グ を 取 り入 れ た 道 徳 の 時 間 の 指 導 を 実 施 し、そ の 効 果 に つ い て 検 討 した岩 瀧(2009)は
、「『 道 徳 の 時 間』は 生 活 単 元 学 習 や 自立 活 動 な どの 学 習 活 動 に代 替 され て い る と推 察 され 」、「特 別 支 援 教 育 の 対 象 とな る子 ど も た ち へ の 道 徳 教 育 に 関 す る先 行 研 究 や 実 践 例 は 非 常 に 少 な い 」 と した 上 で 、「効 果 的 な道 徳 教 育 の方 法 や『 道 徳 の 時 間』 の 設 定 に つ いて の研 究 が模 索 され て い る」 と述 べ て い る。 特 別 支 援 学 校(聴覚 障 害)小学 部 に お け る道 徳 の 時 間 の 指 導 に つ い て 、教 員 へ の質 問 紙 調 査 を行 つ た 川 合(2011)は 、教 員 た ち が 「知 識 と して道 徳 心 や 規 範 を指 導 す る こ と は で き て も、 そ れ らを 日常 生 活 に 般 化 させ る こ と に 困 難 を感 じて い た 」 こ と を報 告 した 。 ま た 、 充 実 に 向 け て 「定 期 的 に 通 常 学 級 との 共 同 学 習 や 学 部 内 ・ 学 部 間 交 流 を含 む 縦 割 りの授 業 を設 け る」 こ と を 提 言 して い る。 そ して 、「道 徳 の時体 と して 道 徳 教 育 を推 進 して い く必 要 が あ る」 と結 ん で い る。 一 方 、諸 外 国 に 目を 向 け て み る と、イ ギ リス で は 「Citizenship」 、 ア メ リカ で は 「
Character Education」
が 、 日本 に お け る道 徳 の 時 間 に最 も近 い 教 科0科
目・ 領 域 等 と して 捉 え る こ とが で き る(文部 科 学 省 、2013b)。 ア メ リカ に お け るCharacter
Educationに
つ い て 、 実 施 校 の 視 察 を行 つた 青 木 ら(2012)は
、「特 別 支 援 教 育 の対 象 と な つ て い る子 ど もた ち は 、 人 生 に お い て 何 か と壁 に ぶ つ か る こ とが 多 く、 自 己 肯 定 感 や 自己 有 用 感 が 低 下 す る可 能 性 が 高 い 」 こ と を指 摘 し、 そ うい つ た 子 ど もた ち が 「生 き る意 味 や 価 値 を 実 感 す る た め に 、Character Educationは
大 き な役 割 を 果 た す の で は な か ろ うか 」 と し て い る 。 ま た 、 同 じ く ア メ リ カ に お け るCharacter Educationの
実 施 校 を視 察 した川 合(2013)は 、「教 師 と生 徒 が話 し合 う 機 会 が 設 け られ 」、「な るべ く生 徒 に リー ダ ー シ ップ を もた せ る 工 夫 が な され 」 て い た こ とで 、 問題 行 動 の 多 か つ た 生 徒 た ち が 望 ま しい 方 向 に 変 化 して い つ た と し、 これ らの成 果 を指 して 「特 別 支 援 教 育 との 関 連 が深 い 」 と考 察 して い る。 こ の よ うに 、 特 別 支 援 教 育 の 対 象 と な る児 童 生 徒 に 対 す る道 徳 教 育 につ い て は 、 よ うや く研 究 が 進 み 始 め た と こ ろ で あ る と同 時 に 、 新 た な 教 育 の 可 能 性 と して注 目に値 す る分 野 で も あ る と言 え る。第
3節
特 別 支 援 学 校(知的 障 害 )高 等 部 の 現 状 文 部 科 学 省 が 毎 年 実 施 して い る 「学 校 基 本 調 査 」 に よ る と、
2013年
度 に お け る 特 別 支 援 学 校 数 は 、前 年 度 よ り21校
増 力日して1,080校
、在 籍 児 童 生 徒 数 は約2,500
人 増 加 して 約13万
3,000人
とな り、 過 去 最 高 を更 新 した(文部 科 学 省,2013c)。 坂 爪(2012)は
、特 別 支 援 学 校 に在 籍 す る知 的 障 害 の あ る児 童 生 徒 数 は1996年
ご ろか ら増 え始 め 、1996年
度 か ら2006年
度 ま で の10年
間 で19,000人
あ ま り(約37%)
増 カロした こ とを報 告 して い る。 さ らに 、井 上 ら(2010)が 全 国 特 別 支 援 学 校 知 的 障 害 教 育 校 長 会 と連 携 して 実 施 し た 調 査 か らは 、 近 年 、 特 別 支 援 学 校(知 的 障 害)の
在 籍 者 数 は 増 加 の 一 途 を た どつ て お り、 中 で も高 等 部 の 増 加 の 割 合 が 小 ・ 中 学 部 に 比 べ て 高 い こ と が 明 らか とな つ た 。 ま た 、「そ の 多 くが 中学 校 特 別 支 援 学 級 か らの 入 学 者 で あ り」、「中 に は 通 常 学 級 か らの 転 籍 者 も多 く含 ま れ る 可 能 性 が 示 唆 され た 」 と述 べ て い る。 つ ま り、 高 等 部 に お い て は 「知 的 機 能 に は ほ とん ど問 題 は な い が 、 適 応 行 動 の 困難 が あ る こ とで 知 的 障 害 教 育 の 対 象 とな つ た 」 生 徒 、 す な わ ち 知 的 障 害 の程 度 が軽 度(以 下 「軽 度 知 的 障 害 」 と記 す 。)な 生 徒 の 在 籍 数 の 増 カロが 著 しい と考 え て 良 い だ ろ う。 この よ うな現 状 か ら、特 別 支 援 学 校(知 的 障 害)高等 部 に お い て は 、 これ ま で 行 つ て き た 教 育 を充 実 させ て い く こ とは も ち ろ ん で あ る が 、今 後 は 、 軽 度 知 的 障 害 の 生 徒 に 対 す る教 育 とい う新 た な 視 点 をカロえ て 教 育 内 容 を検 討 して い く こ と が 求 め られ る と考 え る。軽 度 知 的 障 害 の 障 害 特 性 に応 じた 支 援 と して 、涌 井(2005)は 、認 知 面 で は 「具 体 的 で 生 活 に密 着 した 実 用 的 な 教 材 の 活 用 」、「記 憶 に 負 担 を か けす ぎ な い こ と」、 言 語 面 で は 「具 体 物 の提 示 」 や 「簡 潔 で 具 体 的 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 が 必 要 で あ る と述 べ て い る。 ま た 、 心 理 ・ 行 動 面 で は 「 自分 の 力 で成 功 す る 体 験 の積 み 重 ね 」 や 「社 会 的 ス キル の 指 導 」 が 肝 要 と して い る。 こ うい つ た 知 見 を 踏 ま え て 教 育 活 動 を検 討 して い く と と も に 、「成 人 後 は 、 独 立 して 生 活 した り、 共 同住 宅 で 適 応 した り して い る人 が 多 い 」(菅 野 ,2006)と い つ た 将 来 像 も念 頭 に置 き な が ら、適 切 な 教 育 内 容 を模 索 して い く こ とが 求 め られ て い る。特 別 支 援 学 校(知 的 障 害)高 等 部 に お い て は 、 今 後 さ らに軽 度 知 的 障 害 の 生 徒 の 在 籍 数 が増 加 して い く こ とが 予 想 され る た め 、 軽 度 知 的 障 害 の 生 徒 に対 す る教 育 の 充 実 に 向 け て 検 討第
4節
