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平成19年3月

ISO14001

認証取得の手引き

トラック運送事業者のための

ISO14001

(環境マネジメントシステム)

認証取得の手引き

I S O の 導 入 に 向 け て

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(3)

まえがき トラック輸送は、わが国の活発な経済活動や豊かな国民生活を根底で支えています。しかしな がら、近年のトラック運送業界では、規制緩和の進展や市場原理優先の社会・経済環境のなかで 企業間競争が熾烈を極めており、個々の事業経営はますます厳しさを増す方向にあります。特に、 最近は安全や環境に配慮しつつ、多様化・高度化する輸送ニーズにも積極的な対応を図る必要が あり、より質の高い輸送サービスの提供が課題となっています。一方、荷主サイドも、グローバ ル化する厳しい競争環境のなかで、より品質を重視する傾向が高まり、物流に対しても品質への こだわりを示す企業が増加しています。 このような状況に対して、ISOの認証取得により業務の標準・規格化を図り、一定の品質を 維持・確保しようとする物流事業者も増えてきました。トラック輸送は、製造業や他のサービス 事業に比べて、サービスや品質の差が見えにくいという特性もありますが、ISOの認証を取得 することで、品質確保に対する体制の維持存続が図られ、同時に、経営水準が一定レベルにある という社会的評価=「お墨付き」を得ることが可能となります。ISOの本来の趣旨や目的は、 さまざまな分野における国際的な規格・標準化にあるわけですが、トラック運送事業におけるI SOについては、むしろこれを経営ツールとしてとらえることがポイントであり、どう業績に結 びつけていくかが課題となります。 いずれにしても、このようなISOは様々な取組みのなかで、個々のトラック事業者のレベル アップが図られるばかりでなく、事故防止や環境負荷軽減にも役立つことがわかっています。業 界の目下の最大課題でもある社会的地位向上のために、またトラック輸送への一層の信頼確保の ためにも、今後もISOの認証取得事業者の増加が期待されるところです。 一方、ISOのシステムを構築・認証取得し、運用するには相応の手間と、費用が必要となり ます。また、構築するシステムは、トラック運送業者に対応した内容でなければなりません。そ こで全日本トラック協会として下記の4つのマニュアル類を整備しました。このマニュアル類は システム構築の手間を低減させ、かつトラック運送業として経営ツールとなり得るシステム構築、 運用を支援するためのものです。これからシステム構築、認証取得を目指す事業者にとって経営 に役立つシステムとなるよう、有用なツールとして活用されることが望まれます。 1. トラック運送事業者のための ISO9001(品質マネジメントシステム)・ISO14001(環境マネジメントシステム) ISO 及び ISO9001・ISO14001 の概要 2. トラック運送事業者のための ISO9001(品質マネジメントシステム) 認証取得の手引き― ISO の導入に向けて ― 準備から認証取得までの具体的な内容を解説 3. トラック運送事業者のための ISO14001(環境マネジメントシステム) 認証取得の手引き― ISO の導入に向けて ― 準備から認証取得までの具体的な内容を解説 4. トラック運送事業者のための ISO9001(品質マネジメントシステム)標準マニュアル ISO9001 のサンプル文書とその解説

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トラック運送事業者のための ISO14001(環境マネジメントシステム) 認証取得の手引き

-ISOの導入に向けて–

目次

第1章 準備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

1.情報収集 2.推進体制の編成 3.導入時初期教育 4.構築計画の策定 5.キックオフ

第2章 構築 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

1.規格の理解 2.適用範囲の決定 3.環境方針の決定 4.構築基礎教育 5.初期環境調査 6.文書化教育 7.文書作成 8.EMS導入教育(全員)

第3章 運用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65

1.システム運用の開始 2.OJT教育(全員) 3.内部監査員の育成 4.内部監査 5.不適合への対応 6.マネジメントレビュー

第4章 審査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75

1.審査機関の選択 2.審査(第1段階審査、第2段階審査)

参考:

1.規格関連解説

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78

(1) JISQ14001 要求事項の概要 (2) 用語解説 2.審査機関一覧表 3.環境関連法規一覧表 4.別版「トラック運送事業者のための ISO9001(品質マネジメントシステム)標準 マニュアル」作成文書一覧

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ISO14001 規格導入の目的

ISO14001 規格は 1996 年に初版が発行され、現在は、2004 年に改訂されたものが最新版と なっています。この規格の全体的なねらいは、「社会経済的ニーズとバランスをとりながら環 境保全および汚染の予防を支える」こととされています。また、環境目的を達成するために 「適切でかつ経済的に実施可能な場合には、最良利用可能技法の適用を考慮すること、およ びそのような技法の費用対効果を充分考慮に入れること」としています。従って、この規格 を導入する組織においては、環境保全と汚染予防を目的に、環境上のリスクに対応するため の環境に関する「リスクマネジメント」と考えることができます。 リスクマネジメントとは「リスクへの適切な対応を行い、自らの組織運営の安定化を図る とともに、リスクの顕在化によってもたらされる影響を極小化し、損失をできる限り発生さ せないための管理活動」のことで、一言で言うと「危険を最小の費用で食い止める経営管理 活動」ともいえます。運送事業では、本業での安全運行への取組みが交通事故減少や燃費向 上に結びつき、環境に大きく寄与するとともに、組織運営の安定化につながります。 ISO14001 の環境マネジメントシステムを導入する際には、規格の全体的なねらいやリスク マネジメントとしての側面を視野に入れ、構築を進めることが肝要です。

本手引きの概要

この「トラック運送事業者のための ISO14001(環境マネジメントシステム)認証取得の手引 き ―ISO の導入に向けて―」は、ISO14001 の認証取得を目指すトラック運送事業者の方を対 象に、準備から認証取得までの活動の流れを、順を追って解説した手引き書です。 ISO の認証取得に向けた活動は、大きくわけると環境マネジメントシステム(Environmental Management System:EMS)を構築する「仕組みづくり」と人材を育成する「人づくり」の 2つが考えられ、この両輪を確実に進めていくことが必要となります。本手引きでは、この 2つの視点を基軸に、「EMS構築の流れ図」で示した段階に従って各々の活動内容を解説し ます。本手引きは、規格の解説を目的として構成されたものではありませんが、必要に応じ て ISO の規格から抜粋された表現や要求事項を引用しています。引用は、 の枠の中 に記述し、できるだけトラック運送事業になじみやすい解釈に置き換えた説明をしています ので、認証取得を目指す場合、必ず ISO14001:2004(JISQ14001:2004)等の規格を参照して

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認証取得に向けた活動を効率良く進めるために

ISO では、Plan-Do-Check-Act(PDCA)として知られる 方法論を積極的に紹介しています。 計画(Plan)で方針とそれを達成するためのやり方を 決め、実施(Do)で決めた内容で実施し、チェック(Check) ではそこから得られた結果をチェック・分析し、処置 (Act)で C の結果から是正や改善につなげますが、こ れを繰り返すという意味で「PDCA のサイクル」を回すと 呼ばれています。この手法は、ISO を維持していく上で も有効ですが、認証取得のため ISO を構築する際に活用 することにより、効率の良い作業が期待できます。 ISO の構築は、思うように進まなかったり、労力のわりに結果が見えてこない場合もあり ます。最初は、少し面倒な感じがするかもしれませんが、構築のための活動を、計画的に実 施し、内容を確認しながら、より良くするように心がけて進めることは、結果的に近道にな ると考えて下さい。

