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造血支持骨髄間質細胞の機能分子の解析

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(1)

造血支持骨髄間質細胞の機能分子の解析

著者

亀岡 淳一

(2)

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平成15年度∼■平成16年度科学研究費補助金

基盤研究(CIは)研究成果報告書

平成18年3月

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研究代表者 亀岡淳ナ

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(3)

造血支持骨髄問質細胞の機能分子の解析

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平成15年度∼平成16年度科学研究費補助金

基盤研究(C)研究成果報告書

平成18年3月

研究代表者 亀岡淳一

東北大学大学院医学系研究科 助教授

(4)

研究組織 研究代表者‥亀岡淳一(東北大学・大学院医学系研究科・助教授) 研究分担者‥佐々木毅(東北大学・大学院医学系研究科・教授) 交付決定額(配分額)

平成15年度

平成16年度

総計

研究発表 (1) (2) 直接経費 1,800,000 1,200,000 3,000,000 (金額単位:円) 間接経費   合計 0      1,800,000 0      1,200,000 0       3,000,000 学会誌等 ①SekiM,KameOknJ,TakahashiS,HarigaeH,1hnaiN, ObinataM,SasakiT.IdentificationofTbnascin−C asa

KeyMoleculeI)etemigtheStromalCell−I)ependent

Erythropoiesis・Experimental Hematology(2006,in pTeSS) 口頭発表 ① 関正則他「骨髄問質細胞における恥na就in−Cの発現とその 赤芽球造血支持能の解析」(第66回日本血液学会総会、平成 16年9月17日∼19日)

②SekiM,etal.“Identification ofTbnascin−C as a Key

Molecule Determimig the Stromal Cen Dependent

Erythropoiesis.’’(The 46th Annual Meeting of the AmericanSocietyofHematology,2004,12.4∼7)

(5)

要約 血球分化において骨髄問質細胞と造血幹細胞のCe=−tO−Ce”interactionが 重要性が提唱されて久しいが、その実体はいまだ不明で、責任分子はほとんど 明らかにされていない。我々は、SV40T抗原導入transgenicmouseより33種 の骨髄問質細胞株(TBRce”.ines)を樹立した0胎児肝細胞を用いたコロニーア ッセイの結果、それらの支持する血球のLineageは明瞭な選択性を示した0そ の選択性は既知の造血因子の発現と相関を示さず、未知の細胞表面分子の関与 が示唆された。そこで、DNAmicroarray法を利用して、赤芽球造血支持能に関 与する未知の骨髄問質細胞表面分子の同定を計画したD まず、TBRceMnesのなかで赤芽球造血を支持しない3種の細胞株 (E−:TBR17,TBR33.TBR511)と赤芽球造血を支持する3種の細胞株 (E+:TBR9.TBR184,TBR31−2)よりそれぞれRNAを抽出し混合した後、CDNA を合成、DNAmicroarrayによりそれぞれの遺伝子発現のプロファイリングを比 較した。その結果、7226遺伝子中、466遺伝子がE+でE−と比較して2倍以上 の発現を示し、686遺伝子がE−でE+と比較して2倍以上の高い発現を示した0 次に、その候補遺伝子から定量PCR(RQ−PCR)によりそれぞれの発現量を比較 した結果、E+において有意に発現が増加していた候補遺伝子Tenascin−C(TN−C) を得た。 次にTN−Cに対するSiRNAを作成し、RNAinterference(RNAi)により TN−Cの発現抑制実験を行った。SiRNA添加後、RQ−PCRにて71%のTN−Cの 発現抑制効果が得られ、ウエスタンプロット法において蛋白質レベルでの抑制 も確認することが出来た。RNAiによりTN−Cを発現抑制したE+を用いて赤芽 球コロニーアッセイを行なった結果、赤芽球コロニーの有意な減少を認めた (TBR9:18・0士6・2versus4・7±4・8col0nies;P<0・05、TBR184=15・3土8・3versus

(6)

0.3j=0,5;P<0.05)。また外因性TN−CをTBRce”lineに添加して赤芽球コロニ ーアッセイを行うと、赤芽球コロニーは有意な増加を認めた(TBR184ニ13.3±