特 別 支 援 学校(知的 障 害)高等 部 にお け る道 徳 教 育 の必 要性 井 上 ら(2012)は 、軽 度 知 的 障 害 の 生 徒 に対 す る必 要 性 が 高 い 指 導 内 容 に 関 す る調 査 か ら、「対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン」、「社 会 生 活 のル ー ル 」、「基 本 的 な 生活 習 慣 」、 「職 業 能 力 の育 成 」 の 四 つ の キー ワー ドが見 出せ た と し、具 体 的 に は 、「本目手 の気 持 ち を考 え て話 す 」、「ロ ッカ ー や 机 な ど身 の 回 りを整 理 す る」 等 、
22の
内 容 に整 理 で き た と して い る。 そ して 、 これ らの 内 容 の ほ ぼ 全 て が 道 徳 教 育 で 扱 う内 容 項 目 と関 連 して い る こ と を指 摘 した 。 井 上 らは 、「小 学 校 学 習 指 導 要 領 、 中学 校 学 習 指 導 要 領 に示 され て い る道 徳 の 内容 を踏 ま え て 、『 必 要 性 の 高 い 指 導 内 容 』 に お い て 設 定 され る指 導 内 容 と関連 す る 内 容 を適 切 に設 定 し、 指 導 を進 め て い く必 要 が あ る」 と述 べ て い る。 ま た 、 芝 田(2013)は 、「自分 理 解 や 自身 の 障 害 受 容 に も有 意 義 な も の 」 で あ る こ とか ら、「障 害 児 に 対 す る 障 害 理 解 教 育 は必 要 で あ り、 非 常 に 大 切 で あ る」 と して お り、 そ うい つ た 「障 害 理 解 教 育 」 は 「道 徳 の 一 内 容 と して 定 め られ る こ とが期 待 され る」 と述 べ て い る。 さ らに 、「障 害 理 解 」 は 「人 間 理 解 」 を基 礎 とす る もの で あ り、 こ の 「人 間 理 解 」 の 内 容 は 、 道 徳 教 育 に お け る 「主 と して 自分 自身 に 関 す る こ と」 に も関 連 す る もの と考 え られ る。 知 的 障 害 児 の 行 動 特 性 を食 事0睡
眠 ・ 排 泄0着
衣 ・ 清 潔 の 五 つ の 視 点 か ら分 析 した 上 岡・ 井 原(1992)は 、知 的 障 害 児 が 最 も通 過 が遅 れ る項 目は 、清 潔 領 域 で あ る と報 告 した 。 ま た 、 精 神 年 齢 よ りも生 活 年 齢 の影 響 を 受 け や す い と も述 べ て い る こ とか ら、例 え ば 、道 徳 教 育 の 内 容 項 目の 一 つ で もあ る 「基 本 的 生 活 習 慣・ 節 度 0 節 制 」 に つ い て は 、継 続 的 な 指 導 に よ つ て 改 善 させ る 可 能 性 が あ る こ とが 示 唆 さ れ る。 こ の よ うに 、 道 徳 教 育 の 実 施 に よ り期 待 され る教 育 的 な 効 果 は 少 な か らず あ る と言 え る。 こ うい つ た こ とか ら も、道 徳 教 育 は 特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 にお い て 必 要 と され て い くべ き教 育 で あ る と考 え られ る。第
5節
本 研 究 の 目的 こ こ ま で 述 べ て き た よ うに 、近 年 に お け る特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 の 現 状 や 、 道 徳 教 育 の 実 施 に よ り期 待 され る教 育 的 な 効 果 等 を鑑 み る と、 道 徳 教 育 は特 別 支 援 学 校(知 的 障 害)高 等 部 に お い て 必 要 な 教 育 と して 注 目 して い くべ き も の で あ る と考 え られ る。 しか し、特 別 支 援 学 校(知 的 障 害)高 等 部 にお け る道 徳 教 育 に 関 す る先 行研 究 や 実 施 事 例 は ほ とん ど見 当 た らな い の が 現 状 で あ り、 道 徳 の 時 間 の 指 導 を は じ め とす る道 徳 教 育 の 実 施 状 況 に つ い て も明 らか に され て い な い 。 そ こで 本 研 究 で は 、特 別 支 援 学 校(知 的 障 害)高等 部 に お け る道 徳 教 育 の 実 施 状 況 を 明 らか に す る と と も に 、 現 場 の 教 員 が 道 徳 教 育 に つ い て どの よ うな 意 識 を持 つ て い る の か とい うこ とに つ い て 把 握 し、 整 理 す る こ と を 目的 とす る。 そ の 上 で 、 特 別 支 援 学 校(知 的 障 害 )高 等 部 に お け る道 徳 教 育 の あ り方 に つ い て の 検 討 を 行 う。 こ の研 究 が 、特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 に お け る道 徳 教 育 の み な らず 、教 育 そ の も の の あ り方 に つ い て も再 考 す る契 機 とな り、 ま た 、 そ の 可 能 性 の 広 が りに寄 与 す る こ と を期 待 す る。
第
2章
調 査
1
特 別 支 援 学 校
(知
的 障 害
)高
等 部 に お け る
道 徳 教 育 の 実 施 状 況
第
1節
問題 と 目的 第1章
で 述 べ て き た よ うに 、近 年 に お け る特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 の 現 状 や 道 徳 教 育 の 実 施 に よ り期 待 され る教 育 的 な 効 果 等 を鑑 み る と、 道 徳 教 育 は 特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 に お い て 必 要 な教 育 と して 注 目 され 、そ の あ り方 に つ い て も検 討 され て い く こ とが 望 ま れ る と考 え る。 しか し、特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 にお け る道 徳 教 育 に 関 す る先 行 研 究 は ほ とん ど見 当 た らな い の が 現 状 で あ る。 日本 国 内 の公 立 小・ 中 学 校 に つ い て は 、文 部 科 学 省 が数 年 に一 度 、道 徳 教 育 の 実 施 状 況 調 査 を行 つ て い る が 、特 別 支 援 学 校(知 的 障 害 )高 等 部 に つ い て は 調 査 対 象 と され て こ な か つ た た め 、 実 施 状 況 に つ い て も 未 だ 明 らか に され て い な い 。 そ こで 本 調 査 で は 、本 研 究 を進 め る第 一 歩 と して 、特 別 支 援 学 校(知 的 障 害)高等 部 に お け る道 徳 教 育 の 全 国 的 な 実 施 状 況 を 明 らか にす る こ と を 目的 とす る。第
2節
方 法
1,調
査 対 象 全 国 の 高 等 部 を設 置 して い る特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 の うち 、分 校 を 除 い た416校
を対 象 とす る。 対 象 校 の選 定 に あ た っ て は 、「特 別 支 援 教 育 資 料 (平 成23
年 度)」 (文科 省,2012)及 び 各 都 道 府 県 教 育 委 員 会 の ホ ー ムペ ー ジ の 内 容 を参 考 とす る。 2。 調 査 方 法 郵 送 法 に よ る質 問紙 調 査 を行 う。対 象 校 に 、調 査 委 依 頼 文 (資 料 1)、 質 問 紙 (資 料2)1部