「トラック運送事業者のための ISO9001(品質マネジメントシステム)標準マニュア

ル」との関係

マネジメントシステムとして ISO14001 と ISO9001 は共通する部分が多く、その部分につい ては「トラック運送事業者のための ISO9001(品質マネジメントシステム)標準マニュアル」 を参照することができます。 従って、構築作業に入る時には「トラック運送事業者のための ISO9001(品質マネジメント システム)標準マニュアル」も準備をして下さい。 また、本手引きの巻末に「トラック運送事業者のための ISO9001(品質マネジメントシステ ム)標準マニュアル」作成文書一覧を添付していますので、文書や記録を探す際にサンプルと して活用して下さい。 P D C A 【PDCA のサイクル】

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【EMS構築の流れ図】

第4章

第3章

第2章

第1章

2.審査 (第 1 段階審査、第 2 段階審査) 2.推進体制の編成

認 証 取 得

仕組みづくり

人づくり

1.規格の理解 1.情報収集 3.導入時初期教育 4.構築計画の策定 5.キックオフ 2.適用範囲の決定 3.環境方針の決定 4.構築基礎研修 5.初期環境調査 6.文書化教育 7.文書作成 1.システム運用の開 4.内部監査 5.不適合への対応 6.マネジメントレビュー 1.審査機関の選択 8.EMS導入教育(全員) 2.OJT教育(全員) 3.内部監査員の育成

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第1章 準備

構築や運用をスムーズに行うため、また予定した期間内での認証取得を確実なものとする ために、実質的な作業に入る前段階として「準備」を行います。ISO は経営のための仕組み であることから、構築される仕組みについても既存の組織やシステムに大きく関わりをもつ ことになります。このため、準備の段階から経営者の深い関与が必要とされます。

【準備の流れ図】

1.情報収集

2.推進体制の編成

4.構築計画の策定

5.キックオフ

仕組みづくり

人づくり

構 築 へ

・・・ 5 ページ ・・・ 9 ページ ・・・13 ページ ・・・15 ページ ・・・17 ページ

3.導入時初期教育

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1.情報収集

環境マネジメントシステムの構築という目標をできるだけ効率良く達成するために、最初 に行う作業が「情報収集」です。具体的な活動は、ISO に関する文書や情報を収集し、調査、 検証することですが、参考とすべき文書の代表的なものとしては次のようなものがあります。

<全日本トラック協会の発行書物>

① ト ラ ッ ク 運 送 事 業 者 の た め の ISO9001( 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム ) ・

ISO14001(環境マネジメントシステム)

ISO 及び ISO9001・ISO14001 の概要と、導入を決める際の判断情報を簡潔に説明したもの。

② トラック運送事業者のための ISO14001(環境マネジメントシステム)認証取得

の手引き-ISO の導入に向けて-

ISO14001 の導入を決定した事業者に対して、準備から認証取得までの具体的な内容を 解説したもの。(本手引き)

③ トラック運送事業者のための ISO9001(品質マネジメントシステム)標準マニュ

アル

トラック運送事業者の利用を考慮した ISO9001 のサンプル文書とその解説。

<ISO の規格>

補足1

④ JIS Q 14001:2004 (ISO14001:2004)環境マネジメントシステム−要求事項

環境マネジメントシステムに関する要求事項を規定したもの。これらの要求事項は、 組織が内部で適用するため、審査登録のためや契約のためにも利用できる。

⑤ JIS Q 14004:2004 (ISO14004:2004)環境マネジメントシステム−原則、システム

及び支援技法の一般指針

効果的な環境マネジメントシステムの実施に関する詳細な又は補足的な手段として 役立つ手引き。

⑥ JIS Q 19011:2003 (ISO19011:2002)品質及び/又は環境マネジメントシステム

監査の指針

監査の管理、内部または外部監査の実施、監査員の力量及び評価についての手引き。 補足1: 国際規格である ISO における公用語は、英語、仏語、ロシア語の3ヶ国語であるた め、技術的内容及び規格票の様式を変更することなく日本工業規格である JIS に翻訳さ れます。

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【ISO 規格番号と JIS 規格番号】 ISO 規格番号 翻訳 JIS 規格番号 規格の内容 ISO14001:2004 → JIS Q 14001:2004 要求事項 ISO14004:2004 → JIS Q 14004:2004 支援技法 ISO19011:2002 → JIS Q 19011:2003 監査指針 支援技法(指針:ガイドライン)についてはこの他にも、ISO14040 ライフサイクル アセスメントなど多くの規格があります。 この他にも、インターネット上やその他の書物として、多くの参考にできる情報がありま すので、必要に応じて集めて下さい。また、トラック運送業界の ISO に関連する資料やご案 内等が必要な場合は、都道府県トラック協会及び全日本トラック協会にもお問い合わせ下さ い。 ここで集められた情報は、この後の構築や運用の活動の中で効果的に利用していくことに なりますが、準備の段階では、

「(1)取得目的の明確化」

「(2)自力で取得を目指すか、コンサルタントの活用かの決定」

を充分に検討する必要があります。 次に、この2つの課題の簡単な説明を記述しますので、参考にして下さい。

(1)取得目的の明確化

認証取得を決定した理由や ISO の仕組みを取り入れることの目的を、収集された情 報を基に明確にして下さい。 ISO のマネジメントシステムは、組織全体に関わる大きな仕組みですから、特に、経 営層に取組みに対するあいまいさがあると、従業員やドライバーの皆さんが意義を見 いだせず、結果として構築も運用もうまくいかなくなります。ISO を「経営のための道 具」ととらえ、わが社の弱点やわが社の経営課題といった問題に対して、これから作 り上げる仕組みがどのように生かせるかを検討し、ISO の必要性と時間や労力をかけて 取組む意味を明確にして下さい。 また、ISO14001 はこれからの地球環境問題と組織の環境リスクの軽減という大きな 目的があります。これも充分踏まえて下さい。 認証取得の目的や心構えについては、全日本トラック協会発行の「トラック運送事 業者のための ISO9001(品質マネジメントシステム)・ISO14001(環境マネジメントシス テム)」でわかりやすく説明していますので、参考にして下さい。

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【経営の道具としての考え方の例】

(2)自力で取得を目指すか、コンサルタントの活用かの決定

1)コンサルティングの利用について

ISO がまだ過渡期であったころとは異なり、認証取得に関連する情報は比較的容易に入手 できるようになってきました。このため、コンサルタントを利用せずに自社だけで ISO に取 組むという選択があります。 一方、コンサルタントを活用する場合には、以下のような効果が期待できます。 ・ 活動期間の短縮 ・ 推進チームの負担軽減 ・ 規格要求事項の理解の促進 ・ 効率の良い構築作業 ・ 外部者の参加による緊張感の維持 ・ ISO 関連の最新情報の入手 しかし、コンサルティングには相応の費用も発生しますので、構築にかけられる予算、人 員数、時間などを考慮して決定しなければなりません。加えて、コンサルティング会社やコ ンサルタントは種類も質も千差万別ですから、目的にあったコンサルタントをいかに選定す るかを考慮する必要があります。 仕 事 の 効 率 化