3.5versus20.0土2.0;P<0.05、TBR31−2:7.5±3.1versus13.5士2・6;P<0・05)。

これらの結果から、マウス骨髄問質細胞においてTN−Cの発現が赤芽球 造血に関与している事が示唆された。

(7)

略語 bFGF BFU−E BMP4 CFU−E DMEM DMSO DTT EDTA EGF Epo GAPDH ICAM4 1MDM PAGE PBS PCR PMSF PVDF SDS SCF TGF−β TrlS VU1−4 basicfibroblastgrowthfactor burstformingunit・七rythroid bonemorphogeneticprotein4 CO10nyformingunitLerPhroid DuJbecco,SModifiedEagleMedium dimethylsulfoxide dithiothreitol ethylenediaminetetraaceticacid epidermalgrowthfactor erythropoietin glycelaldehyde−3−Phosphatedehydrogenase interce=ularadhesionmolecules4 1scoveJsmodifiedDulbeccomedium polyacrylamidegelelectrophoresis Phosphate−bu鴨redsaLine POlymerasechainreaction Phenylmethylsulfonylfluoride POl押inilidenedi仙Ohde SOdiumdodecylsulfate StemCellfactor Transforminggrowthfactor−beta tris−hydroxymathylaminomethane Verytateantigen■

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研究背景 造血幹細胞(Hematopoieticstemce”ニHSC)は、骨髄(BM)、肺臓およ び胎生期肝臓(FL)などの骨髄微小環境と呼ばれる空間で分化、増殖が行われる。 多くの研究によって、造血微小環境におけるHSCの増殖と分化の制御は、HCS と造血微小環境を構成する造血支持細胞(問質細胞、繊維芽細胞、マクロファ ージ、脂肪細胞など)との直接接触(Cell−tO−αl=nteradion)や、これらの支持 細胞の産生するサイトカイン、細胞外マトリクス(ECM)によって厳密に制御さ れ、生体の恒常性が維持されていることが知られている(Schofield RT1978)。 これまで造血微小環境におけるHSCの増殖と分化の制御に関わる分子としては、 IL6、SCF、Flt−3日gand、Notchligands、BMP4などが報告されている(Rodriguez MdelCetal.2004,KapurRetaL・1998,Ke”erUetaL2002,WalkerLetal・1999, Sad10naTJetal.2004)。そしてHCSと造血支持細胞とのCe”−tO−Cellinteraction の重要性はmKirreという細胞膜蛋白質がHSCの分化を支持することなどによ り指摘されてきた(UenoHetal.2003)。さらに赤芽球分化、増殖においては、 VLAL4、ICAM4、fibronectin(FN)の関与が知られている(YanaiNetal・1994, Sprin9FAetal.2001.GoltryKLetat.1997)。しかしながら、骨髄微小環境にお ける赤芽球分化、増殖を調節している分子の研究はまだ十分にされていない。 そこで我々は、SV40丁抗原遺伝子導入トランスジェニックマウスから、 33種の骨髄間質細胞株(TBRcemne)を樹立し研究を行った。それらの細胞株 は多様な組織型(前脂肪細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞)を示し、またコロ ニーアッセイにおいて赤芽球、顆粒球、単球など異なるIineageのコロニー形成 を選択的に支持し、その選択性は既知の造血因子の発現と相関を示さず、未知 の細胞表面分子の関与が示唆された(KameokaJetal.1995)。 本研究では造血を支える問質細胞の未知の分子を特定するため、赤芽球

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造血支持するTBRcelIIineそして赤芽球造血支持しないTBRcelILine間でDNA microarrayを施行した。多くの遺伝子において発現に差を認めたが、Tenascin−C (TN−C)を赤芽球造血における重要な働きをする遺伝子として同定したD本研究 では、骨髄問質細胞におけるTN−Cの発現が赤芽球コロニーの形成を支持するも のであることを証明することにより、TN−Cの赤芽球造血における重要性を示唆 することができた。

(10)