、 返 信 用 封 筒1部
を送 付 す る。 回 答 者 は 、 管 理 職 、 教 務 主 任 、 ま た は道 徳 教 育 推 進 教 師 の いず れ か の 立 場 の 教 員 とす る。3.調
査 期 間 調 査 期 間 は2013年
2月
∼3月
とす る。4.調
査 内 容 文 部 科 学 省(2013d)が
日本 国 内 の 公 立 小 。中 学 校 を 対 象 に2012年
5月
∼6月
に 実 施 した 道 徳 教 育 実 施 状 況 調 査(以下 「2102年
小 0中学 校 道 徳 調 査 」 とす る。)の 内 容 を参 考 に 筆 者 が 原 案 を作 成 し、 特 別 支 援 教 育 専 攻 の 大 学 教 員1名
及 び 大 学 院 生7名
と検 討 を重 ね 、 全12間
とす る(表 1)。 表1
調査1の質問内容 間1
道徳教育推進教師の配置について 間2
道徳の時間の指導の実施について 間3
道徳の時間の指導の年間指導計画の作成について 間4
道徳の時間の指導の年間指導計画の内容について 間5
道徳の時間の指導の授業時数について 間6
道徳の時間の指導における工夫について 間7
道徳の時間の指導における教材について 間8
道徳教育実施上の課題について 間9
道徳教育の全体計画の作成について 間10道
徳教育に関する保護者や地域の理解・協力を得るための取組の実施について 間11 道徳教育に関する保護者や地域の理解口協 力を得るための取組内容について 間12 道徳教育に関する校内研修の実施回数について 10第
3節
結 果 と考 察1.回
収 結 果416校
中225校
か らの 返 信 が 得 られ た(回 収 率 54.2%)。 そ の うち の2校
は 、 事 情 に よ り全 問 回 答 不 可 と され て い た た め 、有 効 回 答 数 は223(有
効 回 答 率53.6%)で
あ つ た。2.道
徳 教 育 推 進 教 師 の 配 置 に つ い て 【問 1】 「配 置 して い る」 が63校
(28.2%)、 「配 置 して い な い 」 が160校
(71.8%)と
い う 結 果 で あ つ た(図 1)。 中学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 の 道 徳 編(文科 省,2008)に は 、 道 徳 教 育 推 進 教 師 は 「道 徳 教 育 の 推 進 を主 に担 当す る」役 割 と して 期 待 され て お り、全 国 特 別 支 援 学 校 知 的 障 害 教 育 校 長 会(2010)は
、そ の 役 割 に つ い て 具 体 的 に 「道 徳 教 育 の 指 導 計 画 の 作 成 に 関 す る こ と」、「全 教 育 活 動 に お け る道 徳 教 育 の 推 進 、充 実 に 関 す る こ と」、「道 徳 用 教 材 の整 備 ・ 充 実 。活 用 な ど情 報 の提 供 や 交 換 に 関 す る こ と」、「家 庭 や 地 域 社 会 との 連 携 に 関 す る こ と」、「道 徳 教 育 の研 修 の 充 実 、評 価 に 関 す る こ と」の 五 つ で あ る と示 して い る。 しか し、特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 に お い て は 、そ の 配 置 の割 合 は 高 い とは 言 え な い 結 果 で あ つ た 。2102年
小 。中学 校 道 徳 調 査 で は 、99。9%が
配 置 して い る とい う結 果 で あ つ た こ と と比 較 す る と、特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 と小・ 中学 校 の様 相 は 大 き く異 な つ て い る こ とが確 認 で き る。特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 に お け る配 置 の 割 合 を低 め て い る要 因 と して 、 配 置 の 必 要 性 が認 識 され に くい こ とや 配 置 が 困 難 とな る よ うな 現 状 が あ る こ とが 考 え られ る。 道徳教育推進教師の配置 日配置 している 日配置 していない 図 13.道
徳 の 時 間 の 指 導 の 実 施 に つ い て 【問 2】 「実施 した 」 が46校
(20。6%)、 「実 施 して い な い 」 が177校
(79.4%)と
い う結 果 で あ つ た(図 2)。 「実 施 した 」 が全 体 の約2割
に達 した こ とは 予 想 よ り多 い 結 果 で あ つ た が 、 返 信 が な か つ た191校
の 中 に 「実 施 した 」 とい う学 校 が含 まれ て い る可 能 性 は低 い と も考 え られ る こ とか ら、全 国 的 な 状 況 と して は2割
を 下 回 る こ とが 推 測 され る。 多 くの 学 校 に お い て「道 徳 の 時 間 」の 指 導 の 実 施 に難 し さが あ る こ とが 明 らか とな っ た が そ の 中 で も、「実 施 した 」 とい う学 校 が46校
あ つ た こ とは 注 目に値 す る と 考 え る。 図2
道徳の時間の指導の実施 4。 道 徳 の 時 間 の 指 導 の 年 間 指 導 計 画 の 作 成 に つ い て 【問 3】 この 間 は 、間2に
お い て 「道 徳 の 時 間 の 指 導 を 実 施 して い る」と した 学 校(46校
) の み に 回 答 を求 め た 。「作 成 した 」 が37校
(80。4%)、 「作 成 して い な い 」 が9校
(19,6%)で
あ つ た(図 3)。 道 徳 の 時 間 の 指 導 を 実 施 して い る学 校 の 多 くが 道 徳 の 時 間 の 指 導 の 年 間 指 導 計 画 を作 成 して お り、他 の 教 科 等 と同様 に 、計 画 的 な 実 施 が され て い る こ とが うか が わ れ た 。しか し、2102年
小・中学 校 道 徳 調 査 で は 小 学 校 の 99.6%、 中学 校 の99.7%
が 作 成 して い る とい う結 果 で あ り、 これ と比 較 す る と割 合 が 高 い と は 言 え な い の が 現 状 で あ る。 図3
道徳の時間の指導の年間指導計画の作成 口実施 した 国実施していない 100(%) □作成した 国作成していないloo(%)
125。 道 徳 の 時 間 の指 導 の年 間指 導 計 画 の 内容 につ い て 【間 4】 この 間 は、 間
3に
お い て 「道 徳 の 時 間 の年 間指 導 計 画 を作 成 した 」 と した学 校(37校
)のみ に 回答 を求 め た。 なお 、該 当す る もの はす べ て選 択 す る こ と と した。 「指 導 時期 」 と「主題名 」が ともに最 も多 く、28校
(75.7%)の
年 間指 導 計 画 に記 載 され て い た(図 4)。 次 い で 「ね らい 」 が24校
(64.9%)、 「学 年 の基本 方針(目 標)」 が23校
(62.2%)と
い う結 果 で あ つ た。「そ の他 」 と して は、「指 導 体 制 」 や 「予 定 時数 」、「 自立活 動 の 日標 」 等 が挙 が つ て い た。 一 方 、「展 開 の 大 要 ・ 指 導 の 方 法 」 とい つ た 実 施 に 関す る具 体 的 な記 載 は ほ とん ど され て い な い こ とが 分 か つ た。 ま た 、「資料 名 」 の記 載 が少 な い こ とか ら、小・ 中学 校 で は一 般 的 で あ る読 み物 資 料 を用 い た指 導 は 、 あま り実施 され て い ない こ とが推 測 され た。 図4