利益の増加

売上げの増加 コストの削減 企 業 イ メ ー ジ の 向 上 仕 事 の 標 準 化 企 業 体 質 の 改 善 従 業 員 意 識 の 向 上 社 員 教 育 の 充 実 事 故 防 止 ・ 事 故 削 減 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 向 上 他 社 と の 差 別 化

ISO 導入の目的

継続的な

事業改善

コ ン プ ラ イ ア ン ス の 徹 底 後 継 者 育 成

社会

貢献

環 境 保 全 環 境 リ ス ク 軽 減

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その際のひとつの目安として、トラック運送事業の実務や業界事情に詳しいコンサルタン トという選び方があります。また、考え方によっては、コンサルティングは概略だけで安価 に、残りは自力でという判断もあるかもしれません。 どちらにしても、コンサルタントの選択ミスから「過大または過小なシステムになる」「文 書が過度に難解、複雑なものになる」「余分な手間、費用がかかる」ということがないように、 充分に検討して決定しましょう。

2)単独コンサルと合同コンサルについて

コンサルティングの利用を検討する際には、コンサルティングを単独で受けるか、合同で 受けるかという選択も考慮すると良いでしょう。

① 単独コンサル

コンサルティングを単独の事業者で契約することを「単独コンサルティング」という呼び方を しますが、一般的には単に「コンサル」といった場合には単独を指していることが多いようです。 単独コンサルでは、1社でコンサル会社やコンサルタントと契約しますので、料金的な負担が最 も大きな課題と考えられます。 一方、単独でコンサルティングを受けるメリットは、以下が考えられます。 ・自社にあったきめ細かいコンサルティングを受けられる ・細部まで自社に適合した内容で構築できる ・構築初期から完成度の高いシステムにできる ・自社のペースで構築できる

② 合同コンサル

同一地域の複数の事業者が同時に認証取得活動を実施する場合や、共通する内容を合同の 集合教育で実施する方法を通常「合同コンサルティング」と呼びます。合同コンサルティン グのメリットは、以下が考えられます。 ・低料金でコンサルティングが受けられる ・他社と協力し合いながら進めることができる ・他社の取組み方が刺激になる ・段階的なコンサルティングで個別の課題に対応できる ・サンプルの提供や共有情報を活用できる 合同コンサルといっても、社長の考え方、ISO に取組む目的、会社の規模や営業所の数、 トラックの台数や従業員数、仕事の内容や方法など、ISO の仕組みをささえる要素はそれぞ れ違いますので、当然でき上がる仕組みは自社独自のものとなります。 一般的には、規格解説、現状業務の調査方法の解説、文書化教育、内部監査員の育成など の共通する内容を集合教育で受け、それ以外の支援は単独でコンサルティングを受けるとい う手法が多いようです。 なお、都道府県トラック協会によっては、合同コンサルティング方式など ISO に関連する 取組みを積極的に進めています。合同コンサルティング実施の有無については、最寄りの都

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2.推進体制の編成

既存の業務とは別に、ISO の環境マネジメントシステムを構築するという新しい仕事を行 うことになりますので、これらの作業を適切に実施するための「推進体制」をきちんと確立 しなければなりません。 また、この構築のために編成した推進体制は、多くの場合、構築後システムを正式に運用 する際の維持体制に反映されることになります。加えて、構築の段階では、仕組みを作った り新たに文書を作成したりと、一般的には維持よりも労力が必要だということも考えておか なければなりません。 これらの要件を考慮し、適切なメンバーを選任して推進体制を作り、構築に取組むことが 肝要です。

【ISO 推進体制の例】

参照ページ

(1)トップマネジメント

(2)管理責任者

(3)事 務 局

(4)推進メンバー

社長

専務

総務部長

産業廃棄物

処理責任者

安全管理者

危険物管理者

運行管理者

整備管理者

推 進 体 制 図

選任の例

10 ページ 11 ページ 11 ページ 10 ページ

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(1)トップマネジメント(経営者)

<構築時> ISO の規格では、トップマネジメントを「最高位で組織を指揮し、管理する個人又はグル ープ」(JIS Q 9000:2006)と定義していますので、一般的には社長のことを指します。 規格では、多くの要求事項が記述されていますが、それらをどのように実施するか、どこ までの深さや内容で取組むかまでは定められていません。そこで、これらの多くの要求事項 を、自社のレベルや導入の目的にあわせて適切に満たすために、どのように、どこまでの内 容で構築するかを決める必要があります。この決定の最高責任者が、「トップマネジメント」 です。 規格は、環境マネジメントシステムの構築に、トップマネジメントが積極的に関わること を要求しています。推進チームに任せきりにするのではなく、構築の段階から進んで関与す るようにして下さい。 <システム運用時> トップマネジメントは環境マネジメントシステムにおける組織の最高責任者であり、本シ ステムが確実に構築されること、実施されること、継続的に改善することを環境方針の決定 やシステムの見直し等、運用面でも深く関与することが要求されています。

(2)管理責任者(環境管理責任者)

<構築時> 環境管理責任者は、トップマネジメントを補佐し構築の責任を負います。 構築の推進体制においては、実質上の統括リーダーの役割を担うことになります。 <システム運用時> 環境管理責任者は、通常社内の管理層の中から、環境マネジメントシステムのまとめ役と して任命されます。すなわち、経営的な視点を持ち、トップマネジメントに代わって要求事 項を実現していく「要の人」といえます。 規格の要求では、マネジメントシステムの確立、実施、維持を確実にし、これらの状況を 経営者に報告する責任と義務があるとされています。 4.4.1 資源、役割、責任及び権限(抜粋) 組織のトップマネジメントは、特定の管理責任者(複数も可)を任命すること。その管理責任者 は、次の事項に関する定められた役割、責任及び権限を、他の責任にかかわりなくもつこと。 a) この規格の要求事項に従って、環境マネジメントシステムが確立され、実施され、維持さ れることを確実にする。 b) 改善のための提案を含め、レビューのために、トップマネジメントに対し環境マネジメン トシステムのパフォーマンスを報告する。 ( JISQ14001: 2004 )

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環境マネジメントシステムのパフォーマンス(環境パフォーマンス)とは、規格では「組 織の環境側面についてのその組織のマネジメントの測定可能な結果」と定義されています。 つまり、「自社の環境への取組みの結果がどのような状況になっているか、実績が上がってい るかを具体的に把握できるもの」ということです。

(3)事務局

<構築時> 事務局は進捗状況、スケジュール、資料類の管理など、構築を進める上での調整・支援と いった活動を環境管理責任者に代わって実施し、その内容を環境管理責任者に報告します。 また、審査機関、コンサルタント、外部の専門家、支援団体等との対外的な窓口として、 さらには、議事録の作成、通知や連絡などの役割が考えられます。 <システム運用時> 構築後は、システムの維持管理に役割を移行し、環境管理責任者を代行・補佐することに なります。環境管理責任者と違って、規格で要求されている部署ではありませんので、組織 の規模や人数などの状況を考慮して進めて下さい。

