博 士 ( 獣 医 学 ) モ ワ チ シ ン バ ナ サ ン
学 位論 文題名
The cellular distribution of estrogen receptor ‑ al and ー mRNAs in the reproductive organs of the rat : an zn situ hybridization study
( ラッ トの 生殖器 にお ける エスト ロゲ ン受 容体ぱおよびpm RNA の 組 織 発 現 。 励 situ hybridization 法 に よ る 研 究 )
学位論文内容の要旨
本 研 究 で は 、 生 殖 器 の 器 官 形 成 お よ び 饑 能 調 節 に 関 わ る ェ ス 卜 口 ゲ ン の 役 割 を 明 ら か に す る 目 的 で 、 雌 雄 ラ ッ ト の 生 殖 器 に お け る エ ス 卜 口 ゲ ン 受 容 体aとl3( 以 下 、ERa、ERl3) mRNAの 組 織 ・ 細 胞 レ ベ ル で の 発 現 をin situ hvbriclization法 に よ り 検 索 し た 。ERの 発 現 に 関 す る 形 態 学 的 手 法 と し て 抗 体 を 用 い た 免 疫 組 織化 学 カ鞣 り用 され てき た が、 特異 性 が 高 く 、 あ る 程 度 の 定 量 性 が 可 能 で あ る た め 、rriRNTAを 検 出 す る 方 法 が 優 れ て い る 。 ERaは 雌 で は 主 と し て 卵 巣 、 雄 で は 精 巣 に 、 一 方 、ERl31ril雌 で は 卵 管 以 下 の 生殖 管に 、 雄 で も や は り 精 巣 輸 出 管 以 降 の 排 出 管 系 に 強 く 発 現 し て お り 、 雌 雄 間 で 受 容 体 の タ イ プ に よる発現様式が一致していた。
雌 ラ ッ ト の 成 体 で は 、ERamRNAの 最 も 強 い シ グ ナ ル は 卵 管 か ら 膣 ま で の 上 皮 と 上 皮 直 下 の 結 合 組 織 ( 問 質 、 支 質 ) に 発 現 し て い た 。 中 等 度の 強 さの 発現 は卵 巣に も 認め られ 、 ERamRI¥TAの シ グ ナ ル は 卵 胞 膜 と 問 質 腺 に 分 布 し て い た 。 発 生 過 程 の 雌 の 生 殖 器 に お け るE賦 ′nRNAの 最 初 の 発 現 は 、 胎 齢14日 目 の 卵 巣 お よ び 生 殖 管 原 基 の 未 分 化 問 葉 系 細 胞 に び ま んI生 に 認 め ら れ 、 発 育 が 進 む に っ れ 、 特 定 の 細1胞 に集 ぞく して いっ た 。発 達過 程 で の 生 殖 管 系 に お け るERoImRTr¥の 発 現 は 、 ま ず 上 皮 直 下 の 結 合 細 繊 に 強 く 発 現 し 、 そ の 後 主 要 な 発 現 部 位 が 上 皮 に 移 行 す る こ と で 特 徴 づ け ら れ た 。 こ の こ と は 、I瑚 質が 上皮 の 分化を誘導するという考えを支持するものである。
雄の成体では、ERcxmRNへは*お液の濃縮が行われる*お巣ii117cJ出管と*占巣上fイ巓1:1:の起始部 に と く に 強 く 発 現 し て い た 。 陰 茎 で は 、 他 頭 表 而 に 分 布 す る 触 覚 装 越 で あ る 陰 部 小 体 に 限 局し て いた 。ERaは 和ll経系 でも 広 く発 現し てい る が、 骨fYf:llir {#に 投射す る腰粒以I節の背 根 和lI経 節 に も 発 現 し て い る こ と から 、エ スト ロゲ ン が性 行勁 にぬ 接I刈与 して い るこ とが 示 唆された。ER(1L1 ll之NTAはこのほか、*「j管の縦走筋眉、171u生釟I′‖J泉、尿逆上皮および上皮下 の 結 合 組 織 に 中 程 度 の 強 さ で ジ さ 現 し て い た 。 雛 胎 子 の生 殖 器で は、JI台 齢1´1日で 蛾初 の
ERocmRN:Yの発現が児られ 、*Ij啝iiiIIUi'!i管、粘巣上体管起始部以外に*IIj巣のライディ`ソヒ 細 胞 ( 問 質 細 胞 ) 、 尿 道 海 綿 体 、 尿 道 上 皮 な ど に 認 め ら れ た 。 胎 子 、 新 生 子 の 陰 茎 で は 、 ERamRNAの シ グ ナ ル は 陰 茎 基 部 で 非 常 に 強 く 、 先 端 部 で 弱 く な る 傾 向 に あ っ た 。 陰 茎 で の 発 現 は 生 後 急 速 に 減 弱 す る こ と か ら 、 エ ス ト 口 ゲ ン が 陰 茎 の 発 達 に 重 要 で あ る こ と が 示唆された。