道徳の時間の指導の年間指導計画の内容 学年の基本方針(目標) 指導時期 主題名 ねらい 資料名 主題構成の理由 展開の大要・指導の方法 他の教育活動との関連 その他6。 道 徳 の 時 間 の指 導 の授 業 時数 につ い て 【問 5】 この 間 は、 間
2に
お い て 「道 徳 の時 間 の指 導 を実施 した 」 と した学 校(46校
)の み に回答 を求 めた。 なお 、46校
中1校
は 、 開校1年
目で あ る こ とに よ り第1学
年 のみ で あ つた た め 、第2学
年 及 び 第3学
年 は45校
の結 果 とな つ て い る。 各 学 年 とも、最 も多 か つ た の は 「1∼9時
間」 で あ つた が 、 回答 の 内容 は1時
間 か ら116時
間 とい うもの ま で 、大 き な差 が あ つ た(図5-1、
図5-2、
図 5-3)。 通 常 、道 徳 の 時 間 の指 導 は週1時
間 、年 間35時
間前 後 で あ る と考 え られ るが 、それ とは大 き く異 な る時数 が 多 数 見 られ た こ とが特 徴 的 で あ つた。ま た 、授 業 時数 の算 出 は不 可 能 と した学 校 が7校
あ り、 明確 な授 業 時数 の算 出 が 困難 な現 状 が 見 られ た。 これ は、特 設 の道 徳 の時 間 で は な く、教 科・ 領 域 を合 わせ た指 導 等 にお け る道 徳 教 育 を道 徳 の 時 間 と位 置 づ けて い る こ とを意 味 す る もの と推 測 され る。 道 徳 の 時 間 とは 、通 常特 設 の時 間 を指 す もの と考 え られ るが 、特設 が 困難 な状 況 か ら、特 別 支 援 学 校 の 教 育 課 程 の 特 徴 を生 か し、 合 わせ た 指 導 等 に お い て道 徳 を扱 う時 間 を確 保 して い る現 状 が くみ 取 れ る。なお 、各 学 年 に よ る傾 向 の違 い は特 に見 られ な か つた 40時間以上 30∼39時間 20∼29時間 10∼19時間 1∼9時間 0時間 回答なし 図5-1
道徳の時間の指導の授業時数(第1学銅 1440時間以上 30∼39時 間 20∼29時間 10∼19時 間 1∼9時間 0時間 回答なし 図
5-2
道徳の時間の指導の授業時数(第2学0
40時間以上 30∼39時間 20∼29時間 10∼19時間 1∼9時間 0時間 回答なし 図5…3
道徳の時間の指導の授業時数(第3学鋤7.道
徳 の 時 間 の指 導 にお け る工夫 につ い て 【問6】 この 間 は、 間2に
お い て 「道 徳 の 時 間 の指 導 を実施 した 」 と した学 校(46校
)の み に回答 を求 めた。 なお 、該 当す る もの はす べ て選 択 す る こ と と した。 「資料 を提示 す る工夫 」が最 も多 く、31校
(67.4%)で
あ つ た(図 6)。 次 い で 「発 間 の 工 夫 」 が28校
(60.9%)、 「話 し合 い活 動 」 と 「動 作化 、役 割 演 技 等 の表 現活 動 」 が ともに23校
(50.0%)と
い う結果 で あ つた。「そ の他 」 と して は、「外 部 講 師 の活 用 」 や 「教 員 に よ る寸劇 ビデ の作 成 」 等 が挙 が つて い た。 一 方 、「板 書 を生 かす 工 夫 」 や 「説 話 」 は あ ま り挙 が らな か っ た。 図6
道徳の時間の指導における工夫 読み物資料の利用 資料を提示する工夫 発間の工夫 話し合いの工夫 書く活動の工夫 動作化・役割演技等の表現活動の工夫 板書を活かす工夫 説話の工夫 ICTの利用(パソコン等) その他 工夫していない 168,道
徳 の 時 間 の 指 導 に お け る教 材 に つ い て 【問 7】 こ の 間 は 、 間2に
お い て 「道 徳 の 時 間 の指 導 を実 施 した 」 と した 学 校(46校
)の み に 回 答 を求 め た 。 な お 、該 当す る も の はす べ て 選 択 す る こ と と した 。 「写真 」 が最 も多 く、23校
(50.0%)で
あ っ た(図 7)。 次 い で 「イ ン ター ネ ッ トに よ り得 られ た 情 報 」が16校
(34.8%)、 「 自作(学校 作 成 を含 む)の 読 み 物 資 料 」と「書 籍0雑
誌 」 が と も に14校
(30.4%)と
い う結 果 で あ つ た 。 道 徳 の 時 間 の 指 導 を実施 した 学 校 の 半 数 が 「写 真 」 を教 材 と して 挙 げ た こ とに な る が 、「写 真 」 の み を教材 と して 用 い た 授 業 展 開 は 考 え に く く、 補 助 的 な 教 材 と して 活 用 され て い る こ とが 推 測 され る。実 際 の情 景 や 実 物 に代 わ る もの と して 写 真 を用 い る こ とに よ つ て 、生 徒 た ち に 分 か りや す く伝 え よ う とす る 工 夫 の 表 れ で あ る と考 え られ る。2102年
小・ 中 学 校 道 徳 調 査 で は 、8割
以 上 の 小 ・ 中学 校 で 「心 の ノー ト」や 「民 間 の教 科 書 会 社 で 開発・刊 行 した 読 み 物 資 料 」を教 材 と して 使 用 して い る こ とが 示 され て い た が 、 特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 で は 、「心 の ノー ト」 は1割
程 度 、「民 間 の 教 科 書 会 社 で 開発 0刊行 され た 読 み 物 資 料 」は2割
を切 る程 度 の使 用 に と どま つ て い た。一 方 で 、「 自作(学校 作 成 を含 む)の 読 み 物 資 料 」 や 、「そ の他 」 に お い て 「 自作 教材 」 や 「 自作 ワ ー ク シー ト」が 挙 が る な ど、教 材 を 自作 す る傾 向 が 強 い こ とが 特 徴 的 で あ っ た。これ は 、対 象 とな る生 徒 の 実 態 に合 わ せ て教 材 を準 備 す る 方 が 良 い とす る 教 員 の 思 い の 表 れ で あ る と読 み 取 れ る が 、 生 徒 た ち に合 う適 切 な 教 材 が 見 当 た ら な い 現 状 の 表 れ で あ る と も考 え られ る。8,7 6.5 21.7
17.41
コ
4.3 30,4 21.7 30。4 50.0 10。91ヨ
28.3コ4.3
コ
34.8 1■21
コ
心のノート 国で開発・刊行した読み物資料 都道府県や市町村教育委員会で 開発・刊行した読み物資料 民間の教材会社で 開発・刊行した読み物資料 民間の道徳教育研究団体で 開発・刊行した読み物資料 自作(学校作成を含む)の 読み物資料 新聞記事 書籍・雑誌 写真 教授用掛図、紙芝居、大型絵 人形劇体験教材 (指人形、紙人形、パネルシアター等) 動画コオ ンツ パソコン用ソフト 音声コンテンツ(録音テープ、CD等) インターネットにより得られた情報 その他 使用していない・ 0 0
0
80 60 40 20 図7
道徳の時間の指導における教材 189。 道 徳 教 育 実 施 上 の課 題 に つ い て 【問 8】 この 間 は 、 間
2に
お い て 「道 徳 の 時 間 の 指 導 を 実 施 した 」 と した 学 校(46校
)の み に 回 答 を求 め た 。 な お 、該 当す る も の は す べ て 選 択 す る こ と と した 。 「適 切 な教 材 の 入 手 が難 しい 」 が最 も多 く、20校
(43.5%)で
あ つ た(図 8)。 次 い で 「効 果 的 な 指 導 方 法 が 分 か らな い 」が16校
(34.8%)、 「指 導 の 効 果 を把 握 す る こ とが 困 難 で あ る」が15校