(4)推進メンバー(ワーキンググループ)

<構築時> 構築における実作業部隊として、主に環境上の問題点の分析(初期環境調査)と文書作成 に従事します。 施設や使用されている機器、行われている活動を分析し、必要に応じてその活動の手順を 作成することになるため、本業や現場での業務をよく知っている人が必要となります。ただ し、ISO の構築のために本業に支障が出ないよう、認証取得範囲の中の部門や業務のバラン スも考慮してメンバーを選定しましょう。 <システム運用時> 上記のように構築のための分析や文書化が目的であった場合、システムが確立したところ で任を終えるという考え方もあり、その場合には解散します。ただし、構築後は ISO を推進 するメンバーとしての役割に移行し、継続して係わっていくこともありますので、組織の状 況や目的によって決定して下さい。

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(5)兼任について

ここまで推進体制の例を説明しましたが、体制化して進めるかどうかも含めて、構築作業 そのものについては、規格で構造や役割が決められている訳ではありません。 トラック運送業界では、本業ですら兼任を余儀なくされていることは少なくありませんの で、前述したような役割を専任する推進体制は組みにくいかもしれません。その場合には、 組織の実情にあわせて、推進の役割を兼任することも視野に入れた体制を編成する必要があ ります。 特に兼任体制をとる場合、役割があいまいにならないように、推進のための何を受け持つ か、はっきりと決めておくことがポイントになります。

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3. 導入時初期教育

ISO の構築時の教育には、大きく2つの目的があります。 一つは、『仕組みを効率良く正しく構築するため』。もう一つは、『ISO の仕組みを組織内に 違和感なくスムーズに浸透させるため』です。また、ISO14001 にはこれからの地球環境問題 と組織の環境リスク軽減という大きな目的があります。これらを充分踏まえて教育を効果的 に進めていくために、以下のようなポイントがあります。

<ISO 教育の3つのポイント>

その1:段階を踏んで教育レベルを上げること ISO にまつわる全ての事柄が難解ということはありません。しかし、ISO には、難しい解釈 や特別な知識を要するという一面もあります。これら高度な内容からいきなり教育を始めた のでは、効果的ではありませんし、場合によっては ISO への取組みの意欲を失わせてしまう かもしれません。教育内容は適切な段階を経て、徐々にレベルを上げるように心がけると良 いでしょう。 その2:役割、管理レベルなどの差によって教育内容を考慮すること 従業員教育だからといって、全て一律とは限りません。チームリーダーや要となる人とし て ISO にたずさわる方、ドライバーや現場作業として ISO に関わる方と、その目的にあわせ て教育時期、回数、内容を考慮しましょう。 その3:継続させること 多くの場合、時間とともに記憶は薄れてしまいます。 構築には半年、1年という期間が必要となりますので、その間にまったく ISO にふれる機 会がなければ、ほとんどの内容を忘れてしまうかもしれません。 ISO 教育は、一度やれば終わりとは考えず、継続的に実施することが重要です。 以上のことを踏まえて、準備の段階で行う初期教育を計画し、実施します。

(1)推進体制を対象にした教育

仕組みを効率良く正しく構築するため、推進体制メンバーに対する教育を実施します。推 進体制は、前記したような個別の役割りを担って構成されますので、目的にあった内容で教 育を進めて下さい。 特に、推進体制のメンバーは、この後 ISO の「規格の理解」というやや難しい課題に取組 まなければなりませんので、できるだけスムーズに次の段階に移れるように教育や情報提供 を行って下さい。 なお、トラック協会主催の「ISO 概要セミナー」や「ISO 実践セミナー」などの外部講習会 を活用することは有効な方法です。

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(2)組織全体を対象にした教育

ISO のシステムを組織内に違和感なくスムーズに浸透させるため、従業員に対する教育を 実施します。 通常この段階の教育レベルは、構築作業に直接関わりを持たない従業員が、経営者による キックオフがされた時点で「ISO・・・何のこと?」とならない程度の内容で問題ないでしょ う。 トラック協会主催の「ISO 概要セミナー」の資料や「トラック運送事業者のための ISO9001・ ISO14001」などが活用できます。 なお、教育対象は、認証を取得する範囲内の従業員というのが基本ですが、上記の目的に 有用と考えられるのであれば広げてみるという方法もあります。

(3)導入教育の際の注意点

1)教育記録について

まだ準備の段階ですから、教育や訓練についての明確な取決めがないのが一般的です。し かし、ISO では、教育、訓練、技能及び経験について該当する記録を求められることになり ます。今後行われる ISO に関連する教育は、誰が、いつ、どのような教育を受けたのかを記 録するように心がけて下さい。 そして、実際に教育や訓練に関する手順が確立したら、その手順に従った計画的な教育を 実施し、定められた正式な様式や書式で記録を残すようにします。

2)環境問題に関心の少ない人とのコミュニケーション

組織の中には、偏った情報、誤解、一方的な意見の影響などにより、環境問題に関心の少 ない人や、ISO に否定的な考えの方もいるかもしれません。強引に説得する必要はありませ んが、今後の推進のマイナス要因とならないよう、この段階からよく意見交換をして下さい。 情報量の少なさが否定の原因である場合がありますので、注意して進めましょう。

(20)

4. 構築計画の策定

日常業務との兼ね合いも考慮して効率良く作業を進め、目標とする期日にまでに認証を取 得するために、構築の全体スケジュールを策定します。 一般的に全体の期間は 10 ヶ月ほどが適切といわれているようですが、絶対的なものではあ りません。2ヶ月ほどの前後は充分に考えられますので、組織の規模や取得の範囲、また構 築にかけられる人員数などを考慮して決定しましょう。

ISO14001:2004 認証取得モデル日程

12月 1月 2月 3月 4月

日   程

準備 構築

  活 動 内 容

1 情 報 収 集 2 推 進 体 制 の 編 成 3 導 入 時 初 期 計 画 4 構 築 計 画 の 策 定 5 キ ッ ク オ フ ☆ 1 規 格 の 理 解 2 適 用 範 囲 の 決 定 3 環 境 方 針 の 決 定 4 構 築 基 礎 教 育 ☆ 5 初 期 環 境 調 査 6 文 書 化 教 育 ☆ 7 文 書 作 成 8 E M S 導 入 教 育 1 シ ス テ ム 運 用 の 開 始 2 O J T 教 育 3 内 部 監 査 員 の 育 成 5 不 適 合 へ の 対 応 6 マ ネ ジ メ ン ト レ ビ ュ ー 1 審 査 機 関 の 選 択 2 審査申請 ☆ 審 査 ( 第 1 段 階 審 査 ・ 第 2 段 階 審 査 )

4 内 部 監 査 教 育

(21)

例えば、準備作業を初めてから認証取得までの期間を 10 ヶ月とした場合、これを基に各活 動に要する日程を割り当て、無理や無駄がないかを判断して個々の期間や目標の期日を調整 します。 なお、審査を受ける場合には、仕組みを完成させてからその内容で正式に運用させた期間 として通常3ヶ月以上必要とされますので、スケジュールを組む場合には考慮に入れて下さ い。(審査の詳細は第4章 75 ページで) 次に 10 ヶ月で認証取得するとした場合の例を示します。

