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博士(獣医学)鈴木寛人 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(獣医学)鈴木寛人 学位論文題名

  マウスの妊娠成立機構における免疫学的研究

―特に血小板活性化因子とマク口ファ―ジ遊走阻止因子について―

学 位 論 文 内 容 の 要旨

  血小板減少症は、妊娠に対する母体の最初の反応とされている。

本研究でtよ、強カな生物活性を有する脂質である血小板活性化因子

(platelet activating factor; PAF)を、母体末梢血中の血小板数の 減少を誘起す る有力物質として検討した。先ず、マウス胚がPAFを 産生する能カ について研究した。即ち、C57BL/6系マウスの2細胞 期胚を20個あるいは30個ずっをw hitten培養液で24時間培養した。

これらの培養液は採取され、脂質の抽出に供された。続いて、これ らの抽出物を薄層クロ.マトグラフイーに展開し、PAFを抽出した。

抽出された胚 由来PAFは 、ウサギ全血中における血小板凝集によっ て 定量され、さらにPAFレセブタ ーアンタゴニストであるSRI63ー 441を用いて確認された 。これらの結果は、胚培養液からの抽出物 中に、SRI63―441によって血小板凝集活性が抑制される約10ng/ml のPAFが 存在 して いる こ とを 示し てい た。 次に、マウス 血小板の PAFに対する反応性を調 べた。マウス全血中に浮遊している血小板 に83 ug′mlのPAFを添加しても、マウス血小板の凝集および減少は 誘起されなか った。これらの結果から、胚から放出されたPAFは、

直接的に母体の血小板に作用することなく、他の生物活性を持つ物 質を介して母体に作用することが示唆された。

  PAF以外にも、多彩なサイト カインが妊娠の初期に重要な役割を

(2)

担っていると考えられる。本研究では、マクロフアージを活性化す る サ イ ト カ イ ン の ひ と つ で あ る マ ク ロ フ ァ ー ジ遊 走 阻 止 因子 くmacrophage migration inhibitory factor; MIF )について、   マ ウスの妊娠との関連性について検討した。先ず、雌性生殖器および 初 期 胚に お け る MIF の mRNA の 発現 を調べ た。即 ち、 / 一 ザンブ 口 ッテ ィング 分析に よって 、 MIFmRNA が、 着床前 期およ び発情周期 のいずれの時期にも、卵巣、卵管およぴ子宮に発現していることが 確認 され、 RT − PCR ( reversetranScription ― polymerase chain reac tion )分析では、MIFmRNA の発現が、排卵直後の未受精卵子、

受精 した1 細 胞期胚 、 2 細 胞期胚 、 8 細胞 期胚お よび胚 盤胞に認め られることを明らかにした。次に、妊娠したマウスの血中および羊 水中 MIF 濃度を ELISA (enzyme − 1in にed immunosorbent assay )法 によって測定した。マウス母体血中MIF 濃度は10 一200ng /ml であり、

MIF の 濃 度 は妊 娠 3 日 目 に 最 低と なった。 妊娠 4 日目に は、 MIF の 濃度|よ非妊娠の濃度に戻り、着床後も変化は認められなかった。

MIF は羊水中からも検出されたが、その濃度|よ母体末梢血中濃度と 相関を示さなかった。さらに、MIF の初期胚に対する影響を検討し、

MIF は胚の発 育を抑 制する 作用を もって いない ことが 示された。

MIF の妊娠母体および胚発生に対する詳細な生理学的機能は、依然、

不明なままであるが、本研究は、 MIF が妊娠の成立におぃて重要な 役害ヰを担っていることを示唆している。

   以 上の結 果から、哺乳動物の妊娠にPAF や MIF が関与しているこ

とが示唆され、妊娠成立機構の解明に有効な物質であることが推測

された。

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

マウスの妊娠成立機構における免疫学的研究

ー 特 に 血 小 板 活 性 化 因 子 と 々 ク ロフ ァー ジ遊 走阻 止因 子につ いて ―

  妊娠成立機構に関する免疫学的研究は、現在までのところ、あまり多く報 告され ていな い。 本研究 では、 特に、 知見 の乏し い血小 板活性 化因子 (platelet activating factor; PAF) とマ クロフ ァージ 遊走阻 止因子 (macrophage migration inhibitory factor;MIF)について検討した。

  血小板減少症は、妊娠に対する母体の最初の反応とされている。本研究で は、この現象を誘起する有力物質としてPAFを検討した。先ず、胚のPAF 産生能カを調べるために、20‐30個のC57BL/6系マウスの2細胞期胚を24 時間培養した。これらの培養液からPAFを抽出した後にin vitro bioassay 法によって約10 ng/mlのPAFを定量し、同様にPAFレセブターアンタゴニ ストを用、いてPAFの存在を確認した。次に、マウス血小板のPAFに対する 反応性を調べた結果、83ばg/mIPAFに対しても、マウス全血中に浮遊する 血小板の凝集や減少は認められなかった。これらの結果から、胚から放出さ れたPAFは、直接、母体血小板には作用せず、母体に作用する他の生物活 性を持つ物質の探求が望まれた。

  以上の結果から、PAF以外にもサイトカインが妊娠の成立に重要な役割 を担っていると考えられるので、マクロファージを活性化するサイトカイン であるMIFについて検討した。MIFmRNAの発現は、初めて卵巣、卵管およ ぴ子宮ではノーザンブロッテイング法により確認され、着床前の初期胚にも Reverse transcription‑polymerase chain reaction法で確認された。さら に酵素免疫抗体法では、初めて血中MIF値が妊娠3日目に最低となること、

羊水中からもMIFが検出されることが認められた。これらの結果から、MIF は妊娠に関与する物質であることが示唆された。

  以上のとおり、本研究により喃乳動物の妊娠にPAFやMIFが関与してい ることが示唆された。これらは、PAFやMIFに関する基礎的データである とともに、喃乳動物の妊娠成立機構の免疫学的解明に寄与するものと考えら

司 之

正 順

西

(4)

れた。よって、審査員一同は、鈴木寛人氏が博士(獣医学)の学位を受ける に十分な資格を有するものと認めた。

参照

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