(32.6%)と
い う結 果 で あ つ た 。これ らの 項 目に つ い て は 、2102年
小・ 中学 校 道 徳 調 査 に お い て も上 位 の3項
目で あ つ た こ とか ら、 実 施 に伴 う困 難 さに つ い て は 、小・ 中学 校 と共 通 して い る部 分 が あ る こ とが うか が わ れ た 。 一 方 、「そ の他 」 と して 「一 人 ひ と りの 実 態 に応 じる」 とい う回 答 が 複 数 見 られ た が 、これ は道 徳 教 育 に 限 らず 、障 害 の あ る生 徒 に 対 す る教 育 を行 う上 で は 意 識 され や す い こ とで あ る こ とか ら、特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 の 特 徴 が 表 わ れ た 部 分 で あ る と思 わ れ た 。 適切な教材の入手が難しい 効果的な指導方法が分からない 地域や保護者の協力が得られにくい 指導の効果を把握することが困難である 十分な指導時間が確保できない その他 特になし 図8
道徳教育実施上の課題10。 道 徳 教 育 の 全 体 計 画 の 作 成 に つ い て 【問 9】 「作 成 した 」 が
161校
(72,2%)、 「作 成 して い な い 」 が59校
(26.4%)と
い う結 果 で あ つ た(図 9)。 道 徳 教 育 の 全 体 計 画 を 作 成 す る とい うこ とは 、 あ る程 度 認 識 され て い る こ とが 確 認 で き た 。ま た 、道 徳 教 育 の 全 体 計 画 は 、学 校 の 教 育 活 動 全 体 を通 じた 指 導 の 要 とな る計 画 で あ る た め 、 作 成 の 割 合 は 学 校 の 教 育 活 動 全 体 を通 じた 指 導 に 対 す る 意 識 に通 じる もの と考 え られ る。 □作成した 図9
道徳教育の全体計画の作成11.道
徳 教 育 に 関 す る保 護 者 や 地 域 の 理 解 0協力 を得 る た め の 取 組 の 実 施 に つ い て 【問 10】 「行 つ た 」 が44校
(19,7%)、 「行 つ て い な い 」 が177校
(79.4%)と
い う結 果 で あ つ た(図 10)。8割
近 くの 学 校 は 、道 徳 教 育 に 関 す る保 護 者 や 地 域 の 理 解3協
力 を得 る た め の 取 組 を行 つ て い な い こ とが 明 らか とな っ た 。2102年
小 ・ 中 学 校 道 徳 調 査 で は 、 小 学 校 の 84.4%、 中学 校 の73.3%が
行 つ て い る と され 、 これ と比 較 す る と非 常 に少 な い こ とが 明 らか とな っ た 。 しか し、 道 徳 の 時 間 の 指 導 の 実 施 が2割
程 度 で あ つ た こ と を鑑 み る と、 この 間 の 結 果 が2割
程 度 で あ る こ とは 自然 で あ る と も考 え られ る。 国作成していない ■回答なし 国行つていない ■回答なし 図10
道徳教育に関する保護者や地域の理解 口協力を得るための取組の実施 2012.道
徳 教 育 に 関す る保 護 者 や 地 域 の理 解 ・ 協 力 を得 るた め の 取 組 内容 につ い て 【FH1 11】 この 間 は 、間10に
お い て 「道 徳 教 育 に 関す る保 護 者 や 地 域 の理解 ・ 協 力 を得 る た め の取組 を行 つた 」と した 学 校(44校
)のみ に回答 を求 め た。なお 、該 当す る もの はす べ て選 択 す る こ と と した。 「道 徳 教 育 に関連 した教 育活 動 や 体験 活 動 等 に地 域 の人 々や保護 者 の参加・協力 を求 めた 」が最 も多 く、30校
(68.2%)で
あ つた(図 11)。 次 い で 「学 級・ 学 年 保 護 者 会 、PTA総
会 等 の 際 に道 徳 教 育 につ い て取 り上 げた 」が11校
(25。0%)、 「学級・学 年・ 学 校 通信 で道 徳 教 育 につ い て 取 り上 げた 」 が10校
(22.7%)と
い う結 果 で あ つ た。2102年
小・ 中学 校 道 徳 調 査 で は 、小・ 中学 校 の 両方 で 「道 徳 の授 業 参観(公開 授 業)を行 つた 」 が 最 も多 か つた が 、道 徳 の 時 間 の指 導 の 実施 自体 が ほ とん ど行 わ れ て い ない こ と もあ り、特 別 支援 学 校(知的 障 害)高等 部 で は最 も少 な い項 目の一 つ とな つて い た。 道徳教育に関連した教育活動や体験活動等に 地域の人々や保護者の参加・協力を求めた 学級・学年保護者会、PTA総会等の際に 道徳教育について取り上げた 家庭訪問や保護者面談の際に 道徳教育について取り上げた 道徳教育に関する講演会を開催した 道徳の授業参観(公開授業)を行つた 学級・学年口学校通信で 道徳教育について取り上げた 道徳教育に関する特別な資料を作成・配布した その他 図11
道徳教育に関する保護者や地域の理解・協力を得るための取組内容13,道
徳 教 育 に 関す る校 内研 修 の実施 回数 につ い て 【問 12】 「1回
」が26校
(11,7%)、 「2∼3回
」が15校
(6。2%)、 「4回
以 上 」が2校
(0。9%)
とい う結 果 で あ り、 実施 した学 校 を合 計 す る と43校
(19.3%)で
あ つた(図 12)。 一 方 「実施 して い な い 」は175校
(78.5%)と
多 く、道 徳 教 育 に関す る校 内研 修 へ の 実 施 要 望 は、 あ ま り高 くない傾 向 で あ る こ とが読 み 取 れ た。 □1回 国2∼ 3回 ■4回以 上 1.8口実施していない ■回答なし (%) 図12
道徳教育に関する校内研修の実施回数 22第
4節
ま とめ 調 査1に
よ り、特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 にお け る道 徳 教 育 の 全 国 的 な 実施 状 況 の 一 部 が把 握 で きた 。道 徳 の 時 間 の 指 導 に 関 す る こ とを 中 心 に 、各 校 に お いて 道 徳 教 育 が どの よ うに位 置 づ け られ 、 捉 え られ て い る の か 等 を概 観 す る こ とが で き た と考 え る。 道 徳 の 時 間 の 指 導 の 実 施 状 況 と して は2割
程 度 で あ る こ とが 明 らか とな り、多 くの 学 校 に お い て 実 施 が 困 難 な 状 況 が 見 られ た 。ま た 、道 徳 教 育 推 進 教 師 の 配 置 や 、 道 徳 教 育 に 関 す る校 内 研 修 の 割 合 も低 か っ た こ とか ら、道 徳 教 育 を 取 り組 む べ き 教 育 的課 題 の 上位 に位 置 づ け て い る とは 言 い 難 い 状 況 で あ つ た 。 意 欲 的 に道 徳 の 時 間 の 指 導 に 取 り組 ん で い る学 校 も一 部 見 受 け られ た が 、「道 徳 の 時 間 の 指 導 は 実 施 して い な くて も 、 学 校 の 教 育 活 動 全 体 を 通 じた 道 徳 教 育 は 実 施 して い る た め 、道 徳 教 育 そ の もの を実 施 して い な い と捉 え な い で ほ しい 」とす る 記 入 が 複 数 校 か ら寄 せ られ る等 、 道 徳 の 時 間 の 指 導 よ りも学 校 の 教 育 活 動 全 体 を 通 じた 道 徳 教 育 の 方 に 重 き を 置 く よ うな傾 向 が 読 み 取 れ た 。 道 徳 教 育 の 全 体 計 画 に つ い て は7割
