価格決定
管理会計
Ⅰ 価格競争はなぜ起こるか
1.価格競争とは何か 2.価格競争が起こる2つの要因 3.適正な価格決定の方法とはⅡ
適正な価格決定の方法
1.価格決定のため2つの戦略 2.価格決定の方法 3.原価計算の方法Ⅲ
値下げと値上げの利益への影響
1.赤字を引き起こさない値下げの限界点 2.値下げ要求に応じるべきかの判断 3.値下げと値上げが利益に及ぼす影響管理会計
価格決定
価格とは物の値打ち、または価値を金額に表したものです。 当然のことですが、商品が売れなければ企業の経営は成り立ちません。ところが、自社 の商品・サービスを購入するか、それとも別のメーカーのを購入するかの決定権は全面的 に顧客の側にあり、売り手側には何の命令権も決定権もありません。 売れる商品無くして顧客は無く、顧客無くして売上げは無く、売上無くして利益は無く、 また利益無くして経営は成り立ちません。 大抵の市場には同業他社がいることを考えれば、企業活動は同業他社にいかに勝つかと いうことになります。 企業規模の大小と業種の如何を問わず、すべてに企業が自社の利益の増大と発展を目的 に、短期・長期的な経営計画を展開して売上高の増大を図り同時にコストの低減計画を推 し進めて、同業他社より有利な立場に立とうとして相互に競い合っています。 ■企業間競争の手段 こういった企業間の競争においては、価格の競争に勝利することが売上拡大へと直結しⅠ
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価格競争はなぜ起こるか
価格競争とは何か
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価格決定
つまり、価格競争とは以下のように定義することができます。 競合企業との販売競争には、販売地域があまり重ならない状態での競合と、同一地域で 相手の得意先を奪い取る争奪競争とがあります。 値下げによる価格競争は、最終ユーザーに対して良いものを安く販売するという当たり 前の市場活動につながります。この際には、戦略性のない安売りではなく、企業努力によ って次のような正攻法の廉価販売を行わなければなりません。 ●メーカー直売や薄利多売の高回転率方式 ●流通経路の短縮、店舗の軽装備による固定費の大幅な削減 ●労働コストの安い東南アジアなどでの生産 ところが、中には同業者が安売りすると、何の差別化策も持たずに追随して値下げを行 い、損得を無視したまま乱売に走る企業が多く見受けられます。 これは決して単一の問題ではなく、いくつかの原因が複雑に絡み合っているものですが、 大きく分けて「内部要因」と「外部要因」の2つに分けることができます。 内部要因と外部要因のそれぞれの具体例には、以下のようなものがあります。2
価格競争が起こる2つの要因
価格競争とは
企業間競争の手段として価格を用いる場合をいう。つまり、価格の値下げによって市場 占有率の拡大、または維持を図ろうとするもの管理会計
価格決定
以上で見てきたように、戦略性のない価格競争はいたずらに企業を疲弊させる結果にな りかねません。では、疲弊状態へと陥らないためには、どのように価格決定を行えば良い のでしょうか。 次章以降、適正な価格決定を行うため、次のような課題について見ていきます。 ●適正な価格決定の方法 ●価格を形成する原価要素と計算の手順 ●値下げと値引きの限界点3
適正な価格決定の方法とは
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価格決定
前章までで見てきたように、価格決定は戦略をもって行わなければなりません。場合に よっては、少々の価格競争も止むを得ずとし、シェアを伸ばすことを優先することもあり ます。問題となるのは、そこに戦略や見通しがあるかどうかです。 価格を決定する上での戦略とは、大別すると以下の2点になります。 戦略的に価格を決定する場合、次のような背景要因を考慮しなければなりません。Ⅱ
適正な価格決定の方法
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価格決定のため2つの戦略
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価格決定
(1)業種によって異なる価格決定の方法 考慮すべき背景要因や業種・業態などによって、適正な価格決定の方法は異なります。 しかし、一般的には、次のような方法によって決定されています。 いずれにせよ、原価が分かっておらず適正な価格付けがなされていなければ、商品が大 ヒットとなっても、売れば売るほど収益がマイナスになるという事態を招きかねません。 (2)一般的な価格決定方法 製造業の場合、製品1個当たり製造原価に一般管理販売費を上乗せした総原価に、適正 利益を足して価格を算出する方法が一般的です。したがって、価格を決定する場合には総 原価の集計が不可欠であり、同時に明確な必要利益を上乗せすることも不可欠となります。 適正利益といっても、業種や企業の方針により、また企業の内の製品によって異なりま すが、次の④と⑤のようにして算出する方法が有名です。2