研究方法 (1)細胞株および細胞培養 温度感受性変異株のSV40ラージT抗原を導入したマウスの骨髄より樹立され た骨髄問質細胞株(TBRce”line)を用いた。TBRceHlineは10%牛胎仔血清 (FBS)を含む、DMEM(Sigma)を用い、33℃、5%二酸化炭素で培養した。継 代は1週間に2回行いトリプシンEDTA液(Gibco)を用いた(OkuyamaRetaL 1995;YanaiNetal.1991)。本研究では赤芽球造血を支持するTBRcelHine(E+) としてTBR9、TBR184、TBR31−2を用い、赤芽球造血を支持しない細胞株(E−) として、TBR17、TBR33、TBR511を用い、DNAmicroarrayを施行した。本研 究にて用いた細胞株のコロニー支持能、CelltypeをIbblelに示す。 (2)赤芽球コロニーアッセイ 胎生13日のICRマウス肝細胞(熊谷商店)を、培地(30%FBS、1%牛血清ア ルブミン、100pM2−メルカプトエタノール、0.1U/mlEpoを含むIMDM)に1×104 ce=/mlの濃度で懸濁して、24穴プレートに撒いたTBRce”tineの上にlmlをの せ共培養した。共培養してから、4日目にベンチジン液により染色し、ベンチジ ン陽性コロニーを赤芽球コロニーとしてカウントした。 (3)RNA抽出 TBR ce‖lineを6穴プレートに撒きコンプルエントの状態でRNeasy Minikit (Qiagen)を用いて、RNAを抽出した。 (4)DNAmicroarray法

(11)

3種のE+、3種のE−それぞれよりRNAを抽出(方法(3)参照)し、それらをE+、 E一に分けて混合した後、CDNAを合成した。それらよりT7RNAポリメラーゼと どオチン化リボヌクレオチドを使い、CRNAを合成した。その後cRNAを MotorolaLifeSciences社のCodeLinkUnisetMouselBioarrraysにてハイプリ ダイズした後に、遺伝子の発現をCy5−StrePtaVidinを使い測定した。GenePix 4000B(Axonlnstruments)により画像化され、Codelink Expression Analysis So債ware(MotorolaLifeSciences)により定量化の計測を行った(DorrisDRetal. 2002)。 (5)RT法 CDNAの合成はSuperscriptllreverse transcriptase(lnvitrogen)を使用した。 IbtaLRNA2LJgに、01i90(dT)1山、DEPCdH20を加え、70℃10分のインキュベ ート後、1分間氷冷した。次に、10XPCRbu仔er2pl、25mMMgCL22LJl、10mM dNTPmixl山、0.1M D172ljlを加え、42℃5分間プレインキュベートした。さ らにSuperscrip川を1LJl加え、42℃50分間、70℃15分間インキュべ−トした 後、RNaseHILJl加え、37℃20分間インキュベートを行った。合成したcDNA は使用時まで−20℃にて凍結保存した。 (6)定性的RT−PCR法 PCR反応はTbrEXTDNApolymerase(第一化学薬品)を使用して行った。PCR 法にて使用した各プライマーをIbbIe2に示す。PCR法における条件は95℃5 分間を1サイクル行った後、94℃30秒、60℃30秒、72℃30秒を30サイク ル行った後、72℃5分間で終了とした。InternalcontrolとしてGAPDHの検出 を同一のCDNAより施行した。PCR産物はethidium bromideを含む1.5%

(12)

agarosegelにて電気泳動後、バンドの有無を確認した。 (7)定量的RT−PCR法(RQ−PCR) RQ−PCR法は、Opticonreal−timePCRinstrument(MJResearch,Waftham,MA) を用い、試薬はQuantitectSYBRgreenPCRreagent(Qiagen)を使用した。各 プライマーはl盲ble2のプライマーを使用した。RQ−PCR法の条件は、ステップ 1(96℃、15分)の後に、ステップ2(舗℃罰秒)、ステップ3(60℃30秒)、 ステップ4(37℃30秒)を42サイクル行った(lbkahashiSetal.2004)。各遺伝 子の発現はinternalcontroIであるGAPDHにて補正し数値化した。 (8)siRNAデザインおよび増幅 TN−Cに対するsiRNAの鋳型は、Ambion社のSiRNA選択プログラムを使用し 推奨条件にて設計した(HoIセOhH.2002)。 siRNA作製に使用したoligoの塩基配列は、以下に示す。 Sense  :51,AAACATGGGAGATCAHllCCCCTGTCTC−3 Antisense:5.−AAGGAAAノ汀GATCTCCCATGTCCTGTCTC−3 鋳型siRNAは、Si暮encersiRNAConstructionKit(Ambion)を用い増幅を行った。 またsiRNAのコントロールとしてContol(non−Silencing)siRNA(Qiagen)を使 用した。 (9)siRNAの細胞導入 TBRce”lineを6穴プレートに撒き、24時間培養後、Opti−MEM(lnvitrogen)に 培地交換した後、Iipofectoamine2000(lnvitorogen)を用い、推奨条件にて1穴 あたりsiRNAを20pmolトランスフェクションした。トランスフェクション6 10

