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博 士 ( 薬 学 ) 南 保 明 日 香

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Academic year: 2021

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博 士 ( 薬 学 ) 南 保 明 日 香

     学 位 論 文 題 名

Lipopolysaccharide(LPS) カ ミ 惹 起 す る HepG2 に お け る   LPS‑binding protein(LBP) の 産 生 機 構 お よ び LBP      フ ァ ミ リ ー の 構 造 と 機 能 に つ い て の 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

序論

  ].LP:S芯惹起立るヒヒ培養且壬細胞日£QG2におf士るLBE産生挫撞にユi)工:LPS(リボ多糖)

はグラム陰性菌外膜 の主要構成成分のーつであり ,感染によって血中に侵入した細菌の外膜か ら遊離した.LPSは, 重篤な炎症反応を引き起こす.これまでの研究から,この反応機キ冓には主 にCD14お よ びLBPの2つ の タ ン パ ク 質 が関 与す る こと が明 らか とな っ てい る.CD14は単 球 やマクロファ ージ系細胞の分化抗原として 知られる分子量55KのGP|ア ンカー型タンノヾク質 で あ り ,LPSレ セ ブ タ ー と し て 機 能 す る . ま たLBPは 分 子 量60Kの 血 漿 タ ン バ ク 質 で , LPS−LBP複合 体を 形 成後LPSを 速 やか にCD14ヘ 運 搬す る. その 結果 , 細胞 内情 報伝 達が 生 じ,TNF‑aやIL一1,6などの炎症性サイトカインが放出される.

  LBPは炎症時 に肝細胞での産生が著しく 亢進する急性期夕ンバク質と しても知られている.

その産生機構 として,LPS一LBP刺激によル マクロフ7−ジから放出され た炎症性サイトカイン が肝細胞に作 用してLBPの産生を促進する というモデルが示唆されてい るが,その詳細は不明 であ る, 筆 者は ,LPS−LBPが肝 細胞 を直 接刺 激 することで,迅速なLBP産生が生じるという 機構を想定した,そ して,この機構の有無を検証 する目的で種々の解析を行った結果,得られ た知見を上に示す.

  2 L旦巴およ亜B巴1の盆壬内遊離S日基がL2S結 合活性に及ぼ士髢饗にユt)工:LBPと同じフ ァミリーに属するBactericidal/permeability−increasing protein(BPI)は,グラム陰性菌に特異 的な抗菌タンノヾク質(分子量55 K)であり,好中球の脱顆粒反応により体液中に放出される。ヒ トLBPとBPIは 一 次 構 造 上45% の 相 同 性を 示し 、 いず れもLPS結合 部位 近傍 に 遊離SH基 を1 個保持することが知 られている(LBP:Cysー61お よびBPI:Cys−132).また|BP|のLPSに対 する 親和 性 (Kd =lOnM) はLBPよ り10倍 高い こと が報 告 され てい る. そこ で,筆者はLBPと BPIのLPSに 対す るKdの違 い が遊 離SH基の 位置 の 違い に起 因す る可 能 性を 考えた.そして,

こ の 機 構 の 詳 細 を 明 ら か に す る 目 的 で 解 析 を 行 っ た 結 果 , 得 ら れ た 知 見 を2に 示 す ,

  結果 およ び考 察

! .L.PS‑左 ! 靈 a芝 盃 ヒ と 培 養 圧 鈕 1deo G2に 盡 圧 盃L足2産 生 控 撞 に2[ ! 工   ]LH豊QG2に おf士るCD】 蠱の 発現 : 抗CD14モ ノクローナル抗体を 用いてHepG2のフ口ーサ イ ト メ ト リ 一 解 析 , お よ びHepG2由来 のtotal RNAを 用い たRTーPCRを 行っ た 結果 |HepG2 に おけ るCD14の 発 現が 認め られ ,ま た ,Pl−PLC処理によりこれがGP|アンカ―型であるこ と が 示 さ れた .さ ら に,HepG2に 対す るLBP依 存的 なFITCーLPSの結 合 活性 が認 めら れ た.

