博 士 ( 獣 医 学 ) 村 田 史 郎
学 位 論 文 題 名
マレック病ウイルス強毒株のガンカモ類における 分布調査およびその強毒化因子に関する研究
学位論文内容の要旨
マレック病ウイルくぇ(MDV)は/`、′レくスウイ′レス科に属し、血清型1(MDVl)の強ミ毒抹のみ.カ§鶏に悪陸リンパ 腫 をひ き起 こ す。 近年 、 血清型1マレック病ウイ ノレスは強毒fける傾向にあ り、野外におけるワ クチンブレイ クが問題と なってきている。ま た、それまで知ら れていなかった野 鳥におけるマレック 病(MD)の発生カ゛ゝ2001 年 に 天 然 記念 物 であ るマ ガ ンに 確認 さ れた 。そ の ため 強毒 化 したMDV1に よる ワク チ ンブ レイ ク に加 え、 野 鳥による強 遘弧皿)V1の伝榊馳 ガく、さらにfま野鳥におけるアウトブレイクが懸唸される。そこで;苳研究では、
野 鳥 に お け るMDV1の 汚 染 状 況 の 調 査 を 行 っ た 。 加 え て 、MDV1の 病 原 陸 を 規 定 す る 要 因 と 疑 わ れ て い る MDV&D鮒Q弧q) に お け る 多 型 や 挿 入 に よ る 、Moqの 機 能 へ の 影 響 を 検 討 し 、 以 下 の よ う な 成 績 を 得 た 野鳥 でも 採mミ 容 易な 羽材 料 を用 い、MDV1特 異的 で ある ′nq、L→ 打田遺 伝子の構造の差に注 目して、MDV1 強毒株のi馨択的診断 法の確立を行った 。その結果、MDV1強 着蛛m{ ・d5株)慮該覇顛羊 ではウイル¢砧妾種後ユ 週 目 か ら 腦 遡 伝 子 、MDV1弱 毒 株 にm88株 ) 膨 繍 で は ウ イ ′ レ ス 掬 瓰 週 目 か ら し 岬 遺f斎 が 観 察 期 間 を通 して 優 勢に 検出 さ れ、Md5株 とCV1988株 の混合癈謀 鶏においては、′ れ印遺伝子がウイノ レス揺爾瓰週 日 か ら 実 験 期 間 を 通 じ て 優 勢 に 検 出 さ れ た 。 そ の た め、 羽 材料 を用 い た本 診断 法 はMDV1強 毒 耕撒 の選 択 的 な診 断に 適 して いる と 考え られ た ので 、野 外 での 応用 に 供し た。 調査対 象とした野生ガンカ モ類のうち、
マ ガン とシ ジ ュウ カラ ガ ンにM)V1が高 頻 度に 感染 し てい るこ と が確 認され7と。またヒシクイ については、
羽 材 料 か ら″ 瑚 遺伝 子を 検 出す るこ と はで きな か った が、 血 液材 料か ら 検出 され 、MDV1感染 の 拡大 が示 唆 さ れ 也 こ の よ う に 、 野 生 ガ ン カ モ 類 に お い て も 強 毒MDV1の 広 範 囲 な 感 譟 功 § 明 ら か に な っ た 。 病 原 陸 の 高bWDv1で は 、M明 の 転 貧 舌 幽 ば 髓 鰍 に 共 通 し た 変 異 が 見 ら れ 、 そ れ ら 変 異 が 病 原 陸 を 規 定 している可 お旨陞め゛ゝ考え られる。Meqは転写因子とし て様々な遺伝子の 発現を調節L′M匕に 寄与すること か ら、 この よ うな 変異 に よる転写活幽匕 肓旨への影響を解 析した。その結果 、転写活陸化調節領 域内における 変 異、 特に プ ロリ ンリ ッ チリ ビー ト にお ける 変 異に 依存 し てMeqの転 写活I畄匕能の増加が見ら れた。そのた め、Meqにおける変異が強毒化の一因であることがオ峻された。
Meqに60ア ミ ノ 酸 の 挿 入 を 含 むIふdeqを コ ー ド す るMDV1は、CV1988株を 含 めこ れま で に4株 報告 され て い る。 しヽ → 凱の 病原 陸 もmiltlMDVまた はぬmentMI)Vに属し、低い 病原陸を示す.。 そこで、しMeqと低病原 性との関連 を検討するため、L―Meqの機能解析を 行った。その結果 、L・Meqの転写活陸f匕肓皀はM.eqよりも低 く 、 さ ら に 形 質 転 換 能 に つ い て もMeqより も劣 る こと が明 ら かと なっ た 以上 の研 究 より 、L・Meqの 睦暖 源 性 はeqよ り も 極 め て 低 く 、L枇qを コ ー ド 尹 るMDV1の 低 病 原 陸 に 寄 与 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。 以 上 の 廊繍 ゝ ら、Meqに おけ る 多型 や挿 入 はDV1の病 原陸 と 深く 関わ っ てい ると 考 えら れー た また 、野 生 ガンカモ類 を対象とした分子疫 学調査により検出 されわ 岬遺伝子の:噛己歹「亅は、強毒MDV1と一致しており、