(13)

時間後に増殖培地へ培地交換を行い、48時間培養した。 (10)全細胞抽出液の調製 非導入TBRce”lineおよびsiRNAを導入後(方法(9)参照)48時間経過したTBR cemneから、全細胞抽出液を以下の方法を用いて調製した。まず6穴プレート にて培養した細胞を氷冷したPBSで1回洗浄し、沈殿を20mMTris(PH7・4)、 500mMNaCL1%NP40、0.5mMPMSFを含む細胞溶解液100Plに懸濁し、氷 上に30分間静置後、遠心した。このようにして得られた上清を、ウェスタンプ ロット法に用いた。 (11)ウェスタンプロット法 TBRce…neから全細胞抽出液を調製(方法(10)参照)し、10帽の蛋白質を用 いて、常法に従いSDS−PAGEを行った。電気泳動後、蛋白質をPVDF膜にトラ ンスファーした。その後、室温、1時間、ブロッキング及び結合液(1×Trisbuqered saline、0.05%1Ween20、5%スキムミルク)を用いてブロッキング反応を行っ た。一次抗体反応はRatanti−mOuSe−TNTClgG(Sigma)を結合液に対し1/1000 量用い、4度、一晩行った。二次抗体反応はRabbit−anti−ra=gG(DAKO)を結合 液に対し1/2000量用い、室温、1時間行った。またinternal∞ntrOlとしてβ一aCtin を用い、一次抗体とL MouseantiやactinlgG(Sigma)を用い、二次抗体は Gout−anti−mOuSelgG(Jacksonlmmunoreseach)を用いた。検出はECLdetection kit(PerkinElmerL飴SCjences,lnC,Boston,MA)を用いた0 (12)exogenous−TN−Cの添加 TBRce”lineを24穴プレートに撒き、24時間培養後、1穴あたりhuman−TN−C 11

(14)

(Chemcon)を1.Ougを培地に添加した。添加36時間経過した後に赤芽球コロ ニーアッセイを施行した。

(15)

研究結果 (1)DNAmicroarray E+とE−との比較で発現に差のある遺伝子を特定するためにDNAmicroarrayを 行った。その結果7226遺伝子についてE−とE十で発現量の差を比較した。686 遺伝子がE−でE+と比較して2倍以上の高い発現を認め、その中でも3倍以上の 発現を認めた282遺伝子、5倍以上の発現を認めた73遺伝子を得た。逆に466 遺伝子がE十でE−と比較して2倍以上の高い発現を認め、その中でも3倍以上の 発現を認めた138遺伝子、5倍以上の発現を認めた27遺伝子を得た。 (2)RQ−PCRによる候補遺伝子の選択 DNAmicroarrayの結果により2倍以上の発現差を認めた遺伝子を本研究におけ る候補遺伝子と考え、これらの遺伝子からこれまで報告されている機能、構造 よりいくつかの候補遺伝子を選択して3種のE一、3種のE十それぞれの発現量を 定性的PCRおよびRQ−PCRにより確認した。そのなかで3つのE+においてす べてE−より有意差をもって高い発現を認めたのはTN−Cだけであった(Fjgurel)。 そこでTN−Cを第一の候補遺伝子と考え、以後の実験を施行した。 (3)E+におけるTN−Cの発現。 DNAmicTOarrayで用いた3種のE+のTBRceMne以外のE+であるTBRceIlline (TBR6,TBR16−1,TBR52,TBR91.TBRe)についてTN−Cの発現をRQ−PCRに より確認した(Figure2)。その結果、すべてのE+においてE−であるTBR33よ り高い発現を認めた。 次にTN−Cの蛋白質レベルでの発現量の比較を行った。E−としてTBR33をE+ 13