  2) LPS‑L.BP恕1澂し たH£QG2に お【 士るLBP産生 とCQ]4発現 の 鰹折 :HepG2をLPSとLBP を 含む 無血 清培 地 中で37℃で1時間刺激 し,PBSで洗浄後,何も含ま ない無血清培地中で種々 の 時 間 培 養 し , 培 養 上 清 中 のLBP産 生 をCHOーCD14とFITC―LF'Sを用 いたLBP assayで|

ま たHepG2のCD14発 現量 を1)に 示し た フロ ―サ イトメ卜リ一解析で 測定した,また,HepG2

595

(2)

由来total RNAを用いた半定量的RT―PCRにより、LBPおよびCD14mRNA発現を解析した,

その結果,LPSーLBPはHepG2を有為に活性化し,LBP産生とCD14発現を亢進することが明 らかになった.また抗CD14モノクロ―ナル抗体を用いた解析から,LPS−LBP刺激による HepG2の活性化はCD14依存的であることが示された.

  弖)HeDG乙に対立るLP$ニL―,B巳のprimingの効果:2)に示した方法で,HepG2をLPS−LBP 刺激(priming)した後,さらにIL−6とTNF‑aを含む無血清培地中で培養し,LBP産生および CD14発現を解析した,その結果,LPS−LBPでprimingしたHepG2をさらにサイトカインで 刺激することで,LPS−LBPあるいはサイトカイン単独刺激と比較して|HepG2の活性化が増 強することが示された,

  以上の結果,LPSが惹起する肝細胞でのLBP産生機構として,(1)LPS−LBPがCD14を介 して肝細胞を活性化し,LBP産生およびCD14発現を亢進する,(2)産生されたLBPおよび CD14は肝細胞およびマクロファージの活性化をさらに亢進する|(3)LPSーLBPでprimingさ れた肝細胞は,活性化マクロファージが産生する炎症性サイトカインでさらに刺激され,LBP 産 生 と CD14発 現 が 劇 的 に 増 強 す る , と い う カ ス ケ ― ド 機 構 が 示 さ れ た , 2: とBPお よ ひBPI五 盆 王 四 遊 離SH基 左 !LPS結 合涯 世 に およ 篋 之 彪鏗 に2! 〕工   ])各変異佳のCHQ‑K1細胞エの発現と精製:LBPおよびBP|の遊離CysをSerまたはAla に置換した変異体(LBP−C61S,BPI−C132A),またはそれぞれの遊離Cysの位置を交換した変 異体(LBP−C61 S/A132C,BP|−F61 C/C1 32A)のcDNAを作製した,これらを,発現ベク夕―

に連結後,CHO−Kl細胞に形質導入し,得られた細胞株の培養上清から各変異体を精製し,以 降の解析に用いた,

  2)!:BPおよひBPI変異佳を目!)たLP$結合活性の比較:カブトガニ血球由来のLPS感受性 セリンブ□テア―ゼ前駆体FactorCを用いた測定系により各変異体のLPS結合活性を比較した その結果,LBP−C61SおよびBPトC132AのLPS結合活性は,wildーtype (wt)と比較してそれぞ れ約1110と1/2に低 下した。―方,LBP−C61S/A132CおよびBPI−F61C/C132Aの活性は,

それぞれwtと同程度であった。

  3)螢光偏光法を目t)た各変異佳とFl工C‑LP$との結金速度の鰹折:各変異体をFITC―LPS と共に37℃で反応し,螢光偏光度の経時的変化をBeacon 2200を用いて解析した,その結果,

LBP変異体については顕著な違いは認められなかったが,BPIはLBPと比較して迅速なLPS 結 合 性 を 示 し | さ ら にBPI−C132AとBPI‑F61C/C132Aが緩 慢 な 性 質に 変 化 した .   疊) LBP変異佳のLBP活性およ型BP!変異佳の抗菌活性の比較:LBPのLBP活性およびBPI の抗菌活性に対する遊離SH基の影響を検討した結果,LBPとBPIのいずれにおいても,LPS と 結 合 し た 後 に 示 す 機 能 に は 遊 離Cysは 関 与 し な い こ と が 明 ら か に な っ た ,

まとめ

筆者は本研究により以下のことを明らかにした,

!に2!!工

1.これまで単球やマクロファージ系細胞にのみ発現が認められていたCD14がHepG2にお     いても発現しており,これがGP|アンカー型であることをはじめて明らかにした.