野生ガンカ モ類に分布しているMI)Vlは強毒株で ある可能陞カミ高しヽ。したがって、野生ガンカモ類や家禽に分 布 す るMDV1の 陸 け 胡 翠 析 を 今 後 も 継 院 し て 行 い 、M) 発 生 動 向 を 監 況 し て い く こ と が 必 要 で あ る 。 ―1016―
学位論文審査の要旨 主査 准教授 大橋和彦 副査 教授 梅村孝司 副査 教授 喜田 宏 副査 名誉教授小沼 操
学 位 論 文 題 名
マレック病ウイルス強毒株のガンカモ類における 分布調査およびその強毒化因子に関する研究
血清型 1 に分 類され るマレック病ウイルス (MDV1 )の強毒株は、鶏に悪性リンパ腫を 引き起こす。近年、 MDV1 は野外で強毒化する傾向にあり、ワクチンブレークが問題と なっている。また、野鳥(マガン)におけるマレック病の発生が確認きれ、野鳥による強毒 MDV1 の拡散 や野鳥 でのアウ トブレ ークが懸 念され る。本研 究では、 MDV1 強毒株特 異 的診 断 法 を樹 立 し て、 野 鳥 にお け る MDV1 の 汚染 状況の 調査を 行った。 さらに MDV1 の 病原 性 を 規定 す る 要因 で あ る Meq の 多型 や 挿入に よるMeq の機能 への影響 を解析した。
最 初 に 採材 が 容 易 な羽 材 料 を用 い て 、 MDV1 特 異 的 な meq 、L‑meq 遺伝子の 構造の 差に注目して、 MDV1 強毒株の選択的診断法を確立した。この方法により、強毒株と弱 毒 株(CVI988 株など) が混合 感染した 鶏でも MDV1 強毒株感 染を選択的に診断できる ことが示された。そこでこの診断法を用いて野生ガンカモ類を対象とした疫学調査を行 っ た 結 果、マ ガンなど が MDV1 に高 頻度に感 染して いること が確認 され、強 毒MDV1 が野生ガンカモ類に広く分布していることが示された。
野 鳥 や 国 内 の 鶏 か ら 検 出 さ れ る MDV1 を 含 め て 、 病 原 性 が 高 い MDV1 で は 、 Meq の 転写活 性化調節 領域に 共通した 変異がみられ、それらの変異が病原性を規定する 可 能性が 考えられる。Meq は転写活性化因子として種々の遺伝子発現を調節し腫瘍化 に寄与するので、このような変異による転写活性化能への影響を解析した。その結果、
転写活性化調節領域内における変異、特にプロリンリッチリピートにおける変異に依存 し てMeq の転写活 性化能 が増加し 、Meq における変異が強毒化の一因であることが示 唆された。
Meq に 60 ア ミ ノ 酸 の 挿 入 を 含 む L‑Meq を コ ー ドす る MDV1 は 、 CVI988 株 を 含め 、 いずれも低い病原性を示す。そこで、 L‑Meq と病原性との関連を検討するため、L‑Meq の機能解析を行った。その結果、L‑Meq の転写活性化能は Meq よりも低く、さらに形質 転 換能に ついても Meq よ り劣るこ とが明らかとなり、 L‑Meq がMDV1 の低病原性化に関 与していることが示唆された。
以 上の成 績より、 野鳥や 国内の鶏 から検出される MDV1 ではウイルス発癌遺伝子産 物 Meq に 多 型 や 挿入 が 見 られ 、 そ れら の 変 化が Meq の 機 能 に影 響し 、MDV1 の病原 性変化に関与することが示唆された。
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