卵 巣 に お け るERl3mRNAは 卵 胞 形 成 が 始 ま る と 同 時 に(14日 齢 ) 顆 粒 層 に 限 局 し て 発 現 し 、 こ の 状 態 が 成 体 期 ま で 続 い た 。 成 体 雄 で のER{3mRNAの シ グ ナ ル は 副 生 殖 腺 と 尿 道 腺 の 腺 体 部 で 最 も 強 く 、 生 殖 細 胞 ( 精 細 胞 ) と 尿 道 球 腺 に 中 等 度 に 、 精 管 と 精 巣 上 体 に び ま ん 性 に 弱 く 発 現 し て い た 。 発 達 過 程 で は 、ER[3は 胎 齢14日 か ら 卵 巣 と 精 巣 原 基 に ERaと共発現するが、雌雄 の管系では周産期に一時的 に消失した。
胎 子 か ら 成 体 ま で の 雌 雄 生 殖 器 の さ ま ざ ま な 部 位 お よ ぴ 細 胞 型 に お け るERaとERl3の 発 現 様 式 か ら 、 以 下 の よ う な ェ ス ト 口 ゲ ン の 広 範 囲 な 役 割 が 示 唆 さ れ る 。1) 生 殖 器 の 器 官 形 成 、2ン ス テ 口 イ ド お よ び フ 工 口 モ ン の 産 生 、3) 精 液 の 濃 縮 と 輸 送 、4) 性 行 動 あ る い は 交 尾 。 さ ら に 、 本 研 究 か ら 、 エ ス ト 口 ゲ ン 様 作 用 を 有 す る 内 分 泌 撹 乱 物 質 の 暴 露 に よ っ て 起 こ る 生 殖 器 の 形 成 異 常 や 不 妊 に エ ス ト 口 ゲ ン 受 容 体 が 関 与 して いる こ とが 考え られ 、 この方面の研究の基礎デ ータを提供したといえる。
学位論 文審査の要旨 主査
副査 副査 副査
教授 教授 教授 助教授
岩 永 敏 彦 藤 田 正 一 高 橋 芳 春 橋 本 善 春
学 位 論文 題 名
The cellular distribution of estrogen receptor
― ぱ
and‐
mRNAs in the reproductive organs of the rat:
an励
situ hybridization stucly( ラ ット の生 殖器におけ るエストロ ゲン受容体 ぱおよび
p mRNAの
組 織 発 現 。 励
situ hybridization法 に よ る 研 究 )
本研究では、生殖器の器官形成および機能調節に関わるエス卜口ジェンの役割を 明らかにする目的で、雌雄ラットの生殖器におけるェス卜口ジェン受容体a とB (以 下 、
ERa、
ERI3) mRNAの 発 現 を 加
situ hybridization法 に よ り検 索 し た。
ERI3
は雌では主として卵巣、雄では精巣に、一方、ERa は雌では卵管以下の生殖 管に、雄でもやはり精巣輸出管以降の排出管系に強く発現しており、雌雄間で受容 体のタイプによる発現様式が一致していた。各部位ではERa とER(3 の細胞発現は棲 み分けされており、例えば卵巣では、ERa の発現は卵胞膜と問質腺に、ER(3 は卵胞 上皮と顆粒層に限局していた。
器官形 成時におけ るERa と
ERI3の最初の発現は、胎齢
14日目の生殖腺および生 殖管原基の未分化間葉系細胞にびまん性に認められ、発育が進むにっれ、特定の細 胞に集ぞくしていった。発達過程の生殖管系におけるERa の発現は、まず問質に強 く 発現 し 、そ の 後主 要 な発 現 部 位が 上皮に移行 することで 特徴づけら れた。
雄での
ER発現の特徴は、器官形成期の陰茎におけるERa の発現が強く、成長と ともに減弱すること、亀頭の触覚装置である陰部小体には成体でもERcc が発現して いたことであった。一方、ERI3 のシグナルは副生殖腺と尿道腺の腺体部に限られた。
全般的 に、
ERaが
ERI3より強くまた広範囲に発現しており、このことは
ERのノ ックアウトマウスでの異常発現の程度を裏付けるものであった。ER の発現様式から、
以下のようなェスト口ゲンの広範な役割が示唆された。1 )生殖器の器官形成、2 )卵
子 の輸 送、
3)精 液の濃縮と輸送、4 )ステ口イドおよびフェ口モンの産生、5 )性行 動や交尾の調節。