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博 士 ( 薬 学 ) 石 山 玄 明

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Academic year: 2021

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博 士 ( 薬 学 ) 石 山 玄 明

学 位 論 文 題 名

海洋 産新 規 アセ チレ ン 化合 物 TaurosponginA の構造研究 ならびに 海洋産マクロリド AmphidinolideB の合成研究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

沖 繩 産 海 綿Hippospongfasp. よ り 単 離 し たtaurosponginAは 、DNAポ リ メ ラ ー ゼpお よ び HIV逆 転 写 酵 素 に 阻 害 作 用 を 示 す 新 規 化 合 物 で あ る 。TaurosponginAは 、 タ ウ リ ン 、 卜 リ ヒ ド ロ キ シ ル 脂 肪 酸 お よ び ァ セ チ レ ン カ ル ボ ン 酸 から 構 成 さ れ るユ ニ ー ク な 構造 を も つ 化 合 物で あ る 。 こ のtaurosponginAの 立 体 化 学 を 明 ら か に す る 目 的 で 、3個 の 不 斉 炭 素 を 含 む タ ウ リ ン が 結 合 し た 脂 肪 酸 部 分 の 立 体 異 性 体 を 光 学 活 性 体 と し て 合 成 し 、 そ の 絶 対 立 体 配 置 が3R7S,9R で あ る と 決 定 し た 。 一 方 、 渦 鞭 毛 藻Ampんfd加 んmsp. よ り 以 前 に 当 研 究 室 で 単 離 さ れ た amphidinolideBは 、 顕 著 な 殺 細 胞 活 性 を 示 す26員 環 マ ク 口 リ ド で あ る 。 本 研 究 で は 、 末 だ 全 絶 対 立 体 配 置 が 明 らか に さ れ て ぃな いamphidinoIideB関 連 マ ク ロリ ド (amphidinolideG,H| お よ びL) の 立 体 化 学 の 解 明 と 、 これ ら の モ 冓 造活 性 相 関 を 目的 と し て 、amphidinoIideBお よ び 関 連 化 合 物 の 合 成 を 計 画 し 、amphidinoIideBの 下 半 分 に 相 当 す るC1〜C13セ グ メ ン 卜 お よ び 上 半 分 に 相 当 す るC14〜C26セ グ メ ン ト の 合 成 し た 。

1)Taurospong!口 金堕 遣遺研 究

沖 繩 産 海 綿Hゆp〇sp〇ngねsp. の メ タ ノ― ル 抽 出 物 のn‐Bu〇H可 溶 画 分 を 、シ リ カ ゲ ル カラ ム 、 お よ び ゲ ル ろ 過 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よル キ 轟 製 し 、 新規 化 合 物 と してtaurosponginA(湿 重 量 か ら の 収 率 、O.02% ) を 単 離 し た 。TaurosponginAをジ ア ゾ メ タ ン処 理 し て 得 られ た メ チ ル エ ス テ ル 体 に つ い て 、 各 種 二 次 元NMRを 測 定 し 、 詳 細 に デ ー タ 解 析 す る こ と に よ り 、 タ ウ リ ン な ら び に2種 の 脂 肪 酸 か ら 構 成 さ れ る 構 造 が 導 か れ た 。 こ の 際 、 数 種 のHMBC法 の 組 み 合 わ せ

(DーHMBC法 、gradientHMBC法 お よ びHMBC法 ) に よ り 、1H‐1℃ 遠 隔 相 関 に 関 す る 有 効 な 情 幸 艮 が 得 ら れ 、 エ ス テ ル と ア ミ ド の 結合 位 置 が 特 定 でき た 。Taur03ponginAの メ タ ノ リシ ス に よ り 二 種 の 生 成 物 、 す な わ ち ア セ チ レ ン を 含 む 不 飽和 脂 肪 酸 メ チ ルエ ス テ ル お よび ト リ ヒ ド ロ キ シ ル ア ミ ド が 得 ら れ 、 そ れ ぞ れ の マ ス ス ペ ク ト ル デ ー タ か ら 、2種 の 化 合 物 のメ チ レ ン 炭 素 数 を 明 ら か に し た 。 以 上 の 結 累 か ら 、taurosponginAの 平 面 構 造 を 明 ら か に し た 。 次 に、C7| C9位 の1.3゛ ジ オ ー ル 部 分 の 相 対 立 体 配 置 は 、 ト リ ヒ ド ロ キシ ル ア ミ ド よル ア セ ト ニ ド体 を 調 製 し 、 ア セ トニ ド 部 分 の13CNMRの 化 学 シ フ 卜値 (6c19,9,30.3t98.4) か ら 、Rychnovskyら の 幸& 告 に 基 づ き、s朋 配 置 であ る と 帰 属 し た。 さ ら に 、 トリ ヒ ド 口 キ シル ア ミ 卜. アセト ニド体 に 含 ま れ る3個 の 不 斉 炭 素 の 絶 対 立 体 配 置 を 明 ら か に す る 目 的 で 、 ニ 種 の ジ ア ス テレ オ マ ― を 光 学 活 性 体 と し て 合 成 し 、 天 然 物 か ら 誘 導 し た 相 当 す る 化 合 物 と1Hお よ び1コCNMRス ペ ク ト ル を 比 較 す る こと に よ り 、taurosponginAの 相 対立 体 配 置 が3S. ,7日 .,9S. で ある こ と を 明 らか にした 。合成 した化 合物 の比旋 光度の 値(【 矼] 。十0.65゜)が小さぃため、天然物から誘導したトリ ヒ ド ロ キ シ ル ア ミ ド を (S) ‐MTPA工 ス テ ル 体ヘ 導 き 、 一 方 、合 成 し た 化 合物 を . ( 同 ‐お よ び