2.LPS−LBPはCD14を介し てHepG2を強カに刺激し,LBP産生とCD14発現を促進した,

3.LPS―LBPでprimingしたHepG2をさらにサイトカイン刺激することにより,HepG2に   おけるLBP産生とCD14発現の亢進が増強することが示された,

2に2t!て

1.LBPとBPIの分子内遊離CysはLPSとの結合活性に関与しており|その影響はLBPの分   子内遊離Cysの方が大きいことが示された,また,位置は重要ではないことが示唆された.

2.BPIの示す迅速なLPS結合活性に分子内遊離Cysが関与しており,その位置も重要である   ことが示唆された.

3.LPSと 複合体 を形成し た後のLBPのCD14へ のLPS運搬活性IおよびBPIの抗菌活性に   は分子内遊離Cysは関与しないことが示唆された,

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Lipopolysaccharide (LPS )が惹起するHepG2 における   LPS ‐binding protein (LBP )の産生機構およびLBP     r

     フ ん ミ リ ー の 構 造 と 機 能 に つ い て の 研 究

  LPS は大腸菌やサルモネラ菌に代表されるグラム陰性菌外膜の主要な構成 成分のーつであり、生体に侵入したグラム陰性菌から遊離したLPS は血液凝 固反応や多臓器機能不全、発熱反応に代表される炎症反応を惹起し、重篤な 場 合 は 敗 血 症 を 誘 発 し て 死 に い た ら し め る 場 合 も あ る 。    この LPS が惹起する炎症反応は、LPS が血漿蛋白質LBP と複合体を形成 し、マク口ファージのLPS 受容体,CD14 ,に結合することにより開始され る。LPS 刺激を受けたマク口ファージから各種のサイトカインが遊離され、

炎症を惹起する。LBP は炎症時に血巾濃度が上昇する急性期蛋白質であり、

その機構はマクロファージ由来のサイトカインが肝細胞を刺激することによ ると考えられてきた。

   本博士論文の前半部は、肝培養細胞HepG2 を用いたLPS の炎症惹起機構に 関 す る 解 析 結 果 で あ り 、 以 下 の よ う な 成 果 を 挙 げ て い る 。   1 : LPS 受容体のCD14 がマクロファージ以外にも肝細胞にも発現してい      ること。

    2 :  LPS はLBP 複合体としてHepG2 を強カに刺激し、LBP 産生とCD14 発      現を亢進させた。

    3 : LPS ーLBP で前刺激したHepG2 をサイトカイン刺激すると、HegG2 に      お け る I̲BP 産 生 と CD14 発 現 が 急 激 に 亢 進 す る こ と 。

幸 彦

靖 和

村 橋

長 野

高 大

授 授

授 授

   

   

教 教

教 救

助 助

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

   これらの知見は、LPS の作用機構として、マク口ファージを介さない直接 的な肝細胞活性化を提唱するものであり、極めて独自性の高い研究成果とい える。

   本論文の後半部は、LBP と同様にLPS 結合活性を示す自血球内蛋白質,BPI , とLBP との構造・機能の相違に関する解析結果であり、以下のような研究成 果を挙げた。

  1 :  LBP および BPI の分子内遊離Cys 残基はLPS に対する結合活性に関与し      ており、その影響は LBP の方が大きい。

  2 :  BPI は LBP と比較して迅速な LBP 結合活性を示し、この迅速な結合活      性に分子内遊離SH 基が関与している。

  3 ;LPS − LBP 複合 体を形成し た後の LBP の CD14 へのLPS 運搬活性には、

     分子内Cys 残基は関与しない。

  4 : BPI は 抗菌活性が あるが、こ の活性には 遊離 SH 基は関与 しない。

   上記の研究成果は、LPS による種々の炎症応答を制御する医薬品の開発研

究に有カな手がかりを与えうるものであり、博士(薬学)の学位に値する業

績と評価した。

参照

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