(16)

としてTBR9を用い、ウエスタンプロット法にて蛋白質の発現量の比較を行っ た。その結果蛋白質レベルにおいても E+での高い発現を認める事が出来た (Figure3)。 (4)RNAinterference(RNAi)によるTN−C発現の抑制 TN−Cの赤芽球造血への関与を調べるため、TN−Cに対するSiRNAを合成し、TBR Ce”lineにおけるTN−Cの発現を抑制するためsiRNAの細胞導入実験を行った。 その結果、TN−CのSiRNAを導入したTBR9において定性的RT−PCRでTN−C 発現の抑制効果を確認する事が出来た(Figure4)。またRQ−PCRではsiRNA 非導入細胞株と比較し71%の抑制効果を認めることが出来た(Figure5)。また ウエスタンプロット法にて蛋白質レベルでのTN−C発現量の比較を行い、その結 果もPCR同様TN−C発現の抑制を確認する事が出来た(Figure6)。これらと同 様の現象はTBR184においても認める事ができた(datanotshown)。 (5)TN−Cの抑制による赤芽球造血支持能の低下 骨髄問質細胞におけるTN−Cの赤芽球造血支持能の影響を調べるために、RNAi によりTN−Cの発現抑制をしたE+でFLを用いたコロニーアッセイを施行した。 Fi9ure7は赤芽球コロニーアッセイの結果である。赤芽球コロニーは黒色の点の ように認められる。TN−Cの発現抑制したTBR184において赤芽球コロニーの有 意な減少が認められた。コントロールのSiRNAを細胞導入したTBR184では赤 芽球コロニーの減少は認められない。また、同様の現象はTBR9でも認められ た(Table3)。 (6)外因性TN−Cによる赤芽球造血支持能の増強 14

(17)

次に外因性のTN−Cを培養液に添加して赤芽球コロニーアッセイを施行した。 TBR184においてTN−Cを添加した条件で有意な赤芽球コロニーの増加を認め た。またその他のE+のTBRce”lines(TBR31−2、TBR351)においても同様の 現象を認める事が出来た。しかし、E−であるTBR511では赤芽球コロニーの増 加は認めなかった(¶始Ie4)。 15

(18)

考察 今回の研究から得られた以下の事実から、TN−Cが赤芽球分化を支持し ていることが推察された。(1)赤芽球分化を支持するTBRce”lineに高い発現を 認める。(2)RNAiによりTN−Cの発現を抑制する事で赤芽球コロニーの形成を 抑制する。(3)外因性TN−Cにより赤芽球コロニーが増加する。 骨髄問質細胞におけるTN−Cの発現は早期赤芽球コロニーの形成に必要 ではあるが、十分ではないと考えられた。それは外因性TN−Cの添加により赤芽 球コロニーの増加がE十にしか認められなかったためである。E−であるTBR511 ではTN−Cの添加により赤芽球コロニーの増加は認められなかった。その理由は 明らかではないが、赤芽球分化においてTN−C以外にも必須の分子の存在し、そ の分子がTBR511で欠損している可能性が考えられた。 TN−CはECM glycoproteinのひとつであり、ひとつのサブユニットは 190−300KDの蛋白質で6量体を形成している(JonesFSetal.2000)。TN−Cは その発現時期と組織部位が限られている。成体では神経組織、造血組織の問質 細胞に発現が認められ、特に胎生期、創傷治癒期(MackieEJetal.1988)、腫 瘍形成期(Chiquet−EhrismannRetal.1986)に高い発現を認める分子である。 またTN−Cに対するreceptorとしてはintegrinおよびEGFreceptorが報告され ている(SchnappLMetal.1995,SwindleCSetal.2001)。 現在までTN−Cと造血についての報告はいくつかある。Ekbl0mらは、 マウス骨髄においてTN−Cの免疫染色法にて証明し、その発現がグルココルチコ イドによりダウンレギュレーションされる事を証明した(Ekblom M et al. 1993)。K]einらは、TN−Cの抗体によりHCSと骨髄問質細胞の接着が阻害され、 コロニーアッセイにおいてコロニーが減少する事を証明した(Klein G et al, 1993)。またOhtaらはKOmouseと造血について報告している。その中でKO 16