以 上 の 学 校 で 作 成 され て い る こ とが 明 らか とな り、 道 徳 教 育 を学 校 教 育 の 中 に位 置 づ け る こ とに つ い て は あ る程 度 認 識 され て い る こ とが 明 らか と な っ た。 道 徳 教 育 実 施 上 の 課 題 と して は 、「適 切 な 教 材 の入 手 が難 しい 」 こ とや 「効 果 的 な指 導 方 法 が 分 か らな い 」 こ と、「指 導 の 効 果 を把 握 す る こ とが 困 難 で あ る 」 こ と が 上 位 に 挙 が つ た 。 第1節
に お い て 述 べ て き た よ うに 、 道 徳 教 育 の 実 施 事 例 は ほ とん ど見 当 た らず 、実 施 に 関 す る情 報 に つ い て も容 易 に入 手 で き な い こ とか ら、何 を用 い る の か 、 どの よ うに 指 導 す る の か とい つ た こ と に つ い て の 困 惑 は生 じや す い 現 状 で あ る と推 察 され る。そ の 現 状 が ま た 、実 施 に対 す るハ ー ドル を押 し上 げ る とい う悪 循 環 が 生 じて い る の で は な い か と考 え られ た 。第
3章
調 査
2
特 別 支 援 学 校
(知
的 障 害
)高
等 部 に お け る
道 徳 教 育 に 関 す る 教 員 の 意 識
第
1節
問題 と 目的 調 査1で
は 、全 国 の 特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 に 対 し、道 徳 教 育 の 実 施 状 況 に つ い て の 質 問紙 調 査 を 実 施 した 。 道 徳 の 時 間 の指 導 の 実 施 状 況 は2割
程 度 で あ り、 道 徳 教 育 推 進 教 師 の 配 置 の割 合 が 低 か つ た こ と等 か ら も、全 体 と して 、特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 に お い て は 、 道 徳 教 育 を 取 り組 む べ き教 育 的 課 題 の 上 位 に位 置 づ け て い る と は 言 い 難 い状 況 が うか が わ れ た 。 一 方 、 道 徳 教 育 の 全 体 計 画 の 作 成 は7割
を超 えて い る こ と等 か ら、道 徳 教 育 を 学 校 教 育 の 中 に位 置 づ け る こ とに つ い て は 、 あ る程 度 認 識 され て い る こ と が 確 認 され た 。 ま た 、 道 徳 の 時 間 の 指 導 に 比 べ る と、 学 校 の 教 育 活 動 全 体 を通 じた 道 徳 教 育 に対 す る意 識 は そ れ な りに 高 い こ と も示 され た。 しか し、 学 校 の 教 育 活 動 全 体 を通 じた 道 徳 教 育 が 具 体 的 に どの よ うに 実 施 され て い るか に つ い て は 、調 査1で
は 把 握 す る こ とが で き な か っ た 。 道 徳 教 育 推 進 教 師 の 配 置 の 割 合 の 低 さ を鑑 み る と、 学 校 の 教 育 活 動 全 体 を 通 じた 道 徳 教 育 の 実施 は 、 各 教 員 の 意 識 に任 され て い る部 分 が 大 き い と推 測 され る。 した が つ て 、 学校 の 教 育 活 動 全 体 を通 じた 道 徳 教 育 が 具 体 的 に どの よ うに 実 施 され て い る か に つ い て は 、 各 教 員 が どの よ うな 意 識 を持 つ て い る か を把 握 す る こ とに よ つ て 明 らか に な る も の と思 われ た。 ま た 、特 別 支 援 学 校(知的 障 害)高等 部 に お け る道 徳 の 時 間 の 指 導 の 実 施 に つ い て の 検 討 を進 め る た め に 、 教 材 や 指 導 方 法 、 評 価 等 に 関 す る意 識 を 問 うこ と も、 併 せ て 必 要 で あ る と思 われ た 。 そ こで 本 調 査 で は 、特 別 支 援 学 校(知 的 障 害)に 勤 務 す る教 員 の 高 等 部 に お け る道 徳 教 育 に 関 す る意 識 を把 握 す る こ と を 目的 とす る。 こ の調 査 を通 して 、 学 校 の教 育 活 動 全 体 を通 じた 道 徳 教 育 に つ い て の整 理 を行 い 、 道 徳 の 時 間 の 指 導 に つ い て の 検 討 も進 め た い と考 え る。第
2節
方 法 1・ 調 査 対 象 調 査
1に
お い て 、継 続 調 査 に応 じ る と した 教 員40名
を対 象 とす る。 なお 、一 つ の 学 校 か ら複 数 名 の 教 員 が継 続 調 査 に 応 じる と した 学 校 が あ つ た こ とか ら、 対 象 校 は36校
とな る。2.調
査 方 法 郵 送 法 に よ る質 問紙 調 査 を行 う。対 象 教 員 に 、調 査 委 依 頼 文 (資料 3)、 質 問 紙 (資 料4)1部
、 返 信 用 封 筒1部
を送 付 す る。3.調
査 期 間 調 査 期 間 は2013年
7月
∼8月
とす る。 4。 調 査 内 容 調 査1の
結 果 をふ ま え 、 さ らに東 京 学 芸 大 学 「総 合 的道 徳 教 育 プ ロ グ ラ ム 」推 進 本 部(2012)の 「道 徳 教 育 に 関す る小・ 中学 校 の教 員 を対 象 と した 調 査 一 道 徳 の時 間 の 指 導 へ の 取 組 を 中 心 と して一 」(以下 「小0中
学 校 教 員 調 査 」 とす る。)の 内容 を参 考 に筆 者 が原 案 を作 成 し、 特 別 支 援 教 育 専 攻 の 大 学 教 員1名
及 び 大 学 院 生 7 名 と検 討 を重 ね 、 全6間
とす る(表 2)。 表2
調査2の 質問 内容 問1
学校の教育活動全体樋 じた道徳教育において重視する内容項 目について 間2
学校の教育活動全体樋 じた道徳教育の具体例(機会・内容・方法)について 問3
道徳の時間の指導に用いたい指導方法・学習活動について 間4
道徳の時間の指導の評価材料について 間5
道徳の時間の指導に用いたい読み物資料について間
6躍
藤
質響朧 馴 潔響
教
割こ
つ
い
て
25第
3節
結 果 と考 察
1,回
収 結 果40名
中30名 (26校
)か らの 返信 が 得 られ(回収 率 75,0%)、 す べ て の 回 答 を採 用 す る こ と と した (有効 回 答 率 75.0%)。2.学
校 の 教 育 活 動 全 体 を通 じた 道 徳 教 育 に お い て重 視 す る道 徳 の 内 容 項 目に つ い て 【問 1】 こ の 間 は 、 軽 度 知 的 障 害 の 生 徒 に 対 す る学 校 の 教 育 活 動 全 体 を通 じた道 徳 教 育 に お い て 重 視 す る道 徳 の 内 容 項 目に つ い て 回 答 を求 め た もの で あ る。24あ
る選 択 肢 の 中 か ら七 つ 以 内 で 選 択 す る も の と した。 「基 本 的 生 活 習 慣 ・ 節 度 ・ 節 制 」 が 最 も多 く、24名
(82.8%)、 次 い で 「礼 儀 」 と 「思 い や り・ 親 切 」が と もに21名
(72.4%)、 「役 割 と責 任 」、「勤 労 」 と続 い た(図 13)。 これ らの 結 果 か らは 、 高 等 部 卒 業 後 の就 労 や 社 会 生 活 を念 頭 に 置 き、 そ の際 必 要 に な る と考 え られ る望 ま しい 行 動 等 に つ い て 教 え る こ と が 重 要 とす る 教 員 の 意 識 が 読 み 取 れ る。 小0中