(期間を10ヶ月とした場合)

5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 運用 ☆ 認証取得 準備 実施 報告 ☆ ☆ 第1段階 (事前審査) 第2段階 判定委員会 ☆ ☆ ☆ ☆

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5. キックオフ

トップマネジメント(経営者)が、ISO の導入を宣言することを「キックオフ」といい ます。これはトップからの「試合開始」の号令ともいえるでしょう。 ISO の効果的な活用と認証の取得は、一部の管理者や選ばれたメンバーのみでは実現で きませんので、全体の取組みであることを周知すると同時に、これより「ISO 認証取得の ための構築作業が開始される」ことを全社的に決意表明します。特にキックオフという決 められた様式はありませんので、宣言を行う趣旨を考慮して地球環境問題と組織の環境リ スクの軽減という大きな目的、および自社固有の ISO 導入目的、プロジェクトチームの紹 介、日程の明示などを盛り込んで、実態に見合った内容で実施して下さい。 なお、表明は内部に向けたものだけとは限りません。対外的に取組みを宣言することに よって、企業イメージの向上や構築日程の遵守など自らの励みにすることができます。

(23)

第2章 構築

認証取得までの活動は、仕組みとそれに見合った人を作る「構築」と、でき上がっ た仕組みを定着させるための「運用」の2つにわけることができます。 第1章では、この2つが順調に進められるために「準備」を行いましたので、これ らの結果を効果的に利用して、次のステップである「構築」を実施します。

【構築の流れ図】

5.初期環境調査

2.適用範囲の決定

3.環境方針の決定

7.文書作成

4.構築基礎教育

8.EMS導入教育(全員

運 用 へ

仕組みづくり

人づくり

1.規格の理解

・・・19 ページ ・・・23 ページ ・・・31 ページ ・・・37 ページ ・・・38 ページ ・・・49 ページ ・・・63 ページ ・・・57 ページ

6.文書化教育

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1. 規格の理解

規格の要求事項といった場合、『ISO14001:2004(JISQ14001:2004)環境マネジメントシス テム−要求事項』で規定しているものを指します。規格は他に、ISO14001 よりも広い範囲の 目標についての手引きである ISO14004:2004(JISQ14004:2004)などがあり、必要に応じて これらも活用します。 ISO の認証取得を目指す以上、規格で要求されている内容から、洩れや抜けがないように 仕組みを作る必要があります。また、規格が要求している事柄を、いかに自社にあった内容 としてうまく仕組みにとり入れるかも考えなければなりません。 そのためには、まず ISO の規格が何を要求しているかを知る必要があります。 しかし、トラック運送業界にとって、規格がもつ以下の特徴が解釈の妨げになっている場 合があります。 ・ あらゆる産業、業種、レベルで使えるように書かれたため、運送業界にとっても抽 象的な表現が多いこと ・ JIS により和訳されたものを使用することになるため、原語が意図する内容が見えに くい部分があること これらの課題を克服しつつ、「規格の理解」を進めることになりますので、「第1章 3.導 入時初期教育」(13 ページ)で記述した「ISO 教育の3つのポイント」を使って考えてみまし ょう。

その1:段階を踏んで教育レベルを上げること

規格を理解するという作業は、構築作業を進める上で最初の大きな難関になるかもしれま せん。できるだけわかりやすい内容から、段階を経て進めると良いでしょう。以下に段階を 踏む場合の例を記述しますので、参考にして下さい。

<初期段階>

まずは、あまり詳細にとらわれず、規格の全体像をつかむように心がけます。 それでも、いきなり規格を読み込むことには抵抗があるかもしれません。簡単な規格解説 として「JIS Q 14001:2004 要求事項の概要」(78 ページ)を添付していますので、参考にし て下さい。 そして、この段階では、少なくとも次からの活動である「2.適用範囲の決定」(23 ページ)、 「3.環境方針の決定」(31 ページ)という ISO を進める上で重要な2つの決定ができるレベ ルの理解を目標にしましょう。

<中期段階>

「5.初期環境調査」(38 ページ)を行う際、現在の組織が置かれている環境と実施されて いる業務活動を ISO の規格で要求されている内容に照らし合わすことができるレベルの理解 が必要です。 よって、規格の要求事項について、現状業務のどこに該当するか、また、現時点では規格 の何が実施されていないか、および、環境上のリスクは何かが見極められるようになること

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が目標です。 また、この規格には、要求事項の誤った解釈を防ぐことを意図して「附属書A:この規格 の利用の手引き」が添付されています。各要求事項を理解するときは同時に「附属書A」の 同項もよく検討し、業種、業態にあった解釈に結びつけて下さい。 附属書Aの使い方例として、「4.3.1 環境側面」で説明します。なお、環境側面とは環境に 影響を与える原因になるもので詳細は「(1)環境側面とその環境影響」(38 ページ)で説明 します。 規格では とあり、『定められた範囲内で「組織が管理できる環境側面」および「組織が影響を及ぼせ る環境側面」を特定することが必要』なことはわかりますが、具体的に自社の何が環境側面 といえるのか、影響を及ぼせるとはどういうことなのか、どこまで管理すれば良いのか、な ど判断に苦しむことがあります。ここで附属書Aでは という例示を与えています。トラック事業者にとって、a)では「トラックの排気ガス、ク ーラー冷媒・・・」、b)では「洗車の汚水、整備時の廃油の流出・・・・」、c)では「埋立廃 棄物、オイル漏れ・・・」ということが考えられます。また、影響を及ぼすことができる側 面として、傭車の「燃料の使用」という環境側面に対して、エコドライブを要請するなど影 響を及ぼすかどうかは組織が決定するとよい、という解釈ができます。 このように附属書Aを有効に使い、規格を理解します。 4.3.1 環境側面(抜粋) 組織は次の事項にかかわる手順を確立し、実施し、維持すること。 a)環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で、活動、製品及びサービスについて 組織が管理できる環境側面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面を特定する。その 際には、計画された若しくは新規の開発、又は新規の若しくは変更された活動、製品及びサ ービスも考慮に入れる。 ( JISQ14001: 2004 ) A.3.1 環境側面(抜粋) 環境側面を特定するアプローチは・・・・・・・次の次項を考慮することもある。 a) 大気への放出 b) 水への排出 c) 土地への排出 ・・・・・・・・・・ 組織が直接的に管理できる環境側面のほかに、・・・・・・・・・・組織が影響を及ぼすこ とができる側面についても考慮するとよい。・・・・・・・・・しかしながら、いかなる場 合においても、管理の程度及び影響を及ぼすことができる側面を決定するのは、組織であ る。 ( JISQ14001: 2004 附属書A)

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<後期段階>

トラック運送業務のどの活動を、どのような内容で文書化しなければならないかを学習し ます。加えて、中期段階の内容をさらに進めて、規格要求事項をどのように満たしていくか を理解する必要があります。 ISO の仕組みを構築する上で、規格は欠かすことができない重要なものですが、どのよう に実施すれば良いかまでは記述されていないことから、仕組みを設計し開発するための指針 にすぎません。例えるならば、規格という基礎にどのようなビルを建てるかは取組む事業者 次第といえます。 規格の要求事項に対して、自社がどこまでのレベルや程度で満たしていくのかというバラ ンスを、この活動を通じて理解することが目標です。