(19)

mouseでは貧血は認めず、骨髄中の単核球数にも差が無い。しかしLon9−term BMcultureにおいてコロニー形成能が低下しており、その形成能が外因性TN−C を培養液に添加することにより濃度依存的に回復する事が示されており、TN−C が造血前駆細胞と骨髄問質細胞のCe”−tOヾellinteractionにおいて重要な役割を 果たしている事が報告されている(OhtaMetal.1998)。しかしながら、現在赤芽 球造血におけるTN−Cの役割についてはまだ十分研究されていない。 本研究においてはKOmouseによる結果と比較し重要な3つの知見を得 る事が出来た。(1)KO mouseでは骨髄問質細胞におけるTN−Cの直接的な影響 は述べられておらず、今回は骨髄問質細胞におけるTN−Cの発現が直接赤芽球造 血に重要な役割を果たしている事を証明した。(2)骨髄問質細胞は heterogeneousな集団で構成されており、形態学的、生理学的にも多様であり重 要性はまだ研究段階である(WinemanJetaL1996)。KOmouseにおいても骨 髄微′ト環境はheterogeneousな集団で構成されているが、我々が使用したTBR Celllineは同じトランスジェニックマウスより得られているため、invivoではそ のひとつひとつが多様性を反映している。今回の結果よりTN−Cが高発現で赤芽 球造血を支持する骨髄問質細胞とTN−Cが低発現で赤芽球造血を支持しない骨 髄問質細胞が存在する事が明らかとすることが出来た。(3)今回のアッセイにお いては4 日間で巨大な赤芽球コロニーを形成した。このコロニーはCFU−E、 BFU−Eより巨大なコロニーであり、dividing timeは9.6時間と急速な増加を示 しており、赤芽球分化においてはCFU−Eの段階に近いステージと考えられる (OhnedaOetal.1990)。そのため、骨髄問質細胞におけるTN−Cの発現の生物 学的な重要性は、急性貧血のような赤芽球造血が急速に促進される状態と関係 していることが示唆された。 最近、中枢神経系(CNS)におけるnicheにTN−Cが関与している事が 17

(20)

報告された。その報告では、哺乳類の胎児期のCNSでは分化成熟のスイッチが あり、神経前駆細胞はFGF2に反応して分化、グリア前駆細胞はEGFに反応し 分化しており後者の反応はTN−Cが高く発現しているsubventricular zoneにお いて行われていることが示されている。またTN−CKOmouseではEGFrecepter の反応が遅延しており、CNSにおけるnicheの形成に寄与している事が示され ていた(GarcIOnEetal.2004)。TN−CはCNS同様、骨髄微小環境のnicheにお いても同様の働きが認められることが示唆された。 免疫染色法による骨髄でのTN−Cの局在についての報告では、TN−Cは 骨髄において骨髄中心部および血管周囲部よりも皮質下領域に高い発現が認め られている(EkblomMetal.1993)。この報告では定常状態での赤芽球造血に おいて証明されており、造血前駆細胞とTN−Cを発現している骨髄問質細胞との 関係は示されていない。今回の研究ではTBR6、TBR52のような血管内皮細胞 にもTN−Cの高い発現が認められた。 最近、赤芽球の増殖においてCyClinE、d蛇のアップレギュレートが関 与し、その赤芽球造血の最終的な分化段階でCyCtin E、CyCJin D3がダウンレギ ュレートされることが報告された(DaiMSetal.2000)。赤芽球前駆細胞のTN−C に対するIigandはいまだはっきりしていないが、Ijgandを介してのこれらの細 胞周期に関する遺伝子が調節されている可能作が示唆された。 TN−Cの発現はTGF−β、bFGF等のサイトカインにより調節されている (TuckerRPetal.1993;MackieEJetal.1998;JinninMetal.2004)。それらのサ イトカインによるシグナルはTN−C遺伝子の転写因子であるKrox、NF−1、Ets factorを介してTN−C遺伝子のプロモーター領域に作用することが報告されてい る(CopeninoDWetal.1997;TroJanOWSkaM.2000)。今後、骨髄問質細胞にお けるTN−C発現の調節機構の解明は造血組織におけるTN−C発現の生物学的な重 18