(S) ‐MTPAエ ス テ ル 体 ヘ 誘 導 し 、1HNMRス ペ ク ト ル デ ー タ を 比 較 す る こ と に よ り 、 taurosponginAの絶 対立体 配置は3R7S,9Rで ある と決定 した。

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2)AmphidinolideBの 合成5升 究

(i)逆合成計画

AmphidinolideBは26員 環 マ ク □ リ ド で あ り 、9つ の 不 斉 炭 素 、 エ キ ソ メ チ レ ン を含 むS‑

シスジェン部分、およびァリ ―ルエボキシド部分が存在 する。そこで、化学的に不安 定である と考えられるアリ―ルェボキ シド部分は、マクロラク卜 ン環を構築した後に導入する ことを計 画し た。 絶対 立体 配置の異 なる化合物の合成も考え、Sharplessの不斉エボキシ化 および不斉 ジヒ トロ キシ ル化 反 応を 用い て、C1〜C13およ びC14〜C26セグ メン トを立体選択 的に合成す ることにした。また、合成を より簡便に行うため、両セグメントともに(2S,4 S)‑2,4‑ペンタン ジオールを出発物質として用 いることにした。

(ii)  C1〜C13セグメン卜(下 半分)の合成

1 ,4‑ブタ ン ジオ ―ル を出 発物 質として、4工程でア セチレン体(C3〜C7)を合成 した。―方、

'2S.4S)‑2,4・ペンタ冫ジオ ールを出発物質として、Sharplessの不斉エポキシ化反応を用い、

13工 程 で ア ル デ ヒ ト . 体(C8〜C13)を 合 成 し た 。 両 化 合 物 を カ ッ ブ リ ン グ し 、5工 程 で C1〜C13セグメント(下半分) を合成した。

(mC14〜C26セグメント (上半分)の合成

  3. メ チ ル‑3‑ブ テ ン‑1‑オ ー ル を 出 発 物 質 と し て 、Coreyら の 方 法 に よ ル ジ オ ― ル 体 (C15〜C18)ヘ導き、7工 程でアルデヒド体(C14〜C18)を合成した。―方、(2S|4S)‑2,4・ペン タン ジオ ー ルか ら、 塩入らの方法によルニ卜リル 体を合成し、Sharplessの不 斉ジヒド口キシ ル化 反応 を 用い 、9工 程 でケ トン 体(C19〜C26)を 合成した。最後に、ケ卜ン 体(C19〜C26)と ア ル デ ヒ ド 体(C14〜C18)の ア ル ド ― ル 反 応 に つ い て 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 塩 基 と し て KHMDSを 用い た とき 、可 能な2種 のア ルド ― ル付 加体 のう ち 、望 みと する 一方 の ジァ ステ レ オマ ーを 優 先し て得 られ るこ と がわ かっ た。以 上によりC14〜C26セグメン卜 (上半分)の合 成が完了した。

3) まと め

TaurosponginAの構造石幵究について は、沖繩産海綿Hippospongia sp.よルタウリン、卜リヒ ド ロ キ シ ル 脂 肪 酸 お よ び ァ セ チ レ ン カ ル ボ ン 酸 か ら 構 成 さ れ る ユ ニ ー ク な 構 造 を も つ taurosponginAを 単離 し、 平面 構 造は 天然 物の 誘導 化 反応 と各 種二 次元NMRスペ ク トル デー タの詳細 な解析の組み合わせにより明 らかにした。さらに天然物 から誘導した化合物の可能な 2種 のジ アス テ レオ マー を合 成 し、 スペ クト ルデ ―タの比較によ り、taurosponginAの全絶対 立体配置が3R 7S,9Rであることを明らかに した。