【規格と仕組みの考え方】

解説: (a)は規格の要求事項に対して、過不足なく、自社のレベルに見合った内容で構築されてい ます。一方(b)では自社の水準を超えて大きな仕組みを構築しています。どちらの場合でも認 ISO 規格 (b)レベルを超えて過剰な状態 ISO 規格 ISO 規格 ISO 規格 (a)バランスがとれている状態 (c)規格要求に対し過小な状態 (d)規格要求からずれている状態 構 築 し た 仕 組 み

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証取得はできますが、(b)の維持には大きな負担が予想されます。(c)のように規格の要求に 対して、作りあげた仕組みが小さすぎる場合や、(d)のように規格の要求から外れているとき は、(c)と(d)ともに ISO の認証を受ることはできません。

その2:役割、管理レベルなどの差によって教育内容を考慮すること

ドライバーや現場作業員も含めた従業員全員が、規格を深く理解できれば理想的です。し かし、限られた時間や費用の中でそれを達成することは、たいへん難しいと考えられます。 そこで、それぞれの役割や業務の内容によって、理解の程度や重点項目を考慮します。 例えば、 ・ 経営管理層は、規格全体の理解も必要ですが、「4.2 環境方針」「4.3.3 目的、目標及 び実施計画」などを重点的に深く ・ 推進メンバーや現業の要となる人は「4.3.1 環境側面」「4.3.2 法的及びその他の要求 事項」「4.4.4 文書類」を重点にする ・ ドライバーや現場作業員は、環境方針や環境目的・目標の達成を実務面での具体的な 取組みを通して規格に馴染む というようにポイントを明確にして行う方法があります。 このように、ISO の仕組みの中での役割や、それぞれの段階で必要とされる知識等を考慮 して規格への理解を進めます。

その3:継続させること

ISO の規格は、なかなか一度では理解できませんし、長く間が開いてしまうと、せっかく 理解できた内容でも次第に忘れてしまいます。また、初期段階で覚えたことと、理解が進ん でから判った内容が異なる場合もあります。 構築もある段階をこえてくると、規格そのものからはやや遠ざかってしまう期間があり、 内部監査や特に審査というあいまいにできない場面で、再び規格要求事項と向き合うことに なります。 構築や審査の要となる方々は、繰り返し、継続的に学習することを心がけて下さい。 規格の理解は、避けることができない活動である上、一般的にはややわずらわしい課題と 考えられます。上記のようにポイントを押さえて進めることが大切です。 その際、規格解説書が多く出版されており、インターネット上にも利用できる情報がたく さんありますので、これらを有効に活用すれば、社内勉強会などによる独学は充分可能です。 さらに効率よく進めたい場合は、ISO研修機関のセミナーへの参加や、必要に応じてコン サルタントや専門家を利用する方法もあります。 どのような方法で規格教育を進めることが最適かを考慮して、計画的に実施して下さい。

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2. 適用範囲の決定

ISO の認証は、漠然と会社や組織に与えられるものではありません。 認証取得を目指す事業所や業務は何か、そして組織の中のどこまでを ISO の取組みとする かを明確にし、この適用範囲に整合した内容で仕組みを構築する必要があります。 組織の中に複数の事業所がある場合、どの事業所を ISO の認証範囲内とするかを決め、そ れを明確にする必要があります。 これらを決定するためには、組織の ISO に対する考え方、荷主の要請、組織としての諸事 情、審査料金の問題などいろいろな要因を考慮しなければなりません。ISO を導入する目的 とあわせて、適切な範囲を決定する必要があります。 範囲決定には様々な要因がからむ場合があります。以下の(1)、(2)では問題となる要 素は少ないと考えられますが、(3)、(4)の場合を検討せざるを得ない状況もあり得ます。 早めに審査機関に確認し、範囲を確定してから次のステップに進んで下さい。

(1) 全社を範囲とする場合

事業所が複数あり、各々の事業所には複数の部門があっても、全ての事業所を適用範囲に する。これが適用範囲決定の基本の考え方です。

【全社を範囲とする場合】

本社 (事務部門) 本 社 営 業 所 ︵ 運 輸 部 門 ︶ 本 社 倉 庫 部 門 A 地 区 営 業 所 A 地 区 倉 庫 部 門 本社地区 A地区 適用範囲

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(2)事業所単位(地区別)で範囲とする場合

事業所が複数あり、各々の事業所には複数の部門があっても、事業所内全ての部門を適用 範囲とする場合については、適用範囲としての問題はないと考えます。これが一般的な適用 範囲の決め方となります。

【事業所単位による範囲特定の場合】

(3)同一事業所内で限定した範囲の場合

ひとつの事業所に「トラック運送」と「倉庫」や「本社(事務部門)」のように複数の部門、 部署がある場合、その中の一部を対象外にすると適用範囲としては認められないケースがほ とんどです。

【同一事業所内に別部門がある場合:範囲を認められない例】

本社 (事務部門) 本 社 営 業 所 ︵ 運 輸 部 門 ︶ 本 社 倉 庫 部 門 A 地 区 営 業 所 A 地 区 倉 庫 部 門 適用範囲内 対象外 本社 (事務部門) 本 社 営 業 所 ︵ 運 輸 部 門 ︶ 本 社 倉 庫 部 門 対象外 適用範囲内

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(4)同一事業所内に他の組織(会社)がある場合

同一事業所内に別の会社が同居している場合があります。この場合は範囲外としても認め られる場合があります。これはマネジメントシステムの基本を示す環境方針や環境マニュア ルなどは、組織独自のもので他組織(他社)が従うことが困難なケースがあるためです。 この場合はユーティリティー(電気、ガス、水など)や廃棄物の処理などは自社の範囲外 として明確に分離した管理が必要になります。ただし、規格では“影響を及ぼすことができ る立場”として協力要請をしていくことが求められます。

(5)範囲内の業務の明記

前項までで、適用範囲が特定できました。次にこの範囲の業務を明確にします。また、業 務は、できるだけ具体的に明示する必要があります。 以下に、「トラック運送事業」、「倉庫サービス」と「複数を対象とする場合」における表現 例を示します。 <トラック運送事業の例> ・ 一般貨物の陸上輸送サービス ・ 引越輸送サービス <倉庫サービスの例> ・ 一般貨物の倉庫、保管サービス ・ 流通加工サービス <複数を対象とする場合の例> ・ 一般貨物の陸上輸送サービス及び一般貨物の倉庫・保管サービス

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適 合 証 明 証

環境マネジメントシステム

登録証明証 No.0000000

○○運送株式会社

規格:ISO14001:2004

JIS Q 14001:2004

範囲:

一般貨物の陸上輸送サービス

発行年月日:XX 年 XX 月 XX 日

有効期限:XX 年 XX 月 XX 日

△△審査会社 ここで決めた範囲は、 適 合 証 明 証 に 記 述 さ れたり、インターネッ ト 上 で 公 開 さ れ た り しますので、ここでは まず

「文字」

で表し て下さい。

(32)