(21)

要性を明らかにするために有用であると考えられる。

(22)

結論

本研究において、マウス骨髄問質細胞におけるTN−Cの発現が赤芽球造血に関与 している事を示唆した。

(23)

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(27)

9石 ■09−サケeZ :Cg:■POO旧■S鱒9!OdoJⅦんeIUOPUe由peuoJISUト∪伯6持UeUqle<!Pe Olelん∂∧叫」6∂lUり01Sal0日(ケ66L)■川eleu!qOコ訂‘Hel!6e人‘〇8∪!坤S‘N!e岬人 ‘鉱一09:∠6L:■SOと‖lO〇dxヨ■Ou◎6uo6叩el e6Je10>SnJ!∧Ue!u!Se^!1!SUOS−8JnleJOduo16u!JOqJeLla〇!u〇!ua6sueJl uoJIP叫SHqelSOさOU日日∝=坤boIedoH(L66トト川eleu呵0苓・■川呵nZnS‘N!eUe人 ■060ケ一己90ケ:∠9:■POO旧 ’S胆〇  u∂lS  6∪!lelndodaj u」叶6uoI U!elU!eu SlUOuele

(28)

図の説明 Figurel:定性および定量RT−PCR法による鴨nascin−C発現量の比較。 使用したプライマーは ̄bbIelに示す。定性PCRによるTN−Cのバンドを矢印 で示す。NC:negatiVeCOntrOl。定量PCRのコピーレベルはGAPDHのコピー数 により補正した。TN−Cの発現はすべてのE+においてE−より高い発現を認め、 平均3.6倍であった。 Figure2:その他のE+におけるTN−Cの発現量の比較。 各TBRcelHineのTN−CのコピーレベルはGAPDHのコピー数により補正した。 Figure3:E−(TBR33)およびE+(TBR9)のTN−C蛋白質レベルでの発現の比較。 3T3はPOSitivecontroltして用いた。P−ActinはinternaLcontrolとして用いた。 Figure4:定性的RT−PCRによるTN−Cに対するsiRNAのRNAiの効果。 siRNAを細胞導入してから24時間後にRNAを抽出、CDNAを合成した。GAPDH はinternal controI として用いた。SiRNA のコントロールとして Control (nonTSilencing)siRNA(Qiagen)を使用した。3T3はpositivecontrolとして用い た。 Figure5:RQ−PCRによるTN−Cに対するSiRNAのRNAiの効果。 定性的RTPCRにて用いたcDNAを使用した。TN−CのコピーレベルはGAPDH のコピー数により補正した。 Figure6:ウエスタンプロット法によるTN−Cに対するSiRNAのRNAiの効果。 26

(29)

siRNAを細胞導入してから48時間後に蛋白質を調製し、ウエスタンプロットに 使用した。3T3はPOSitivecontrolとして用いた。β一Actinはintemalcontrolとし て用いた。 Figure7:TN−CのSiRNAによる赤芽球コロニーの減少。 TBR184とFLを24穴プレートにて共培養後、4日目に観察した肉眼的所見で ある。上段はEpoを添加していないウェル。下段はEpoを添加したウェル。TN−C のSiRNAを細胞導入したTBR184で赤芽球コロニーの著明な減少が認められた。 27

(30)

Tabl01 StrOmalce=line TBR17 TBR33 TBR511 TBR9 TBR184 TBR31−2 TBR6 TBR16・1 TBR52 TBR91 TBRe coLonyformation ce”type

E G M GM

+++  t +++  _ ++   _ +++  ++   − ++   +++  − +++  ++   一 ++   +++  − +++  +++  一 ++   ● +十十  _   十 十+   一 十       十

・⋮⋮‖

P P P P F P E F E F F P:Preadipocyte F:fibroblast E:endtherialce”

KameokaJetal.JCe=Physio11995;164:55−64・より一部抜粋

(31)

Table2 SequencesofprimersuSedinthisexperiment

BMP6

CD151

Delta−likel(DLTl)