学 校 教 員 調 査 に お い て は 「勤 労 」 や 「役 割 と責 任 」 は あ ま り上 位 に 挙 が らな か つ た こ とか ら、 就 労 や 社 会 生 活 に 対 す る意 識 に は 、 小 。 中 学 校 と特 別 支 援 学 校(知 的 障 害)高等 部 との 間 に違 い が あ る こ とが うか が わ れ た。 「基 本 的 生 活 習 慣 ・ 節 度0節
制 」 や 「思 い や り0親
切 」 に つ い て は 、 小 。中学 校 教 員 調 査 に お い て も重 視 され る傾 向 で あ つ た こ とか ら、 これ らの 内 容 項 目 は どの よ うな段 階 に お い て も重 要 と され る 内 容 で あ り、 学 校 教 育 に な じみ や す い 側 面 を 持 つ て い る と考 え られ た 。 一 方 、 小0中
学 校 教 員 調 査 に お い て 上 位 に 挙 が つ て い た 「生 命 尊 重 」 に つ い て は 、 今 回 の 調 査 で は20.7%と
あ ま り重 視 され て い な い様 子 が うか が わ れ た 。 学 校 の 教 育 活 動 全 体 を 通 じた 道 徳 教 育 に お い て 重 視 され る 内容 項 目は 、 道 徳 の 時 間 の 指 導 に お い て も重 視 され る こ とが 自然 で あ る と考 え られ る。 つ ま り、 上位 に 挙 が つ た 内 容 項 目は 、 道 徳 の 時 間 の 指 導 を 行 う際 取 り上 げ られ や す い とい うこ とが 言 え る だ ろ う。 反 対 に 、 上 位 に 挙 が らな か つ た 内 容 項 目は 、 道 徳 の 時 間 の指 導 を行 つ た と して も、 取 り上 げ られ に くい も の と思 わ れ た。基本的生活習慣・節度・節制 勤勉・努力・希望 自主 口自律 真理愛・理想 個性の伸長 礼儀 思いや り・親切 信頼・友情 異性の理解 寛容・謙虚 尊敬 口感謝 生命尊重 自然愛・長敬の念 弱 さの克服・生きるよろこび 規則尊重・権利義務 公徳心 正義 口公正公平 役割 と責任 勤労 家族愛 愛校心 郷土愛 愛国心 国際理解・親善 図
13
学校の教育活動全体 を通 じた道徳において重視する道徳の内容項 目 273。 学校 の教 育活 動 全 体 を通 じた道 徳 教 育 の具 体 例(機会
0内
容0方
法)につ い て 【問 2】 この 間 は 、 軽 度 知 的 障 害 の 生 徒 に対 す る学 校 の教 育 活 動 全 体 を通 じた道 徳 教育 が 、 具 体 的 に どの よ うに実 施 され て い るか につ い て 回 答 を求 めた もの で あ る。機 会(いつ)0内
容(ど の よ うな こ と)0方
法(ど の よ うに して)につ い て記 述 す る欄 をそ れ ぞ れ 三 つ ず つ設 け、 主 な もの のみ を記 述 す る こ と と した。 記 述 方 法 につ い て は 細 か く指 定せ ず 、 自由な記 述 で 良い と した。 (1)機会 に つ い て 記 述 内 容 を 、 特 別 支 援 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 の総 則 等 編(高等 部 )(文 科 省,2009) に 従 つ て 教 科 ・ 領 域 ご とに 分 類 した(表 3-1)。 なお 、学 習 内 容(記述 内 容)を どの教 育 課 程 (分 類)に位 置 づ け る か とい うこ とに つ い て は 、学 校 に よ つ て 異 な る可 能 性 が あ る。 具 体 的 に は 、「交 流 及 び 共 同 学 習 」 を 「総 合 的 な 学 習 の 時 間 」 で は な く 「特 別 活 動 」 に位 置 づ け た り、「産 業 現 場 等 に お け る実 習 」 を 「職 業 」 で は な く 「作業 学 習 」 に位 置 づ け た り、 あ る い は 「朝 の 会0帰
りの 会 」 を 「特 別 活 動 」 で は な く 「 日常 生 活 の指 導 」 に位 置 づ け た りす る場 合 が あ る こ とを記 して お く。 教 科 ・ 領 域 の 中 で は 「特 別 活 動 」 に 分 類 され る内容 の記 述 が 最 も多 く、25件
で あ つ た 。 次 い で 、「各 教 科 」 や 「総 合 的 な 学 習 の 時 間 」 に 分 類 され る記 述 が 多 く、 と も に20件
で あ つ た。 具 体 的 に は 、「学 級 活 動 」 や 「学 校 行 事 」、「職 業 」、「施 設 見 学 等 校 外 学 習 」に 分 類 され る 内 容 の 記 述 が 多 く見 られ た。これ らの 教 育活 動 が 、 学 校 の 教 育 活 動 全 体 を通 じた 道 徳 教 育 を 実 施 す る機 会 と して 設 定 され や す い 、 あ る い は設 定 され て い る と認 識 され や す い とい うこ とが 言 え る。 「学 級 活 動 」 に つ い て は 、係 活 動 等 毎 日行 う活 動 を指 して い る記 述 が多 く、 毎 日の 教 育 活 動 の 中 で 道 徳 教 育 が 実 施 され る可 能 性 が あ る こ とが うか が わ れ た 。 一 方 、「職 業 」 につ い て は 、 産 業 現 場 等 に お け る 実 習 とい つ た 、 期 間 が 限 られ て い る 教 育 活 動 を指 して い る記 述 が 多 く、「学 校 行 事 」 や 「施 設 見 学 等 校 外 学 習 」 に つ い て も 日常 的 な 教 育 活 動 で は な い こ とか ら、 学 校 の 教 育 活 動 全 体 を通 じた 道 徳 教 育 の 多 くは 、 日常 と は 異 な る特 別 な機 会 を提 え て 実 施 され て い る、 あ るい は 実 施 す る も の と考 え られ て い る傾 向 が 強 い よ うに 思 わ れ る。表
3-1
軽度知的障害の 生徒 に対する学校 の教育活動 全体4iEじた道徳教 育の機会 記述内容(件)
分類 く教科`領域及び学習内容〉 分類 く教科・領域〉(件) 各教科(2)
各教科 国語(1) 国語 保健 体育(1) 性教育(2)∼______∼
_一
保健体育 武道(1) 朝の運動(1) 各教科(20) 職業(1) 産業現場等における実習_三 (8) 二___…
… 職業 校 内実習(1) ビルクリー…しグ(1) 流通・サービス(1) 流通・サービス 総合的な学習の時間(1)
総合的な学習の時間 交流及び共同学習(2)
交流及び共同学習 作業製品等販売学習(3)
作業製品等販売学習 宿泊学習(2) 宿泊学習 総 合的な学 習の 時間(20) 施設見学等校外学習(3)
施設見学等校外学習 進路学習(2)
進路学習 人権学習(2)
人権学習 特別活動(1)
特別活動 行事(1) _■1壼
112… … ……… 学校行事 体育祭(1) 修学旅行(2) 全体集会(2) 全体集会 特別活動(25) 児童 生徒会活動(4) 児童生徒 会活動 学級活動(2)…堡重黎
1,)…………… …………
学級活動
朝の会・帰 りの会(2) 学級だより(1) 自立活動(1) 自立活動 自立活動(1) 日常生活の指導(4) 登下校(3) 日常生活の指導 日常生活の指導(12) 給食(3) 掃除(2) 作業学習(4) 作業学習 作業学習(4) _壁整晏賽割堅ユ、
____…
……
その他
寄宿舎生活(1) その他(6)(2)内容 に つ い て 記 述 内 容 を 中学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 の 道 徳 編(文科 省,2008)に 示 され て い る 「道 徳 の 内 容 」 の 学 年 段 階 ・ 学 校 段 階 の 一 覧 表 に 従 つ て分 類 した(表 3-2)。 「基 本 的 生 活 習 慣
0節