(6)責任、権限

以上の視点で適用範囲の決定まで進みますと、ISO の仕組みの中での役割もはっきりさせ ることになります。さらに一定の責任と権限をもつ環境管理責任者を任命することとなりま す。これを、規格では以下のように要求しています。 ここで明確にされたことは、既存の会社の組織図とは別に「ISO の組織図」(環境マネジメ ントシステム組織図)としてまとめます。

【環境マネジメントシステム組織図の例】

4.4.1 資源、役割、責任及び権限(抜粋) 効果的な環境マネジメントを実施するために、役割、責任及び権限を定め、文書化し、かつ周 知すること。 (JISQ14001: 2004 ) 社長 営 業 部 長 運 輸 部 長 総 務 部 長 倉 庫 部 長 経 理 部 認証取得の対象外 本 社 営 業 所 ︵ 運 輸 部 門 ︶ 本 社 倉 庫 A 地 区 営 業 所 A 地 区 倉 庫 環境管理責任者 内部監査チーム I S O 事 務 局 運 行 管 理 者 整 備 管 理 者 営 業 課 長 総 務 課 長 運 行 課 長 整 備 課 長

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このような環境マネジメントシステムにおける組織図により、ISO の仕組みの中で責任と権 限がだいぶはっきりとしてきました。しかし、「組織全体に周知されていることを確実にする」 ためには、主要業務の分析や規格要求の理解を進めた上で、さらに具体的な内容を加え、周 知の方法も検討する必要があります。 これらの決定と作成は、以降の「7.文書作成」(57 ページ)の環境マニュアル作成の時点 となりますが、組織図とのつながりの例として、以下に「主要な責任と権限の例」を記述し ます。ただし、定めなければならいのは、自社の責任と権限ですから、どこまでの深さで、 どのような内容にするかは、自社の取組みとして決定して下さい。また、例示にない職務は、 決定しなくても良い、記述しなくても良いという意味ではありませんので、環境マネジメン トシステムを確実なものとする上で必要と判断された内容は、必ず明確にして下さい。 【主要な責任と権限の例】 職務 環境マネジメントシステムにおける責任と権限 経営者 ・当該システムにおける最高責任者として、組織の物流サービスの環境に 関するすべての責任を持ち、運営管理に対する最高権限を持つ。 ・環境に影響をあたえる業務を遂行する要員の責任と権限を定め、適切な 経営資源が使用できること確実にする。 ・環境管理責任者を任命し、環境マネジメントシステムの構築、維持、運 用の責任と権限を与える。 ・環境方針の決定とマネジメントレビューを実施する責任をもつ。 環境管理責任者 環境マネジメントシステム実施における経営者の代行としての権限と、シ ステム全体の統括責任を有する。 ISO 事務局 環境管理責任者を補佐し、環境マネジメントシステム実施を確実なものと する責任と権限を有する。 営業部長 営業プロセスにおける環境管理の統括的な責任と権限を有する。 運輸部長 運輸プロセスにおける環境管理の統括的な責任と権限を有する。 総務部長 処理業務プロセス、教育・訓練プロセス、廃棄物管理プロセスにおける環境 管理の統括的な責任と権限を有する。 運行管理者 法令と環境保全に基づく運行管理の実施と管理について、責任と権限を有す る。問題が発生した場合は、直ちに定められた方法と経路で関係部署と調整 の上、担当者への適切な指示指導を行い、上位職務者と連携をとって、問題 の解決にあたる。 整備管理者 法令と環境保全に基づく整備管理の実施と管理について、責任と権限を有す る。問題が発生した場合は、直ちに定められた方法と経路で関係部署と調整 の上、担当者への適切な指示指導を行い、上位職務者と連携をとって、問題 の解決にあたる。 ドライバー 使用する車両を適切に点検、整備し、安全で環境を考えた運行を実施する。 取扱い貨物や商品を丁寧な荷扱いと確実な運行により、所定の場所まで送り 届ける。問題が発生した場合は、すみやかに担当上司に報告し、指示に従っ て解決にあたる。

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(7)適用範囲を決定する際の参考例

適用範囲は当初より決めている、または選択の余地がないという場合には、これらの決定 が大きな課題にはならないかもしれません。しかし、企業によっては難しい問題となる場合 がありますので、ここでは考え方についていくつかの参考例を記述します。 なお、範囲の境界があいまいな場合や、決定した範囲に不安があるようなときは、事前に 審査機関の確認をとることが必要です。構築が進んでしまうとその分範囲等の変更は困難に なりますので、特に気がかりな事柄を抱えている場合には、できれば早い時期に審査機関を 選定し、確認しておくと良いでしょう。 また、各審査機関には認定された専門の分野が決められており、トラック運送以外の事業 を範囲に考えている場合には特に注意が必要です。(審査の詳細は第4章 75 ページで)

<範囲を決める考え方の例>

範囲を決める基本の考え方は既に述べた本項(1)、(2)(23,24 ページ)であることは理 解していただけたものと考えますが、組織には様々な事情があります。以下はそれを充分踏 まえた上、決定することが必要です。 1)初回認証登録審査の時点ではある程度限定した範囲とし、その後拡大する。 始めて ISO に取組む場合には、作業負担が大きく、なかなか効率的に進めることができま せん。そこで、まずは比較的狭い範囲で認証取得を目指し、そこで培った経験を生かして範 囲を拡大します。 適用範囲内 適用範囲内 適用範囲内 認証取得時 2年後 3年後 本社 A 営 業 所 B 営 業 所 C 営 業 所 D 営 業 所 E 営 業 所 本社 A 営 業 所 B 営 業 所 C 営 業 所 D 営 業 所 E 営 業 所 本社 A 営 業 所 B 営 業 所 C 営 業 所 D 営 業 所 E 営 業 所

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2)認証範囲は小さく、ISO を生かす範囲は広くする 取得の範囲を大きくすることは、構築や維持の負担を増し、また審査料金にも影響する場 合があります。そこで認証取得の対象となる範囲を小さくし、ISO の仕組みや考え方は広く 他部門にも生かすという方法があります。特に自社にとって環境管理上重要な業務を行って いる要となる事業所を中心に構成すると、費用に対する高い効果が望めます。 ただし、この場合には、取得範囲外の部門や部署が審査機関の認定の対象ととれるような 表現が禁止されていますので、パンフレットや名刺などの記載に注意が必要です。 認証取得範囲 ISO を生かす範囲 本社 A 営 業 所 B 営 業 所 C 営 業 所 D 営 業 所 E 営 業 所

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3. 環境方針の決定

規格には、何をやらなければならないかは示されていますが、どのように実施すれば良い かは自らの組織が決めなければなりません。つまり、規格の要求事項を満たして、どのよう な仕組みを構築するかを、事業者自らが明確にする必要があるということになります。 そこで「どのようなことを実現させるのか」、また「その実現に対して ISO を取り入れた仕 組み作りをどのような方向性で構成するか」、という大きな指標を決める必要があります。そ れが「環境方針」となります。