価格決定の方法
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価格決定
① 価格 = 単位当たり総原価 + 適正利益 ② 総原価 = 製造原価 + 仕入れ原価 + 一般管理販売費 ③ 製造原価 = 材料費 + 労務費 + 製造経費 ④ 適正利益 = 適正配当金 + 適正役員賞与 適正内部留保金 1 – 税率 ⑤ 適正内部 留保金 = 借入金 返済原資 + 社債償還 原資 + 設備投資 用準備金 + その他 このようにして算出された適正利益を、個々の商品別に割り振って上乗せすることにな りますが、結果的にどんな事情があろうと、会社全体としてこの目標利益を確保しなけれ ば、中期・長期経営計画の土台は崩れ、下方修正を余儀なくされます。 この原価に会社で適正利益を上乗せして価格を決定する方法には、2つの狙いが含まれ ています。1つは、各商品1個当りの利益確保であり、もう1つは、企業全体の目標利益 を獲得することです。この狙いは、需要が供給をオーバーしている売り手市場の場合か、 あるいは売り手に価格の支配力が掌握されている場合に限って有効な方法です。 しかし、同一製品の分野に、東南アジアを含めて多数企業の新規参入が現れ、供給過剰 となり、市場の環境事情が変わると、市場価格は下降傾向になります。ところが、それで もなおかつ多くの企業が、総原価+利益の積み上げ方式に固執する理由は、次のような利 点があるからです。 ■総原価に利益を加算して価格決定を行う長所 しかし反面、次のような短所もあります。 ①価格決定が比較的簡単 ②総原価に一定の利益を上乗せする方式なので、消費者に対して合理性を訴えられる ③販売量の予測が困難でも、それなりの利益が確保できる ④値下げ、値引きの限界がわかる ⑤仕入価格の交渉と原価低減目標が立てやすい ⑥粗利益率がわかるので利益計画が立てやすい管理会計
価格決定
■総原価に利益を加算して価格決定を行う短所 一口に“価格”といっても、製造、卸、小売という流通過程から区分すると、下図のよ うに3段階に分類されます。 ①消費者の値ごろ感、または価値観を無視する危険性がある ②同業他社との価格競争で弱みが出てくる ③原価計算によって確定した原価を、正確無比なものと過大視し、機会損失が生じやす い ④変動費と固定費の分類計算をしないので損益分岐点がわからない ⑤操業度の変化による原価の高低が覆い隠されてしまう3
原価計算の方法
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(1)全部原価計算方式 生産者価格を決定する最も大きな要素は製造原価ですが、その原価は大別して次の3つ の要素から構成されます。 製造原価の計算手順として第1段階は要素別、または費目別に計算をし、次の第2段階 では部門別または工程別に原価を集計します。そして最後の第3段階では、総原価を完成 品数量で割り、製品1個あたりの単位原価を算出するのが基本的なステップです。 その場合、材料費や仕入れ部品、外注加工費などの直接費は、その製品に直接賦課しま すが、労務費や製造経費などの間接費は、所定の配賦基準で各製品に割り振っていき、1 個当たりの製造原価を算出します。 このように、製造原価要素の全部を計算するので、この方法を全部原価計算と言います。 そして、この製造原価に営業費や販売費、本社費といった一般管理費を割り振ったものが 原価となります。管理会計
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■全部原価計算の手順 原価の3要素 材料費 ……… 直課または配課 労務費 ……… ………… 配 賦 製造経費 ……… 要 素 別 計 算 ( 第 1 段 階 ) 部 門 別 計 算 ( 第 2 段 階 ) 製 品 別 計 算 ( 第 3 段 階 ) 単位当たり材料費 = 単位当たり材料消費量 × 材料購入価格 単位当たり労務費 = 単位当たり作業時間 × 賃率 単位当たり製造経費 = 単位当たり配賦基準数 × 経費率管理会計
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(2)製造原価の利用
製造原価を算出することによって、以下のような経営戦略に役立つ分析を行うことがで きるようになります。