度 ・ 節 制 」 に 分 類 され る内容 の記 述 が 最 も多 く、41件
で あ つ た 。次 い で 「役 割 と責 任 」が33件
、「ネL儀
」が32件
とい う結 果 で あ つ た 。「基 本 的 生 活 習 慣0節
度0節
制 」 に つ い て は 、 間1の
学 校 の 教 育 活 動 全 体 を通 じた道 徳 教 育 に お い て 重 視 す る道 徳 の 内 容 項 目で も最 も多 く挙 が つ て お り、 重 視 す る内 容 と実 施 す る 内 容 が 一 致 して い る こ とが うか が わ れ た 。「役 割 と責 任 」 や 「礼 儀 」 に つ い て も 、 間1に
お い て 上 位 に挙 が つ て い た 内容 で あ つ た た め 、 どの よ うな内 容 を重 視 す る の か とい うこ とが 実 施 内 容 に影 響 を及 ぼ す もの と考 え られ た。表
3-2
軽度知的障害の生徒に対する学校の教育活動全体を通じた道徳教育の内容 分 類 件 具体例 基本的生活習慣・節度・節制 41 =体力をつける [身なりを清潔にする ・順番狩 る ・時間を守る ・環境美化に心がける ・あいさつをする ・正しい言葉づかいについて学ぶ ・人との付き合い方について学ぶ 役害1と責任 口与えられた仕事を行う大切さを知る ・協力して仕事を行う良さを知る 礼儀 ・公共におけるマナーについて学ぶ (交通・食事 口買い物・見学等) ・周囲への配慮について学ぶ 思いやり・親切 16 ・相手の気持ちを考える ・助け合う1いをもつ 個性の伸長 '自己理解を図る ・他者理解を図る ・違いや個性を認める心をもつ 勤勉・努力・希望 ・努力する大切さを知る ・あきらめなしヽいれ つ ヨロ標をもつ 規則尊重・権利義務 ・公共におけるルールを知る・ルールの大切さそ鍬口る (交通等) 勤 労 ・社会参加の意識をもつ0ボ ランティア精神を育てる 自主 口自立 ・自己選択をする,自分で決める 信頼・友情 ・友人の大切さを知る日仲間意識をもつ 異性の理解 ・望ましい男女交際について学ぶ・望まない妊娠を避ける 尊敬・感謝 =他[感者をほめる気持ちをもつ 謝の気持ちを大切にする 正義・公正公平 ・いじめをしない心を育てる口人権同和について学ぶ 生命尊重 ・自分の命を守る 弱さの克服]生きるよろこび ・人としての誇りをもつ 愛校心 ・学校を美しく保つ 郷土愛 ■ ■ 0 0 ・地域の伝統や文化を知る(3)方法 に つ い て (2)で 記 述 され た 内 容 と組 み 合 わ せ る形 で の 記 述 が 多 か っ た た め 、
(2)で
上 位 に 挙 が つ た 「基 本 的 生 活 習 慣 ・ 節 度 ・ 節 制 」、「役 割 と責 任 」、「ネL儀」 を指 導 す る際 の 方 法 に つ い て そ れ ぞ れ 整 理 して 結 果 を示 す(表3-3-①
、 表3-3-②
、 表3-3
-③
)。 「基 本 的 生 活 習 慣0節
度 ・ 節 制 」 に つ い て は 、 生 徒 が 自分 で 気 づ い て行 動 で き る こ とに 重 点 を置 き、 そ れ を促 す た め に カ ー ドを貼 つ た リモ デ ル を 示 した りす る 方 法 が 多 く記 述 され て い た。「チ ェ ックす る」 は 、 こ の 内容 項 目の み で 見 られ た方 法 で あ り、 外 的 な 基 準 に よ り行 動 等 を 振 り返 る体 制 を整 え て お く こ とが 有 効 で あ る と考 え られ て い る よ うで あ つ た 。 チ ェ ッ ク を き つ か け に して 、 生 徒 が 自分 で気 づ く こ と を促 した り、 教 員 が 教 え た りす る とい うよ うに 、 指 導 が 連 動 して 展 開 さ れ て い く も の と考 え られ た。「チ ェ ッ クす る」 を含 め 、 日常 的 に継 続 して 取 り組 む こ とが 方 法 の 中心 で あ る こ とが うか が わ れ る結 果 で あ つ た 。表
3-3-①
「基本的生活習慣・節度・節制」
の指導に取り組む際の方法
分 類件 具 体 例 見せることで気づかせる 教える 体験させる 習慣化させる チェックする ほめる 環境雄 える ・カードを貼つて注意喚起する ・ゴミが落ちている時には教師が進んで拾って見せる ・なぜ制服を正しく着用するのか説明する ・指導してもらえるのは今のうちだけだと伝える ・ロールプレイを取り入れる ・教師が手伝わない ・毎 日時間を決めて行わせる ・毎 日使つた場所をそうじさせる ・生徒指導部が身なりを一人ひとリチェックする ・登下校時にあいさつチェックをする ・朝のあいさつがきちんとできたらほめる ・言語環境整 える
「役 割 と責 任 」 に つ い て は 、 話 し合 わせ た り決 め させ た りす る等 、 生 徒 に 考 え させ る こ と を意 識 した 方 法 が 多 く記 述 され て い た。 実 際 に 生 徒 に役 割 を担 わ せ た り仕 事 の 責 任 を感 じ させ た りす る こ と で 、 学 べ る も の とす る様 子 が 読 み 取 れ た。 「『 あ りが と う』 と声 を か け あ え る雰 囲 気 づ く りをす る」 等 、 役 割 や 責 任 を果 たす こ との 心 地 良 さ を感 じ させ る よ うな 配 慮 を行 う こ とで 、 生 徒 の 意 欲 を 高 め る とい う方 法 も見 られ た 。
表
3-3-②
「役割と責任」
補 導する際の方法
分 類件 具 体 例
話
し
合
わ
せ
る
5 :撃
頼
留
]蔦
闇
れ
17義
望し
合
わ
せ
る
任
せ
る
・
決
め
さ
せ
る
4 :香
倉
宅
嘗
驚
昆
繊
厳
退
理
:画
・
運
営
さ
せ
る
補助具を用意する2
・補助具を用意し、一人で仕事がこなせるようにする 教える ほめる1
・反省会で係の仕事の大切さについて話す1
・活動後に賞賛する 体験させる1
・実習などで実際に仕事を体験させる 見せることで気づかせる1
・役割表を掲示し、自分で気執 ヽて動けるようにする 環境を整える1
・「ありがとう」と声をかけあえる雰囲気づくり村 る 38「礼 儀 」 につ い て は 、「教 え る」 とい う記 述 が 多 く見 られ た こ とが 特 徴 的 で あ つ た 。 例 え ば 、「ネ
L儀
」 の 内 容 に含 ま れ るマ ナ ー は 、教 わ っ た り、 マ ナ ー が 求 め られ る よ うな 場 を経 験 した り しな け れ ば気 づ か な い もの で あ り、 身 に付 け に くい もの で あ る。 こ の こ とか ら、「ネL儀」 は 教 え た り体 験 させ た りす る こ とで 学 ばせ る とす る意 識 を多 くの 教 員 が持 つ もの と考 え られ た 。 表3-3-③
「ネL儀」の指導に取り組む際の方法 分 類件 具 体 例 ・食べる時のマナーなどを説明しながら食事村 る 教える
8
・就労に向けて礼儀の大切さを伝える ・登下校指導で交通マナーについて教える体
験
さ
せ
る
3 :香
F紛
鸞
婁
覆
轟
醤
喬
を
身
に
付
け
る
自然と学ばせる2
・他者との関わりの中で自然と学ばせる1
・食事中、望ましい食べ方をしている生徒をほめる 考えさせる1
・具体的な場面でどうすればよいか拷 えさせる 見せることで気づかせる1
・教師が手本を見せる4。 道 徳 の 時 間 の 指 導 に用 い た い 指 導 方 法・ 学 習 活 動 に つ い て 【問 3】 こ の 間 は 、 軽 度 知 的 障 害 の 生 徒 に 対 す る 道 徳 の 時 間 の 指 導 に 用 い た い 指 導 方 法・ 学 習 活 動 に つ い て 回 答 を 求 め た も の で あ る。 九 つ あ る選 択 肢 の 中 か ら五 つ 以 内 で選 択 す る もの と した 。 「学 習 ノー ト