― 方、 amphidinolideBの合 成 研究 につ いて は、Sharplessの不 斉エポキシ化およびジヒド口 キシル化反応を 用い、共通の出発物質((2S, 4S)‑2|4‐ペンタンジオール)から立体選択的に、

amphidinolideBの下 半 分お よび 上半 分を 合 成し た。上半分の合 成では、アルド―ル反応の条 件j貪ミ寸 を行い、KHMDSを用いたとき 、望みとする一方のジアス テレオマーが優先して得られ る とぃ う知 見を 得た 。 今後 、C1〜C13お よびC14〜C26セ グメ ン卜 をカ ッ ブリンクすることに より、amphidinolideBの全合成が達成できる と考えられる。

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(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 助教授

小林 橋本 中島 森田

淳一 俊一      誠 博史

     学位論文題名

海洋産新規アセチレンイ慟TaurosponginA の構造研究 ならびに海洋産マクロリドAmphidinolideB の合成研究

   海 洋 生 物 か ら は 、 特 異 な 化 学 構 造 を も つ 多 種 多 様 な 2 次 代 謝 産 物 が 数 多 く 分 離 さ れ 、そ の 構 造 解析 、 全 合成 、 生 物活 性 等 の研 究 が 活発 に 行 われ て い る 。    本 研 究 で は 、 特 異 な 化 学 構 造 と 生 物 活 性 を も つ 天 然 有 機 化 合物 の 構 造 解析 を 行 う 目 的 で 、 1 ) 海 綿 Hippospongia sp. よ り 単 離 し た 新 規 ア セ チ レ ン 化 合 物 TaurosponginA に つ い て 部 分 合 成 に よ る 立 体 化 学 の 解 明 、 2 ) 渦 鞭 毛 藻 Amphidinium sp. 由 来 の マ ク ロ リ ド Amphi di nolideB の 全 合 成 を め ざ し た セ グ メ ン ト の 合 成 、 を 行 っ た 。

1 ) Taurospongin 金 の 構 造 研 究

   海 綿 Hi ppospongfasp . よ り 、 夕 ウ リ ン 、 ト リ ヒ ド ロ キ ジ ル 脂 肪 酸 、 お よ

び ア セ チ レ ン カ ル ボ ン 酸 か ら 構 成 さ れ る ユ ニ ー ク な 構 造 を も つ

TaurosponginA を 単 離 し 、 誘 導 反 応 と 各 種 二 次 元 NMR デ 一 夕 の 詳 細 な 解 析

に よ り 平 面 構 造 を 明 ら か に し た 。 さ ら に 、 3 個 の 不 斉 炭 素 を 含 む ト リ ヒ ド ロ

キ シ ル 脂 肪 酸 部 分 に つ い て 、 可 能 な 2 種 の ジ ア ス テ レ オ マ ー を 合 成 し 、 対 応

す る 天 然 物 と の ス ベ ク ト ル デ 一 夕 の 比 較 に よ り 、 TaurosponginA の 絶 対 立

体 配 置 を 明 ら か に し た 。

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2 ) Amphidinolide BO) 合fSe 研究

  Amphi di nolideB は、9 つの不斉炭素、エキソメチレンを含むS ーシスジ エン部分、およびアリールエボキシド部分を含む26 員環マクロリドである。

Sharpless の不斉工ボキシ化およびジヒドロキシル化反応を用い、共通の出 発 物 質 ( ( 25 , 45) ― 2 , 4 ― ベン タン ジオー ル) から 立体選 択的 に、

Amphi di nolideB の下半分および上半分を合成することに成功した。上半 分の合成では、アルドール反応の条件検討を行い、 KHMDS を用いたとき、

望みとする一方のジアステレオマ―が優先して得られるという知見を得た。

現在、両セグメン卜をカップリングすることにより、Amphi di nolideB の 全合成に向けて検討中である。

   以上本研究では、海洋生物より単離した特異な構造をもつ2 種の化合物に ついて、TaurosponginA の場合は分光学的手法と合成化学的手法を用いて 構造解明に成功し、Amphi di nolideB の場合は全合成の足がかりとなる分 子の上半分と下半分の合成に成功している。とくに、 TaurosponginA につ いては、スペクトルデ一夕だけから立体化学を特定するのは困難であり、合 成による確認が必須であった。また、この化合物は、DNA ポリメラーゼ口と HIV 逆転写酵素を特異的に阻害する興味のある活性が見い出されている。ー 方、Amphi di nolideB については、多くの合成化学者が全合成に挑戦して いるが未だに達成されておらず、全合成が難しい天然物のひとつである。興 味深い生物活性を示す関連マク口リドの立体化学を合成化学的に明らかにす るためにも、立体化学が解明されているAmphi di nolideB の合成法を確立 することは重要である。本研究では全分子の両半分の合成に成功しており、

全合成の大きな足がかりを築いたものと言える。本研究は、新しい天然有機

化合物の発見、合成的手法による立体化学の解明、という点で天然物化学の

分野で優れた研究成果を挙げられたものといえる。本研究成果は、既に国際

学術誌に発表もしくは受理されており、博士(薬学)の学位を受けるに値す

る業績と判断された。

参照

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