EphrinA2

EphrinB2 GAPDH lL.6 TenascinC(TN−C) Unknown (2810021G24RIK) Unknown (4930517KllRIK) 5’−gttCttCagaCtaCaaCggCagtgag・3’ 5㌧gttaggaatCCaaggCagaaCCatg−3’ 5㌧aCtaCatCagCCtgCtggCC−3’ 5’−CtgCCaCagCagtggaaCtC−3’ 5’−aCCtCgggatgaCgCCtttg−3’ 5’一agaCCaCCaCagCagCaCag−3’ 5’−aCCgtggaggtgagCatCaa−3’ 5’−CtggtgaagatgggCtCtgg・3’ 5’−tCtgtgtggaagtaCtgttggggaCttt−3’ 5’−tgtaCCagCttCtagCtCtggaCgtCtt・3’ 5’−tgCaCCaCCaaCtgCttag−3’ 5’−ggatgCagggatgatgttC−3’ 5’一gaCaaagCCagagtCCttCagagag・3’ 5’−CtaggtttgCCgagtagatCト3’ 5’−gtttggagaCCgCagagaagaa−3’ 5’−tgtCCCCatatCtgCCCatCa−3’ 5’−gggCtaCtagtCgCaaCagC−3’ 5㌧ttCattgaCttCCgtgtCCa−3’ 5㌧cctgCCtttCCaagttCaaa−3’ 5’−atgtCtCCgCttggagttgt−3T

(32)

Table3 TheefFectoftranSfectedTN−CsiRNAonerythroidc010ny formation. SiRNA(−)ControIsiRNA TN−CsiRNA P★  P†

TBR9 18.0±6.2  20.7±6.3   4.7±4.8  0.01

TBR18415.3±8.3 13.3±5.3    0.3±0.5  0.02

Thenumbersoferythroidc010nyinthepresenceofTN−CsiRNA

OrCOntrOIsiRNAareshown.

ControIsiRNAindicatesthepresenceofcontrolSiRNA;

TN−CsiRNAindicatesthepreSenCeOfTN−CSiRNA

*PvaIuesincomparisonwithsiRNA日.

†PvaluesincomparisonwithControIsiRNA・

(33)

Table4 TheefFectofexogenousTN−Conerythroidc010nyformation. TN−C(−)    TN−C(+)    Pvalue Experimentl TBR511 TBR184 TBR31_2 TBR351 Experiment2 TBR511 TBR31−2 TBR351 0:±0

13.3±3.5

7.5:±3.1

14.3±3.0

0=ヒ0

2.8±0.9

12.7±3.6

0±0

20.0±2.0

13.5:±2.6 28.3±3.2 0:±0

6.8±0.5

17.3±3.0

NS O.04 0.03 0.02 Thenumbersoferythroidcolonyintheabsenceorthepresence OfTN−Careshown. TN−C(−)indicatestheabsenceofTN−C.TN−C(+)indicateSthe PreSenCeOfTN−C. NS:nOtSignificant.

(34)

Figurel

Qualitative

RT・PCR

TN−C   ニ TBR17 TBR33 TBR511 TBR9  TBR184 TBR31・2 NC +     +    + Pく0.05

Quantitative

RT.PCR

Relative mRNA  5 levelof TN−C TBR17   TBR33   TBR511  TBR9   TBR184  TBR31−2

(35)

0 1 ■ . ﹃ > 刀の■ati<e↓Z・C∃RZA−e<e一 0

TBR33 TBR9 E  −     + TBR6 TBR16−1TBR52 TBR91 TBRe +    +     +    +    +

Figure2

(36)

TBR33 TBR9  3T3

(E−)(E+)

TN・C

β・aCtin−

__二・一・・・・・一−

(37)

サeun6!ゴ

〇●N VNU!S E⊥£ lQJluO⊃ VNu!S

〇・N⊥

H

VNu!$

6Ug⊥

⊂二コ L二■亡ここJr二コ

HqdV9

〇・N⊥

(38)

P<0.05

5

∩肌 Rの一ati<0 ↓Z・C∃RZA−e<の■

0

TBR9

SiRNA

H

TN.C

SiRNA

COntrOI

SiRNA

Figure5

(39)

9引n6!ゴ

VNu!S VNU!さ  く・) C⊥C lOJluO〇  〇・N⊥ VNU!S

6Ug⊥

u!I〇e・g

〇・N⊥

(40)

SiRNA

H

COntrOl

SiRNA

TN・C

$iRNA

Figure7

参照

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