(1)環境方針の考え方

環境方針は、ISO では“トップマネジメントによって正式に表明された、環境パフォーマ ンスに関する組織の全体的な意図及び方向付け”(JIS Q 14001:2004)と定義されていますの で、トップマネジメント(経営者)が責任をもって設定する必要があります。 ISO14001 は、環境に対するマネジメントシステムですから、企業としての展望やトップマ ネジメントの経営理念の中で、「環境」に該当するものを考えます。また、トラック運送事業 者の本業である「運送業務」に係わる環境の保全から、「自社の環境方針」を検討します。 「本業に係わる環境」は「5.初期環境調査」(38 ページ)の結果で明らかになりますの で、「自社の環境方針」は初期環境調査と併行して検討していくこととなります。 ここで、環境方針に関する規格の要求事項を見てみましょう。 先にも述べましたように、環境方針は「組織の活動、サービスに対して適切であること」、 つまりトラック運送事業に対してふさわしいものであることを規格は要求しています。また、 決めれば終わりではなく b)継続的な改善、汚染の予防に対する約束、c)法律を守ることに対 する約束、f)組織内および関係する組織の人々への周知、g)一般の人々が入手できることも 求められていますので、これらをどのように実施していくかについても取り決めます。 4.2 環境方針 トップマネジメントは、組織の環境方針を定め、環境マネジメントシステムの定められた適用 範囲の中で、環境方針が次の事項を満たすことを確実にすること。 a) 組織の活動、製品及びサービスの、性質、規模及び環境影響に対して適切である。 b) 継続的改善及び汚染の予防に関するコミットメントを含む。 c) 組織の環境側面に関係して適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項 を順守するコミットメントを含む。 d) 環境目的及び目標の設定及びレビューのための枠組みを与える。 e) 文書化され、実行され、維持される。 f) 組織で働く又は組織のために働くすべての人に周知される。 g) 一般の人々が入手可能である。 ( JISQ14001: 2004 )

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トラック運送事業としては11の環境対策からなる「環境基本行動計画」が全日本トラッ ク協会より示されています。この「環境基本行動計画」をベースにした「環境方針」を以下 にサンプルとして添付します。

【環境方針】

○○運送株式会社(以下当社)はトラック運送の事業を通して、環境負荷の低減が企業活動に おいて重要な責務であると認識し、以下の通り環境方針を定め、積極的に環境の保全に取組みま す。 1.事業活動、および当社の関連する業務、施設におけるすべての環境影響を確実に把握し、 下記事項について重点的に取組みます。 1)車両運行におけるエコドライブ(リデュース:使用量削減)に努め、CO2排出量削減 に寄与します。 2)その他の資源、エネルギーのリデュースに努めます。 3)輸送効率向上のため、実車率および積載率の向上に努めます。 4)廃棄物の減量を図るとともに、分別を徹底し、リユース(再使用)・リサイクル(再資 源化)を推進します。 5)有害排気ガスや黒煙の削減に努め、環境汚染の予防に寄与します。 2.環境関連の法規制、地方条例、業界の行動規範及び地域協定など当社が受入れを決めた規制、 基準を順守します。 3.トラック運送事業活動に対する環境目的・目標を設定し、PDCAサイクルを回し、環境マ ネジメントシステムの継続的改善に取組みます。 4.この環境方針を全従業員に教育、周知徹底するとともに、関係会社に対しても環境啓発活動、 指導を実施します。 5.この環境方針は社外に対しても公表し、宣言します。 平成 X年 X月 X日 ○○運送株式会社 代表取締役社長 ○○ ○○

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さて、前記の環境方針の規格要求事項には、d)に環境目的、目標の設定に関する記述があ ります。次に環境目的、目標の解説をしましょう。

(2)環境目的、目標の考え方

規格で環境目的は“組織が達成を目指して自ら設定する、環境方針と整合する全般的な環 境の到達点”、環境目標は“環境目的から導かれ、その目的を達成するために目的に合わせて 設定される詳細なパフォーマンス要求事項で、組織又はその一部に適用されるもの”と定義 されています。 つまり、「環境目的」は「環境のために、何をどこまで変えるのかという中長期計画」であ り、「環境目標」は「環境のために何をどう変えるのかという年度計画」ととらえます。 環境方針は、トップマネジメントの経営理念や企業としての展望や戦略から決定されます から、組織内のそれぞれの部門や階層(全社、部、課などの単位)で、環境方針と矛盾がな い内容の環境目的、目標を定めます。部門や階層の単位は組織の事情(規模や業態など)で 決めて良いことになっています。 これらを確実に設定し、実施計画をもとに実行することは、規格の要求事項になっていま す。 “実施できる場合は”とことわりはあるものの、通常は定量化した環境目的、目標を定め ることになります。また、a)および b)に、環境目的、目標は、責任と達成のための手段およ び日程を明示した実施計画を作り、実施、維持することが求められています。 環境目的、目標としてトラック運送事業の場合、本業から導き出されるものとして「使用 燃料の削減」や「廃棄物の削減」などが、また、方針から導き出されるものとして「仕事の 効率アップ」や「3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進」などがあります。 4.3.3 目的、目標及び実施計画 組織は、組織内の関連する部門及び階層で、文書化された環境目的及び目標を設定し、実施し、 維持すること。 目的及び目標は、実施できる場合には測定可能であること。そして、汚染の予防、適用可能な法 的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項の順守並びに継続的改善に関するコミットメン トを含めて、環境方針に整合していること。 その目的及び目標を設定しレビューするにあたって、組織は、法的要求事項及び組織が同意する その他の要求事項並びに著しい環境側面を考慮に入れること。また、技術上の選択肢、財務上、運 用上及び事業上の要求事項、並びに利害関係者の見解も配慮すること。 組織は、その目的及び目標を達成するための実施計画を策定し、実施し、維持すること。実施計 画は次の事項を含むこと。 a) 組織の関連する部門及び階層における、目的及び目標を達成するための責任の明示 b) 目的及び目標達成のための手段及び日程 ( JISQ14001: 2004 )

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トラック運送事業の場合の環境目的、目標の例を以下に示します。 【環境目的、目標の例】 ◎:責任者 ○:実行者 環境目的 (達成値) 環境目標 今期目標値 総 務 課 長 営 業 課 長 運 行 課 長 整 備 課 長 一 般 社 員 ド ラ イ バ ー 1 エコドライブの実施 走行燃費 10%向上 ◎ ○ 2 省燃費材料(タイヤ、 オイル)の採用 12 月までに保有車両の 90%採用 ◎ 3 デジタルタコグラフ の採用 年度末までに保有車両 の 20%装着 ◎ 4 点検整備の徹底 運行前点検の実施 100% ◎ ○ 5 運行経路の見直し 定期路線経路 3%短縮 ◎ ○ 6 実車率の向上 75%(+5%) ◎ ○ 車両 運行効率の 向上 (単 位燃料あた りの輸送トン・キロを 現 状 よ り 30% 向 上:5 年後) 7 WebKIT への加入 12 月までに ◎ 廃棄物の減量化 1 3Rの推進 処理委託量 30%削減(昨 年比) ◎ ○ ○ ○ ○ ○ 環境目的、目標を実際に実行していくのは主にドライバーや一般社員の方々になります。 そこで、定められた環境目的、目標をどのように果たしていくかという個人の目標や考え方 が必要となります。ここに「人づくり」としての教育が大きく関与します。 「車両運行効率の向上」を環境目的とした実施計画の例を次ページに示します。

参照

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